第9回船員保険事業運営懇談会議事録 1 日時 平成20年12月3日(水)      10:00〜11:30 2 場所 厚生労働省 共用第8会議室  3 出席者(敬称略)   岩村、野川、江口、小坂、岡本、三木、今井、大内、田中、清水 4 議題 (1)船員保険統合に伴う労災保険率の設定について (2)その他 5 議事内容  ○岩村座長 おはようございます。お待たせしました、それではただいまより第9回船員保険事業運営懇談会を開催いたします。最初に本日の出席状況について報告をいたします。本日は小島委員、それから 西村委員がご欠席と承っております。今伺ったところでは橋委員もご欠席のようでございます。今井委員は少し遅れて見えられると承っております。続きまして、本日の資料について事務局の ほうからご報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局 本日お手元にお配りさせていただいております資料のご確認をお願いいたします。まず「資料1−1 船員保険制度における拠出額」でございます。続きまして「資料1−2 船員保険統合に伴う 労災保険率の設定について」でございます。最後に「参考資料 雇用保険制度に係る論点について」、以上3点でございます。あと、お手元のほうに前回までの資料を参考までに、ファイルさせて いただいたものを置かせていただいております。次回以降順次追加させていただきたいと思っております、どうぞよろしくお願いいたします。 ○岩村座長 資料については以上でございますけれども、お手元の資料よろしゅうございましょうか。それでは早速議事に入ることといたしたいと存じます。最初にまず、事務局のほうから資料の説明をよろしく お願いいたします。 ○事務局 それでは「資料1−1 船員保険制度における拠出額」につきましてご説明させていただきます。前回、会議の場でご質問いただきました前期高齢者制度の船員保険制度の拠出額でございます。 まず、この前記高齢者制度につきまして「○」で書かせていただいておりますが、前期高齢者の加入率が低いことが結果として、制度の負担が増えるという仕組みとなっておりまして、前期高齢者の 加入率といたしまして、そこに書いております、健康保険組合の平均が2.44%、全国平均が12.24%でございまして、我が船員保険は5.50%となってございます。拠出額でございますが、 平成19年度は115億円、平成20年度は122億円となってございまして、その増減額7億円の内訳でございますが、自然増が10億円、制度の改正分として△8億円の効果がございまして、 前々年度の精算分として5億円がございまして、合計7億円の増という負担の状況となってございます。簡単ではございますが、負担の状況のご説明とさせていただきます。 ○岩村座長 ありがとうございました、それではただいまの船員保険制度における拠出額についてのご説明につきましてご質問、ご意見等がございましたら伺いたいと思います、よろしくお願いいたします、 清水委員どうぞ。 ○清水委員 資料どうもありがとうございました。新しい保険制度になって、負担が従来以上に重くなって、色々な保険制度で財政的に厳しい状況になっているんじゃないかという心配があって、我が船員 保険も財政的に今後新しい船員保険制度としてやっていくという矢先に、そういう前提が崩れてしまうような過大な負担がもし発生していたら大変だなと心配して、前回ご質問させていただきました。 これをトータルで見ると7億円の増ということですけれども、7億円というのは決して低い額ではありませんけれども、制度の運営に壊滅的な打撃を与える金額ではないのかなというふうに思います、 それで一安心はしておりますが、これは次年度以降も大体こういうペースで推移していくであろうというふうに受け取ってよろしいものなんでしょうか、それともこれは平成20年度のみこういうことで あって、21年度になるとまた全然違う出入りになるということなのか、そのへん補足していただけたらありがたいと思います。 ○岩村座長 事務局のほういかがでしょうか。 ○事務局 申し訳ございません、わかるものに関してはお調べしてお答えさせていただきたいと思います。 ○岩村座長 制度改変がなければ、今日の資料で見ますと平成20年度については老健拠出金、退職者医療拠出金などが経過的に残っていて、それに新しく後期高齢者支援金等が入っているという状況なので、 来年度以降になるとこの老健拠出金、退職者医療拠出金がなくなり、後期高齢者支援金が残るということになります。ただ、年度途中での切り替えの話なので、全体としての額が来年度以降どう動 くかというのはシミュレーションしてみないとわからないのかなという気がいたします。それから、2年か3年経ちますと保険者の努力による拠出額の増減というのが入ってきますので、それによっても 少しずつ違ってくるということになろうかと思います、一般論としてはそういうことではないかというふうに理解しております。今の点について他にございますでしょうか、よろしいでしょうか。それでは 次の資料についてご説明をいただくということにしたいと思います。「資料1−2」ということになります、よろしくお願いいたします。 ○労災管理課長 労働基準局労災管理課です。「資料1−2 船員保険統合に伴う労災保険率の設定について」という資料をご覧いただきたいと思います。前回の懇談会で積立金の取扱いについてご議論いただき ましたので、それを踏まえて労災保険率の設定についてご説明をさせていただきたいと思います。まず1ページのところで、上にありますように船員保険の職務上疾病・年金部門につきましては 平成22年1月に労災保険に相当する部分が労災保険制度に統合されるということになっておりますが、その場合に、労災保険に船員に係る業種を新設することとしています。この点につきましては、 平成18年の懇談会の報告書におきまして、統合した際には船員労働の特殊性を共有するひとつの保険集団として、同じ種類の事業として取り扱い、同率の保険料率を適用することとすべきだと いうことが謳われておりまして、それをふまえまして同じ種類の事業として同一の保険料率を適用するということを考えております。実際の料率を決める場合の要素及び考え方でありますが、 基本的に労災保険においては3年ごとに災害率等に基づきまして保険料率を設定しているということで、「A 過去債務分」については船員について特別のものでありますが、それ以外については 他の業種と同じ考え方ということです。「@ 業務災害分」について、短期給付と長期給付に分かれてございますが、短期給付は療養補償給付とか、休業補償給付とか、一時金とか、年金以外の 部分でありまして、これにつきましては3年間で平均して収支が均衡するようにとのことで、純賦課方式で計算をするということです。他方、長期給付ということで、遺族年金とか障害年金とか、 将来にわたって給付されるわけですが、それについては将来の給付費を含めて、災害発生の時点で全額徴収するということにしております。