01/01/22 第1回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録 第1回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録 1 日 時 平成13年1月22日(月)16:00〜17:30 2 場 所 物産ビル別館第2会議室 3 出席者 [委   員] 奥平委員、刀谷委員、勝委員、菅野委員、齋藤委員              桜井委員、笹川委員、佐藤委員、辻村委員、都村委員              中山委員、長谷川委員、堀越委員、山路委員       [事 務 局] 日比労働基準局長、奥田勤労者生活部長、              南野勤労者生活課長 4 議 題  (1) 部会長及び部会長代理の選出について (2) 労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会運営規程について  (3) 中小企業退職金共済法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)  (4) その他 5 議事内容 ○勤労者生活課長 定刻となりましたので、ただいまから第1回労働政策審議会勤労者 生活分科会中小企業退職金共済部会を開催します。本日は1名の委員の方がご欠席です が、必要な定足数を満たしていることをご報告申し上げます。  改めまして、本日はご多忙の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございま す。私は本年1月6日付をもちまして勤労者生活課長を拝命いたしました南野と申しま す、どうかよろしくお願いします。また、皆様方ご承知のように、この度の中央省庁の 再編に伴い1月6日付をもち、労働省は厚生省と統合し厚生労働省となっております。 また、従来の労政局勤労者福祉部福祉課についても、労働基準局勤労者生活部勤労者生 活課となっております。 (事務局紹介) ○勤労者生活課長 それでは、本日の審議に先立ち労働基準局長よりご挨拶を申し上げ ます。 (労働基準局長挨拶) ○勤労者生活課長 労働基準局長は所用がありますので、ここで退席させていただきま す。 ○労働基準局長 大変恐縮でございますが失礼させていただきます。 (労働基準局長退席) ○勤労者生活課長 本日は第1回の会合ですので、部会長が選任されるまでの間、私の ほうで進行をさせていただきます。お手元の資料3が本部会の委員名簿です。第1回の 会合でもありますので、資料3の順に委員の皆様のご紹介を私からいたします。 (委員紹介)  皆様の辞令については、資料と合わせて机の上にお届けすることで任命手続に代えさ せていただいておりますので、ご了承願いたいと思います。なお辞令をご覧いただくと お分かりだと思いますが、辞令の職名については、大部分の方が「労働政策審議会の臨 時委員」という職名になっております。これは審議会の統合に伴い、旧中小企業退職金 共済審議会が当部会に引き継がれることになったことから、労働政策審議会の本審の委 員以外の皆様は労働政策審議会令の規定に基づき、本審の開催日である1月12日をも ちまして、本審の臨時委員として厚生労働大臣から任命を受けられ、これも同じ審議会 令の規定に基づき、勤労者生活分科会長の指名を受け当部会の構成員となっていただ く、という複雑な形式をとっていることによるものです。審議会の審議会令、その他の 規定については後ほど説明をさせていただきます。  それでは、本日の資料にありますように、議題の第1、部会長及び部会長代理の選任 手続に入ります。まず部会長です。資料1の2頁以降に労働政策審議会令の規定があ り、また3頁の第7条第6項の規定により、「部会に部会長を置き、当該部会に属する 公益を代表する委員のうちから、当該部会に属する委員が選挙する」という審議会令上 の規定になっています。ここでいう委員は、この審議会令上は委員と臨時委員という委 員の種類を書き分けてあり、労働政策審議会本審の委員を指すことになります。 (部会長選任) ○勤労者生活課長 それでは部会長席へお越しください。部会長より部会長就任のご挨 拶をいただくとともに、これからの議事の進行をお願いいたします。 (部会長挨拶) ○部会長 まず最初に部会長代理指名手続がありますが、前の退職金共済審議会に引き 続いて、委員に部会長代理をお願いしたいと思います、よろしくお願いします。 ○委員 よろしくお願いします。 ○部会長 続きまして、議題2、当部会の運営規程をどうするかです。事務局案があり ますので説明をお願いします。 ○勤労者生活課長 それでは説明いたします。お手元の資料4に、これからご審議いた だきたい当部会の運営規程の案を用意してあります。この運営規程の案は、これ以外の 関係法令、親審議会になります労働政策審議会、あるいは、勤労者生活分科会の運営規 程との関連もありますので、その辺りを資料1としてまとめてありますので併せてご覧 ください。  まず初めに、部会の運営規程で定めるべき事項の範囲を説明します。資料1の1頁に 「厚生労働省設置法」という法律があります。これは関係部分の抜粋ですが、第6条の 4行目にあるとおり、この法律において、この労働政策審議会の設置が認められており ます。また第9条には、その労働政策審議会の所掌事務についての規定があります。こ れらの基本的な事項については設置法の中で規定がなされているわけですが、いちばん 最後から4行目の2に「前項に定められるもののほか、労働政策審議会の組織、所掌事 務及び委員その他の職員その他労働政策審議会に関し必要な事項については、政令で定 める」という規定があり、これを受けて次の頁の「労働政策審議会令」が定められてお ります。  この審議会令の第1条は所掌事務、第2条は組織、第3条は委員等の任命の規定で す。この中で本審の委員、あるいは臨時委員の規定もあります。第6条は、この労働政 策審議会に置く分科会の規定です。分科会は全部で7分科会が置かれることになってお り、従来の中退審が所掌しておりました中退制度に関する事項については、この中の勤 労者生活分科会の所掌事務とされているところです。  第7条は部会の規定です。本部会に関わる規定でもありますが、そこにありますよう に「審議会または分科会は、その定めるところにより、部会を置くことができる」とい うことです。また、「分科会に置かれる部会にあっては分科会長が指名する」となって います。これは当部会もそういうことになります。