第6回船員保険事業運営懇談会議事録 1 日時 平成18年12月21日(木)      10:00〜11:25 2 場所 厚生労働省専用第18会議室 3 出席者(敬称略)   岩村、野川、西村、江口、小坂、中村、三木、遠藤、大内、三宅、清水、西村、木村 4 議題 (1)船員保険制度の見直しについて (2)その他 5 議事内容  ○ 岩村座長  それでは、第6回船員保険事業運営懇談会を開催することにいたします。議事に入ります 前に、委員の出欠状況についてご報告いたします。本日は三尾委員の代理で西村さん、がお 見えです。どうぞよろしくお願いいたします。それでは早速議事に入りたいと思います。第 4回の運営懇談会におきまして、私のほうから、船員労使関係者で協議を行っていただくよ うお願いをしていたところでございますが、この第6回運営懇談会に先立ちまして、この労 使協議が行われたところでございます。これにつきまして、12月14日付でご報告を頂戴 しております。協議の結果およびその後の経過につきまして、まず事務局からご説明をいた だきまして、その後補足するというようなことがございましたら、使用者側、被保険者側そ れぞれからお願いをしたいと存じますが、それでよろしゅうございましょうか。それでは、 今申し上げたように進めさせていただきたいと思います。まず、それでは事務局の方から、 労使協議の内容および、その後の経過につきましてご説明をいただきたいと思います。よろ しくお願いをいたします。 ○ 医療保険課長  ただいま座長のほうからお話がございましたように、この11月16日の懇談会で、座長 のほうから労使協議についてのご提案がありました。これを踏まえまして、船員関係の労使 の協議が行われまして、12月11日の労使協議におきましてその結果が取りまとめられ、 14日に座長宛にその結果が報告されております。その状況につきましては、お手元の本日 お配りしている資料にございますので、それをご覧いただければと思います。その内容につ きまして読み上げさせていただきますが、議事概要とございます。その中で、「1」という ことで、運営主体についてでございます。新船員保健制度を全国健康保険協会で運営する場 合は、同制度の独自性および主体性確保のため、法令によるものも含め、制度的に担保する 必要があることを、労使一致して確認した。また将来、当該法令が改正される際には、その 検討に労使が関与できるようにすべきであることを確認した。おめくりいただきまして、次 のページです。2.福祉施設についてですが、船員保険事業運営懇談会の報告書が作成され た後も、船員保険の統合までの間、福祉施設の整理・合理化、代替措置および受け皿に関連 する問題等について、労使で協議し結論を得るべく一致して取り組むことを確認した。3. 独自給付についてですが、組合側は、独自給付について、現在の給付内容を維持すべきとの 立場から意見を述べ、船舶所有者側はこれに理解を示した。内容については以上でございま す。それで、第4回の懇談会におきまして、座長から、労使協議を踏まえ、野川委員、西村 委員のご意見も伺った上で、「報告書の取りまとめに向け、事務局と私でさらなる方向性を お示しさせていただきたい」とのご発言がございました。これを受けまして、労使協議の結 果を踏まえ、事務局で運営主体、福祉施設についての案を作りまして、岩村座長、野川委員、 西村委員に相談の上、労使関係委員にお示しする取りまとめ案を作成いたしました。12月 18日以降、労使関係委員に運営主体、福祉施設の取りまとめ案をお示しいたしまして、ご 意見をいただいた後、本日提出した報告書案に入れさせていただいております。その内容に つきましては後ほど、報告書案全体の説明の際にご説明させていただきたいと思います。経 過につきましては以上でございます。 ○ 岩村座長  どうもありがとうございました。ただいまご説明いただきました事柄につきまして、使用 者側、被保険者側から補足する事柄がございましたらお願いいたします。まず、使用者側い かがでございましょうか。 ○ 船舶所有者委員 特にありません。 ○ 岩村座長  特にないということでございますが、被保険者側いかがでございましょうか。清水委員ど うぞ。 ○ 清水委員  結論はこの報告書にまとめられているとおりでございます。若干議論経過について補足的 に申し上げたいと思います。前々回の懇談会において組合側として、運営主体はどのように あるべきかというテーマにつきまして、全国健康保険協会ではなく、独自の公法人でやるべ きだという発言をいたしました。その理由といたしましては、これまでの懇談会における論 議経過等を踏まえますと、船員関係者が最終的な意思決定権を持たない全国健康保険協会の 中で、新しい船員保険を運営するということについては、自主自律の運営を行うことが極め て難しいのではないのかと、こういう理由を申し上げまして、是非独自の公法人でやるべき だという意見を申し上げました。労使協議の場におきましてはそれに加えまして、独自に行 う場合のメリットとして考えられる点について、私のほうから船主側の皆さんにお話申し上 げました。それは、従来と同じような運営のやり方でやるとすれば、確かに独自で運営組織 を持つことは、コストが余計にかかるという問題が想定されますけれども、ただ、従来のよ うなやり方ではなくして、現在、通信あるいは情報処理の革新的な技術がどんどん出てきて おります。そういうものを活用し、経営者の皆さんの経営感覚というものを保険運営に活か していくならば、むしろ全国健康保険協会の中でやるよりも効率的な運営ができるのではな いか。今後は保険料の徴収業務というのは別の組織で行われることになるわけでありまして、 専ら保険者としては給付業務が中心ということになりますので、だとすれば、必ずしも地方 支部組織を持つ必然性はないというふうに考えております。船員保険の集団が非常に小さい ということのマイナス面ばかりが強調されてきたわけですが、むしろそういうコンパクトな 保険集団において、簡素で、小回りの利く効率的な保険運営を行えるような仕組みを作る。 今はそういう意味では千載一遇の好機ではないかといったことも申し上げつつ、理解を求め たわけでございます。私の理解しているところでは、それに対して船主さん側からは、やは りそういう目先のことではなくして、長期的に船員の社会保障を安定的に確保していく上で は、やはり変化の激しい時代において将来の不確実性に伴うリスクヘッジからするとやはり 大きな保険者で運営を行うということが合理的ではないかというお話を承りました。という ことで、外形的な問題につきましては、労使間の意見というのは当初一致点を見いだせな かったわけですけれども、こうした論議を深めていく過程で船員保険としての主体性を確保 していく、自主自律の保険運営をやっていくということに関しましては船主側におかれまし ても思いは共通であるというようなことを相互に了解することができたわけでございます。 そうした共通点をできるだけふくらませて、労使が一致できる合意点、これを討議を尽くす 中で求めていった結果が、先ほどご報告させていただいたような内容であるというふうに私 は受け止めているところでございます。福祉施設につきましても検討を続けていこうという ことでございますので、この懇談会の場、まだまだ統合まで続くということでございます。 そういった場で議論を尽くしていこうと考えているところでございます。若干、被保険者側 から見た経過ということで、恐縮ではございますが補足させていただきたいと思います、以 上です。 ○ 岩村座長  どうもありがとうございました。被保険者側さらに何かございますでしょうか、よろしゅ うございましょうか、どうもありがとうございました。それでは、課題となっておりました 運営主体、それから福祉施設につきまして、労使協議を踏まえた結果、報告書案というもの を、先ほど医療保険課長のほうからご説明がありましたように、今日提出されておりますし、 また、さらに報告書案ではこれまでの議論を踏まえたその他の修正案、修正点も付け加えら れているところでございますし、それらの点も含めまして事務局のほうからのご説明をいた だきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○ 医療保険課長  それではご説明させていただきます。先ほどの資料の中で、報告書案というものともう一 つ、参考資料というものがございます。参考資料につきましては、修正点を見え消し等で書 いたものでございまして、報告書案はそれらを反映させた物で、特段、線等を引いていない ものでございます。従って、ちょっと分かりやすさという点から、参考資料の方でご説明さ せていただきたいと思います。恐縮ですが、お開きいただきまして1ページ目からご説明さ せていただきたいと思います。この中で一重線の下線を引いているものは、11月16日の 第四回の懇談会から第五回の懇談会にかけて修正し、第五回の懇談会でご提出させていただ いた修正内容の部分でございます。それから、二重線で引いておりますものは第五回から第 六回にかけて修正したものでして、これは第五回懇談会での意見、それからこの間にいただ いた意見を踏まえて内容の修正、あるいはよりわかりやすくするための字句の修正を加えた ものでございます。それでは中身についてご説明させていただきます。まず船員保険制度改 正の背景でございます。項目としては1ということで、船員保険制度の在り方に関する検討 会における検討ということでございます。ここに二重線ということでございますけれども、 船員保険制度の被保険者数がどのような経緯をたどってきたかということで付け加えさせ ていただきまして、その中で減少の傾向が続いているという状況を書かせていただいており ます。ここの見出し自体についても、検討会における検討ということで、被保険者の減少と いったところはその中に入れ込んだ形にさせていただいております。今回の懇談会の前身と なります検討会での検討の経緯ということで、1ページから2ページの頭にかけて書かせて いただいております。それから、2ページでございますが、背景の2つ目といたしまして、 船員保険特別会計の見直しといったことがございまして、これにつきましては、平成18年 度末までを目途に検討するということでございまして、それで平成22年度末までを目途に 労働保険特別会計に統合すると行革推進法の中で書かれております。3つ目が社会保険庁の 組織改革ということで、社会保険庁について、公的年金制度運営と政府管掌健康保険の運営 を分離するということでございまして、政管健保については全国健康保険協会を平成20年 10月から設立するとしているところでございます。4ページ目でございますが、第2とい うことで、船員保険制度の改正の基本的な方向性ということでございます。1番としまして、 労災保険及び雇用保険への統合ということでございます。ここでの検討の観点ということで ご意見が出まして、財政の長期安定性確保ということだけではなくて、保険運営の長期的安 定性確保といった観点からということで修正させていただいておりますのと、制度が分立し ていることの不都合解消ということは結果として生じることであろうということでござい ましたので、削除させていただいております。2番目が移換金の支払でございます。3番目 が新船員保険の運営主体ということで書いております。4番目が福祉事業の取扱いというこ とで書かせていただいております。おめくりいただきまして6ページでございますが、職務 外疾病部門の取扱いということで、基本的に新船員保険の枠組みの中で給付を行うべきとい うことで書いております。6番目が失業部門の保険料率及び国庫負担の見直しということで、 雇用保険についての制度の在り方について議論されているということで、こうした動きを踏 まえ、対応を検討すると書かせていただいております。第3が、具体的な見直しの方向とい うことで、Tが適用範囲でありまして、そのうちの1が労災保険の適用範囲でございます。 (1)総論にございますように、基本的に船員保険の被保険者はすべて労災保険の適用対象 とするべきと書かれております。(2)各論ではまず、FOC船に乗り組む日本人船員のこと について書かれておりまして、線を引いているところは派遣船員のことについてであります。 8ページはマルシップに乗り組む日本人船員のこと、それから事業主と同居する親族の取扱 いを書いております。9ページが5人未満の船員を雇用する船舶所有者の漁船に乗り組む船 員のことを書いております。上の方は若干字句の修正ということでございます。2番目が雇 用保険の適用範囲ということでございます。(1)で総論でございますが、基本的に雇用保 険の適用対象としていくことを原則としております。それから10ページでございますが、 (2)の各論として、適用除外と現在されているものについて、これを、船員保険での取扱 をどうするかというところを以下に掲げております。ここの段もFOC船のことと、マルシッ プのことを書いております。12ページも同様に事業主と同居する親族、それから5人未満 の船員を雇用する船舶所有者の漁船に乗り組む船員のことを書いてございます。Uとして、 徴収ということでございます。こちらのほうは文言の修正がございまして、労災保険および 雇用保険の徴収方式により近い取扱いになったということ、医療保険制度の改正で等級の上 下限の引き上げがあったりしましたので、それに近い形になったというふうに書いておりま す。そこで修正のところがございまして、「この改正の趣旨を踏まえ、労災保険および雇用 保険の統合後は賃金総額に保険料を賦課している一般労働者との均衡を考慮し、賃金総額を 保険料賦課の基礎とすることが適当である。」と修正させていただいております。Vは、給 付ということで、1が労災保険の給付ということでございます。職務上疾病・年金部門の給 付については、労災保険の給付に相当する部分は統合後の労災保険から給付するとともに、 それ以外の部分は新船員保険から引き続き給付することということで、そういう扱いにして おります。以下具体的に掲げております。(2)の各論のところでございますが、障害認定 のところに、若干修正を加えております。労務不能の認定のところについては、休業補償を 行う際の労務不能の認定については、船員保険の扱いと労災保険の扱いということで書かせ ていただいておりますが、統合すると労災保険での取扱いに合わせることが原則となります が、船員労働の特殊性も考慮し、検討する必要がある、としております。その下が、障害厚 生年金等が支給される場合の支給停止、それから、遺族年金等の受給資格者のことを掲げて おります。16ページは雇用保険の給付ということでございます。雇用保険への統合後は、 船員に対する給付は雇用保険からの給付のみとなり、新船員保険からの給付は行われないこ ととなるということでございます。(2)各論で、高齢である船員に係る給付ということで ございまして、基本的に雇用保険にあわせていくといったことになるということでございま すが、17ページのところですが、修正をさせていただいておりまして、高齢の船員に係る 雇用安定のための施策については、必要に応じ国土交通省が厚生労働省と連携して検討を行 うということで修正をさせていただいております。