第4回船員保険事業運営懇談会議事録 1 日時 平成18年11月16日(木)      10:00〜12:15 2 場所 厚生労働省共用第8会議室 3 出席者(敬称略)   岩村、山脇、小坂、中村、三木、遠藤、大内、三尾、三宅、清水、木村 4 議題 (1)船員保険制度の見直しについて (2)その他 5 議事内容 ○ 岩村座長  それでは定刻でございますので、第4回船員保険事業運営懇談会を開催することにいた します。議事に入ります前に、委員の出席状況につきましてご報告をいたします。今日は 野川委員、それから西村委員がご欠席でございます。また、藤澤委員の代理で三宅さんが、 それから江口委員の代理で山脇さんがお見えでございます。どうぞよろしくお願いをいた します。それでは早速議事に入りたいと存じます。前回の運営懇談会におきまして、私の 方から事務局にお願いをしておりました見直しの全体像につきまして、資料が提出されて おります。そこでまずこの資料につきまして、事務局の方からご説明を頂きたいと存じま す。どうぞよろしくお願いいたします。 ○ 事務局  それでは資料の説明に移らせていただきたいと思います。まず、お手元の資料を確認さ せていただきたいと存じます。議事次第の他、資料が三点ございます。一つが縦長の資料 でございますが検討資料、こちらが前回のご指摘ございまして、見直しの全体像をまとめ たものでございます。それから一枚紙でございますが、職務上年金部門の移換金について 一枚紙で償却期間、被保険者数の見込みをある程度絞った形でお示ししているもの。それ から、最後三点目でございますが、参考資料といたしまして、関係の資料をまとめさせて いただいたもの、この三点でございます。それでは順にご説明をさせていただきたいと存 じます。検討資料につきましては、これまで個別にご説明にあがる機会、それからこの懇 談会に先立ちまして事務的打合せを開催させていただき、その中で各委員にご説明させて いただいているところでございますので、概要を簡単にご説明させていただきたいと思い ます。まず1ページでございますが、今回の改正の背景についてまとめております。一つ は被保険者数の減少など、船員保険制度そのものの大きな変化、それから近年の特別会計 改革、社会保険庁改革などの行政改革、これが大きな加速要因となっているということの 確認でございます。続きまして。3ページまでが、背景の確認となっております。4ペー ジから6ページにかけまして、見直しの全体像の総論的な部分を記載させていただいてお りますが、7ページ以降の具体的な内容で説明させていただきたいと思います。7ページ 以降、具体的な見直しの方向につきましてまとめております。まず、適用範囲についてま とめております。見直し後の労災保険の適用の考え方の整理でございます。基本的に見直 し後も、従来船員保険の適用となっていた皆様はすべて労災保険の適用対象とすべきであ るという考え方です。続いて9ページで雇用保険の適用の範囲について記載させていただ いておりますが、こちらも原則は、従来の船員保険の失業部門の適用対象とされていらっ しゃる方、こちらの皆さんについては、全て雇用保険の適用対象とするという原則ですが、 船員労働の特殊性もございますので、それによって特例を設けるといった考え方でござい ます。11ページの上の部分の丸のところで、今回、雇用保険への統合にあたりまして、高 齢化が進む船員の現状というところに鑑みまして、船保の失業部門につきましては60歳以 上が適用除外とされておりますが、雇用保険では65歳と、5歳の年齢差がございます。今 回の改正にあたりまして、雇用の65歳の方にあわせてはどうかといった考え方を示させて いただいております。これは後ほどまた詳しくご説明させていただければと思います。続 いて13ページをお願いいたします。徴収につきましては、現行の船員保険制度が標準報酬 方式を採用しているのに対しまして、労災保険、それから雇用保険は賃金総額を保険料賦 課の基礎としております。今回の改正にあたりましては、雇用保険、労災保険の一般制度 へ統合される部分につきましては、賃金総額方式を採用いたしまして、船員保険に引き続 き残る部分につきましては、標準報酬方式をとるといった方向で整理させていただきたい と考えております。続きまして、給付についての考え方でございます。13ページの下の部 分からでございますが、こちらにつきましては、やはり労災、それから雇用の一般制度に 相当する部分、こちらにつきましては雇用労災の方に引き継ぎまして、それ以外の部分を 船員保険の方で支給するという方向でございます。15ページの雇用の給付の部分について も基本的な考え方は同様でございます。留意点といたしましては、標準報酬方式から賃金 総額方式に移行するにあたりまして、支給水準の平準化を図るといったところでございま す。17ページの職務外疾病部門につきましては、引き続き標準報酬月額を採用しまして、 現行通りの体系を原則としつつ、必要な見直しを行うといった方向でございます。この他、 船員独自の特別の給付がございますが、職務外疾病の給付と合わせまして、引き続き船員 保険の枠組で支給を行うということを考えております。20ページの福祉事業をお願いいた します。福祉事業につきましても、労災保険、それから雇用保険それぞれ労働福祉事業、 雇用安定事業等ございますので、それぞれの枠組みの中で、実施することができる事業に つきましては、それぞれの事業として実施、その枠の中に入らないもの、船員保険独自の ものにつきましては、新船員保険の福祉事業として実施という方向でございます。続いて 23ページお願いいたします。これまでの議論を踏まえまして、まだなかなか関係者の皆様 の意見の集約を図れていない部分としまして、福祉施設の問題がございますが。こちらに つきましては報告書の素案という形よりもむしろ論点として、ポイントを示させていただ いております。福祉施設の論点といたしましては、宿泊施設等に関する閣議決定、審議会 等の意見が多々出されておりまして、国としては整理合理化が強く求められていると。船 員保険の福祉施設についても同様の状況ではないかといったところが一点目、それから二 点目といたしましては、船員保険の福祉事業に要する経費、これが現在、船舶所有者の皆 様のご負担により全額賄われているという状況にある中で、職務上年金部門の財政方式の 変更に伴いまして、積立金の差額の償却を今後も進めていく必要があるといった状況の中 で、負担全体の在り方をどのように考えていくべきかといったところが今後、ポイントに なってこようかと考えます。続きまして25ページをお願いいたします。福祉施設と共に、 関係者の皆様から様々なご意見を頂いている部分といたしまして、運営主体の論点がござ います。こちらにつきましては、事務局のほうで考え方を整理させていただきまして、全 国健康保険協会での実施でご検討いただいてはいかがかといった提示をさせていただいて おります。その内容といたしましては、一つは運営コストの面、二点目としては運営方針 の決定でございます。これまでのご議論の中でもございましたが、一つ目のポイントは、 全国健康保険協会で実施することにより、独自の公法人を設ける場合に比べ、間接部門を 中心とした経費の節減、これが図れるのではないか、と。また、全国健康保険協会では、 医療保険業務を行っておりますので、船員保険の見直し後の中心業務となります、職務外 疾病部門と共通するところがございますので、業務の効率化、これが期待できるのではな いかと。また、コストとの関係でございますが、従来、ご提案といたしまして、本部は独 自の公法人を設け、支部の個別の給付業務等については、全国健康保険協会に委託すると いう方式もあるのではといったご意見を賜っているところでございますが、こちらは保険 者としての業務、これを完全に外部に委託してしまうことになりますので、保険者として の実態を有しない法人となってしまうのではないかということで、なかなか適当とは言い 難いのではないのではないかということで考え方を整理させていただいております。