社会保険事業運営評議会 第17回議事録 日時 平成19年3月14日(水)15時00分〜16時40分       場所 厚生労働省専用第18会議室       出席された参集者(敬称略)         井戸美枝、小島茂、加納多恵子、         紀陸孝、鈴木正一郎、宮武剛 ○宮武座長  それでは、「第17回の社会保険事業運営評議会」を開催いたします。本日はご都合 で稲上さん、遠賀さん、小澤さんが欠席でございます。また、清水総務部長が、急遽 欠席されると聞いております。  では、開催にあたりまして、村瀬長官から一言ご挨拶をお願いいたします。 ○村瀬長官  本日はお忙しいところ、ありがとうございます。私も国会の関係で、中座をさせて いただきますことを、前もってお詫びを申し上げます。  今回は、第17回目でございまして、前回は2月に会議を開かせていただきました。 その時に、事業計画(案)につきまして、さまざまご審議をいただきまして、その際 のご要請を受けたものを、今日一部修正をした上で、またお諮りをしたいと思ってお ります。18年度、皆様に審議をしていただきまして、今度は19年度でございまして、 まさに19年度社会保険庁が、どういう目標に向かって、どういう業務改革を進めて いくのかという、非常に大事な部分でございます。よろしくお願いを申し上げたいと 思います。  それから、私からお話申し上げたいのは、例年7月と1月に、お客様満足度アンケ ート調査というものをさせていただいております。今回は、19年の1月にさせていた だきました。19年1月というのは、ちょうど団塊世代の方々が、60歳をお迎えにな られるということで、裁定請求が非常に増える時期ということで、満足度調査は、ど ういう結果が出てくるのか、非常に心配をしながらも、楽しみにしておりました。細 かいことは後ほど、事務局からご説明申し上げますけれども、社会保険事務所にお越 しいただいた方々のうち、9割の方々が、何らかの形でご満足をしてお帰りをいただ いた、ということで、現場は着実に変わるところは変って来ているんだろうというこ とは、しっかり見ていただいてご評価をしていただきたい。一方、お越しいただかな くても済むような形で、ねんきんダイヤルというものを相当力を入れてPRし、その 活用を図りたいということで努めているわけでございますけれども、残念ながら事務 所へお越しいただいた方々には、ねんきんダイヤルの認知度は必ずしも高くないよう です。これからは、団塊世代の方々の裁定請求が増えるわけですので、何か良い方法 でねんきんダイヤルを利用していただけるような仕組みを、我々としても、もう一度 再構築しながら考えていかなければならないと考えております。そういった点も含め てご報告を申し上げたいと思います。  それから、これはすでに今日の新聞等で、皆様方お読みいただいていると思います けれども、昨日、私どもの新しい機構に関する閣議決定がなされました。そして今国 会に法案を提出させていただくという運びになってございます。具体的には日本年金 機構法案という形でございまして、22年の1月を目途に新しい組織に移行するという 法案でございます。財政責任・事業運営責任は、国が責任をもって行う。その中で、 規律ある効率的な組織ということで、日本年金機構が、適用・徴収・記録・管理・給 付と、こういうものを一連の形で、厚生労働大臣の下で行う。こういった法案の中身 でございます。これにつきましても、後ほど事務局から、詳細をご説明いたしますけ れども、我々の組織が、真に国民の皆様から信頼を受けられる組織に生まれ変わるた めに、極めて大事な法案でありますし、国会の中で誠意を尽くしてご説明をさせてい ただけたらと考えております。  一方、昨年も事業改革法案を同時に出させていただいておりまして、これは国民の 皆様に対するサービスの拡大や、様々な収納対策を更に講じるための提案が入ってお ります。我々は、これも非常に大事な法案だと思っておりまして、事業展開していく 上では欠かせないということで、同時にこれら2本の法案を通していただけたらと考 えている次第でございます。この法案につきましては、運営評議会でも以前一度議論 をしていただいておりまして、その詳細は変っておりませんので、ご理解いただいて いる分だと思いますけれども、後ほど、22年1月に向けて、どういうことをやってい こうとしているのか、ということについて、ご説明を申し上げたいと思います。  非常にお忙しい中でございますので、短期間の中で是非議論を尽くしていただけた らとお願い申し上げまして、冒頭の挨拶に代えさせていただきたいと思います。よろ しくお願い申し上げます。   ○宮武座長  それではまず、資料1の説明をいただき、その後ご意見をいただいた後に、残りの 資料についての説明をお願いする、という段取りで進めたいと思います。では事務局 から、資料1の説明をお願いします。   ○高橋企画室長  総務課企画室長の高橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。お手元の 資料1-1に、前回2月の運営評議会で議論をしていただいたものに対しまして、事業 計画(案)の修正点を整理しております。資料1-2は、それを溶け込ませました事業 計画(案)でございます。資料1-3につきましては、先般ご議論をいただいた後、大 臣から19年度において社会保険庁が達成すべき目標について、2月28日付で示され てございます。これは前回ご議論をいただいた案のままで、本省から示されておりま す。  それでは資料1-1で、修正箇所の説明をさせていただきます。1つ目の点、適用事 務に関する事項、厚生年金・健康保険等の適用適正化です。委員からご指摘いただき ました、昨年の総務省からの未適用事業所に関する勧告を踏まえ、未適用事業所の適 用促進について、もっと計画上大幅に増えるというような目標を立てるべきではない かというご指摘をいただきました。これにつきましては、未適用事業所の適用促進全 体の目標値を検討させていただきましたけれども、19年度におきましては、事務局毎 に目標をどのように立てるか、ということをまずやる。そして、その上でどのような ところまで行けるかということでございます。ご指摘を踏まえた修正内容のところに つきましては、事業計画の11ページのところにおきまして、計画数値のところで、 訪問勧奨の実施事業所数や、重点加入の実施事業所数や、事業所調査効果の件数など、 このあたりの比較的社会保険事務所が行った行為・作業に対しまして、数値で測定で きる部分につきまして、大幅に上回るようにするという形で、今回は盛り込ませてい ただきました。その結果が大幅に上回るかどうかにつきましては、今後の検討課題と いうことにさせていただいております。それからその下の次の事項、本文では29ペ ージになりますが、保健事業・福祉事業のところでございます。保健事業につきまし ては、平成20年4月からの特定健診の義務化に向けての準備の取り組みにつきまし て、19年度ではありますけれども、目標として入れるべきではないかと委員からご指 摘をいただきました。また特定健診の「特定」という言葉に抵抗感があるので、実施 段階で工夫すべきというご指摘をいただきました。これを受けまして、修正内容の点 でございますけれども、特定健診というものにつきましては、法律で定義が定められ ておりまして、今後政令等で詳細が決まってまいりますので、なかなかこの事業計画 では、正確を期しまして、特定健診という言葉で書かせていただいておりますけれど も、「なお」、のところでありますが、実施の段階におきましては、特定健診・特定保 健指導が政府管掌健康保険の被保険者・被扶養者になじみやすく、受診しやすい形で 実施できる工夫を検討する、と明記いたしまして、実施段階で検討していきたいと思 っております。  それから裏面でございますが、「6.業務全般に関する事項、国民サービスの向上」 のところでございますけれども、19年1月の「お客様満足度」の調査結果の数字が、 前回空欄でございました。調査結果がまとまりましたので、89%、87%の数字を入れ させていただいております。またその次でございますが、「6.業務全般に関する事項 (6)組織の改革@ガバナンスの強化」のところの「サービス改善協議会」の事項で すが、「サービス改善協議会」を設置すると、これのみの記述でございましたが、「サ ービス改善協議会」について、具体的に何を活動しているのか分かるように、という ご指摘をいただきましたので、修正内容のところでございますが、各社会保険事務局 等の事業運営および業務の実施状況について、広く地域の方々に情報提供を行うとと もに、利用者及び被保険者等の視点からの意見を受け止め、サービス改善を図るため、 地方社会保険事務局に「サービス改善協議会」を設置というような記述にさせていた だきました。  それから次のページでございますが、「6.業務改善に関する事項(6)組織の改革 B人材の育成」の部分でございますが、職員に関する研修について、もう少し具体的 に、とご意見をいただきました。これにつきましては右側でございますが、社会保険 大学校において、職員のマネジメント能力を向上させるために、職務階層別研修の充 実を図る。