
第２６回政府管掌健康保険事業運営懇談会議事録

　日　　時：平成２０年９月３日（水）１５:００～１６:１８
　場　　所：全国都市会館３階　第１会議室
　出席委員：稲上委員、逢見委員、城戸委員、高野委員、竹嶋委員、中西委員、
　　　　　　山﨑委員、吉田委員、今井参考人




○稲上座長
　それでは、ただいまから政府管掌健康保険事業運営懇談会を始めさせていただきたいと思います。
お忙しいところご参集くださいまして大変ありがとうございました。
本日の委員の出席状況についてでございますが、紀陸委員と落合委員がご欠席となっております。
ご欠席の紀陸委員のかわりに今井参考人のご出席をお認めいただきたいと思いますけれども、
よろしゅうございますでしょうか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○稲上座長
それでは、そのようにさせていただきます。
　早速、議事に入りたいと思いますが、本日の議事録につきましては、前回と同様、後日、事務局で
作成していただきまして、委員の皆様にご確認をいただきました上で公開させていただきたいと考え
ておりますので、よろしくお願い申し上げます。
　それでは、事務局からお手元の資料１につきましてご説明をお願いしたいと思います。

○医療保険課高橋補佐
　それでは、右肩に資料１と打たれております「政府管掌健康保険の平成19年度収支決算の概要」を
ごらんいただきたいと思います。
　平成19年度の政府管掌健康保険の決算の状況でございます。概要につきましては、四角の枠内に
まとめておりますが、平成19年度単年度収支決算は、医療分で1,390億円の赤字、介護分で38億円の
黒字となっております。全体では1,352億円の赤字という状況でございます。
　このような単年度赤字決算は平成14年度以来５年ぶりでございまして、この２点が特徴となって
おります。
　内訳につきましては、（１）から（４）までに記載させていただいていますが、医療分の収支に
つきましては、①収入面につきましては、被保険者数の増加、また、平成19年４月から標準報酬月
額の上下限の改定が行われておりまして、特に上限改定の部分の影響を受けての平均標準報酬月額
の増加が見られます。
これに伴いまして、対前年度比で1,565億円の増となっております。
　一方、支出面でございますが、１人当たり保険給付費の増加、それから退職者給付金等の増加が
ございますので、対前年度で4,072億円の増加となっております。
　これに伴いまして、平成18年決算では約1,100億円の黒字でございましたが、2,507億円の悪化と
なりまして1,390億円の赤字となっております。
　介護分につきましては、単年度で収支が均衡するような料率設定を行っておりますが、被保険者
数の増加などによりまして38億円の黒字となっております。
　（３）の部分で、全体の収支状況でございますが、収入７兆7,164億円、支出が７兆8,516億円と
なっておりまして、全体では1,352億円の赤字となっております。
　（４）の部分でございますが、このような収支を反映いたしまして、平成19年度末の事業運営安
定資金の残高、積立金に当たるものでございますが、医療分では3,690億円、介護分で203億円とな
っており、全体で3,893億円となっております。
　このように、５年ぶりの赤字決算ということで事業運営安定資金残高が減少しておりまして、今
後も高齢化の進展等による保険給付費等の増加が見込まれるということでございまして、引き続き
厳しい状況という決算でございます。
　１枚おめくりいただきますと、基礎計数と収支の内訳を示したものでございます。２ページ目は、
医療分と介護分全体のものでございます。このうち、医療分を取り出したものが、さらに１枚おめ
くりいただきました３ページでございます。
　概要は先ほどご説明させていただきましたとおりでございますが、基礎計数等に基づきまして補
足させていただきます。
　基礎計数、枠の一番下の部分にございますが、その中で上の部分、被保険者数でございますが、
右の伸び率の部分をごらんいただきますと、平成18年度に比べて1.8％の伸びになっております。
また、平均標準報酬月額、こちらは先ほど申し上げましたが、実質は横ばいでございますが、上限
改定の制度改正効果によりまして0.7％の増となっております。
　賞与につきましては、標準報酬月額、こちらが上がっておりますのでその反動を受けての減もご
ざいますが、それをさらに下回るような形で1.3％減となっております。
　一方、給付費の関係でございますが、欄の下の部分、３つございますが保険給付費、医療給付費、
現金給付費の３項目ございます。
全体としましては１人当たり保険給付費では2.6％伸びがございますが、内訳、医療給付費と現金給
付費では、平成19年４月から70歳未満の方の入院に係る高額療養費の現物給付化が行われておりまし
て、現金給付から医療給付に振り変わるという動きがございますので、医療給付費はやや高め、現金
給付費は減少傾向が見られますが、全体としては例年ベースの2.6％となっております。
　以上が医療分の状況でございますが、介護分につきましては４ページをごらんいただければと思い
ます。
　介護分につきましては、38億円の黒字となっております。
　以上が単年度収支の状況でございますが、これまでの経年の推移を示させていただいたものが、
５ページの表でございます。横表となっておりまして、平成10年度からの推移を示させていただい
ております。
　中ほどの単年度収支差の部分をごらんいただきますと、三角が立っておりまして、平成14年度まで
は赤字基調が続いております。平成15年の制度改正によりまして黒字基調に転じており、事業運営安
定資金もこれに伴いまして平成15年以降は積み増しとなっております。ただし、平成16年以降は黒字
幅も減少しております。
平成18年まで黒字が続いておりますが、今年度の平成19年決算からは赤字ということになっておりま
して、これまでの事業運営安定資金、平成18年度末で約5,000億円あったものが平成19年度はこの1,3
00億円の赤字を反映しまして3,700億円程度となっているという状況でございます。
　６ページ以降は、基礎計数等をグラフ化した資料を添付させていただいておりますので、こちらも
後ほどご参照いただければというふうに存じます。
　資料１については以上でございます。