それから次のところで、短期雇用特例被 保険者等のところでございますが、これについては、雇用保険の適用対象として取扱われる ことを前提にということで、特段の例外措置は設けないこととすることが適当と書かせてい ただいております。次の18ページでございますが、3の新船員保険の職務外疾病部門の給 付でございまして、基本的に現行の給付体系を維持するということでございますが、報酬と の調整といったところの部分が、傷病手当金、出産手当金のところにございますのと、それ から乗船時の給付制限があるということでございます。4として、新船員保険の職務上特別 給付部門の給付でございます。この中では修正箇所といたしまして、19ページの上から4 つ目の○のところですけれども労災保険から給付が行われる場合は、新船員保険の被保険者 資格の確認に基づき、新船員保険からの給付を行うということが適当であるとしております。 下の段は字句の修正でございます。20ページ、労務不能の認定ということでございますが、 先ほど労災の部分のご説明をいたしましたけれども、労災のほうでも検討を行いますが、そ こでの検討をいたしましてもなかなか対応しがたいといった場合もありえますので、その場 合の労務不能を新船員保険制度も視野に入れて検討するということで、こういう形とさせて いただいております。次にWとしまして、福祉事業ということでございます。労働福祉事業 又は雇用安定事業等の枠組みでできるものは、それぞれの事業として実施いたしますが、船 員労働の特殊性を踏まえて維持することが適当なもの、医療保険の保険者として実施すべき ものは、引き続き新船員保険の福祉事業として実施すべきということでございます。1番が 労働福祉事業でございまして、特段ここはございません。22ページでございますが、健康 管理手帳制度のところでございますが、ここは若干字句の修正で、手帳の交付要件等におけ る船員以外の労働者との均衡を考慮しつつ引き続き国土交通省において手帳の交付を行う とさせていただいております。次の船員災害防止対策事業の実施のところは字句の修正でご ざいます。2番として、雇用保険の雇用安定事業ということでございますが、ここは特段変 更はございません。3番として、新船員保険の福祉事業でございます。23ページ、若干字 句の修正がございます。24ページをお開きいただければと思います。福祉施設の在り方と いうことでございますが、これは12月11日の労使協議を踏まえまして、労使の皆様方に 取りまとめ案をお示しいたしまして、その案をもとに書かせていただいておりました。若干 内容をご説明させていただきますと、施設の在り方についてでありますが、まず、検討の背 景といたしましては、宿泊施設に関する閣議決定と、施設をめぐる国会での法案審議等を踏 まえて、国としては保有する施設等を廃止し、病院についても整理合理化を進めていくこと が求められておりまして、船員保険の福祉施設も同様の状況にあるということでございます。 また、こうした国の保有する福祉施設の整理合理化が進められている中では、新船員保険の 運営主体となる公法人においても福祉施設を保有することは困難な状況にあるという状況 にございます。福祉施設に要する経費につきましては、年金や健康保険の福祉施設と異なり まして、保険給付に要する費用とは区分されまして、全額が船舶所有者の負担による保険料 により賄われておりますが、今後、船舶所有者は職務上年金部門の財政方式の変更に伴う積 立金差額の償却に係る費用の負担等を賄わなくてはならない状況にあるということでござ います。対応の方向ということでございますが、福祉施設につきましては、船員の海上勤務 の特殊性等を踏まえて、疲労回復等を目的とし、船員の福利厚生の向上に大きな役割を果た してきたところでございます。このうち保養所等の宿泊施設については、この船舶所有者の 代表者、被保険者の代表者等で構成されます施設懇談会において、これまでも検討しまして、 見直しを行ってきておりまして、整理・合理化を進めてきたところでございます。これは、 上に書いております国の保有する福祉施設の整理合理化の方針にも沿ったものでありまし たが、依然として、施設整備費、経営委託費を受けても赤字経営の施設が見られること、さ らに、公法人において福祉施設を保有することが難しい状況であること等も踏まえ、今後も 引き続き、船員保険福祉施設の整理合理化に取り組む必要があるということでございます。 この場合、保養施設等が、船員の福利厚生にこれまで果たしてきた役割に鑑み、今後も船員 の福利厚生が確保される方策を検討する必要があるということです。また、新船員保険で行 うべき福祉事業のうち、無線医療センターの運営や全国の漁港を巡回して実施いたします生 活習慣病予防健診等については、洋上で負傷した場合等に医療機関にかかることができない という船員労働の特殊性でありますとか、船員の健康管理を行うという保険者としての役割 を担っておりますので、施設の整理合理化が行われる場合であっても、これらの事業が適切 に実施される方策を検討することが必要であろうということでございます。さらに、船員保 険病院については、地域医療に果たす役割等にも留意しつつ検討することが必要であろうと いうことでございます。以上を踏まえまして、整理合理化の具体的な進め方など福祉施設の 取扱いについては、新船員保険制度発足までの間、福祉施設に関する各方面の議論にも留意 しつつ、船員保険被保険者及び船舶所有者の意見を十分配慮して、引き続き検討することが 必要ということで書かせていただいております。続きまして、Xということで、運営主体で ございます。1番として、新船員保険でございまして、(1)保険者でございますが、これ については基本的に、将来的に、安定して提供していくことが求められるということでござ いまして、政管健保の状況が書いてございますのと、この船員保険の運営についても、船舶 所有者及び船員保険被保険者が責任を持って、その任に当たることが求められるということ でございます。26ページになりまして、新船員保険の運営主体でございます。ここも先ほ ども申しましたように、12月11日の労使協議を踏まえまして、案を作成させていただき まして、ここに挙げさせていただいております。新船員保険の運営主体としては、全国健康 保険協会において、保険運営を行う場合と、独自の公法人を設ける場合とが考えられ、運営 コスト、運営方針の決定の観点から検討を行ったところでございます。@として、運営コス トについてでありますが、法人運営のためには一定の事務コストが必要でありまして、可能 な限り法人運営に要する経費を縮減する要請も働いておりますが、この全国健康保険協会が 運営主体となる場合には、独自の公法人を設ける場合に比べ、間接部門を中心として新船員 保険で負担すべき経費の縮減が可能となる。また、この協会は、船員保険の職務外疾病部門 と同様の医療保険業務を全国に支部を設けて行いますので、同協会が新船員保険に係る業務 を実施する場合には、支部における業務も含め、効率的な業務実施とともに、安定した事務 実施体制が期待されるといったところでございます。Aとして、運営方針の決定についてと いうことでございます。独自の公法人を設けた場合には、船員関係者及び学識経験者で構成 される運営委員会において、保険料率を設定して、福祉事業の実施内容を決定することが考 えられますが、この場合でありましても、その決定を実施する実務担当組織をどう構築する かが問題となる。