社会保険大学校において、職員の実務能力を継続的に向上させるために、 ステップアップ研修の充実を図り、一部の研修において「指導者養成課程」を新設す る。また事務局等において、新規に配属された職員に対し、職場の上司を講師とした 研修を実施する。などの記述を追加させていただきました。以上でございます。 ○宮武座長  それでは今の事務局のほうからの説明について、皆様のご意見を賜りたいと思いま す。どうぞ。 ○鈴木氏  一番目の項目での訂正でありますけれども、前回この会議の時に、目標を前年度大 幅に上回る、ということにしていただけないだろうかということを申し上げました。 言葉としてはこういうことで書いてあるんですけども、私が本来申し上げたのはそう ではなくて、新規適用事業所数の数を、対前年で大幅に上回る、なぜなら市場化テス トも踏まえて進めているからだ、とこういうことで申し上げたつもりであります。こ こに書いてありますのは、それを達成するための手段についてということでありまし て、今もこの手段を増やすことによって、結果としてどうなるかというお話がありま したけれども、やはり、本来ですと、この適用事業所数そのものを、大幅に上回ると 記述をしてもらいたい、ということを申し上げたつもりであります。いろいろご検討 いただいた結果がこういうことなら、それはそれで仕方が無いのですけども、是非、 結果として大幅に上回るような結果を出していただけるように、お願いをしておきた いと思います。 ○宮武座長  この件については、何かご意見がありますか。 ○松岡医療保険課長  若干ご説明させていただきます。新規適用事業所数ですけれども、これは景気の変 動などで、かなり影響が及んでくるといったところでございますので、なかなか計画 として具体的に示すのは、難しいところでございます。ただし、適用促進対策として、 どれだけそれが適用事業所数の増加に結びついたかといったことについては、それを しっかり実績として出して、それを目標に掲げて行く、ということは大変重要なこと であると考えております。  この適用促進対策については、まだ平成16年度半ばから、この未適用事業所の把 握について本格化したものでして、また17年度からは、市場化テストを行ったとい ったような状況でございますので、まずは社会保険事務局での適用促進対策の手段の 確立を目指すという形で、訪問勧奨事業所数などを、目標として掲げるという形にさ せていただいております。19年度は、事業計画に掲げましたように、各社会保険事務 局で目標を立てまして、行動計画を立て、それで取り組み目標を作って行こうと思っ ておりますので、ご指摘のようにしっかりと、この適用事業所数が増えるように、頑 張ってまいりたいと思います。 ○宮武座長  この文言でよろしゅうございますか。 ○鈴木氏  皆さんでご検討いただいて、そういうことであるとするならば、やむを得ないのかなというふ うに思っております。 ○宮武座長  他にどうぞ、はい、井戸委員どうぞ。 ○井戸氏  29ページのところの、特定健診の数字ですけれども、政管健保が34%以上で、船員保険が39% となっています。国が定めているのが、平成24年度に目標値が70%、と載っているんですけれど も、まだちょっと期間があるとしても、この数字自身が何かすごく低いようなイメージがありま す。そのあたりのところをどういう形で出されているのか、教えていただければと思います。 ○宮武座長  お願いします。 ○松岡医療保険課長  29ページに、健診の実施率の目標として掲げておりますのは、現行社会保険庁で行っておりま す生活習慣病予防健診事業など、従来から行っているものの健診率の内容でございます。もう1 つ、20年度からは、「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づいて、特定健診・特定保健指導と いうことを行う予定ですけれども、これについては従来市町村で行っていました老人保健の健診 は、だいたいこの項目に沿うような、今やっている生活習慣病予防健診よりも、項目数としては 絞られたような形のものになっています。特定健診の目標との関係でございますが、特定健診の この目標の70%には、現在事業主が、別途行っております事業主健診がありますので、事業主健 診で行われているものも、保険者のほうにデータとしていただくことになっております。そして 34%と事業主健診と合わせて、この70%を目指して行くといったようなことになっております。 ただし、この70%という目標も、高い目標でございますので、ここは達成できるように努力して まいりたいと思っております。 ○宮武座長  よろしいですか。他にご意見ございますか。もしなければ皆様のご意見、少しご不満もあって も一応反映されたということで、よろしゅうございますか。それでは次の資料にまいります。資 料2や資料3についての説明をお願いいたします。 ○高橋企画室長  お手元の資料2-1、日本年金機構法案の概要によりまして、説明をさせていただきます。 「1.年金新法人の組織等」でございますが、今般の法案は、社会保険庁を廃止いたしまして、新 たに年金の業務を担う非公務員型の法人を設置するものでして、名称につきましては、そこにあ りますように、日本年金機構です。役職員の身分は、非公務員で民間的な勤務条件です。また、 国の監督につきましては、厚生労働大臣が直接的に管理監督し、事業計画・予算を認可する。ま た業務改善命令等を直接行えるようにする。設立時期は、「平成22年4月までにおいて政令で定 める日」と法律には定め、実際上は平成22年1月、この1月と申しますのは、年末年始のお正月 休みを使いまして、コンピュータシステムのソフトの入れ替えなどが必要でございますので、一 定期間の休日を作って、コンピューターを止められる時期に設定をしております。 「2.国と新法人の役割」でございますが、国は、公的年金に係る財政責任・管理運営責任を担う。 そのために年金特別会計を国に備えまして、保険料の徴収・年金の支払いは国の歳入・歳出とし て直接行う。また年金手帳および年金証書は、国の名義で行います。法人は、厚生労働大臣から 委任を受けまして、その直接的な監督下で、公的年金に関する一連の運営業務を行う。こういう 役割分担でございます。 「3.強制徴収の委任」でございます。今般法人化をするにあたりまして、徴収体制がどのように なるのか、という大きな論点がございましたが、1つ目にありますように、保険料の滞納処分の権 限につきましても、厚生労働大臣の一定の監督下で、法人に委任するという形で、同じように法 人で行えるような権限付与をしております。更に、厚生労働大臣は、悪質な滞納者に対する滞納 処分について、必要があると認める時は、法人からの申し出に基づきまして、滞納処分の権限を、 財務大臣を通じて国税庁長官に委任できるという形も仕組んでおります。  4は、民間へのアウトソーシングの推進です。法人が自ら行う業務と、外部民間企業等に委託す る業務の振り分けにつきましては、学識経験者の意見を聞いた上で、政府が基本計画を閣議決定 で定める。このような形としております。 また、職員につきましては、社会保険庁の職員がそのまま引き継ぐのでは、看板の架け替えにな ると、このようなご指摘もありましたので、職員の採用につきましては、採否の審査のための第 三者機関も設けつつ、法人の設立委員が、労働条件・採用基準を提示して募集する。このような 仕組みとしております。 資料2‐2の参考資料で、詳しく説明を申し上げます。表紙をおめくりいただきますと、今般の新 法人の設立の趣旨を書いております。廃止・解体6分割とありますけれども、組織を分割して何 が良くなるのか、という点につきましては、それぞれの組織の任務を明確化することによりまし て、ガバナンスをしやすくする。こういうことでございます。年金の管理・財政責任を持つ本省、 その実務を行う法人、一定の業務を委託する民間、健康保険の給付を行う法人、医療機関の指導 を行う地方厚生局と、さらには事案に応じて外部に委任する国税庁という6つに分けて、ガバナ ンスを発揮させていくということになります。また、大きな2点目は、非公務員化ということで して、これまでの公務員的なことを改めまして、民間的な人事・給与体系、あるいは民間との人 事交流がしやすくなると職員の意識が変る。こういう点で非公務員化によりまして、運営組織は 大きく変るというものでございます。一方、国の財政責任・管理運営責任は明確にするというこ とで、大臣の直接的な監督の下で公的年金制度を堅持する。こういうところはしっかりとしてご ざいます。また法人においても、業務が出来るような強制徴収の委任等々の仕組みによりまして、 信頼回復・サービスの向上・効率化を図ってまいるという全体の趣旨でございます。  1枚おめくりいただきまして、国と年金法人の役割分担という図でございますが、先ほどご説 明申し上げました、国は公的年金に係る財政責任・管理運営責任を担うという点でございますが、 図にありますように、年金の特別会計は国に備えるということで、一番下の被保険者から上に矢 印が出てございますが、被保険者または事業主は、国に対して保険料を払う。