第22回 社会保険事業運営評議会 平成21年10月20日(火)15:00〜16:30 厚生労働省専用第21会議室             1.開  会  2.議  事  (1)平成20年度事業実績    ・平成20年度事業実績報告(案)について    ・平成20年度収支決算について    ・平成20年度国民年金保険料の納付状況及び今後の対策について    ・厚生年金・健康保険の適用対策について    ・その他  (2)その他    ・平成22年度予算概算要求について    ・日本年金機構設立準備状況について    ・日本年金機構設立委員会での大臣公式発言  他  3.閉  会 (配布資料)  資料1 ……… 平成20年度事業実績報告(案)  資料2−1 … 国民年金の収支決算(実質)の推移  資料2−2 … 厚生年金保険の収支決算(実質)の推移  資料2−3 … 船員保険の収支決算の推移  資料3 ……… 平成20年度国民年金保険料の納付状況及び今後の対策に ついて  資料4 ……… 厚生年金・健康保険の適用対策について  資料5 ……… 平成22年度予算概算要求について  資料6 ……… 日本年金機構設立に向けた準備状況について  資料7 ……… 日本年金機構設立委員会での大臣公式発言 (参考資料)  参考資料1−1 … 厚生年金・国民年金の平成20年度収支決算の概要等  参考資料1−2 … 船員保険の平成20年度決算の概要  参考資料2−1 … 平成20年度における国民年金保険料の納付状況と今 後の取組等について  参考資料2−2 … 国民年金保険料の収納事業(市場化テスト)に係る評 価について  参考資料3 ……… サービススタンダード達成状況(平成20年度)  参考資料4 ……… お客様満足度アンケート(集計結果:平成21年2月 実施)  参考資料5 ……… 社会保険事業運営評議会のこれまでの実施状況  参考資料6 ……… 日本年金機構の設立について  参考資料7−1 … 独立行政法人地域医療機能推進機構法案のポイント  参考資料7−2 … 独立行政法人地域医療機能推進機構法案要綱  参考資料7−3 … 独立行政法人地域医療機能推進機構法案説明資料 ○宮武座長  それでは、ほぼ定刻でございます。ただいまから第22回の社会保険事業運営 評議会を開催いたします。  本日はご都合で、稲上さんと遠賀さんは欠席でございます。  では、開催に当たりまして、渡邉長官から一言ごあいさつをいただきます。 お願いいたします。 ○渡邉長官  この7月に社会保険庁長官を拝命いたしました渡邉でございます。初めての 出席でこういう会議になりました点、めぐり合わせかと思いますが、座ったま まごあいさつさせていただきます。  坂野長官の後を継いで、本年7月24日に長官を拝命いたしました。社会保険 庁に対しまして、現在もなお国民から大変厳しい目が注がれている中ですが、 職員一丸となって、業務改革、意識改革及び組織改革を行い、社会保険事業に 対する国民の皆様の信頼回復に全力で取り組む決意でございます。  この運営評議会でございますが、私も6年前から年金局に奉職しておりまし たので、横で見ておりましたけれども、社会保険にかかわっているさまざまな 立場の国民の皆様の声を事業運営に反映させるべく、平成16年9月に第1回が 開催されて、今回が22回目と承知しております。宮武座長を初め、創設当初か ら委員をお願いしている方も多く、この会議の中で、あるときは厳しい指導を、 またあるときは温かくご支援をいただいてまいりました。  振り返りますと、平成16年の創設当時、社会保険庁におきましては、年金個 人記録の業務目的外閲覧の問題を初め多くの不祥事が明らかになり、国民の信 頼を大きく損なうという危機的な状況にございました。ある意味では、その当 時はすべてが課題という状況から出直しを迫られていた中でございます。民間 から就任された村瀬長官と、この運営評議会が頻繁に開催される中で、2人3 脚で改革の原動力となり、私どもを引っ張っていただいたと思っております。  残念ながら、その後の展開は、さらに国民年金保険料の不適正免除問題ある いは年金記録問題といった大きな挫折も経験いたしまして、改革の道のりは決 して平たんではありませんでしたが、皆様方から引き続ききめ細かくさまざま なご指導、ご助言をいただいたおかげで、日々の業務や職員の意識は創設当時 と比べましてやはり大きく変わったと、私ども認識しております。また、組織 面におきましても、日本年金機構という新しい組織の立ち上げに向けた最終段 階にかかっておるわけでございます。  この運営評議会は本日が最後ということになりますが、本日の資料にもあり ますように、国民の皆様のさまざまな立場からのご意見を事業運営に反映させ ていく仕組み、これは日本年金機構においてもしっかり引き継いでいくことと しております。社会保険庁としての最後の開催という区切りを迎えた本日、村 瀬元長官、坂野前長官の分もあわせて、私から皆様に対して厚く御礼を申し上 げたいと思います。ありがとうございます。  さて、後で個々にご説明をさせていただきたいと思いますが、昨今の社会保 険庁における取り組みにつきまして、私のほうから2〜3、簡単に触れさせて いただきます。  まず、第一に日本年金機構の発足につきましては、去る10月8日に開催され た日本年金機構設立委員会において、長妻厚生労働大臣より、熟慮の末、予定 どおり発足させる決断をした旨の方針表明がございました。大臣が熟慮の上決 定されたこの方針に基づき、来年1月の設立まで2カ月余りとなっております が、日本年金機構が国民の皆様に信頼される組織になるよう、残されたわずか な期間についても手を緩めることなく、円滑な移行に向けて全力で取り組んで まいります。  次に、年金記録問題につきましては、公的年金制度の信頼回復のため、今日 欠くことのできない最重要課題となっております。去る15日に来年度予算の概 算要求を新政権のもと改めて行い、その中で年金記録問題の解決のための予算 として、来年度分1,779億円増の要求を盛り込ませていただきました。  年金記録問題への対応につきましては、年金制度を改革する4年後までの間、 国家プロジェクトとして解決に向けて多角的に取り組むという新政権の方針で ございます。特に8億5,000万件の紙台帳等とのコンピューター記録との突き 合わせにつきましては、4年のこのタームの中で初めの2年間に集中的に取り 組んでまいります。さらには、日本年金機構設立に向けた準備、年金記録問題 への対応という2つの大きな柱になる仕事を毎日進めておるわけでございます が、公的年金が国民生活の柱であり続けるためには、今回皆様にご審議いただ く平成20年度実績報告書案に記載させていただいているような、社会保険庁の 日ごろの業務の着実な実施が重要になります。本年7月までの5年間、先ほど 申しましたように、年金局長として年金制度を設計するほうの立場から、公的 年金制度の持続可能性の確保に取り組んでまいりましたが、国民の年金制度に 対する信頼を回復するためには、年金制度そのものの制度設計のみならず、現 場における適用、徴収、記録管理、相談、給付といった本来の業務、基幹的な 業務といいますか、こうした業務を国民の皆様のニーズにこたえながら確実に 実施していく、それをゆるがせにしないということが、社会保険庁に対して、 さらには新たに発足する日本年金機構に対して、国民の皆様から求められてい るものであると確信しております。  今般の概算要求には、そのような観点からの対応も、記録問題とあわせなが ら盛り込んでおるつもりでございます。これらの取り組みを総合的に進めて、 公的年金制度への信頼を取り戻すことが、私たち社会保険業務に携わる者の今 日的使命であると考えております。そのためにも職員一同、一致団結して全力 で取り組んでまいります。  本日は、議題といたしましては、平成20年度社会保険事業実績報告書と、こ ういうことになっております。そのご議論をいただくこととしております。皆 様方の忌憚のないご意見をいただきますとともに、今後ともさまざまなお立場 から、社会保険業務に対してご指導、ご鞭撻をいただきますよう、改めてお願 い申し上げまして、開会に当たっての私のあいさつとさせていただきます。 ○宮武座長  ありがとうございました。  それでは、お手元に議事次第がございますが、それに沿いまして進行してま いります。  最初は、資料1から4までの説明をしていただきまして、その後、ご意見を 皆様からいただいた後、残りの資料について説明を進めてもらうと、こういう 段取りでございます。  それでは、事務局のほうからお願いします。 ○福井企画室室長補佐  社会保険庁総務課企画室の福井と申します。  資料1、平成20年度実績報告書(案)についてご説明させていただきます。  まず、本報告書の位置づけでございますが、資料1の最後のページをごらん いただければと思います。社会保険庁は、厚生労働大臣から示されました目標 を達成するための事業計画を毎年度作成し、これに基づき事業を運営しており ます。その実績をまとめたものが今回の実績報告書でございまして、この報告 書は厚生労働大臣に報告した後、厚生労働大臣の評価を受けることとなってお ります。  それでは、報告書についてご説明させていただきます。時間の限りもござい ますので、最初の概況の部分をご説明いたします。  まず、1ページでございます。ご案内のとおり、平成16年から社会保険庁改 革を進めておりまして、平成20年度は5年目でございました。