これは、業務災害を発生させた原因のある事業主が その責任を負担すべきということで、災害発生時点において将来の必要な費用を含めて全額徴収して、それを必要な積立金として保有していくということで、充足賦課方式といっております。 労災保険においては平成元年度からこの充足賦課方式という方法に長期給付の財政方式を改めておりまして、統合後はそれに合わせるということです。それから過去債務分につきましては 後ほど積立金、移換金についてご説明いたしますが、統合時の既裁定の年金の将来支給分の総額である移換金と、実際に統合時に移管される積立金の差額が生じ、それを償却するということで、 30年の償却期間において一律の率で賦課するということです。それから非業務災害分ということで、通勤災害でありますが、他の業種と同じ率ということです。それから社会復帰促進等事業費 につきましては、被災労働者の社会復帰ですとか援護、あるいは災害防止のための事業を行っておりまして、それに要する費用とか事務費についてでありまして、これも他の業種と同じ率と いうことです。2ページに具体的な計算の結果がありますが、業務災害分については24.5厘となっております。これに過去債務分の26.4厘を足すと50.9厘ということであります。 非業務災害分と社会復帰促進等事業費分については(※2)で、計算中ということになっておるわけですが、労災保険の他の一般の業種の保険率については平成21年4月に次回改定予定で ありまして、今月から労働政策審議会の労災保険部会でその改定についてご審議いただくということで、現在非業務災害分と社会復帰促進等事業費分については計算中ということでございます。 平成18年度の料率改定時においては非業務災害分が0.8厘、それから社会復帰促進等事業費分、当時は労働福祉事業費でありましたが、これが1.4厘ということで、足すと2.2厘と いうことであります。その後の状況としては、社会復帰促進等事業費について、特別会計の見直しなども進んでおりまして、若干下がるというような見込であります。いずれにしても平成18年 度当時の現在非業務災害分と社会復帰促進等事業費分を加えても、全体としては53.1厘ということになりまして、そこから若干下がったとしても四捨五入の関係では船員に係る料率は53厘 になると今のところは考えております。移換金につきましては右側にありますように2371億円ということで、一方で統合時移管される積立金が983億ということで積立金の差額は1388億円強と 見込んでおります。その具体的な計算につきましては4ページ以下でありますが、年金について、傷病補償年金、それから障害補償年金については1〜3級と4〜7級に分けております、 それから遺族補償年金、それぞれについて年金単価と将来の残存率をもとにした受給者数を推計しまして、あとは賃金上昇率と運用利回りをもとに必要な積立金を計算するということです。 5ページでは例として障害1〜3級について必要な積立金が80億7,300万円ということですが、これは21年度末において年金受給者が、障害の場合231人というふうに見込んでおります。 それが徐々に失権していくということでありますが、平成60年度の時点で17人。これは労災保険の残存表を用いて受給者数の推移を見通しておりまして、平均受給額については平成21年度 時点において235万8,995円ということで、それについて賃金上昇率と運用利回りで将来を推計していき、それを掛け合わせて給付費用というものを足しあげていくと、必要な積立金が、 障害の1〜3級については80億7,300万円となります。同様の計算を傷病とか、遺族とか、あるいは障害の4〜7級について行いまして、全部足しあげたものが2,371億円となります。 前回18年の報告書の時点では、この積立金は約2,100億円と見込んでおりましたが、これについては7ページのところで、これは前回の懇談会でご説明いたしましたが、年金受給者数の 推計が、前回というのが平成18年の報告書作成当時でありまして、平成16年度まで実績がありまして、それが1万933人ということであります。その後について労災保険の残存表で推計を しておったわけですが、平成21年度末には8,969人と当時は見込んでおったわけですが、平成19年度での実績が出まして、1万375人という実績になっております。それをもとに21年度末を 推計しますと、9,604人ということで635人多く見込まれることから、前回よりも移換金が多くなったということです。一方被保険者の今後の見通しなんですが、6ページをご覧いただきたいと 思います。平成18年の報告書においては3つのケースを想定しまして、27年度末で3万人、3.5万人、4万人と、3つのケースでこの積立金差額の償還について推計しております。前回清水委員 からもご意見があったわけですが、平成16年から19年度までの実績が出まして、被保険者の、左の太い線のところでありますが、減少がやや鈍化しているということがあります。前回の推計は 直線的に平成27年度で3万5千人、これは3万5千人のケースでありますが、そういう減り方をすると見込んでおったわけですが、その後被保険者の減少数がやや鈍化したということもふまえて、 過去10年間の減少率で今後推移するとした上で、前回、一応3万5千人というのが中位的な推計となっておりますので、その3万5千人で下げ止まるという形で推計しますと、平成32年度で 3万5千人になり、その後横ばいになるという形で今回被保険者数の推移を推計しております。その関係で当面被保険者を前回よりも多めに見込んでおりますので、移換金は前回よりも多く なりまして、積立金差額も前回1,300億円と見込んでおった、平成18年ですね、それが1,388億円ということになっておりますが、過去債務分の料率については26.4厘で、前回1,300億円で 30年で見込んだ時は27.8厘でありまして、それより若干下がっておるということです。この点についても積立金の差額とか、被保険者の推移なども含めて労災保険においては基本的に3年ごとに 料率を見直していくということにしておりますので、また今後その料率の見直しの段階で積立金の差額の状況とか被保険者の状況を含めて、また過去債務分についても3年ごとに見直しを行う ということを予定しておりますので、当面平成22年1月から平成24年3月まで、その部分についての料率ということでこの2ページの案ということでお示ししているところでございます。それから 8ページが現在の職務上疾病、年金給付等に係るデータをお付けしておりますので、これはまたご覧いただければと思います、説明は以上でございます。 ○岩村座長 ありがとうございました、それでは今、船員保険統合に伴う労災保険率の設定についてご説明いただいたところでございます。この点につきましてご質問、ご意見等ありましたらお願いしたいと 思います、よろしくお願いいたします、江口委員どうぞ。 ○江口委員 3ページの「積立金の取扱いについて(粗い試算)」という資料ですが、一番下の「公法人移行経費」については、業務取扱部門の積立金53億円がそのまま移行経費という形で書かれております。 