09/09/08 第2回社会保障審議会少子化対策特別部会保育第一専門委員会議事録 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第一専門委員会 (第2回) 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第一専門委員会 第2回議事録 日時:2009年9月8日(火) 16:00〜18:10 場所:金融庁(中央合同庁舎第7号館西館) 共用第2特別会議室 出席者:  委員   大日向委員長、岩村委員長代理、飯塚委員、市原委員、柏女委員   川崎委員、木原委員、榊原委員、佐久間委員、佐藤委員、高橋委員   椋野委員、吉田昌哉委員、吉田正幸委員   岩渕委員(少子化対策特別部会委員)  事務局   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、田河総務課長   今里保育課長、朝川少子化対策企画室長 議題: 新たな次世代育成支援のための保育制度について     ・保育の必要性の判断〜公的保育契約 等 配付資料:   資料1-1  保育の必要性の判断〜公的保育契約   資料1-2  保育の必要性の判断〜公的保育契約 参考資料  参考資料1  保育所の状況(平成21年4月1日)等について  参考資料2  佐藤委員提出資料  参考資料3  柏女委員提出資料  参考資料4  木原委員提出資料 議事: ○大日向委員長  定刻になりましたので、ただ今から「第2回保育第一専門委員会」を開催いたします。委 員の皆さま方におかれましては、ご多用のところをお集まりくださいまして、ありがとうご ざいます。  議事に入ります前に、事務局より委員の出席に関する報告と資料の確認をお願いいたしま す。 ○今里保育課長  それでは、まず前回、欠席しておられた委員のご紹介をさせていただきたいと思います。  岩村正彦委員です。東京大学大学院法学政治学研究科教授でいらっしゃいます。 ○岩村委員長代理  岩村でございます。よろしくお願いいたします。 ○今里保育課長  岩村委員には、本保育第一専門委員会の委員長代理をお願いしております。  また、本日は少し遅れていらっしゃいますが、淑徳大学総合福祉学部教授の柏女霊峰委員 もご出席いただく予定です。  次に、委員の出席状況でございますが、本日は駒村委員から都合により欠席とのご連絡を いただいております。ご出席いただいています委員の皆さま方は定足数を超えておりますの で、会議は成立しております。また、本日は少子化対策特別部会から岩渕委員が出席されて います。  続きまして、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。 まず議事次第があります。それから、資料1-1「保育の必要性の判断〜公的保育契約」、資 料1-2は同じ資料の参考資料、そして参考資料1としましてPress Release 「保育所の状 況(平成21年4月1日)等について」、参考資料2としまして佐藤委員の提出資料で「機 能面に着目した保育所の環境・空間に係る研究事業」の研究結果の概要です。参考資料3 としまして柏女委員の提出資料で「少子化対策特別部会保育第一専門委員会における議論の 前提に関する意見」という1枚の資料、参考資料4としまして木原委員からご提出いただい た「保育第一専門委員会への提案」という資料、そして机上に基準の関係に関連しまして『保 育の友』等の資料を準備しております。もし不足等がありましたら、事務局の方にお声をか けていただければと思います。  以上でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。本日は、まず、先般発 表された保育所の状況等に関して、事務局より説明いただきたいと思います。  また、参考資料2と参考資料3について、佐藤委員、柏女委員から、それぞれ5分程度で 説明をお願いいたします。  それでは、事務局、佐藤委員、柏女委員の順に、よろしくお願いいたします。 ○今里保育課長  それでは、まず参考資料1「保育所の状況(平成21年4月1日)等について」につきま して、簡単に説明させていただきます。「Press Release」という資料でございますけれども、 これは昨日プレス・リリースしたものでございます。保育所の状況につきまして、最初のペ ージの枠に囲まれたところにございますように、この調査のサマリーを述べますと、保育所 定員は、この1年間で1万1,000人増加して213万2,000人という数になっています。ま た、保育所利用児童のうち、3歳未満児の割合は0.7%増加いたしまして21.7%となってお ります。それから保育所待機児童数は2年続けて増加し、2万5,384人という数になってい るところでございます。また、児童福祉法の規定によって保育の計画を立てなければいけな いということが義務づけられている市区町村、これは待機児童が50人以上いる市区町村に はこういった義務が付けられているところでありますけれども、これが昨年は84であった ものが17増えて101となったということでございます。  以下、簡単に内容を説明いたしますと、2ページでございますが、最初のグラフですが、 先ほど申しましたように、平成14年から平成21年までの棒グラフが2本と折れ線グラフ が1本ございますけれども、棒グラフは青色が定員数で、斜線が利用児童数、そしてピンク 色の折れ線グラフが保育所数でございます。これをご覧いただきますと毎年、着実にここの ところは整備が進んでいるということが見てとれるわけでございます。  下のグラフですが、赤色の折れ線グラフが「総利用率」で、0〜5歳のすべての児童に係 る利用率です。そして、3歳未満児に係る利用率が青色の折れ線グラフでございます。これ も、いずれも着実に伸びているところでございます。しかしながら、下の棒グラフで示され ている「保育所の待機児童数」につきましては、平成15年以来、減少を続けていたところ、 昨年は5年ぶりに増加に転じていたところでありますが、今年はさらに5,800人増というこ とで、2万5,384人というかなり高い水準になってしまったところでございます。  この保育所の定員の関係のことを幾つか、中に細かい資料がございますけれども、例えば 6ページの資料1をご覧ください。これは利用児童数が100人以上増加した地方自治体でご ざいます。例えば横浜市におきましては2,403人というように受入児童数(利用児童数)は非 常に増えているわけでございます。しかしながら、このことからわかりますように、供給量 は増えているものの、それを上回る需要の急激な伸びがあったということで、待機児童が横 浜市において非常に多く生じている。以下、川崎市その他の市区町村においても同じ事由で あると考えられるところでございます。  9ページは、これを地方別に見た表でございますけれども、右側に都道府県名とその都道 府県内の待機児童数。これは政令指定都市や中核市もそこに存在しているものについては中 に含んでいますけれども、そこで見ますと東京都が7,939人、神奈川県が3,245人、そして 宮城県、埼玉県、千葉県、大阪府、沖縄県で1,000人を越える形になっています。左側の地 図に落とし込んだものを見ていただきますと、やはり首都圏・近畿圏で多く、それに続いて 宮城県・沖縄県に待機児童が集中している状況が見てとれるということでございます。  10ページは、先ほど申しました50人以上の待機児童がいて、保育計画を策定しなければ いけない特定市区町村の一覧でございます。人口の多寡もございますので、一概に比較する ことは困難かと思いますけれども、単純に待機児童数を見ますと横浜市が1,290人、川崎市 が713人、仙台市が620人となっておりまして、以下101番目の滋賀県甲賀市の51人まで 続いている状況でございます。  また、右側に対前年増減というものがございまして、この前年増減に着目してまとめたも のが11ページの資料でございます。1の方は待機児童数が100人以上減少した市区町村で ございまして、仙台市は昨年740人の待機児童がいたわけでございますが、120人と大幅 に減少して620人という形になっています。他方、横浜市・世田谷区・板橋区・足立区は 500人あるいは二百数十人増加して待機児童数がそれぞれご覧の数になっているところで ございます。  資料については以上でございますけれども、この数字につきまして待機児童数の大幅な増 加の理由について、因果関係があるわけではございませんので、はっきりしたデータとして お示しできるものではありませんけれども、やはり今年これだけ急激に増えたことについて は、経済環境の変化による就労希望・就労者数の増と、それに伴う保育需要の急激な増大と いうものがあって、供給がどうしても追いつかなかったのではないかということが、例えば 市町村の担当の方から聴取した感じでも、一般的にいえるのではないかといわれております。 それに加えて、人口の集中・大規模な開発により、そこの地域で見たときに、保育をそれだ け供給することが困難であると状況が、特に大都市部において生じていることも指摘されて いるところでございます。  以上でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございます。それでは、佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員  私からは、参考資料として出させていただきました。以前、少子化対策特別部会でもこの 報告はしたと思いますが、昨年1年間かけまして「機能面に着目した保育所の環境・空間に 係る研究事業」の研究結果をまとめた概要とそれを基にして、今の最低基準では図れない子 どもの育ちを保障するためには、より科学的根拠に基づいた、もっと広い空間あるいは育ち を保障してあげる生活空間というものが必要なのだということを再度、この委員会での協議 に資していただきたいと思います。  併せて、今般私ども全国社会福祉協議会で出させていただいております『保育の友』で、 保育の質を考える上で、最低基準は子どもの育ちを保障していくための空間・環境であると いうこと、そして今以上に最低基準を高めていくことにもっていくことこそ、子どもたちの 生活を保障していくことであるという鼎談も載っておりますので、できれば参考にしていた だいて議論いただければと思っております。  以上でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございました。柏女委員は、まだご到着ではないようですので、お着きになり ましたところで、ご説明をお願いすることといたします。  それでは、議事に入りたいと思います。本日は事務局から、資料1-1および資料1-2の説 明をいただくとともに、参考資料4につきまして、木原委員からご説明をお願いしたいと思 います。  まず事務局から、よろしくお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、ご説明いたします。まず参考資料である資料1-2をお開きください。前半に第 1次報告の今回取り上げております関係部分を抜粋しておりまして、色を付けております箱 囲みの部分です。ここが今回主に取り上げる事項でございます。5ページ目までです。6ペ ージ以降は、現行でいういわゆる「保育に欠ける」要件の国における取扱いが6、7ページ にありまして、8ページ以降は実際の自治体における基準の状況です。これは昨年、少子化 対策特別部会でご議論いただいたときに提出したものと同じ資料ですが、参考に付けさせて いただいております。適宜、こちらも参考にしていただきながら、ご議論いただければと思 います。  それでは資料1-1の1ページ目ですけれども、今回取り上げますのは、大きく1の「保育 対象範囲について」と2「保育利用までの具体的流れ」ということで、手続きの流れについ て取り上げております。  まず、「保育の対象範囲について」ですけれども、1ページ目は第1次報告で関係する部 分を振り返ってみて、基本的な考え方を整理してみたものでございます。