第13回船員保険事業運営懇談会議事録 1 日時 平成21年8月26日(水)      16:00〜17:30 2 場所 全国都市会館 第1会議室 3 出席者(敬称略)   岩村、野川、西村、江口、小坂、佐々木、三木、藤原、大内、橋、田中、清水、 小島 4 議題 (1)報告書(船員保険制度の見直しについて)(平成18年12月21日船員保険事業運営懇談会)への対応状況について (2)その他 5 議事内容  ○岩村座長  おまたせいたしました。それでは、ただ今から第13回船員保険事業運営懇談会を開催いたします。はじめに、事務局の人事異動、委員の出欠状況、本日の資料の確認等について事務局からお願いいたします。 ○事務局 それでは、事務局に人事異動がございましたのでご紹介いたします。小林洋司労働基準局労災補償部労災管理課長でございます。次に、本日の委員の方々の出欠の状況でございますが、小島委員が少し遅れております。 それ以外の方は皆様、ご出席いただいております。なお、運営部長につきましては、本日都合により欠席させていただきます。続きまして、本日の資料の確認をお願いいたします。本日、お手元にお配りさせていただいて おります資料は3点でございまして、「資料1 報告書(船員保険制度の見直しについて)(平成18年12月21日船員保険事業運営懇談会)への対応状況について」、「参考資料1 船員保険の平成20年度決算の概要」、 「参考資料2 船員保険福祉施設の整理合理化に関する今後の進め方について(平成21年6月17日船員保険事業運営懇談会)」でございます。 ○岩村座長 ありがとうございました、それではさっそく議事に入りたいと思います。今日の1番目の議事としまして、報告書(船員保険制度の見直しについて)(平成18年12月21日船員保険事業懇談会)への対応状況につきまして、 事務局の方で、資料1を作成していただいておりますので、それにつきまして事務局よりご説明いただきたいと思います。 ○統括管理官 今日の資料でございますが、前回の懇談会で、政令事項について案をご説明させていただきましたが、政令事項以外にも省令事項ですとか、あるいは今後運用で対応していくもの、すでに法律で対応済みのもの等ございますので、 平成18年の報告書に沿い、検討・対応状況についてご報告させていただき、ご意見を頂戴出来ればと思います。平成22年1月に向け、まだ幸い4カ月強ございますので、今日いただきますご意見等を出来るだけ反映して、 運営に遺漏なき様にしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。説明につきましては、今日は労災・雇用保険・それ以外という様に、順次分野ごとにご説明させていただき、ご議論いただければと思いますので、 よろしくお願いいたします。 ○岩村座長 ありがとうございました。今、管理官の方からもお話がありましたが、まず労災保険関係について、次いで雇用保険関係について、最後に新船員保険関係という順序で進めていきたいと存じます。そこで最初に労災の部分に つきまして事務局の方から資料のご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○労災管理課調査官 労災管理課でございます。労災保険関係ということで資料1をご覧いただけますでしょうか。資料1の対応状況ということで、左側が報告書の内容で、右側が対応状況ということになっております。対応状況のところが色分け されておりまして、黄色の部分が労災保険関係という形になりますので、私の方からは黄色の部分ついてご説明させていただきます。まず1ページ目ですが、労災保険の適用範囲ですけども、(2)各論のFOC(便宜置籍) 船に乗り組む日本人船員の取り扱いということで、これにつきましてはページの一番下のところで、基本的にこれまで船員保険の強制適用の被保険者であったことを踏まえ、労災保険の強制適用の対象とすべきであるという ご指摘ですので、基本的にこの方向に沿って労災保険の強制適用とする方向で今整理している段階でございます。続きまして、2ページのマルシップに乗り組む日本人船員ということで、これも先ほどと同様でして、 白い○の2つ目のところですが、労災保険への統合後においても、マルシップに乗り組む日本人船員については、日本法人との雇用関係が継続している場合には、これまでと同様の取扱いとすべきであるということで、 この方向に沿って今労災保険の強制適用とする方向で整理させていただいております。続きまして、2ページの一番下のところで、5人未満の船員を雇用する船舶所有者の漁船に乗り組む船員ということで、 これにつきましては先般の船員保険事業運営懇談会でお話しましたけども、政令対応で強制適用ということで作業を進めております。次は6ページから7ページのところですが、労災保険の給付について、7ページの1つ目の○の 部分ですけども、統合後は、労災保険から給付するものについては、一般労働者との均衡を考慮し、労災保険で用いられている給付基礎日額を基礎としてその支給額を決定することとすべきであるということで、これはすでに 法律で対応しているものですけども、これにつきましてただし書きが2つ目の○にございまして、船員の方で、賃金が乗船時と下船時で大きく変動する方がいらっしゃいますが、こういう場合に船員について特例を設けて 支給水準の平準化を図るべきであるというご指摘ですので、これにつきましては、労災保険の省令で対応させていただいて、現行の船員保険を踏まえて、具体的に言いますと、労災の場合は、過去3カ月の賃金を基に 給付基礎日額を決めるという形をとっておりますけども、こういう方々については、現在の船員の取扱いと同じような形で、1年間の平均をとるという方向で、そのような形での平準化を図るということで省令対応を 予定しております。その次の○のところで、給付の申請にあたっての利便性の確保等の観点から、労働基準監督署及び新船員保険の給付申請を受理する機関との連携を検討すべきであるということで、取扱いについて 現在検討中という状況でございます。その次の(2)各論のところですが、通勤災害の範囲については、法令上は船員保険も労災保険も同じものですけども、船員の場合は陸上労働者と比べて特殊な勤務形態があると いうことですので、現行の船員保険の運用を踏まえた通達を発出することで対応を予定しております。次の障害認定につきましては、これは基本的には船員に係る例外措置は必要ないということで対応は不要となっております。 その次の労務不能の認定につきましては、基本的には労災保険での取扱いに合わせることが原則となるということにしつつも、船員労働の特殊性も考慮して検討する必要があるということで、その部分の取扱いについて 検討中ということでございます。次に12ページのWの1.労災保険の労働福祉事業ということで、これは基本的には統合後においては船員及びその遺族についても労働福祉事業の対象とする必要があり、且つ労働福祉事業の 枠組みの中で実施することとすべきであるということで、これは統合により実施されるという形になります。具体的には、13ページに4つほど例が出ておりますけども、基本的には就学援護費の支給・整形外科療養の実施・ 未払賃金の立替払事業の実施・健康管理手帳制度の実施については統合によって対応されるとあり、未払賃金の立替払事業の実施につきましては、法律で対応も済んでおります。上の2つにつきましてはただし書きが ありますけども、統合前の給付に起因するものについては、引き続き新船員保険から支給する方向で進めております。続きまして19ページの2.労災保険及び雇用保険に係る地方運輸局の業務ですが、労働災害の予防と 補償の連携の確保ということで、船員法に係る国土交通省と労働災害の補償を所掌する厚生労働省との間で連携規定を設けることと出ておりますけども、これにつきましてはすでに法律で対応済みでございます。 