○稲上座長
　どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの資料１についてのご説明につきまして、ご質問、ご意見をいただきたいと思い
ますが、ご発言のときにはお手元のマイクをお使いいただきたいと思います。どうぞ、どなたからで
もお願いいたします。
特にございませんでしょうか。
それでは、またもしございましたら後で戻らせていただきますが、続きまして資料２につきまして、
これも事務局からご説明をお願いいたします。
○医療保険課篠原補佐
　では、「政府管掌健康保険の事業運営状況」につきまして説明させていただきます。
　資料２のほうですけれども、まず適用の適正化について説明させていただきます。
　適用事業所数につきましては、１ページにありますように158万事業所ということで、過去５年間
の景気の回復とともに伸びてきているところでございます。
　被保険者数につきましても、約1,980万人と増加をしているという状況であります。
　新規適用事業所数につきましては、７万9,000から７万7,000に減少しております。
　続きまして、２ページですけれども、「未適用事業所の適用促進」につきまして説明させていただ
きます。
　未適用事業所の適用促進につきましては、厚生年金保険と雇用保険の事業所データの突合により
把握した情報及び新規設立法人情報から適用促進対象事業所の選定を行いまして、まず民間委託に
よりまして文書及び電話による加入勧奨、訪問による加入勧奨を実施しました。
社会保険事務所におきましては、この民間委託による加入勧奨後に加入の手続が行われていない
適用促進対象事業所のうち、一定規模の従業員を使用すると認められる事業所に対しまして、社
会保険事務所への来所を求めまして、加入指導を実施いたしました。この加入指導に応じない事
業所のうち、また一定規模の従業員を使用すると認められる事業所に対しまして、今度は個別訪
問等によりまして重点的な加入指導を実施しております。
さらに、これらの指導を行っても加入に結びつかない事業所につきましては、立入調査を行いま
して、職権による適用を行っているところでございます。
その実施状況につきましては、４ページのほうに別添１にまとめておりますけれども、適用した
事業所が6,199事業所、そのうち職権適用によります適用事業所が73事業所となっております。
それで、未適用事業所として平成19年度末で把握している事業所数が一番右端にあります10万
470事業所という結果になっております。平成18年度末が９万7,427事業所ということでしたので、
把握している未適用事業所数が若干増加しているという結果でございます。
それから、お戻りいただきまして２ページのほうですけれども、②にありますように、民間委託
の実施ということですけれども、平成19年度からすべての社会保険事務所で民間委託による加入
勧奨を実施しております。その結果を受けまして、社会保険事務所におきましては、その後の加
入指導を行うという全国統一的な流れの確立をしております。
続きまして３ページのほうをお開き願います。適用事業所の事業所調査についてということです
けれども、労働者派遣業の業種あるいは短時間就労者等を多く使用する事業所を重点的調査対象
の事業所として、調査を実施しております。
平成19年度の実施状況につきましては、これも４ページにまとめてありますけれども、全部で
20万6,652事業所の調査を実施しまして、調査により適用した被保険者数は２万9,555人という
結果になっております。
５ページからにつきましてはその内訳と、６ページ以降が実施内容の詳細ということですので、
ご参考までにごらんいただきたいと思います。
今度は、保険料の収納関係について説明させていただきますけれども、９ページのほうをお願い
いたします。
２の「保険料収入の確保」についてでございますけれども、徴収につきましては、平成19年度の
徴収決定済額が６兆9,252億円でありまして、収納率にしますと97.8％という結果になっております。
資料の10ページのほうをお開き願います。
この徴収を的確に行うために、まず納期内納入の励行指導ということで、口座振替の実施を進
めております。口座振替の実施率につきましては約85％となっております。
それとまた、滞納事業所に対する対応につきましては、保険料滞納の発生防止のため速やかな
納付督励、滞納処分の早期着手に努めております。倒産等に関する情報の早期把握、財産調査
の徹底など、確実な滞納処分の実施を行っているところです。
また、納付困難な事業所等につきましては、地方社会保険事務局と社会保険事務所が一体と
なって対応をすることによって効率的、効果的な実施を行っているところでございます。
適用の適正化と保険料収入の確保については、以上でございます。