その一つ目ですが、 新たな制度体系全体が目指すものとしましては、「すべての子どもの健やかな育ちの支援」 を基本に置きましょうということ。さらに、国民が希望する結婚・出産・子育てが実現でき る社会にしていくことを目指していきましょうという整理をしています。  併せて、この新たな制度体系に必要な費用は、社会全体(国、地方公共団体、事業主、個 人)で重層的に支え合う仕組みとしていくことを確認していただいております。中でも、そ の新しい保育の仕組みの検討の前提としましても、良好な育成環境の保障を通じた「すべて の子どもの健やかな育ちの支援」が必要という整理をいただいています。  さらに、検討が必要となってくる背景を幾つか整理していただいている部分がありますが、 その中で今回は三つをピックアップしております。一つは「保育需要の飛躍的増大」です。 二つ目は「保育需要の深化・多様化」。その中には、例えば働き方の多様化や親支援の必要 性の高まり、すべての子育て家庭への支援の必要性などがあります。さらに三つ目として「地 域の保育機能の維持の必要性」といったことが改革の背景としてあるという整理をいただい ております。  2ページ目でございます。それらを踏まえて整理をいたしますと、まず一つ目として子ど もの健やかな育ちを社会全体で支援する観点から、一時預かりニーズ含みます保育ニーズに ついて、すべての子どもを念頭に置いた保障の在り方を考える必要があるであろうというこ とです。  その下の箱囲いは第1次報告の関連部分の抜粋ですので省略いたしまして、二つ目としま しては多様な働き方、すなわち短時間勤務の者の増加や夜間・休日等働き方の多様化が進ん でおります中、ライフステージを通じた安心した子育てという観点が重要になってきていま すので、そのような深化・多様化する保育需要に対応した柔軟な保育の保障といったことも 考えていく必要があるということです。  一方で、現行制度では認可保育所に関して需要が供給を上回っている市町村を中心としま して、市町村の条例で対象範囲を例えば週4日以上の就労と限っている所があり、また、運 用面でもフルタイム勤務者の子どもが優先され、短時間勤務者の子どもの利用が厳しくなっ ている傾向があるということでございます。その結果、通常保育をフルで利用できるか、あ るいは非常に限定された一時預かりなどのサービスを除いてはサービス保障がないという 現状を見直して、必要性に応じたサービスの利用が可能となるようにしていく必要があるの ではないか。そのように基本的考え方としてまとめてみたところでございます。  1枚おめくりいただきまして、具体的な保育の対象範囲についてということですが、基本 的には第1次報告で大体の整理はしていただいておりますので、その確認という側面が多分 にありますが、まず(1)の大きい要件がけが国の政令の基準で定められています。(1)は「昼 間労働することが常態」ということが現行の就労要件についてはそのような規定になってい ます。これについては、多様な就労形態に応じた保育ニーズに対応するという観点からは「昼 間労働」と「常態」という要件については見直しが必要であろうということです。  (2)の出産前後であるとか保護者の疾病などの要件につきましては、基本的に現行と同 様に保障していく必要があるだろうということです。  (6)は(1)〜(5)に類する状態として、例えば運用上の解釈で保護者が求職中や就学中の者は対 象になるという取扱いになっています。したがって、現行制度でも対象になっているのです が、実際には右側にありますように現実に利用が難しいという側面がありますので、そこが 可能になるようにしていく必要があるだろうということです。  もう一つのポツで少し細かい論点を挙げておりますが、上の子どもが保育所に入っていて、 下の子どもが生まれて育児休業に入った場合、今の取扱いは上の子どもが5歳(年長児)なら 引き続き保育所にいてもよいという取扱いになっているのですが、右側に書きましたが、そ の要件に該当しない場合、例えば3歳児で考えますと、いったん保育所を退所し、幼稚園に 通園した後、育児休業明けに再度保育所に申込みすることになる。かつ、再入所についても 保障がない状態ですので、その辺をどのように考えていくかという論点があるということで ございます。  一番下は、(1)のいずれかに該当し、かつ、同居親族等が保育できない場合が現在の取 扱いになっておりますが、第1次報告では、この要件については外していこうという整理を いただいているところでございます。  4ページ目ですけれども、第1次報告で今後の議論に送っているところの一つとして、保 護者が非就労である場合の障害児の取扱いをどうするかということがあります。これについ ては、次回以降にご議論いただければと思います。  専業主婦家庭など不定期あるいは一時的な利用の場合には、第1次報告では通常保育とい うよりも一時預かりとして対応していきましょうという整理をいただいているところです。 一時預かりでの保障を充実していくということです。  もう一つは、人口減少地域等で地域に幼稚園がないような場合についても、現在は保育所 でかなり預かっているという実情を踏まえてどうするかという論点ですが、これについては 保育第二専門委員会で給付メニューの多様化ということをご議論いただきますので、それら の議論を踏まえながら検討していく必要があると整理しています。  1枚おめくりいただいて、5ページ目は就労要件について三つほど留意事項を挙げており ます。一つ目は、新しい保育の仕組みでは多様な就労形態に応じた保育ニーズに対応するた めには、休日や早朝・夜間、短時間、不定期の就労についても保育を保障していこうという ことになると思います。この点に関しまして、現在は認可保育所の開所日数や開所時間、要 するに保育所が開いているところにうまくはまれば保育が保障されるという仕組みになっ ていますけれども、そこから外れると延長保育などになります。今回の新しい保育の仕組み では子どもに着目して、子どもごとに必要性に応じた保障をして、その量を保障していく仕 組みに変えていこうという提案をしています。そうしますと、休日や早朝・夜間など昼間の 時間帯から外れた場合のニーズにも対応しやすい仕組みとなることはいえるだろうと思い ます。ただ、仕組みとしてそのようなニーズに対応しやすくなっても、実際に休日や夜間に 対応するサービスがないといけませんので、そこのところのサービス基盤の確保は必要であ るということです。もう一つ、この多様な働き方に関連しまして、今後は保育需要の大幅な 拡大が見込まれているわけですが、その中でも子どもが小さいうちは短時間勤務から徐々に フルタイムに復帰していく傾向がございますので、ここの「短時間勤務等」のところが大幅 に拡大することが見込まれます。ここは現行制度では通常保育とは別に、特定保育・一時保 育といった給付メニューを活用しながら対応するという仕組みで基本的には認可保育所が そのような給付メニューを活用しながら対応することになっております。このように、現行 で必ずしも対応しきれていないところにつきましては、今後、利用者の意向を踏まえながら、 まずは認可保育所における対応の拡大を図っていく必要がありますし、それだけでは需要の 大きな拡大に対応しきれない部分があると思いますので、そこのところについては多様な給 付メニューを制度的にも考えていく必要があるだろうとしています。  二つ目は「求職中」「就学」についてということで、ここについては現行制度でも対象と なっていますが、育児が一段落して円滑に再就職していく、あるいは安心して就職活動して いくためには、ここのところの保育の保障は非常に重要でございます。したがって、しっか り保障していこうということですが、その際、一般の現に就労している場合と少し違う要素 として、保育の実施期間、スパンをどのようにするか等の具体的な仕組みを検討していく必 要があるのではないかとしています。  三つ目は、在宅就労や自営業、農林水産業等の多様な働き方に対応するために、ニーズに 応じた保育保障の仕組みを考える必要があるとしていますが。これは例えば参考資料1-2 の8ページの左上の横浜市の例などを見ていただければわかりますが、居宅外の労働と居宅 内の労働を分けて基準が設定されていて、居宅外の労働の方が1ランクずつ高く設定されて います。現行制度は供給量が非常に足りない中での取扱いなので、このような取扱いになっ ているかと思いますが、今後新しい保育の仕組みで供給量が十分になるという姿をつくって いくに際して、このように居宅外労働か在宅就労なのかということを分けて考えるべきなの かどうか、基本的には分けないで考えていった方が良いだろうという論点を提示していると ころでございます。以上が一つ目の固まりでございます。  続いて、二つ目のテーマであります6ページ以降の説明をいたします。こちらは保育の実 際の利用に至るまでの具体的な流れについて第1次報告に即して整理してみたものでござ います。箱囲みの中を見ていただきますと、まず一つ目の丸で、第1次報告における整理は、 まず法的な整理は以下のとおりにしてはどうかということで、保育の必要性・量および優先 性についての認定については市町村が行政責任として行う。その上で、市町村が公的責任を 果たす三者の枠組みの中で、当事者である利用者と保育所の間で公的保育契約を締結してい ただく仕組みに変えてはどうかというのが新しい保育の仕組みでございます。この趣旨は※ 印にありますように、受入保育所等の決定とは独立して必要性・量を判断することによって、 潜在化している需要を明確化していく仕組みにする必要があるのではないかという提案で ございます。  そのように法的な整理をした場合にも、実際の具体的な手続きの流れについては、よくよ く混乱がないように考える必要がありますので、次のような点を踏まえて考える必要がある のではないかということで、八つほど留意点・視点を整理しています。一つ目は、優先的に 利用を確保されるべき子どもに対して、しっかりと保育の確保をする必要があるだろうとい う視点です。二つ目は、虐待事例などで保護者の自発的な利用申込が期待できない場合に対 して配慮する必要があるだろうということ。三つ目は、受け入れの決定(選考)です。選考の 段階で公平・公正さが確保されるような流れにしておく必要があるということ。四つ目は、 当事者同士の契約のときに、利用者の手続負担が増加するのではないか、大変になってしま うのではないかという問題提起がありまして、そういったことに対する配慮が必要というこ と。五つ目は、育児休業明けから保育の利用が連続性を持ってスムーズにいくようにすると いう視点。六つ目は、保育を必要とするすべての子どもに対して利用が保障されるような配 慮が必要ということ。七つ目は就業開始の一定期間前に、利用保育所が判明するように、あ る程度予測可能性を持たせる。そのような配慮が要るのではないか。最後のところは、一方 で緊急で保育が必要になる場合もありますので、その利用保障も併せて考える必要がある。 このように八つぐらい書きましたが、そういう視点を踏まえながら手続きの流れを考えてい くということです。  7ページ以降で少し具体的に見ておりますが、(2)の最初のところは、大体の流れとしま して五つぐらいの段階があるだろうということで、一つ目の段階は利用者が市町村に利用の 申請をする段階。二つ目は、市町村が認定をする段階。三つ目は、認定を受けた利用者が保 育所に申込みをする段階。四つ目は、保育所が受け入れを決定する段階。最後は、公的保育 契約を当事者同士で結ぶ段階。それぞれの段階ごとに少し詳しく論点を挙げております。  一つ目の認定の申請をする段階ですが、まずは市町村が二つのことをやる必要があるだろ うということで、保育の仕組み、あるいは地域にどのような保育所があって、どのようなサ ービスメニューを提供しているか、延長保育、休日保育など、そういった基本的な情報を利 用者側に対して情報提供する必要があるだろうと。さらにもう一つ言えば、もう少し相談支 援的に、支援をしてあげる必要がある人に対しては認定の申請や保育所の申込みに関して相 談を受けて支援をしてあげる。そのような役割が市町村にはあるだろうということです。  