同じ19ページのYの1.労災保険の保険料につきましては、同じ種類の事業として取扱い、同一の保険料率を適用することとすべきである、あるいは、次のページの一番上に、償却料率を一律に上乗せするという様な 部分につきましては、昨年度ご議論いただきましたことを踏まえまして、すでに省令で対応済みであります。具体的には、50/1000として設定したということでございます。次に20ページのメリット制のことが書いて おりますが、基本的には3つ目の○のところに、労災保険への統合後は、労災保険のメリット制を採用すべきであるということで、この形で統合により対応するということになります。メリット制につきましては、 今後必要な事務的措置等を行うことになりますけど、それについては、これから詰めていく形で考えております。労災保険関係につきましては以上でございます。 ○岩村座長 ありがとうございました。ただ今ご説明いただきました労災保険関係の部分につきまして、ご意見あるいはご質問がありましたらお願いをいたします。清水委員どうぞ。 ○清水委員 まず1ページですが、労災保険の適用範囲の(1)総論の2つ目の○のところにアンダーラインが引いてありまして、船員保険の被保険者は全て労災保険の適用対象とするべきであるという記載がありますが、私はこの部分は 船員保険が強制適用になっている人たちは、労災保険になっても強制適用であるべきだという趣旨で理解しておりました。それで、このまま労災保険に持ち込むと、ひょっとしたら特別加入とか強制でない適用方式になる 恐れのあるケースということでFOCに乗っている場合だとか、それからマルシップだとか5人未満だとかというケースをあえて出して、こういうものについても、しっかりと強制適用でやっていくべきだというまとめを していただいているのだろうと私は理解しているわけです。そこで問題になるのは、船員でありながらいわゆる法人の代表者である者についての取扱いです。もしかしたら労災保険の方では、こういう人たちは任意の 特別加入の取扱いにしているので、船員であったとしても同様の取扱いにする方向で検討されているかもしれないというふうに思いまして、もし仮にそうだとするならば、ぜひ強制適用にしていただきたいとお願いしたい と思います。その理由として、特別加入の制度自体が非常に不安定で、いろいろなトラブルが起きているという現実がございます。いわゆる谷間の問題ですけども、そういう不安定な世界に船保では強制適用だった 人たちをわざわざ移すということについてはいかがなものかという感がしますし、現に特別加入になった場合には、給付面で一般の労働者とは違う取扱いになっているかと思います。例えば、ボーナス特別支給金が 出ないとか、あるいは船員の場合であれば、船員法で必ず健康検査が義務付けられていますが、それをやっていても、労災の二次健診が受けられないという問題が出てきてしまう。逆に、日額の方はですね、 確か選択制になっていたかと思いますが、そうすると新船保で補償する休業手当金のベースは、これは標準報酬月額ですから、算定のベースが違ってきてしまうとか、そういう問題も技術的には生じてくると思います。 さらに特別加入の場合には、事務組合を設立して、そこで諸々の手続きをやって、これをずっと運営していかなければならなりません。そういうことが、果たして現実に出来るのかどうかという問題もあろうかと思います。 そういったことから、ここの部分は、今現在が強制適用なのだから、統合後も強制にしていただきたいと思います。そうでないと、不利益変更になるのではないかと思いますので、その点はぜひ、慎重にご検討いただきたいと 思います、これが第1点です。それから7ページですが、(2)各論の2つ目に障害認定とありまして、これは船保も労災保険も一緒だから船員に係る例外措置は必要ないということで、対応不要というご説明でございました。 しかしこれと対になる部分で、また後からご説明いただけるのかもしれませんが、11ページをご覧いただきますと、こちらは新船保の職務上特別給付部門の給付の(2)各論の2つ目の障害認定というところであります。 ここも報告書では同様のまとめになっていますが、対応状況については、詳細な取扱いについては検討中というふうになっていますので、ちょっと労災の方と新船保の方で受け止め方が違うのかなという感じがして おりますので、ここは後ほど、さらにご説明いただければと思います。細かいことでいうと、確かに障害認定基準そのものは共通だとは思いますけども、内かんレベルの細目の運用については、微妙に違うところが あるのではないかという気がしています。これは確証があってのことではないですけども、少なくとも職務上であるのか、職務外であるのかという認定をする際においても、明らかな違いがあるという事例もございますので、 多分微妙に違うところがあるのだろうと、そういうところは、現在の船保の取扱いが生かされるというふうに思っておりますけども、その点はどうなのかということを確認したいと思います。それが第2点です。 とりあえずここで一区切りさせていただきます。 ○岩村座長 それでは、3点ほどご質問をいただきましたので、事務局の方からお答えいただきたいと思います。 ○労災管理課長 それでは、ご説明申し上げます。まず、法人の代表者等である船員の取扱いということでございますが、確かにご指摘いただいた問題というのはあると思いますが、これは基本的には、法律レベルの話なのだろうという ふうに思っておりまして、労災の方の対象というのは、労働基準法の労働者の概念をそのまま引っ張ってきている形になっておりますので、これは他の業種押し並べてそうなんですけれども、法人の代表者というのは、 船員保険の強制適用の対象にならないという取扱いをせざるを得ないのだろうというふうに思っています。ただ、先ほどお話がございましたように、実際に同じように働いているようなケース等々ある訳でございまして、 そういった方の保護をきちんとやっていく必要があるだろうということで、労災保険の方では、お話にあった特別加入の制度をとっておりまして、今後の取扱いとして、その法人代表者等である船員の方の保護を図ると いう上で、この特別加入の制度を活用していかざるを得ないのではなかろうかというのが我々の考えでございます。そういうことで、そちらのほうできちんと措置されるように対処をしていきたいと思っております。 中小の事業主というのは、今でも特別加入の対象として労災保険法上認められておりますので、そちらでカバーされる部分がございますが、いわゆる一人親方的な働き方をされておられる船員の方につきましては、 労災保険法上個別に作業を省令で規定するということが必要となってまいりますので、そういった省令改正をする形で対処して参りたい。それが特別加入ということで強制加入という取扱いにならないことになって しまいますので、労災保険特別加入の方にきちんと入っていただくという取扱いが可能となりますように、例えば団体の取扱い、あるいは事務の取扱い等につきまして、円滑に行われるような対処をして参りたいと思いますし、 その過程で十分ご相談させていただきたいというふうに思っております。それから、労災の方の給付と上乗せ給付との連携の話でございますが、こちらにつきましては、それぞれの情報の提供といいますか、 情報の共有というのが、きちんと行くようにしていくことが重要だというふうに思っておりまして、そういうことにつきまして、遺漏のないようにして参りたいというふうに思っております。 ○岩村座長 いかがでしょうか?清水委員どうぞ。 ○清水委員 その特別加入制度がきっちり働けば、漏れは出てこないだろうと思いますが、現実にはその辺のことでのトラブルが起こっているわけですね。うちの事業所は労災の適用事業所だから、自分もてっきりその対象になって いるだろうと思ってですね、怪我をしてしまった中小の工場の社長さんが、労災の給付の申請をしようとしたら、「あなた特別加入制度に入っていますか?