また、第3項で「労使の委員につい ては、委員、臨時委員とも同数とする」となっております。これらの規定が政令の中で 定められているわけですが、第12条に「雑則」という規定があり、この中でさらに、 「政令に定めるもののほか、議事の手続その他審議会の運営に関し必要な事項は、会長 が審議会に諮って定める」となっております。  この部分が運営規程に相当するものですが、審議会も3段構成になっているものです から、すでに当部会の親審議会であります労働政策審議会、それと勤労者生活分科会に おいて、それぞれ運営規程が定められております。その運営規程が4頁以下です。4、 5頁が労働政策審議会本審の運営規程で、6頁が勤労者生活分科会の運営規程です。  この中で一部、部会についても規定がありますが、特に重要なポイントだけに絞って ご紹介しますと、労働政策審議会の第9条、「分科会がその所掌事務について議決をし たときは、当該議決をもって審議会の議決とする」とされております。したがいまし て、分科会が議決を行った際には、わざわざ本審を開かなくても、原則として分科会の 議決が労働政策審議会の議決となる、という規定です。ただし書きがあり「ただし、審 議会が予め当該議決に係る事項に関して、審議会の議決を特に必要とすることを認めて いたときは、この限りではない」とされています。  次は、6頁の勤労者生活分科会の運営規程です。この勤労者生活分科会の運営規程の ポイントとしては、第6条に本部会の設置が規定されており、「分科会に中小企業退職 金共済部会を置く、部会の所掌事務は次に掲げるとおりとする」ということで、第2項 第1号、第2号が定められております。また第7条は、「部会がその所掌事務について 議決をしたときは、当該議決をもって分科会の議決とする。ただし、分科会が予め当該 議決に係る事項に関して分科会の議決を特に必要とすることを定めているときは、この 限りではない」という規定です。これは先ほどの労働政策審議会の運営規程の第9条と 相俟って、原則としてこの部会の議決が労働政策審議会の議決となる、ということにな るわけです。また、第10条には「この規程に定めるもののほか、部会の議事運営に関 し必要な事項は部会長が部会に諮って定める」という規定があり、この規程を根拠に部 会の運営規程を定めるということになるわけです。  当部会の運営規程の具体的な中身については、別途担当者から説明をします。なお、 資料4のいちばん最後に「附則」があります。これは施行日を規定する部分ですが、こ の施行期日は、本日この運営規程をお認めいただければ本日ということで記入をしたい と考えています。  ここで部会の運営に関し1点だけ、お諮りしたいと思います。それは、この部会の議 事を公開とするか否かという点です。つまり、この会議そのものを公開とするかどうか ということです。部会の議事については、従来の中退審議会においては、労使の利害に 直結する事項を調査審議するという性格上、公正かつ中立な審議に影響を及ぼすことの ないよう、審議会における申し合わせにより、議事は非公開とし、議事録及び資料は原 則として公開とする、すなわち、議事録については、委員名を特定しない形で公開と なっておりました。また、他の分科会、部会、例えばこの親分科会であります勤労者生 活分科会等においても、引き続き同様の取扱いとすることになっていると伺っていま す。このようなことから事務局としては、当部会においても、議事については、申し合 わせにより従来どおりの取扱いにしてはいかがかと考えているところです。  それでは、当部会の運営規程案について担当者から説明します。 ○勤労者生活課長補佐 資料4の「運営規程事務局案」について、細かい点について補 足の説明をします。  基本的には先ほど課長から説明したとおりですが、若干細かい点として、1つは「臨 時委員」という名称について、委員のご就任をお願いに上がった際に若干疑議が呈され ておりましたものですから補足いたします。資料1の2枚目に、労働政策審議会令、本 審令の第4条第1項において、本審の委員については2年とされ、また、同じく第4条 の第4項で臨時委員の方については、その下の「任命に係る特別の事項に関する調査審 議が終了したときは、解任されるものとする」という規定になっており、これについて は労働政策審議会運営規程の第10条第2項において、「部会長の任期が終了したとき に解任されるものとする」ということになっております。部会長、すなわち本審の委員 の任期と連動するということになっておりますので、これから2年間の任期の間、引き 続きご指導いただければと考えているところです。  また、この部会の専決については、先ほど課長から説明いたしましたように、基本的 に従前から中退審で取扱っております中退制度に関する事項については、当部会の専決 となります。その際に、ただし書きなどで別途の定め云々といったものがありました が、これについては本審労働政策審議会においても、あるいは勤労者生活分科会におい ても、特段これに該当するような定めはなされておりません。したがいまして、旧中退 審と同様、当部会の議決の内容をもって労働政策審議会の議決となるという扱いになり ます。  そのほか、以前の中退審の規模との出入りについて若干申し上げます。定足数は、旧 中退審議会令の第3条第2項では「委員の2分の1以上」となっております。新しい本 審令では第9条第1項で本審について定め、同条第3項でこれを部会にも準用している わけですが、「委員及び臨時委員の3分の2以上、または公労使の各3分の1以上」 と、若干規定ぶりが変わっております。これについては、他の分科会、部会との横並び ということでこのような形になっておりますので、ご理解ください。  資料4で字句が変わっているところだけをかいつまんで申しますと、第3条で部会の 会議の招集が行われる場合について「分科会長の請求があったとき」となっておりま す。これは旧中退審の運営規程の「労働大臣の請求があったときに招集する」に相当す るものです。また、委員等から開催要求を行う場合の必要数として、従前の審議会運営 規程では「委員6名以上」となっていましたが、これも他の分科会、部会との横並びか ら「3分の1以上」、すなわち5名以上になるりますが、こういう形になっておりま す。  第5条の招集通知日は、従前の中退審の運営規程では「少なくとも3日前までに附議 事項、日時及び場所を委員に通知する」となっていました。これについては、旧労働省 関係の他の審議会のうちの多くのもの、今回設置される他の分科会、部会に関するもの との並びで「7日前」となっております。