一方、国から年金 給付の支払いが行われるということで、国が責任を持って年金制度を運営するということが、国 民・事業主から見てもはっきり分かるような形を維持しております。その一方で業務につきまし ては、年金公法人に権限の委任も行いまして、事務を行わせる。法人に行わせつつ、国がしっか りと年金を堅持するという形でございます。  次のページですが、年金保険料の滞納処分というタイトルのページでございます。年金保険料 の滞納処分につきましては、大臣からの権限の委任を受けまして、法人で行わせるということで ございまして、これもこれほど本格的に国の行政権限を法人に委任して、公権力の行使に 関わる部分まで行わせるというものは、先例の無いものであります.  そのための公正性・客観性を担保する、あるいは行政機関の監督体制を充分に確保 するという趣旨から、下の箱にありますような事前の措置・事後の措置を講じます、 事前の措置と致しましては、滞納処分につきましての厚生労働大臣の事前の個別認可、 あるいは滞納処分の実施細則を大臣が認可し、さらに滞納処分の実施職員の任命につ いて大臣が認可する。また、事後の措置は、事後報告・立ち入り検査・是正命令。こ のような事前・事後の措置を講ずることによりまして、滞納処分のような公権力の行 使にわたる部分につきましても、今般の法案では、法人に行わせるというところまで 踏み込んでございます。  次のページでございますが、悪質な滞納者に対する強制徴収の国税庁への委任とい うところですが、図にありますように、滞納処分の権限は厚生労働大臣にあるわけで すけれども、その大臣の権限を、通常は年金公法人に委任して、年金公法人におきま して、滞納処分等を実施するということでございますけれども、年金公法人が最大限 の徴収努力を尽くしたことを前提に、法人からの申し出によりまして、財務大臣を通 じて、国税庁に滞納処分の委任をすることが出来るということを法律上仕組んでござ います。この悪質な滞納者につきましては、右側に@ABありますが、まず年金公法 人が相当程度の働きかけを行ったにもかかわらず、2年以上の長期滞納、この2年と いうのは時効期間の2年でございますが、それほどの期間滞っているというようなも のであって、かつAでございますが、国民年金であれば高額所得者、厚生年金・健康 保険であれば、滞納額が高額である場合が、どちらかというと国税庁の得意分野でご ざいますので、その分野をやっていただく。また、かつBでございますが、財産隠匿 が疑われるが差押財産が特定できない。例えば土地は持っているけれども、担保権で すとかさまざまなものが設定されていて、換価処分が著しく難しいようなケース。こ のような事案につきまして、委任することが出来る形を組み込んでおります。  次のページ、年金公法人の性格でございます。国が公的年金の管理運営責任を担い つつ、行政処分や公権力の行使にもわたる部分までも法人に委任して行わせる。国が 年金公法人をしっかり管理するという仕組みとしてございます。@Aについては、毎 年度の業務運営の管理監督を基本としまして、法人の年度計画(事業計画・予算)は 大臣が認可するという仕組みにしておりますし、大臣が必要に応じまして、業務改善 命令・違法行為等の是正命令などを行えるという権限も、法律に盛り込んでおります。 また、これまでの独立行政法人との違いでございますが、独立行政法人は、法人の自 主性・自立性を重視するという観点から、中期の業務管理を中心といたしまして、年 度計画は認可などではなくて提出していただく、ということで3年から5年の中期の タームでの管理を中心とし、その間は法人に運営を任せる。また、違法行為等があっ た場合でも、主務大臣は是正の要求を行えるに留まりまして、是正命令などは出来な いというように、独立行政法人は、名前のごとく行政から独立して、自立性を発揮し て効率的に行うという仕組みでございますが、今般の年金運営法人の場合は、国が年 金の運営の管理・運営の責任主体でございまして、その事務を行わせるという観点か ら、独立行政法人とは異なる新しいタイプの公法人、という形にしてございます。  次のページですが、この法人は厚生年金と国民年金の適用・徴収・給付までの一連 の業務を行いますが、健康保険につきましては、現在社会保険庁が行っているものの、 協会管掌健康保険として平成20年10月から、全国健康保険協会が分離されるわけで ございます。全国健康保険協会では、下の図にありますように給付を行う。そのため の適用徴収は、厚生年金と健康保険を表裏一体で適用徴収する関係上、国が行う。こ ういう仕組みになっておりますので、その部分の事務を、年金公法人に委任するとい う形でございます。  次のページでございますが、年金公法人の設立準備のための第三者機関でございま すが、公法人の設立準備のためには、2つの第三者機関を設けることとしております。 1つ目は(1)民間へのアウトソーシングを行う業務の振り分けですが、これにつきま しては、政府として意見を聞くということで、内閣官房の下で運営をしてもらう、と いうようなことでございます。そこの意見を踏まえまして、政府が基本計画を閣議決 定する、ということでございます。この閣議決定した後に、実際の法人の職員の採用 でございますとか、業務方法書ですとかいう段取りを、設立委員が行うわけでござい まして、(2)の第三者機関は、設立委員が委嘱する採用審査の会合ということで、こ こで社会保険庁の職員から採用する職員につきましては、これまでの人事記録でござ いますとか、人事評価の記録等々も参照しながら、採否の審査を行っていくという形 を予定しております。  次のページですが、これまでも新聞報道等で報道されておりますが、社会保険庁廃 止に当たりまして、新法人にも採用されず、また国の他の組織にも転任されず、また 自主的な退職も無い場合の職員につきましては、国家公務員法に基づきまして、組織 がなくなった時点で分限免職という規定があるわけでして、これに対する考え方でご ざいます。これにつきましては法律で、国家公務員法で定める通りに取りまして、行 うということでございまして、具体的な条文は次のページ(参考)のところ、国家公 務員法第78条の規定がございますけれども、このように組織の廃止等の場合には、 免職することも出来るというような規定はございます。これにつきましての解釈等は、 次の10ページにありますように、配置転換が比較的容易であるにもかかわらず、そ の努力を尽くさずに分限免職をした場合には、権利の濫用となって違法となりますけ れども、そのような手続きをした上では、この条文の適用は可能である、とこのよう な解釈になってございまして、具体的にどのようにするかにつきましては、今後第三 者機関によって議論がされていく中で、設立までに詰めていくことになろうかと思っ ております。  次の資料2‐3は、事業改善のための法案でございます。これは昨年出した法案と 基本的に同じですので、簡潔に説明をさせていただきますけれども、新組織の発足に 向けまして、一連の業務改革のうち、法律が必要なものにつきまして、一括した改正 案でございます。これまで法律に関わらずサービスの向上・保険料徴収の徹底・予算 執行の無駄の排除・個人情報保護の徹底、さまざまな取り組みをしておりますが、そ の右側実施予定の取り組みの中でアンダーラインを引いてある部分、これにつきまし ては法律が必要な部分でございますので、例えば住基ネット情報の活用の拡大や、ク レジットカードによる納付、あるいは事務費の国庫負担の見直し、福祉施設規定の見 直し等の改正を盛り込んでおります。これにつきましては、昨年提出いたしまして、 組織法とともに審議未了廃案となったものと基本的に同じでございますので、詳細に つきましては、割愛をさせていただきます。続きましてサービスの評価につきまして は、サービス推進課より説明をさせていただきます。   ○間崎サービス推進課課長補佐  サービス推進課課長補佐の間崎でございます。資料3-1、3-2について説明させて いただきます。資料は平成19年1月に実施いたしました、お客様満足度アンケート の集計結果がまとまりましたので、ご報告申し上げるものでございます。資料は3-1 概要版と3-2報告版の2部になっております。  資料3‐1概要版でご説明申し上げます。資料1ページ目をご覧いただきたいと思 います。社会保険庁では、国民の皆様方の信頼回復を目指し、国民サービスの向上を 第一の目標としておりますが、国民の皆様方の、社会保険庁に対します評価がうかが える唯一のアンケートでございます。このアンケート結果によりまして、お客様のご 意見やニーズを的確に把握し、更なるサービス改善に活かすことと、このようにして おります。この度のアンケートの実施方法でございますが、平成19年1月17日に、 全国の社会保険事務所と年金相談センターに来訪された全ての方々に、アンケート用 紙をお配りいたしまして、相談等が終了した後に記入していただき回収するという、 これまでと同じ方法で行っております。当日来訪された方は52,448人で、うち43,513 人の方々にご協力をいただきました。回収率は83%でございます。アンケートでは、 年金相談窓口と年金相談以外の窓口に分けて、集計を行っております。