二つ目は、虐待事例などで保護者が自発的に申込みをしないような場合、期待できないよ うなケースについては、児童相談所などの関係機関と連携の上で、市町村が責任を持って利 用支援をして、保育の保障につなげていくといったことが必要で、場合によって、重いケー スについては児童養護施設の措置等につなげるということです。  三つ目は、認定を申請するに際しては、しっかりと要件に該当しているかどうかを確認で きるような就労証明書などの提出を求めることが必要ということ。  次に8ページ目です。二つ目の市町村が認定する段階についてです。まず、保育対象範囲 を何らかの制度的に決めたものに基づいて、市町村で必要性、量、優先性を認定する。第1 次報告では、この優先性については虐待ケースやひとり親家庭といった範囲で、後は「など」 ということになっていました。実際に動かし方、仕組みについても今後の検討に委ねられて おりますので、これらについては次回以降に検討していただければと思います。  二つ目は、その認定に際しての保育料の負担区分。例えば、どのような負担の仕組みにす るにせよ、低所得者に対する配慮は必要になってくるかと思いますので、低所得者の区分に 該当するなど、そういったところも併せて決定しておく方がよいということです。  三つ目は、認定後は、法的な整理でいきますと、当事者同士での契約に移ってまいります ので、市町村側で放っておいても、認定した子どもが利用しているのかどうかがわかるよう な状態にはなりませんので、わかるようにきちんと状況を把握しましょうということです。 括弧書きにありますように、実際に保育の利用に至ったか、優先すべき子どもの利用がきち んと確保されているかどうかといったことを把握して、さらにその上で待機の状況を保育所 ごとにどこが空いていて、どこが埋まっているかといった情報の開示をするということです。  最後のところは、定期的な就労の状況の確認が必要である、あるいは事情が変わったら利 用者側からの申し出をしていただくなど、そのような仕組みを考える必要があるということ です。  1枚おめくりいただいて9ページ目は三つ目の段階で、認定を受けた利用者が保育所等に 申込みをする段階です。まずは考慮事項を四つほど書いてあります。一つ目は、育児休業明 けなどである程度事前に利用が予測できる場合と、そうではなく今すぐに働き始めたい、あ るいは引っ越してきたなど、随時保育が必要になる場合は少し状況が違いますので、それに 応じた対応が必要だということです。二つ目は、育児休業終了時や就労開始するときなどに、 スムーズに利用ができるようにしておく必要があるということと、ある程度予測可能性を確 保する必要があるということです。三つ目は、利用者の負担があまり重くならないように配 慮する必要があるということ。四つ目は、虐待の事例、障害児の事例、ひとり親家庭の場合、 保護者が障害者の場合など、いろいろな個別事情で利用支援が必要になってくる場合。ある いは、休日や夜間の就労者で、その受け皿が比較的に限られるような場合の利用支援といっ たことも考える必要があるということです。  もう一つ書いてありますのは、供給が十分でない場合と、既に供給が十分になっている場 合を少し分けて考えた方が考えやすいということです。どちらかというと、今はまだ都市部 を中心に待機児童がいる状況ですので、その局面の段階とある程度完成した段階で十分な供 給量がある場合。既に地域によってはそういう地域もあるわけですが、それらを少し分けて 考える必要あるということです。  一つ目の論点として、保育所が決まる時期についてです。これは需給バランスが取れてい るか取れていないか、いずれのケースについても当てはまると思いますが、事前に保育が必 要となることが予測できる場合の対応としましては、保育所を利用できることがわかること が就職や職場復帰への重要なポイントになりますので、できるだけ早い時期に利用保育所が 決まるようにした方がよいのではないかと問題提起をしております。これは今、例えば4 月入所であれば、年度末の押し迫った時期に決まることになっていますので、それをもう少 し早くした方がよいのではないかという問題提起です。例えば、4月から保育の利用を希望 する場合は、全部決めてしまうわけにはいきませんが前年の12月末までに保育の利用が一 定程度判明するような日程組みを考える、あるいは育児休業期間の終了時期との関係で、本 来であれば年度途中から保育所に入れれば育児休業をしっかりと1年取ってという希望が ある場合が多いかと思います。今はどちらかというと、保育所が4月でないと入れないので、 育児休業を早く切り上げるケースが多く見られるわけですが、そうではなく年度途中から保 育所を希望するような場合には利用の予約制のようなものを導入することを考えたらどう かという問題提起です。  一方で同居親族の介護が必要になった、あるいは今働き始めたいなど、そのように随時保 育が必要になる場合もありますので、その都度、保育の利用開始が可能にしておく必要もあ るだろうということです。  次に10ページです。次は場合分けをして、供給量が十分でない場合の話を少し書いてお ります。新しい保育の仕組みの提案でいきますと、認定を受けた後は、利用者が保育所に利 用を申し込むわけですけれども、仮に全く市町村が関与しない場合を考えますと次のような 事態が想定されるということです。まずは、利用者としては希望する保育所を探す必要があ りますが、探した上で直接申し込む。ところが申し込んだ保育所に希望が殺到していて入れ なかった場合は、また利用者はあらためて次の保育所を探す。まだ空いている保育所を探し て申し込むことになります。また、駄目ですということになってしまった場合には、同様な 手続きを繰り返すということで、手続きが煩雑になるという問題があります。矢印のところ に書いてありますとおり、現在は複数の希望を書いた申請書類を市町村に提出して、市町村 が基本的には結果すべてを決めてくれる。この結果は入れない場合も含んで決めてくれると いうことですけれども、いずれにしてもワンストップサービスになっているわけですが、こ の点では市町村が全く関与しない新しい仕組みにしてしまうと、利用者にとって手続きが煩 雑になる側面があるという問題です。  これについて11ページ目で、それに対する手続負担の解消策としまして、イメージ例を 二つご提案させていただいております。一つ目の例としましては、利用者が第1希望の保育 所に申し込む際に申請書類には第2希望以下のことも書いて申請していただく。この場合は 第1希望をたくさん出されてしまうと収拾が付かなくなってしまいますので、どこか1箇所 に決めて出してもらうということです。その結果、第1希望の利用ができることになれば、 利用者と保育所の間で、公的保育契約を締結していただいて、その際にこの子どもは私ども で受け入れることになりましたという旨を、保育所から市町村に報告してもらいます。第1 希望の保育所が利用できないということになりましたら、それは保育所から市町村に、最初 に出してもらった申請書類を転送していただいて、各保育所から同じような情報が来ますの で、その上で市町村が全体の状況を勘案して、利用者に第2希望以降の保育所等を斡旋する。 斡旋を受けて利用者と保育所の間で公的保育契約を締結する。このようにすれば、利用者側 の手続負担はかなり軽減されるのではないかというイメージです。  もう一つのイメージ例2は、非常に待機児童が多いようなケースはもう少し完全にしてお いた方がよいのではないかという問題意識で書いてありますが、利用者が優先順位を付した 複数希望の保育所を記載した申請書類を市町村、あるいは市町村が関与した連絡協議会のよ うなものに申し込む。申込みを受けたら市町村などは、申込み状況と域内の各保育所の定員 充足状況を勘案して、どこを利用してくださいと斡旋する。斡旋を受けて利用者と保育所の 間で公的保育契約を締結していただく。流れとしてはイメージ例2の方は、現行制度とかな り似通ってくるかと思います。  これは供給量が足りない場合の対応策についてですが、その一方で12ページ目は供給量 が十分な場合です。供給量が十分であれば次のような仕組みで対応できるだろうということ で、第一には、利用者が希望する保育所を検討して直接申し込んで、スムーズに公的保育契 約の締結に至るということが原則型だと思います。地域全体では供給量が十分だという場合 でも、保育所をミクロで見ますと、保育所ごとには場合によって、希望者が定員を上回るこ とも想定されます。その場合は、先ほどの11ページのイメージ例1のような対応を取れば、 第2希望、第3希望の保育所を探すという手続きの煩雑さは避けられるであろうと。そのよ うな組み合わせも考えられますということです。  次の論点は、虐待の事例やさまざまな個別事例で利用支援が必要な場合と、休日・夜間な どで利用支援が必要な場合についての論点です。これらは供給量が十分かどうかにかかわら ず、いずれのケースについても検討しておくことが必要な論点だと思います。  一つ目の丸は、虐待事例やひとり親家庭の場合は、市町村は優先的に利用確保されるべき 子どもとして「優先性」を認定するということになります。そのような場合に、単なる「優 先性」の認定にとどまらず、例えば市町村がそのような子どもに利用する保育所を斡旋する など、きめ細かく利用支援してあげるなど、そのようなことを検討しておく必要があるので はないかというのが一つ目です。  二つ目は、もう少し行政の関与の強さが求められるようなケースだと思いますが、虐待事 例などで保護者が自発的に利用申込みをしないような場合です。そのような場合には、市町 村が認定の手続きと併せて、例えば斡旋する、勧奨するなど、保育の利用支援。もう少し行 政の強い介入の仕組みが要るのではないか、検討が要るのではないかということです。  三つ目は、その他のいろいろな事情で、受け入れ体制が十分ではないということです。例 えば障害児の保育所がなかなか決まらない、実際の利用に結び付きにくいというようなケー スがあった場合に、利用支援の必要性に応じて、やはり市町村が利用支援をしてあげる仕組 みを検討する必要があるのではないかということです。  四つ目は、保護者側が休日や早朝・夜間の就労者である場合に、そのニーズに対応できる 受け皿というのは、すべての保育所で対応できるということにはなりませんので、現実には その受け皿は限られる可能性があります。その場合に、やはりミクロで見ますと、休日保育 をやっている保育所は限られているために、希望が定員を上回る場合もあり得ますので、や はり一定程度の利用支援が必要になる可能性もあるだろう。そのときの対応を考えておく必 要があるということです。  その下の論点は、今回は必要なすべての子どもに対して保育を保障していきましょうとい うことと、その裏返しとして市町村の公的責任として、質の確保された公的保育の提供体制 を確保する。そのような責務を課していくということが第1次報告でまとめられていますが、 その責務の一環として、仮に希望する保育サービスが当座はないという場合、その開始まで の間、市町村は多様なサービスメニューの中から、その間の対応について、補完利用ができ るようにする必要があるのではないかという論点です。ここは供給量が十分か否かにかかわ らず、どちらのケースについてもこの問題はあろうかと思います。  最後の13ページです。四つ目の保育所の受入れ決定の段階についてです。まず一つ目は、 保育所は虐待事例などで優先受入義務があるケースについては、まずその子どもの受入れを していただいて、残ったところで選考するということになりますが、希望者が定員を上回っ ている場合については、あらかじめ受入れ決定の客観的基準を定めておいて、実際に受入れ たら、その受入れ結果もその基準に則ってきちんと受入れたということを公表するような仕 組みが要るのではないか。こうすることによって、受入れ決定の公平さ・公正さを担保する ことが必要だということです。  二つ目は、受入れ体制が限られる休日・早朝・夜間のニーズに対応する部分ですけれども、 こちらを例えば休日保育で考えますと、休日保育をやっている保育所に、必ずしも休日の利 用が必要でない子どもの申込みがあった場合に、休日保育をやっている所でないと困ってし まう子どもと同列に並べてしまうと、休日保育が必要な子どもは行き場がどこもなくなって しまうことも考えられますので、そういったことがないように、適切にそういった子どもが 受入れられるような受入れ決定の仕組みが要るのではないかということです。  