実際の移行でどのぐらいの予算、金額が必要なのか、近い将来この移行に関わる費用についての明細について、詳細を開示していただきたいと思っております。我々といたしましては特に福祉の 部分で積み上がっている30億につきましては、先にお話のありました労災の移換金に移せないかという話を前々からお願いしておりますので、この点についてご説明いただきたいと思います。 ○岩村座長 事務局のほうでお願いいたします。 ○事務局 今のご質問にお答え申し上げます。現在と申しますか、平成21年度末時点で、福祉・業務取扱費53億円の積立金が予測されているということでございます。この福祉・業務取扱部門と申します のはご案内の通り、船員保険における福祉事業を行っておりましたり、また業務取扱といえば船員保険の事務費に充てている部分でございます。各部門で持っております船員保険の積立金を 分配していく考えをこの矢印においてお示ししているわけでございますけれども、この福祉・業務取扱部門が、いま申したような事業、また、船員保険に係る事務費に要していた積立金であると いう経緯からいたしまして、新しい船員保険制度に向かうにあたりましては、新船員保険を実施いたします全国健康保険協会、そこへの移行経費に充てるのが適切であるというふうに考えまして 53億円を公法人化に係る移行経費というものにしているものでございます。移行経費の具体的な使途と申しますか、これにつきましては協会が行う新船保におきましても協会が新しく福祉事業を 行うということもございますし、その協会においてシステム開発等は現在行っておりますけれども、協会に行ってからもさらにシステムの改変等を行う、いわゆる全体のイニシャルコスト等もかかります。 そういったことでこの53億円の中からそういったものに支弁できるようにといったことを考えてございます。ただ、いずれにいたしましても現在粗い試算としてお示ししております「(1)50億円」 「(2)53億円」合わせまして協会におきましては一般の、協会健保の予算とは区分経理された特別の会計で経理されることになります。その会計の処理、予算の組み立てにあたりましては新た に協会において組織されます、船舶所有者ですとか被保険者の方々のご意見を聞くというための船員保険協議会が立ち上がりますので、予算につきましてはそこのご意見を伺って、それを 尊重するという形になっております。したがいましてこれらの具体的な協会における使途というものにつきましては、また改めてこの協議会の場でご議論いただければと考えております。 ○岩村座長 江口委員よろしゅうございましょうか、他にはいかがでございましょうか、清水委員どうぞ。 ○清水委員 今の件に関連してですけれども、今日お配りいただいている資料の一番後ろに報告書の抜粋がございまして、2枚目頭のところに<積立金及び資産>という項目がございます、ここにはですね、 船員保険が保有している職務上年金部門以外の積立金、この中には職務外の疾病部門も含まれるわけですけれども、「これらの積立金については一部を今後の新船員保険の運営及び 公法人化に係る費用等に充てることが必要である。」となっています。これについては被保険者側としては言い分があって、抵抗したところですけれども最終的にはまとまったわけですね。 前回配っていただきました資料の、積立金の部門別の推移を見ますと、疾病部門の20年度の見込みが単年度収支差で19年度が28億円の黒だったのが、20年度の見込では3億の赤に なっているわけですね。これは先ほどの8億円でしたか7億円でしたか、新しい保険制度がスタートしたことに伴う負担増もあるでしょうが、かなりの部分がこの移行経費に充てられているん じゃないかというふうに思います。もしこの業務取扱費53億を別な用途に振り向けるとするならば、それよりも先に職務外疾病部門から負担している移行経費の分に充てるべきではないか。 本来移行に伴う経費というのはこの業務取扱部門でまかなうべきものだと思っているわけですね。だけどこれは新しい船員保険がスタートすることにあたって必要なものだということで、 これには手をつけない、そのかわり職務外のほうから結構出していると、これは本来は給付に充てるべきお金ですよね、それを移行経費に振り向けているわけですから、問題といえば問題だと、 僕は思うんですね。だけど新しい制度を立ち上げるんだということで、みんなで合意した内容でありますので、この部分はひとつそういう面もあるのだということをもう一度認識しておきたいな というふうに思います。それから、江口委員が指摘された情報開示については、全く私も同感です。3年ごとに料率見直しというご説明でしたけれども、今後についても見直しの際の様々なデータ、 事故の発生件数しかり、それに要した給付費しかり、収入しかり、そういったものをぜひ利害関係者に開示していただいて意見聴取をしていただいて料率の見直し作業にあたっていただきたいと、 そういう機会を是非確保していただきたいなということをお願い申し上げます。それからですね、料率が53‰程度になるんじゃないかとご説明いただきました、これは現在船主さんが負担されている 負担率からすると結構軽減されたものになるだろうというふうに思います。その軽減分というのは統合によって生じた統合効果というか、統合することで軽減ができたんだというふうに理解して いいものかと、そのへんを教えていただきたいと思います。 ○岩村座長 第一点はご意見として承っておくということだと思います、第二点はご要望として承るということでよろしいでしょうか、それとも事務局でお答えいただきますか。 ○清水委員 統合効果かどうかということだけお願いいたします。 ○岩村座長 それは第三点ですね、第二点の情報開示の件だったのですが、そこはそういうご要望があったということで承っておけばよろしいですね。 ○清水委員 是非そのようにしていただきたいと思います。 ○岩村座長 では第三点のところの、統合効果との関係というところをお願いいたします。 ○労災管理課 まず、労災保険においては長期給付について充足賦課方式をとっているということで、今までの船員保険の職務上疾病部門と年金部門の財政方式がちょっと異なっているということで、それによって 過去債務分について30年間で償却するという形にしたことに伴って、労災保険の部分については53厘ということに下がっていることと思います。一方で船員保険で上積みしている部分がありまして、 その部分はこの53厘とは別なところから出さないといけないということになりますので、そちらのほうは担当部署の方にお願いします。 ○事務局 上乗せ部分の給付につきましては、新しい協会において新船員保険の分から給付するという形になりますが、新船保におきまして保険料率がどれくらいになるのかということは協会がお決めに なることでございますけれども、それにあたりましては先ほども申し上げました船員保険協議会でご議論いただいて決めていくことになると理解しております。 ○岩村座長 清水委員、よろしゅうございましょうか。 ○清水委員 「資料1−2」の1ページで、「料率の要素と算定の考え方」という中で、過去債務分については償却期間30年となっております。これは報告書の中で35年という案もあったかと思います。あえて30年 としたということの理由があればいただきたいというのと、もう一つ、「B 非業務災害分」というのがございます、これは通勤災害に充てる分だということで、他の業種と同じ率ということで、平成18年度 のデータだと0.8厘、今度変わるだろうというご説明でした。船員の場合はもちろん、通勤災害というのはあるんですけど、通勤に伴う災害のリスクに曝露する機会というのは少のうございまして、 我々も陸上で勤務している場合には月20日くらい通勤するかどうか、年間240日程度、それに対して船員の場合は乗下船の間、それから社命でもって研修に通う途中ということにほとんど限定され ますので、陸上のサラリーマンの通勤災害のリスクと比べるとほとんどネグリジブルだと、5%未満だと思うんですよね。それで同じ率を負担することとなると、給付と負担のバランスがどうなるのかと いう論点がひとつ出てくると思います。このへんはもうちょっとその違いについてご検討していただいて、配慮いただけないかという要望ですけれども、以上2点です。 ○岩村座長 労災管理課長、お願いします。 ○労災管理課 まず、過去債務分の償却期間について30年としているわけですが、これは労災保険の方で平成元年度に財政方式を変更して充足賦課方式に変えたときに、同じように過去債務分というのがあった わけですが、それについて償却期間を30年にしたということで、それに合わせて今回も30年にしたということです。労災保険の方で、当初償却期間を30年に設けた後、一時35年に変更したということ があったので、報告書の段階では30年、35年と2つあったのですが、基本的に、平成元年度に変更したときに30年と設定いたしましたので、今回も30年ということで設定したいというふうに考えて おります。いずれにしても、今後の積立金の状況や被保険者の状況によって必要があれば見直すことが可能だというふうに思っておりますが、当初の考え方としては30年ということでございます。 それから、通勤災害についてですが、基本的に通勤災害というのは事業主の直接の支配下にないものですが、業務と密接に影響して、労務を提供するためには不可欠であるということで、労災保険で 通勤災害についても給付を行っているということです。その場合、事業主の責任でもないということで、業種ごとに料率を設定するという形を労災保険の方でとっていないということから、船員についても 他と同じで業種に関係なく一律にするということが適当であるというのが基本的な考え方です。 ○岩村座長 小坂委員どうぞ。 ○小坂委員 30年と35年の話が出たんですけれども、少なくとも報告書では35年というのが強く、委員の意見としてあってそれが書きこまれているという現実の中で、事務局が勝手に30年を選択したという話は 非常に耳障りであるので、そのへんははっきりご説明いただきたい。 ○岩村座長 大内委員どうぞ。 ○大内委員 話に関連してですけれども、小委員会の時は30年、35年ということで、まさしくそういうことで、償却年数をやってきたわけですけれども、今のお話からするともう30年と決まっているのだと、こういう ふうに聞こえてしょうがないんですけれども、それであれば施設検討小委員会の時になぜ35年という案が事務方から出てきたのか、そこがよくわからない。なぜそういうことなのか、もう一度教えて いただきたいということと、通勤災害の話ですね、これまた聞いていると、海上の特殊性、船員労働の特殊性ということを前段で謳われておりながら、通勤の部分だけは陸上と同じだということでは ちょっと納得できないし理解もできない。ご承知だと思いますけれども、一回乗船して、休暇で下船して、年間のサイクルで港から家へ帰るまで年に1人あたり何回だと思いますか。多くて6回、 乗船・下船を1回とカウントするなら年間3回くらいの行ったり来たりですよ。そういうのが船員労働の特殊性ということでご認識いただけるというのだったら、先ほどのご発言というのは納得できない、 以上でございます。 ○岩村座長 労災管理課長いかがでしょうか。 ○労災管理課長 まず償却期間について、今日の資料11ページの真ん中なんですが、「労災保険における財政方式の切り替えの例にならい償却期間を長期間に設定する等により、統合の際には船舶所有者の 全体の保険料率が現在よりも増加しないようにそちを講じることが適当である。」とありまして、その下の※印にありますように、「労災保険における平成元年度の充足賦課方式への変更に伴う 積立金差額の償却期間は当初30年とされていたが、その後35年に見直されている。」ということであります。ですので、労災保険において変更の際には当初30年としたということであると、 この報告書で、次の12ページにありますとおり30年と35年、2つのケースを推計していることは確かなんですが、平成元年度の充足賦課方式への変更の際には当初30年ということなので、 今回の統合にあたっても当初は償却期間を30年としてはどうかということであります。先ほども申し上げましたとおり、この積立金の充足状況とかそういうことを含めて35年に見直した例もある わけで、今後の状況によっては償却期間をさらに見直すということはあり得るかと考えておりますが、労災保険における変更の例からいって当初は30年とするのが適当ではないかというのが 事務局としての考え方です。 ○岩村座長 今の点で、私の記憶も定かではないのですが、30年で当初始めて、35年に変えたというのはいつ頃でしたか。 ○労災管理課長 平成13年の料率改定時でありまして、当時の景気の動向ですとか、積立金の充足状況などを踏まえて35年に見直したということです。 ○岩村座長 そういうことで、当初30年ということでスタートして、その後、景気の動向が比較的大きな要因であったということと、比較的積立てが順調であったということを勘案して35年というふうに延長した のではないかというふうに記憶しております。30年、35年という議論はあるのですが、ひとつは先ほど労災管理課長が説明されたとおり、充足賦課方式への変更した際には30年ということで 出発したということが一般の企業についてもあるということを考えると、それとの均衡からすると30年ということで始めて、労災管理課長もおっしゃられたようにその後の状況に応じながら、 場合によって必要なことがあれば35年というふうに延長すると、そういうこともあり得ると、そういうことでいかがかというようにも思います。そこについてさらにご意見ありますでしょうか、三木委員どうぞ。 ○三木委員 内航の立場から申しますと、特に昨今の景気の下降局面を迎えまして非常に経営的に厳しさを増しておりますことからですね、やはり長くしていただける余地があるのであれば、償却期間を長くして いただいた方が我々内航業としてはありがたいことだと思います。意見でございます、以上です。 ○岩村座長 ありがとうございました、小坂委員。 ○小坂委員 今、景気の動向の話が出てきて、最大の景気の下落というか落ち込みの中に来ているのなら尚更のこと、長く償却していくというのが論理的には正しいのではないかと、私は別に経済学者では ありませんけどそういうふうに思います。これは意見で結構です。 ○岩村座長 それではもう一点、通勤災害の質問がございましたのでお願いいたします。 ○労災管理課長 通勤災害について、他の産業においても通勤の形態は様々な形態があるわけですが、業種別に料率を設定していないというのが基本的な労災保険の考え方でして、統合にあたってこれまでの 船保懇の報告などでもその点について特に触れられていないということで、船員についても労災保険の方の一般の考え方でやるのが適当なのではないかということです。あと、もう一つ申し上げ ますと、今船員保険のほうで通勤災害に係る給付の状況が必ずしも資料として入手できていないというところがあります。ですので、通勤災害の発生状況というのが把握できていないということが あります。仮に、制度を変えることを検討するにしても、現状においてはデータがないので、船員だけを別に率を設定するのが非常に難しいというデータ的な制約というのもあるということでご理解 いただけたらと思います。 ○岩村座長 大内委員どうぞ。 ○大内委員 今ご説明いただきましたが、データということで言えば、旧船員保険の関係の中でそういうデータというのは蓄積されているのではないですか。 ○労災管理課長 私どもではいただいてはいないということです。 ○事務局 今ご質問のデータの有無については、確認しまして後ほどお答えいたします。 ○岩村座長 通勤災害については基本的な考え方の問題なんですね。先ほどから労災管理課長に説明していただいているように、通勤災害については業種別リスクという考え方をとっていません。したがって、 陸上の労働であっても、その置かれた事業場によって通勤のリスクの高い業種や事業場もあり、他方通勤災害のリスクの低い企業ないし事業場もあるんですが、そういったものは一切考慮せずに、 全部一律にして料率を設定するというのが労災保険における通勤災害の料率設定の基本的な考え方になっています。そのことを船主および組合側双方にご理解いただきたいというふうに思います。 先ほどから組合側がおっしゃられているような海上労働の特殊性というのは理解しますけれども、他方でもしそういう考え方を通勤災害のところに導入するということになると、多分通勤災害の発生 リスクに応じて料率を設定することになるのかという、そういう議論に陸上労働についてもなるということだと思うんですね。そうすると結局通勤災害というものがそもそも、そういう形に馴染むのかと いうことなんだろうという気がします。その点ちょっと是非ご考慮頂きたいというふうに思います。データの話も出ましたけれど、そういう形でやるとすると、陸上労働のほうでも「それなら我々のほう でもやれ」ということになって、通勤災害の料率そのものについての議論を根本から、陸上労働も含めて全部やるという方向に行くということになろうかという気もいたしますので、そのへんのところ もご勘案いただけたらと、私としては、個人的には思います。今のところ議論としては、償却期間をどうするかということがひとつ出て、船主からのご要望ということもあり、それから組合側からも 償却期間に関してのご議論があったというふうに思います。通勤災害の部分については、私としては先ほどの組合側のご意見というのもわからないところはないんですけれども、ただ、労災保険 制度全体の根本的な枠組みに関わる話でありますので、ご不満はあろうかと思いますけれども、通勤災害の部分の料率設定についてはご納得いただければと、無理にでもご納得いただければと いう気がいたしますが、そのへんはいかがでございましょうか、大内委員どうぞ。 ○大内委員 一般論として今座長からお話があったことについては十分理解できます。ただ、今回制度の違いということで、あったものが一つに統合されていく。こういう中でのこの問題というふうに捉えていた だければと思います。例えば昨日から、あるいは先週から、まぐろの漁獲量の減少の話がございましたけれども、遠洋まぐろ船はですね、日本を出てから帰ってくるまで長い船だと2年かかるん ですよ。で、港に戻ってきてそこから休暇で家に帰ると。ですから、極端な話でいうと通勤災害に遭うとすれば2年に1ぺんあるかないか、こんな状況でございまして、外航航路の船では大体年2回 あるいは3回程度休暇ということで、日本の港あるいは外国の港で下船して家まで帰ると、外国の港で乗船する等ですね、せいぜい年間、よほどのことがない限り6回前後と。内航のところについ ても乗船して下船ということでいうと、大体年間3回、ですから往復で6回と、こんな程度の話なんですよね。それが船員労働の特殊性ということで、この部分に書かれておりましてね、それで制度 の違いということで、陸上のほうはいろいろあるかもしれませんけれども、陸から陸へということで行くわけで、船の場合は港で乗って、休暇でおりるまでが言われるような通勤途上というのはあり 得ないんですよね。食住そのままですから、船の上で住んで、生活をして、仕事場として、そういうことですのでそういう状況をご理解されないままに同じ率だということを言われると、我々としては ちょっと釈然としないと、以上です。 ○岩村座長 野川委員どうぞ。 ○野川委員 理解に基本的な齟齬があるようなので、私なりの感想を少し述べさせていただきますが、先ほど座長がおっしゃったのはですね、通勤災害制度というのは基本的な性格が労災保険の業務上災害 とは違って、使用者側の支配下にない、つまり使用者側に帰責することが必ずしもふさわしくはない、論理的にはですね、ものについても負担の観点から使用者側にさせたうえで補償しようという もので、使用者の支配下にないことについて、例えば通勤の途上がかなり陸上の業種によっても違うということを加味するということになると、これは基本的に通勤災害を導入したときの考え方と 齟齬するので、通勤災害についてはそういった通勤途上の危険度といったものも入れないという基本的な考え方が導入されているわけですね。船員労働の特殊性というものを大内委員が言われた ようにですね、基本的に陸上の通勤ということと、海上労働者の通勤ということで違うということを主張されるのであれば、それは論理的には通勤災害制度というものを船員に適用しない、つまり、 船員には通勤災害というものはないと、こういうことになってしまう、つまりそういうことでないと今おっしゃっていることがつながらない、そうなるとですね、労災保険と船員保険を統合すること自体 にですね、大きな支障をきたすんですね。そういうことを考えますと、実態としてもですね、確かに船員の通勤災害は無いんじゃないかと思います、無いと言って良いレベルだと思います。ただ そういうことであれば、他の業種でも業種によってはそういうものがあるかもしれない、つまり陸上の業種でもほとんど通勤災害が無いといって等しいというのもあるかもしれない。