また、 運営方針の決定につきましては、独自の公法人、これを設けた場合には、船員関係者の皆 様でご議論いただき、保険料率の設定、保健事業の実施内容の決定等を行っていただくこ ととなりますが、その場合、現行の政管健保を引き継ぎます全国健康保険協会の場合であ れば、いわゆる地域的な取り組み、保険者努力で、地域ごと、支部ごとの都道府県単位の 保険料率の設定などの保険者努力、これを発揮させる場面が非常に多いのですが、船員保 険の場合ですとなかなか都道府県単位等の料率設定などの考え方が馴染みにくく、保険者 努力を反映する余地が少ないのではないかと、という観点が一つ。一方で、全国健康保険 協会の中で新船員保険を運営する場合では、運営委員会の下に関係者の皆様と学識経験者 の皆様で、いわゆる船員評議会を設けまして、保険料率の設定等を実質的に決めていただ くと。運営委員会は船員評議会の意見を聞かなければならないというような措置を講じる ことによりまして、実質上、船員保険の関係者皆様の議論が、保険運営に反映されること を担保できるのではないかと考えられます。以上の二点、運営コスト、運営方針のそれぞ れの考え方を踏まえまして全国健康保険協会での実施についてご検討いただいてはいかが かということでございます。続きまして26ページ以降は運営主体に伴います実施の体制等 の部分でございます。こちらは基本的に冒頭の整理でもございます一般制度に相当する部 分は、雇用、労災の枠組みで、それ以外のものについては船保の枠組みということに基づ いておりまして、更に地方運輸局の業務につきましては、今後、この改正を契機に連携の 関係の強化等を図るというところがございますが、基本的には、現行の仕組みを引き継ぐ といったところを基本的な考え方としております。27ページ以降の保険料率、それから費 用負担等の考え方につきましても、基本的には一般制度に引き継がれる部分につきまして は一般制度のルールで、船保の部分につきましては船保の現行を引き継ぐ形を基本として おります。続きまして、30ページの方をお願いいたします。移換金と積立金差額の整理で ございますが、説明資料の一枚目の部分でございますが、これまで事務的打合せ等でご議 論いただきましたが、基本的に積立金のうち一般制度等に移換することが必要な額、これ を除いたものにつきまして、労使の保険料率に応じた積立金の割合というのを仮定いたし まして、船舶所有者の皆様の拠出に対応する部分につきましては、職務上年金部門の積立 金に充てまして、被保険者の皆様の保険料率に対応する部分、こちらにつきましては、保 険料率の暫定的な引き下げに充てていくことを基本的な考え方としております。実際にこ のような考え方で積立金を充てた場合、償却率をどのような範囲で考えていくかといった 部分につきまして、一枚紙の方でまとめさせていただいております。被保険者数につきま してはこれまでの昨年の検討会でも、議論の前提として3万人、3.5万人の試算を前提とし ておりましたので、こちらを中心に。あと船舶所有者からのご要望を踏まえまして、4万 人のケースを追加させていただいております。また、償却期間につきましては、一般制度 の中で、30年、35年というところがございますが、これに加えまして、一般事業主側から、 もう少し短期のところも検討が必要だというご指摘をいただきまして、25年を追加させて いただいております。この25年から35年、それから被保険者数につきましては、3万人 から4万人、この三つのケースを基本に今後の検討を進めていただければと思います。事 務局からの資料の説明につきましては以上でございます。あと参考資料でございますが、 今回、特にご議論いただきます福祉施設等の資料、これまでの宿泊施設等の施設の累計、 それから閣議決定や各種審議会等の報告書、これまでの整理合理化の状況、また現在の経 営状況、国からの委託費等について一連の資料を添付させていただいております。また、 法人の運営主体の部分との関連で、健康保険協会で行った場合と新たな公法人を設立した 場合のそれぞれの特徴の比較表と、検討にあたってどの程度コストが必要かといったご指 摘がございましたので、大まかな試算を添付させていただいております。また、それらの コストを踏まえまして、見直しの前後で保険料率がどのような形で変化があるかを最後に まとめさせていただいておりますので、ご議論の際に活用いただければと存じます。以上 でございます。   ○ 岩村座長  ありがとうございました。それではただ今、資料につきまして、事務局の方からご説明 を頂戴したわけでございますので、この後、委員の皆様からのご質問、あるいは、ご意見 というものをお伺いしていきたいというふうに存じます。どうぞ、ご質問、ご意見があり ましたら。はい、清水委員どうぞ。 ○ 清水委員  前回事務的打合せをやってから先週まで組合の方は年間で最も忙しい時期に重なりまし て、この資料の事前説明を受けることができたのは、実は昨日でございます。このような スケジュールであるということについては、予め分かっておったことなので、その点は事 務局にもご了解いただいているというふうに私は思っておりますが、結果的に昨日の事前 説明になったということでございまして、その中で忌憚のないディベートをやらせていた だいたと。ほぼ4時間近くやったわけですが、それを踏まえて、本日提出された資料をざっ と見させていただきますと、若干、修正されている部分もあるし、全く手直しのされてい ない部分もございます。そこで、昨日の今日のことですから、すぐには結論を出せないと いう部分も多分あるのではないかなということで、これは第一次回答であるというのであ れば、私はそれなりに了解しますけれども、いやそうではなくて、昨日のやりとりを踏ま えて、これが事務局としてのですね、最終のものであるということであるのならば、とて もこの内容では受け入れるわけには参らないということをまず申し上げてですね、そこら 辺の取り扱いについてはこれはどちらなのかということを質問させていただきたいと思い ます。 ○ 岩村座長  はい、ではただ今のご質問につきまして、医療保険課長の方からお答えしたいと思いま す。 ○ 事務局  昨日、全日海の皆様方からご意見をいただきまして、それで私共も直せるものについて はここに反映させることとさせていただきました。ただ、いろいろと調整を要する部分な どもございますので、そこは反映できていないところはございます。それから、ここは個 別に申し上げていかないといけないところもあるかと思いますが、おっしゃられた意見の 中でちょっと対応がなかなか難しいのではないか、といったような部分もございます。そ れで、今日のご議論も踏まえましてまた考えたいといったところもございますので、ある 意味で、そういう意味で全体的に申しますと、別にこれで最終のものということではござ いません。 ○ 岩村座長  はい、ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。はい、清水委員どうぞ。 ○ 清水委員  それでは個別に問題をやっていくとそれこそ4時間かかってしまいますので、まず当方 として特に強調しておきたいところをまず最初にざっくり申し上げたいと思います。まず 最初に改正の背景という部分であります。これはどうもこの部分とそれから4ページの第 2の頭の部分を読み合わせてみますとですね、今回の改正の主たる理由は、船員保険の被 保険者数がどんどん減少していると。その中で昭和61年には厚生年金保険との統合もやっ たと。それ以降も減り続けていて、長期給付を抱える職務上年金部門は、もう立ち行かな い状況だと。したがって一般制度と統合するんだという、いわば被保険者減少主犯論に基 づく物語という感じがいたします。しかし、私はこれは事実と多少違うのではないかと思っ ております。まず第1にですね、厚生年金と統合したのは、何も被保険者数が減ってきた からということが主たる理由ではございませんでした。