○医療保険課菅野補佐
　引き続きまして、「医療費の適正化」につきましてご説明をいたします。資料は12ページ
になります。
　まず、レセプト点検調査でございます。レセプト点検調査につきましては、医療保険者に
おける医療費の適正化策といたしまして、かねてから力を注いでまいりました。平成19年度
におきましても、支払基金の審査では難しい連続した複数のレセプトを通して点検をいたします、
いわゆる縦覧点検というものを中心に実施してまいりました。
　その結果でございますが、次の13ページにお示ししますように、対前年度に比べまして過誤調整
件数で11.4％、金額ベースで7.3％の増となりまして、４年連続で件数、金額とも対前年度を上回る
という結果となりました。
　次の14ページ、15ページに平成19年度に社会保険診療報酬支払基金に、レセプト点検の結果、
再度審査をお願いしましたもののうち、支払金で容認、いわゆる査定を認められた件数及び金額、
点数ベースでございますがこの前年度と比べた結果のものでございます。
結果といたしましては、単月レセプトの点検につきましては、若干ではございますが減少をして
おります。金額でも約800万点の減となっておりますが、その上の縦覧点検の分と合わせますと件数、
金額とも前年度よりも増加をしております。
　先ほども申し上げましたとおり、レセプト点検は保険者が自ら医療費の削減を行うための重要な
手段でございますので、全国健康保険協会におきましても引き続き重点的に実施されていくものと
考えております。
　次に、レセプト開示でございます。
　レセプト開示につきましては、行政機関個人情報保護の施行を踏まえまして、政管健保におきま
しても開示に係る取り扱い要領を定めまして、加入員の皆様方からのご要望に応じてまいりました。
　平成19年度の状況でございますが、16ページにもございますように、加入員ご本人様からの開示
につきましては一部部分開示ではございますが、基本的にご請求をいただいたものについてはほと
んど開示の決定をさせていただいております。
同様に17ページでございますが、加入員であった方のご遺族の皆様からの開示請求でございますが、
これにつきましてもすべて開示の決定をさせていただいております。
次に18ページになります。保健事業の関係でご説明をさせていただきます。
政管健保で実施しております35歳以上の被保険者の方を対象といたしました生活習慣病予防健診に
つきましては、平成19年度433万人の方に受診をいただきまして、昨年と同様に30万人以上の増加
という結果となっております。
また、健診の結果に基づきます事後指導につきましても、約70万人の方にお受けいただくことが
できました。
既にご承知のことと思いますが本年度、平成20年度からは政管健保を始めといたしました医療保
険者に対しまして、内臓脂肪症候群、いわゆるメタボリックシンドロームに着目しました健診、
保健指導、正確に言いますと特定健康審査、特定保健指導の実施が義務づけられることになりま
した。
後ほど、最後のほうでその実施状況等につきましてご説明をいたしますけれども、本年度以降は、
いわゆるメタボ健診等を重点的に実施をしていくということとしております。
それから、次に19ページになりますが、政管健保におきましては、従来から健診の結果ですとか
医師の診断の結果、生活習慣病の予備軍と言われる方に対しまして、一次予防を中心とした健康
づくり事業を実施しておりまして、厚生労働省指定運動療法施設におきまして、保健師でありま
すとか運動療法士によります指導、運動プログラムの作成等の事業を行っております。
平成19年度におきましては、従来、運動療法士等の人件費につきまして、他の医療保険者の被保
険者と同時に実施した場合、政管健保の被保険者だけの区分が難しいとしておりましたけれども、
平成19年度からは被保険者当たりの単価を設定をいたしまして、政管健保の加入者を中心といた
しましたことから、実践者の数が減少しております。
先ほどご説明しました特定保健指導と同様に、健診の結果に基づいた指導を受けることは、単に
医療費の適正化という面だけではなく、生活習慣病を予防する、あるいは悪化することを防ぐこ
とによって、生活の質の維持・向上を図ることが可能であるというふうに考えておりますので、
保険者においても今後とも進めていかなけれならないものであると考えております。
次の20ページ、ちょっと説明が前後しまして恐縮でございますが、先ほどご説明いたしました生
活習慣病予防健診の過去３年間の都道府県ごとの実施状況でございます。各都道府県とも対前年
度の伸びに違いはございますが、すべての都道府県において前年度を上回る受診率となっております。
また、先ほど健診の結果に基づく事後指導ということで、70万人の方にお受けいただいているとい
うことをご説明申し上げましたが、21ページに各都道府県別の実施状況及び各都道府県ごとの保健
師の人数と実施体制などについてお示しさせていただいています。
最後になりますが、22ページ、本年度から始まりました特定健診の実施状況についてご報告させて
いただきます。
説明の前に、最初に政管健保におきましては、被保険者に対します健診については従来、平成19年度
まで生活習慣病予防健診という名称として実施をしておりました。今回、平成20年度から特定健診の
義務化によりまして、従来の健診項目に腹囲ですとか新たに３項目の健診項目を追加したということ、
あるいは胃や肺のレントゲンなど、特定健診の検査項目以外で従来から実施しておりました検査項目
も複数あるという点もございまして、長年使っております生活習慣病予防健診という名称を引き続き
使用することといたしました。
被扶養者の方については、従来の配偶者を対象とした生活習慣病予防健診から、新たに40歳以上の
被扶養者全体を対象として実施されるということになったことや、検査項目も特定健診として定め
られた検査項目のみとさせていただきましたことから、被扶養者の健診については特定健康審査と
いう名称とさせていただきました。
本日、ここでは検査項目等の違いはございますが、被保険者、被扶養者の特定健診の実施状況と
いうことでご報告をさせていただきます。
まず、ことし３月のこの運営懇談会の席でもご説明をさせていただきましたが、平成20年度にお
きます実施目標でございますが、被保険者につきましては、対象者約1,069万人のうちの60％、
約641万人を目標といたしまして、うち事業主健診のデータを受けさせていただくということと
しております20％を除きました約428万人を保険者において実施することを目標として計画させて
いただいております。
被扶養者につきましては、１番の目標のところですが、対象者約413万人のうち40％、約165万人
を実施することを目標といたしまして、被保険者、被扶養者合わせて54.4％の実施率を目標とし
ております。
現時点の状況でございますが、６月末の状況ですけれども、２番目のところですが、被保険者に
つきましては、約93万人の方が既に健診を受診済みでございまして、受診率は約22％となっております。
被扶養者についてですが、政管健保におきましては、特定健診を受診していただく際に、あらかじめ
対象者396万人の方に送付しております受診券申請書をご提出いただくということとさせていただいて
おります。この申請書をお出しいただいた方に特定健診の受診券を発行し、お送りさせていただいて
おるわけですが、この受診券の発行状況ですが、８月20日現在で約81万件、申請書をお送りした方の
約20％の方に既に受診券を送らせていただいておる状況でございます。
今後の受診券の発行の見込みでございますが、受診券申請書の送付が、特定健診を行う健診機関との
集合契約が都道府県によって時期が遅れたということの影響もございまして、当初６月下旬から申請書
を発送する予定であったものが、一部７月中旬にずれ込んだ地域もございまして、今回ご報告してい
る状況はおおむね１カ月後の状況とご理解いただければと考えております。
今後さらに申し込み数も伸びるのではないかと考えておりますが、ちなみに速報値ではございますが、
一昨日、９月１日時点の数値では約100万8,000件となっておりまして、大体、全体の約25％の方に
受診券を発行させていただいておるという状況でございます。
以上、簡単ではございますが、医療費の適正化及び保健事業等についての説明を終わらせていただ
きます。

○稲上座長
どうもありがとうございました。
それでは、４項目に分けてご説明いただきましたけれども、ご質問、ご意見がございましたらお願い
いたします。

○高野委員
よろしいでしょうか。４項目の終わりのほうの質問なんですが、大きく２つお伺いしたいことがあり
ます。
１つは、先ほどの特定健診、特定保健指導の件です。それから、もう一点は、今お伺いするのが適当
かどうかわからないんですけれども、社会保険病院の今後の役割についてお伺いしたいと思っており
ます。
第１点につきまして、先ほどメタボ健診と言われましたが特定健診、初年度にもかかわらず随分ご努力
をされて目標値に近づいているということで、大変評価できると思っております。
しかしながら、それは被保険者のほうを見ますと、大変順当と、初年度を考えますと順当だと思います
が、被扶養者、奥さんであったりあるいは家族であったりですが、そちらのほうについてはやはり進ん
でいないように、この数字を見ると見えます。
それで、１つは非常に実際の住民健診の中で問題になっておりますのは、住民健診を実施する市町村
の市、例えば何々市というふうに考えますと、そこから住民への通知が、これから住民健診の対象は
国民健康保険に入っていらっしゃる方を対象としていますと書いてある市があります。そうしますと、
政府管掌保険に入っている被扶養者の方は、自分は対象じゃないのかなと思ってしまうわけでありま
すね。実際にはそんなことはないと思うんですが、その被扶養者の方への受診できますという通知に
ついてお伺いをしたりお願いをしたりしたいと思いますが、１つは、今のご説明の中では事業所経由で
通知されると。そうしますと、事業主、それから被保険者、そして被扶養者という順番に情報が伝達
をして、なおかつそこからまた申し込まないと受診券が送られてこないということになりますと、
なかなか大変だと思うんですよね。ですから、そうした通知の仕方、そのルートについて、今後、
何かお考えがあるのかどうかをお伺いしたいと思います。
それから、さらにそれに関連してお伺いすることなんですけれども、いわゆる社会保険庁、あるいは
加入している事業所経由の情報の伝達の仕方、あるいは一般的な情報の伝達の仕方以外に、市町村、
住民健診をやる基礎自治体からの通知の仕方にも要望していいのではないかと思うんですね。それは
各都道府県で保険者協議会をつくっていますし、それからその保険者協議会の代表保険者にかなりの
都道府県で政府管掌保険の保険者がなっている位置を考えますと、市の通知の仕方にも少し工夫をし
てもらう、そういう必要があるんじゃないかと思うんですが、それについてはいかがかと。
さらに一歩進めれば、市町村によっては、もう７月ぐらいで健診が終わってしまう市町村が多いん
ですね。ですから、これは届いたときにはもう受けられないとかというようなことがあります。
実際にはそんなことはないんだろうと思うんですが、そうした市町村の住民健診の実施に関しても、
政府管掌保険に入っている方々の、特に被扶養者に不利益が生じないようにお願いしたいので、
そうしたところの工夫をこれからどういうふうにされるのか、これが第１点目でございます。
第２点目はちょっと病院のことなので、今は適切かどうかわかりませんので、またそのときにお伺い
をしたいと思います。