ですからそう いう観点からもし通勤災害制度というものそれ自体を例えば適用しないんだという、そういうご主張でないのであれば、特殊性を考慮して欲しいということであれば、それは船員保険と労災保険 とが統合というか、労災保険だけではありませんけれども、労働保険に統合したことからくる一つの結果で、そして実質的には陸上についても通勤災害によって補償がおこるということが船員と 同じ程度に低いということもあると思いますので、そういうことからご理解いただければと思うんですね。 ○岩村座長 小坂委員どうぞ ○小坂委員 座長及び野川委員のおっしゃることは十分理解しますけれども、基本的に違う部分があるんだと思います。というのはこれまで一般といいますか、陸上全ての業種の通勤途上の災害を検討して きた経緯、経過の中で、一度たりとも船員労働と通勤について考えたことはなかったんだと思います。それから野川委員のおっしゃるように、ひょっとしたら陸上にも非常に少ないものがあるかも しれないけれども、それはどういう形で、敷地内の寮にいるにしてもですね、船員の食住一体という姿とは根本的に違うわけです。これは一般制度の中に船員保険を入れていく中で新たに生じた ことだと思います。ですからこの先、こういうことに対してどういうふうに議論をしてくのかということが一番大切であって、いま制度の中に入っていく間にここをどうしても変えなきゃいけないという 議論を私共もしているつもりはありません。ただ、やっぱり座長やら野川委員のように学識経験の高い人たちに、こういう部分に対して大きな齟齬があるのではないかというようなことをやはり理解 していただいて、機会あるたびに我々とまた議論ができれば、また前に進んでいくんだと思います、以上です。 ○岩村座長 大内委員どうぞ。 ○大内委員 小坂委員からもお話ありましたけれども、この制度そのものを適用しないで良いということでは決してございませんので。ただ先ほど申し上げたのは、船員というのはこういう形になっていますよと、 そういうことからしますと、陸上の皆さんの通勤災害ということと、船員の場合の通勤災害ではかなりリスクが違いますよねと、そういうことであれば他の業種と同じ率というのはいかがなものですか と、こういうことを言いたかっただけでして、ただ一般論として先ほど座長のほうからお話がありましたので、そういうことであるということは十分認識しておりますが、我々としては何らかの考慮なり 配慮なりしていただければと、こういうことを申し上げました、以上です。 ○岩村座長 2つ問題が今のところ出ておりまして、ひとつは償却期間の問題ということと、通勤災害の料率設定のご議論があると、もし料率の問題で他のご議論があればこの時点で承っておきたいのですけ れども、いかがでございましょうか、清水委員どうぞ。 ○清水委員 広い意味で料率に関係する問題だと思いますので発言させていただきます。「資料 1−2」の一番上の部分に、労災保険に船員に係る業種を新設し、船員労働の特殊性を共有する一つの保険 集団として、同じ種類の事業として取り扱うというふうに整理しまして、これは報告書の結論に沿った取り扱いであろうというふうに思います。大変適切なものだと、私自身思っております。是非この 原則を将来に向かって堅持していただきたいと思います。そこで確認なんですけれども、保険料率の問題と関連してくるわけですが、適用単位としては船舶であるというのが普通の労災保険上の 取扱いになっておろうかと思います。ただ、料率を設定する際の事業の種類としては船員という新しいくくりでもって束ねて、それで料率を決めていくんだというふうに受け止めたんですけれども、 そういう理解でよろしいかどうか確認をお願いします。 ○岩村座長 労災管理課長お願いします。 ○労災管理課 料率を設定する場合の業種、どういう表現をするかというのは今後省令で規定することになりますので技術的なものがあるのですが、いずれにしても船員保険の船員の部分を一つ業種としてそ こで料率を決めるということを考えております。 ○岩村座長 清水委員どうぞ。 ○清水委員 適用単位としては船舶ということですか。 ○労災管理課 適用単位については現在労働保険徴収課と調整中ではありますが、船舶所有者といいますか、そういうことも含めて今最終的に調整しているところであります。 ○岩村座長 三木委員どうぞ。 ○三木委員 今清水委員から船舶かというご質問がありましたけれども、内航の業界におきましては船舶を保有しない船舶管理会社というのもございます。船舶単位というよりは雇用事業者を基準に考えてい ただきたいと思います。それから先ほどの通勤に係る災害の問題でございますけれども、大内委員のご意見も小坂委員のご意見も、座長の意見も伺って考えたのですけれども、我々は陸上の 諸制度に統合していただくということを考えますと、陸上の方でも船員関係については幾分のご負担をいただくことになるんじゃないかなという気がしております。そういうことを考えますと、我々 船員側の都合からいいますと通勤というのは非常に少ないというのは事実としてあるんですけれども、これは陸上の諸制度を尊重するという考え方もしないと統合は難しいという気はしております。 これは私の感覚的なお話で恐縮なんですが意見でございます、以上です。 ○岩村座長 ありがとうございました、その他料率関係で他の論点でご意見等ございますでしょうか。 ○一同 ありません。 ○岩村座長 ありがとうございます、それでは今日、償却期間について当初事務方で30年ということで提案させていただいて、私もそれでいいのではないかと思いますけれども、なお35年というご意見もあった ということもあります。それから、通勤災害についても事務方のほうでは当初他の業種と同じ率ということでご提案があり、野川委員も私も同じ意見ですが、それで良いのではないかというふうに思っ ているところではありますけれども、他方で船主側、あるいは組合側からもご意見があったというところでございますので、今日この場でそれを全部ひっくるめて取りまとめるというのはちょっと難しい かという気がいたします。そこで大変恐縮ですけれども、この件については今日の議論をふまえて再度事務方と私とで相談させていただいて、再びご議論いただければというふうに思いますが、 それでいかがでございますか、小坂委員どうぞ。 ○小坂委員 通勤災害の部分については議論にこだわるものではございませんので、改めてご議論いただく必要はなのではないかと、ただ、そういうことがあるということをどこかに留めていただければ、記憶の 中でも、文書でもなんでもこだわりません、そういうことです。 ○岩村座長 組合側いかがでしょうか、それでは通勤災害の部分については今回先ほどのような議論があったことが議事録にも残るというご了解のもとで、他の業種と同じ率ということにさせていただければと 思います。ただ、償却期間については申し訳ありませんけれども、事務方と相談させていただきながら再度この後検討、議論させていただければと思います。よろしゅうございましょうか。