そのことは保険者でしたら十分に ご存知のことだと思います。この部分は、やや牽強付会であるという感じがいたします。 それからこの懇談会の中で事務局の方からご報告いただきましたように、平成17年度の決 算ベースで見ると被保険者数は急速にストップがかかったという風に見ることができると 思います。これは一過性のものであるという見解も併せて示されたかと思いますけれども、 減少傾向には急ブレーキがかかっているという事実がございます。平成18年度の予算を計 上するにあたっても保険者は基礎になる係数をですね、被保険者数を大体横ばいで見積 もっておられるし、平成19年度の予算について私が質問しましたけれども、それについて お答えは未だにいただいておりませんが、おそらく横ばいで見積もっているはずでござい ます。加えてここでは長期給付の職務上年金部門は赤字が続いていると、こうありますけ れども、制度全体で見れば、3年連続して黒字であります。それから、船員の後継者を確保 育成するということで官民総力を挙げていろいろな取り組みも進められている。最近では4 万人ミニマム説も出てきている。こういうことから考えるとやはり潮目が変わったんでは ないのかと、一過性でなくて潮目が変わったんじゃないのかと、こういう見方ができるよ うな数々のエビデンスがあがってきております。これはまだ見極めるには材料不足だとい うことかもしれませんけれども、今までと状況が変わってきているということは明らかだ と思います。であるならばですね、やはりその被保険者数の今後の推移がどうなるのか、 それを見極めるためには少し様子を見ようというのが普通の発想じゃないのかなと思いま す。ですから被保険者数の減少ということを理由にして、ここで慌てて統合という問題の 結論をまとめなきゃならんという必然性は、こと被保険者数の減少問題からすれば私はな いと思う。ここでまとめなければならない最大の理由は社会保険庁の組織改革であり、船 員保険特別会計の見直し問題、私はこの二つだと思います。要は平成20年の秋には社会保 険庁、我々の船員保険の保険者である社会保険庁がお取り潰しになってしまう。船員保険 特別会計についてはもう、とっくの昔に今まとめようとしている結論のフレームワークが もう既に作られている。船員保険の関係者のあずかり知らない所で一部の人達が、民主的 ルールをぶっ潰して勝手に決めたその結論に合わせるようなことを我々は今求められてい る。あるいはそれの後始末をさせられている、私はそういうふうに思っております。です から、今回の統合問題が船員保険の救済スキームではないのだといった点をもっと明確に 読みとれるような書き方に改めていただきたい。これが第1であると。次に、移換金の2,100 億円問題がございます。これについては全くの言い値です。我々は、船舶所有者の皆さん はどうか分かりませんけれども、少なくともこの2,100億円の移換金が何故必要なのかと いうことについて、その明細を書面をもって説明していただいたことは今までございませ ん。2,100億円という数字がいつの間にか一人歩きしている。だけど何で2,100億円必要な のかということについてはきちっとした説明を受けた記憶がございません。いわばレセを ノーチェックで診療報酬を支払えと言うに等しいことだと私は思います。これは保険者の 姿勢としていかがなものか、大いに疑問を感じるところであります。この点は、この報告 書をまとめるまでにきちっとした形で積算根拠を関係者に示すべきであるということを、 改めて主張しておきたいと思います。それから、併せて今回初めてだと思いますけれども、 雇用保険への移換金の問題が出てきております。これについても何故1年程度の移換金が 必要なのかということについては、ここでは全く説明がなされておりません。私の意見と しては失業部門への移換金はなくても良いと。必要がないのではないかというふうに思っ ております。その理由は、保険料収入と給付費とを比べると圧倒的に保険料収入の方が多 いということからするとですね、わざわざ移換金を1年分持ち出す必要はないのではない かと。もしあるのならば、これの根拠を同様に示していただきたいというふうに思います。 その他いろいろありますけれども、例えば職務上外の認定問題、それから乗船中の給付制 限の問題、等々、それから労務不能の認定基準の問題、いろいろありますけれども、それ らについては意見を昨日申し上げておりますので、それを踏まえて更に検討をしていただ きたいと思います。それと最後にですね、運営主体の問題であります。運営主体の問題に ついては事務的打合せの際に私の考え方を述べましたが、私はやはり船員保険は独自の公 法人で運営をすべきだと考えております。25ページにですね、全国健康保険協会に委託を するという方式では、保険者業務の実態を有しない法人となるということから適当でない と書いてありますが、実態を有しないなんてことを言えばですね、そもそもこの世にFO Cだとかマルシップなんていうものは存在しないわけでありまして、今の時代は機能分化 を進めてそれを最適に再編すると、こういう手法であるわけです。何も社会保険だけがで すね、そういう手法を採ってはならないということにはならないと思います。それから大 変、あの一般制度の関係者の皆さんがいらっしゃるところで恐縮なんですが、この懇談会 なり事務的打合せの中でいろいろ議論をして参りました。しかし、海の、マリーンの側で ですね、労使が一致している問題であってもなかなか一般制度の、特に事業者の方には理 解を得られないといったような問題も多々ございました。この場はあくまでも対等の場で あります。人数的に言えば海関係の方が多いわけです。これが全国健康保険協会の下に組 み込まれるといった場合に、自主自立の船員保険の運営が果たしてできるのか、私は甚だ 疑問に思っております。現にここに見えている一般制度の代表の方々からも船員保険は独 自でやった方がよろしいのではないかと、こういうご意見もいただいているところであり まして、まあこう言っちゃ何ですけれども一般制度の側から見れば船員保険というのは招 かれざる客であると、そういうことになるのではないかなあと思います。居候がですね、 どれだけ自分の言い分を通すことができるのかどうか、そういう対等でない組織の中で船 員保険の自主自立の運営が本当にできるのかどうか、これについては、私は甚だ疑問であ るということから、独自でやるべし、こういう意見を申し上げておきたいと思います。と りあえず以上です。 ○ 岩村座長   ありがとうございました。それではいくつかご意見あるいはご質問ということで頂戴し ておりますので、社会保険庁関係それから労災、雇用保険というようなところ、それから 最後が運営主体の問題ということで大まかになると思いますので、恐縮ですけれどもそれ ぞれ関係するところからですね、今日のところで可能な限りでお答えをいただければと思 います。そうしますとまず最初に、一番最初の改正の背景をめぐるご意見ご質問だったと いうふうに思いますので、そこは厚生労働省なり社会保険庁の方でちょっとお願いをした いと思います。 ○ 事務局  まず1番目の改正の背景のところでございますけれども、今回の改正のやはり背景とい たしましては、前にございました検討会でもそういったことでまとめられておりますけれ ども、やはり被保険者の減少といったところは要因として外せないところだろうと考えて おります。やはり職務上年金を考えていきますと、被保険者の減少というのは、これまで に発生したものなどについての支え手が減少してくるということで、かなり実態として厳 しくなってくるということがあります。それからまた、保険集団としてもかなり小さくなっ てきておりますので、これを小集団で支えていくということになりますと、何か大きな事 故、そういったことは起きないようにしなければいけませんけれども、そういう事故が起 きた場合に対応する場合もかなりリスクが生じるといったことで、大きな制度の中で入っ てやっていくといったことが保険の安定的な運営を考える場合には必要であろうというこ とでございます。