○稲上座長
いかがでしょうか。

○医療保険課菅野補佐
ご質問の点に３点ございますで一つずつ申し上げますが、まず現在、申請書を事業主様経由でお送り
をして、それに基づいてまた申し込みをされるというのが非常に大変ではないかというご指摘でござ
います。
このような方式とさせていただいた理由には２つございまして、実は政府管掌健康保険の場合は被保
険者、被扶養者の住所を把握しておりません。これまでも各種の届け出あるいは知らせ等につきまし
ては、すべて事業主様を経由すると、お手を煩わせる結果になっておりますが、各種のご連絡という
のは事業主の皆様のご協力を得てやってきたということがございます。今回もそういう背景もござい
まして、事業主様を経由して申し込み申請書をお送りさせていただいている、事業主様経由とさせて
いただいているということです。
それから、一たん申し込みをしなければいけないという、その手間の問題に関しましてご指摘がござ
いました。これについてはまた今後とも考えていかなければいけないと思いますけれども、これは昨年
まで被扶養配偶者に対します健診というのを全くこれと同様の方法で、申請書をお送りするというの
ではなくて、ご案内ですとか、そういう申し込みを事業主様を経由して受け付けておりました。
このような方々が平成18年度で約10万人ぐらいの方に受けていただいていた、数は少ないけれども、
これまでもそういった従来の流れがございましたので、今回、被扶養者に対する特定健診の実施に
際しまして、今までのルートの形を、とりあえずは初年度でございますので使って、初めてでござい
ますので使った形でやろうということで、今回はこの形をとらせていただきました。
また今後、この方式につきましては、またこの後いろいろこの事業を実施していく中で、どういった
形がいいのかということで、よりよい方向に検討、改善されていくのではないかと考えております。
それから、住民健診の通知の仕方に問題もあって、住民健診の通知にも被扶養者に何らかの情報を
入れてはどうだというご指摘でございますが、これに関しましては、今、各都道府県に保険者協議会と
いうのが設けられております。先ほども申し上げたと思いましたが、集合契約、健診機関との契約に
際しても、この保険者協議会という場で被用者保険がまとまりまして代表の保険者を出して、その
代表保険者が各地域の医療機関様の代表としての医師会様と契約をするというようなことをしたりとか、
非常にまとまって活動している。その中に国民健康保険の側も入ってきておりますので、そういった
中で、今年は立ち上がり初年度で、まずは実施という面が非常に強かったわけですが、今後実施して
いく中で、そういったお互いの地域保険と職域保険という２つの違いはありますけれども、そういっ
た場がございますので、そういった中でお互いの通知方法等についても検討を重ねていくような形が
考えられるのではないかと考えております。
それから、７月ぐらいで受けられないところがあるという最後のご指摘でございますが、今年度は
初年度で、先ほど受診券申請書の送付が６月ぐらいになってしまったということなんですが、今年度、
被扶養者の受診券申請書を作成するに当たりまして、社会保険業務センターからの被扶養者データを
利用しまして、それを編集いたしましてお送りするということで、３月末現在の情報を４月の下旬に
社会保険業務センターから受け取りまして、それを加工して印刷して送るということで、少しタイム
ラグが生じたという点では、非常にご迷惑をおかけしたんではないかと思っております。ただ来年度
以降は、全国健康保険協会が既に個々のデータを持っていますので、そういったデータをもらってき
て加工するという時間が少なくともなくなるというふうに思っておりますので、その点では今よりも
短縮されて、仮に今と同じ受診券申請書方式であっても、そういったものは早く送れるような形に
なってくるのではないかというふうに考えております。
以上でございます。

○高野委員
ぜひ今後とも被扶養者の方も、いわゆる住んでいるところで住民健診を受けられるように、ぜひ
ご努力いただきたいと思います。
私は専門は公衆衛生ですので、かなり地域の事情に関しまして情報も入ってきますけれども、毎年
みんなで誘い合って、お母さんたち住民健診を受けに行くんですね。じゃ、行きましょう。きょう
は住民健診の日だから行きましょうと。ところが、ことしは、そういうふうなことで、国保に入っ
ている人たちは従来どおりの日に住民健診を受けに行くと、だけれども政府管掌保険あるいはところ
によっては組合健保のほうに入っている人たちは、ことしは申し込み用紙は来たんだけれどもそれに
書いていないから申し込まなかったのよということで、毎年連れ立って行っているお母さんたちが
行かれないというようなことがありますので、特に政管健保に入られている方々は、常に健康の
リスクは、例えば健保に比べれば若干高いわけですので、健診の機会というのは非常に大事なので、
実際の地域において政管健保に入っている被扶養者の方々がいつも連れ立って行っているのに、
ことしは行かれないというようなことが起きないように、ぜひお願いをしたいと思っています。
恐らく今回、法人化の前で最後だと思うんですが、法人化に移行するにしても、そうした健診の
機会をちゃんと確保するということをきちんと続けていただきたいと思います。
それから、大きな２点目で、きょうのこの議事を見ますと、ほかにないもんですから、もし差し支え
なければ、今後、社会保険病院がどういうふうになるのかということをお聞かせいただけると大変
参考になります。
ご存じのように、社会保険病院はそれぞれの地域で基幹病院です。53ぐらいの社会保険病院があると
思いますし、それから、それにプラス幾つかの病院があると思います。その多くは、その地域で
アンカーとしての存在といいますか、最後の基幹病院として機能しているところが多いわけです。
これが、法人化になってばらばらになってしまうとか、あるいはその機能を縮小してしまうとか、
場合によっては経営母体が変わってしまうとか、あるいは言葉は悪いですけれども一つ一つを
切り売りするような形になると、地域の人々は先ほどの健診以上にインパクトを受けますので、
この病院はどうなるのかということについて、今聞いてよろしいことであれば、ぜひお聞かせ
いただきたいと思います。