社会保険庁にお いて、この間、緊急対応プログラムから業務改革プログラムへ逐次改定をしな がら、各般の改革を進めてまいりました。昨年10月には全国健康保険協会が設 立され、またご案内のとおり、来年1月には日本年金機構の設立が予定されて おります。一方で、年金記録問題等によって国民の皆様の信頼を大きく損ねた ことから、これを早期に解決するため組織を挙げた取り組みを進めております。  この年金記録問題について、2でご説明させていただきます。  まず、@でございますが、国民の皆様お一人お一人にご自身の記録を確認を していただくねんきん特別便を、平成19年12月からお送りしておりまして、平 成20年10月までにすべての受給者・加入者にお送りしました。平成21年7月末 現在で約7割の方からご回答いただきまして、このうち約9割の記録の確認作 業が完了しております。  また、ねんきん特別便に未回答の方や、訂正なしと回答のあった方に対する きめ細やかなフォローアップなど、お一人でも多くの方からご回答いただける よう取り組みを進めてきております。  また、ねんきん特別便の送付に伴う相談件数の増加に対応できるよう、電話 相談等の体制を整備しております。  エでございますが、引き続き確認作業を進めまして、平成21年3月までに受 け付けたものにつきましては、今年中に記録の確認作業を完了するべく作業を 進めていくこととしております。  Aでございます。このように、皆様のご自身の記録の確認をしていただくと いう取り組みと並行いたしまして、氏名が旧姓のままであったなど、想定され る名寄せができなかった要因に応じまして、旧姓の活用や住民基本台帳ネット ワークの活用などの方法により、未統合の記録の解明、統合作業を進めており ます。  このような取り組みの結果、18年6月時点で5,095万件あった基礎年金番号 未統合の記録につきまして、21年6月現在で、ここに示しておりますような内 訳となっております。  読み上げさせていただきますと、既に基礎年金番号に統合済みの記録が約 1,131万件、死亡や脱退手当金受領等一定の解明がなされた記録が約1,610万件、 名寄せにより特別便を送付した記録が693万件、住基ネット調査等解明作業が 進展中の記録が542万件、またこのほか、今後解明を進め、最終的には公示を 検討する記録が1,119万件ございます。  続きまして、年金記録の訂正に伴う年金額の裁定が必要になっておりますが、 この再裁定に必要な事務につきまして、その人員を500名の体制に拡充し、ま たシステム機能の強化などによりまして、その迅速化に取り組んでいるところ でございます。  このほかCでございますが、標準報酬等が不適正に遡及訂正処理されている 問題がございます。こちらにつきましては、その不適正な処理の可能性が高い 受給者の方約2万人に対して、戸別訪問による調査をいたしまして、平成21年 3月までにおおむね戸別訪問を終了しております。  今後は、加入者の方はねんきん定期便、また受給者の方は標準報酬等のお知 らせによりまして、ご自身により記録確認をしていただくこととしております。  Dでございますが、8億件以上ございます紙台帳の記録とコンピューター記 録との突き合わせにつきましては、平成21年度に画像検索システムと呼ばれて おりますシステムの構築を行いまして、平成22年度以降、計画的に突合を実施 することとしております。  3ページ、3でございます。社会保険事業について、順次ご説明をさせてい ただきます。  まず、アの適用事務でございます。数字につきましては記載のとおりでござ いますが、厚生年金・政官健保の適用事業所数につきまして、平成20年度は増 加しております。一方、被保険者数につきましては減少しているところでござ います。  Aの国民年金につきましては、被保険者数は3,044万人で、こちらは減少し ております。  4ページ、保険料収納事務でございます。  まず、@でございますが、厚生年金・政管健保の保険料につきまして、収納 率は厚生年金が98.4%、政管健保が97.2%で、前年と同水準となっております。  Aの国民年金の保険料につきまして、コンビニエンスストアでの納付等の保 険料を納めやすい環境づくり、その他強制徴収や免除勧奨の徹底等、対策を実 施してきております。平成20年度の保険料納付につきまして、現年度分の保険 料につきましては納付率は62.1%、こちらは対前年度比で1.9ポイントのマイ ナスとなっております。  また、平成20年度まで納付可能な保険料は平成18年度分のものとなっており ますので、平成18年度分の保険料の最終納付率は70.8%でございました。こち らは平成17年度分に引き続き70%を超えております。  続いて、ウの保険料給付事務でございます。  @、Aでは年金、政管健保の給付費、また年金の給付受給権者等の数字をお 示ししております。  また、Bでございますが、平成17年度から、申請されてから決定通知書が届 くまでの期間についての目標をサービススタンダードとして設定をしておりま して、サービスの迅速化を図っております。こちらの具体的な期間の目標につ きましては5ページの上に記載しておりますが、これらの達成率につきまして は、傷病手当金が95%、老齢厚生年金が76%、障害基礎年金が87.9%等となっ ております。  続いて、エの保健事業と福祉施設事業についてでございます。政管健保の保 健事業につきましては、平成20年4月から生活習慣病予防健診の推進に取り組 んだところでございます。  年金福祉施設につきましては、保険料を投入しないこととされておりまして、 平成17年10月に設立されました独立行政法人、いわゆるRFOで施設の廃止・ 譲渡を進めております。平成20年度におきましては73施設の売却を実施しまし た。一方、社会保険病院、厚生年金病院につきましては、同機構に出資をした 上で、地域の医療体制を損なうことのないよう配慮をして、適切な受け皿を確 保することとして取り組みを進めております。  オの年金相談でございます。  19年度に引き続きまして、ねんきん特別便に係る相談の対応のために専用窓 口を設置しております。また、平日の相談時間の受け付けの延長や、平成20年 度につきましては、4月から11月までの間、すべての土曜日、日曜日について 相談を実施する等、体制の強化を図っております。  また、年金個人情報の提供につきましては、インターネット上でIDやパス ワードの発行をしておりまして、こちらの対象者を受給者に拡大する等のサー ビスの充実を図りました。  続きまして、カのオンラインシステムの刷新でございますが、社会保険オン ラインシステムにつきましては、平成18年3月に最適化計画を作成しておりま して、こちらに基づいて進めております。平成20年度におきましては記録管理 システム、基礎年金番号管理システムにつきまして、検証委員会等の指摘など を踏まえ基本設計の修正を行うなど、最適化の進め方を見直すこととしており ます。  6ページの(2)決算及び組織人員でございます。  まず、決算でございますが、平成20年度の単年度収支決算は、厚生年金が 3,139億円の歳入超過、そして国民年金が4,199億円の歳出超過、この結果、積 立金残高が、厚生年金は124兆円、国民年金で7.7兆円となっております。この ほか事務費等を以下に記載しております。  イの組織人員でございます。  常勤職員につきまして、記録問題の対応等の問題のために337人の増員を行 う一方で、定員合理化による減、また、昨年10月の全国健康保険協会設立によ る減等ございまして、最終的には3,092人減の1万3,730人の定員となっており ます。  最後に、7ページの4、日本年金機構の設立についてでございます。  社会保険庁につきましては来年1月に廃止をされまして、日本年金機構に移 行することとなっておりまして、昨年の7月に内閣官房の年金業務・組織再生 会議における最終整理を踏まえまして、日本年金機構の当面の業務運営に関す る基本計画という閣議決定が行われております。これを踏まえ、昨年の11月以 降、厚生労働大臣が任命した設立委員により各般の検討が進められておりまし て、現在も鋭意検討が進められているところでございます。  また、社会保険庁の意識をできる限り高いレベルに引き上げておく必要がご ざいますので、平成17年に策定されました業務改革プログラムを平成21年1月 に改定をいたしまして、取り組むべき項目を整理、重点化しております。現在 は年金記録問題への対応、国民サービスの向上、また内部統制の仕組みの構築 等の5つの柱のもとで、各項目の推進を図っております。  駆け足で恐縮ですが、資料1のご説明は以上です。 ○安藤企画課課長補佐  では、続きまして、資料2から4までかいつまんでご説明させていただきま す。  運営部企画課の安藤と申します。よろしくお願いします。  まず、資料2でございますが、資料2は平成20年度収支決算ということで、 社会保険庁で事業の実施を行っております国年、厚年及び船保のそれぞれの収 支決算の推移を示しているものでございます。  まず、資料2−1、国年でございますが、国民年金につきましては、歳出歳 入の全体の動向といたしましては、保険料収入の減、旧国民年金法の受給者の 減などによりまして、歳出歳入とも前年度に比較して減少しているという状況 にございます。また、平成20年度の収支差でございますが、この表中の中で収 支差のところをごらんいただきますとおわかりになりますように、歳出が歳入 を5,936億円上回っているという状況にございます。なお、この数字は、表中 の注書きにもございますが、収入から「積立金より受入」を除いた実質の数字 となってございます。  