三つ目は、きょうだいの場合ですけれども、こちらは保育所の方できょうだい一緒に入れ るということを優先して受入れることは公正な受入れ決定といえるのではないかというこ とで論点を提示しております。  最後に公的保育契約締結の段階ですけれども、市町村による公的関与の一つとして、契約 内容を記載した契約書のひな形を市町村が作成する。そのような支援が考えられるというこ とが一つです。  二つ目は、実際に公的保育契約が適正に履行されているのかどうか。これは利用者側と保 育所側の両方に市町村が指導・助言するということが考えられます。  三つ目は、実際に保育の利用に結び付いているのかどうか。そういったことを市町村が把 握するために、保育所は利用者と公的保育契約を締結した後に、市町村にその旨を報告する 仕組みを用意しておく必要があるということです。  資料の説明は以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございました。それでは、木原委員から参考資料4についてご説明をお願いい たします。 ○木原委員  それでは、今の朝川少子化対策企画室長のお話に沿いながら。全国私立保育園連盟で議論 したことについてまとめさせていただきました。ここですべて細かくご説明すると相当な時 間がかかりますので、要点だけ申し上げたいと思います。基本的な考え方としまして、私た ちは第1次報告を第1ステージと位置付けていました。さらに第2ステージに向けて議論が 今始まっているわけですので、できる限り第1ステージを踏まえながら、さらに建設的に議 論をしていきたいと思っています。  まず、「具体的な検討にあたって」について、(1)はそのような意味です。それから、二つ 目は、保育・子育て機能の拡大です。これは今、朝川少子化対策企画室長がおっしゃったと おりで、保育所が家庭養育に欠けるという限定的な課題では既に済まないような状態になっ ているだろうという認識です。ですから、すべての子どもたち、すべての家庭を社会的に支 えていかなければいけない。そのような仕組みが要るだろうという認識です。三つ目は、い ずれにしても子どもの育ちの視点を制度の中心に据えていくような仕組みを作っていかな ければいけないということです。  次のページです。制度設計に関しましては、重要なファクターと考えられるところとして、 (4)に4点挙げさせていただいております。一つ目は、提供者と利用者である保護者は経済 的関係ではとらえられない相互性があり、市場でいわれる売買契約関係ではないことを明確 に意識した仕組みにする必要があるだろうと。これは第1次報告にあったことをベースにし ながら、私たちでまとめさせてもらったものです。二つ目は、人口減少地域の保育機能の維 持向上は制度的工夫が要るだろうということです。ですから、小規模保育所なり、多機能型 保育所などの運営基盤を確保することが必要だろうということです。三つ目は、保育や子育 て支援は生活圏で提供されるべきだと思います。ですから、できればといいますか、保育園 とはそもそも地域の施設ですから、小規模地域密着型の保育が運営できるようなことを政府 としては施行するべきではないかということ。四つ目は、これらに対応するためにも、いず れにしても保育の質の向上を目指す必要があります。最低基準も随分と指摘がありますし、 今非常に定数、あるいは広さにしても、まだまだ乏しいものがたくさんありますので、併せ て制度改革とともに職員処遇改善等を含めて並行して、保育の質を高めるための条件づくり を考えていく必要があるという論点です。  次の(5)は、飛躍的に保育の受け皿を増やさなければいけないわけです。基本的には民間 保育所は社会福祉法人、非営利法人を中心にしていかなければならないと思いますが、質の 担保を前提にして認可基準という認可保育所の基準をクリアした場合には、今でも多様な参 入が認められているわけですが、質の担保を前提に促すことも必要であろうということ。そ のためには、これらすべてを含めて大幅な財源が不可欠であるということについては、あら ためて確認しておかなければいけないのではないかと思っております。  次のページ以降は、第1次報告の後、先ほど朝川少子化対策企画室長がいろいろと説明し ていただいたものとほぼ同じような、細かいところでまだ議論が必要かもしれませんけれど も、基本的な仕組み等については大体そのとおりでよいのではないかと。ただ、微調整は要 るかもしれませんがということです。  その次のページの「判断基準の設定」の中で、私たちが考えていますのは(2)です。類型 としては大体全日(8時間、休日含む)、あるいは定期的な短時間、一時保育、短時間、随時 など、そのように整理されますので、例えば「定型保育」「非定型保育」、「随時型保育」と いう三つぐらいの分類でよいのではないかと思っております。ですから、このような形での 制度設計で、あまり複雑になってくると非常にややこしく、認定も非常にややこしくなると 思いますので、おおむねこれぐらいでよいのではないかと思っております。  次のページですが、「判断基準の内容」の「保育対象範囲」です。これもおおむね先ほど おっしゃっていただいたものと同じようなことです。これも細かいところではまた議論して いきたいと思っております。  その次のページです。4)の「保障の上限量」につきましても、(2)で主に3区分と先ほど 申しましたが、定型というのは大体このような時間かということで、これもこれから議論を していただけたらよいと思いますが、「定型保育」は8〜10時間プラス通勤時間。月単位で 設定するということ。「非定型保育」では一時保育あるいは休日保育、それから月で80時 間ぐらいかという感じです。三つ目の「随時型保育」では、子育て相談も含めて、保育所体 験や病児保育等で、一時的利用が月16時間以内ぐらいかという感じです。そのような具体 的な設計については、もっと議論を詰めていかなければならないと思っております。  ※印の中で特に私たちが重要だと思っているのは、※印の二つ目です。「定型、長時間、 休日」の保育等に関しては、先ほど重層的な負担と言いましたが、企業負担ということも当 然法制化してはどうかと考えています。保育そのものは当然企業にも貢献していくわけです が、特に長時間あるいは休日などは、まさに企業にとっての直接のメリットということもあ るわけですので、これは重層的にというようなことも含めて、企業負担がよいのではないか ということです。  その次の※印は、就労時間のみで保育時間を判断するのではなく、やはり利用者の希望も 当然意思を考慮しつつ、特に幼児は子どもの生活の連続性の配慮が必要だと思っております。 これは就労時間だけでなくて、子どもの生活時間ということも配慮していくべきだろうと思 っておりますし、「子どもの生活の連続性と集団生活保障」という視点で、保育を受ける地 位を保障されるようにと思っております。  次のページは、優先的に配慮されるべき人たちということです。この(3)は、定員が充足し た後の優先入所です。私たちは12月ぐらいを目途にしているわけですが、その後も優先の 方が当然出てくるわけです。その場合は、新たに定員外の緊急枠等を設けないと、多分受け られないわけです。物理的に受けられなくなってしまうので、そういった配慮が要るのでは ないかと思っております。  その次のページは、「保育に欠ける」という用語の見直しという点です。これは先ほど申 しましたように、今の時代は家庭養育に欠けるという意味だけではとらえきれない実態だと 思っております。ですから、すべての家庭の子どもに対して育児・子育て支援、あるいは集 団保育の保障というようなことが社会的に求められているだろうと思っております。ですか ら、保育を必要としていると用語を見直してもよいだろうと思っております。ただし、「欠 ける」という子どもたちも含めて「必要とする」という表現がふさわしいのではないかと思 っています。  その次は10ページの2の「保育の提供の仕組み」ですが、これも第1次報告をほぼ踏ま えています。ほとんど先ほどのご説明と変わらないと思っています。  それから、次の11ページの「利用保障の仕組み-(2)」です。私たちは保育を必要とする 子どもたちの公的保育を保障するための実施責務を果たすための「提供体制確保」を、市町 村に対して法的に義務化されるという意味については大きいと思っています。そのようにな ってきますと、児童福祉法24条の但し書きは削除されてくるだろうと思います。その義務 化規定をこの児童福祉法24条で全部消してしまうのではなくて、当然「保育の質」を担保 した上で保証するという、そのような構想の条文が必要になってくるだろうと思っています。 以下についてはそれぞれ法整備が必要だろうと。国のレベルあるいは地方自治体でというこ とであります。  次のページの(2)の(2)です。先ほども、需要が供給を上回っている地域、特にそのよう なところについては利用調整が要るだろうということで、私どもは選考委員会ですが、先ほ どイメージ例2に書いていただいています。あのようなことで利用者支援というのは必要に なってくるだろうと思います。ですから、そのようなことについて配慮した仕組みにしてい くべきではないかと思います。  次のページは、保育料の話であります。保育料負担その他についての免除規定等です。そ のような点についてもこれから議論していかなければいけないという課題を出しています。  2番目は、保育料の支払先です。これは「市町村とする」と私どもは思っています。ただ し、施設が当然徴収代行をしてもよいのですが、法的な性質としては市町村に徴収義務があ ると思っています。そのようなことを考えています。  次のページです。公的契約の具体的なイメージ図としては、このようにしています。一つ 目の丸がこの下の三角のようなことになってきますけれど、第三者を含めたコーディネート の仕組みということで、具体的には(2)で入所選考委員会の設置ですが、このようなことをし て、第三者を含めたコーディネーターによって編成していくということが、非常に利用者に とってはよいのではないかと思っています。具体的な公的契約のイメージとしてありますの が、このトライアングルの図であります。これも、それぞれがそれぞれ書面で契約関係にあ るという、別にそういう意味ではございません。特に先ほど来、利用者と保育所が向き合っ た関係でということで、直接入所申込みして契約するという、利用者と保育所については保 育実施契約、これは書面があってよいと思います。申し訳ありません。これは保育費になっ ていますが「保育料」の負担です。これについては、納入する義務をここで別段書面でする 必要はないわけでありますが、現行のような形でもよいのです。それから、市町村と保育所 についても「保育提供契約」となっていますけれども、これも文書で契約するわけではなく て、現行のように保育費を支払うということでよいと思うわけであります。  それから、一番の問題として挙がっていますのは、利用者と保育所が、先ほど冒頭に申し ましたように、市場でいわれる売買契約関係という意味ではないということで、私どもの整 理の仕方としては、契約の中身は社会的契約と経済的契約があると考えています。経済的契 約は市町村と結ぶということを法的に位置付けてほしい。利用者と保育所は当然、保育の実 際の契約は要ると私は思っていますから、実際に保育園でも親に対していろいろな約束事、 親からの希望がありますので、そのようなことについては契約を成立させればよいのではな いかと思っています。そのような表であります。  その次のページは、保育料徴収、あるいは受付、入所等のそれぞれの事務の負担について、 ちょうど時期的には繁忙な時期に重なってきますので、今の社会福祉施設の中で、事務職員 の常勤がいないのは本県だけでありますので、できれば保育所に正規の事務職員がほしいと いうことです。少しかいつまんでなのですが、以上のようなことですので、よろしくどうぞ、 議論していただきたいと思います。 ○大日向委員長  ありがとうございました。本日の議事に関した資料説明ということで事務局、それから木 原委員より一括してご説明をいただきました。なお、先ほど柏女委員が到着されております。 柏女委員に関しましては、冒頭、事務局よりご紹介がありましたが、どうぞよろしくお願い いたします。それでは、柏女委員からも参考資料3をご提出いただいておりますので、5分 ほどでご説明をお願いいたします。 ○柏女委員  今回から保育第一委員会に出席させていただきます淑徳大学の柏女と申します。どうぞよ ろしくお願いいたします。  発言の機会を与えていただきましてありがとうございました。前回、8月5日の第1回に 出席できず、前回は幅広い論点の提議についてご議論があったということを伺っております。 私自身も、この第一委員会で、それぞれ深くかかわってはくるわけですけれども、この第一 委員会がかなり実務的な検討になるということで、少し本質的な議論について幾つかの提示 をさせていただきたいと思ってペーパーを用意させていただきました。ここに5点を提示さ せていただいております。できますならば、少子化対策特別部会の本会等で少し議論をして いただくことができれば幸いと思っております。  まず第1番は「財源の議論について」ということであります。財源の確保についてはかな り議論がなされておりましたけれども、ここでは財源の構造についても改善すべき議論が必 要ではないかということを考えております。この3行目にありますように、ワークライフバ ランスと保育サービスは基本的に裏腹の関係にあります。この両者の財源は、前者が事業主 の拠出金、後者が税に主として依存しているために、両施策の縮小均衡が続いているという 現状がございます。これを改善していく、財源構造にメスを入れていくことが、子育て支援 施策全体を進展させていくためには必要と考えます。  2点目は、「幼児教育の無償化に関する議論」です。文部科学省の研究会が幼児教育の無 償化に関する中間報告を取りまとめております。私も参加しておりました。この中で、民間 保育所における無償化の年齢範囲、あるいは認可外保育所をどうするのかといったことにつ いては厚生労働省で議論するということで、こちらにボールが投げられております。そうい う意味では、そこでの議論が必要ではないかと思いました。  3番目が、今日の議論とも深くかかわってくることでありますが「公的保育を受ける地位 の考え方に関する議論」ですけれども、これはかなり本質的な議論、つまり子育ては誰が行 うのかという本質的な議論にかかわるものだと認識しています。虐待などの例がございまし たけれども、「公的保育を受ける地位」というのは、先ほど権利という説明がございました が、権利であると同時に義務だともとらえられます。したがいまして、この義務を行使しな い場合の対応、あるいは行使する必要がなくなった場合の返上等についての議論も必要では ないかと思います。  次は4点目になります。子育て支援コーディネーターの議論が、第1次報告でございまし た。石川県においては、マイ保育園事業の一環として、子育て支援プランを作成するという 事業を実施して成果を上げております。高齢者、障害者福祉に計画作成が浸透している現在、 子ども施策についてもケア・マネジメントの手法を考えていくことが必要ではないかと思い ました。その際、すべての子どもに一定の保育時間を保障する基本保育の視点が必要ではな いかと思います。  5番目が、「保育士養成制度に関する議論」です。保育第一専門委員会の所管で保育の質 の向上を図るということが挙げられておりましたけれども、その中の中心的なテーマである 保育士養成制度の問題は、別途多くの時間を割く必要がございますので、これは専門委員会 で議論するとともに、別途の委員会を早めに立ち上げて、保育士養成のための国家資格のあ り方、あるいは養成カリキュラムのあり方等については、別途議論を並行的に進めていく必 要があるのではないかということで、以上、5点の意見を申し述べさせていただきました。 ありがとうございました。 ○大日向委員長  ありがとうございました。それでは、ここから本日は18時までの予定でございますが、 意見交換の時間に入りたいと思います。本日は、「保育の必要性の判断〜公的保育契約」と いうことですが、お手元に資料1-1をもう一度ご用意いただければと思います。  保育の必要性の判断ということではございますが、先ほど事務局の説明で、一つは保育対 象範囲、それから二つ目が具体的な利用までの流れと分けて、わかりやすく説明いただいた と思いますので、まずは保育対象範囲に関しまして、特に3ページ、4ページ、5ページ辺 りに論点を示していただいておりますので、その辺りからご意見をいただければと思います。 どなたからでも、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、高橋委員。 ○高橋委員  日本保育協会の高橋でございます。今、委員長からありましたように、そのことに関する こと、それから前段で少し事例も含めてご紹介、それから意見なり質問を幾つか申し上げた いと思います。  まず、私は広島県の福山市という所からでございます。福山市は、保育園に対して希望す る方が全員入れるようにということで、市長の「全員入所」という理念の下で行っておりま す。人口は約47万都市でございますけれども、一般会計が1,590億円のうち、保育予算に 120億円を掛けております。公立保育所が76か所で、私立が54か所。そして事業的には、 特定保育は公立が4か所、私立の方で4か所。一時保育は、ほとんどの保育園で行っており ます。休日保育は、公立保育所を中心とした応援センターが1か所と法人が数か所。民間の 夜間保育所が2か所。病児保育は病院の連携で4か所。それから、家庭保育福祉員という、 厚生労働省が昨年出しましたようなものを昔から制度的でやっておりますものと、それから 登録者が、例えば保育園の送り迎えや休日のサポートなどを行っているファミリー・サポー ト・センターを持っております。そのような状況の中で、ある一定の自治体の積極的な意思 によっては、ある程度以上のものはできるのではないかと思っているのが原則でございます。 なぜかといいますと、先ほど待機児童のご説明がありましたけれども、福山市がちょうど載 っていたのですが、昨年に比べて100人以上増加した自治体の中で福山市は225人増えて おりますけれども、待機児童がいないということになっております。そのような状況の中で、 先ほど事務局から説明があったことで、こうあるべきではないかということも含めて幾つか 申し上げさせていただきます。  まず、短時間勤務の増加が増えるであろう、また多様な働き方への保育保障も必要であろ うということであります。ここのところは、今、特定保育というのは非常にある意味、どち らかというと中途半端といったら申し訳ないのですけれども、そのような格好ですので、通 常保育と、それから一時預かりの部分をもっと充実させていくべきではないかという気がい たしております。その中で、一番ここは自治体の方がむしろ大変だと思うところは、保育の 必要性と量および優先性の認定を自治体がするわけですけれども、量について今まで自治体 は、そこまで実はしてこなかったように思うわけです。これを自治体の方が、量を今度認定 するということは、ある意味とても大きな問題をはらむ。一つは、具体的に申しますと、最 低保障ならまだしも上限量を決めることの判断は、保護者や利用者の間の中で、例えば就学 前、4歳、5歳、もっというと、3歳、4歳、5歳というところの中で、もし短時間の判定を された場合に、利用者が果たしてそれで納得されるかどうかというのは非常に大きな問題に なるのではないか。自治体が判定される場合に。私は自治体の人間ではありませんから、現 場の人間ですからよくわかりませんけれども、ある意味少し心配をしてしまうというところ が一つございます。その量の判定というのは非常に難しいのではないかというのが一つあり ます。  それから、あちこちいろいろなコンテンツの所に飛んで恐縮ですけれども。育児休業明け の利用の確保ということで、育児休業がこれだけ普及しておりますと、やはり育児休業、も しくは産前産後休暇明け、育児休業明けの入所の枠が確保できているということは、非常に 利用者にとっては安心感がある制度・施策になると思います。福山市は既に産前産後休暇・ 育児休業明けの予約制度というものを設けておりまして、そこは確実に枠が確保できるよう な施策を組んでおります。しかし、保育現場の方は、例えば12月から予約が入るとすると、 それまでは保育現場は枠だけ取っておいて運営費が入らないわけですけれども、しかしそれ も現場も、やはり利用者サイドの利便性を理解しながら、そこはきちんと産前産後休暇・育 児休業の予約制度は既に行っているという現実はあります。  それから、公平公正な選考ということで、保育園側が入所決定をするという原則になった とするのであれば、問題は年度中途の場合はまだ何とかなるとは思いますが、4月1日の入 所の判断が、果たして本当に現場の方で可能かどうかというのは非常に不安でございます。 もう一つは、12月の時点でもう決めたらどうかという話もありましたけれども、もう一つ 問題は、継続児童の問題はどうしていくのかというところはやはりきちんと議論しておかな いと、保育の連続性を考えても、継続児童をいったんそこで切ってしまうのかというところ の問題をどうするのかというところです。  最後にもう一つ。市町村と保育所と利用者の三者の関係ということでございます。先ほど も少し全国私立保育園連盟さんからもありましたが、児童福祉法第24条の関係で、今は市 町村と保育園の関係は委託・受託という関係になっておりますけれども、これは、保育の保 障認定証を与えることによって、その委託・受託の解釈というのは恐らくなくなってくるの だろうと。しかしながら、公的保育契約という定義の中で、市町村と保育園の関係はどのよ うな位置付けになるのか。そこが恐らく現場の人間は一番不安に思っている一つではあると ころだと思います。少し長くなりましたけれど、少し思い付いた部分も含めて、意見とそれ から質問を併せてさせていただきたいと思います。以上でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございます。それでは、飯塚委員。 ○飯塚委員  市町村に対しての非常にいろいろと貴重なご意見をいただいたということで、私がどこま で答えられるかわかりませんけれども、少し同じような思いもございますので、一つずつ、 回答といった形かどうかはわかりませんけれども、少しお答えしたいと思います。  保育料の部分の算定については、確かにご指摘のとおり、今までやってこなかった分野で ございまして、これから私どもでやっていかなければいけないところなのですが、実は今回、 市町村の次世代育成支援後期行動計画を平成22年度から5年間ということで、策定が各市 町村に義務付けられているのです。その前段として、目標ニーズ量を設定しなければいけな いことになっています。前回もやったのですかね、私は前回児童福祉をやっていないので前 回の細かいことがわからなくて申し訳ないのですけれど。今回については、保育のニーズ量、 一時保育などを含めて、これはきちんと出して、それを公表することが義務付けられていま すので、私どもは今、本当はもう少し早い段階で国の方に出さなければならなかったかもし れないのですけれど、私どもの町では今、一生懸命作っている状況でございます。多分この 試金石に、今後は市町村でそのようなニーズ量をうまく決定していきなさいということにな るかと思っているところでございます。  あと、この(1)でいいますと、中間労働や常態という要件を削除する部分についてですけれ ども、私どもとしても、基本的に外すことについては吝かではないと考えているのですけれ ども、大体どこの市町村でも、おおむね現行の制度ですと、この常態という定義を時間的な 部分で換算すると4時間以上働いている方について欠ける要件として認定されているよう です。横浜市などを拝見させていただいても、そのような感じのようです。