なお緊急やむを得ない場合については、旧中 退審議会のものと同様にこの日数にかかわらないこととしております。第6条の代理出 席は、旧中退審では、特段規定は設けていませんが、実際上、代理の出席を認める運用 がされておりましたので、この際明確にしたものです。  そのほか、旧中退審の運営規程にあって、中退部会の規定の中に取り込んでいないも のが若干あります。これらは審議会の運営に当たり、極めて当然の事項ですので本審の 規定でまとめて規定して、本審の運営規程の中で分科会、あるいは部会に準用している ものです。内容的には、従前の中退審の運営規程と全く同様ですので、ご理解くださ い。  具体的に条数を言いますと、資料4の3頁目の旧中退審の運営規程のうちで、第5 条、第6条、第7条、第8条第2項、第9条、第10条、第11条です、この辺りは本 審の運営規程でまとめて規定しているものですから、今回の運営規程のほうでは入って おりません。このようなことで条数が少なくなっておりますがご理解ください。 ○部会長 いまの説明について、何か、ご質問、ご意見などありましたらどうぞ。特 段、ご意見、ご質問がないようですので、当部会の運営規程は、この案のとおりに定め ることにいたしたいと思います。  それで、先ほどの発言にありましたが議事の非公開については、従来と同様の取扱い でやっていく、ということにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございます か。 (異議なし) ○部会長 では、そういうことにさせていただきます。 ○勤労者生活課長補佐 施行期日は本日付でよろしゅうございますね。 ○部会長 はい。それでは、次は議題3、中小企業退職金共済法施行規則の一部改正に 関します諮問です。事務局から説明をお願いします。 ○勤労者生活課長 第1回の部会から早速ご審議いただくことになり誠に恐縮ですが、 本日は中小企業退職金共済制度におきます掛金助成制度の見直しについて諮問をし、ご 審議をいただきたいと存じます。諮問文は資料5にあるとおりです。  まず、諮問内容の説明に先立ち、委員の皆様の中には旧中退審議会の委員をしておら れなかった方もいますので、中退制度の仕組みと概況について担当者から簡単に説明を いたします。その後、諮問内容のような見直しが必要となった背景について、勤労者生 活部長から説明をし、次に私から見直しの内容について説明します。 ○勤労者生活課長補佐 それでは諮問文の体裁、現在の中退金制度の概要、概況などに ついて、かい摘んで説明します。資料5です。  諮問文の名宛人が、従前は労働大臣から中小企業退職金共済審議会会長宛となってお りましたが、これが労働政策審議会長になっております。これについては、先ほど説明 しましたように、審議会が統合されたということに伴い、形式的ではありますが、諮問 それから答申といったようなものも、厚生労働大臣と本審の会長との間で行われます。 ただし、基本的にその分科会、あるいは部会の所掌事項については、分科会、部会の専 決事項とすることになっており、部会の所掌事項に係る諮問については、改めて、その 諮問のための本審、分科会を開催するということなく、また、改めて本審会長、あるい は分科会会長からの検討指示を受けることなく、直接部会へ届けられ、そして検討して いただくということになっていますので、大臣から本審の審議会の会長宛の諮問文を、 そのままお手元の資料とさせていただいているところです。  この諮問内容の説明に入る前に簡単に制度の概要を説明いたします。資料6をご覧く ださい。まず中退金制度の趣旨は、独力で退職金制度を設けることが困難な中小企業の 従業員の福祉の増進と中小企業の振興を図ることを目的とし、事業主の相互共済、国の 援助による退職金共済制度として設けられた制度です。  制度の仕組みは、2の流れ図にありますように、中小企業の事業主と特殊法人の勤労 者退職金共済機構との間で、当該事業主の方に雇用される従業員1人ごとに退職金共済 契約を締結し、事業主の方が毎日一定の掛金を機構に納付する。そのことにより、従業 員の方が退職されたときに機構から従業員に退職金を支給するというものです。  この退職金制度の特色は、1つは、掛金月額は、2の流れ図の中央よりちょっと下で すが、掛金月額は5,000円から3万円の間で事業主の方が任意に設定します。ま た、短時間労働者の方については、2,000円から4,000円の特例が認められて おります。また、掛金は税法上全額損金算入されます。掛金は助成制度があり、これは (2)のところですが、現行では、新規に加入される事業主に対し掛金の3分の1を2 年間助成します。具体的には、掛金を、その分減免して退職金機構でお預りし、国がそ の額を別途機構に対し補填するというものです。同様に、掛金を増額する事業主に対し ては、その増額分の3分の1を1年間助成します。そのほか、細かいものが書いてあり ますが、機構の運営費、これは事務費や人件費ですが、国庫補助をしています。  次の頁に「特定業種の退職金共済制度」というのがあります。一般の中小企業につい ての退職金共済は掛金を月額という形で納めているのに対し、右下のところに「事業主 から期間雇用者に対し証紙の貼付」と書いてありますが、常用でない、期間を限った雇 用者に対し、事業主の方が、期間雇用者の方が所持する手帳に日額300円の証紙を 貼っていただくことにより掛金を納付していただくという仕組みになっています。ま た、退職金給付が被共済者に対して直接行われるのは一般の中退制度と同様です。  資料7は「共済事業の現況」です。これは、一般の中退制度についてのもので、昨年 11月に中退審のほうでも説明した資料ですので、かいつまんで説明します。まず制度 の現況ですが、2頁に「共済契約者の状況」があります。加入事業所は、11年度で約 41万事業所、加入従業員数は、次の頁の「被共済者状況」にあるとおり、約271万 人、そのうち短時間の被共済者は約2.9万人です。  お預りしております資産の規模は、9頁の中央に「資産総額」というのがあります が、資産規模としては約3兆円です。また、退職金支給件数は、7頁の表9にあります ように約29万件。一人あたりの退職金の支給額は、表10の「退職金支給状況」で 「一時金」というのがありまして、その中央の「退職金」の欄の右側の「1人当たり金 額」にありますように、1人当たりの平均で123万円といったところです。  先ほど掛金助成制度がありますと申し上げました。