次に、積立金の残高でございますが、表中の一番下に記載がございますよう に、約7兆7,000億円となっているところでございます。  なお、前回この会議におきまして委員からもご指摘がなされた点でございま すが、平成16年の財政再計算と収支決算との関係につきまして資料をご用意さ せていただいております。ページめくっていただきまして2枚目でございます けれども、平成16年財政再計算と収支決算との比較というところでございます。 表中の一番右の欄のところに収支差と積立金残高のそれぞれにつきまして、財 政再計算との差について記載してございますけれども、一番下の枠囲みに記載 がございますように、財政再計算上、毎年度一定の積立金を取り崩して収支を 賄うという財政見通しとなっているところでございますが、20年度は積立金の 運用収益の悪化の影響により、大きなマイナスとなる見込みとなってございま す。  なお、こうしたことを踏まえまして、21年度の財政検証におきましては、足 元の状況としてこの点も織り込みながら行っているところでございます。  次に、ページをおめくりいただきまして、2−2、厚年でございます。厚生 年金につきましては、全体の動向といたしまして保険料収入の増、受給者の増 により、歳出歳入とも前年度と比較し増加している状況にございます。収支差 では約3兆円、支出が収入を上回っている状況でございまして、積立金残高に つきましては約124兆円という状況でございます。なお、厚生年金につきまし ても、先ほどの国民年金同様に、平成16年の財政再計算との比較表をページ1 枚めくったところに添付してございますので、ご参照いただければと思います。  足早で恐縮ですけれども、資料2−3でございます。船保でございますが、 船員保険につきましては、全体の動向として、被保険者数の減少などにより収 入がやや減少しているものの、引き続き黒字決算となっているところでござい ます。  なお、この収支決算につきましては、本体資料とは別に参考資料の1−1及 び1−2により詳細な資料を添付させていただいておりますので、こちらも後 ほどあわせてご参照いただければと思います。  続きまして、資料の3でございます。資料の3につきましては、平成20年度 の国民年金保険料の納付状況及び今後の対策についてということで、実績報告 とも重なる点もございますが、こちらもポイントを絞ってご説明させていただ きたいと思います。  まず、1枚飛んでいただきまして、2ページをごらんください。平成20年度 末の公的年金の加入者の状況でございます。こちら免除者やあるいは納付猶予 者を含めて、全体で6,949万人の加入対象者、そのうち未納者の方が315万人、 未加入者9万人ということで、公的年金制度全体で見ますと、加入対象者の約 95%の方から保険料の納付をいただいているという状況にございます。  続きまして、3ページをごらんください。20年度の国民年金保険料の納付率 でございます。現年度の納付率につきましては、ご案内のとおり80%という目 標を設定して、各種の取り組みを今、実施しているところでございますけれど も、20年度の現年度納付率につきましては62.1%でございまして、前年度と比 べても1.9ポイント減少という状況にございます。また、平成18年度最終納付 率でございますが、70.8%でございまして、こちらは19年度末の18年度分の納 付率と比較しますと、1.7ポイントの増という状況にございます。  こちらの原因でございますけれども、ページ飛んで5ページをごらんくださ い。その主な原因につきまして、私どもとしては3点考えてございます。  1点目は、経済状況の悪化による第2号被保険者から第1号被保険者に移行 した方に対する取り組みが十分に実施できなかったということ。それから、大 きな2点目としましては、平成20年10月から185の社会保険事務所で実施して いる市場化テスト、こちらご案内のとおり、国年の収納事業のうち強制徴収で すとか、あるいはその免除等の申請勧奨を除く納付特例業務につきまして、民 間会社に委託して実施するというものでございますけれども、この市場化テス トにつきまして、市場化テスト事業者との協力、連携が十分にできなかったと いうこと。それから、大きな3点目として、年金記録問題の影響があるという ふうに考えているところでございます。  こうした反省を踏まえまして、6ページでございますが、21年度の対策とい たしましては、まず大きなところといたしまして、年金記録問題への対応とい うものを最優先としつつも、日本年金機構が設立される来年1月までの間、目 標でございます80%の達成に向けて最大限努力すると。また、その目標に向け て納付率を反転上昇させるために、今年の年末、21年12月末まででございます けれども、現年度納付率を、平成20年度の現年度納付率よりも3ポイント以上 上昇させるということを目指すこととしているところでございます。  これを具現化するために、6ページの@、A、Bに書かれているところでご ざいますが、21年度の主な収納対策といたしましては、1つには、本年10月よ り全国のすべての社会保険事務所で実施される市場化テストにつきまして、受 託事業者の実施計画に基づき、週次単位で進捗管理を実施するなど、その効果 を最大限発揮させるための取り組みを推進させることですとか、あるいはAで ございますけれども、保険料負担が困難な方に対する免除勧奨の徹底というこ とでございまして、基礎年金の国庫負担が2分の1に引き上げられたことによ る免除期間の年金保障の充実が図られたということにつきまして、周知、広報 に努めまして、免除勧奨者の申請促進を図るということ。それから、強制徴収 の効果的な実施などに取り組むこととしているところでございます。  なお、国民年金保険料の納付状況につきましても、参考資料の2−1、及び その市場化テストに係る詳細な評価につきましては参考資料の2−2に資料を 添付させていただいておりますので、あわせてご参照いただければというふう に思います。  続きまして、足早で恐縮ですけれども、資料4でございます。資料4につき ましては、厚生年金及び健康保険の適用対策についてでございます。  まず、現状でございますが、従来より社会保険庁のほうでは未適用事業所を 把握するための取り組みを行ってきたところでございまして、16年度からは、 文書や訪問による加入指導を行ってもなお加入しない事業者に対しまして、社 会保険事務所のほうへ呼び出しなどにより、重点的に加入指導を行う取り組み を進めてきたりですとか、17年度からは、それでもなお加入しない事業者に対 しまして職権適用の取り組みなどを進めてきているところでございます。  しかしながら、5ページでございますけれども、現状の未適用事業所の適用 促進の状況といたしまして、特に平成20年度におきましては年金記録問題の影 響もございまして、加入指導等の実施状況は低調でございまして、適用した事 業所は平成19年度の約半分近くになっておりますけれども、3,381事業所、未 適用事業所数も約10万3,000事業所となっている状況でございます。こうした ことに対しまして当面の対応といたしまして、社会保険庁といたしましては地 方社会保険事務局への指導強化ですとか、あるいはその関係省庁との連携施策 の積極的実施などを行っていくこととしているところでございます。  足早でございますが、2から4につきましては以上でございます。 ○宮武座長  その他のほうは何かありますか。ありませんか。  それでは、今の1から4までの資料の説明について、ご質問なり、ご意見、 ご注文、ご自由にお願いいたします。 ○鈴木委員  収支決算の説明をいただきました。それで、その収支決算の説明と同時に、 平成16年度の財政再建計画との比較ということで表をおつけいただいているわ けでありますけれども、この表を見ると、収支差の残、それから積立金の残高 と、一番右に表がありますけれども、19年度まではどうなんでしょうか。国民 年金も厚生年金もまずまずだということだというふうに理解していいのかどう か、何か問題があるのかどうか。  この20年度については、これは括弧書きの数字だけ、これは時価ベースの収 支決算の数字が書いてあって、その差がないということですけれども、この20 年度についてはどういうことになっているのか。これ16年度に100年安心プラ ンとして出たというふうに理解しておりますけれども、それに対してどういう 見解を、運営しておられる皆さんは実感しておられるのか、そこを質問したい と思います。 ○宮武座長  お願いします。 ○井上年金保険課長  年金保険課長でございます。ただいまのご質問、お答えいたします。  資料2−1のほうが国民年金、資料2−2が厚生年金のほうで、どちらも最 後のページに、今ご指摘のありました平成16年の財政再計算と収支決算の比較 ということで表が出ているわけでございます。一番右側のところに財政再計算、 平成16年に財政見通しを立てたときの見通しと、それから実績が比較してどう だったかということを表記しているわけでございます。  最初に国民年金のほうで見ていきますと、一番右のほうの欄で財政再計算と の差、収支差引残、これは収支差が見通しと比べてどうであったかと。プラス の場合は見通しよりもよかったと、マイナスはその年見通しよりも悪かったと いうことになりますが、国民年金でいきますと、16年、17年は財政再計算上の 見通しよりも収支がよかったということです。18年、19年はマイナスが立って おりますので悪かったと、こういうことになります。  