また、新船員保険の保険料率そのものも、被保険者数及び財政規模を勘案 すると全国一律となると考えられるということです。一方、協会において新船員保険を運営 する場合にも、この協会の運営委員会の下に、船員保険の被保険者、船舶所有者及び学識経 験者から成る船員保険協議会を設け、保険料率の設定等船員保険事業の運営上必要な事項を 実質的に決定することが考えられるということでございます。この場合に、保険料率の設定 等を決定するのに際しては、この協議会の意見が尊重されなければならないこととする等を 法令に規定することを含めた措置を講じることによりまして、船員関係者の意見を反映させ ることは十分可能と考えられるところでございます。また、ILO条約や船員法を背景とし た船員労働の特殊性により認められている給付については、基本的に法律で規定されること になりますので、協会の場合でも確保されるものであるということでございます。以上のよ うに運営コストを抑え、効率的、安定的な業務を実施する上では、協会を運営主体とするメ リットが大きいということでございます。運営方針の決定に船員関係者の意思を反映させる 上では、協会においても十分にこれを行うことは可能であるということでございます。これ らの点を総合的に判断いたしますと、全国健康保険協会をこの運営主体とすることが適当と 考えられるということでございます。なお、この協会で新船員保険に関する業務が行われる 場合には、新船員保険に係る会計とその他の会計を明確に区分するとともに、新船員保険側 で運営コストについて自らの運営に必要な負担を行いまして、政管健保を構成する事業主、 被保険者の負担と明確に区分されるようにすることが必要である。また、新船員保険につい ても政管健保と同様、準備金の積立てや、保険料率に関する必要な国の指導監督措置を講ず る必要があるということでございます。28ページでございますが、将来的に新船員保険制 度に係る重要な見直しが行われる場合には、船員保険被保険者及び船舶所有者の意見が反映 できるような検討の場を設けることが必要であるということで書かせていただいておりま す。次に(2)の適用・徴収業務でございますが、年金運営組織において行うことが適当で あるということにしております。(3)が不服審査についてのやり方ということで書いてご ざいます。2番が労災保険及び雇用保険に係る地方運輸局の業務ということでございまして、 これらについては国土交通省と厚生労働省との間に船舶所有者及び船員に対する指導の要 請などの連携規定を設けることとするということで書かせていただいております。続きまし てY、費用負担でございます。1番が労災保険の保険料でございます。この中で償却分の料 率を、積立金の差額分の償却分の料率を上乗せをするということで書いております。30 ページ、メリット制でございますが、労災保険になりますとメリット制ということで、取扱 いが若干変わる形になりますが、この場合について、メリット制を採用すべきということで 書かせていただいております。また、ご意見を踏まえまして、「なお、船舶についてはその 就労場所としての特性に鑑み、労働災害が発生した場合には、関係機関が連携して、確実な 把握及び適正な請求が確保されるよう、措置を講じる必要がある」ということで書かせてい ただいております。2番が雇用保険の保険料及び国庫負担ということでございまして、保険 料でございます。3番が新船員保険の保険料及び国庫負担ということでございます。この中 で職務外疾病部門に係る国庫補助のところですが、当初現状どおりというふうに書いており ましたけれども、法律の上の文言を踏まえまして、引き続き、予算の範囲内において、事業 の執行に要する費用の一部を補助するということで書かせていただいております。32ペー ジでございますけれども、事務費についてでありますが、従来どおり国庫負担により賄うこ とが考えられますが、自主自律の運営を確保するという観点を踏まえ、今後、その在り方を 検討する必要があるということでございます。ここは法律の文言で特段趣旨の文言も書いて ませんので削除させていただいております。それから、適用・徴収業務に係る事務費につい ては、年金運営組織の在り方を今後検討することになりますので、それを踏まえた形で修正 を加えさせていただいております。Zでございますが、施行時期及び経過措置等ということ でございます。1番で、主な改正の施行時期でございますが、平成19年度に施行予定のも のとしては、失業部門に係る保険料率の見直し等を付けております。それから(2)で、平 成22年度までに施行予定のものとして、基本的に新船員保険制度への移行に伴う措置等は、 平成22年度までに施行することとすべきとしております。2番が経過措置でございまして、 (1)が移換金でございます。移換金の所につきましては、前回から特段32ページから3 3ページまで変更はございません。34ページでございますが、償却期間及び償却率の所で ございますけれども、この中で福祉施設の所、また福祉施設ということでございますけれど も、前回の懇談会で清水委員のほうから売却益の取扱いについてご意見ございまして、この 点についてもとの記述内容と違う意見が出ましたところでありましたので、ここの部分は削 除させていただいております。35ページは試算をしたものを入れているところでございま す。(2)が、この支給決定及び支払事務を書かせていただいております。36ページが雇 用保険への統合に伴う被保険者期間の通算のことと、(4)が雇用保険の適用除外とする年 齢の引上げということでございます。(5)が船員保険の運営主体の見直し、(6)が不服審 査でございます。3として、制度見直しに関する周知ということで、今回制度がかなり変わ るので、ということでご意見いただきまして、船員保険の見直しに伴いまして、船員保険の 被保険者及び船舶所有者が、制度の変更に関する情報が不足することにより、給付の申請等 に際して不都合や不利益が生じることがないように、今後、制度の見直し内容について周知 を十分に行うべきである、ということで入れさせていただいております。以上がこの修正を 反映させた内容につきましてご紹介させていただきました。 ○ 岩村座長  どうもありがとうございました。ただいま報告書案の内容、特に修正点を中心にご説明を いただいたところでございます。そこで以下、この報告書案について、ご意見、ご質問等を いただきながら、案の確定に向けての作業をさせていただきたいと思います。内容が多岐に わたり、量も多いということでございますので、私のほうで順次頭から、場所を申し上げさ せていただきながらご意見を伺うという形で議事を整理しつつ進めさせていただきたいと 思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。まず最初に、1ページ第1の、船員保険 制度改正の背景という所でございまして、3ページの所まででございますが、ここにつきま して何かご意見ご質問がございましょうか。 ○ 一同 ございません。 ○ 岩村座長  よろしゅうございましょうか、それでは次に4ページからで、第2、船員保険制度改正の 基本的な方向性というところに進みたいと存じます。具体的には6ページまでということに なりますが、ここの部分につきましてご意見、ご質問ございましょうか。 ○ 一同  ございません。 ○ 岩村座長  特段ないということでよろしゅうございましょうか。はい、ありがとうございます。