そういう意味で厳しい状況にあるといったことは背景としては外せない ところだと考えております。ただ、おっしゃるようにここの部分につきましては、ご指摘 がありましたように、特別会計の見直しでありますとか、社会保険庁の組織改革とか、こ ういったところが要因としてありますので、これが正に加速する要因となり、今回の改革 を必至のものにしたと、いうことであります。その点はそういうことを踏まえたうえでこ の素案でもまとめさせていただいているところでございますので、その点についてはご理 解をいただけないかと思います。1点目は以上でございます。 ○ 岩村座長  その後移換金の問題があったと思いますので、それの話を社会保険庁の方からお願いし ます。 ○ 事務局  基本的な考えといたしましては、年度ごとの受給者数、受給権が発生した方の数を基に 将来的な受給者数を推計いたします。受給者数を推計した上で、賃金の上昇の見込みに応 じまして各年度の平均の年金額を推計いたします。それを割り戻すといったことによりま して、21年度末の給付原価、これを出していくというのが基本的な考え方でございます。 ○ 岩村座長  何か補足ございますか。医療保険課長、お願いします。もしよろしければ、雇用保険課 長の方からお願いできればと思います。 ○ 雇用保険課  雇用保険制度の関係もありますので私の方からご説明させていただきます。32ページを お開けいただきますと、失業部門の移換金というところでございますが、考え方といたし ましては、雇用保険との統合後、船員に対する給付は雇用保険の方で行うことになるわけ でございます。失業保険部門の移換金というところでありますように、統合前に受給決定 した方の給付の引継ぎとか、過去の被保険者期間の通算、この意味は、船員保険も同様で ございますけれども、雇用保険の場合ですと受給資格期間というものがございます。過去 12ヶ月の間に賃金を受けた月が6ヶ月以上あること、すなわち最初の6ヶ月間雇用保険の 方に新たに入られても給付は出ません。そういう意味で、この6ヶ月間というのは私共の 制度に新規で加入されるという新たな適用とあっても、この部分につきましては、給付は 出ない制度でございまして、そこを出すという形の制度にするとすれば、その部分につい ては船員保険の失業部門を引き継いだ部門ではなかろうかと。それから、過去の被保険者 期間を通算するという形のもので、失業部門の制度と雇用保険制度どちらもそうでござい ますが、被保険者期間によりまして給付額というものが増えるわけでございまして、言う なれば過去の被保険者期間を通算することによりまして、船員保険の方々、雇用保険の制 度の方々から見れば、例えば施行日以降の期間しか本来はならないところを過去の部分も そういう意味で通算するという形からすると、増えた部分というのもあるでしょう。それ これを踏まえると、ここでは例示として挙げておりますが、少なくとも統合する年度にか かる船員に対する給付につきましては、従来の雇用保険の加入者の責任が負うべきものは 少ないと。例えば少なくとも失業部門の給付費の1年分程度の水準は移換金として労働保 険特別会計に承継することが必要であると、こういう形でまとめさせていただいていると 理解しております。それから失業部門の保険料と給付の関係というふうにおっしゃられた ところでございますが、雇用保険は、ご承知のように短期の給付でございまして、雇用保 険に入った以降の保険料というのはいわば雇用保険の世界での給付に充てられるべきもの でございまして、過去のものを清算するという話のものではございません。それから現在、 雇用保険につきましては、様々な制度改正を議論しているところでございますので、例え ば先程申しました雇用保険の認定にあたりまして最低6ヶ月かかるという部分もまさに今 議論しているところでございますので、議論の経過によってはこの例えばと書いたところ の内容が変わりうるかもしれませんが、ただ考え方としてはそういうものが必要なのでは なかろうかという意味で報告はまとめられたものと理解しているところでございます。以 上でございます。 ○ 岩村座長  清水委員、よろしゅうございましょうか。 ○ 清水委員  全然納得できないですね。まず今の様な、なんか丼勘定のような話を口頭でされてもで すね、ああそうですか、じゃあ是非支払いさせていただきます、という人がいたら余程人 の好い人だと思います。そういうものは書面で積算根拠というか明細書みたいな形で示し ていただけないんでしょうか。それは雇用保険にしてもそうですし、2,100億の方もそうで す。それは無理な要求じゃないと私は思っております。それからですね、最初の背景の問 題ですけれども、状況が変わっているということは認めていただきたいと思うんですよね、 事実として。それが本当に一過性のものであるのかどうかということはなお検証を要する ことでありますけれども、明らかに1年前に議論していた時と比べて違うデータが出てき ている。それがあるにもかかわらず、やっぱり今どうしても結論をまとめなくてはならな いという、そういう緊急性は被保険者数の問題とはちょっと違うのではないかということ を私は強調しておきたいわけです。積立金の問題にしてもですね、それは取り崩して給付 に充てるために積立金として積み立てているわけでありますから、それが年々減っていく ということ自体は財政上不健全なことであるとは言えないと思います。ちょっとそこらの 被保険者数の減少のところは、もう一度答弁いただきたいと思います。 ○ 事務局  被保険者数の減少につきましては、かなり長期的な傾向としてこういう状況があります ので、そういったかなり小さくなってきているという傾向が及ぼす問題が、構造的な問題 としてございます。直近の状況で少し変わってきているのではないか、というご指摘はご ざいますけれども、直近で見るとそういうのはございます。それは正に、試算でいくつか 3万人、3.5万人、4万人ということでお示ししていますけれども、いくつか今後について はもちろん考えられるわけです。それで、実際にこの償却料率などを考える際には、統合 の前の時点においてそういったことを踏まえて実際の率を決定していくと、こういったこ とになろうかということで考えております。 ○ 岩村座長  今の関連でしょうか、では大内委員。 ○ 大内委員  まず2,100億、あるいは償却の一枚紙についてはですね、先程大まかな試算ということ でご説明がありました。そこでちょっと確認をしておきたいのですが、32ページの真中あ たりの丸にですね、平成27年度といいますから、多分去年の話だとすれば10年後こうな るよ、ということで3万人3.5万人、4万人と、そういう数字がここに記載をされているん ですが、この数字はこういう試算をするときの数字としては、私はこの懇談会の中でこの 数字を確認された記憶が全然ないんですけれども、これはどこから持ってきた数字なんで しょうか。ということをまず一つお聞きしておきたい。例えばこういう数字計算をする前 提の数字はですね、やはりこの場で確認をした上で使う数字だろうというふうに思ってい ます。これは多分この前の船員制度在り方検討会で使われた数字をそのまま多分持ってき たんだろうと。在り方検討会の中でこのような数字がどういうことで使われたのか私は検 討会に出ておりませんから分かりません。分かりませんけれどもお聞きしたところ労使間 で一番厳しい状況を想定をしてですね、とにかく数字を出さないと検討ができないという ことで一番厳しい数字をもってこういう数字を算出してみようと、いうことで使われた数 字だと、こういうふうにお聞きをしております。そこでその数字をこの場でですね、当然 の如くそれが当たり前のようにですね、さも確定したような前提でもってこういう数字計 算をされている。この懇談会の場ではこの数字というのは確認も何もしていない。