これは、どうし ても一定の線引きをするということになると、では30分でもよいのか、1時間でもよいの かという細かい議論ですけれど、どうしても出てしまうのかと。その辺の基準をある程度決 めておく。要件は外したとしても、では、どこの基準でやるのかというのがやはり現場とす れば、30分でも働いていることに変わりはないとゴリ押しされたときに、どこまで反論で きるか、あるいは受け入れるのかというところは、一つ課題としてあるのだろうと思いまし た。  あと、産前産後休暇・育児休業の予約制度のお話も出たのですけれども、これも私どもで も議論をしているのです。現場でやっていて、なかなか踏み込めない一つの理由としては、 実際に何か月か先の部分を予約するということになると、例えば、転入などでフルタイムで 来られた方については、実際そのような制度がないわけですよね。そのような方で、9月・ 10月に引っ越されて、すぐ預けて働きたいという緊急性と、産前産後休暇では、産前産後 休暇の方が本当に優先度が高いのかというのは恐らく議論としてあるのだろうと。産前産後 休暇だけが特別扱いという言い方は変ですけれども、やはり逆に不公平感を生む可能性もは らんでいるのかと少し感じているところでございます。  あと、継続の児童の話は、まさしく私が申し上げたかったことです。多分どこの市町村で もそうだと思いますけれど、私どもの町でも、継続児童と新規の児童は分けて選考している のです。まず継続児童の方を優先して、そちらを確保して、その後新規の子どもの選考に入 るというように段階的に選考しておりますので、優先度からすれば継続の方を高くしてとい うように、実態としてはやっております。その辺でご指摘のとおり、新しい枠組みになった 場合に、この辺の兼ね合いをどうしていくのかというのは大きな課題で、現状の継続を選考 していくということは、やはりどうしても必要な部分なのかと個人的には思っているところ でございます。  私もパラパラとお答えした中で、ご質問があった中で、漏れている部分もあるかもしれま せんけれど、以上でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございます。議論の前提として確認しておきたいことがあります。先ほど、待 機児童がゼロの自治体のご苦心ということについてご説明をいただきまして、確かにいろい ろ苦労してくださっていると思います。そのうえで本委員会では全国的に2万5,000人を超 える待機児童があるという実態をまず踏まえた議論をいただきたいと思います。しかも、現 在出ている待機児童の数だけではなくて、「新待機児童ゼロ作戦」でも示されましたが、こ の保育制度の改革は、社会保障の持続可能性ということを考えますと、もっと大きな課題、 特に3歳未満児の保育需要率を現状の20%から38%ぐらいまで上げて、100万人規模の増 加を図ることを大前提として議論をしているということをもう一度確認させていただきた いと思います。  それでは、他にどうでしょうか。椋野委員、お願いいたします。 ○椋野委員  もしかしたら事務局からお答えいただいた方が良いのかもしれないのですけれども。私が 事務局の説明を聞き資料を拝見している限りで、保育の量というのは、それは飯塚委員がお 答えになったのは、マクロの目標量の話で、多分高橋委員がお話しになっているのは、一人 一人に量を決められるかという話ですよね。現行はどのようになっているかというと、例え ば4時間なら4時間で、それ以上働いている人は1日8時間でもどうぞと。4時間働いてい ない人は、その地域によりますけれどゼロですよという状態を、4時間働いている人は、例 えばですけれど5時間保障しましょう、30分しか働いていない人は、通勤時間まで入れて 2時間保障しましょうと。そのような議論をしているのだと思います。納得するかというの は、今4時間しか働いていないからゼロですよと言われて納得するのか、それよりも4時間 だから6時間ですよといって納得するのかという、そのような話だと思います。これは、意 見というよりは前提の確認です。飯塚委員が言われた、マクロの量を算定するときにも、当 然、1人は何時間なのかというところで、短時間勤務の人、8時間勤務の人、それぞれがあ るので、そこは当然つながっている話だと思います。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。他に、いかがでしょうか。では、岩村委員長代理。 ○岩村委員長代理  意見というかコメントではないのですが、少し質問させていただきたいのです。先ほど、 高橋委員がおっしゃっていた中で、最後のところで、新しい方式になったときに、市町村と 保育所との関係がどうなるのかということについて、保育関係者は不安に思っていますとい うことをおっしゃっておられました。私は、この前の第一段階での保育専門委員会に出てい なかったものですから、どのような議論がこの辺あったかわからないのですが、保育の関係 者がどのような不安をお感じになっておられるのかということについて、もう少しご説明い ただければと思います。  併せて、先ほど木原委員が参考資料4に沿っていろいろお考えをご説明いただいたのです が、その中で参考資料の4の3ページの「重要なファクターとして考えられること」という ことで、(4)で、「提供者と保護者は経済的関係ではとらえられない相互性があり」うんぬん という一節がございます。私は法律家なものですから、よくわからなかったのは、例えば、 公的な医療保険の場合の病院や診療所における医療の提供というもの、あるいは公的な介護 保険における高齢者のための介護のサービスの提供というものは、我々法律家の目から見る と、そもそもこれは売買契約ではないのです。公的な医療保険にしても公的な介護保険にし ても、それぞれの制度の枠組みの中で、病院や診療所あるいは訪問介護事業者などからそれ ぞれ医療の提供あるいは介護の提供を、まさに公的医療保険の提供するものとして、あるい は介護保険の給付という形として行っている。それに対して、私どもは病院や診療所では一 部負担金という形でお金を払って、あるいは介護保険の場合でも同じように1割という形で お金を払う。これは、まさに我々法律家でさえ、そもそも売買契約だとは全く思っていない のです。そうしますと、よくわからなかったのは、「提供者と保護者は経済的関係ではとら えられない相互性があり、いわゆる売買契約ではない」とおっしゃられても、申し訳ないの ですが私には意味がよくわからないので、もう少しここのところをかいつまんでご説明いた だけるとありがたいと思います。多分、病院と我々患者の間に、経済的関係ではとらえられ ない相互性がないとは、全く考えていないと思いますし、介護の場合でも同じなのではない かと思います。そうすると、ここでおっしゃっていることの意味は具体的にどういうことな のか、教えていただければと思います。 ○大日向委員長  それでは、高橋委員からお願いいたします。 ○高橋委員  お答えいたします。まず、市町村と保育所の関係が委託・受託の関係でなくなることの不 安が大きいということの一つは、感情的な話もあるとは思いますが、委託・受託であるから こそ運営委託費が出ているということもありますので、そういった意味では運営的な費用の 問題が、そうではなくなるということになると、きちんと今のようにはこないのではないか という不安要因が一つあるということです。  もう一つは、児童福祉法第24条を日本保育協会の中でもずいぶん議論したのですが、現 状の法律では保育所は公立が行うことが大前提となっておりまして、例えば社会福祉法人が ということが法律の中にきちんと規定されていないということ。委託・受託がなくなるので あれば、そこをどのように表現するのかはわかりませんけれども、代執行機関のようなもの になるのかわかりませんが、きちんと法律の中に位置付けてもらうべきではないかという議 論もしてきておりました。以上です。 ○岩村委員長代理  ありがとうございました。 ○大日向委員長  木原委員、お願いいたします。 ○木原委員  言葉足らずでしたけれども、「経済的関係ではとらえられない相互性がある」というのは、 第1次報告の中にも謳っていただいているのです。我々が主張したこともあって、このよう に入れていただいたと理解しているのですけれども、私たちは一方で規制改革会議というも のを頭の中に置いていまして、かなり保育に関しては利用者と提供者が提供と消費の関係で あるというとらえ方で、保育を市場化するという答申がずっと出ているわけです。私たちは 子どもたちの保育が市場化されることについては、どうしても納得できない、容認できない ということをかなり主張してきました。それが、こういう形で第1次報告の中にも入ってい ましたし、私たちとしてはそこをあらためてはっきりと言っておきたいという思いで、繰り 返しここに書かせていただいたということです。 ○岩村委員長代理  ありがとうございました。 ○大日向委員長  今の木原委員のご懸念は、重点戦略を受けた基本的考え方に、そして第一次報告にも、規 制改革とは違うことが明記されていたと思います。よろしいですか。 ○木原委員  はい、よくわかっています。 ○大日向委員長  高橋委員のご心配に関して、事務局から何かご説明はありますか。 ○朝川少子化対策企画室長  高橋委員からご質問も含めて幾つか受けておりますが、まず、量の認定が自治体では難し いのではないかというお話があって、特に3〜5歳のところについて、利用者の納得感を得 るような判断ができるのかというところについて、とりあえず今申し上げられることは、確 かにこの第1次報告では大きく2〜3区分に分けて、あまり細かい認定はせずに大枠で認定 していきましょうといいながら、さらに生活の連続性も配慮してという話があって、そこで 意識していますのは3歳以上と3歳未満は分けて考えた方が良いという議論をしていただ いたと思いますが、3歳以上の部分は保育所に通っていなければ幼稚園には通っている年代 ですので、そういう意味で仮に短時間の類型ですということになったとしても、それは基本 的に毎日の保育の保障などは考えていく必要があるだろうと。そういう意味で、仮に大枠で フルタイム的な人とそうではない人とを分けたとしても、そこの基本を押さえるべき部分は 変わらないとする必要があるのではないかということが一つです。  もう一つは、継続児童をどのように扱うかという話がありましたが、明示的にあまり触れ てはいませんけれども、やはりいったん入っている子どもが途中で全く同一線上に並んで出 ることになってしまうのは、基本的には不自然な形だと思いますので、そういうことが起き ないようにする必要があって、基本的には継続の子どもは継続されることを尊重するという 仕組みを具体的に考えていく必要があると思います。一方で、いったん入ったら何のチェッ クもなく入り続けられるかというと、それは何らかの方法で親の就労状況のチェックを一定 期間ごとに掛ける必要があると思いますので、そのようなことを組み合わせながら具体的な 仕組みを考えるということだと思います。  最後に、市町村と保育所との委託関係が切れることへの不安についてですが、これは第1 次報告をまとめる前段として我々がご提示した案で、最後は今後の検討になったところで、 指定制度を導入するかしないかという話があったかと思います。もし、指定制度のようなも のを導入するのであれば、仮に導入しなくても大体の仕組みは要るわけですけれども。いず れにしても、事業者に対して行政が公的な制度の枠組みに入った事業者であるということを 確認する必要がありますので、その確認行為の中でやはり一定の基準に従って公的な保育を 提供していただくというお互いの関係を規律する枠組みが掛かりますので、そういった中で 担保していくのが基本だと思っています。 ○大日向委員長  ありがとうございます。吉田委員、お願いいたします。 ○吉田昌哉委員  保障の範囲について意見を述べたいと思います。求職中または職業訓練中の保育サービス の利用ですが、今は非常に雇用状況が厳しいわけですが、例えば景気が回復して雇用状況も 回復すると、少子化、人口減少化における就労支援という点では、特定のグループ、つまり 失業状態だとか、非就労の状態が固定化したグループに対する就労支援が重要になってくる と考えています。