○長屋管理官
失礼いたします。社会保険病院の今後についてのお尋ねでございます。
社会保険病院につきましては、政管健保の保険料を財源といたしまして、大体、昭和20年代を中心に
全国に整備されてきたもので全国に53の病院がございます。
これにつきまして、10月１日を期しまして、政管健保から協会健保に移っていくという中で、
保険者として社会保険庁としてはこの社会保険病院を制度的に持っていられなくなるということが
１つございます。
もう一つ似た状況にあるものといたしまして、厚生年金病院というものがございます。これは、
全国に10カ所あるんですけれども、厚生年金の保険料を財源として整備されてきたものでございまして、
こちらにつきましては、平成22年１月に予定されております日本年金機構の設立に伴ってやはり社会保
険庁では持てなくなるというような状況がございます。
そういった中で、この社会保険病院、厚生年金病院を今後どうしていくのかということが私どもの課題、
懸案としてあったわけでございます。
この問題につきまして、与党に社会保障政策会議という社会保障のあり方についてご検討いただく
会議があるんですけれども、そこで昨年来ご議論いただいておりまして、その中でことしの４月、
与党合意がなされたということがございます。その内容でございますけれども、大きく分けて２点
ございまして、１つは社会保険病院、厚生年金病院については、ＲＦＯ、これは独立行政法人年金・
健康保険福祉施設整理機構と申しまして、健康保険や厚生年金を財源として整備した施設を譲渡して
いくという独立行政法人でございますけれども、このＲＦＯに出資するのであるということ。
それから、もう一点は、その出資された病院につきましては、地域医療の確保を図る観点から、適切
な譲渡先、受け皿を見つけていくんだという、大きく分けてこの２つのことが与党の合意としてなさ
れたということがございます。
社会保険庁といたしましては、現時点ではこの両病院をどうしていくのかということを決定したとい
うことはございません。与党の合意を踏まえながら、また、先生御指摘の社会保険病院は、都市部に
あるものもあれば地方にあるものもあり、病床の大きさもまちまちなんですけれども、それぞれの
ところで病院として大切な役割を果たしているというような状況もございますので、そういった機能
が損なわれることのないように注意しながら適切に対応してまいりたいと考えております。

○高野委員
ぜひその地域での基幹となる医療等、サービス機能を担う社会保険病院につきまして、努力を続けら
れるということで、ぜひそのようにお願いしたいと思います。
そして、よく医療を独立採算でやれとか言われますけれども、独立採算であったり、あるいは民間的
な手法を取り入れて経営が成り立つというような医療機関ももちろんあるでしょうが、地域全体とし
て考えますと、そうしたベースに乗らない医療の部門もあるわけでして、必ずどこかが、消防署とか
警察署とかと同じように、医療を最後は担わなければならないわけですから、私は全部の病院をその
譲渡先を見つけてというのは適切ではないように思います。
病院とか医療サービスというのは公共財ですから、法人に移っても、ぜひそうした観点で地域医療の
機能、基幹病院としての機能をきちんと確保していただきたいと、重ねてお願い申し上げます。