それ から今度は具体的な内容ということでございまして、7ページから、ここから各部門に分か れた話になりますので、一つひとつということで伺って行きたいと存じます。まず最初が適 用範囲ということで、労災保険の適用範囲が7ページから9ページにかけて見直しについて の記述がございます。ここの部分についてはいかがでございましょうか。 ○ 一同  ございません。 ○ 岩村座長  よろしゅうございましょうか。では次に9ページから、雇用保険の適用範囲ということで 記述がなされておりまして、13ページの徴収の前までということになります。ここはいか がでございましょうか。 ○ 一同  ございません。 ○ 岩村座長  よろしゅうございましょうか。13ページから今度は徴収の問題に移ります。では短うご ざいますが、14ページ、給付の前までという所でございまして、ここでは今回の修正部分 も含んでおりますけれども、いかがでございましょうか。 ○ 一同  ございません。 ○ 岩村座長  よろしゅうございましょうか。では14ページに移りまして、給付にまいります。まず最 初が労災保険の給付ということでございます。14ページから16ページの頭までの部分に なりますが、ご意見ご質問いただきたいと思います。   ○ 一同  ございません。 ○ 岩村座長  よろしゅうございましょうか。16ページ、今度は雇用保険の給付でございます。18ペー ジの頭までというところの部分でございますが、いかがでございましょう。   ○ 一同  ございません。 ○ 岩村座長  では18ページ、新船員保険の職務外疾病部門の給付というところで、同じページ下の部 分の4の前までの部分ですが、いかがでございましょうか。   ○ 一同  ございません。 ○ 岩村座長  よろしいでようか。では次に同じく18ページ、下の4の新船員保険の職務上特別給付部 門の給付部分ということでございまして、総論、各論と参りまして、21ページ、福祉事業 の前の部分まででございます。ここはいかがでございましょうか。木村委員どうぞ。 ○ 木村委員  内容はこれで良いんですが、労災部門、失業部門の一般制度への統合、でございますけれ ども、船員保険独自の制度で一緒にできない部分につきましては、この新船員保険の中で、 現行制度と実質的に同程度の水準になるよう工夫をしていただきたいと思います。特に20 ページの労務不能の認定の所、それから時効の取扱い、こういうものにつきましては一般制 度への対応が困難な場合にはですね、事実上の不利益が生じないように、新船員保険におき まして十分なご検討をお願いしたいという、お願いでございます。 ○ 岩村座長  はい、医療保険課長お願いします。 ○ 医療保険課長  労務不能の認定の所でございますが、20ページにございますように、一般制度のほうで、 15ページにも、一般制度の労災制度のほうでの検討ということでございますが、なかなか それによりがたい場合等は、実体面などもよく調べた上で必要があればこちらのほうも視野 に入れて検討するということで考えております。それから時効の取扱につきましては、基本 的には労災のほうの取扱といったことに合わせられるといったことになっていくものと考 えております。なお、そういうことで、労災のほうも取扱ということでなってまいりますが、 被保険者の方々が不利益を生じたりすることがないように、37ページにございましたけれ ども、制度の見直しの内容など、十分そういったところを周知をするようにと考えておりま す。 ○ 岩村座長  どうぞ、重要な木村委員のご指摘でございますので、どうぞ事務局におかれましても対応 のほうをよろしくお願いしたいと思います。その他、ここの部分についてございますでしょ うか、清水委員どうぞ。   ○ 清水委員  時効の話が出ましたんで、これは37ページのほうで発言すべき事柄かもしれませんけれ ども、若干関連して発言させていただきたいと思います。時効については船保の時効、それ から労災保険の時効、運用面でかなり大きな違いがあるという事実があると思います。それ だけではなくして、公務員の時効の取扱につきましても大きな差があるというふうに私承知 しておりまして、一番時効に対する救済措置が内容的に充実しているのは国家公務員に対す る取扱であり、一番厳しいのが労災保険の取扱であると。船員保険と地方公務員については あえていえばその中間に位置するような取扱になるものと承知しております。このことは時 効救済措置の官民格差ということで広く知られている問題であると承知しております。今回 統合に伴いまして、一番厳しい取扱にですね、労災保険と同じ取扱になるということは、船 保の側から見ると不利益変更であると見ざるを得ないわけでして、この点については不満と 不安を感じているところであります。今後はですね、現実に時効のトラップに引っかかって 権利行使ができなくなるというようなことが起こらないような措置を講じていただくこと が極めて重要であろうと考えております。その点で、保険者の果たすべき役割、責任、これ は極めて大きいと考えております。37ページのほうで制度見直しに関する周知を行うとい う文言が追加されておりますけれども、この点については十分な措置を執っていただきたい と強く要請したいと思います、以上です。 ○ 岩村座長  ありがとうございます。貴重なご意見であると私も思います。その他、先ほどの箇所の部 分で労災保険の給付関係いかがでございましょうか。特段なければ今度は21ページから、 福祉事業の所からでよろしゅうございましょうか。21ページ福祉事業のところで、労災の 福祉事業、それから雇用保険の雇用安定、新船員保険の福祉事業、そういうことで25ペー ジまでということになりますが、ここについていかがでございましょうか。西村さんどうぞ。 ○ 西村委員  22ページになりますけれども、健康管理手帳制度の実施っていうのがここに書かれてお りますけれども、この文書の中でちょっと確認をさせていただきたいのですが、労働安全衛 生法に基づく事業っていうやつの中で、陸上のほうの健康管理手帳の対象疾病っていうんで すか、かなり広いんですが、それについては今度統合する場合に、現行の船員の健康管理手 帳っていうのはご承知のように塵肺とアスベストだけですということになっているんです が、ここらへんの兼ね合いっていうのはどうなりますか。要するに、労働安全衛生法の適用、 あるいは規則の適用っていうのは今度の場合の、船員の場合の扱いっていうのはどうなりま すか。 ○ 岩村座長  これは多分担当は国土交通省さんだと思うんですが、お願いできますでしょうか。 ○ 国土交通省  船員保険が新制度に移行した後におきまして、労働安全衛生関係の適用の規定におきまし ては、これまでどおり船員法、それから船員法に基づく規則の中で整理をしていくことに なっておりますので、そういう意味では法律の適用関係については今の形のままになると 思っております。もちろん、健康管理手帳の対象について今後色んな状況が変わっていけば また変わっていく要素があるのかもしれませんが、現時点では特に変える要素は見あたらな いと思っております。 ○ 岩村座長  西村さんよろしゅうございましょうか。 ○ 西村委員  22ページのこの書きぶりっていうのは、現時点の延長線上の書きぶりになっていると、 それは理解できるんですけれども、ただ労災のほう、陸上のほうに行きますと、いわゆる船 員については労働安全衛生法は適用除外ですよというのがちょっとありますけれども、現在 船員健康管理手帳は規則によって、あるいは通達でもってやっているということ、当然そう したらこれ疾病の話ですから、船員に対してもアスベストや塵肺以外にですね、これ健康の 話ですから、対象となるような場合、これ是非現行の陸上のほうはかなり詳しい規則なんか でやってますので、是非努めていっていただきたいと。