累計でどうかということを見ていくためには、右側の積立金の残高、これが 見通しと比べてどうだったかということで、累計でどうかということがある程 度わかるということでございまして、これにつきましては、この4年間で見ま すと常にプラスを維持している状況、つまり見通し上の積立金残高を上回る状 況が続いておったということでございます。ただ、18年、19年とフローのほう でマイナスが立っていますので、その分積立金の見通しを上回っている金額自 体の、プラスの金額自体は少し小さくなっていると。20年度はどうかというこ となんですが、20年度はご案内のとおり、昨年秋以降の世界的な金融危機の中 で積立金の運用環境が非常に悪化したという、その影響で時価ベースの収支が 悪化しております。これは括弧書きで書いてありますが、収支差引残のところ がマイナス1.3兆円と、こうなっておりますが、この大きなマイナスとなって いる要因は、そういった運用環境の悪化ということがございます。  これは、左側の財政再計算ではマイナス0.2で、同じベースで直接比較でき ないんですけれども、ただ収支差ということで言いますと、実績推計と収支決 算の数字を各年見てもそんなに大きな差がないことから、類推しますと、やは り実績推計で見てもかなりのマイナスであろうということで、20年まで累計し て見たときには積立金残高が財政再計算上の見通しよりもさらに悪化している 可能性があると。ここはまだ数字が出ておりませんので、確定的なことは申し 上げられませんが、その可能性があるというふうに思います。  ただ、このページの一番下に書いてございますけれども、枠囲いの中に書い てございますが、昨年12月末までの株価等の状況を織り込んで、平成21年に新 たな財政検証ということで、新たな年金財政の見通しを立てておりますが、そ の際には昨年12月末までの株式市場の動向とかそういうことも加味した上で、 そこを発射台にした財政検証を行っておりまして、一定の前提条件のもとで長 期的な収支のバランスがとれるような、そういった結果が出ているところでご ざいます。  それから、一方、厚生年金のほうでございますが、厚生年金のほうも同じよ うに見ていきますと、右側の財政再計算との差の収支差引残のところを見てい きますと、16年から18年まではプラスでございますので、見通しを上回ってい たと。19年はマイナス7兆ということで、19年においては見通しを下回ったと。 積立金残高のほうを見ていきますと、16年から19年度までの4年間においては 常に見通しを上回っている状況でございました。ただ、20年度につきましては、 先ほどと同様、そういう積立金の運用環境の悪化の影響等がございまして、括 弧書きの中の収支差引残のところ、マイナス13.5ということで、実績推計も恐 らくかなりのマイナスということが予想されるということで、これも加味した 場合には、積立金残高が財政再計算上の見通しを下回っている可能性があると いうふうに思われます。ただ、これもこういった昨年末までの株価等の状況に ついては織り込んだ上で新たな財政検証を21年に行っているということは、国 民年金のほうと同様でございまして、やはり厚生年金のほうも一定の前提のも とで長期的な収支のバランスがとれるような、そういう計算の結果になってい るということでございます。  以上でございます。 ○宮武座長  よろしいでしょうか。再度ご質問があれば。 ○鈴木委員  ちょっとこの参考資料の1−1ですか。ここで今ご説明になった平成21年度 財政検証というのが、この表になるわけですか。参考資料1−1の中の後ろの ほうか何かについているのかな。 ○井上年金保険課長  参考資料1−1の後ろから2枚目ですね。2枚目の紙の裏表が厚生年金、国 民年金になっているわけです。 ○鈴木委員  これが今おっしゃった2020年12月末までの株価高騰の状況を織り込んで行っ ていて。 ○井上年金保険課長  そうです、はい。 ○鈴木委員  今、安定しているとおっしゃった資料でしょうか。 ○井上年金保険課長  そうでございます。 ○鈴木委員  これはどこが安定しているんですか。これはどう見るとわかるんですか。 ○井上年金保険課長  約100年間の間、最終的に約100年後に積立金1年分、給付費の1年分程度を 残して安定化を図っていくという、そういう長期的な見通しになっているわけ でございまして、一番右側のところに積立度合というのがございます。これは 積立金が給付費の何年分に相当する形で残っているかと、積立金が完全に枯渇 して給付が払えなくなるというのが、ある意味財政が破綻した状態なわけです が、そういうことにならずに、約100年後に積立金が約1年分残るという形で 安定軌道に乗っていくと、こういう計算になっているということでございます。 ○鈴木委員  16年の財政再計算というのも、2100年のときに積立度合が1となっています ね。ということですか。 ○井上年金保険課長  そういうことでございます。 ○鈴木委員  そこで見てそういうことだと。わかりました。 ○宮武座長  どうぞご自由にご発言ください。 ○久保田委員  大臣が2年間でやるというのは、人材を登用すればというか、人数を手当て すれば2年間でできると、そういう見通しが立っているんですか。8億件の紙 との突合をこれから2年以内に解消するというのが党のマニフェストにあるわ けですけれども、それへの対応というのはうまくいきそうなんですか。 ○宮武座長  年金記録問題の件ですね。どなたかお答えください。 ○福本企画課長  後ほどご説明をしようかと思っていたんですが、この中の資料5というのが ございます。後ほどの説明でありますが、資料5、これは22年度の概算要求で ございます。政権がかわりまして、本来、8月末が本来の提出期限であります けれども、政権がかわりましたので、各省10月15日を期限として、新政権のも とで予算要求をやり直したものが実はこれでございます。この中で1,779億円、 年金記録問題への対応ということで、下に予算を書いております。22年度、年 金記録問題への対応としてこれだけの予算を投入し、この中で紙台帳とコンピ ューター記録の突き合わせ、これが8.5億件ですね。8.5億件の年金記録に関す る紙台帳とコンピューター記録の突き合わせを、全体の工程としては4年間で 行い、この中では紙台帳とコンピューター記録との突き合わせが大体800億円 ぐらいなんですが、1,700億円のうちですね、初年度こういう形で取り組んで、 2年度目以降はこの23年度以降の予算措置ということになりますけれども、そ の中で人員の手当てもして、この4年間で8億5,000万件の突き合わせを終え ていくという計画を立てまして、あるいは大臣と相談し、そういう指示を受け て、予算要求もして22年度から取り組んでいくという準備をしておるというと ころでございます。 ○宮武座長  よろしいでしょうか。 ○福本企画課長  はい。 ○鈴木委員  今のにちょっと関連して、これ今、1,779億円の概算要求がなされたという ことですが、過去から累積すると、これ幾らになっているんですか。 ○福本企画課長  年金記録問題は、過去からの累積では1,500億円が。 ○鈴木委員  過去が1,500億円ですか。 ○福本企画課長  今まで1,500億円ですね。1,500億円、年金記録問題に予算を投入してきたと いうことでございます。 ○鈴木委員  大体、今年の1,800億円をやると、一応これでこの問題は予算的には片づく と、こういうことになるわけですか。 ○福本企画課長  先ほど申し上げましたように、これが22年度の話であります。紙台帳とコン ピューター記録の突き合わせのような仕事は4年計画ですので、この予算は初 年度の22年度の分だけです。 ○鈴木委員  これ掛ける4になるというふうになりますか。 ○福本企画課長  単純にそういう数字ということではございません。ほかのものも結構これに は含まれておりますので、裏面にちょっと内訳を書いております。紙台帳とコ ンピューター記録の突き合わせは、この後も予算を確保してということになり ます。 ○鈴木委員  これだけ金が、税金が使われると、何かもう少し効率的な、過去の失敗を整 理しているんだけれども、整理の仕方ももうちょっと何か効率的な方法はない ものですかね、これ。毎年こうやって金を使うというのは、国の財政が逼迫し ている折、大変大きな重荷のような気がしますけれども。こうやってきっちり やるのが一番かっこよくていいのはよくわかるけれども、税の使い道として本 当に効率的なのかどうかというような批判もあるんじゃないでしょうか、これ は。そういう点でも議論いただきたいと思いますが。 ○宮武座長  後ほども新しい年金機構に対してのご要望を聞く機会もございますので、そ れはご自由にご議論のテーマとしていただければと思います。  ほかにございませんか。 ○鈴木委員  よろしいですか。事業実績報告書の中に社会保険オンラインシステムの更新 と、これはずっと努力してつくってきておられるんですが、こうしてそのオン ラインシステムをつくるんですけれども、これはまた年金のシステムが大幅に 改定されるというようなことになったときに、今やっているこの作業は無駄に ならないのかどうか、そこをちょっと伺いたいと思いますが。 ○末岡管理官  新システムの開発を担当しております、管理官の末岡と申します。  