前回実績と比 較対照する場合でございますが、前回は昨年の7月19日に実施しておりますが、1 月と7月では、社会保険事務所の繁忙度合いが異なっておりますので、比較対照する 場合は、前年同期でございます平成18年1月実施分と比較していただければ、より 近い条件で比較することが出来るかと思います。アンケート結果でございますが、2 の(1)、待ち時間と待ち時間に対する満足度です。年金相談の窓口では、15分未満の 待ち時間であった方が、全体の57.4%。30分未満は、78.4%でございました。30分 以上かかっておりますのは、21.6%でございます。資料1枚おめくりいただきまして、 1番上の箱の部分でございますが、年金相談窓口の表の19年1月の欄を横にご覧いた だきますと、5分未満で32.0%、5分から14分で25.4%でございますので、15分未 満は2つを足していただきますと、57.4%でございます。30分未満でございますと、 21%を加えまして78.4%とこういうことになります。同様に年金相談以外の窓口では、 15分未満の待ち時間は、95.6%でございました。満足度の評価でございますけれども、 来訪者にお配りしたアンケート調査票に、事項毎に満足・やや満足・普通・やや不満・ 不満の5段階のいずれかに○を付けていただくことによりまして、評価をいただいて おります。そしてその満足度をパーセンテージで示しておりますが、これは満足とや や満足に○を付けていただいた方々を、満足と区分したその割合でございます。資料 Aの待ち時間に対する満足度でございますが、年金相談窓口で58.1%、年金相談以外 の窓口では、80.7%でございました。いずれも18年1月の実施分と比較いたします と、大幅に満足度が上がっております。  次に(2)の職員の窓口接遇に対する満足度でございますが、これは職員の挨拶・ 言葉づかい・身だしなみ・対応の早さなどの、窓口におきます接遇面に対する満足度 でございますが、こちらも平成18年1月に比較いたしまして、年金相談窓口、年金 相談以外の窓口ともに、全ての項目で大幅に満足度が上がっております。  次に資料3ページでございますが、(3)の施設の利用に対する満足度でございます が、ここでは社会保険事務所内におけます案内表示の分かりやすさ・プライバシーへ の配慮・待合スペース・環境の美化・清潔の保持、こういったものに対する評価でご ざいますが、こちらも両方の窓口とも、前回と比較いたしまして、全ての項目で大幅 に満足度が上がっております。続きまして(4)の訪問目的の達成度でございますが、 年金相談窓口で89.9%、年金相談以外の窓口で87.4%と、こちらもいずれも前回を 上回っております。  資料をおめくりいただきまして、(5)全体としての満足度でございますが、アンケ ート全体の評価は、この項目で行われることになります。全体としての満足度は、年 金相談窓口では、満足とやや満足を足しまして89.4%でございまして、前回18年1 月の65.8%と21.2%を足しました87%と比較いたしまして、2.4%上がっております。 年金相談以外の窓口では同様に、今回が87%でございまして、前回の82.3%と比較 いたしまして、4.7%の上昇と、このようになっております。冒頭、長官が挨拶にご ざいましたが、約9割の方々が、社会保険庁の対応に、満足であるとの評価をいただ いており、お客様から満足をいただける体制が、整備されつつあるのがうかがえるこ とかと思います。  (6)は、ねんきんダイヤルの認知度について調査したものでございます。前回と 比較いたしまして、「知らなかった」が大幅に減少しておりまして、59.9%が51.0% に大幅に減少しておりまして、利用したことがある、あるいは知っているが、それぞ れ大幅に増加してきております。ねんきんダイヤルの存在が、皆様方の間に広く知れ 渡って来ていることがうかがえることかと思います。  それから資料5ページの(7)(8)につきましては、データとして取り扱ったもの ではございますが、参考までにご高覧いただければと思います。  それから資料6ページは、県毎の満足度の状況でございます。こちらのほうもご高 覧いただければと思います。  もう1点の資料3-2をご覧いただきたいと思います。資料3‐2の10ページまでに つきましては、いま概要版でご説明申し上げた内容のものでございます。  資料11ページをご覧いただきたいと思います。来訪された方々にお配りしたアン ケートの用紙の中に自由欄といたしまして、ご意見・ご希望を記入していただく欄が ありますが、ここにご記入いただいた皆様方は、社会保険事務所の対応に対しまして、 積極的にものを言っていただく姿勢が明確にある方たちと考えまして、この方たちが 満足度をどう評価しているかということを再掲したものでございます。ご意見・ご要 望等の記入率も、毎回増加しておりますが、今回は、43,513件の回収件数のうち、記 入されていたものは、9,143件でございまして、このうち8,257件はやや満足以上と いうことで、満足であるというような評価でございました。前年同期の5,858件と比 較いたしますと、件数も大幅に増加していると、このように言えるかと思います。一 方、やや不満・不満足につきましては、前年同期196件と87件を足しますと283件 でございますけれども、これが19年1月の実施では、191件に減少してきております。  以下資料の12ページ以降でございますが、これまで実施してまいりましたお客様 満足度アンケートの結果を踏まえまして、満足度向上に向けて行っております取り組 み事例を掲載しております。後ほど参考までにご高覧いただければと思います。以上 でございます。   ○宮武座長  ありがとうございました。それでは日本年金機構法案の概要および今回のサービス 調査などについて、ご質問なりご意見なりあれば、ご自由にお願いいたします。どう ぞ、小島委員。 ○小島氏  もう政府として閣議決定し国会に提出したということなので、その法案が良い悪い というよりは、今回の法案の中身について、少し質問なり意見も含めて述べたいと思 います。1つは昨年廃案になった、ひらがなの「ねんきん事業機構法案」は、組織と しては、あれは国の特別の機関ということで、そこにこだわったのは、前回の法案の 時は、保険料徴収・滞納・処分といいますか、公権力を行使するためには、国の機関 でないと出来ないという理屈で、確か国の機関という位置づけをされたと思います。 今回はその年金についての運営責任は、厚生労働大臣にありますけれども、一括して 事務について非公務員型の新しい年金機構に委託できるという仕組みになりました ね。そのあたりの関係をどう整理されたのかというのが1つと、それから、やはり年 金、下地は保険料で運営されております。保険料で拠出しているだろうし、あるいは 国民年金から拠出している被保険者の代表といいますか、意見が反映できる場という のは、どこに想定されているのでしょうか。前回廃案になった「ねんきん事業機構法 案」には、運営評議会ですか、名前は何でしたでしょうか、その被保険者等の代表が 意見を反映出来る場というのが、確か想定されていたと思うのですが、今回そこはど のような仕組みを考えているのかという点が2つ目です。  それと年金の個人情報保護の件ですが、そのあたりが、今回新たな非公務員型の組 織になった場合、さらにそこから事務を民間の事業者に委託するということが想定さ れておりますので、ますます個人情報が漏洩しかねないという危険性は高まると思い ます。最近も大きな個人情報が漏洩したという問題が出ていますので、そのあたりが 新組織発足に向けて、どういうような体制といいますか歯止めというものが出されて いるのかという点が3つ目です。  それと、もう一方の国民年金の運営改善法に絡んで、その中に年金の保険料を事務 費に充当する、恒久化できるという中身が入っていますけども、それとの関係です。 この資料で言いますと、資料の2-4の18ページに、事務費国庫負担の見直しについ て、というものが四角に囲んであります。ここで事務費については、保険料を充当す るということで出ていますけども、その事務費の範囲の問題です。ここにいわば職員 の人件費等も、その事務費として保険料を充当するのかどうか。非公務員型の組織に 移った時に、そこの人件費等について保険料の充当というのは、これは想定されるの か。そこはどう考えるのか。基本的には私としましては、保険料の事務費の充当自体 が問題あると思っております。やはり保険料を拠出している代表が、そこについて事 務費あるいは保険料の使途については充分検討する。そういう場で検討した結果とし て、事務費の充当はやむを得ないということであれば、やむを得ないと思いますけど も、今回そういう場が特段無いままに法律が出てしまうということ。これは前回の法 案が出た時も、その問題意識は持っておりましたけれども、今回新たな組織が非公務 員型になるということになりますので、その際の人件費というのはどう考えるのか。 これはあくまでも国の年金制度ということが、運営責任も国だということになってい ますので、人件費については引き続き、税金で、一般財源で充てるというのが本筋だ ろうというふうには思っておりますけども、そのあたりのところは質問といたします。   ○宮武座長  それでは、それぞれお答えください。 ○高橋企画室長  組織法につきましては私のほうから。1点目にいただきました昨年の前回法案につ きましては、国の特別な機関ということでございました。これにつきましては、当時 公権力の行使にわたる強制徴収等を、独立行政法人のような法人に委任できるのか、 という問題提起があり、かなり議論がされました。その際、通常の独立行政法人にそ のまま委任するというのは、実際上なかなか法制的な点で慎重な検討を要する、とい うような議論がありました。けれども、それ以上に年金は国が責任を持って行なわな ければいけない、従って国の組織で行うというような議論であったわけでございます。 それに対しまして今般の法案につきましては、国が責任を持って行うという点はしっ かり維持する。国が厚生労働大臣の名前で徴収あるいは給付を行う。国が責任を持つ ところは維持しながら、業務を委任する仕組みを新たに工夫したという点が、1点で ございます。  また、もう1点につきましては、前回の議論では、独立行政法人のような独立性の 高いところに委任できるかという論点、問題設定でございましたけれども、今回はこ れまでに先例の無い、新しい国の管理が強く及ぶ法人という形を考案いたしまして、 また公権力の行使にわたるものにつきましての監督体制も、独自の新しいものを考案 したということで、このような仕組みを実現出来るような制度になった、という点で ございます。  ご指摘いただいた2つ目の点でございますが、昨年も新組織になりまして、現行の 運営評議会のような、国民の意見を反映できる措置という条文を、前回法案でも設け ておりました。今回の法案でも、前回法案と同じような、国民の意見を反映できる措 置を講じなければいけないという条文は設けておりまして、これに基づきまして、同 じように被保険者・事業主等からご意見を聞いて、反映させていくような場を、新法 人に設けてまいりたいと思っております。  3つ目の点でございますが、年金個人情報の保護が、法人化しても大丈夫なのかと、 こういうご質問でございますが、お手元の資料2-1日本年金機構法案の概要の資料の 2ページをお開きいただきますと、「U.法人の組織等」の一番下「4.役職員の地位等」、 その2つ目の丸にありますように、現役の役職員、役員・職員または過去に役員・職 員であった者には、秘密保持義務を課すということで、罰則付きの守秘義務を課すと いうことを、法律上特に設けてございます。また、次のページですけれども、法人か ら民間委託した場合はどうかという点でございますが、これも3ページの一番下にあ りますように、「4.民間委託」のところの2つ目の丸でございますけれども、委託を 受けた者には、秘密保持義務を課すということでございまして、これは民間企業であ れば、企業が守秘義務を持つ、関わるだけではなくて、その従業員・従事者につきま しても、将来にわたった秘密保持義務を課すということで、万全の法的手当てはして おります。また、次の4ページの8にありますように、年金個人情報の利用および提 供の制限ということで、年金個人情報につきましては、年金事業の実施あるいは全国 健保協会における健康保険事業の実施等々、法律で定められた用途あるいは事業の実 施のための用途以外には利用出来ない、ということを明記いたしまして、個人情報の 保護を徹底するという仕組みにしております。   ○大江経理課長  経理課長でございます。最後の事務費の国庫負担の見直しの件でございます。資料 の2-4この横長の参考2のところで、いま委員のほうからもご指摘がありましたけれ ども、17年度からは、国庫負担と保険料負担の区分につきましては、保険料負担を保 険事業に直接関わる経費に限定した上で、職員人件費それから内部管理事務費を国庫 負担とする、ということでございまして、そこに平成20年度以降も、この区分につ いては17年度の考え方を基本とするとございますが、恒久化以降もこの考え方を維 持していく、ということでございます。  なお、縦長の資料2-1機構法の概要の3ページのところ、「7.財務及び会計」でご ざいまして、その丸の4つ目で、法人になりましたら交付金を出すわけでございます が、その際は、交付金の財源の国庫負担、保険料の別毎の内訳、それから交付金の使 途を明らかにするということで、しっかり透明化も図りながら、対応していきたいと 考えております。以上でございます。 ○宮武座長  よろしゅうございますか。 ○小島氏  もうひとつ関連で良いですか。先ほど被保険者等の意見を反映する場、これは新し い新法人の下に作るということで、名称は別として、一応そこに作るということです ね。それと地方の関係はどうするかということ。今日も確か資料があったのですけど も、サービス向上検討会が、各都道府県に作られていますけれども、政管のほうは全 国健康保険協会、これは各都道府県支部協議会がそういう機能を担うことになると思 うのですけど、新しい年金組織については、地方のそういう加入者等の意見を聞く場 というものは想定をされているのかどうかということ。   ○高橋企画室長  現在社会保険庁におきますサービス改善協議会は、地方におきましてご意見を聞く とともに、いろいろな情報を地方に発信すると、こういう場になってございます。こ れは新組織におきましても、同じようなことにつきましては、検討してまいるという ことで考えております。 ○宮武座長  よろしいですか。どうぞ紀陸委員。 ○紀陸氏  いま小島さんのご質問された件の中に、2点関連するのですが、個人情報保護の件 については、資料2-3の2枚目です。2枚目の納付の関係で、事業主との連携という のが、左の下に「事業主からの情報提供及び保険料納付の勧奨等に関する協力」とご ざいますけれども、この具体的な事業主からの情報提供の内容というのがどういうイ メージなのか。資料2-4のところにも、17ページに、説明会等の場所の提供とか、従 業員への制度の周知というのが挙げられますけども、情報の提供というのは、特に含 まれておりません。事業主に個人情報の提供を依頼するというのは、前回のときも非 常に問題になったと思うんですが、具体的な事業主への措置の義務の内容というのは、 どういうものか。それが1点。  それから2つ目は、地方社会保険事務局のサービス改善協議会、この開催状況です。 この参考資料の6の1とか2に出てるんですけれども、実際に地方におけるサービス 改善協議会の開催状況というのを、それぞれホームページに当たってみますと、かな り地域によって温度差がある。非常に細かくきちんと議事の概要を、ホームページに 紹介している県と、こういうことをやりましたという、議題だけしか挙げてないよう な県と、相当に差異があるというような感じがいたします。いろんな問題で各県にお ける取り組みの差異というのが指摘をされておりますが、こういうその地域における サービス改善協議会の指導を、どういうふうに徹底をされておられるのか、その点も 確認させていただきたいと思います。私からはその2点です。 ○宮武座長  お願いします。 ○鈴木年金保険課長  2点目の事業改善法に書いております事業主との連携でございますが、これは去年 の法案と全く同じ内容でございまして、事業主に、国民年金の第1号被保険者ですけ れども企業に雇われている方の年金保険料の支払いについて、一定の御協力をいただ くという規定でございます。もちろん、協力規定でございますので、強制的な何らか の罰則等で担保されている規定ではございません。その中で具体的な運用はこれから でございますけれども、例えば企業に雇われている第1号被保険者の方の氏名・住所 などについて、御提供をいただくということが1つの類型としてあると存じます。私 どもはそれをいただいて納付の働きかけあるいは、紀陸委員からございましたけれど も、説明会を開催していただきまして、場所などをお貸しいただいて、納付勧奨にご 協力いただくといったようなことを想定しております。 ○紀陸氏  昨年のこの法案によって、特に短時間労働者の方々の氏名・住所等の情報提供を依 頼するというのがあって、ここは流通の業界さんからも、それは相当大変だから堪忍 してくれという要請があり、そこの部分は削除されたという経緯があったと思うので すが、そういうような経緯はどうなのですか。 ○鈴木年金保険課長  関係業界の方々とお話をしていく中で、当初は、やはり強制力のある規定だという 誤解があったのではないかと思っております。これは基本的には強制力のある規定で はございませんので、私どもからお願いをする、あくまで協力規定でございますので、 そこは協力できないということであれば、行政の方から強制することはできないのだ と、先ほどの私の説明は、あくまでもそういう前提の説明だと考えていただければと 存じます。 ○宮武座長  もう1点について。 ○大澤サービス推進課長  サービス推進課長でございます。紀陸委員の2点目のご質問、地方社会保険事務局 サービス改善協議会の議事の内容についての、各ホームページの公開の仕方について です。私ども、このサービス改善協議会を設立するにあたりまして、設置要綱を各事 務局に対して示しております。