それでは 次の項目に移りまして、船員保険制度についての説明を事務局のほうからしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○保険課長 保険課長でございます。まず一点、前回ご質問のありました船員派遣の第三者求償につきましては、現在検討させていただいております。二点目、これは参考資料でお手元にあるかと思いますが、 「雇用保険制度に係る論点について」と題した資料がございます。これは労働政策審議会の職業安定分科会の雇用保険部会において11月26日に出された資料でございますが、給付の見直しや、 あるいは雇用保険料率について議論がされております。船員保険につきましても雇用保険制度に統合していくわけですけれども、それまでの間、船保に関しましても失業給付というのがございます。 そういう意味で、船員に対する適用の議論につきまして皆様のご意見を聞かせていただきたいというふうに考えておりますが、まず資料の説明をさせていただきますと、参考資料「雇用保険制度に 係る論点について T 当面の優先課題 1.セーフティネット機能の強化等について (1)給付の見直し」ということが出ております。「今後想定される離職者の増加等に備え、セーフティネットに 万全を期す観点からの給付の見直しについて」そして「(2) 適用範囲の見直し ○ 雇用のセーフティネットとしてカバーする労働者の範囲の見直しについて」そして「(3) 育児休業給付の見直し」 について、育児休業給付について暫定措置が取られておりますので、それの対応ということでございます。そして、「2.雇用保険料率について ○ 平成21年度の失業等給付に係る雇用保険料率 について ※ 平成20年10月30日に決定された追加経済対策において、国民の負担軽減の観点から、雇用保険料率について、平成21年度の1年間に限り0.4%までの幅(現行1.2%)で 引き下げることについて検討、結論を得るとされたところ。」「○平成21年度の雇用保険二事業に係る雇用保険料率について U その他 ○ 平成19年1月9日の雇用保険部会報告において 「今後の課題」とされた事項(65歳以降への対処等について)」、その中身、さらに詳しく説明させていただきますと、1ページおめくりください、「1.当面の優先課題」についてでございます。 「1.セーフティネット機能の強化等について」「【検討の視点】」は先ほどと似たような感じですが、「○ 現下の厳しい景気動向や、急速に悪化しつつある雇用失業情勢を踏まえ、今後想定され る離職者の増加等に備え、セーフティネット機能の強化についてどう考えるか。」「○ 派遣、パート、契約社員等のいわゆる非正規雇用者が雇用失業情勢の悪化等の影響を深刻に受けることが 考えられるが、こうした非正規雇用者をはじめとする離職者に対するセーフティネットについて、暫定的な対応を含め、どうすべきか。」と、ここは一つのポイントになっているのかと思います。 そして具体的な論点として「(1)給付の見直し」、先ほどご説明したポイントでございますが、ちょっと詳しくここでは書いております。「【検討の視点】○ 非正規労働者に対するセーフティネット機能 の強化の視点 契約更新がなされなかったため離職した有期雇用者等に対する受給資格要件等の取扱いについて、いわゆる倒産、解雇等による離職者(特定受給資格者)の扱いを勘案し、 どう考えるか。」あるいは「○ 再就職が困難な場合の支援の強化の視点 基本手当の支給が終了しても再就職が困難な場合について、特に必要があると認められる一定の対象者については、 個別に重点的な支援を行うことについてどう考えるか。その際、離職者の年齢や雇用失業情勢の地域差等を考慮することについて、どう考えるか。」とあります、そして、「○ 安定した再就職に 向けたインセンティブ強化の視点 安定した再就職に向けたインセンティブとして設けられている「再就職手当」や「常用就職支度手当」について、さらにインセンティブを高める仕組みとする 方策について、どう考えるか。」、このように出ておりますが、船員保険と雇用保険制度、若干違う部分もございます。先ほどの文章の中に出ております特定受給資格者、これも船員保険制度 とは違います。2ページ目に出ました「安定した再就職に向けたインセンティブ強化の視点」「再就職手当」や「常用就職支度手当」という言葉も出ておりますが、船員保険においては再就職手当 というのはございます、そういう面ではこうしたものも影響してくるわけでございますが、常用就職支度手当、これは障害者の手当の関係でございまして、船保の対応とはちょっと異なっておりまして、 そういう意味では雇用保険の議論をそのままという形ではなく、船員保険として現在も受けられている制度をどうしていくのか、そうしたことを中心に考えるのかと思っております。「(2)適用範囲 の見直し ○ 雇用のセーフティネットとしてカバーする労働者の範囲の見直しについて 【検討の視点】 ○ 非正規労働者に対するセーフティネット強化の視点 現在、雇用保険の適用については、 「週所定労働時間20時間以上、1年以上の雇用見込み」という基準が設けられていることについて、どう考えるか。特に、1年未満の有期雇用者の中には、「1年以上の雇用見込み」の要件 のために適用が受けられない者がいるが、こうした者に対するセーフティネットをどのように考えるか。」あるいは「(3)育児休業給付の見直し ○ 育児休業給付の暫定措置のあり方について  【検討の視点】 ○ 少子化対策としての要請や育児休業の定着状況等の視点 平成19年改正の経緯や、育児休業の定着、取得者の職場復帰の状況等も踏まえ、暫定措置を含めた制度の 仕組みについて、どう考えるか。」そして「※ 平成19年改正の経緯 育児休業給付(育児休業基本給付金、育児休業者職場復帰給付金)については、平成22年3月31日までに育児休業を 開始する者までの措置として、暫定的に育児休業者職場復帰給付金を休業前賃金の10%から20%に拡充し、全体の給付率を休業前賃金の50%に拡充しているところである。」と書いて ございますが、ここで示されているように、平成22年3月31日までの措置というのが決まっております。それまでに船保は雇用保険に統合されてしまいますので、そういう意味ではこの育児 休業給付の議論は、あまり船保に影響を与えないのではないか、そういうふうな面がございます。そして「2.雇用保険料率について ○ 平成21年度の失業等給付に係る雇用保険料率に ついて」、先ほどご説明したところでございますが、「【検討の視点】 ○ 「生活対策」における要請、雇用失業情勢の状況 昨年までの雇用失業情勢の改善傾向等を受け、平成19年度の 決算後においては、積立金残高は約4 兆8,800 億円となったところであるが、現下の雇用失業情勢は急速に悪化しつつある。その一方で、「生活対策」においては、家計緊急支援対策の一 環として、国民(家計と企業)の負担軽減の観点から、雇用保険料の引下げを行うことについて検討・結論を得るとされたところ。こうしたことから、平成21 年度の失業等給付に係る雇用保険 料率について、弾力条項による引下げ幅を超えて0.4%までの幅で引き下げることについて、早急に検討する必要があるが、どのように考えるか。」