ただいまご質問のございました、将来の制度改正等の業務要件の変更につい て、新システム開発の中でどのように対応していくべきかという点でございま すけれども、こうした将来的な業務要件の変更につきましては、その具体化の 程度でございますとか、システム開発に及ぼす影響の大きさ、規模、それから 現在進めておりますシステム全体の開発段階、開発の進め方などを総合的に考 慮しまして、いわゆる手戻りが生じないような進め方をしていくことが必要で あるというふうに考えております。  刷新システムの状況でございますけれども、現在は詳細設計の前に、基本設 計の補完作業の実施に向けた準備を進めているという段階でございまして、新 システムの稼働までの仕様をここで最終的に凍結するということではなくて、 将来あり得るような制度改正の取り込みにつきましても念頭に置きながら、柔 軟なシステムづくりという姿勢で臨んでいきたいと考えております。  今後とも、制度改正等への対応については、その動向をよく注視しながら効 率的な開発が進められるように、要件管理をきちんとしていきたいと考えてお りますが、仮に将来制度改正が行われた場合におきましても、現行制度のもと において実施されている事業、あるいは記録を適切に管理するための機能等に つきましては、引き続き対応が必要ではないかというふうに考えているところ でございます。 ○鈴木委員  大変明快に答えていただいたんだけれども、結局政権がかわって、民主党に なって、この年金システムは、言ってみれば大幅に変わると。そのことも頭に 入れながらも既に設計はしてありますよと、こういうふうに理解していいんで すか。今のシステムをすぐ、今の制度がすぐ切り替わるわけではないんだから、 そういう意味のその部分は有効に生かされるはずだと、こう理解していいんで すかね。 ○末岡管理官  今後予定される制度改正につきましては、まだ要件についての具体化の状況 を注視していかなければいけない段階だと考えておりますので、今の時点で必 ずしも対応ができているというものではございません。ただ、これまで実施し てきた作業の中で、現行システムについてこういう点は改善していくべきでは ないかといったような検討をしている部分もございますので、そうしたものに つきましては、今後システムを新たにする場合においては反映させていきたい ということで、現在そうした要件の整理をしているところでございます。 ○宮武座長  ほかにございますか。小島さん、いかがですか。 ○小島委員  事業実績報告書の先ほどのご説明いただいた3ページから4ページにかけて、 3ページのところでは社会保険事業についての業務概況で、適用事務のところ で被保険者数ですね、厚生年金、そして国民年金の被保険者数がともに減少し ているというふうに書いてあるんですけれども、厚生年金の減少は、今、景気 後退の中で雇用労働者が解雇とか減少しているということで、厚生年金の被保 険者のほうは減少というのはある程度何となくわかるんですが、逆に言うと、 その分国民年金のほうに移るんではないかと思うんですが、国民年金のほうの 被保険者も減少しているということ。これはどういうふうに見ておく、そんな に人口減ということを、急な話ではないと思うんですけれども。  そこと、もう一つ、4ページのほうに保険料の収納率で、厚生年金と政管健 保の収納率の、若干でありますけれども、差が出ているところですが、これは 確かに政管健保は中小を中心とした事業所になりますので、経営的にちょっと 厳しいということで、多少徴収率が落ちるということがあって、厚生年金のほ うは、ここは大企業も含めてということなので、そういう意味では多少差は出 るのかなというふうに思いますけれども、そういうこととして理解していいの かなという2点ほどなんですけれども。 ○井上年金保険課長  1点目について、お答え申し上げます。  国民年金の被保険者数については、基本的には長期的にだんだん減ってきて いるトレンドがあります。それは大きな要因は、国民年金は20歳から60歳まで 適用ですけれども、60歳になって抜けていく人と、それから20歳になって新た に入る人の人口規模、抜けていくほうの人口規模がいわば今団塊の世代、もし くはその少し後くらいの人たちが60歳になって抜けていっていると。20歳のほ うはだんだん少子化で少なくなっている世代が新規参入してくるということな ので、そこの入り繰りの影響が一番、長期減少傾向というものの影響です。た だ、昨年度に限って言いますと、やはり景気の低迷の影響があって、昨年の、 たしか秋ごろからは少しずつ2号のほうから1号に移ってくる人がふえてきて いることで、だから昨年の秋ごろからは、実は1号被保険者、少しずつふえて います。ただ、年間平均で見ると、まだ前年度よりは少し減っているというこ とで、1年の間で減ってきたのが、秋ごろから反転してちょっと上がってきて いると。ただ、前半の減り方のほうがちょっと大きかったので、年平均では前 年より減っているというのが20年度の状況だったということでございます。 ○小島委員  国民年金のほうは、そういう意味では、いわば人口構成の変動によるその影 響ということでしょうかね。長期的トレンドとして。 ○井上年金保険課長  長期トレンドとしてはそういうことだと思います。ただ、昨年は短期的なそ ういう経済変動という状況があったので、1年トータルで動きを見ると、少し ちょっと特殊な動きがあったということだと思います。 ○後藤国民年金事業室長  補足させていただきます。よろしいでしょうか。  1号から3号まで含めたところの動きを、私ども1号のほうを担当させてい ただいていますので、状況を把握しましたところ、平成20年度ですね、団塊の 世代が、主に昭和23年生まれの方が中心になりますけれども、この方々が60歳 到達ということであります。この方々の人口が大体230万から240万弱だという ふうに承知しております。  一方、平成20年度に20歳で成人する人員ですが、約130万人と言われていま す。したがって、2号は単純に60歳までということではありませんけれども、 20歳から60歳までの人口の減少というものを考えると、1号、3号、トータル の人数そのものもこの後減少していくんだろうと。  そんな中で、1号、先ほどの説明ありましたけれども、これまで60万とか70 万の単位で減少してまいりましたけれども、20年度は30万にとどまっており、 一方、2号が十数万減っておりますので、やはりここは人口の影響に加え、今 年度に入りまして1号が増加の傾向を見せておりますので、これは恐らく離職 によって、1号のほうに来られている方の数がかなり多くなってきているので はないかということで理解しております。  以上でございます。 ○坂東適用・徴収対策室長  厚生年金適用・徴収対策室長の坂東でございます。厚生年金の徴収率が下が っているということについてでよろしかったでしょうか。 ○小島委員  下がっているというよりか、厚生年金の徴収率とその政管健保のいわば徴収 率の差というのは、これはどういうふうに見たほうがいいのかと。1ポイント ほど差があると思います。 ○坂東適用・徴収対策室長  申しわけございません。その点についてはちょっと細かく分析しておりませ んので、後ほど宿題ということでよろしいでございましょうか。 ○井上年金保険課長  ちょっと今、正確な分析を持っていないのであれですけれども、予想として は、やはり滞納事業所というのは中小零細企業に多いということがございます ので、やはり中小零細企業をカバーする政管健保というか、大企業で組合健保 を持っているところが抜けて、中小零細企業のシェアが多い政管健保という言 い方が正しいですね、の収納率が高くなっているのではないかというふうに予 想されますが、そこはちょっと分析したいと思います。 ○宮武座長  よろしいですか。もしほかになければ次の議題に移りますが、もちろんその 後も自由にご討議いただく時間ございますので、思い出しになったら後でご意 見、ご質問、お願いします。  それでは、今日、渡邉長官がおっしゃったように最後の運営評議会となりま すので、自由なご意見をいただくわけですが、その前に、来年発足する日本年 金機構というものが現在どういう状況なのかと、準備状況等を説明をお願いい たします。 ○経理課(遠藤)  経理課の課長補佐の遠藤でございます。  私のほうからは資料の5につきましてご説明をさせていただきます。  10月15日にマニフェストに沿いました平成22年度予算概算要求書を提出させ ていただいております。健康勘定及び児童手当勘定を除きます年金特別会計の 概算要求の総額は、歳入で67兆8,478億円、歳出で67兆6,654億円となっており ます。このうち、勘定間の繰り入れを除きますと、保険料収入約26兆円、それ から年金給付費国庫負担が約10.5兆円、共済からの基礎年金拠出金、これが約 3.1兆円などの収入をもとに、約44兆円の年金給付を行っているところでござ います。  なお、厚生年金勘定で、収支差のところに5.9兆円を積立金からの受け入れ を予定しておりますが、今後につきましては、保険料率が2017年まで段階的に 引き上げられることとなっておりますので、今後解消されていく見込みであり ます。  社会保険事業運営費を経理いたします業務勘定、これの要求額は5,485億円 となっております。この中には、日本年金機構の運営費交付金3,761億円が含 まれております。概算要求の主要事項といたしまして、マニフェストに沿って コンピューター記録と紙台帳の全件照合など、年金記録問題への対応を国家プ ロジェクトと位置づけまして、平成22年度、23年度の2カ年間に集中的に取り 組むこととしております。22年度は1,779億円を要求してございます。具体的 な事項につきましては、裏の参考をごらんいただきたいと思います。  