入ってなかったら出ませんよ。」と、まず門前払いされるわけです。 それじゃあということで、今度は健康保険の方へ持っていくわけですよね。そこで、傷病手当金なり療養給付を請求するわけですけども、健康保険の方ではですね、「これは業務上の怪我であって、健康保険は業務外の病気や 怪我を面倒みる制度ですから、これはだめですよ。」と、こっちでも蹴られるわけですね。どっちからも門前払いされる、谷間に入ってしまうという問題が現に結構あるわけです。きちんと特別加入制度というものを 理解されてない方もたくさんおられるし、あるということを知っていながら、諸々の事情で現実には入れない人たちもいるわけですね。そうすると、今まで強制加入でセーフティーネットの中にいた人たちが今度そういう 世界に出された時に、本当に災害補償制度として十分カバーして行けるのかどうか、私はそこのところに不安感を持っております。事業主さんの問題なので、事業者団体の方たちのお考えもあるかと思いますが、 実態からするとかなり労働者性の強い方たちなので、出来れば何とか強制加入に近い形で、漏れのないような対応が出来ないものかなと強く思います。何も無いところから任意で特別加入できるというのであれば、 これは一歩前進なわけですよね。ところが、強制加入から今度下方移動するわけです。ちょっと言い方は変ですけども。それはかなり慎重に、あるいは配慮しながらですね、運営していかないとちょっとまずいのでは ないのかなというふうに思います。その辺は、法律事項だからどうにもならないと言われてしまえば、法律に根拠のないことは出来ないということになってしまうのかもしれませんけども、そこは大きな問題なのでは ないかなというふうに思います。これは意見です。 ○岩村座長 それでは、労災管理課長から一言お答えいただければと思います。 ○労災管理課長 ご指摘のお話は、船員だけではなくて、あらゆる業種について言える話だと思います。中小事業主の方はやはり、自らのためにも特別加入していただくというのは非常に重要な話だと思いますので、私どもでも事務組合制度等を 通じてですね、そこは出来るだけの取り組みはしておりますけども、お力も借りながら漏れの無いようにして参りたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○岩村座長 そのほか、いかがでしょうか?大内委員どうぞ。 ○大内委員 資料1の最後の方の、メリット制ということをおっしゃられたと思いますけど、メリット制のイメージというのはどんなことなのか、もう少し教えていただけませんか。どのような仕組みでメリット制だとおっしゃっているのか。 ○岩村座長 では、お願いいたします。 ○労災管理課長 メリット制でございますが、それぞれの事業主の災害防止努力をしていただいておるわけでございまして、そういった取り組みを保険料率の方に反映させていくということです。過去3年間の災害状況を見て、非常に災害が少ない ような状況であれば、その分保険料を軽減する。逆に、その期間に災害を多数起こしてしまうと、保険料率の方にプラスさせていただくという形で、これは今の船員保険制度の中でも、そういった取扱いがされていると思います けども、労災保険に移行した場合にも、若干仕組みが違うところがございまして、たとえば、対象となる給付の中身が若干違うとか、あるいはメリットの増減の幅が労災保険の方が少し広いとかですね、若干違いがございます けども、同じメリット制を適用して参りたいというふうに思っております。それで、労災の方に来年1月から移行いたしますと、過去3保険年度の状況を見てということでございますので、22年度・23年度・24年度の状況を見て、 具体的に反映させていくということになりますので、直接効いてくるのは26年度からということでございますが、そこからそれぞれの災害防止に向けた取り組みの状況に応じて、保険料の方にメリット制を適用していくという 取扱いをさせていただきたいということでございます。 ○岩村座長 はい。大内委員、どうぞ。 ○大内委員 聞き方が悪かったかもしれませんが、上限と下限というのはあるのですか?その幅というのはどれ位になるのか、その辺があったら教えてください。 ○岩村座長 今の上限・下限というのは、料率の幅のことですね?・・・では、労災管理課長、お願いいたします。 ○労災管理課長 先ほどの資料の中に、数字がございました。20ページのメリット制のところにございますけども、船員保険の方では35%の範囲内で増減させる。それから労災保険の方は、40%の範囲内で増減させるということでございまして、 具体的にこれを保険料率に当てはめますと、船員保険の方の現在の労災保険に相当する分の保険料率は70/1000ですが、これに当てはめますと、55/1000から85/1000の範囲内で増減していると、それから、労災保険の方でござい ますが、今度労災保険に移行いたしますと、保険料率は50/1000ということで、20下がるわけでございますが、メリット制が40%の範囲内で働きますと、30.24/1000から69.76/1000の範囲内で増減するということになります。 ○岩村座長 よろしゅうございますか?その他、いかがでございましょうか?はい、清水委員どうぞ。 ○清水委員 今のメリット制に関連して、要望を一点お願いいたします。メリット制の具体的な中身は、労政審の労災保険部会でおそらくご検討される問題であろうかと思いますが、ぜひメリット制の趣旨が、適切に生かせるように設計して いただきたい。具体的には、調整率の問題ですね。あまり極端にメリット制が効きすぎてしまって、保険料率の本体部分に影響が出るようなことになると、ちょっとこれは極端なことになりかねませんので、その辺は 制度運営全体の視点からですね十分適切な調整率を決定していただきたいというふうに思います。以上です。 ○岩村座長 では、労災管理課長、お願いいたします。 ○労災管理課長 今、お話ございました、メリット制を適用するに際しまして、調整率をどうするかという話は、これからの課題として残っておりまして、その部分を省令で規定する必要がございます。それで、船員に関して申し上げますと、 基本的にメリット制を計算する時の計算式として、分母に頂いた保険料がきまして、分子に保険給付が来るわけですね。それの比率の程度に応じて、たとえば、非常に災害を起こすと分子の方が大きくなりますし、災害が 少なければ分子の方が少なくなるということで、それを基に先ほどのように、上限と下限の間で保険料率が決まっていくということですが、船員の場合、ご案内のとおり、料率が50/1000でございますが、この料率の中に 過去債務分が半分近く含まれているというのがございますので、そうしますと分母に来る保険料というのが普通の業種の保険料率に比べて、非常に大きくなるというのがございまして、そこを調整率で調整する必要があると、 そういう意味で船員独自の調整率を今後設定していくという作業が残っておりまして、これは労政審の方でまたご議論いただくことになっておりますが、いずれにしましても先ほどいただいたようなご意見等も含めながら、 審議会の方でご検討いただきたいというふうに思っております。 ○岩村座長 その他、いかがでございましょうか?橋委員どうぞ。 ○橋委員 今の20ページのメリット制の中で、人数の規模の件でお伺いしたいのですが、船員保険は100人以上ということでやってきたはずですが、労災の方は、@100人以上、A20人以上100人未満と書いてありますが、どちらが適用に なるのですか? ○岩村座長 労災管理課長、お願いいたします。 ○労災管理課長 20ページのAのところのお話ございましたが、20人以上100人未満の規模の事業で労働者数に労災保険料率を乗じて得た数が0.4以上となるものを対象として、というのが労災の仕組みでございまして、労災保険料率50/1000で ございますので、これで計算いたしますと20人以上のところから適用になってくるということで、20人以上のところにつきましては、このメリット制の対象となってくるということになります。 ○岩村座長 よろしゅうございましょうか?その他、労災関係いかがでございますか?特にないようでしたら、次に雇用保険の方に移りたいと思います。それでは、雇用保険関係について、事務局の方からご説明いただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○雇用保険課長補佐 雇用保険課でございます。雇用保険課の方からは、水色の部分になりますけども、ご説明させていただきたいと思います。雇用保険についてですが、平成19年の雇用保険法改正時において、法律ですでに措置しているものが ありますので、今回特に、政省令告示において今後措置する予定であるものを中心に説明させていただきたいと思います。最初に、適用関係になりますけども、3ページの2.雇用保険の適用範囲とございます。そちらの総論の 2つ目になりますが、基本的に船員保険の方で現在適用されている方につきましては、雇用保険の適用対象という方向で考えております。次の船員に関する雇用保険の適用範囲について、必要に応じて特例を設ける取扱いと すべきというふうにありますが、こちらにつきましては、たとえば現行の船員保険制度において特定漁船以外に雇用される船員で、1年未満の雇用期間である場合、適用除外ということになっているわけですけども、 こういったものについて適用除外、今後も雇用保険においてやっていくといったものでございます。資料の4ページになりますけども、各論ということになりますが、まずアにつきまして、現行の船員保険では2か月以内の 期間を定めて使用される者については適用除外となっているところですが、こちらにつきましては、雇用保険統合後について新たに適用という方向で考えております。次にイになりますが、こちら先ほど少しご説明 さしあげましたが、特定漁船以外に1年未満雇用される船員を引き続き適用除外とすることで考えております。4ページから5ページにかけまして、FOC船に乗り組む日本人船員、マルシップに乗り組む日本人船員、 事業主と同居する親族というものがありますけども、こちらにつきましても、今後も雇用保険統合後も同様に適用という形で考えているところです。6ページに移りたいと思います。6ページの一番上に、5人未満の船員を 雇用する船舶所有者の漁船に乗り組む船員というものがありますが、こちらは法律上、何も措置しなければ、統合後の5人未満の船員を雇用する船舶所有者の漁船に乗り組む船員については、任意適用というところでした けれども、今回法律の改正の中で、強制適用とする改正を行っております。次に、給付関係についてご説明さしあげたいと思います。8ページを開いていただけますでしょうか。8ページの2.雇用保険の給付 (1)総論の○の2つ目、雇用保険への統合後は、雇用保険で用いられている賃金日額を基礎としてその支給額を決定すべきというふうになっているところですが、こちらにつきましても報告書どおり、船員保険が 採用しておりました標準報酬月額方式から、統合後は、雇用保険の賃金日額方式の方に変更することで考えております。しかしながら、3つ目の○になりますけども、支給水準の平準化を図るべきという点になりますが、 ご存知のとおり、船員保険では1年間に支払われるべき賃金を基礎として給付額を算出しているところですけども、雇用保険につきましては一方で、原則離職前6カ月に支払われた賃金を基礎として給付額を算出して おりますので、場合によっては下船時に離職した船員の方の給付が低くなってしまうということが予想されます。こちらにつきましては、我々の方で雇用保険部会というところがあるわけですけども、特例の措置を 設ける旨について議論をしていただく予定と考えております。なお、こちらの対応になりますけども、告示改正ということで考えております。給付関係は以上になりますけども、給付日数が船員保険では最低50日分で あるところが、雇用保険統合後は最低90日となる等、給付日数の面で手厚くなる部分もありまして、引き続き船員の方々につきましては、雇用保険で生活保障をしっかりと考えていきたいというふうに思っております。 9ページの真ん中になりますけども、高齢の船員に係る雇用安定のための施策については、労使の意見を踏まえた上で、必要に応じ国土交通省が厚生労働省と連携して検討を行うことが適当であるということになって おりますが、こちらにつきましては、今後国土交通省と連携をさせていただきまして、随時必要に応じてご相談させていただければというふうに考えております。次に二事業関係についてご説明いたします。14ページを お願いいたします。2.雇用保険の雇用安定事業等の○の1つ目になりますけども、船員に関しても雇用安定事業等の対象とすることが適当という報告がなされているところですけども、こちらにつきましては、 たとえば現在、船員保険で実施しております雇用調整助成金につきまして、統合後も引き続き雇用保険における雇用調整助成金を活用していただけるよう措置する予定でございます。また、その下の○になりますけども、 日本船員福利雇用促進センターで実施している雇用促進等事業につきましても、引き続き雇用保険で実施できるよう考えております。統合後の3カ月分については、平成21年度予算においてすでに措置済みというふうに なっております。次に、保険料率についてお話させていただきます。20ページをお願いいたします。報告書の方には、船員を雇用する事業については、短期間に就職と離職を繰り返す被保険者の割合が高いとは考えられない ことから、雇用保険料率については、一般の事業と同等に取り扱うこととすべきであると報告されております。現行雇用保険につきましては、水産業について一般の事業と比べますと2/1000高い雇用保険料を いただいているところですけども、報告書にありますように、船員を雇用する事業については、短期間に就職と離職を繰り返す被保険者の割合が高いとは考えられないという事情を踏まえた上で、給付と負担のバランスを 考慮し、一般の事業と同等に扱うことを考えております。こちらにつきましては、先ほど少しお話しましたが、雇用保険部会の方でもまた議論される予定としております。対応につきましては、告示の方で対応するという ことになります。移換金の話になりますけども、25ページになります。こちらの移換金につきましては、すでに11月に開催した船員保険事業運営懇談会において、失業部門の移換金について22億円と整理ということで ご報告いただいておりますけども、こちらにつきましても、失業給付を受給中の方々に対する給付として準備させていただければと思っております。以上が報告書に対する対応状況になります。 ○岩村座長 ありがとうございました。それでは、ただ今ご説明いただきました雇用保険の部分につきまして、ご意見あるいはご質問がありましたらお願いしたいと思います。清水委員どうぞ。 ○清水委員 3点ほどお願いいたします。1つはですね、細かいことで申し訳ないのですが、いわゆる特定受給資格者ですね。一般と特定と2つカテゴリーがあるわけですが、特定の定義が、雇用保険と船員保険で微妙に違う部分が実は ございまして、私は現在の船保の定義がそのまま引き継がれるというふうに思っているのですけども、そういうことでよろしいかどうかということが1点です。それからもう1つは、雇用調整助成金制度ですが、 船員については、今年ようやく緊急雇用対策の一環ということでやっと出来まして、実際に活用されているわけでございますけれども、労働基準法と船員法の違いがございまして、船員法には休業という概念がないもの ですから、雇用保険の雇用調整助成金制度にストレートにあてはまらない部分があって、今までなかなか実現して来なかったという面もあるのです。