この活用状況は、平成11年度で は、新規の助成件数が約7万事業所。増額助成件数が約6.3万事業所で13.3万人 の方にご利用いただいております。私からは以上です。 ○勤労者生活部長 私からは、掛金助成制度の見直しをせざるを得ないということで、 それについて皆様方にご了解をいただきたいということです。  この掛金助成制度は昭和62年にできました。それまでは退職金支給時に退職金に上 乗せをするという形の助成金制度でしたが、当時の助成金制度の見直しの中で、給付費 補助という形の助成制度はいかがなものかという議論がなされ、掛金を減額して加入促 進を図るという仕組みが昭和62年のときにできたということです。  当時の制度改正では、事業主の加入当初において、2年間にわたり掛金月額の3分の 1の減額をする、つまり、3分の1は国が負担をし事業主が3分の2を負担をするとい うこととなり、それ以降、その制度は全くいじらないままきていたわけですが、ここ数 年の経済情勢を反映して雇用保険財政、労災保険財政ともに、事業所数が減少する、労 働者数が減少する、加えて賃金水準も下がるというようなことが重なり、保険料収入が 減少するという事態が起こってきているわけです。また雇用保険も、こういった状況の 中で、失業対策として支出が相当増大したということも重なり、雇用保険制度、労災保 険制度に基づく種々の助成金制度についての見直しが迫られてきているわけです。  雇用関係の助成金については、旧中央職業安定審議会の中で、基本問題小委員会が設 けられ、そこでこの助成金のあり方についてどうするか、という議論がずっと進められ てきたわけです。そちらのほうはそちらのほうで議論が進んでいたのですが、私どもの ほうの助成金制度についても、現行の仕組みについては、もう少し予算の節約ができる 制度にならないか、という要請が強く出てきたわけです。そういう中で、13年度の予 算要求をする過程で、どういった形の制度改正をしていく必要があるかということを検 討し、その結果、このあと説明いたしますが、制度改正を皆様方にお願いをし、ご了解 をいただかざるを得ないという状況になったわけです。  いまご紹介申し上げましたように、この制度自体、中退金制度の加入促進について は、非常に重要な制度だと私どもは認識しておりますので、できるだけ加入促進効果と いうものが落ちないように、何とか、限られた財源の中で工夫できないのかという意味 で、助成金制度を重点化していきたいという形で制度の改正をいま考えているわけで す。この具体的な内容を課長から説明させますが、そういった背景があったということ をご理解いただき、ご議論をいただけたらと思っております。どうかよろしくお願いい たします。 ○勤労者生活課長 私からは見直しの内容について説明いたします。正式な諮問案は資 料5のとおりですが、「省令改正案要綱」ということで非常に分かりづらい書きぶりに なっていますので、これを簡単にまとめたものが資料9です。この資料9に沿って説明 をいたします。中央の2のところに「見直しの趣旨・内容」というのがあります。先ほ どの制度の説明の中で説明いたしましたように、中退制度に関わる掛金助成としては、 新規加入時の助成と掛金増額の際の助成の2つの制度があるわけです。  まず最初に、(1)新規加入の掛金の助成制度に関わる見直しについて説明します。 見直しの内容は(1)〜(3)までの3点です。まず第1に、助成率、助成期間の見直しによ る助成の重点化です。具体的にはそこに書いてあるとおりです。現在の制度としては、 中退制度に事業主が加入された場合に加入当初24カ月、すなわち2年分の掛金につい て掛金月額の3分の1を補助するという制度になっています。この助成率について、掛 金月額が1万円以下の場合は、助成率を3分の1から2分の1に引き上げ、ただし、掛 金月額が1万円を超える場合には一律5,000円を上限として助成することとすると ともに、助成期間を1年とすることとするという内容です。  具体的な数字でご紹介しますと、資料9の3頁をご覧ください。この左側の欄外に数 字を書いてありますが、被共済者ベースでみますと、新規加入の被共済者の加入時の掛 金月額については、そこに数字が80.3%とありますが、約80%が1万円以下とい う状況です。また、資料7の6頁のいちばん上の表に、「平均申込み金額の状況」とい うのがありますが、直近の数字でみますと、平均の申込み金額は、12年度の欄で 8,987円となっています。以上が、現在の利用状況に関する具体的な数字です。  このような見直しをするという考え方について簡単に説明いたしますと、助成率を3 分の1から2分の1に引き上げ、掛金負担能力が相対的に低いものについて加入当初に 厚く助成することにより、加入促進のインセンティブが働くようにするということがま ず最初です。少なくとも平均の額までは掛金が掛けられるような助成の仕組みにしたい ということで、上限を1万円と設定したところです。  また助成期間については、先ほど部長からも、雇用保険三事業の整理合理化、大幅な 予算削減が行われていると申し上げたところですが、雇用関係の各種給付金のうち、毎 月支払われる賃金等に着目した助成金についてみますと、例えば特定求職者雇用開発助 成金、これは高年齢者、障害者等の就職が特に困難な者を雇い入れた事業主に対して賃 金の一部を助成するという助成金制度ですが、これは原則として1年間となっていま す。また、雇用調整助成金、これは休業や職業訓練、出向を行った事業主に対し、賃金 負担分の一部を助成するという制度です。この制度においては、休業・教育訓練につい ては200日間、出向については1年間という助成期間となっています。こういう制度 との並びをみますと、これまで中退制度に関わる新規加入の助成制度については、他の 制度に比べて特に恵まれているという状況にあったこともあり、厳しい財政状況を踏ま え、予算の勘定元より、雇用関係の各種給付金との間のバランスをとることを強く求め られたということによる、やむを得ない措置です。  2つ目は、「短時間労働者への上乗せ助成」です。短時間労働者というのは、1週間 の所定労働時間が新規加入される共済契約者に雇用される通常の従業員の1週間の所定 労働時間に比して短く、かつ、30時間未満である者のことを指します。このような被 共済者については、一層の加入促進を図るために掛金月額の特例として、すでに 2,000円から4,000円の掛金で加入することができることとされているところ ですが、このような方については、引き続き、特に重点的に加入促進を図るために、掛 金月額に係る助成を上乗せする。