私からは以上でございます。 ○西辻管理官  では、続きまして、年金機構の設立に向けた準備についてご説明をさせてい ただきます。日本年金機構設立準備事務局の西辻と申します。  資料は6でございます。年金機構設立に向けた準備状況についてという資料 でございます。  年金機構につきましては、一昨年、平成19年の通常国会で日本年金機構法が 成立いたしまして、昨年の秋からは日本年金機構の設立委員会で設立に向けた 議論が行われているという状況で、22年1月1日の設立ということが決まって おりますので、残すところ2カ月ちょっとという、まさに準備段階も佳境に差 しかかっているという状況でございます。  資料をおめくりいただきまして、1ページでございますが、まず物理的な問 題といたしまして、庁舎の問題がございます。機構は本部と、それから全国に 9つのブロック本部をつくり、それから312の年金事務所を置くという組織構 造になっておりまして、本部につきましては、現在社会保険庁、この合同庁舎 に入っておりますが、機構の本部は現在高井戸にございます社会保険業務セン ター、この建物を使って本部を設置をするということで予定をしております。 それから9つのブロック本部は、現在、社会保険事務局というのが47あるんで すけれども、それを廃止いたしますので、廃止する事務局の跡のビルを使える ところと、そうではなくて新しくテナントを借りるところということで、両方 あるわけでございますが、移転設置と現在の事務局跡地に設置という両パター ンがございます。社会保険事務所に関しましては、名称は年金事務所というこ とに変わりますが、物理的な移転というものはないということでして、いずれ も1月に年金機構として稼働できるように、現在テナントビル等を借りて改修 をして、それから今後移転を行っていくというスケジュールで進めております。  それから、2ページが文書の整理、移転でございます。年金機構の設立に伴 いまして、現在社会保険庁、あるいはその社会保険庁の地方支分部局で保管し ております文書の整理、移転という作業が発生してまいります。基本的に社会 保険庁の資料というものは、別途指示があるまでは、これは廃棄せずに保管を するというのが基本的な考え方でございますので、現在社会保険庁、あるいは その地方の社会保険事務局等で保管している文書につきまして、厚生労働省の ほうに移管する、ないしは日本年金機構のほうに移管するということの、それ ぞれのすみ分けを決めた上で、必要な保管場所の確保等を行うということで進 めております。  社会保険事務所につきましては、これも先ほど物理的な移転はないというご 説明をいたしましたが、文書につきましても物理的な移動はしないということ で考えております。  続きまして、3ページでございますが、3ページ、4ページは職員の採用で ございます。日本年金機構は社会保険庁の年金業務をそのまま引き継ぐわけで ございますが、社会保険庁の職員をそのまま移行させるのではなくて、社会保 険庁の職員の方にはいっぺん退職していただいて、機構のほうで採用するとい うプロセスが入ります。また、あわせて日本年金機構の基本計画、閣議決定さ れております基本計画の中で、設立時に1,000人程度民間から職員を採用する ということが決まっております。  3ページは社会保険庁からの職員の採用でございますが、これは年金機構設 立委員会のほうで決めていただきました労働条件、採用基準、これを見て、機 構での雇用を希望される方を募りまして、社会保険庁長官が名簿を提出すると。 その名簿の内容を年金機構の設立委員会が審査をして、採否を決定するという プロセスで進んでおります。  既に今年の5月に採用内定者、正規職員9,614名、准職員349名というものが 決まりました。そのときに健康上の問題等で保留されていた方々、それから一 部追加募集を行った結果も、この10月8日の設立委員会で採否が決定したとい う状況でございます。  4ページは、今度は民間からの職員の採用でございますが、民間からも 1,000名、うち350名程度は管理職員ということで、これも募集を行いました。 4月以降募集を行いまして、7月にいったん内定を出しております。1,078名 の内定を出しておりますが、ただ管理職員について若干のまだ不足があるとい うことで、追加募集を行っております。それから、社会保険庁の職員で埋めら れなかった部分につきまして同様に民間からの募集を行うということもやって おりまして、最終的には今月の下旬を予定しております設立委員会で正職員の 採用というものがおおむね完了するだろうというふうに考えております。  ここで重要なのは、1の内容及び方針の(4)のところでございますが、民 間から採用される方の中で、もう既に仕事をやめられているというふうな方で、 社会保険庁で非常勤職員等として勤務が可能であると、それで業務に多少慣れ るようなことができるという方については、社会保険庁の非常勤職員等として 採用して、あわせて12月までの間に研修も受けていただくということで考えて いるところでございます。  それから、おめくりいただいて5ページでございますが、今度は機構の設立 に向けた職員の配置でございます。1月1日に設立をいたします。それで、あ わせて組織的にも社会保険事務局が廃止されて、ブロック本部ができるといっ たような変更があるわけですが、やはり1月1日の混乱というものを極力回避 するためには、できる限り人事異動というものを前倒しでやれるものをやって おくというのが基本だろうということで考えております。特に社会保険庁から 機構に採用される方につきましては、11月までの間の人事異動において、可能 な限り機構の体制というものを踏まえた人事異動というものを行っておくと。 そうではない方についても、1月1日の1週間前に内示を出すというのではな くて、あらかじめしかるべく段階までに、1月1日以降、機構のどのポジショ ンで働いていただくということをお伝えするということで考えております。  それから、年金事務所の所長につきましては、先ほど申し上げた基本計画に 基づきまして、社会保険庁から採用される中の若手や中堅職員からの選抜登用、 あるいは外部の民間からも人材登用というものも行っていく。それから、民間 から採用される職員の中で、既に社会保険庁で現在任期付き職員あるいは非常 勤職員として雇用されている方がおられますので、その方々はやはり今やって いる仕事に近いところで機構においても頑張っていただくということが、戦力 のできるだけ最大化を図るという観点から有効なのではないかというふうに考 えております。  それから、6ページでございますが、業務処理マニュアルの作成でございま す。現在、社会保険庁でも業務処理の手順書、マニュアルをつくって職員が仕 事をしているわけでございますが、機構という新しい組織をつくることに伴い まして、変更しなければいけない部分というのが幾つかございます。そこに書 いてございますが、権限の変更、組織の変更、あるいは事務処理の集約化等々 あるわけですけれども、こういった変更点をマニュアルに反映させるとともに、 現在のマニュアルを、若干ちょっと書き足りない部分を深掘りするといったよ うな作業を行うことによりまして、機構のマニュアル、業務処理マニュアルと いうものをつくり、新しく入ってこられる民間の方も含めて、日本全国で年金 機構が同じようなサービスを提供できるというふうなことを目指すということ でございます。現在、マニュアル作成もほぼ終盤に差しかかっておりまして、 今後、社会保険庁のLANシステムの掲示、あるいはその印刷等を行いまして、 あるいはまた研修を行って1月1日に備えるという手順を予定しているところ でございます。  続きまして、7ページでございますが、システムの変更でございます。社会 保険オンラインシステム、記録管理システムについては、今刷新がスケジュー ル化されておりまして、進んでおるという状況でございますが、この機構の設 立よりは後になるということで、機構設立時の社会保険のオンラインシステム の変更というものは、ごくごく限定的なものになるというふうに考えておりま す。具体的には、歳入徴収官の名義が変わるというあたり、それから決裁事務 の決裁ルートが変わるということ。あるいはまた帳票の見直しですね、長官名 で出していたものを大臣名あるいは機構の理事長名に変えるといった、こうい ったことがオンラインシステムの変更点ということでございまして、いずれも 既に設計を終えて、現在製造段階に入っておりまして、今後テストを行って1 月からの業務開始に備えるということ。  それから、オンラインシステムとは別に、もう一つ、間接業務システムとい うものを機構は導入をいたします。これは人事、給与、会計等いろんな内部管 理業務、今、国の組織ではそれぞれの人事だったら人事、給与だったら給与の システムを使って、職員が作業をやっているんですけれども、大きな会社では どこも導入されているんだとは思うんですが、こういった統合管理のシステム というものを使って、できるだけ人手をかけずに合理的な内部管理事務という ものを進めていこうということで考えております。昨年度からシステムの開発 等々を行っておりまして、現在もう既に運用テストに入っておるところでござ います。  それから、8ページが設立に向けた調達でございます。現在、社会保険庁と しても業務を行うに当たって、いろんな役務の調達、あるいは物品の調達等々、 いろんな調達を行っておるわけでございますが、それは当然、1月以降は今度 は機構としての調達を行う、社会保険庁がやっていたような類型の調達を行う ということなんですが、それに加えて、公法人という立場上、機構として新た に、社会保険庁時代にはやっていなかった調達を行わなければいけないものが 幾つかございます。