今回その辺の問題がクリアされまして、船員についても助成金制度が 適用になっております。来年からは雇用保険の方でお世話になるということになりますので、今現在創設されました、船員を対象とした雇用調整助成金制度を継続して、雇用保険に統合された後も、その枠組みでもって 適切にその制度が適用できるように引き続きやっていただきたいということが1点です。それから、前回の懇談会で、船員保険と雇用保険の期間通算の問題に関連して、何点か質問をさせていただきましたが、 もしそれについてお答えの用意が今日あればお伺いしますし、まだ検討中ということであれば次回以降でも結構です。以上3点です。 ○岩村座長 それでは、今の3点につきまして、事務局の方からお答えをお願いいたします。 ○雇用保険課長補佐 お答えさせていただきます。清水委員がおっしゃったとおり、特定受給者の定義と範囲というのは若干異なります。たとえば、雇用保険では事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き 3カ月以上となったこととなっているところですが、たとえば船員保険においては、予備船員たる期間が引き続き3カ月を超えたることということになっておりまして、若干書きぶりが異なる部分がございます。 こちらにつきましては、省令改正事項というふうに我々は考えておりますけども、今後雇用保険部会、職業安定分科会の方に諮問するにあたって、より詳細な内容がお示し出来ることというふうに考えております。 2点目になりますけども、雇用調整助成金の今後についてですけども、船員の雇用調整助成金については、平成21年12月末でいったん終了することになるわけですが、平成22年1月以降につきましても、雇用保険二事業の 雇用調整助成金としまして活用いただくことになります。3点目の、通算の考え方ですが、現行法律事項のところで決まっている部分までは明確ですが、現在どういった形で今後やっていくかというのは、 政令事項として落としているところでして、検討中でございます。そちらにつきましては、追って報告させていただきたいというふうに考えております。以上です。 ○岩村座長 ありがとうございました。その他、いかがでございましょうか?橋委員どうぞ。    ○橋委員 3ページの(2)各論に適用除外と記載されていますが、従来から漁船分野においては、適用除外というものが船員保険法の中で明確に記載をされていたという経緯があって、今回統合という形という中で、陸上一般と 同じような形の中での扱いというものが出来ないものか、その辺の検討というのがどのような形でなされたのか、なされてないのか、その辺も含めて説明をしていただければと思います。 ○岩村座長 では、事務局の方からお願いします。 ○雇用保険課長補佐   お答えさせていただきます。こちらは我々の方もまだ検討中でございまして、対応状況のところに【政令により対応予定】となっておりますが、最終的にどういった形になるかということにつきましては、 追ってご連絡させていただくということになります。 ○岩村座長   橋委員どうぞ。 ○橋委員   法の平等という観点から言いますと、今回統合になって従来からも、適用除外という形で制約を受けてきたという経緯もあって、今後のいわゆる漁業関係のですね後継者の育成も兼ねたという観点から考えますと、 やはり失業保険の適用というものは重大な要素の1つになってくるんだと思います。そういうことも含めてですね、まだ検討中ということであれば、やはり適用の拡大を求めていきたいなと思っているので、 その辺も十分検討の中に考慮していただければというふうに、要請をしておきます。 ○岩村座長   要請があったということでお願いいたします。では、大内委員どうぞ。 ○大内委員   今の件に関して、1つだけ確認をしておきたいのですが、3ページの(1)総論の右側の部分で、対応状況のところで言いますと、【政令により対応予定】というふうになっていますが、これは今言ったように、 検討の上でどうするかということで判断をし、政令により対応をするということになるのですか? ○岩村座長   それでは、保険課長、お願いいたします。 ○保険課長   保険課長でございます。今、ご議論いただいている点につきましては、雇用保険課の方から先ほど来、申し上げていることに尽きていますけれども、政令につきましては、前回の懇談会に、その時点における 我々としての考え方の整理をし、何点かの宿題もいただきつつ大筋としてご了解をいただき、パブリックコメントに行こうという形で進めさせていただいたのが前回であったかと思います。今、ご指摘いただきましたように、 政令を実際に落として参りますと、前回の懇談会でのご意見もあり、また技術的に法制的などういう規定の仕方をするかというようなところの詰めも若干時間が掛っておりまして、まだ現時点において、 最終的にこれだという形で全体がまとまっておりません。そういう意味では、前回ここでご議論いただいたことを踏まえた上で、準備を進めておりますものの、パブリックコメントにまだ現実の問題として進んでいない というのが足下の状況でございまして、なるべく早くに形にして、パブリックコメント、そしてその先へと進めたいということでございますから、先ほど来、ご指摘いただいておりますようなことも含めて、 それぞれの関係各課における議論を早急に取りまとめ、その過程では、委員の皆様方にもお話をさせていただきながら、パブリックコメントに進みたいというふうに思っております。 ○岩村座長   大内委員、よろしゅうございましょうか?ありがとうございます。その他、雇用保険関係、いかがでございましょう?よろしいようでしたら、資料1の最後で、新船員保険関係が残っておりますので、 そこにつきまして事務局の方からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○船員保険室長   船員保険室長でございます。それでは新船員保険の部分につきまして、ご説明申し上げます。資料の10ページをご覧いただきたいと思います。3.新船員保険の職務外疾病部門の給付ということでございますが、 基本的には、総論、各論、報酬との調整につきましては、法律にてこの報告書の内容の方向で対応済みとなっているものであります。4.新船員保険の職務上特別給付部門の給付につきましても、給付の内容に つきましては、基本的には、この報告書の内容にて法律で対応済みということでございます。ただ、11ページの上から3つ目の○でございますが、現行の職務上疾病・年金部門の給付につきまして、給付の請求に 当たっての利便性確保のために、労災保険の給付申請を受理する労働基準監督署、それから新船員保険の給付申請を受理する機関の連携について検討すべきだということになりますが、この新船保の給付申請を 受理する機関というのは、全国健康保険協会ということになるのでございますけども、これは行政内部の取扱いということでございますけども、被保険者の方の利便性になるべく配慮した形で対応したいと考えておりまして、 現在その取扱いを検討中でございます。それから11ページの(2)各論のところになりますが、労務不能の認定の考え方でございますけれども、これにつきましては、基本的には労災の扱い方に沿って対応する ということでございまして、7ページの方で先ほど労災の方でご説明があったかと思いますけども、労災並びの対応を基本に考えているということでございます。それから、障害認定、賃金との調整、 また12ページの障害厚生年金等が支給される場合の支給停止等につきましては、基本的には法律で対応済みということでございます。それから、12ページのW.福祉事業でございますが、そのうち新船保の 福祉事業ということで、15ページの3.