○稲上座長
ほかにございますでしょうか。
よろしゅうございますか。
それでは、続きまして資料３についてご説明をお願いしたいと思いますが。

○医療保険課依田室長
資料３の関係でございます。全国健康保険協会の設立準備の関係でございます。資料３－１をごらん
いただきたいと思います。
本年10月の協会の設立に向けまして、現在、諸準備を進めているところでございます。幾つかござい
ますけれども、まず広報の関係でございます。広報につきましては、前回のこの懇談会においても
これから積極的に取り組んでいくべしというようなご指摘を受けているところでございまして、
私どもとしても積極的に取り組んでいるところでございます。
全体的な取り組み状況につきましては１枚おめくりいただきまして、「全国健康保険協会の設立に
向けた広報について（主なもの）」ということであげさせていただいております。
いろいろなチャンネルを通じて取り組んでおりまして、ホームページにおきましては、厚生労働省、
社会保険庁のホームページに協会健保について詳しく情報を掲載させていただくようなコーナーを
開設させていただいております。
それから、被保険者の方々等に対しましては、お知らせということで、７月に、これは納入告知書と
いうことで、毎月、全事業所のほうに送付しておりますけれども、その納入告知書に合わせまして
チラシを配布をさせていただいております。
今後また９月にも全事業所のほうに配布をさせていただくような予定にしております。
それから、保険医療機関を初めいろいろな関係機関、関係団体のご協力で全医療機関にも配布させて
いただいております。
それから、各自治体、関係団体等にも配布させていただいておりまして、広報にご協力をいただいて
いるところでございます。
それから、任意継続被保険者の方につきましては、個人での加入でございますので、これは個々の
任継の被保険者の方に直接お届けする形で、９月の納入告知書、これは９月の上旬でございます
けれども、全被保険者に送付をするということでございます。
それから日雇特例被保険者の方々、この方々につきましては、窓口にお見えになられる機会にチラシ
を配布させていただいているところでございます。
それから、ポスターにつきましても、これも関係団体、関係機関のご協力で配布をさせていただいて
いるところでございます。
それから、政府広報も活用させていただきながら、広く国民の皆様方に周知をさせていただくという
ことで、既にテレビを通じまして、書いてございますようないろいろなチャンネルを通じまして広報
させていただいております。最初に書いてありますＣＳニュースチャンネル、それからインターネット
テレビ、こちらのほうは、政府広報のほうに動画が見られる形になっています。このアドレスを掲載
させていただいておりますので、こちらをクリックしていただければ見られる形になっております。
あと、民放でも８月に放映させていただいております。
広報に当たりましては、小林理事長予定者、既に理事長になるべき者として任命を受けておりまして、
小林理事長のご協力を得て、いろいろな改革についての取り組みの考え方、それから移行に伴う
お知らせも含めまして広報をさせていただいているところでございます。
今後、新聞、雑誌、これは政府広報ということを通じて周知させていただきたいというふうに思って
おります。
それから参考までに、こうしたお知らせに使っておりますものを別紙ということでつけさせていただ
きましたので、ご参照いただければと思います。
別紙１、これは事業主、被保険者の方に７月にお送りしたものでございます。ポイントといたしまし
ては協会設立、これは非公務員型の公法人でございまして、職員は公務員ではなくて民間ということで、
これからやはり民間のノウハウを取り入れ、またサービスの向上、効率化を進めていきますという
ことでございまして、そうした点。
それから、特に被保険者証の関係でございますが、これは10月をまたいで従前の被保険者証を引き続き
変わりなく使えます。協会になりまして、順次切りかえを行ってまいりますけれども、切りかえが完了
するまでは引き続き使用できるということでございます。切りかえについては平成21年３月を目途に
考えておりますけれども、切りかえが完了するまでは引き続き使えるというところでございまして、
そうした点についても広報をさせていただいているところでございます。
それから、すみません、１ページ目に戻りまして、そういうことで広報に取り組んでおります。
９月にはまた全事業所のほうにお知らせということでございます。
それから、いろんな健康保険関係の業務、これは円滑に引き継いで切れ目なくサービスを提供して
いくということが求められるわけでございまして、この間、６月から８月にかけまして全国研修、
それから各都道府県の研修。新しいシステムに変わりますので、そういうシステムの操作も含めま
して研修をし、またマニュアルも作成をして現場で滞りなく業務が行えるようにということで取り
組んでいるところでございます。
それから、窓口体制についても準備を進めております。適用とか資格の関係、加入をしたりとか
保険料の徴収については、従来どおり社会保険庁で、窓口では社会保険事務所ということでござい
ますが、現金給付なんかの申請手続等については協会の各都道府県の支部の窓口ということになり
ますが、やはりここも円滑に移行するということで、当面、社会保険事務所のほうに協会の職員が
巡回をして、また社会保険労務士のご協力も得て、各社会保険事務所にも協会の窓口を開設をして
円滑にしていくということも考えているところでございます。
それから、システムの関係、これも全体的な構成は、ちょっとすみません、ページを振っていない
んですが、後ろから２枚目でございますけれども、新しいシステムのイメージということでつけさせ
ていただいておりますけれども、協会として新しいシステムを構築してということでございます。
７月中旬までに総合テストを終え、それから８月は本番環境での本番用リハーサルと呼んでおります
けれども、そういう本番環境でのリハーサルも実施をして進んでいるところでございます。
10月稼動に向けて、９月に最終的なデータの移行をし、またシステムを移行して10月に滞りなく実施
できるようにということでございまして、今準備を進めているところでございます。
それから、各、新しい協会の本部と支部の事務所の設営もあわせまして進めているところでござ
います。端末の配備それからＬＡＮの敷設等も含めまして、取り組んでいるところでございます。
一番最後のページでございますけれども、新しい協会の本部、支部の所在地につきまして、情報を
掲載させていただいているところでございます。
先ほど申しました９月の各事業所あての広報につきましては、こういう所在地、それから今回は
書いておりませんけれども電話番号とか地図等についても、あわせて各都道府県別に掲載をして
周知をしてまいりたいというふうに考えております。
それから、あと資料３―２と３―３ということで付させていただいておりますが、こちらのほうは、
全国健康保険協会設立委員会でこうした定款でありますとか運営規則、事業計画、予算等、
そういった審議をしておりまして、実は（案）と書いておりますが、本日午前中の設立委員会で
こうしたものも10月に向けて決定がなされておりますので、ご参考いただければということで配付
させていただいております。
定款につきましては、法律を受ける形で、この協会についての基本的な事項を定めております。
１ページ目をちょっとごらんいただければと思いますが、全国健康保険協会の目的ということで、
被保険者等の利益の実現ということを目的としております。こうした基本的事項について定めている
ものでございます。
それから、事業計画及び予算という資料３―３でございますが、これは10月からの発足ということに
なりますので、半年間の計画でございます。
おめくりいただきますと、「事業運営の基本方針」から始まりまして、協会としてどういうふうに
取り組んでいくかというところをまとめております。
平成20年度につきましては、設立の初年度ということでございまして、大きく５つの方針を立てて
おります。１つは１ページ目の半ば、真ん中以降のところでございますが、まず業務・サービスを
円滑に移行していくということでございまして、これをまず第１に掲げております。
それから、この全国健康保険協会の設立につきましては、医療制度改革の趣旨を踏まえて、また
保険者機能を発揮してということでございますので、保険者機能の発揮というのを第２点ということ
でございます。
それから、３点目といたしまして、被保険者本位のサービスということで、業務やサービスの向上を
進めていくということでございます。
それから４点目で、２ページ目のほうになりますけれども、事業主・被保険者の意見を踏まえた
透明な運営ということで、これは前回もこの場でもご意見をいただいておりますが、ＰＤＣＡ
サイクルがきっちり機能できるような運営にしていくというのを基本に据えているところでござい
ます。
それから、第５点目といたしまして、非公務員型の新しい組織でございまして、初年度は組織基盤の
確立ということで、新しい組織風土・文化の醸成も含めた新しい基盤をつくっていくというような
ことでございます。
その他、個々の業務について決めております。そうしたものも、本日決定がなされておりまして、
10月に何とかスタートラインに立って新しい協会のもとで運営をしていくというところの準備の
最終段階に取りかかっているところであるということでございます。
以上でございます。