その設置要綱の中におきまして、協議会の開催状況等 につきましては、各事務局のホームページに掲載するということで、指導しておりま すのに加えまして、社会保険指導官が、事務局に対して業務監察を行う際にもその点 の確認をさせていただいております。ただし、紀陸委員のご指摘のように、必ずしも 充分でないところがまだ見受けられますので、今後とも引き続き、充分な情報が公開 できるように、指導を継続化させたいと思っております。 ○宮武座長  よろしいですか。他に何かございますか。私も聞きたいのですが、この資料2-1の 日本年金機構法案の概要について、今回もいわば改革の目玉の一つでありますけども、 民間へのアウトソーシングの推進、これの振り分けはこれから行うにしても、いまの お立場で、民間の委託枠でこれは絶対無理だといのは、どんなものがあるのかという ことを、教えていただきたいと思います。  それと人事の交流ということですけども、厚生労働省の本省の方が、この年金事業 機構に来られた場合には、それは非公務員として迎え入れて、またお戻りになるとい う形があり得るのかどうか。あるいはここに勤める職員たちは、今共済組合にお入り になっているわけですが、これは短期給付を中心としてそのまま維持されるのか。そ んなことをかいつまんで教えていただけないでしょうか。 ○高橋企画室長  ご指摘いただいた点、1件目の民間へのアウトソーシングでございますけれども、 今回の法律案では、滞納処分やさまざまな行政処分・行政行為にわたる部分を法人に 委任しております。このように公権力の行使あるいは行政処分・行政行為にわたるも のにつきましては、法律上、法人に行わせると明記しておりますので、これにつきま してはこの法人が行うということになっており、そこからさらに再委託ということに はなりません。したがいまして、法人から民間への委託につきましては、現在でも入 力あるいは国民年金の納付督励など、さまざまなものを外部委託しておりますが、さ らに外部委託できるものを、積極的に推進していくという考え方で、ご議論をいただ くことになると思ってございます。  2つ目の点、厚生労働省の職員が法人に出向することがあるのか、その場合の身分 は、ということでございますが、この法人が大臣の監督の下で、大臣が国に管理・運 営責任を置きながら事務を行う、という関係上、厚生労働省の職員が法人に出向する というのは充分あるということで、密接な連携を図っていく必要があるではないかと 思っております。しかしながらこの場合には、法人に出向した場合には、当然法人に おける職員の身分は非公務員でございますから、その間におきましては非公務員の身 分になるという形でございます。また、日本年金機構の職員につきましては、非公務 員型でございますので、共済等につきましては共済から完全に、今の第三共済は廃止 いたしまして、新しく健保・厚生年金ということで適用するということでございます。 ○宮武座長  健保組合を作るのですか。 ○高橋企画室長  今般法律上健保組合を作りまして、そこに権利・義務関係の一部を承継するような 規定も設けてございます。 ○宮武座長  もう1点よろしいですか。資料2-4、国民年金事業法案の一部改正でございます。 そこで以前からの懸案事項でもありましたけれども、4ページの今後の取り組みのと ころで、社会保険と労働保険の徴収の仕方について、労働保険のように総賃金に着目 して、そこに保険料率を掛けるというような形の保険料徴収のあり方を検討すると書 いてあります。これは今の状況の中で言うと、厚生年金・医療保険これについて総賃 金に保険料率を掛ける場合は、どんな事務的な障壁があるのか。こういうところを解 決しなければ無理だ、というところがあれば、教えてください。 ○今別府企画課長  この部分については、まさに検討するという話でありますので、もちろん保険料率 それから付加ベース、それから付加の回数・その他違っておりますので、そういう問 題点を踏まえて検討していくという状況でございます。 ○宮武座長  事業主の利便性の向上ということが、冒頭にそれだけ掲げられてあるわけですけど も、それは理解が得られているとお考えになっていますか。 ○今別府企画課長  ここでやりますのは、今おっしゃったところまで行く前の段階、手続きを一緒にし たり、1つの窓口に行って済むようにするといったレベルの話を1つ1つ積み重ねて いこう、ということで努力をしております。 ○宮武座長  分かりました。はい、どうぞ。 ○青柳運営部長  今の座長のお尋ねに関して、補足させていただきますと、総報酬でやるということ のメリットは、言ってみれば、そのトータルの額であっていれば良いということで管 理ができる。それはそれで非常に良いのですけども、厚生年金の場合は、1人1人の 記録を長年にわたって、持っていかなければいけなければいけない。実はポイントに なっているのは、その総報酬でやるかどうかということ以上に、そういうところの違 いを、どう考えていくかということの方が、いわば制度論としてはより大きな判断が 必要になってくる部分でもあるものですから、そうなった時に、例えば報酬の変化が 生じた時の扱いをどうするかということを詰めなければいけない部分が残っている というふうに、補足的にご理解いただければと思います。 ○宮武座長  何かそういうことが、私も一網打尽の形になって効率的だと思うのだけれども、現 実に給付のときは、個々にやはり給付しなければいけないことですよね。他に何か、 加納委員いかがでございますか。 ○加納氏  難しい話ばかりなのですが、国民の1人として、受給者の1人としては、今後ます ます高齢化してきますよね。そうしますと介護保険など、いろいろなものが年金から 天引きされます。そういうことから考えましても、やはり若いうちから年金は、自分 たちの老後のためにも、国民年金なりをちゃんと掛けていこうという国民1人1人の 意識の向上というか確立というか、そういうのがやはり大切だと思います。  一番下の「広報・年金教育等」を見たのですけれども、私といたしましたら、イン ターネットがあるから、いろいろそういうもので情報を提供していますよ、と言われ る以外にも、今までのようにどこかへ行けば話が聞ける、そして、私たちのような民 生委員たちの研修にも、年金制度がこう変わるのですよというようなお話に来てくだ さる。そういう場で、国民の1人1人の口コミというか、そういうことからの意識付 けも大事だと思うのですよね。機械だけに頼って、こういう制度・情報がありますよ というよりも。そういうきめ細かい情報の提供というのを考えていきますと、では、 市役所の年金課というのは、どういう存在なのかなと思います。これはもう何年か前 から、私たちは市役所の年金課に行けば、何もかも教えてくれるかなと思っていたら、 それは社会保険事務所に行きなさい、どこどこへ行きなさいと言われ、手続きなどは 教えていただけるのですが、自分の個人情報的なものは何一つ教えてもらえない。そ ういう存在では、市役所の年金課というのは、とてももったいないような気がすると いうふうに考えているのですが、これまた年金機構ということで、民間というかそう いう存在になってくればくるほど、今もちょっとお話が出た、個人情報の保護という 点からも、とても心配な種が出てくるような気がいたします。また、今、言いました 市役所の年金課の役割も、やはり介護保険の納入や天引きを考えると、必要だろうと 思いますけれども、そういう連携というかネットを、この図式の中では見当たりませ ん。それもまあ枝葉の細かいことだから、ここの場ではそういうのは分からないので しょうけれども、やはりそのあたりまで、今度の新しい機構の中に、どういうふうに 市民の立場で見える情報というところをお考えなのかなと、知りたいなと思っていま す。 ○宮武座長  よろしいですか。お答えください。 ○鈴木年金保険課長  ただいま御指摘いただいた点は重要だと思っております。私どもは事ある毎に、市 役所あるいは町村役場とは連携を深めてまいりたいと思っております。  その一環といたしまして、お手元の資料の2-4でございますが、例えば7ページ、 国民年金の例で申し上げますと、保険料の徴収は国に移ってまいりましたが、まだ市 町村にこれだけの仕事をしていただいております。左の方は、法律上、市町村にお願 いしている仕事でございますが、それ以外に右の方で、広報も含めた様々な対応をし ていただいております。いまおっしゃった市の年金課ですと、一番下の一般的な相談 対応ということもやっていただいておりますし、その上にございますように、市町村 の公報は、ある意味非常にPR力がありますので、ここにいろいろな年金の広報を載 せていただいている。もちろん私どもも、支援できる限りにおいて、交付金その他で 支援しているということでございます。  それから、ただいま保険料の天引きという話もございましたけれども、これから高 齢者医療の保険料や前期高齢者の国保保険料の年金からの天引きを実施する予定で すし、あるいは住民税の天引きも議論されております。そういった点も含めて、国民 年金保険料の徴収の面でも、連携を深めていこうということで、この法案の中では御 案内のように、国保の短期証との連携、あるいは市町村に納付受託者になっていただ くような取扱い、そういった様々な改正事項を取り入れております。