勝手に お使いなってこの数字があたかもこういうことで決められたと、いうことでもってそれを 前提にいろんな数字展開をされていく。こういうことについて我々としては到底納得でき る話じゃないわけです。しかも、前の事前説明のときにもですね、船主側代表の方からも 被保険者数についてはこういう数字では問題だよと、もう1回見直してみたらどうなのか と、こういう意見も出されているわけです。にもかかわらずこれをそのまま、で、あたか もこの数字が現実味を帯びるような形で、そういう前提での使い方ということについては、 私共は到底納得できない、ということを申し上げておきたい。 ○ 岩村座長  それでは医療保険課長からお願いをします。 ○ 事務局  この数字につきましては、正にこの懇談会の前段であります検討会の方で3万人、3.5万 人といった形になった場合にどうだろうか、ということで試算したものです。この3万人、 3.5万人というのは検討会の際に船舶所有者の方々などの方で合意されて、こういう数字で 被保険者の減少について少し厳しめに見た形で推計をしようということで試算をしたとい うことは、そのとおりでございます。ただこの3万人、3.5万人だけではですね、少し厳し 過ぎるのではないかと、実情としてはもう少し下がってくるにしても、もう少し上のライ ンではないかと、いったことで船主側の方々からもご指摘がございましたので、4万人と いった数字でも試算をさせていただいたところでございます。これはあくまでひとつのイ メージとして大体どれくらいの平準償却の料率になるのだろうかといったことをお示しし たもので、大体のイメージでございますが、これは最終的にはですね、統合に当たりまし てはその前に具体的な被保険者の動向や経済状況などを諸々見まして、決定をしていくと いうことになるものと承知をしております。以上です。 ○ 岩村座長   それでは大内委員どうぞ。 ○ 大内委員  今のご説明ですけれどもね、例えば、船員保険在り方検討会の中ではですね、この3万 人なり、3.5万人という数字がね、この在り方検討会の中の労使である程度すり合わせをし て了解をした上での、厳し目の数字ということで使われたということですよね。ところが この懇談会では、この数字が勝手に入り込んできてですね、この中で数字について、前提 条件とする数字についてそういう話し合いをしたこともないし、どういう経緯で決まった のかも分からないままに使われている。しかもですね、今の説明だと船主側からそういう 意見があったから、4万人という部分も増やしましたと。この数字というのは一体、誰が 決めるんですか。あなた方が勝手に決めて作って、それで数字計算をやるんですか。我々 に対して、一体そういう事については一切ものを言う権利がないと、こういう事をおっ しゃっているわけですか。そんなような事でこういう数字を勝手に使われて、展開をされ て、あたかもその事がもう、絶対条件のような形で数字だけが一人歩きをしていっちゃう。 こんな形での問題提起というのは、我々としては、これはもう全く受け入れられない話で あります。そこで、ここの報告書の素案のですね、2のところに書いてあります通りね、 在り方検討会のまとめとしては、下から三行目のところにかぎ括弧で書いてありますが、 今後一年程度の期間をかけて、船員保険制度と一般制度の統合の具体的な形について、具 体的な協議、検討を行い、関係者間の合意形成を図ると。こういうふうにまとめとして書 いてある。今のような話は、全然、その具体的な話なのにもかかわらず、労使間で、ある いはこの懇談会として合意形成にはなっていない、合意形成の議題にすら上がらない数字 を勝手に展開されている。これは非常に大事な全体に関わる話ですから。数字だけは勝手 にどんどんどんどん一人歩きしていってですね、本当は違っていた数字なのに、これがあ たかも、それが本物だというような形でですね、みんな負担をさせられていく。こんな話 には、なかなか理解ができない。だから当方の清水委員が言っているように、例えば2,100 億円の積算根拠を明らかにしてくれと。それと、被保険者数についてはですね、10年先の ところで切って、その数字をパッと出して。10年先のやつをね。例えば数字展開をしてい る時はですね、3年先、5年先、7年先、長くて10年先なんですよ。それをいきなりその、 27年度まで、今のところから3万人に減少するラインを引いてですね、それでもって数字 展開をされているんじゃないのかと思っている。こんな乱暴な数字なんてのは、おかしい んじゃないのかと。もっと具体的に検討を行っていくということであれば、その辺も緻密 にですね、もうちょっと現実に近いような形でのシュミレーションをしていくことが必要 ではないのかと意見として申し上げておきたい。 ○ 岩村座長  はい、ちょっとその前にですね、先程清水委員からのご質問と、今、大内委員のご質問 の中で出ました、移換金の算定根拠について、もう少しきちっとした形での資料の提供と いうことはできないのかと、そういうご質問があったと思いますので、それについてまず お答えをいただければと思います。その後、今の大内委員のご意見に対するご回答があれ ば、お願いをするということにしたいと思います。じゃあ、よろしくお願い致します。 ○ 事務局  移換金の算定根拠につきましては、もう少し説明できるような、皆様にお分かりいただ けるような資料を工夫して出したいと、考えております。それについて皆様方にまたご説 明をさせていただきたいと思います。それから、先程の数字の件につきましては、基本的 には本懇談会におきましては、在り方に関する検討会の議論を引き継ぐ形で進めてきてお ります。在り方検討会の中で、この数字、人数の問題、それからシュミレーションなども かなり詳しいものをお出ししまして、関係者にもお示しさせていただいて議論をしている ということで承知をしております。それからまた、この人数についてどういったものかと いった事についても、前回事務的打合せをやらしていただいた時にも議論していただいた りしたところでございます。そういったことを踏まえまして、我々としてはこの一つ議論 をですね、進めていく上でイメージが必要であろういうことで、3万人と3.5万人、それか ら4万人の場合もですね、必要ではないかと船主の方々からご指摘がありましたので、そ れを入れた形で出させていただきました。我々としては、こういった形で議論を進めて行 くための材料ということで出させていただいているものでございます。 ○ 岩村座長  それでは船主側からはまだご発言がないので、船主側の方からご発言を頂戴できればと 思います。はい、どうぞ。 ○ 山脇委員  まず、今議論がございました、移換金に関連しましての、被保険者数の推移でございま すけれども、前回の事務的打合せの場でも我々がご説明させていただきましたが、先程大 内さんがおっしゃいましたように、ここにあります3万人、3万5千人という数字はあく までも検討会における、悲観的予測に基づく仮の数字でございます。その意味におきまし て、私共はこの具体的制度設計の場において、3万人、3万5千人という数字が使われる 事については、非常な抵抗感を覚えております。その関係で私共、4万人なり、更にその 上なりの数字をその場で主張させていただいたわけでございますが、その意味では、でき るならば、この試算表ですか、ここにおいても3万人、3万5千人というのを削っていた だいて、4万人程度、蓋然性がより高いもの、というもので集約していただくに越したこ とはないと思っています。それからこの試算表でございますが、あと二つ程ポイントがご ざいまして、一つは積立金差額でございます。これ1,400億円と1,300億円、2つの例示 がございます。この両方とも、要は先程から問題となっております、必要移換金2,100億 円から来ておる数字でございますので、その辺りの話は横に置きまして、1,400億円と1,300 億円の差は、他部門からの移設を行うか行わないか、ということでございますので、船主 サイドといたしましては、他部門の積立金の移設は是非とも行っていただきたいと思って おりますので、ここは、1,300億円という形で集約を行っていただきたいと思います。