それは厚生労働省もそうですけれど も、国土交通省においてもそういうような方向性をもってやっていくよということでお願い したいと思います。 ○ 岩村座長  ではご意見があったということで留めておきたいと思います。他にこの箇所につきまして いかがでしょうか。はい、大内委員どうぞ。 ○ 大内委員  25ページのですね、運営主体の所の一つ上の○印の所で、福祉施設の問題について記述 しております。これは前段で報告のありました労使協議の結果に基づいた記述だということ で理解をしております。その中でちょっと申し上げておきたいのはですね、これは新船員保 険制度発足までの間ということで記述してございます。それまでの間に議論をして、問題を 出してですね、十分意見を反映していくという、そういう言い方になっておりますけれども、 要は船員保険福祉施設は合理的でないものは一個一個精査していきましょうよと。それはま あいいということでございまして、ただその、社会保険庁から公法人に変わる段階でですね、 この福祉施設がまだ残っていると、まだ必要だということで残ってきた施設があるとするな らば、新しい公法人に切り替わる段階で、問答無用で整理機構へというようなことでは困る と。そういうことではなくて、それまでの間に保養所なり、あるいは福祉施設の受け皿をで すね、どうやって作るのかということをここまでの間に検討していくべきだと、検討してそ ういう受け皿を作るべきだとこういう部分がこの記述の中に、この論議をしたときにそうい う部分が入っているということでですね、このへんについてはそういうご理解をいただいて おきたいと思っております。 ○ 岩村座長  はい、医療保険課長何かございますか。 ○ 医療保険課長  保養所等の役割について、上の所にもございますように、船員に果たしてきた役割に鑑み、 今後も船員の福利厚生が確保されることを検討する必要があるというふうに、ここに書かせ ていただいているところでありまして、また、この労使協議のほうで、いただいたまとめで、 福祉施設について、福祉施設の整理合理化代替措置及び受け皿に関連する問題等ということ で挙げておられますので、そういったことも念頭に置きながら検討を進めていく必要がある というふうに考えております。 ○ 岩村座長  よろしゅうございましょうか。ありがとうございました。木村委員。 ○ 木村委員  今のにあわせまして、この船員保険特会の見直しが行われる平成22年までに、引き続き この労使の共同の作業の場をですね、是非とも確保していただきたいということもお願いし ておきたいと思います。 ○ 岩村座長  はい、その点については25ページの記述に反映されているものというふうに理解して、 事務局のほうでもそういう場を設定されるものと考えております。他はいかがでございま しょうか、よろしいでしょうか。それでは同じく25ページからで、運営主体の所でござい ます。ご覧いただいておわかりのように、かなり二重線での修正が入っている箇所でござい ますけれども、29ページの費用負担の前までの所ということになりますが、一番最初、ま ず1の新船員保険のところにつきまして、つまり28ページの一番上の所まで、労災保険の 前まで、そこの部分につきましてお伺いしたいと思います。遠藤委員どうぞ。 ○ 遠藤委員  27ページの下のほうに区分経理を行うという趣旨の記述がありますが、これは政管健保 と新船員保険との間で、財政調整を行わないという趣旨であるということを確認をさせてい ただきたい。船舶の労使の方々もそういうご理解をされているということでよろしいでしょ うか。 ○ 岩村座長  すみません、事務局のほうで何か。 ○ 事務局  私共としてもそういう趣旨として理解しております。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。それでは、29ページの費用負担のところでありまして、32 ページまで労災保険、雇用保険、それから新船員保険という3つの項目についての記述でご ざいます。ここはご意見、ご質問がございますでしょうか。 ○ 一同  ございません。 ○ 岩村座長  それでは32ページ、施行時期及び経過措置等ということで、ちょっと長い部分ですけれ ども、一番最後37ページまでという所まででございます。ここの部分につきましてご意見 ございましょうか。西村さんどうぞ。 ○ 西村委員  確認しておきたいんですけれども、32ページ、改正の施行時期っていうのがありますけ れども、平成19年度に施行予定のものということで、失業部門に係る保険料率の見直し、 あるいは国庫負担の見直しということで、これどれくらいの数字っていうのを予定されてい るでしょうか。 ○ 岩村座長  これについては、お答えいただけますでしょうか。 ○ 医療保険課長  これにつきましては、今、雇用保険のほうでご議論いただいていただいているところでご ざいますので、それがはっきりした段階でこちらも決まってくるということで考えておりま す。 ○ 岩村座長  ということで、ちょっと申し訳ないんですが、現時点ではまだ雇用保険のほうがはっきり した形で決まっていないということでございますので、西村さんそれでご了解いただけます でしょうか。どうぞ西村さん。 ○ 西村委員  懇談会、それから事務的打合せの中でもここの所は議論て言うかテーマの中にも出てきた 話なんですよ。要するに、他の所もありますけれども、現行の船員保険の積立金については かなり異常な積立金を持ってますと。それから、この中で、つまりこの、雇用保険に移行す る前に料率を下げたいと、それを料率を下げなさいよという意見を僕もかなり言ったんです が、その中の具体的に19年のと言ったらあと半年もありませんよね。そうしたら、雇用保 険の料率がどうあれ、今の積立金、要するにもうちょっと簡単に言ったら、たくさん取りす ぎているって話ですから、これ大体どれくらいの数字でもってやって行くのかっていうのは 出てるはずなんですよ。   ○ 岩村座長  医療保険課長どうぞ。 ○ 医療保険課長  今ご指摘の点につきましては、34ページの上の方に、積立金の扱いについてございまし て、統合前は被保険者の拠出に対応する部分については、被保険者への還元を行う必要があ ることかから、統合前は失業部門に係る被保険者の保険料率の引下げに充てるということで 書いてございますので、これを踏まえて我々もこの被保険者部分について19年度から若干 引き下げを行うということで考えております。具体的な率につきましては全体の雇用保険の 取扱等ございますので、ご容赦いただければと思います。 ○ 岩村座長  西村委員どうぞ。 ○ 西村委員  35ページに飛びますけれども、今の船保から雇用保険のほうへ移換金を持っていくと、 その額っていうのは1年分程度でいいんじゃないかっていうのが35ページに書かれてい ますけれども、雇用保険課、厚生労働省のほうにちょっとお聞きしますけれども、簡単に1 年分だとか2年分っていう話になりますが、その前のですね、じゃあなぜ1年分必要なの かっていう話になりますと、その上に記述されてますけど、統合前に受給資格決定者に対す る給付を引き継ぐ、それから過去の期間を通算した形、ここの数字の試算はできてますか。 どれくらいのものか。 ○ 岩村座長  雇用保険課お願いします。 ○ 雇用保険課長  前回の懇談会で非常に簡単な資料を出させていただいておると思いますけれども、まず統 合する年度に係る船員に対する給付の部分でですね、仮に被保険者期間を通算しなかった場 合に、少なくとも最初の6月については給付が出ない仕組みになっております。そう考えま すと、まず単年度の給付費のうちの半分については、少なくとも雇用保険が責任を負うべき 部分ではないだろうということになろうと思っております。それから、過去の被保険者期間 を通算した形で給付を行いますと、当然雇用保険の所定給付日数は被保険者期間に応じて給 付日数が決まっていく仕組みになりますので、そういったことを諸々勘案すると、1年分程 度と書かせていただいておりますが、間違いなく1年分は超える水準になると思います。細 かい試算についてはですね、ちょっと今の段階でお示しするものはございませんが、そうい う意味でこの報告書には例えばという形で書かせていただいた上で、移換の額については傍 線を引いておりますが、施行に向けた準備を行う時点で確定するというような、そういう記 述にさせていただいております。 ○ 岩村座長  はい、西村委員。 ○ 西村委員  参考までにお聞きしますけれども、現在の雇用保険の積立金、いわゆる船保じゃなくて陸 上のほう、これ今の雇用保険の加入者人数からいけば積立金の残額、残高、どれくらい持っ ていますか。 ○ 岩村座長  どうぞ、雇用保険課。 ○ 雇用保険課長  17年度決算で2兆8000億ございます。加入者一人頭で言いますと、ちょっとすいま せん、すぐ出てこないんですが、2〜3千万の雇用保険被保険者がいることを考えると、単 純に言えばそれを割った数字になろうと思います。 ○ 岩村座長  はい、西村委員。 ○ 西村委員  ですから、1年分持ってましょうか、それとも半年分でしょうか。 ○ 岩村座長  雇用保険課お願いします。 ○ 雇用保険課長  すぐに計算出てこないので、ちょっとまた後ほど回答させていただければと思いますけれ ども、実際雇用保険の積立金はですね、この2年程度で相当積み上がっている状況でござい まして、それは雇用情勢の回復等によりまして、単年度で相当積み上がっております。そう いう意味で、平均してあまり数値を取るということは正直できない性質のものであることを ちょっとご了解いただければと思います。 ○ 岩村座長  はい、西村委員どうぞ。 ○ 西村委員  もう一度聞きますけれども、陸上の加入者人数から、今2兆8000、17年度、で割り ますといくらになります、一人頭、持ってる積立金。 ○ 雇用保険課長  ちょっと後ほど、すみません、示させていただければと思います。 ○ 岩村座長  少々お時間をいただくということで、お願いいたします。その他の点いかがでしょうか。 大内委員どうぞ。 ○ 大内委員  33ページから34ページにかけてですが、33ページは上の方で、職務上年金部門の移 換金で差額が約1400億円が残っていると、こういう記述になっておりまして、その下3 3ページの下段から34ページにかけて、それから35ページの上の方の表が1300億と 数字が出てます。ここのところは1400億と1300億、この差の100億っていうのは 財源はどこを考えてこういった記述になっているのか、ちょっとそのへんだけ教えていただ ければと思います。 ○ 岩村座長  医療保険課長お願いします。 ○ 医療保険課長  一つは失業保険部門の積立金として、33ページ、230億円とございますが、このうち 失業部門への移換金を除きまして、被用者、船舶所有者の拠出分と被保険者拠出分とに分か れますが、そのうちの船舶所有者の拠出分に相当するものを移換するというのが一つであり ます。それからまた、職務上疾病、あるいは職務外疾病の部分でもですね、170億ほど積 立金が残るだろうということでありますので、それのうち船舶所有者の拠出のものを移すと、 そちらを償却に充てるということで、100億程度は出てくるだろうということで、計算を させていただいております。具体的ということで、一応この段階では計算させていただいて いるところでございます。 ○ 岩村座長  よろしゅうございましょうか、どうぞ。 ○ 大内委員  前にこの問題について論議をしてきたときのことで、ちょっと思い起こしますと、保養施 設を売却した売却益をここの部分に充てて、圧縮を図るんだと、こういうようなこともあっ たようですけど、そういうことはないという理解をしてよろしいですね。 ○ 岩村座長  はい、医療保険課長。   ○ 医療保険課長  この1300億に縮減ということでこの積立金の所を償却に充てるということで、想定さ せていただいておりますけれども、福祉施設で売却益が生じた場合の取扱につきましては、 また今後検討する場がございますので、そこで色々労使双方お考えがあると思いますので、 その中でまたご議論いただければと思います。 ○ 岩村座長  大内委員どうぞ。 ○ 大内委員  お答えは簡単で結構ですよ。そんなややこしい説明はいらないんです。福祉施設の売却益 を当て込んで1400億だとか1300億にしたということじゃないということだけ言っ ていただけたらいいんです。 ○ 医療保険課長  売却益を当て込んでこの1300億という形にしたわけではございません。 ○ 岩村座長  その他いかがでございましょう、西村委員。 ○ 西村委員  なかなか数字が出ないようなんで、もういちど32ページに戻りますけれども、平成19 年度から船保の失業保険料率を見直すと、見直すってことは引き下げるっていうことでしょ うけれども、今話の中に出てきました33ページには失業部門っていうのは、22年の話で すけれども、見込額として230億円貯まりますよと。この数字からいきますとね、19年 度に見直すっていうやつについてはかなり大胆な保険料率の引き下げ、これを強く求めてお きたいと思います。 ○ 岩村座長  ではご意見として承るということにしたいと思います。その他いかがでございましょうか。 よろしいでしょうか。それでは、最初から最後までご質問等承ったところでございます。今 までの所、特段修文を必要とするところはなかったというふうに存じますので、皆様方のご 異存がなければ今日ご提出いただいたこの報告書案をもちまして、この懇談会の報告書とい うことにさせていただきたいと思いますけれどもよろしゅうございましょうか。 ○ 一同  異議なし。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。長きにわたりましてご議論いただきまして、特に座長の議事進 行上の不手際とか、私自身の全国健康保険協会の設立委員の問題であるとか、色々ご迷惑を おかけしましたけれども、船舶所有者の方々、また組合の皆様方のご協力、さらには公益委 員のご協力を得ましてなんとかこの報告書案をご了承いただいたということで厚く御礼を 申し上げたいと思います。最後に運営部長のほうから一言・・・清水委員どうぞ。 ○ 清水委員  申し訳ございません。報告書はまとまったということで、それを前提に一言発言したいと 思います。実はこの報告書には、私がかなり論点として重要だなと思っていた問題で実は書 きこまれていないものがございます。具体的に申し上げますと、労災保険に統合した場合の 事業、保険関係の基本的な適用単位になる事業ですね、これが一体どういう具合に設定され るのか、この報告書のメリット制のところでは、事業という言葉が出てくるわけですけど、 その事業内容の定義、船保が労災に移行した場合の事業というものがどういう具合に設定さ れるのかといった問題が1つございます。