典型的なものがそこに書いてございますが、メインバンク を決めなければいけない、会計監査人を選ばなければいけない、それから損害 保険の調達、これは機構の庁舎等の火災とかのそういったリスクへの対応とい う意味での損害保険の調達、こういったものにつきましては、本来は契約自体 は機構が設立しなければ契約の締結ができませんので、契約の日付は1月1日 ということになるんですが、1月1日に契約をされてもメインバンクとしての 機能というものは、それはそこから準備をされていたのではなかなかすぐには 使えないということで、あらかじめ選定の作業というものを行っておくととも に、選定された候補のいろんな金融機関等に必要な準備を行っていただいて、 1月の契約と同時にサービスが提供できるようにということで準備を進めてお るところでございます。  続いて、9ページでございますが、機構設立に向けた研修ということでござ います。機構がやる仕事は社会保険庁と同じ年金の仕事でございますけれども、 特に内部統制とかリスク管理とかコンプライアンスとか、かなり内部の部分に つきましては大きく変更される部分がありますので、そういったところを本来 であれば入念に研修を事前に行いたいというふうに考えておるんですが、通常 の業務を行いながら機構の設立準備を行わなければいけないということで、こ こでは12月までの間は、本当にどうしても最低限やらなければいけないものに ついて研修を行うということで考えております。  具体的には、1つが労務管理の研修。国家公務員と違って民間の労働法制の もとで労務管理、勤怠管理等を行っていかなければいけないということで、特 に年金事務所長等、管理者となる立場の方々にそのあたりの研修を行うという のが1点。  それから、先ほどご説明した間接業務のシステム、これは全く新しいシステ ムですので、それぞれ人事ですとか、経理ですとか、あるいは労務管理の、ま さにシステムを使う方々にシステムに慣れていただくという研修が必要だと思 っております。  それから、マニュアルにつきましても、先ほどご説明した変更点、修正点を 中心に、やはり一通りの研修を行って、さらにそれを持ち帰って伝達研修をし ていただくということで、できるだけ事前にマニュアルについて習熟をしてい ただきたいということで、いずれの研修も10月の下旬から順次始まりまして、 12月の半ば過ぎぐらいまでに、伝達研修を含めて終わらせたいというふうに考 えております。  最後が10ページ、機構設立に関する広報でございますが、とりあえず1月に 機構ができるということを、まずは国民の皆様、機構のお客様である国民の皆 様にできる限り幅広く知っていただきたいということが、広報の訴求ポイント になるんだろうというふうに思っております。これまで既に4月からお客様、 受給者の方、あるいは被保険者の方にお送りするいろんな文書に広報の文言、 22年1月に機構が設立されるということ、あるいは最寄りの社会保険事務所は 年金事務所という名称に変わるということ、さらには保険料の納付書等でいい ますと、社会保険庁の名前でお渡ししたものも機構設立後も使えますといった ようなことを、チラシを入れる、あるいはその封筒に印刷するというふうなこ とでやっておるところでございます。  今後は、今後のスケジュールのところに書いてございますが、特に11月以降、 税の関係のいろんな送付文書等が出てまいりますので、そういったものも使用 していく。それから、当然ホームページも使っていく。それから、各市町村が それぞれ広報の媒体というものを持っておりますので、そこにも掲載をしてい ただく。それから、当然ですけれども、政府広報の活用というのも行っていく ということで考えております。  これ以外にも、細かい準備作業というものがいろいろございまして、今、鋭 意社会保険庁、それから年金局、一緒になってやっているところでございます。  それから、1点だけ、ちょっと関連いたしまして、参考資料のほうなんです けれども、恐縮なんですけれども、参考資料の6でございます。日本年金機構 の設立についてという横の資料がございます。これは機構の概要について記し たものでございますが、この中で機構でも運営評議会というものをつくります が、それについて若干言及しておるところがございます。  1つは14ページでございますが、機構の組織の中で内部統制、ガバナンスの 確保の観点から、こういった組織形態にしますよということが書いてございま すが、14ページのその下のほうの絵ですけれども、理事長を筆頭とする理事会、 機構の意思決定機関なんですけれども、それとは別に運営評議会というのがそ の上のほうに書かれてございます。この具体的な運営評議会の中身が次の15ペ ージに書いてございますけれども、年金機構法の中で被保険者あるいは事業主、 それから受給者の皆様方の意見を機構の業務運営に反映させるんだということ が書いてございますので、その枠組みとしてこの運営評議会というものを使っ ていきたいというふうに考えております。  運営評議会の役割として、今考えておりますのが、機構が毎年度つくる年度 計画、それから中期の目標を示されたたびにつくる中期計画、こういったもの をつくるときには、あらかじめ運営評議会の意見を聞く、あるいは重要な事項 については、都度理事長が意見を聞く、それから理事長の求めがなくても、運 営評議会の側としても積極的に機構に対して提言を行っていくと、こういった ような枠組みで考えております。  いずれにいたしましても、年金機構におきまして国民の皆様からの意見とい うものを幅広くお聞きして、業務運営に生かせるような形の運営評議会の運営 機能というものを追求していきたいというふうに考えております。  説明は以上でございます。 ○宮武座長  この日本年金機構に向けてのご質問なりご要望、あるいはこれまでの運営評 議会を振り返ってのご意見でも何でも結構でございます。あと30〜40分の時間 がございますので、ご自由にご発言ください。 ○井口委員  新しい機構のことで、市町村に広報に掲載をしてほしいと、我々のところに も来たんですが、本当に大変だなというふうに思いましたね。小さくなって、 別に何も悪いことをしたことがないはずなのに、本当にそれだけでも大変気の 毒だなというふうに思いました。  私は、ちょっとここで合うかどうかわかりませんけれども、極言すると、結 果として年金問題というのは政争の具にされた一面があるのではないかという ふうに思います。確かに記録問題、重要な誤りがあったのは確かだと。ですか ら、このことについてはもちろん、今後年金業務を執行するに当たってはしっ かりと教訓として生かしていかなければならないものであるというふうに思い ます。実際のところ、あれだけ長期間にわたって、しかも膨大な件数がある中 で、もちろん比較すれば誤りが多かったのかなというふうに思うわけではあり ますけれども、そしてまた、理屈の上では1件たりとも無駄にしてはいけない と。当然理屈は理屈としてそうなのではありますが、現実あれだけの件数で、 正直、大部分についてはしっかり処理をされているんだと。ところが、今あれ だけいろいろ問題となると、結局出先を含めて、年金にかかわりを持った職員 というのはいかにも悪い職員で、不真面目な職場のように思われたということ は、実は大変残念なことだというふうに思いますし、またある意味では、有能 な経験豊かな職員の方が実際のところは仕事ができなくなるという懸念がある ということ、やっぱりこれは本当は日本の国全体にとって、私は大きな損失だ なというふうに思います。  なお、例えば国民年金の納付率が62.1という数字が出ているわけであります が、実はこれは相当気になる数字だと。強制徴収だとか、そういうことも含め て毅然とした対応ということもやっぱり必要ではないかなというふうに思いま す。  残念ながら、一部、特に若い人と言っては語弊がありますけれども、どうせ 納付しなくたっていずれ受けられるんだからとか、あるいは私が老後になった ときにはもう年金はパンクしているんだからとかいったような話があるわけで あります。残念ながら、政治行政の中では、1つの正しいものを救うために同 数以上のものも救うという対応が、結構残念ながらとられているというふうに 思います。やっぱり年金というのは国民の責務なんだということを強調してい かなければなりませんし、ルールを守らない人については、やっぱり本当は給 付はしなくてもいいと。ところが、どうも立派な政治家が多すぎて、そういう 人までも全部救おうとする。だから、やっぱりこれが日本の国を悪くしたので はないかというふうに思います。少し問題発言かもしれませんけれども、そん なことを実は感想として持ちました。  時代に合わせていろいろ改善を加えていくということは極めて重要なことだ というふうに思いますが、今度こそ新しい組織というのは、政権がかわったか らといって変わるとか、そんなことがないように、本当に年金と同じように組 織自体も永続的なものであってほしいなというふうに思います。ちょっとこの 場でそぐわない発言かもしれませんが、感想としてそんなことを言わせていた だきたいと思いました。ありがとうございました。 ○宮武座長  本当にありがとうございます。どうぞ、続いてご発言いただければと思いま す。 ○井戸委員  今、日本年金機構の設立の準備状況を初めて見させていただいて、何がどう 引き継がれていくのかというのはすごくよくわかりました。