。雇用保険の場合は12‰、そういう意味 ですと労使6‰対6‰という形でございます。それに対して船員保険は5‰と7‰と異なる面がございます。そういう面も含めて雇用保険部会での議論を検討していく必要があるのではない かというふうに考えております。次に「○ 平成21年度の雇用保険二事業に係る雇用保険料率について 【検討の視点】○ 雇用失業情勢、雇用安定資金残高の状況積立金と同様の状況 のもと、平成19年度の決算後においては、雇用安定資金残高は約1 兆700 億円となったところであるが、その一方で、急速に悪化しつつある雇用失業情勢の下で、雇用保険二事業による 雇用対策を重点的に実施していくことが必要。こうした状況も勘案し、平成21年度の雇用保険二事業に係る雇用保険料率について、弾力条項により引き下げることについて、どう考えるか。」 そして、この雇用保険二事業については船員保険で設けられていないので、そこは検討という形ではないのではないかというふうに思うわけでございます。「U.その他 ○ 平成19年1月 9日の雇用保険部会報告において「今後の課題」とされた事項(65歳以降への対処等)について」これも「今後の雇用失業情勢の状況を見極めつつ、引き続き検討していくこととすることに ついて、どう考えるか。」となっております。これは雇用保険課のほうから説明した方が良いのかもしれませんけれども、雇用保険部会で今いろいろな議論が行われているというふうに我々 聞いております。そういう意味では雇用保険部会での議論をふまえながら、関係するものについてはやはり船員保険での対応を検討していく必要があるのではないかというふうに考えている 次第です。ただ、雇用保険部会自身がまだ結論出ておりませんので、そういう意味ではあちらの議論の動向を見て、また急ぎご相談させていただく必要もあるんではないか、そのように 考えている次第でございます。 ○岩村座長 どうもありがとうございました、一点目の派遣の第三者求償の件と、雇用保険の最近の動きについてご説明いただいたところですが、それにつきましてご質問、ご意見等ありましたらお願いします。 ○一同 現段階では特にありません。 ○岩村座長 よろしゅうございましょうか、それでは現段階では特にご質問、ご意見等がないということでございます。こちらから用意した議題は以上ですが、その他ということでございますでしょうか。 ○事務局 「資料 1−1」のほうで清水委員からご質問のあった件についてここでお答えさせていただいてもよろしいでしょうか。 ○岩村座長 よろしくお願いいたします。 ○事務局 ご質問いただいた時におりませんでしたのですみませんでした。船員保険制度における拠出額が21年度どうなるかというようなご質問だったと思います。座長のほうからも少しお答えいただいた ようでしたけれども、平成19年度から20年度につきましては制度改正という形で効果が出たということもございました。そこに書いておりますとおり「増減額 7億円」「うち自然増 10億円」 「うち制度改正分 △8億円」「うち前々年度精算分 5億円」ということで、それぞれの増減の要因が載っております。このうち20年度から21年度の制度改正分につきましては、現時点で何らか の具体的な医療制度改正が行われるというのは決まっておりませんので、その前提であればこの部分がゼロになるということになります。残りの自然増というものをどう見込んでいくかという ことになりますが、自然増につきましては現在21年度の予算編成に向けまして、最近の医療費の動向、特にこのへんは高齢者医療がどのように伸びているかというのを見極めて、現在予算案の 編成に向けまして集計をしているという段階でございますので、まさしくここがどのようになってくるかというところがあります。いずれにいたしましても編成中でございますので、何らか予算編成で 固まりましたらまた何らかの場でご報告なり、ご連絡なりさせていただければと思っております、以上でございます。 ○岩村座長 ありがとうございました、今ご説明いただきましたけれどもよろしゅうございましょうか、清水委員どうぞ。 ○清水委員 前回いただいた積立金の部門別の積立金の状況の資料によりますと、平成21年の予定では疾病部門単年度収支差で42億の黒ということになっているので安心はしているのですけれども、 まだこれは蓋をあけてみないとわからないという不確定要素があるということで、この42億円は見なくてはいけないのかなというふうに、今説明を聞いて思いました。 ○岩村座長 何か事務局のほうで補足ございましょうか、よろしいでしょうか、ありがとうございました。他になにかございますでしょうか、清水委員お願いします。 ○清水委員 懇談会再開しまして今日で2回目になるわけですけれども、当面急がれる問題を、今やらなくちゃいけないものから優先的にやっているというふうに私は受け止めておりますけれども、考えて みますと統合までにあとわずか1年と、周知期間も含めれば残された時間はごくごく限られてきていると思います。一方報告書で指摘されております未解決課題が宿題としていくつか残っ ておりますし、その最大のものは福祉施設の問題でございます。これも当初考えていたよりは処理しなければならない領域がもっと広がっているといったようなこともございますので、我々 これから短期間に、集中的に検討して行かなくてはいけないのかもしれませんが、そのあたりの全体の作業工程がわかるような、どんな問題が残されていて現時点ではどこまでクリアされて いるのか、残された問題についてはいつくらいまでにやらなくてはいけないのかといったような工程表のようなものを再構築いただいて、計画的にこなしていけるよう、そのへんの段取りを事務局 のほうで是非お願いできないかというふうに思っております。再来年の1月ですからもう本当に時間がないわけでありまして、その残された時間に対して課題が余りにも大きすぎるのではないの かなと、ちょっと心配しているわけですから発言いたしました、以上です。 ○岩村座長 事務局のほういかがでございましょうか。 ○事務局 今お話の点につきましては、報告書に記載されております事項のうち検討事項となっているものがいくつかあると認識しておりまして、その中では改めてこういう場をお借りして、ご議論いただ かなければいけないものもあると思いますし、事務的に進めていけば良いようなものもあると思いますが、いずれにしろ今ご指摘の点をふまえて検討させていただきたいと思います。 ○岩村座長 そういうことで清水委員よろしゅうございましょうか。 ○清水委員 よろしくお願いいたします。 ○岩村座長 他にはございますでしょうか。ないようですので本日の運営懇談会はこれで終了させていただきたいと思います、そこで次回の日程等につきまして、事務局からお願いしたいと思います。 ○事務局 次回の日程につきましては調整させていただきまして、改めて事務局から連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。