具体的にはそこにあるとおりですが、従来の3分の1 の助成から比較しますと倍に近い、3分の2の助成に近い形での助成制度として見直し たいと考えています。ただし、助成期間は(1)と同様に1年間とするということです。  このような見直しをする考え方としては、短時間労働者については、退職金の普及率 をはじめ、労働条件が比較的低位にあるということがあります。短時間労働者は、労働 者数全体の約15%を占めているという調査がありますが、中退金制度への加入状況を みますと、被共済者全体の約1%に過ぎないという状況です。このようなことから、労 働条件が比較的低位にあり、特に退職金制度の普及率の低い短時間労働者については、 特に上乗せをして助成を行い、引き続き重点的に加入促進を図ることといたしたいと考 えているものです。  3点目は、「助成開始は加入後4カ月目からとする」というものです。中退制度にお いては、退職金という制度上、早期退職者、すなわち掛金納付月額が12カ月未満で退 職された共済者については、退職金が支給されないということになっています。いわゆ る「掛け捨て」。また、24カ月未満で退職された被共済者については、退職金額が掛 金を下回る額しか支払われない。いわゆる「掛け損期間」と言っておりますが、このよ うな仕組みとなっています。これはその分が長期勤続者に対する上乗せ給付として加え られているわけです。そのような被共済者については、払い込まれた掛金が、助成分も 含め、直接的に還元されていないということになります。このために継続的に制度に加 入し続けると見込まれる事業主の方について、重点的に助成することとするものです。 (1)(2)の助成期間及び率の見直しと併せてこれを図にしますと、資料9の参考1のよう な形になります。  このような期間を何カ月にするかということについては、新規加入される事業主の方 が継続的に制度に加入し続けることが見込まれるかどうか、すなわち、その意思と能力 を有するかを見定めるためには、一定の期間、掛金を納付していただくことが必要であ りますが、この期間があまりにも長くなりすぎますと、新規加入時の負担の軽減により 加入促進するという助成制度の趣旨が失われてしまうということから、3カ月としたと ころです。  ちなみに、加入後12カ月以内に脱退される新規加入の被共済者の方は、新規加入者 の約5%となっており、その3分の1が加入後3カ月以内に脱退されているという状況 にあります。  次は(2)の改正です。「掛金月額の変更助成制度」に関する見直しについて説明し ます。掛金月額の増額変更については、現在増額幅の3分の1を1年間助成しておりま す。これを変更前掛金が2万円未満の被共済者について、掛金月額の3分の1を助成す ることとする。すなわち、掛金月額が一定水準までの被共済者に重点的に助成すること により、掛金月額が比較的低位にある共済契約者及び被共済者について、掛金増額費の 負担を軽減し、掛金月額の増額を引き続き容易にするというものです。これは予算上の 制約もあり、すでに高額の掛金を掛けておられている方は比較的負担能力が高いという ふうにみられるわけですので、こういう方については、自助努力で掛金増をお願いする こととし、負担能力が低いとみられる掛金月額の比較的低い方を重点的に助成するとい う考え方によるものです。助成の対象は変更前の掛金月額が2万円未満の方のみにした いと考えております。  この考え方については、資料7の6頁の中央の表で「掛金月額の推移」というのがあ りますが、在籍者の平均掛金月額は、12年6月の段階で9,105円となっていま す。この2倍程度までの額を掛けておられる方については、引き続き助成の対象とした いということです。  ちなみに、資料9の4頁、参考3ですが、左側に現在の月額があって、掛金月額が2 万円以上の構成比の合計は10.1%になります。すなわち、掛金月額が2万円未満の 者は、在籍被共済者のうち約90%と大部分を占めるわけです。これらの方々について は、引き続き掛金の増額の助成があるということになります。以上が掛金月額の変更助 成制度の見直しについてです。  最後は「施行期日」です。(3)にありますように、見直しの施行については、予算 の関係もあり、13年4月からと考えております。なお、これらの改正により、加入促 進に影響が生じないよう制度改正の周知や加入促進のための取組みについて、勤労者退 職金共済機構や都道府県等を通じて、講じてまいりたいと考えているところですので、 よろしくご審議のほどをお願いいたします。 ○部会長 どうもありがとうございました。いまの諮問案について、質問なり、ご議論 なり、あるいは、こういう資料はもっとないかとかというご要望までありましたら、ど うぞ、ご遠慮なくお出しください。 ○委員 資料がたくさんあって見るのが大変なのですが、新規加入助成金制度と、掛金 月額変更助成金制度の予算額は、どういうふうになっているのですか。12年度、13 年度を教えてください。 ○勤労者生活課長補佐 12年度の予算額は、新規加入については69億2,400 万、月額変更については30億600万です。また、今回諮問した改正が成立した場 合、13年度の予算所要額は、新規加入については69億200万。月額変更について は、これは制度改正のほか、予算の積算の仕方の見直しが大きな変化要素となっており ますが、これについては21億4,300万です。 ○委員 そうしますと、今度の新規加入の助成制度の見直しは、国庫助成金減額の考え 方になっていますよね。だけど実態は、予算は変わっていないということですか。 ○勤労者生活課長 新規加入の場合は、予算が減額になる要因としては、助成期間が2 4カ月から12カ月になる部分です。実は、これは2年目から実際に効いてくる制度 で、1年目については、新規加入についても12カ月は助成するということになります ので、あまり大きな影響は出ません。 ○委員 69億という12年度の予算で、いままでやってきているわけです。それで1 3年度も69億ですから、何も助成率とか、助成期間を動かさなくても、このままやっ ていけるのではないかという質問なんです。 ○委員 次年度以降、効いてくるわけでしょう。助成率を上げていますから重く効いて くるわけですね。 ○勤労者生活課長 そういうことです。 ○委員 効いてきますかね。 ○勤労者生活課長 はい。14年度以降は、予算額はだんだん減少していくという形に なります。