○保険局保険課成松補佐。
それでは、資料の３―４関係でございますが、全国健康保険協会の概算要求の関係の資料を説明
させていただきます。
１ページ目の説明に入る前に、本来、全国健康保険協会の収支につきましては、協会設立後に協会
において最終的に決定されるものでございます。ただ、国においても８月末に来年度の概算要求を
行っておりまして、その中では協会における支出を見込んで国庫補助等を計上したり、あるいは
協会健保の保険料については、社会保険庁において保険料の収納を行う関係で国の年金特別会計の
健康勘定に保険料を計上させていただいているということになります。
そのような意味で、これらの概算要求を行う前提とした協会健保の収支の概数イメージというのが
ございますので、それをさらに資料３―４のほうでご説明させていただくとともに、それと
概算要求の内容をご説明させていただきたいと思います。
なお、この年末の予算編成までに、また最新の医療費の実績等を取り込んでいきますので、
計数にはこれから当然、変動が出てくるというふうなことを考えております。
それでは、１枚目の説明に入らせていただきます。１枚目は協会健保の医療分と介護分を合わせた
全体のものでございます。収入と支出を示しておりますが、ここに示した収入の総額は、想定される
支出の総額を賄うのに必要なものとしてお示しさせていただいておりますので、そのため下のほう、
まず支出の欄からごらんいただければと思います。保険給付費が４兆4,900億円、老健拠出金ゼロ、
前期高齢者納付金が１兆500億円、後期高齢者支援金が１兆5,300億円、退職者給付拠出金が
3,600億円、介護納付金が6,100億円、その他が1,500億円となっておりまして、合計が８兆2,000億円
となっております。
その一方で、ここには少し示しておりませんけれども、平成20年度末の準備金あるいは事業運営安定
資金というものがありますが、そのお金が1,800億円ほど平成21年度に引き継がれるというふうに
見込んでおります。
そうなりますと、次に上のほうを見ていただければですが、収入の欄のほうでございます。
まず国庫補助等というものがございます。この等には予算編成過程で別途ゲンポウされるとされた、
ことし特例法を提出しておりますが、その特例を来年度どうするかというようなことで検討事項と
されておりますこの1,000億円というのを含んでおります。
この国庫補助等１兆700億円というのを織り込んで考えますと、平成21年度の支出の見込み
８兆2,000億円を賄うのに必要な保険料収入については、先ほど申し上げた準備金をどの程度予定
するか、準備金をどれくらい取り崩すかということにより異なってくるというふうなことでござい
まして、保険料収入としては、このように少しイメージとしては幅で示しております。準備金を
すべて1,800億円を使い切ってしまう場合ですと６兆9,000億円、準備金を1,800億円そのまま
維持し単年度で財政収支を図ろうとする保険料収入にしようとすると７兆800億円の保険料収入が
必要であろうというふうに見込んでおります。
保険料収入については今後、協会発足後に協会の運営委員会のほうでご議論いただく必要があると
考えておりますし、また支出についても最新の医療費の動向を織り込んで、今後変化していくことが
ございますので、現時点での収支というイメージでご説明させていただきました。
次に２ページ目をごらんいただければと思います。２枚目は、これは先ほどの１枚目の数字から
介護保険分を除いたものというものでございます。収入については、保険料収入と国庫補助等で
介護分だけ減額されておりまして、また支出についても介護分6,100億円を除いたものでございます。
３枚目に移らせていただいて、３枚目が平成19年度、平成20年度、平成21年度の単年度収支の
イメージでございます。平成19年度は先ほど決算という形でご説明させていただきましたが、
医療費全体が伸びる中で、保険料収入というのは余り期待できない状況と。その結果、平成19年度
の決算ベースの単年度収支はマイナス1,390億円、年度末の事業運営安定資金は3,690億円ということ
でございました。
政管健保だけではなくて、健保組合も含めて医療保険財政全体が厳しくなっていく中でございます
ので、平成20年度の見通しについても単年度収支でいうと1,900億円のマイナスが見込まれて
おります。この結果、事業運営安定資金も1,800億円に減少するというふうに見込んでおります。
平成21年度につきましては、先ほど少しご説明したところでございますが、表の一番下のところに
平成20年度末の事業運営安定資金、この1,800億円をすべて取り崩して使う前提であれば、
平成21年度の単年度収支差は1,800億円となります。保険料収入は一番上のところでございますが、
６兆3,900億円必要になると、この場合見込まれているわけですが、平成20年度の事業運営安定資金
を平成21年度もそのまま1,800億円で維持する場合、これは単年度収支でいいますと
ゼロになるわけで、保険料収入は右上の幅の６兆5,700億円必要となるというふうに見込まれて
おります。
この場合、それぞれ幅で保険料収入を６兆3,900億円から６兆5,700億円という形で示しておりますが、
これを保険料に換算するとどうなるのかというようなことでございます。先ほど申し上げたとおり、
保険料率については最終的に協会が決定するものでございますし、また年末までに最新の医療費
データと取り込んでいきますので、現時点で確たることをご説明できない状況でございますが、
しかし、強いて機械的に現時点で保険料率に換算しますと、積立金を全部取り崩した前提の
先ほど申し上げた６兆3,900億円というものを保険料収入で考えますと、保険料率で申し上げれば、
現行より１‰程度の引き上げをしなけれならないというふうなことを考えております。また、
積立金を取り崩さない前提の６兆5,700億円というのを保険料収入としてあげなけれならないと
いうようなものでございますと、医療費も伸びておりますので、料率は現行よりも３‰程度の
引き上げが必要となる可能性があるというふうに考えております。
先ほど申し上げたとおり、平成21年度の協会健保の予算はこれから協会でご議論していただくと
いうことになりますが、協会健保の保険料収入につきましては、社会保険庁で徴収するというこ
とになりますので、概算要求においてはその枠取りとして自然体の形である、先ほど申し上げた
事業運営安定資金をそのまま維持する場合の金額、６兆5,700億円というのを概算要求ではそう
いう前提で年金特別会計で会計の健康勘定において、一番先ほど申し上げた単年度収支が質的に
ゼロという形を前提において、国のほうの年金特別会計健康勘定において計上しているという
状況でございます。
それが次のページにございます４ページ目でございます。
ここでは、国のほうの年金特別会計健康勘定の歳入、歳出を示すというものでございます。
まず歳入の欄の保険料収入につきましては、右の備考のほうに書いてございますけれども、
協会が直接保険料を受け取る、いわゆる任意継続被保険者の保険料は計上しておりませんので、
少し１枚目の保険料と数字は異なると。１枚目の保険料のほうが７兆800億円でございました
けれども、４ページ目のほうは、これは800億円というのが直接、協会が被保険者から受け取ると
いう形になりますので、社会保険庁からあるいは社会保険庁の年金特別会計から受け取る保険料
というのは約７兆円という形になります。
先ほど申し上げたとおり、保険料収入については、事業運営安定資金をどのように取り扱うかに
より変わるわけでございまして、保険料収入については最終的には協会で決定されることになります。
ただし、ここでは概算要求でございますので、枠取りとして自然体の形である事業運営安定資金を
そのまま維持するということを必要な４兆49億円を計上してございます。また、この表の国庫補助とは、
従来の累積債務分の利子相当額を計上してございます。その他82億円というのは、ＲＦＯ、施設売却を
行っている機関からの施設売却収入などでございます。
歳出のほうでございますが、保険料交付金として６兆9,833億円、その他として、これは事業主の
保険料納入金の返還でございますが、223億円。借入金償還金１兆5,091億円でございます。
とりあえず４枚目までの説明をさせていただきました。ありがとうございました。