新船員保険の福祉事業といたしまして、生活習慣病予防検診の実施、無線医療センターの運営及び洋上救急医療の援護、船員保険講習会の開催ということがございます。 これらはいずれも、新船保の福祉事業として実施主体が全国健康保険協会ということになるものでございますが、基本的には、協会における事業計画等の話でございますけれども、基本的にはこれらは実施の方向で あろうかと考えております。それから、福祉施設の在り方につきましては、別途船員保険施設検討小委員会において検討中でございまして、後ほど検討の状況、また関係方面との折衝の状況等もご報告する機会があると 思いますので、説明は省略させていただきます。それから16ページのX.運営主体のところでございますが、これは基本的に、すでに決着済みの話でございますので、説明は省略させていただきます。18ページになりまして、 上から3つ目の○のところですが、これは将来的に新船員保険制度に係る重要な見直しが行われる場合には、船員被保険者及び船舶所有者の意見が反映できるような検討の場を設けることが必要ということもございます。 これはこの運営懇談会におきましても、そういったご意見も改めていただいておりますけども、将来的に検討して参りたいということでございます。それから、(2)適用・徴収業務、(3)不服審査の部分につきましては、 これは基本的に、法令で対応済みとなっているものでございます。次に19ページのY.費用負担の部分でございまして、21ページの3.新船員保険の保険料及び国庫負担についてでございます。統合前の失業部門に係る保険料、 職務上特別給付等に係る報告書の内容については、法律で対応済みということになってございます。それから、メリット制の部分でございますが、対象となる船舶所有者の範囲を拡大すべきだということでございますけども、 これは職務上年金、また職務上疾病の多くの部分は、労災保険に移行するということで、労災の方でメリット制の拡大があるということで、残ったこの職務上特別給付の部分に限りましては、特段の措置は行わないということ でございます。それから、職務外疾病部門に係る国庫補助、給付費の国庫補助でございますが、これにつきましては、前年度同額を要求して参る予定でございます。それから、事務費の国庫負担の部分でございますが、 これにつきましては事業運営の効率化を図ることを前提に、事務費については保険料で賄うことを基本としつつ一定の国庫補助を行うということでございます。それから22ページに移りまして、戦時中に、職務従事中に 戦争による障害等を負った場合の方につきまして、戦時中の特殊性に鑑み、すべて国庫により負担となっていますけども、これにつきましては、制度見直し後も、これまで同様に国庫により負担をするということで、 年金特会において要求することで調整を図ったところでございます。それから22ページのZ.施行時期及び経過措置等の2.経過措置でございますけれども、これにつきましては、26ページの(6)不服審査がございますけども、 施行日以後に、改正前の船員保険法の規定に基づいて行った職務上疾病・年金部門及び失業部門に係る処分についての審査請求は、社会保険審査官及び社会保険審査会に対して行うべきだということでございますが、 これは現在、未だ法令では措置されておりませんけども、常識的な内容でございますので、取扱いについてその報告の内容を実現する方向で検討しているところでございます。ちょっと端折ったご説明になりましたが、 以上でございます。 ○岩村座長   ありがとうございました。それでは、ただ今ご説明いただきました新船員保険の部分につきまして、ご質問あるいはご意見があればお願いしたいと思います。清水委員どうぞ。 ○清水委員   11ページの障害認定のところですが、これは私が事前にいただいていた資料がちょっと違っておりまして、さっきの発言は間違った発言になっていたかと思いますが、確かに障害認定の要覧の本に載っている内容は 共通だろうと私も思います。その範囲であれば特段の見直しは必要ないということで結構かと思うのですが、先ほども触れましたように、それよりも更に具体的な細目レベルにおいては確認していただきたいなというふうに 思います。それから同じ11ページで、賃金との調整というところがあるのですけども、ここで何点か、これは新船保で言うと休業手当金の関係だと思いますが、まず、新船保の方で給付する上乗せ補償の部分の休業手当金ですが、 これは最初の待機の3日間は100%で、それから4カ月が経過するまでは、20%ということになるわけです。その場合のですね、4か月を算定するスタートラインですが、起算日はいつからになるのか、 かなりテクニカルな問題ですが、結構複雑なので、もしすっきり説明できれば今伺いますし、別の機会でも結構です。それからですね、4か月経過した後、8割に落ち着くわけですけども、8割になった場合であっても労災の 給付の方は、年齢に応じて上限がありますから、その上限で抑え込まれている部分については、新船保の方からですね休業手当金が引き続き支給されるということになるのだろうと思われます。その場合に、法定外補償、 たとえば労使協定の中で、法定外補償ということで賃金を補てんするという取り決めが一般的にあるわけですけども、法定外補償の補てん分が報酬との調整に掛るのかどうか。私は労災保険の休業補償給付の方は 調整に掛らないというふうに理解しているわけですけども、新船保から出る休業手当金についてはどうなのだろうかといった点を確認したいと思います。それから3点目ですが、船員法上定められております、 いわゆる予後手当を現行の船員保険法では、何条だったかは忘れましたけども、それを手当していたと思います。これを統合後は、どういう形で担保されることになるのだろうかというのが3点目です。それから、 もうひとつは時効の問題です。罹患してからですね、発症するまでに長い年月を要するような病気ってございますよね。具体的に申し上げますと石綿、アスベストの疾患です。これはアスベストを曝露してからですね、 実際に症状が出てくるまでに何十年も掛かるというケースもあるわけでして、そうこうしているうちに、請求できる権利が時効になってしまうという問題が社会的に問題になったわけですけども、船員保険と労災保険では、 その辺の取扱い方がちょっと違います。現在の船保では厚年と同じような時効の運用がなされているというふうに承知しておりますが、労災は少し違うやり方だと、だからアスベスト新法で救済するということに なっているのだろうと思いますが、統合することによって、何か不利益が生じるという心配がないかどうか、時効の制度が違うことによって、何か不利益が生じることがあるのか、ないのか。その点をお伺いしたいと思います。 最後ですが、これはマニアックな質問で恐縮なのですが、塀の中に入れられている方々がいらっしゃいますね。こういう方々の場合は、ちょっと正確な記憶がないのですけど、船員保険法では割に最近法改正があって、 傷病手当金については、支給できるようになっているのではないかと思います。一方において、労災保険の方はですね、やはり依然としてそういうケースについては支給しないということになっているのではないかと思います。 そうすると統合するとですね、塀の中に入っている人は、現在は傷病手当金をもらえるのだけど、労災になると休業補償給付をもらえなくなるということになるのかなと。それを補償するために、 新船保の方で休業手当金を支給するという形に補完しているのかなというふうに、私は勝手に読んだのですけども、その辺の関係はどうなのかなと思いまして、非常に細かい問題で恐縮なのですが、もし分かれば教えてください。 ○岩村座長   ありがとうございました。内容的にかなり細かいものもありますので、今お答えいただくのが可能なものについては今お答えいただき、即答が難しいものについては調査いただいた上で、後日個別対応ということでお願い できればと思います。