13年度は、助成率を2分の1上げた分、予算が若干増えるという要因と、 それと3カ月間助成を据え置く期間を置く分、減額される部分との差し引きで、ほぼ1 2年度と同額の予算額になっております。14年度以降は、この額が減っていくという 見込みです。 ○委員 14年度はいくらぐらいになるという計算した数字はないのでしょうか。 ○勤労者生活課長補佐 新規加入等の状況が現在と同様の傾向で推移したと場合におい ては、14年度の新規加入については約67.6億、2年間の助成期間が1年間になり ますので、その影響で15年度において約50.2億という数字を見込んでおります。  また、月額変更については、現在と同様の傾向で推移したとしますと、14年度は約 19.1億。15年度は、ほぼ同様の19.5億ぐらいの数字になるのではないか。た だ、いずれも何年も先の話ですので、あくまでも推計でございますが、その辺は、お含 みおきいただければと思います。 ○委員 いまの説明はちょっと不足していると思います。12年から13年は69億で あまり変わりはないと。過年度分が来るからだという説明ですが、じゃあ、13年度分 がこの制度に変更したら、その分はいくらになるのかという質問があるわけですが、そ れはいくらになるのですか。 ○勤労者生活課長補佐 先ほど申し上げたのが制度の見直しを行った場合の額ですが。 ○委員 見直しを行った場合は69億と。 ○委員 これが14年度に影響する額はどのぐらいかということなのです。 ○委員 13年度から始めるわけですから、13年度はどのぐらい減額になるのか、と いうのは分からないはずがないでしょう。 ○勤労者生活課長補佐 13年度は、先ほど申し上げました69億と。 ○委員 いや、そうではなくて。 ○勤労者生活課長補佐 制度改正を行わなかった場合ですか。 ○委員 この資料が良くないのですよ。はっきり言うと、例えば現行制度を維持した場 合には、こんなふうになりますよという、いま皆さんが計算なさっているものでいった ら、こんなふうになりますよ、というシミュレーションがないですから、読まれた数字 で、ここで計算してくれといっても電卓を持っていませんし。これは自分でもやらなけ ればいけないのですが、そういうものは資料できちっと説明してほしいわけです。 ○勤労者生活課長補佐 資料の形に整えましたものを別途提出いたします。制度見直し を行った場合と行わなかった場合の対比ができるようにというご指摘かと思いますが、 制度の見直しを行わなかった場合の額として見込みましたのが78.7億という数字で す。 ○委員 新規の場合は、実質的に9億減額になるということですね。 ○勤労者生活課長補佐 さようでございます。 ○委員 そういう資料を出さないと論議しにくいではないですか。 ○勤労者生活部長 制度の改正は、今までは2年間にわたって3分の1を助成するとい うことですから、2年分のうち8カ月分は掛金を払わなくてもいいということになりま す。それに対して今回は、期間を1年にするけれども助成率は2分の1にしますという ことですから、6カ月分は国がみるということになります。これまでは8カ月だったの が6カ月になりますから、概算でやりますと、前に比べると予算は、制度が完全に切り 替われば4分の3になるということです。  数字がこうなっているのは、足元の加入者数が相当動くものですから、予算の積算 は、そこが非常にややこしい。私ども非常に気にしているのは、この制度改正をやるこ とによって加入者が減るということで、その場合予算上は非常に助かるのですが、しか し、中退の制度全体からしますと、やはり加入者が増えてくれないのではないかといっ た面での悪影響も出てくるということで、そういう意味での計算が難しい面があるわけ です。制度の上から言えば、予算上は、掛金助成については前と比べれば4分の3にな るということです。そういうふうにご理解いただけたらと思います。 ○委員 予算の制約で全体的に少し圧縮せざるを得ないというのが流れだと思います。 その点は異論はありませんが、今回の仕組みをみますと、新規に加入する人に対しては 1万円の掛金頭打ちにして、助成額は5,000円頭打ちにするということになってい ながら、一方で、増額のときには2万円までシーリングを上げますと。今まではここも 青天井だったわけですが。そうすると、逆にいうと最初から2万円で掛金を掛けるとい う人は、もういなくなりますね。1万円掛けて、あと1年経ったら増額とやれば、5, 000円プラス3分の1助成ですから3,333円の12カ月が得られる。  最初から2万円で掛けると、1万円ぽっきりしか受けられないという、何となくここ は不連続が起きているのではないかと思うのです。本当は、高額の人はある程度ゆとり のある人だからということであれば、両方合わせて1万5,000円とか、そういうと ころにシーリングを置いて、最初から1万5,000円で掛ける人も2段階に分けて、 例えば8,000円で始まって、あとから7,000円追加するという人でも、2回に 分けても1万5,000円まではいきますよ、という制度のほうが何となくバランスが いいというか、筋が通っているというか、そういう気がするのです。これでは1万円以 上やる人は、ある意味では合理的な人ではないと思う。1万円以上掛ける人は2回に分 けて掛けなさいというような感じで、何となく不連続が目立つような気がするのです。 こういう問題が出てくることを前提に、何か、統一したほうがいいような気がするので すが。 ○勤労者生活課長 確かにご指摘のとおり、最初低く入って後に増額するということに したほうが助成が多く受けられるというケースが、仕組みとしては考えられないことは ないわけです。しかしながら、仮にこのようなケースが生じたとしても、この掛金助成 の制度の趣旨としては、まず中退制度に加入してもらうということが重要であるわけで す。掛金増額と新規加入の場合は助成率が変わるということになるわけですが、まず中 退制度に加入してもらうという意味からすると、そこに、より手厚い助成を行うという ことについては、必ずしも制度の趣旨に反するものではないのではないかと考えており ます。  そういうことで、むしろ助成の重点化のために、その政策目的に照らし、助成率に差 を設けたということですので、その辺りを何卒ご理解をいただければと思います。 ○勤労者生活課長補佐 若干補足説明しますと、先ほど課長の説明の中でも申し上げま したように、現在でも大部分の方は掛金1万円以下で加入されておられます。