広報もされていく ということなんですけれども、政権がかわって、年金の制度そのものが変わる というところに国民の皆さんが、ぐっと目がいってしまって、先ほどお話があ りましたけれども、保険料を払わなくても7万円もらえるんだとか、そういう ふうに思っていらっしゃる方がやっぱり相談の中でも出てきたりとか、詳細が わからないことによって、何か読み方も人それぞれに変わってきてしまってい るんですね。  もう5年、この会議でお世話になったんですけれども、どうしたら保険料が 上がっていくのかとか、すごくいろんなご意見が出てきていたのに、そういう ことで、もう保険料払わなくたって大丈夫なんだとか、それから保険料の徴収 が、今払ってもどうせ制度が変わったら無駄になるのか、何かよくわからない という混乱をすごく招いていらっしゃると思うんですね。だから、その辺のと ころがすごく残念ですし、年金そのものが急激に変わるということではありま せんので、混乱とか不安がないようにうまく、制度が変わるにしろ、うまく引 き継がれていくものということを、広報をやっぱり充実させていただいて、私 たちが安心して保険料を払って、安心して暮らせる年金にしていただきたいと 思います。 ○宮武座長  どうぞ、引き続き。どうぞ。 ○加納委員  私も5年ほどここで皆さんとご一緒させていただいたんですが、この5年間、 果たして私お役に立てたのかなと思いながら、今日は聞いておりました。いろ んなことございました。でも、私はやはりこの人事の管理というか、最初この お話を聞いておりましたら、いろんな人事面が3重にも4重にも重なるように なり、そのトップのリーダーが人事管理をもっとしっかりしてくださっており ましたら、こういう問題もなかったというか、少なくなっていたんじゃないか なと思うのがずっと続いておりました。  そして今日、新しい人事が、民間からもあり、非常勤もあり、いろんな職員 の方たちの選出の分野がまた同じように何段階にも分かれているように伺いま して、これでまた同じようなことが起こらないのかなと。研修、研修とおっし ゃっておりますけれども、研修をするのは今までも研修をしていらした。だか ら、これ以上の研修をすることが果たして、今まで未加入の方が、よし、これ からは年金に、老後を安心して過ごすために加入をしていこうと若い人も言っ てくださるなり、また、今ストップしている方が就労し、働き出して、皆さん を支え合う一員となってもう一度年金を考えようと効果のある研修があるのか。 そういう元気の出るような年金にしていただき、内部の、何回も申します人事 面をもっとしっかりとしていただきたいなと思っております。 ○宮武座長  どうぞ、引き続き。 ○鈴木委員  これ社会保険庁、最後大変いろんな問題があって、先ほど私ちょっと申し上 げた、非常に無駄な税金をたくさん使わなければいけなかったと。今年だけじ ゃなくて、さらにこれからも税金を使ってきれいにするということですけれど も、それを担当しておられた方、あるいはその業務を命令しておられた方、い ずれも責任があるのかというふうには思いますけれども、これだけ膨大な仕事 を今のようなやり方でやると、やはり問題を起こすというのも一面ではないか というふうに思います。そういう意味では、やっぱり国民背番号制といいます か、納税者番号制、社会保険番号制といったものをきっちりして、業務をもう 少し簡潔にきっちりやれる体制をつくらないと、この問題が解決しない。これ は幸い民主党もそのことを主張しているようですから、ぜひそれは早期につく り上げて、業務の合理化を図って、これからの予算の削減というところで取り 返していただきたいということを強くお願い申し上げておきます。 ○宮武座長  どうぞ。 ○小島委員  私も最後ということなので、2点ほど少しお話ししたいと思います。  1点目は、今日の資料にもありますけれども、国民年金の納付率が20年度、 最終的には現年度ですと62.1%まで下がったということですので、この間、5 年間の目標を立てた80%はだんだんその乖離がひどくなってきたということで、 確かにこの3〜4年、年金記録問題にかかりきりということで、なかなか徴収 のほうに手が回らなかったということはよくわかりますけれども、残されたあ と2カ月ですけれども、やはりそこはきちっと次の新しい機構に引き継ぐまで はきちっとやっぱり対応してもらいたいというふうに思います。特に20年度の 国民年金の第1号の納付率の年代別に見ますと、確かに25歳から29歳が納付率 50%を切ったというふうになっています。49.何%ですか、ということなので、 やはりそこは若い人の年金に対する不信というか、そういうことの反映という こともあるんだろうと思いますので、その辺もやはりきちっとこれからの年金 に対する国民、特に若い人に対するPRと、あるいは教育ということのさらな る充実というのが必要だろうというふうに思っています。これは新しい機構に 移っても、やっぱりそこのことは十分配慮をお願いしたいというのが1点であ ります。  それと、2点目は、先ほどの一番初めの業務実績報告の中でも言っていまし たけれども、ねんきん特別便の1億900万ですか、送付をして、回収が7割と いうことで、3割近くがまだ未回収ということになっているので、その辺のこ ともあわせて、引き続きそこは回収率を高めるということで、業務のほうもお 願いしたいということとあります。  それとあわせて、さらにまた年末にかけて厚生年金の標準報酬月額について のお知らせをされるということになりますので、これは今の社会保険庁のとき にそれを送付して、回収は新しい年金機構ということになりますので、多分。 そこをうまく受給者の方にお知らせするような、組織が変わるということも含 めてPRして、そこも徹底をしていただきたいというのが、最後になりますけ れども、私からの要望と意見ということです。 ○宮武座長  ほかにございますでしょうか。  井戸さんのほうがおっしゃったように、年金制度を改革して、最低保障年金 7万円、何も払わずにも受け取れるんだと、こういう話が伝わってきて、でも 本当は民主党のマニフェストを読むと、自営業の方も今の15%なり、最終的に は18%強の保険料率を全部自前で払えという案でありまして、そういう意味で は、所得のある方は今の3倍4倍に保険料がなるわけで、その辺が正確に伝わ っていないだろうと思います。現実には今年度から基礎年金給付の半額が国庫 負担がついたわけでありますので、半分国庫で払ってくれるなんてこんなすご い商品はどこを見渡してもないわけで、ネオ年金機構発足へ向けての、僕はは なむけだと思っていたんですけれども、でも何とか打ち消していって、こんな お得な商品を使っている組織ですよということをもっとぜひPRしていただき たいと思います。勝手なことを言いました。  どうぞ、まだお時間ございますので、ご自由にご発言ください。 ○加納委員  私は福祉のほうからここへ受給者代表で出ているんですけれども、本当に底 辺といいますか、そういう方たちが、今現在介護保険料も払えない、また離職 者も多くなってというので、福祉資金の貸付なんかも、しきりにそちらのほう も考えている段階なんですが、この年金という、老齢基礎年金7万円が今出た んですが、1カ月3万5,000円、これはもう介護保険を払うのと健康保険の医 療費の、そちらのほうとで、高齢者は本当に助かっていらっしゃるんですよね。 だから、介護保険を充実したものに発展し、またそれが障害者の自立支援のほ うに結びつくか、障害者の対応のほうにもというような考えを先々考えると、 やはり今、年金、基礎年金、老齢基礎年金をよくとか、いろんな年金は国庫補 助でも何でもいいから確立していただきたいという気持ちが強いです。 ○宮武座長  もし特にご意見がなければ、最後になりますけれども、いかがですか、よろ しゅうございますか。  長い間本当に、私は司会進行役にしか過ぎませんが、大変ご多忙な中、ある いは遠方からもご参加いただきまして、本当にありがとうございました。  この運営評議会の評価はもちろん第三者がすることであろうかと思いますけ れども、事実関係から言えば、それまで社会保険庁の中には被保険者の立場で 物を申す場がなかったわけでございますので、それが初めてできたという意義 はあったかと思います。  もちろん、私どもの立場は委員でも評議員でもなく、参集者という名前にな っておりまして、法的にも制度的にも特に裏打ちされた役割ではありませんで した。また、通常の事業計画なり、予算決算について、その節目ごとに意見を 申し上げるという役割にとどまっておりましたので、この間年金記録問題とい う、いわば非常事態ができた際には、それに対応するような体制もなかったも のですから、そういう意味では、メンバーの方々の中で大変歯がゆい思いをさ れた方もおいでかと思いますけれども、そういう限定的な役割でしかなかった ということだと思います。ただし、この運営評議会がいわば1つの踏み台にな って、新しい年金機構の中には最初から被保険者の立場をビルトインされた仕 組みができているということは、私どものやってきたことが無駄ではなかった のではないかと思っております。そんな感慨を覚えております。  本当に長い間ご協力いただきまして、私が申し上げるのは僭越ですけれども、 ありがとうございました。  それではよろしゅうございますか。事務局のほうから何かございますか。  今後とも何か、例えばちゃんと参集者には資料を送るとか、何かそういうの はありませんか。  では、よろしくお願いいたします。 (了) −1−