第三回船員保険事業運営懇談会施設検討小委員会議事概要 1.日 時 平成19年11月12日(月)16:00〜17:40 2.場 所 厚生労働省 専用24会議室   3.出席者 (敬称略)     委    員:野川、江口、小坂、岡本、三木、大内、高橋、三宅、清水     オブザーバー:遠藤、福岡、飯倉(代理出席) 4.議 題 船員保険福祉施設の整理合理化に関する規定等について 5.議事概要     事務局より資料の説明を行った後、質疑、意見交換が行われた。     概要は、次のとおり。 【国有財産法等の取扱い】 ○ 福祉施設の整理合理化に係る国有財産法等の取扱いについて、結論部分がわかりづらい。 → 最終的には財務省と協議が必要であるが、今の国有財産法等で取扱いが可能なのは、時価での 譲渡であり、船員関係の法人に対する随意契約は可能ではないかと考えている。また、土地、建物 は3年が一つの基準であるが、有償貸付は可能であると考えている。 → 現在は行政財産として福祉事業を行っているため、税制上の優遇があるが、22年1月以降は、 普通財産になるので取扱いは変わる。また、これまでのように運営費や施設整備費を出すことはで きなくなると考えている。 【基本的な考え方について】 ○ 「新船員保険の運営主体となる公法人においても福祉施設を保有することは困難な状況にある。」 とはどういうことか。 懇談会報告書において、福祉施設の在り方として、「船舶所有者は職務上年金部門の財政方式の変 更に伴う積立金差額の償却に係る費用の負担等を賄わなければならない状況にある」との記述は、 運営費、整備費を引き続き支出することを前提としたものではないのか。 従来から福祉施設というのは営利を目的とした施設ではないので、収支で施設の存続を判断するの は、おかしいという議論をしてきたはずなのに、赤字経営のところだけがクローズアップされて記 載されている気がする。 → 政管健保の福祉施設について、全国健康保険協会では保有しないという整理がされている状況 にあり、政官健保とのバランスを考慮すると、船員保険の福祉施設も同協会で保有するのは困難な 状況であると理解している。 積立金の償却については、職務上年金部分が一般制度に統合される際、財政方式の変更による積立 金の差額が生じている。この差額を船員保険制度で償却する必要があり、これは船舶所有者に課せ られている。船員保険福祉施設も船舶所有者の負担であり、そこの部分も考える必要があるという ことで、このように記述されたと理解している。 赤字施設の記載についても、赤字経営のままで、今後やっていくことができるのかとの議論からこ のように記載されたものと理解している。社会保険庁の組織の見直しを踏まえて、黒字である場合 も含めてご議論いただきたい。 ○ 福祉施設が、福利厚生の向上に大きな役割を果たしてきたことについて、具体的にどのような 対応を国として考えているのか。さらに施設の役割を認めるのであれば、これまでの大きな流れの 中で、相当絞り込んだと思っているが、その辺についてどのように考えているのか。 → 政府全体の動きとして宿泊施設等の整理合理化を図るべきとの大きな流れがある。このような 流れも踏まえてどう考えるかについてご議論いただきたい。 ○ 海洋基本法が今年の7月20日に施行され、日本人の船員の確保、重要性を明確にしている。 また、国土交通省の分科会で、使用者側が日本籍船を5年後には2倍に、船員を10年後には 1.5倍に増やそうという目標値を発表している。その一方で、船員の福祉施設はどんどん減らし ていくという。国の政策として一貫性がないのではないか。 また、国民の健康を守っていく内容の国民健康増進法が制定されている。そのような中で、健康管 理センターでの健康診断について、どのように考えるのか。 → 船員の福祉事業は、船員保険の保険料を徴収し、船員保険法の範囲の中で行っており、事業の やり方にはいろいろな方法がある。 福祉施設の問題は、政府全体の宿泊施設の問題や福祉施設の整理合理化の動き、流れを見定めなが ら、船舶所有者と被保険者にも十分納得していただけるような適切な方策をとっていくことが必要 である。 また、健康診査、保健指導については、平成20年度から保険者の事業として義務化になるので、 基本的に充実を図っていく方針である。 ○ 施設の赤字が一つの大きな争点になることを否定はしないが、社会保障の問題は、受益者負担 だとか、市場原理だけでは問題が解決しない。社会保障の在り方から、保養施設が大きな役割を果 たしていると価値を認めるのであれば、一定の保養施設は必要であり、利用者のニーズなど、どこ に問題点があるのか、そういう観点を是非出さないと議論としては前向きにならない。 ○ 船員保険の施設が、他の社会保険施設に対して、極めて特別な扱いをされるべきだということ が言えない限り、船員保険施設だけを特別に扱うということが出来なくなっている。そのような状 況で、どの施設をどのようにして残していくのか。実際に取り得る選択肢が法令上示されている中 で、こちらで取り得る選択肢があっても引き受け手がなければ、どうしようもない。そういったこ とも含めた具体的な内容の中で、船員福利厚生の向上に大きな役割を果たしてきた福祉施設につい て、発展的に議論していきたい。 ○ 保養所等について、非常に成績が悪いと指摘されているが、委託費を入れた収支をみれば、 ほとんど採算が取れない状況ではない。 健康管理センターは、朝4時台から6時台と非常に全国規模で、漁業協同組合等と相談しながら、 日程を組み巡回をしている。また、そこに集まった受信者のデータも、全てコンピューターで管理 して洋上救急の相談など、どの病院でも対応出来るようになっている。一般的な健診センタ−等で は、今までの内容を維持することが難しいと自負している。 いかに福祉事業として存続させるか、トータルとして維持できるように日頃努力をしている。