その特定のグループの中には、子どものいる世帯、または母子家庭なども 入ってくると思いますが、今回、時限的な制度ですが職業訓練中に所得も保障するという制 度ができました。それと同時に、とりわけ子どもがいる世帯の就労支援という点では保育サ ービスの提供ということも優先的に保障していく、逆に労働市場政策の点からいえば、就労 支援の中に保育サービスの提供も組み入れていくというような視点も、ぜひこれからは制度 として検討していくべきだと考えています。 ○大日向委員長  ありがとうございます。柏女委員、お願いいたします。 ○柏女委員  4ページの保育の対象の範囲のところですが、二つ目の※印のところで「専業主婦家庭な ど不定期・一時的利用の場合、第1次報告では一時預かりとして保障されている」というこ とですが、先ほども申し上げましたように、これは親の視点からいえば一時預かりとなるの でしょうが、子どもの発達保障という視点からいえば私たちは基本保育と考えています。す べての子どもたちに一定時間の保育を保障するという視点で考えていく必要があると考え ています。そして、先ほども申し上げましたが、私たちは石川県でこの考え方に基づいて子 育て支援プランを作成しながら、子どもたちに週1回半日を限度とする一時保育を補助とし て、一時保育についての補助を行ってきました。それによって、かなり子どもの成長に影響 が見られました。つまり社会性の向上等について影響が見られたという報告などもいただい ています。そういう意味では、すべての子どもたちに保育を保障するという視点から、これ を考えていく必要があるのではないかと思います。  そうしますと、在宅の子どもたち、専業主婦家庭などということだけではなくて、いわば 入院中の子どもたちにも保育を保障していく病棟保育などもこの制度の中で保障していく ことが大事でしょうし、あるいは在宅の子どもたちで超重症児、難病の子どもたちなど、家 庭にいる子どもたちにも訪問保育として保育を保障していくという視点が必要になってく るのではないかと思います。親の視点からではなく子どもの視点から考えていくと、このよ うな点も考えていかなければならないのではないかと思っています。  それから、その下の※印ですが、「保育第二専門委員会の議論も踏まえて検討」というこ とですけれども、これも石川県の例で恐縮ですが、石川県では5歳児の保育園の入園割合が 73%になっています。これは、石川県の共働き率とは乖離があるということです。この73% の方がどのような利用の仕方をしているのかを考えますと、先ほど木原委員がおっしゃいま したけれども、幼児教育の視点からも5歳児等については検討していくことが必要なのでは ないかと考えます。5歳児は73%ですけれども、小学校1年生の学童保育になりますと28% に一挙に下がります。この差の45%というのは何を意味しているのか。そのことについて も深く考えていかなければならないと思いました。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員  今、柏女委員が言われたことと同じように私も考えます。例えば専業主婦家庭に対する一 時預かりについてですが、昨年、法改正されて要綱で厚生労働省が出した中にも「一時預か り事業」そのものが、家庭における保育が一時的に困難になった乳幼児、つまり保育を必要 とする子どもとして、私たちは当然とらえるわけです。ですから、保育所で行っている保育 所型の一時預かり事業はあくまでも一時保育であり、機能の基本部分に入れておくべきこと ではないかと思います。  それから、今の保育の対象範囲で考えると、当然、保護者の就労ですとか、保護者の置か れている条件は多いですが、先ほども言われていたように、子どもの育ちを保障していくた めの一定の時間であるとか、そういうことを加味してきちんと議論をしていただければと思 います。 ○大日向委員長  ありがとうございます。市原委員、お願いいたします。 ○市原委員  三鷹市においての事例を含めてのお話ということで、本日の冒頭で待機児童の問題で、 100人を超えた市町村としてリストアップされた資料もありましたけれども、三鷹市におい ては、非常に数多い待機児童を抱えながら、その一方で保育サービスの現場の提供体制とい うものが公私立を合わせて27の保育園がありまして、その保育園の中で今日の議論になっ ている保育の対象範囲、例えば今出ましたように非就労の方ですとか、本当に短時間のパー トタイマーで在宅子育てをしている家庭から一時的なパートタイムで働かれている方、また その後フルタイムで働いている方というように、保育園そのものの保育サービスを提供する 上でも、入園選考基準の中では短時間勤務の方も保育サービスの提供対象者と位置付けてお ります。また、そこに至らない極めて短い時間のパートタイムの方も市の保育サービスのメ ニューの中では一時保育、または年末・年始の保育、夜間保育に近い深夜までの一時保育で すとか、緊急一時保育という保育の給付メニューとして、今日の資料にも提示されています けれども、そういうメニュー整備も同時進行で現状としては取り組んでいる事例もあるとい うことと、あとは待機児童の解消に向けての取組ということで、一見反比例するような目的 に向って同時進行的に取り組むということも工夫によっては可能性を秘めているのではな いかということを、今の三鷹市の仕事を通して今日の議論から感じたところです。 ○大日向委員長  ありがとうございます。専業主婦家庭、在宅で子育てをしている家庭の子どもをどのよう に預かるかに関して、親の視点に立っての一時預かりなのか、それとも子どもの発達保障な のかという議論ですが、石川県の一時保育は週1回で固定しているわけですか。 ○柏女委員  補助の上限としては週1回半日を限度としています。それ以外は、個人で払ってください ということです。 ○大日向委員長  この辺りはもう少し議論が必要かと思いますが、時間の関係で後段の方にも触れながらご 意見をいただければと思います。 ○香取審議官  ご議論を聞いていて、私どもの資料の作り方が悪かったのかもしれませんが、今の1番の 保育保障の範囲という話ですが、2の6ページの始めのところにも書いておいたのですが、 保育の利用あるいは保育の対象範囲という議論は、言わずもがなですが、保育所の機能をど のように考えるか、保育所に入れる人はどういう人かという議論ではなくて、保育所も含め た新しい保育のシステムの中でいろいろなサービスがあって、まさにそのさまざまなサービ スを利用することができる地位といいますか、権利といいますか、そういう人たちあるいは そのサービスの範囲をどのように決定するのか。保育所も含めたさまざまな保育サービスを 利用する場合の基本的な契約関係、利用の流れをどう考えるかということなので、確かに圧 倒的にサービスの主体は認可保育所なので、認可保育所に入れるか入れないか、あるいは認 可保育所の機能をどこまでという議論にどうしてもなるのですが、そういうことだけではな くて新しいシステムの中でさまざまなサービスを含めた、あるいは専業主婦家庭も含めたす べての家庭の方の保育サービスの利用、あるいは保育の利用の範囲、あるいはどの程度のサ ービスを保障するのかという少し広い意味での議論なので、説明のときにも念押しをしてお けば良かったのですが、その点が少し気になりましたので、そういうことも頭に置きながら ご議論いただければと思います。 ○大日向委員長  ありがとうございました。いかがでしょうか。佐藤委員。 ○佐藤委員  今、話されたことの確認ですが、必要性が判断された子どもたちに公的な保育を保障する メニューの中に、保育所ではないさまざまなものが入ってくるという理解でよろしいですか。 それを対象とするものはすべて公的な保育を受けられるサービスだということですか。  後段の方にも入ってよいということでしたので、確認したいことがあるのですが、6ペー ジ以降に「保育利用までの具体的流れ」という資料があるのですが、保育の必要な子どもに 対する保育を保障する中で、市町村に法制度上課せられたものがあります。その中で公的な 保育の保障や公的保育の提供体制の確保責務や利用支援責務、そして四つ目に保育費用の支 払義務とありますがこの用語の使い方に何か区別があるのですか。「責務」という部分と「義 務」という用語の使い分けについて確認させていただきたいと思います。すべてこれは市町 村の務めとしてあるものだということなのか、この辺の書きぶりについて確認させていただ きたいと思います。 ○大日向委員長  それでは、朝川少子化対策企画室長、お願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  第1次報告を書いたときには「市町村の実施責務」という言葉を使わせていただいていて、 要するに「責務」というのは私なりに解釈すれば責任と義務の両方が入っているという意味 で、義務も含めた幅広い責任であるということで、具体的には保育の支払義務はまさに「義 務」ということで用語を使っているという程度のものでございます。 ○佐藤委員  今の説明ですと、「責務」という文言の場合は少し幅広くなっているということは、少し 薄いという意味合いにとらえてよろしいのですか。 ○朝川少子化対策企画室長  あえて申し上げれば、例えば提供体制の確保、義務か責務かはほぼ同じだと思いますけれ ども、いろいろな手法で責務の果たし方があって、「支払義務」といっているのは、発生し たら払う義務というのははっきり一つになりますので、そういう意味で「義務」と書いた方 が一般的になじみやすいということで「義務」と書いてあるだけで、「責務」の方が薄いと いう意味で書いているものではありません。 ○大日向委員長  よろしいですか。 ○佐藤委員  はい。 ○大日向委員長  他にいかがですか。飯塚委員、お願いいたします。 ○飯塚委員  確認も含めてですが、公的保育契約を保育所と実施するということで書かれていたかと思 いますけれども、現在ですと市町村が実施主体ということになっておりますので、先ほどの 高橋委員の質問とも関連しているのですが、市町村に保育料という形で受益者負担という部 分で一定の金額を支払っていただいて、国・県・市町村の支弁額と合わせて、保育所に一定 額を委託料として支弁するという仕組みになっていると思います。新しい制度というのは実 施の主体が保育所に変わるということなのでしょうか。ですから、保育料を保育所に直接払 うというお金の流れの変更というのが、その辺の主体との兼ね合いがよくわかりません。勉 強不足もあると思いますけれども、そこを教えていただきたいということです。  それから、具体的に支弁側の不安があるということだったので確認させていただきたいの は、実際の支弁については、今、認定こども園などで進められているように、認定こども園 が料金を徴収して、その徴収額を引いたものを支弁として支払っている状況だと思いますけ れども、そのような枠組みととらえてよいのかということを確認したいと思います。 ○大日向委員長  これも事務局から、お願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  主体が変わるのかという点につきましては、ある意味全く今まで通りの提案をしていたら 現行通りになってしまうので、現行通りのものではないのですが、市町村が公的保育をきち んと確保して住民に対して提供する責務は引き続き担っていただこうというのが第1次報 告の案でございます。ただ、責務の果たし方として、市町村から保育所に委託するという果 たし方ではなくて、違う方法的な枠組みで果たす仕組みにしようということです。したがっ て、主体がすべて保育所の方に変わるのかといわれれば、そのようなことはないというのが、 今回の第1次報告書の提案です。  保育料の話については、第1次報告をまとめるに至る過程で、いろいろな議論がありまし て、もともと昨年12月に事務局が提示したときは、当事者同士の公的保育契約を締結する ことを前提に、まずは保育所の方で保育料の部分の徴収はしていただいて、未納の問題など で穴が開いてはいけないので、そこについての配慮は必要だという提案をしたわけです。