そういうことで、 色々な形で、引き続き市町村との連携協力を深めてまいりたいと思っております。 ○宮武座長  お願いします。 ○青柳運営部長  余計なことかもしれませんが、実際に我々がやっていることは、年金保険課長から ご説明したとおりです。本当は小澤市長がおられると、是非ご意見も伺ってみたいと 思っているところなのですが、市町村と私どもの仕事の関係というのは、非常に何と いいますか、難しいところが正直言ってございます。  例えば、よく言われるように、平成14年からそれまで市町村にお願いしていた仕 事が、地方分権法の整理に基づきまして、先ほどの資料2-4の7ページでご説明した ように、法定受託事務とそれ以外の協力連携事務という形で、きっちりと何をやるの か、何をやらないのかが分けられてしまった、ということもあるわけですが、市町村 の方、特に首長さんにお話を聞くと、従来のような国民年金の保険料を集める、とい う仕事をやらされるのは、もうこりごりだ、したがって、もう二度とこの仕事は、自 分のところへ持って来ないでくれというふうに、はっきりおっしゃる方も、正直言っ ていらっしゃいます。したがって、私どもは、これが法廷受託事務だ、あるいは法律 で決まっているからやってくれということだけで、市町村との関係が成り立つとは思 っておりません。むしろこの問題は、いま加納委員からもお話があったように、結局 は市町村にとって、巡り巡って利益の生じる話じゃないでしょうかと。非常に即物的 なものの言い方をすれば、無年金の人が増えれば増えるほど、その方々の老後の生活 を、生活保護でみなければいけなくなるということになるのではないだろうか。ある いは、例えば介護保険や今後導入される後期医療保険の保険料を、お年寄りの方の分 は、年金から源泉徴収するとなっているのに、無年金の方や低年金の方が増えれば、 結局市町村が、自らそのお年寄の所へ行って集めなければいけないという負担が増え るだけじゃないだろうか。したがって我々としては、きちんと年金に結びつくことが、 1人1人の住民のためにもなるし、そのことが巡り巡って、市区町村のためにもなる んじゃないか、ということをお伝えして、協力連携というのを求めていく、という考 え方を取らせていただいています。この点については、はっきり申し上げて、かつて の3,000市町村が市町村合併で2,000あまりになったようですが、そのことをよく分 かっていただいて、私どもがお願いする前から、非常に協力的に、また住民に対して 積極的に働きかけをしていただいている市区町村も片方にあれば、やはりお願いをし てもなかなかやっていただけない市区町村もある、というのが現状・実態でございま す。しかしながら私どもは、新法人の組織になって、形は民間ということになるわけ ですから、市区町村との関係が、やや疎遠になるのではないか、というご心配もごも っともではありますが、そこは正に全体の制度責任を持つ国が、尻を叩いてでも、そ の市区町村との連携関係というのを、先ほど来申し上げているような考え方で、進め ていかなければいけないだろうという認識を持っておりますので、その点については ご安心をいただくと同時に、もし不十分な点があれば、是非お教えいただきたいと思 います。 ○宮武座長  他にございますか。はい、どうぞ井戸委員。 ○井戸氏  広報のことについてでもよろしいでしょうか。年金相談をさせていただくときに、 23.2万円という数字は、わりと浸透していってるのですけれども、それはご夫婦の分 なのに、おひとりだけの年金額と思ってらっしゃる方が非常に多く、また、2025年の 所得代替率が50.2%という数字も覚えていらっしゃるのですね。そうするとご自身の お給料が50万だとすると、ぴったり数字が1人分で合うのですね。そういう方は、 非常に団塊の世代の方が多くて、問い合わせてみると、意外に少ないというので、す ごくがっかりされる方が、異常に数字合わせがぴったりしてしまったので、いらっし ゃいます。年金額も聞かずに退職してしまう人も、中にはいらっしゃるのです。今度 始まりますねんきん定期便は、絶対成功していただきたいですし、信頼も取り戻して いただきたいので、ソフトランディングする方法というものに、すごく広報が重要だ と思うのです。ですから1人分じゃなく、夫婦2人分だというのがはっきり分かる、 またはよくあるパターンの事例を挙げるとか、ねんきんダイヤルのこともそうなので すけれども、広報のところでそういうのに力を入れていただくということをお願いし たいと思います。平成20年度まで待たずに、35歳や45歳で期間を満たしましょうと いうのも大事なのですけれども、いま、58歳通知というのは期間しか分からなくて、 自分ではがきを出すと、ようやく金額が分かるということなのですが、58歳通知に金 額を入れるというのは、そんなに難しいことなのでしょうか。早く分からないと、先 ほどおっしゃっていましたけれども、今の介護保険料に加えて、今度75歳になると 医療保険料も天引きされるわけですから、早め早めに退職後のシュミレーションとい うものは、国民が一番しておかないと厳しいことだと思いますので、何かそのあたり の広報のところを、是非力を入れていただきたいと思います。 ○宮武座長  要望ですが、何かお答えになることありますか。 ○今別府企画課長  定期便の話は、出来る範囲で前倒しをするということで、今月の26日に35歳の方 にお送りすることをはじめとして、45歳それから55歳以上を前倒ししていきます。 58歳のところも、20年の4月以降にはきちんと金額を、本来の定期便ということで、 お知らせ出来るということでございますので、出来るだけ丁寧にやっていきたいと思 います。 ○青柳運営部長  ちょっと付け加えますと、井戸委員は、前回いらっしゃらなかったので、あるいは お目通しいただけていないかもしれないのですが、前回ねんきん定期便の雛形をお届 けしました。机の上にも資料があるので、後でご参照いただきたいとおもいますが、 その中で50歳以上の方に送付するねんきん定期便については、それぞれの金額を、 報酬比例部分・定額部分の別も含めて、ご提示をするということで考えております。 50歳未満の方については、当然のことながらブレが大きくなるものですから、言って みれば目途になる額をお示しするところに留まりますが、50歳以上の方については、 このまま60歳までお勤めになった場合に、このくらいの年金額が見込めるというこ とをご提示できるので、そこは少しは前進するのじゃないかなというふうに、私ども は思っております。 ○井戸氏  ねんきん定期便が始まる前に何か前倒しで、58歳の人にだけにでも金額が分かれば、 親切かなと思ったのです。だから20年になるとみんな分かるのでちょうど良いので すけど、それまでに出来ることを、もうひとつ付け加えていただければと思ったので す。 ○青柳運営部長  すぐに財布の話をするのは、あまり格好良くないのですけども、実を言うとこのね んきん定期便をやるためにも、結構大きなシステムの改修が必要になっていて、これ に時間とお金をそれなりに掛けてということになっています。その前に例えば35歳、 45歳というようなことも前倒しでという、特に総理からの直々のご要請もあったもの ですから、私ども最低限そこのところを改修しなければいけないということで、加入 記録の部分については、情報提供を前倒しをいたしますが、58歳通知に年金額を入れ 込むということになると、これははっきり言って、俗な言葉で言えば、二重投資にな る恐れがあるものですから、ちょっと1年間だけお待ちいただけないかということで す。もちろんお尋ねがあれば、先ほど井戸委員からもご紹介があったように、年金見 込額がこれくらいですよ、ということをお伝えは出来るようにはなっているのですけ ども、ちょっとその申し訳ないのですが、1年だけお待ちいただけないか、というの が正直なところでございます。 ○宮武座長  他にございますか。はい、どうぞ、小島委員。 ○小島氏  長官が戻られたので、要望を私の立場から言っておきたいのですけども。今回の新 しい年金機構法案が、どういう形で成立するかというのがありますけれども、全国健 康保険協会は、来年の10月から発足します。そして今回の新しい年金機構は、この 法律が通りますと、それから2年遅れですか。平成22年の1月からということにな りますので、今の社会保険事務所の職員の皆さんが、どちらに行くかということもあ りますので、そのあたりがスムーズな選択が出来るような配慮と、それと今回の資料 の中にも出ていますが、くれぐれも分限免職などが生じないように、配慮は是非ここ は長官からも努力をお願いしたいというふうに思いますので、そこは要望ですけど、 是非よろしくお願いしたいと思います。 ○宮武座長  長官、何かお返事なさいますか。 ○村瀬長官  戻ったら、すぐに重量級の話が出てまいりました。まず1つは、全国健康保険協会 ですけれども、今議論をしていただいていまして、最終的には今年の秋口ぐらいから、 具体的な全国健康保険協会の要員といいますか、どういう人たちに来ていただくかと いうことは、おそらく設立委員会で、お示しいただけるんだろうというふうに思いま す。