現在の賃 上げ状況などを見ましても急に掛金が一気に伸びるというわけでもないと存じますの で、大部分の方については、原則どおりの助成を受けていただけるということになるの ではないかと考えております。  また、その率について不連続というご指摘については、先ほど課長が申し上げました ように、両制度の助成の趣旨が違うということから、従前も、新規加入については2年 間、掛金の引上げについては1年間というように、ある程度助成をする額についても濃 淡がついているところですので、それとの並びという意味でご理解いただければと考え ております。 ○部会長 ほかに何かありますか。 ○委員 今までは確かに助成期間は24カ月と12カ月という差があったのですが、今 まではどちらも青天井だったのです。逆に言うと、初めに高く頑張って掛けた人のほう がインセンティブが強かったのです。24カ月受けられるという意味においては。だけ ど今回は、1万円ぽっきりで加入する人は出ないということになって、むしろ2段階の 人がプラスになるというのは、何となく。確かに、比率から見ると80パーセント程度 の人は1万円以下だということですが、10数パーセントの人は、もうやめなさいと。 逆に言うと、そこにインセティブは付けませんよという形になるところが、何となく。 常識感覚からみると、ちょっと違和感が残るような気がするのです。 ○委員 ちょっと議論の前提を伺います。省令案要綱についての諮問ということであり ますが、事実上政府予算案は決まっているわけですよね。最終的には国会で決まること だから、法律的にはまだ最終決定ではないにせよ、今回の諮問案の内容によって予算案 を変更することが実際問題あり得るのかどうか、ということを伺いたいと思います。  つまり、侃々諤々議論して出した結論が意味がないということであれば、議論しても それほど意味がないわけです。単なる報告事項としての話なのかどうかということにも なるわけです。この辺のところはどうなのでしょうか。 ○委員 前文に見直しの背景が書いてありますが、要するに特会が、それぞれ非常に厳 しい財政状況になっている、それで整理合理化が求められているという前提が書かれて いるわけです。今日は中退の問題だけですが、どの程度減額しろと、そういう枠がか かっている、もう最初から。だから、それに数字を合わせたと、逆にそのように考えて もいいわけですか。 ○勤労者生活部長 委員ご質問からお答えを申し上げます。具体的に予算をいくらの中 でやれということはありません。予算がこれまでよりは減額できるような形で見直しを しろというのが両勘定元からの要請でした。ですから、予算額に合わせて制度をいじる ということではなくて、私どもとしては見直しの中で、限られた予算の中で最も効果あ るものにするためにはどうしたらいいかということで、こういう案を作り、皆様方にお 諮りをしているということです。  後段の、お諮りをしているというところが、私はそう申し上げながら非常に心苦しい ところがあるわけです。省令を改正するという意味では、これまでも諮問をし、答申を いただいてきたということがありますので、そういう形を今回もとらせていただいてお ります。  委員からご指摘がありましたように、もし私どもが今回お願いをしております内容と 違うといいますか、制度そのものが違うということになりますと、予算案を変更しなけ ればなりませんので、事実上そういったことはできないということになります。この内 容に沿いながらということになりますが、予算案をいじらないで、できることについて のご要望について最大限、私どものほうで実行させていただきたいと、そういうような 内容になるものです。  そういう意味では、順序からいたしますと、本来はこういう要請が来ているのでどう いう形で見直しをしたらいいか、白紙で皆様方にお願いをし、お考えを伺い、それに基 づいて案を作るのが順序であるわけですが、予算案の策定の過程が、概算要求を出すの が9月の初めということになりますから、事実上は7月とか、そういったときに作業を しており、審議会を開いて皆様方にお願いをするということが実際にはできない状況で きているわけです。皆様方にご議論をいただく順序については、私ども非常に失礼なや り方をしているということになるわけですが、そういった事情をご理解の上、ご審議を いただけたらということです。 ○委員 この助成制度の財源は労働保険によっているということですが、先ほどのお話 ですと62年にこの制度がスタートしたということですが、この制度が創設されたと き、労働保険を財源として助成するというのは、どういう経緯があったのでしょうか。 ○勤労者生活部長 これは労働保険の雇用保険会計と労災保険会計の両方から半分ずつ 予算をいただいております。まず雇用保険のほうは雇用保険三事業と言われる財源から なっております。この雇用保険三事業は、雇用安定事業、能力開発事業、雇用福祉事業 の3つに更に勘定が分かれることになっております。この予算は雇用福祉事業の中のも のとしてお願いをしているものです。これは雇用者の雇用管理の改善に資する雇用福祉 の増進に役立つものだということで、この助成金制度が成り立っています。  もう1つの労災保険のほうは、これはそもそも労働者の災害防止のための保険ですの で、災害が起きたとき給付をするために使っているわけです。この労災保険の中にも労 働福祉事業という勘定元があり、この中で賃金の立替払事業というものをやっておりま す。企業が倒産をして事業主が賃金が払えないというときに、労災勘定の予算で、未払 いの賃金を、一定限度額までについては事業主に代わって国が立て替えるという制度が あるわけですが、退職金についても立替え払いの対象となるわけです。中退金制度は社 外に積み立てをしますので、企業が倒産をしたときも、退職金は中退金のほうからお支 払いをいたしますので、労災勘定としても、立替えをする必要がなくなるという理屈で 労災保険のほうからも予算をいただいているわけです。  いずれの勘定元においても、中退制度の趣旨はご理解をいただいているわけですが、 それぞれの事業全体の中で、すべての助成制度について例外なく見直しをする、という 方針でこれまできているものですから、私どもの助成金についても見直しをせざるを得 ない状況になったということです。 ○委員 部長はよく分かっておられますからいまさら言うことはないのです。ただ、何 のために審議会があるのかということを考えれば、結論ありきで諮られてもどうしよう もないわけです。