それ から次に大きなポイントが、償却期間の問題でございます。ここに25年、30年、35年、 三例表示してございますが、船主サイドといたしましては、その移換にあたっての負担が 少ない、できるだけ少ないという意味合いにおきまして、当然、長い償却期間を求めるも のでございます。加えて、ここの検討資料32ページに例示していただいておりますように、 陸上での積立金、積立方式、移換での例に習った場合、35年という数字に集約できるので はないかと、こういうふうに思っておる次第であります。とりあえず先程の被保険者数に 関連しまして、これだけ申し上げておきます。 ○ 岩村座長  はい、ありがとうございました。はい、小坂委員どうぞ。 ○ 小坂委員  今まで、清水委員、それから大内委員、山脇委員の話は、私は99.9パーセントか全面的 に賛成です。それよりも私、もう少し単純な部分でご質問をさせていただきたいと思いま す。32ページの下から3行目のところに、雇用保険というか、失業部門について一年程度 の移換金が必要と、こういうふうに書いてあります。先程の1,300億、1,400億というのは 積算根拠がちゃんと出てきたら、それである程度の事は事実になるのかもしれないけれど も、失業というのは、根拠なんていうのは絶対ないはずなんですね。もしこのままでいっ て、ある程度の計算ができて、何十億かという金額になったとします。それよりも、失業 給付の金が少なかったり、多かったりした時はどうするのか。はっきり言うと、多目に取っ ておいて、どっかのポケットに入っていくという話に、基本的になるんじゃないかという、 まず素朴な質問をさせていただいて、その回答如何によって、更に質問させていただきた いと思う。以上でございます。 ○ 岩村座長  そうしますと、まず山脇委員のご意見につきまして事務局の方で何か現時点で反論とい うか、ございますか。特になければ直接小坂委員の今のご質問の方に移りたいと思います けれども。よろしゅうございましょうか。それでは小坂委員のご質問は雇用保険の方なの で、雇用保険課長にお願いするか、ということだと思いますが。はい、雇用保険課長それ ではお願いします。 ○ 雇用保険課  私の方からお答えさせていただきます。正に小坂委員がおっしゃるとおり、失業という ものは、どの位出るのかは、はっきり言って分かりません。それはやってみないと分から ない。ただし、やってみないと分からないからといって、それを全部後で、何年もかかっ て船員保険の方々の失業者はずっと出て行くわけですね。その間には、今までに入ってい なかったものを通算したことによる影響が、これは出ます。ですから出ますから、それを どういうふうに計算するかというのは、一定の程度、計算せざるを得ませんが、ある意味 での予測でございますが、ただ、太宗を占めるのは実は、先程申しましたようにこれは、 最初の6ヶ月間は、これは私共の雇用保険、船員保険も同じですけれども、被保険者期間 では明らかに出ません。出ない部分というのは明らかにこれはカバーしなければならない でしょうと。というようなことは、ご理解いただきたいと思います。従いまして、今の想 定として考えられるのは、直近の数字を使って、恐らくその、ある程度の額というのを考 えるといった場合に、それ以上のところの部分については、いろいろな見込みを勘案しな がら、移換金の額を決定するということになるんではなかろうかと想定されます。 ○ 岩村座長  はい、小坂委員。 ○ 小坂委員  今のお答えからしますとですね、例えばはっきり余っても一切返しません。ポケットに 入れます。いう話であるならば極めて遺憾だと存じます。百円、二百円の話ならいいけれ ども、多分億単位の話。それであるならば、いわゆる雇用保険としてお金を集めるわけで すから、新しい部分については、集めた部分でやっていただいて、これまでの部分は、移 換金は一切渡さずに、なんだったら、公法人か、なんか解らないけれど、いわゆるその他 というか船員の特殊性の部分で、身分、組織を創らざるを得ないのではないか。なおさら のこと、そこでやっていけばいい話。というようなことをまじめにやっぱり考えなければ いけない。例えそれが、一千万、二千万円の話であってもですね、それがやっぱり普通の 僕らの社会だというように思う。以上です。 ○ 岩村座長  はい、三尾委員どうぞ。 ○ 三尾委員  今、移換金の話が出ておりますけれども、私も全くその通りだと思います。これから、 新しい船員保険制度が、創られていくということですから、ここが今後どういうふうになっ ていくかというのは全くわからないわけです。三部門抱えてきた船員保険制度で出た積立 金は、新しい船員保険制度の方に本来ならば私は行くべきだと思う。しかし、労災保険の 積立金の問題だとか、そういったことを、全く無視はできないということは理解している。 ただ、失業保険について、どれだけ出て行くか分からないというのに予めそれを出してお くということについてはね、これは理論的にもちょっとおかしいんじゃないかと私は思い ますし、そこはむしろ、新船員保険制度の方に移して、後の処理は、雇用保険制度とやり 取りをすることができるようにしておけばいいだけであってね、事務的にそんなことは出 来るはずですから、今申し上げたような方法が良いと私は思います。 ○ 岩村座長  今のご意見も踏まえて、検討ということをお願いすることになろうかと思いますが、た だ、私個人的には、直感的にはですね、多分システムがそういう形で組めるかというのが 多分大問題になるのかなというようには思います。手作業ということでは、多分対応出来 ないだろうと思うと、システムを組まなくちゃいけない事になった時にですね、果たして そういうことが可能かどうか、というのが恐らく実際にやる上での大きな問題だろうとい うようには思います。それでですね、いろいろとご意見は出ておりますが…。はい、じゃ あ清水委員どうぞ。 ○ 清水委員  職務上年金部門の移換金の問題に関連して、もう一つだけ発言しておきたいと思います。 前回の懇談会が終わる時にですね、一番最後のご発言で確か小坂委員の方からですね、一 体、保険者の責任はどうなっているんだと、保険者は何にもしないのかというご発言があっ たと思います。それに対する答えは、その後開かれた事務的打合せの中でも特に示されて いなかったように思います。ただ変わったのは、いわゆる積立不足というのが、移換金と いう名称に変わったと。これが保険者の責任なのかどうかは私は分かりませんが、私は事 務的打合せの中で、もし不足があるのならば、船員保険法の第58条の3項に基づいて、政 令を直ちに定めて、国庫補助を直ちにやるべきではないかと。そういう予算措置をとるべ きではないのかという意見を申し上げました。責任を取るというのは、具体的に考えると すればそういう事ではないのかなと私は思いますので、それについてのコメントを是非、 伺いたいと思います。 ○ 岩村座長  医療保険課長。 ○ 事務局  今の積立金の差額につきましては、これまでのですね、財政方式とですね、新しく統合 するところの労災のですね、財政方式が異なるといったことで生じてくる差額でございま す。これまでの制度はこれまでの制度で、一応やっていけるということで見込んでやって 参りましたけれども、新しい制度に統合するということになりますと、そこの財政方式に 従う必要がございますので、そちらの方に積立金がその分、差額として生じてくるので、 それを持って行く必要があるといった事であります。それから、保険者の責任という事で 言われますけれども、保険者の責任としては正にこの制度が、立ちゆかなくならないよう に、安定的にですね、動いていけるようにする、被保険者の方々などに迷惑がかかってこ ないようにしていくといったことが一番大きな事だと思います。そういう意味で今回こう いう形で、制度見直しについてですね、議論を進めさせていただいているといったところ でございます。 ○ 岩村座長  はい。それではまだいくつか重要な論点が残っております。で、順番にということです が、ちょっと私の方で勝手に決めさせていただいて。まず、先程船主の方から、職務上年 金部門の移換金につきまして、この資料の上でですね、どういうところで考えて欲しいと いうご要望が出たと思いますが、一般事業主側はこの点について何かご意見があれば伺っ ておきたいと思います。 ○ 遠藤委員  被保険者数の見通しにつきましては、私共確たる見通しというものは持てていませんが、 ただ慎重な見通しであるべきだという考え方は、これまでの被保険者数の推移を見て参り ますと、やはり堅持しておくべきかなというふうには思っています。それから償却年数の 件なんですが、先程32ページの例示、上の方の星印のところですか、35年というふうに書 いてあるんですけれども、事務的打合せの場でも申し上げたと思うんですが、当初30年、 その後期間が延長されて35年になったという事実関係だけは、きっちりちょっと書いてお いていただきたいということはあります。それから、やはり人数的に小さいということか ら考えますと、財政の健全性という観点からは、できる限り早期に償却を、短い期間で償 却をするという観点も持っておくべきだろうというふうに私共としては思っておりまして、 その意味で25年ということもですね、あり得るのではないかというようなことで、ご提案 を申し上げたところでございます。いろんな要素があると思うんですが、改めて決定する 時に、再度、この辺のことをですね、ご議論して決めていくということは、必要だろうと いうふうに私共としては思っております。以上です。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。はい、どうぞ。 ○ 山脇委員  実際、統合一年程度前になるんでしょうか、実際の議論が行われて、実際の保険料率、 若しくはこの移換金部分の負担についての具体的な数字が固まると思います。その際の決 定プロセスといいましょうか、それについて改めてここで、ご説明を受けておきたいんで すけれども。 ○ 岩村座長  それでは、どちらかな。労災保険課長の方がよろしいでしょうか。労災管理課長の方で じゃあ、お願いします。 ○ 労災管理課  労災管理課長でございます。実際のプロセスということでお話になりましたので、申し 上げたいと思います。通常でございますと、今より想定しているのは新年度から移るとい うことになります。 私共常に3年程度おきに、実は全産業につきまして保険料率見直して おりますので、そのプロセスとの対比で考えますと、前年度の3月末までの年度での決算 を閉めます。その数字を基にして、秋頃にかけて、実際の労働災害の発生状況、支給の状 況、それから被保険者の数や賃金の総額の状況といったものを勘案する。それから、あと この償却といったことを考えますと、非常に大きなウェートを占めてきてしまいますのは 金利でございます。金利が高くなると現在価値として、将来にわたっていくということに なりますと、マイナスだった部分は、どうしても戻してくると大きくならざるを得ません。 そこら辺をどうなるかということを見た上で、年末位までに大体翌年以降の数年間、通常3 年でございますけれども、保険料率を決めていくというプロセスになります。で、これは3 年毎程度にローリングしながら見直しますので、一般の場合の方も、災害の発生率が下がっ て、お金が余ればその時は、過去の積立不足の償却に充てましたので、それを基にして、 今後の保険料率が変わってくる。あるいは有体に言えば、場合によると下がる、若しくは 災害の発生率が上がってしまいますと、上げざるを得ないといったことも起こりますが、 それを一定年度毎に繰り返していくということでございます。いろんなご議論がございま すけれど、一度、何万人で何年と決めて、この料率を墨守するんだということではなくて、 その時の状況状況を見ながら決めていくという形になって参ります。 ○ 岩村座長  山脇委員、よろしゅうございましょうか。 ○ 山脇委員  それはそれで、非常にありがたいご説明だったんですが、実は私がお願いしようと思っ ておりましたのは、平成22年度の統合の直前の、実際、統合にあたっての、何て言いましょ うか、実際の保険料率決定のプロセスでございました。 ○ 岩村座長  小坂委員。 ○ 小坂委員  はっきり申し上げますと、我々に参画する余地があるのかないのかと、単純に聞いてる だけなんですよ。ぐずぐず金利の話まで聞いてもしょうがない話です。 ○ 岩村座長  じゃあ労災管理課長、お願いします。 ○ 労災管理課  では、そのプロセスの決定の過程がどうなりますかといいますと、基本的にはこの問題 は全産業の問題ですけれど、各産業からそれぞれご意見を伺うということではなくて、使 用者側、労働者側、それぞれを代表されている方々が参画されている労働政策審議会の労 災保険部会において決定することになります。 ○ 小坂委員  そうしたらはっきり聞きたいのは、35年というのはあり得ないのか、あり得るのか、基 本的には25年になるというのか、というだけの話なんだ。で、もしそうであるならば、我々 はここで、この会議が終わるまでの間に35年というやつを、すべての委員に納得していた だかない限り、これを終わるわけにはいきません。 ○ 岩村座長  じゃあ、大内委員どうぞ。   ○ 大内委員  今の小坂委員に関連してですね、例えば今日は、素案ということでこれ提示されました けれども、例えばこの懇談会で素案が最終案としてまとめられた時にですね、この報告書 というのは一体、どういう取り扱いになっていくんですか。どこに報告されて、ここで決 められた内容はどういうふうな形で具現化されていくんでしょう。例えば、今、おっしゃ られたように別の審議会で審議案件としてかけられてですね、ここで決められた内容がぐ ちゃぐちゃにされて、別の形になっていくのかどうか。これ一体、どういうふうになって いくんですか。ここの報告書というのは一体、どういう形になっていくのか、ここで決め たやつは絶対通していただけると、こういうことになるのか。そんなぐちゃぐちゃにされ るようだったら、ここで審議してきたっていうのは一体何だったんだと、こういう話になっ ちゃうわけでね。その辺は一体、どうなのか、ちょっとはっきりと教えていただきたい。 ○ 岩村座長  それではじゃあ今の点について、医療保険課長。 ○ 事務局  この懇談会のですね、報告書の取扱いですが、この懇談会自体は社会保険庁の運営部長 の懇談会ということでありますので、このまとめについては、社会保険庁、それから厚生 労働省も全体としてですね、この報告書に沿った形で法案の作業などを進めていくという ことになります。また、ここで労災の関係ございますので、労災、雇用保険の関係もござ いますので、ここでまとめたものにつきましては、また労災保険の部会等でもですね、こ ういうことで検討しましたということで、報告をさせていただくと。こういう取り扱いに なろうかと思います。我々としては、この報告書に沿った形でですね、法案などの作業を 進めて参りたいと考えております。 ○ 岩村座長  大内委員。 ○ 大内委員  今の説明ですけどね、例えばここの中にだって一般制度を代表される委員の方がいらっ しゃるわけですね。ここで実は多少、意見の相違っていうのがあるわけです。で、一般制 度の方々が代表する審議会でですね、ここの取りまとめが、取りまとめた内容に沿って法 律案にまとめていただくと、こういうお話ですけれども、そうならなかった時の責任は一 体誰がとるんですか。座長がまとめたわけですから、座長が責任を取っていただけるんで すか、それとも社会保険庁が責任をとるんですか。その辺はどうなんですか。 ○ 岩村座長  非常に難しいご質問だとは思いますが、少なくとも私が理解している限りでは、正にこ の後例えば医療保険関係、それから労災関係、それから雇用関係、それぞれ法改正という ことが必要であるとすると、関係の審議会にかかるということになり、そこには当然のこ とながら一般事業主、それから一般被保険者の方々もいらっしゃると。