一方、年金は、順調に行けば、今国会で法案が通ったとして6月でございますね。 その後、第三者機関が設立されまして、そこでいろいろ議論をしていただいた上で、 日本年金機構自体の公法人でやる仕事の中身が決まってくる。そうするとそれによっ て当然定員が決まってくるという話になりますから、それは確定するのが、同じ時期 ではないのですよね。したがって、募集段階でどういう形でやるのかというのは、悩 ましいところでして、ここについては当然職員の要望を聞きながら、かつ設立委員の ほうが、全国健康保険協会を運営するのに、頭数だけ揃えても仕方がありませんので、 どういう人たちをそこへというのを踏まえながら、我々としては、こういう人でどう ですかということをお出ししたいと、こういうふうに思っています。  それから、分限免除という話が出ましたけれど、以前のねんきん事業機構法案のと きも、能力分免の問題についてお話しましたけれども、やはりその前に職員が、意識 改革をしてくれて、自分たちが年金であろうが健保であろうが担うんだと。そういう 仕事に変えるんだということが、一番大切な部分だと思いまして、まず私の仕事は、 従来からお話し申し上げています職員の意識改革・業務改革、これを徹底的にやると いうことなのだと思うのですね。それがしっかり出来た人は必然的に、新しい組織で も、是非来て下さいと頼まれて行かざるを得ないのだろうというふうに思いますし、 そういう職員をどれだけ数多く出来るのか、ということなのだと思うのですね。一方、 その中で、やはりもう出来ないという人も、ひょっとしたらいるかも分からない。そ ういう人たちに対しては、親切丁寧にやれるようにして下さいということを、何度も 何度も繰り返した上で、どうしてかということを考えていただくという形になるのだ ろうと思います。それから全体的な組織の問題についていえば、定員数が決まりませ んと、答えは出ませんし、我々職員も、今は基本的にお辞めいただいた後は補充無し ですから、ある意味では減員になっているわけですね。その絡みもありますので、申 し訳ないのですけれども、今お答えはできません。ただ、私が言えることは、職員が しっかり仕事をやってくれれば、間違いなく自信を持って推薦する。そのためにしっ かり仕事をやってください、ということを職員に言っていきたい。そのために実は、 リスタートプランの中で本音トークというのをやり始めて、28箇所もお邪魔して現場 に行っていますけども、そこでやはりきちっきちっと話をしてあげる、ということに 尽きるのではなかろうかと思っています。 ○宮武座長  それに関連して申し上げますと、何か職員の採用のための第三者機関とか、アウト ソーシングのための第三者機関というものは、ある程度年限を区切った、臨時的な第 三者機関というのを想定されているのですか。 ○高橋企画室長  これは設立準備の過程での第三者機関ですので、まず業務の振り分けの第三者機関 が動きまして、その役を決める。その後、職員の採用の第三者機関を立ち上げまして やる。それぞれの任務の期間のみのワンポイントでございます。 ○宮武座長  他にご意見、どうぞ。 ○鈴木氏  今度新しい日本年金機構が出来るわけですけども、その中でやはり民間へのアウト ソーシングということが非常に重要なテーマとして取り上げている。そうすると今い ろいろ行っている市場化テストの結果といったようなものが、大変に重要になってく るんじゃないのかなと思うのです。実は、私も前回誤解していて、ちょっと驚いたん ですけども、国民年金納付率向上のために、市場化テストを5箇所でやりました。コ ストは安いから、その5箇所でやっていたものを、さらに30箇所増えて35箇所にす るというようなお話だったのですけども、よく資料を見ますと、その5箇所は納付率 ということからいくと、成績が悪いというお話があって、若干驚いたんです。こうい うことをしっかりしないと、民間のアウトソーシングという話が成り立っていかない わけで、ここのところをどういうふうに今理解をして、この新しい機構にこれを持っ ていこうとしておられるのか。こうやって市場化テストをやって、こんなに広げたけ ど、上手くいかないからやはり、新しい機構にいる職員でやっていくんだ、という方 向に持って行こうとしているのか。アウトソーシングへどんどん持って行こうとして いるのか。そこのところのご意見を伺いたいなというふうに思います。 ○青柳運営部長  アウトソーシングを断固進めるべきと言って推進している一人として、お答えをさ し上げます。前回の確かに事業運営評議会のときの結果は、鈴木委員からお話があっ たように、やや意外というふうに受け止められたのかもしれませんが、私どもはむし ろ、要するに民間でアウトソーシングしたものを、逆に社会保険事務所の職員が、ど う活用しているか、あるいは社会保険事務所の仕事の仕方で、先ほどもちょっと話が 出ましたが、どうしてもアウトソーシングし得ないものが残るとするならば、結局そ のアウトソーシングしているものとの繋がりというものを上手くやらない限り、全体 としての成績が上げられないんじゃないか。そういう意味では私はむしろ、アウトソ ーシングされている民間事業者の側だけに問題があるのではなくて、その結果を上手 く使い切れていない社会保険事務所の側にこそ、より大きな問題があるのではないか というのが、私なりの受け止め方です。したがいまして、ただ今のお尋ね、新組織の 中でこれをどう考えていくのかという点については、どんなことがあったとしても、 新法人が、今よりもいわば正規職員を大きく抱えて仕事をするということはあり得な い、という前提でものを考えておりますから、その意味では市場化テストが、市場の その厳しい論理の中で、なかなかそのアウトソーシングを引き受けてくれる事業者が 無いというようなことも、もちろん頭に置かなければいけないわけでありますけれど も、原則としては全国の全ての事務所で、アウトソーシングができるような形に持っ て行かなければいけないだろうと考えております。そのためにこそ逆に私どもとして は、アウトソーシングで各民間事業者がやっていただいた結果を、どう納付率に結び 付けていくかというその連携のところを、正に市場化テストとしてテストしていると いうのが、現時点の認識であります。したがいまして、そこを1つ1つ上手くいかな かったことを何故か、そして上手くいっているところを、何が上手くいっている理由 なのかということを分析した上で、それを新組織に繋げて行くという基本認識で、事 に臨みたいと考えております。 ○宮武座長  よろしゅうございますか。 ○鈴木氏  今お話を聞いていて、大変安心をしました。やはりどう連携をして相乗効果を出す か、というところがポイントですよね。たぶんそこで一生懸命努力しておられるんで すけど、市場化テストをやった5箇所とも、してない所よりも成績が悪いというのが 書いてあると、そこのところが本当に上手く行っているのかな、という疑問があって 申し上げたんですけど、是非そういうことで進めていただきたいというふうに思いま すね。 ○青柳運営部長  ちょっと補足いたしますと、前回も確か年金保険課長からご説明したかもしれませ んので、繰り返しになるかもしれませんけれども、1つの反省としては、例えばその 市場化テストの目標の設定の仕方について、私も今回反省がございました。これは逆 に市場化テストを、全体として推進している内閣府のほうからのリクエストでもあっ たわけですが、目標をあまり厳しく設定すると、やはり民間は出来ないじゃないかと いうことにもなりかねないので、その目標の設定の仕方については、然るべくという ことでのご内意もあったために、例えば他の社会保険事務所はご存知のように、80% という納付率目指して、毎年かなり厳しい目標を設定して、前年よりも納付率が上が るような形での目標設定をしている。相当上がるような形の目標設定をしている。そ れに対して市場化テストの対象事務所に、同じことを求めると、その市場化テストを 阻害するのではないかという観点から、ややその目標の設定の仕方が、中途半端にな ってしまったのじゃないかという反省も、正直いって1年度目についてはございます。 その意味では、目標設定をどうするかということも、また我々にとってテストの段階 でありますので、過剰でなく、かつ全体としての納付率を上げていく、という目標に 沿った目標設定をどうしたら良いかというのが、新年度の課題だという認識をしてお ります。 ○宮武座長  他にございますか。もしなければ、本日出ました様々なご意見を、是非今後活かし ていただきたいと思います。今後の日程について、事務局からの連絡をお願いします。 ○乗越企画課課長補佐  本日は貴重なご意見をいただきまして、有難うございました。次回以降の予定につ きましては、6月頃を予定しておりますが、詳細につきましては、後日皆様に相談さ せていただきまして、決定をしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願 いいたします。 ○宮武座長  新年度にも入りますので、古手の委員の交代も含めてご検討の上にお願いしたいと 思います。それでは皆様、お忙しい中、大変ありがとうございました。本日、これで もって閉会いたします。 〜 以上 〜