それでは、事務局の方でお願いいたします。 ○保険課長   保険課長です。いくつかいただいた中で、仕組みの問題として、時効というおっしゃりかたをしました、発症が随分時間が経った疾病についての取扱いについての説明をさせていただきます。今回の19年法、雇用保険の 改正法の附則におきまして、職務上の事由による、今回の統合前に発生した事故に起因する疾病につきましては、改正前の船保法、ですから現行法ですけども、現行法によって全国健康保険協会が給付をするという法制上の 手当てが、19年法の改正法附則39条でなされていますので、その扱いをもって取扱いというふうに思っております。1つその点については、お答えいたします。 ○岩村座長   ありがとうございました。その他の点、いかがでございましょうか?室長お願いいたします。 ○船員保険室長   その他の点につきましては、専門的な事項もございますので、私どもの方で改めて調査いたしまして、お答え申し上げたいと思います。 ○岩村座長  それでは、そういうことでございますので、清水委員よろしゅうございましょうか?それでは、事務局の方で調べてお答えをいただければと思います。その他、新船員保険につきましていかがでございましょうか? 橋委員どうぞ。 ○橋委員   9ページの、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者という項目が、ちょっと理解不足なので詳しく教えていただきたいというのが1点あります。この短期雇用特例被保険者というのは、船員保険関係ではあまり 聞いたことのない名称であろうということと、日雇労働被保険者の区分について該当するものは存在しないと考えられるということで記載をされていますので、この辺も含めてですね、詳しく教えていただければというふうに 思います。 ○岩村座長   それでは、雇用保険課の方でお願いいたします。 ○雇用保険課長   短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者の定義についてお話させていただきたいと思います。短期雇用特例被保険者ですけれども、こちらは雇用保険法上では季節的に雇用される者、または短期の雇用に就く状態と する者というのが、短期雇用特例被保険者の定義になります。日雇労働被保険者ですけども、被保険者である日雇労働者であって、いずれかに該当する者、及び公共職業安定所長の認可を受けた者ということになるのですけども、 いずれかに該当する者というのが、[1]適用区域に居住し、適用事業に雇用される者、[2]適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある適用事業に雇用される者、[3]適用区域外の地域に居住し、適用区域外の地域にある 適用事業であって、厚生労働大臣が指定したものに雇用される者と、若干細かい視点になっておりますけども、以上が短期雇用特例被保険者と日雇労働被保険者の定義になっております。 ○岩村座長   ちょっと分かりにくいので、個別に説明をしていただくよう、お願いいたします。他いかがでございましょうか?それでは、全体を通しまして、資料1について何かございますでしょうか?清水委員どうぞ。 ○清水委員   今の漁船に対する雇用保険の適用関係の問題なのですが、前回も議論になったと思いますし、今日も橋委員の方から強い主張があったと思います。この報告書によりますと、いわゆる特定種類の漁船以外の漁船に乗り組む ために使用される者のうち、1年を通じて使用される者等以外の者ということで、ポジティブリストで挙げられているもの以外の船ですね、いわゆる地区漁船というふうに我々は呼んでいますけども、そういうところで1年間通して 雇用されていない漁船というのは結構たくさんありますが、そこは今の船保でも失業部門が適用除外になっているわけですね。それを雇用保険に移っても同じように適用除外にするというのが今回の取扱いだろうというふうに 理解しておりますけども、実は、なぜそういうグループを適用除外にしているのかという理由として、報告書では漁船によっては年間稼働でないため1年のうち一定期間就労しないことを前提とした賃金の水準になっていると、 これを理由に適用除外にしているんだというふうに解説されているんですね。確かにそういう時代もあったかもしれませんが、今は漁船の方は大変でして、油は上がる、魚は獲れないということで、なかなか1年間就労しない ことを前提にしたような、収入をいっぺんに得るというようなところはないのです。ですから、そういう経済的な環境が今はもう全然変わっているということをぜひ認識していただいてですね、そういうところにも雇用保険と いうセーフティーネットが必要だという主旨で我々言っておりますので、これは今後の課題として検討すべき事項になるのだというお答えを確か以前伺ったような記憶もございますので、ぜひ前向きに受け止めていただきたいな というふうに思います。以上です。 ○岩村座長   ご意見として、承ったということにしたいと思います。その他、よろしゅうございましょうか?それでは、資料1の議論についてはこれまでということにさせていただきまして、事務局の方でいろいろご意見もございました ので、それを踏まえて対応の方をご検討いただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。次に、その他ということで、参考資料1及び2というのが事務局の方から提出されていますので、最初にまずそれに つきまして事務局の方からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局   参考資料1でございますが、これは船員保険の平成20年度決算の概要でございます。これにつきましては、すでに各関係の方々に個別にご説明しているということもございますので、ご説明は省かせていただきたいと思います。 何かご質問がありましたら、改めてお受けいたします。それから参考資料2でございますけれども、これは6月17日の当懇談会におきまして、船員保険福祉施設の整理合理化に関しまして、取りまとめいただいたものでございます。 この参考資料に則しまして、現在の各施設に関する対応状況について簡単にご報告申し上げたいと思います。まず、病院についてでございますけども、病院につきましては、本年7月に省内に設置されました事務次官を本部長と いたします社会保険病院等対策本部というのができたのでございますけども、そこで今後の取扱いについての検討を行ってございます。今後、社会保険病院、厚生年金病院と合わせまして、地域医療等に支障が生じないよう、 法整備も含めた処理方策を検討・実施して参りたいというふうに考えてございます。それから、存続が必要とされました3つの健康管理センター、芝浦診療所、それから5つの保養所につきましては、継続的・安定的な運営を 行っていただける適切な民間団体への譲渡に向けまして、現在不動産鑑定等の準備作業を進めているところでございます。一方、廃止することとされました室蘭診療所及び5保養所につきましては、廃止・売却に向けて、 現在地元自治体との調整、不動産鑑定等の準備作業を進めております。また、経過観察施設とされています4つの福祉センターにつきましては、施設検討小委員会におきまして引き続き検討を進めておりまして、今後、 今月下旬開催予定の次回の小委員会での議論等を通じまして、関係者間の合意形成が図られるよう努力していきたいということでございます。それから、存続対象の施設のうち、船員及びその家族の生命・健康を守る上で 必須の全国の港、離島等への巡回健診事業の基盤となっております3つの健康管理センターと芝浦診療所につきましては、確実な事業継続に対する社会的要請が強く、事業内容の公益性も高いということで、公益事業のように 供するために必要な物件として、今後必要な手続きを経た上で、船員労働の特殊性を踏まえた事業実施ノウハウ、過去の健診データベースを有します(財)船員保険会に随意契約により譲渡を行う予定でございます。