いまさら言っても仕方ないことかもしれませんが、途中経過の中で、 ある程度流動的であっても何らかの形で審議会を開くなり、開けなければ持回りで委員 のところに説明に回るということをやるべきだったし、今後このような問題があれば、 やはり、こういうことは二度とやらないように改めてお願いをしておきたいと思いま す。 ○委員 感想も含めてちょっと発言をさせてもらいます。80兆を超えるような予算の 中で、この見直しは、先ほど話があったように10億とか20億円ぐらいの対応です。 本当に弱いところにしわ寄せをしているのではないかという感想があります。逆に雇用 保険の保険料も引き上げになる、あるいは労災保険も、やがてそういう形になるかもし れません。それらについては労働組合も一定の理解を示しておるわけです。こういう処 置を取らずに継続をするという発想はなかったのか。感想としては、政府としては、本 当に弱いところに、ほんのわずかの財源を手当てするために処置されたのか、この文章 を見ますと、ほとんど財政問題から背景が述べられておりますので、そういう印象を受 けますので一言、感想も含めて私の話をさせてもらいたいと思います。 ○部会長 まだいろいろご議論があるかもしれませんが、もうそろそろ時間になります ので、とりあえず今日はこれぐらいにして、また引き続いて議論するということにした いと思いますが。 ○委員 1点だけ確認させてください。従来の単独審議会から、こういう形で分科会が あって、それでまた部会があってと、この辺が従来の審議会と同様の審議の中で権限が あるのかどうか、非常に不明瞭なんです。今年厚生労働省になってから審議会は1つ で、それで分科会ができて、まあ、地図で見れば下請機関みたいになっています。この 辺りの性格付けですね。私なにも議論しないでいたのですが、なんや言うたって、いち ばん下請の部会が決めてね、これは形の上なんですね。実際、先週の月曜日にその上の 分科会が開かれて、それを待って、部会の案内をあえてしているのですね。速達で送っ てきてくれて。それは、まあ、ご丁寧なんですけれども。  だから、片一方の分科会が発足せんことには、この委員会が、部会が成立しないとい う位置付けから言えば、元が遅れたら全部遅れます。だから先ほどの議論のように、今 年の省庁再編成が年明けやったと、そこから本審がスタートして、その次が分科会がス タートして、それで、どん詰まりがこの部会やと。もう下請でなんも協議せんでもええ んかどうか、その辺が今日の部会だと思うんだな。権限をちょっと明確にしてくださ い。 ○勤労者生活課長 部会と申しておりますが、実質的には、先ほども説明いたしました が、従来の審議会と全く権限としては変わらないということをご理解いただきたいと思 います。  ただ、政府全体の方針として、審議会の整理統合という問題があり、既存の審議会を とにかく、できるだけ1つに集約していくという政府全体の非常に大きな方針の下に、 非常にややこしい構造になったわけですが、旧労働省関係の審議会についても、労働政 策審議会を筆頭に3層構造にするという仕組みにせざるを得ないということになったわ けです。  ただし、先ほど議決のところでも申し上げましたように、当部会の議決は、その親の 審議会であります勤労者生活分科会、あるいは労働政策審議会の議決を経ることなく、 この部会の議決をもちまして審議会の議決とするということとなっているわけです。そ ういう意味では、従来の中退審と全く変わらないということですので、よろしくご理解 をいただきたいと思います。 ○委員 この見直しの背景の(1)〜(3)ですが、もう少し丁寧に書いてもらわない と、この審議会の持つ意味合いが非常に弱くなる。予算は減らさなきゃいけないと上か ら言われておりますよ、完全に1千何百億円の赤字が見込まれている、だから、この中 退も見直しが不可避だと。  その原点に立って幾つかを出しているのですが、これでは少し荒っぽすぎ。いま発言 があったようなこととか、要するに、いまの雇用情勢の中で中小企業退職金共済制度は どういう位置を持っているのかという、それなりの、まあ、論文でなくてもいいのです けれども、説得力のあるような文章が付いていないと。政府の説明はあったけれども、 あまりにも何というか、ああ、やむを得ませんね、というふうな終わり方では、ちょっ と審議会の質の問題としても、ちょっと残念に思いますのでよろしくお願いします。 ○部会長 今回の大義名分は財政的な事情が非常に大きいわけだから、財政状態が分か るような資料を作って次回には出してくれますか。 ○勤労者生活課長補佐 はい。 ○部会長 確かに、いま言われたように金がありませんからというだけでは、ちょっと 芸がないと言えば芸がないから、もう少し、何か理屈があるのではないですか。それが 説明できるように次回までに考えてください。  それで次回ですが、先ほどの説明にもありましたように、助成金制度の周知の期間と いうようなこともあるだろうと思いますので、なるべく早く議論をしたほうがいいだろ うと思います。次回の部会は1月26日10時に開きたいと思います。本来ですと、先 ほど決めた運営規程によれば7日前に通知をしなければいけないということなのです が、それは緊急やむを得ないということにして、あまり堅苦しいことを言わないで1月 26日10時に開くということにさせていただきたいと思います。それで場所はどうす ればよろしいですか。 ○勤労者生活課長補佐 場所は虎ノ門パストラルを用意しております。招集通知につい ては、誠に恐縮ですが今日この場でお渡しいたします。また、本日ご欠席の委員にも本 日中にお届けいたします。 ○部会長 それでは、今日はこれでお開きとさせていただきたいと思います。今日はど うもご苦労さまでした。 6 配布資料  (1) 関係条文、労働政策審議会・同勤労者生活分科会運営規程  (2) 労働政策審議会構成図  (3) 中小企業退職金共済部会名簿  (4) 中小企業退職金共済部会運営規程(案)  (5) 中小企業退職金共済法施行規則の一部を改正する省令案要綱諮問文  (6) 中小企業退職金共済制度の概要  (7) 中小企業退職金共済制度の現況  (8) 中小企業退職金共済制度「あらまし」  (9) 一般の中小企業退職金共済制度における掛金助成制度の見直しについて (注) 配付資料については多量のため省略しておりますが、厚生労働省(大臣官房総    務課行政相談室又は労働基準局勤労者生活部勤労者生活課)において供覧してお    ります。 照会先 厚生労働省労働基準局勤労者生活部勤労者生活課     担当:山本・武村     03(5253)1111(内線5376