これは私は厚生年金に統合したときの定義、それ から現に労災保険の中で適用になっている漁船については現在も船舶ということで事業が 定められているといったようなことから、当然船員保険が統合された後もですね、労災保険 でいう事業というものは船舶のことをいうのかなと思っていたところ、必ずしもそうではな いというお話もございまして、ではどういう具合に設定されるのかといったことについては、 まだ明快なお答えをいただいていないという状況でございます。それから、マルシップに乗 り組む外国人船員に対する適用問題、これについても法律的にですね、これが適用にならな いという論理的な整理を是非お願いしたいということを申し上げてきておりましたが、これ につきましても今回の報告書には間に合わなかったということでございます。私はこの2つ の問題は、事務局から言わせるとテクニカルな問題であるということかもしれませんが、私 はですね、むしろこれは本質的な問題なんじゃないかなとかねがね思ってきました。これは 労災保険と船員保険の保険関係に関わる構造上の基本設計の違いの問題だと私はかねてか ら考えておりました。実はそういう基本的な問題を解明していきながらこの統合問題が結論 づけられるべきだというふうに思っているんですが、最初にですね、やはり答えがあって、 結論があってですね、後から木に竹を接ぐような中から生じてくる様々な問題をですね、辻 褄合わせをこの懇談会の中で、議論を通じてやって行かざるを得なかったと、そういう背景 があったんだろうと、私は自分なりに思っております。是非この2つの残された問題につい てはですね、まだ多少時間がかかるかもしれませんが、新船員保険が発足する、それから労 災保険、雇用保険に統合されるまでに、是非明快な整理をお願いしたいと思います。以上で す。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。木村委員どうぞ。 ○ 木村委員  最後に少し申し上げたいことがございますので。前回業務の都合上欠席させていただきま して、代理出席になってしまったんですけれども、大変激しい議論があったということを聞 きまして、大変心配しておりましたけれども、当事者の労使のご努力によりまして一定の方 向が出たということは大変歓迎すべきことだと思います。連合としましても、この特に運営 主体の問題、福祉施設の問題も含めて、当事者の、この労使の協議を早急に進めていただく ようお願いをしてまいりましたけれども、海員組合も、経営側もですね、それぞれの代表の ご努力が相当にあったということで、それに対しては敬意を表したいと思います。それで、 最後取りまとめを、この報告書を確認されたわけですけれども、社会保険庁それから厚生労 働省にはですね、是非ともこの報告書の内容について、特に具体的な法律の改正なり、制度 の見直しの具体的な作業にあたりましては、この報告書の趣旨を逸脱しないようにですね、 是非とも最大限の配意とご努力をいただきますことを最後に強く要請させていただきたい と思います。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。今、清水委員それから木村委員のほうから、当局に対するご要 望がございましたので、私のほうからも是非取り組んでいただくようにお願いをしておきた いというふうに存じます。その他いかがでしょうか、この際ご発言ございましょうか。では 大内委員どうぞ。 ○ 大内委員  今回の船員保険の統合問題についてですね、これまで皆さんとの間で考え方の違い、主張 の違いということで、厳しい論議をさせていただきました。我々被保険者という立場でです ね、何とか新しい統合される船員保険ということの中でですね、やはり船員労働の特殊性と いうのは決して取っ払っちゃだめだと、やっぱり残すべきだと、こういう強い考え方の中で 臨ませていただきました。幸いにして使用者側の皆さんのご理解もいただきながらですね、 今回このようにまとめられたということについて、座長をはじめ、公益委員の皆さんを含め てですね、感謝を申し上げたいと、最後に一言だけ申し上げておきたいと思います。どうも ありがとうございました。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。それでは運営部長、一言お願いをしたいと思います。失礼しま した、数字の件、雇用保険課のほうからお願いします。   ○ 雇用保険課長  先ほどは失礼しました。参考までに、17年度の一般被保険者数と、17年度決算の積立 金を比較して単純に割りますと、一人頭81,336.5円と。参考までに16年度の被保 険者数と16年度の積立金残高を比較して単純に割りますと、一人頭47,286.7円と いう状況でございます。もし後ほど資料等ございましたらまた送らせていただきたいと思い ます。 ○ 岩村座長  それでは運営部長お願いいたします。 ○ 運営部長  本日、この様に本懇談会の報告書をおまとめいただきましたことにつきましては、この会 を主催させていただきました運営部長といたしまして深く感謝申し上げる次第であります、 本当にありがとうございました。船員保険制度につきましては、先ほどの報告書にもござい ましたように、昭和十五年に施行されて以来、船員に対する総合保険であるということで、 船員労働の特殊性を踏まえた給付を行い、船員及びその船員の家族の方々の生活の安定と福 祉の向上に大きく寄与してきた制度であるというふうに認識をしております。しかしながら、 この報告書の中にも記述が若干ございましたように、船員保険制度を取り巻く環境が大きく 変化しているということで、関係者の皆様によりまして、船員保険制度の見直しの議論をし ていただき、昨年十二月には、こちらは保険局長の主催でございましたけれども、「船員保 険制度の在り方に関する検討会」におきまして、船員保険事業のうちの、労災保険及び雇用 保険に相当する部分を一般制度に統合すると、そしてそれ以外の部分については、公法人に 移管するという見直しの基本的な方向性が示されたということでありまして、昨年成立しま した「行政改革推進法」におきましてもこれがその中で明確に規定されたということでござ いました。本懇談会は、この検討会の報告書を踏まえた具体的な制度の在り方についてご議 論いただくということで始めさせていただいたわけですが、懇談会が本日を含めまして6回、 関係者による事務的打合せが7回ということで、全部合わせますと13回にものぼる、長期 にわたる、かつ内容の濃いご議論をいただいたものであると承知をしております。その結果 として、この報告書が取りまとめられたということにつきまして、先程来ご意見の中にもご ざいましたが、私共これから具体的な作業になります船員保険制度の見直し案に、この報告 書の内容をきちんと反映させるよう努力してまいりたいと思います。途中この懇談会の中に おきまして進行、あるいは会の進め方について、事務方としての不手際がございまして、座 長をはじめ、各委員に大変ご迷惑をおかけしましたことを、この場を借りて改めてお詫びを 申し上げる次第でございます。いずれにいたしましても引き続き関係者の皆様には、船員保 険の事業運営につきましてご協力をお願いして参らなければなりませんので、よろしくお願 いしたいと存じます。本日は、本当にありがとうございました。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。それでは本日の懇談会はこれで閉会とさせていただきます。委 員の皆様方には、報告書の取りまとめにあたりまして多大なご協力をいただきまして、まこ とにありがとうございました。