し たがって、今の市町村が徴収するという仕組みを少し変えましょうという提案をしたところ ですが、そこについては2月の第1次報告のまとめまでの間に意見集約ができなかった部分 で、それは今後の議論に送られておりまして、この保育第一専門委員会で何回か後にそこの 部分をご議論いただくことを予定しています。 ○大日向委員長  よろしいですか。ありがとうございます。柏女委員、お願いいたします。 ○柏女委員  論点で2点考える必要があるのではないかと申し上げさせていただきます。1点目は12 ページの「供給が需要を上回っている場合」ですが、この場合の対応について、申込みの方 法等について異論はないのですけれども、保育第二専門委員会との議論とも関連するのでし ょうが、供給が需要を上回っている場合の過当競争の問題について、あるいは撤退の問題に ついて少し議論しておく必要がないかということが1点です。  もう1点は13ページの(4)の三つ目の丸ですが、このような制度に直接向き合う関係にな っていった場合、保育所側が持っている大切にしたい価値やミッションはどの程度優先され るのか、特に宗教的なミッションの場合があるかと思いますけれども、例えば信者を優先す るといったようなことも私はあってよいのではないかと思っているのですけれども、こうし たことについても少し議論をしておく、あるいは考え方をまとめておく必要があるのではな いかと思います。 ○岩村委員長代理  法律家の立場から言うと、宗教の問題についてはそれはできないと思います。憲法に反す ることになりかねないと思います。 ○香取審議官  少し付言しますと、公的制度ならば一定の公法上の契約に基づいてサービスを提供する場 合に、特定の宗教に入っているかいないかで利用を差別することになりますので、それは明 確に憲法に違反することになります。 ○柏女委員  わかりました。 ○大日向委員長  椋野委員、お願いいたします。 ○椋野委員  先ほどの香取審議官からの補足の説明とも関連するのですが、5ページに「多様な給付メ ニュー(受け皿)を制度的に考える必要」とあって、認可保育所保育だけではなく保育サービ スをもっと広く考えると。それでも、どうしても保育所保育を念頭に置いての議論が多いよ うに思いますけれども、保育所保育というのは集団保育ですので、どうしても一定の人数が 集まらないとできないのです。通常保育ならまだしも、休日保育や夜間保育というのは保育 所保育ではどうしても保障できないような地域があって、それはそんなに特殊な地域ではな いのです。そういう場合にも一人一人の子どもを考えた場合には必要だとしたら、集団保育 ではないサービス、例えばベビーシッターやファミリー・サポートなどということも「多様 な給付メニュー」の中で検討していただきたいと思います。  違う論点を幾つかまとめて言ってもよろしいでしょうか。7ページに虐待事例などの場合 で、「市町村が責任をもって利用支援を行い、保育を保障(必要な場合は児童養護施設等への 措置等につなげる)」となっているのですけれども、利用支援で駄目なら児童養護施設への 措置といきなり飛んでいるような気がしまして、現行は措置制度は保育についてはなくなっ ているのですが、そこはもう一度考えてもよいのではないかと。勧奨して、それでも保護者 が入れないというときに、いきなり児童養護施設もないだろうと思うので、これも検討して はどうかという論点です。  それから、9ページの「需要が供給を上回っている場合」とその逆の場合ですが、この「上 回っている」「上回っていない」というのはどういう範囲で考えるのかということがありま す。市町村はいかにも広いと思います。先ほど木原委員がおっしゃったように、地域性があ ります。例えば小学校区など、近いところではあるのだと思いますけれども、どういう範囲 の地域で考えたらよいのか。個々の保育所で考えれば当然そこに人気があってというか、希 望が上回るということはどのような場合でもあり得るので、そこのところをどのように考え るのか。11ページに示されている対応イメージ例の1などは、第1希望、第2希望、第3 希望とやっていくとどこかに入れるという例だとすると、自動車で1時間もかかる所という 話ではないとすると、現行で考えるとさほど不足している地域の例ではないという感じがし ます。それで、入れない場合にどうするのかが、一番私が気になるところで、先ほど申し上 げたような、保育所保育ではないものを使うということもあるかもしれないし、いずれにし ろ何かそこに入れなかったときのコーディネートをしてくれる人というか機関が必要では ないか。介護保険を考えるとそういうことだと思います。特別養護老人ホームに希望してい るけれど入れない。それなら、ショートステイとデイサービスでつないだらどうかと言って くれるような、ケアマネジャーのような人が親にも要るだろう。普段は要らないのだけれど も、急に休日出勤をしなければいけなくなりましたとか、どうしても今日は夜まで仕事が片 付かないというときに、相談したらここと言ってくれるようなコーディネート機能が要るだ ろう。それは多分、柏女委員がおっしゃったこととつながると思いますが、12ページにあ る、市町村が多様なサービスメニューの中から補完できるようにする必要があるというのが、 それに近いご提案かと思いますが、では市町村ができるかというのは、もちろんできる市町 村もありますが、市町村職員がここまでできないところも多いと思いますので、だんだん細 かい話に入っていきますが、委託のような市町村が責任をもって民間の資源を活用できるよ うな仕組みも入れないと、実際に混乱してくる可能性があるのではないだろうかと思います。  それと優先性の議論をしているときに、これも議論の前提のところですが、優先性がある ないという説明に聞こえますが、優先性があるなしではなくて、優先順位が付くのだろうと 思います。ですから、優先性のある人をまず入れて次に優先性のない人という話ではないと 思います。そこはそのように聞こえたので、そこは前提として確認していきたいと思います。 現に今、市町村が苦労をしているのは、点数で優先順位の高い子どもからいれているので、 もちろん最終的に十分供給されれば別ですが、それまでは優先性は順位として考えていかな ければいけないのではないかと思います。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございました。予定の時間になりましたが、他にいかがでしょうか。では榊原 委員、それから岩村委員長代理。 ○榊原委員  今日全体のご説明をいただいて、これまで保育園を利用し、いろいろなところで制度の不 具合を感じてきた立場からすると、相当利用者側に親の側にも立ったいろいろな対応、これ までにないものを出してきてくれていると思っています。その中でまず1点、ここはぜひ強 化してほしいと思った点が、今、実は椋野委員がおっしゃったコーディネート機能のところ です。7ページですが、利用者が市町村に認定の申請をするという辺りに書いてあるところ で、情報提供や相談支援と書かれているところを、恐らくワンストップサービスの一つの窓 口に集約していくような場所が必要になってくるだろう。これだけ大掛かりなサービスを提 供し、かつそれが虐待対応などの一つの探知を拾うような場にもなっていくことを考えてい ると、相当の手引き・コーディネートができるような機能というものをきちんとつくる必要 がある。その中の情報提供であったり、いろいろな案内などができる場所が必要だろう。例 えば鎌倉市などは市役所の中に入っていて、一番見えやすい場所にそういった「子育て支援 コンシェルジュ」という名称だったと思いますが、そういう窓口をつくって、そういった窓 口を一つつくることで子ども関係の施策を行う部署がそこに一応連なるような形になり、い ろいろな子育てのニーズを一括してそこで受けた上で、まいていくというような政策の統合 や見直しにもつなげて、そういった機能を利用していると伺っています。例えばパリ市でも 数年前から、市街にまず区単位でと私は聞いていますが、親がふらりと立ち寄って、そこで 例えばベビーシッターから、いろいろな家庭教師、保育ママさんから悩み相談まで、まずは 窓口になってくれる。ベテランの子ども関係の専門家が、窓口にいつも座っている窓口をつ くっていて、非常に好評であると聞いていまして、そういったものが、これだけのサービス 提供をしていくのであれば必要で、それにケアマネジャー的な機能も入れていくものが必要 なのではないかと思いました。  もう1点だけ。先ほど専業主婦家庭の子どもへの一時預かりの利用の話が出たのですが、 私は特別部会の議論に参加していないのでわからないのですが、子どもの発達段階に応じて、 どのような社会的支援が必要なのか。どの部分が親が養育を担うことを基本とするのかとい う発達段階に応じた仕分けをする必要があって、その上に議論をすべきだろうと思います。 それはもちろん産前産後休暇と育児休暇と幼児教育というような保育の前後にあるいろい ろなシステムとの連結がきちんとされているようなもの。例えばスウェーデンでしたら1 歳までは親の養育を基本とするから育児休暇制度もそこまではかっちり保障されているし、 保育はほとんどない。そこからほとんどの子どもが保育に入れるようにしておいてというよ うに、制度がきちんとつながっているのです。フランスでしたら産前産後休暇が2か月半ま でなので、2か月半からきちんと保育園に入れるようになっているし、保育のサービスが豊 富にある上で幼児教育が3歳から全員保障されているというように、きちんと発達段階を社 会として自分たちの子どもの発達をどのように保障するかを、きちんとコースとして基本コ ースを用意した上で、サービスを用意している。そういったところがある程度の合意がない と非常に議論が混乱するのではないかと思いました。 ○岩村委員長代理  もう時間なので、簡単に。資料1-1の10〜11ページで、具体的に入る保育所などをどう 決めるかの手順の話で、今日あまり議論がなかったのですが、最後に椋野委員が少しお話し になったので簡単に言いますが、可能な限り、ワンストップの方がよいのだろうと思います。 ただ、11ページの対応イメージ例の2になると、先ほど朝川少子化対策企画室長もおっし ゃったように、現行とそれほど変わらないことになってしまう。結局、現行で保護者の方が 持つ不満が、そのまま新しい制度の下でも発生することになるので、そこをどうやってその ような不満が解消されるのかを工夫していく必要があると思います。その点では今、椋野委 員が今おっしゃったコーディネーターとか、そういうところをどう整備していくか。このワ ンストップとどう組み合わせるかがポイントなのかなということと、どのようにして決まっ たかについての説明などが、どこまできちんとできるのかがポイントだろうと思います。以 上です。 ○大日向委員長  ありがとうございました。予定の時間を過ぎております。本日は保育第一専門委員会で保 育の必要性の判断というところからご議論に入っていただきました。それは同時に保育の提 供の仕組みの詳細、さらには保育の提供の多様性を含めて、さらには子どもの発達保障をど うするかという観点、諸々今後の議論にとって大変貴重な前提をいただいたと思います。そ の辺りを事務局とも相談し、次回に議論の前提をお示ししながら、また第3回にもつなげて いきたいと思います。  それでは、事務局より次回の日程について、説明をお願いします。 ○今里保育課長  本日は誠にありがとうございました。次回の日程につきましては、9月29日火曜日17 時からを予定しています。場所につきましては、追って事務局より連絡させていただきます。 お忙しいところ恐縮ですが、ご出席いただきますようよろしくお願いします。以上です。 ○大日向委員長  時間が限られた議論でございますので、言い尽くせないところも本日も多々あったかと思 いますが、どうぞ文書等で事務局の方に29日までの間にご提出いただければと思います。  それでは、本日はこれまでとします。ありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課企画法令係 代表 03−5253−1111(内線7920)