一方、 5つの保養所につきましては、一定の条件を設定した上での競争入札によりまして譲渡手続きを行う予定でございます。これら、譲渡手続きの公正性・透明性確保の観点から、近々外部の有識者といたしまして、公認会計士、 不動産鑑定士、それから、こちらの野川小委員長をメンバーといたします審査会を発足させる予定でございます。それから、存続対象となりました福祉施設の安定的な運営のために必要な措置、また福祉センターの取扱いに つきましては、今後引き続き施設検討小委員会や船員保険協議会の場を活用して検討を進めていく予定でございまして、これらにつきましても、委員の皆様方には適宜ご報告させていただきたいというふうに考えてございます。 以上でございます。 ○岩村座長   ありがとうございました。ただいまご説明いただきました、参考資料1・参考資料2につきまして、ご質問あるいはご意見がございましたらお願いをしたいと思います。清水委員どうぞ。 ○清水委員   参考資料1についてお伺いしたいと思います。以前この懇談会でいただきました資料によりますと、平成20年の見込みで、全部門トータルで14億円の赤字になるという見込みが示されていたかと思いますが、まったく状況が 違っているわけですね。この辺の理由は、どういうことなのでしょうか?何か、特別なことがあったのかどうか? ○岩村座長   いかがでございましょうか?事務局の方でお願いいたします。 ○事務局   ご指摘の点は、平成20年度の数字でございましょうか。私ども、平成20年度につきましては、見込みが大きく変わってきているというふうには認識をいたしておりません。ひょっとすると、平成21年度の決算の見込みに つきまして赤字の見込みという数字をお示ししたかもしれませんが、これにつきましては、会計処理期間の整理の関係上、保険料収入が全国健康保険協会移行後に入るということになる関係で平成21年度の船員保険の決算上は 赤字が立つということで、実質的に収支が赤字ということではございません。平成20年度の決算につきましては、今ご指摘のような数字なり見込みをお示ししたりお話したという記憶はございません。 ○岩村座長   その他、いかがでございましょうか?西村委員どうぞ。 ○西村委員   参考資料2の方で伺いたいのですけども、2点ほど伺いたいのですが、健康管理センター及び芝浦診療所は譲渡ということでしたけれども、その後の説明で、(財)船員保険会に随意契約という話も出ていて、完全に譲渡して しまうのか、それとも指定管理者等の形で運営を任せていくのか、ちょっと掴みかねたので、もう一度ご説明していただきたいと思います。室蘭の方は、廃止なので売却で、譲渡と売却で全然意味が違うということで、そこを 確認したいと思います。それから、その後なのですけれども、1月になって以降、施設に関してはどこで協議が出来るのかということも含めて、確認させていただきたいと思います。 ○岩村座長   では、事務局の方でお答えいただきたいと思います。 ○事務局   まず、第1点目でございますが、これは3つの健康管理センターと芝浦診療所、それから存続の合意が諮られました5つの保養所、これらにつきましては、先ほどもご説明申しあげましたけれども、今後とも継続的・安定的な 運営を行っていただける適切な民間団体に譲渡させていただくということでございます。従いまして、ご質問の指定管理者とかいうことではなくて、完全に譲渡して運営を継続していただくということを考えております。また、 3健康管理センターと芝浦診療所につきましては、先ほど申しましたように公益性が高い物件であり、全国で約200の離島や港に巡回健診の事業を展開していただいているわけですが、事業実施ノウハウですとか、あるいは 健康管理のデータベースを保有している船員保険会以外に適切に円滑な形で運営を継続していただけるところの確保が難しいだろうということで、これは特例的に随時契約で船員保険会に必要な手続きを経て譲渡をしていくと いう予定でございます。それから、仮に年明け以降の施設の処理について、どういう場で検討していくのかというご指摘でございますけれど、私どもとしましては、出来るだけ年内に施設検討小委員会で方向性について合意形成 を図り、その合意形成に基づいた処理も出来るだけ年内に終わらせるようにさせていきたいというのが基本的な考え方でございます。そういう意味で申しますと、4つの福祉センター以外につきましては、処理の方向性につき、 関係者で合意がいただけていると思います。もちろん病院の問題につきましては、これは大きな問題でございますので、先ほどもご説明いたしましたように、今後、法整備も含めまして、社会保険病院、厚生年金病院と合わせた 形での処理を検討させていただくということはございますけど、4福祉センター以外につきましては、方向性については合意をしていただいているので、その合意に基づいて処理を適切に実施して行きたいと思います。 残っております、福祉センターにつきましては、9月の下旬に、次回の施設検討小委員会を予定しておりますので、出来るだけそういう場を通じて方向性についての合意形成を図っていきたいということでございます。万一、 年明け以降に方向性がまとまらない場合の処理ということが生じます場合には、どういう形で検討・協議を進めていくかも含めて、年内に整理をさせていただきたいと考えております。 ○岩村座長   よろしゅうございましょうか?その他いかがでございますか?それでは参考資料の議論については、以上ということでよろしゅうございましょうか?それでは、最後に事務局の方からその他ということで、何かございます でしょうか? ○事務局   それでは、今後の取り運びにつきましてですけれど、1月に予定されております制度の見直し、労災、雇用保険、健康保険協会への移管へ向けまして、残すところ4か月強という短い期間になりましたので、私ども精力的に 準備を進めていきたいと思っております。その関係で、今日もご指摘いただいたような政省令、あるいは運用に関わる事項につきまして、出来るだけスピーディーに処理を図るということで、この懇談会の場以外にも、個別に 適宜各委員の皆様にはご報告なり、ご相談させていただく形で、出来るだけ迅速に処理を進めさせていただきたいと思います。また、政省令事項以外にも、短期間での準備をしていく関係で、今後色々なご相談なりご報告は させていただくことがあると思いますので、それにつきましては、ご了解いただけますれば、適宜各委員への個別のご相談、ご報告という形で処理をさせていただきたいと思っております。次回の懇談会の運びにつきましては、 そういった諸々の進捗状況等も見まして、改めてご相談させていただきたいと思っております。 ○岩村座長   なかなか、日程が詰まってきまして、懇談会の開催もそう容易ではないものですから、個別的に制度の運用あるいは今日ご説明いただいた政省令事項について何か細かいこと等でご質問あるいはご意見等ありましたら、 恐縮ですけれど個別に事務局の方に直接ご質問いただくなり、ご意見をお寄せいただくということでお願いをしたいというふうに思います。もちろん重要な事項について懇談会で議論しないという意味ではございませんので、 そのような形で迅速に限られた期間の中で進めていただきたいというふうに思います。事務局の方にもお願いですけども、そういったご意見、ご要望については適宜、適切なご対応をお願いしたいというふうに思います。 その他、何かこの際ということで、ございますでしょうか?よろしゅうございましょうか?それでは、今日はこれで閉会とさせていただきたいと思います。お忙しいところ、どうもありがとうございました。