○稲上座長
　どうもありがとうございました。
　それでは、ただいまの資料３につきまして、ご質問、ご意見をお願いいたします。
　どうぞ。

○高野委員
　私ばかりで申しわけないんですが、今の一番最後にＲＦＯによる施設売却に関しまして説明を
受けましたけれども、このＲＦＯによる施設売却というのは、先ほどの病院とかあるいはその病院に
併設された老人保健施設も含まれているんでしょうか。その点についてお伺いします。

○保健局保険課成松補佐
現時点では、まだ病院関係というのはＲＦＯにというか、この施設収入には病院関係は含まれて
おらず、保養関係とかそういうものを前提に、保養所とか健康管理センターだとかそういうものを
前提として数字をつくっております。

○高野委員
わかりました。

○稲上座長
ほかにございますでしょうか。
よろしゅうございますか。
それでは、最後になりますが、参考資料につきまして、これも事務局からご説明をいただきます。

○医療保険課高橋補佐
それでは、参考資料といたしまして、先ほどの健康保険協会の設立にも関係いたしますが、10月１日
施行の政省令の関係のご説明をさせていただきたいと思います。
参考資料で、まずは政令の概要をまとめさせていただいております。協会設立時に必要となる措置と
しまして、健康保健法施行令その他関係政令の整備、また、協会が承継する資産の評価委員会の任命
に関する手続等を定めるものでございます。
主な内容は記載させていただいているとおりでございますが、協会で余裕金、資金を持つ際には
安定資産に限る旨、また協会で剰余が出た場合には準備金として積み立てる旨などを定めることと
しております。
３ページをごらんいただきたいと思います。
こちらは、健康保険法施行規則の概要でございます。法律におきまして、給付業務は協会に移ること
とされておりますが、適用・徴収関係の業務は引き続き社会保険庁が行うこととされております。
この整理に従いまして、省令上の手続の整備を行うものでございまして、初めのポツの部分でござい
ますが、被保険者証の発行、それから給付関係の申請書の提出先、これを協会に改めるといった措置
を行うものでございます。
また、４ページをごらんいただきますと、経過措置の部分でございますが、平成20年10月以降、
被保険者証の発行主体、これが変更されますが、大臣が定める期日、当面の間は政管健保の際に
発行した被保険者証、これも引き続き有効とするといったもので被保険者の方にご迷惑がかからない
ための措置を講じることとしております。
１枚またおめくりいただきますと、協会の財務、会計の省令の概要でございます。
こちらは各種の共済類系の法人と同様な規定でございまして、協会の財務会計の基本的なルールを
定めている内容でございます。
以上のこれらの政省令につきまして、９月中旬から下旬の公布に向けて作業を行っているところで
ございまして、ご報告させていただきます。
以上でございます。

○稲上座長
どうもありがとうございました。
何かご質問、ご意見がございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
はい、どうぞ。

○城戸委員
保険給付とか会計につきましては、平成21年度の予定を見ておりますけれども、それ以外の例えば
適用の適正化とか、こういう事業はどうなりますでしょうか。社会保険庁に政管健保に関する事業
は全くなくなるのかとか、残るものがあるとすれば、何と何かという。

○医療保険課岩渕課長
10月に全国健康保険協会が設立された後も適用とそれから保険料の徴収、この関係につきましては、
引き続き社会保険庁で実施することになります。ただし、任意継続の被保険者については、
全国健康保険協会のほうで直接徴収を担当いたします。
したがいまして、10月以降もまずは社会保険庁で引き続き適用・徴収業務は担当していく。それから、
その後、日本年金機構が発足いたしますと、そちらにその業務は移るということになります。
これは事業所との関係で、適用・徴収は年金保険料と一体として実施したほうが合理的であるという
ことで、そのような扱いになるということでございます。

○稲上座長
ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
それでは、一応きょう用意いたしましたのは以上でございまして、最後になりますが、
石井運営部長からごあいさつがございます。お願いいたします。

○石井運営部長
本日の懇談会の締めくくりに当たりまして、一言お礼のごあいさつを申し上げたいと思っております。
改めて運営部長の石井でございます。
日ごろより政府管掌健康保険の事業運営につきまして、ご高配を賜ってまいりました。また、
本日お忙しい中をお集まりいただきまして、重ねて御礼申し上げる次第でございます。
この政府管掌健康保険事業運営懇談会につきましては、保険福祉事業を含めた政管健保の事業運営
全般に関しまして、各方面の有識者の方々から幅広くご意見をちょうだいすると、そういう場で
あるということで、平成５年４月に設置されたわけでございまして、そのような経緯のもとで、
これまで15年にわたりまして、事業のあり方をご議論いただき、あるいは貴重なご意見を賜りまして、
その適切な事業運営を私どもとしても実施していこうということで、今日までやらせていただいた
ということでございます。
先ほど来、お話にもございますけれども、この10月１日には新たに全国健康保険協会というものが
設立されます。そちらのほうに事業が移行するわけでございます。
協会は新たに民間の法人ということで、そうしたスピリットのもとに、さらなるサービスの向上、
業務改革、そういったことに取り組んでいくということになってございます。協会の方針いかんと
いう面もあるかと思いますけれども、恐らく今後におきましても、さまざまな場面で皆様方の
ご意見を賜ることも必要ではないかというようなこともあろうかというふうに思いますので、
その際にはご協力のほうを重ねてよろしくお願い申し上げます。
最後になりますけれども、当懇談会は今回をもちまして最後ということになるわけでございますけ
れども、本当にこれまで長い間にわたりまして、ご支援、ご協力を賜りましたことに対しまして、
心から御礼を申し上げたいと思います。そういうようなことでごあいさつとさせていただきます。
　ありがとうございました。

○稲上座長
それでは、ただいまのごあいさつをもちまして、きょうの会を閉じさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
（了）