従って今、大内委 員がおっしゃったような事に関して言えば、正にここで決めたことがきちっと各関係の審 議会において一般の事業主、一般の被保険者の方々にも理解していただけるよう、そのた めに正にここの場にも一般被保険者、一般事業主の代表の方に来ていただいて、全体とし てのコンセンサスなり、報告書としての取りまとめということを行うというふうになって いると、私自身は理解しております。ですので、取りまとめにあたっては一般事業主、一 般被保険者も含めてですね、報告書についてのコンセンサスなり、ということで来ていた だく。それが最終的にその後の法改正のプロセスというものをスムーズに進めていく、前 提なり条件になるんだろうというふうに理解はしておりますし、またこの報告書という形 でまとまったものについては今日それぞれ医療保険、それから労災保険、雇用保険の担当 課長の皆さんに出てきていただいておりますので、この報告書の提案というものが実現す るように事務局としてご尽力いただけると、いうふうに私としては理解をしているところ でございます。そのような事でですね、ご理解を賜ればというふうに私は思います。はい、 小坂委員どうぞ。 ○ 小坂委員  という事は、座長の今のお話しからいくと、両論併記というようなことは絶対あり得な いという事でよろしいですね。というのはこの前の年末までのところでは、ある部分では、 玉虫色で書いた部分もいくつかあるし。そうなるとですね、やっぱりしっかりと統一して 書き込んでいただかないと。これはやっぱり重要な問題ですからよろしくお願いします。 ○ 岩村座長  ただ、最終的に両論併記があり得ないかというところまで私も確たるご返事はできない んですけれども、しかし、最大限のコンセンサスが得られるような形での努力ということ はさせていただきたいと思いますし、そこまでの努力をやったかどうかということが最終 的には一般事業主、あるいは一般被保険者の方々の理解を得るという意味で重要なことで はないかと考えております。それでですね、後まだ実は大きな問題が残っておりまして、 一つは先程冒頭のお話の中で清水委員の方から問題提起がありました、運営体制の問題と いうのがございます。これにつきまして、船主側でご意見がありましたらまずお伺いして おきたいと思います。どうぞ、山脇委員。 ○ 山脇委員  私共のポジションといたしましては、事務的打合せの場でも申し述べさせて頂きました けれども、運営主体は全国健康保険協会で是非ともお願いしたいと思っております。その 理由といたしましては、まず第一に運営のコスト、経済性でございます。これは参考資料 等でお示しいただいておりますように、別法人とすることによる余計なコスト、これには 我々船主側として耐えられない、というのが第一でございます。それから、制度の問題と いたしましても、この新船員保険という言葉が今回から新しく使われておりますけれども、 改めまして、これ、要は別制度という話でございます。この別制度をこの全国健康保険協 会で一般制度と併せ、並行して運営していただくということで整理はつくのではないかと、 いうふうに考えておる次第でございます。それから、これも事務的打合せの中で申し述べ させていただきましたが、一般事業主の方からのいろいろご疑念もございますが、この別 制度の全国健康保険協会での運営にあたりましては当然のことながら別会計で行われます。 それからその当保険協会のですね、健康保険協会の管理コストとのコスト分担は当然応分 の負担は行うということにおきまして、一般制度の方々にご迷惑をかけることはないので はないかというふうに考えております。以上です。 ○ 岩村座長  はい、小坂委員、どうぞ。 ○ 小坂委員  私共大日本水産会と委員としての小坂は船主団体の意見とは違います。私共は少なくと も運営主体と福祉施設問題は表裏一体のものであるというふうに考えております。そうい う中で、更に議論をしてその中で最終的に運営主体についてはいかにあるべきかという結 論を導くのが正当な姿ではないかというふうに思っております。はっきり申し上げまして、 私共が大きな組織の中に飲み込まれるような姿になることは多大な金がかかるということ であるならばまた別ですけれども、少々の金のために魂を売るようなことは、私共大日本 水産会としてはできません。 ○ 岩村座長  はい、三尾委員、どうぞ。 ○ 三尾委員  私共被保険者の立場から申し上げますと、この運営主体についてはですね、船員保険独 自の体制を組むべきではないかというふうに考えております。今までの議論でもありまし たように、船員保険の職務上疾病・年金部門が労災部門に移れる部分は移ると。しかし、 船員保険独特の給付、そういう支給内容があるわけでございまして、そういった船員独特 のものを持った、新しい船員保険制度ということになるわけです。一般制度の中で船員独 特のものを持ったものがですね、なかなか理解されてこなかったという経験もございます。 従って、今申し上げたような船員としてのですね、独自の公法人というものを設立するべ きだと思います。それから全国健康保険協会の比較表を見せていただきますとですね、運 営委員会のもとに船員評議会を置くということでございまして、給付等について、船員の 代表、あるいは船主の代表、第三者が入ってですね、そういったことを議論する場がある ということは示されておりますけれども、最終責任は、運営委員会が行うということになっ ています。先程来、この報告書が、どこへいって、どういう扱いになるのかということも ありました。私共の意見を言う機会はあるんでしょうけれども、それが、その通りになる かどうかは、私共の上の機関で決められると。先程申し上げたように、船員の独特のもの があるということが、なかなか理解されてこなかった経験もあることからですね、そういっ たところで本当に反映されるのかどうかということについては、極めて大きな疑問を抱か ざるを得ません。従いまして、こういったことからすれば、新たな公法人を設立して、保 険者として運営をやっていくべきではないかというふうに考えます。それから質問として、 ここの25ページには論点で二つ、運営コスト、運営方針というふうに書いてありますが、 コストの面で、イエスかノーかという、どちらかの選択しかないんですよね。この中間と いうのはないんですか。それをちょっとお聞きしたいと思います。以上です。 ○ 岩村座長  まず一当たりご発言を伺ってから、ご質問についてまとめてお答えいただくと、いう、 ありましたらそれについてお答えいただくという事でお願いしたいと思います。それでは、 三木委員、どうぞ。 ○ 三木委員  内航の三木でございますけれども、運営主体につきましてはですね、私としては、全国 健康保険協会に入れていただきたいと思うんです。その理由はですね、やはり今、日本と いう国が社会制度をすべて見直していく、また世界との関連において、今まで日本でやっ てきたことが通用しなくなってきている部分が既に起こってきているんですね。今回の懇 談会でも、例えば、労災の、何て言いますか、長期発生債務の償却についても一般事業者 さんの方は平成元年から償却を始めていたと。我々何にも気がつかずに、今になって初め て気がついたと。もしもっと前に、一般の方と同じ統合が実現できていれば、今、こうい う非常に苦しい事態になる前にですね、同じ対等的と言っては失礼かもしれませんけど、 扱いをしていただけたのかもしれない。そういったことを考えますと、ここでまた別のこ とをやってですね、我々は我々、あっちはあっちという行き方が、日本の社会の一員とし て、私はどうもそこに不安を感じます。ここはできるだけ、やっぱり一般事業の方がやっ ていることを我々も見習っていく方がいいんじゃないかと思いますので、私としては、全 く独立した、全然別のものじゃなく、全国健康保険協会の中に入れていただいてですね、 同じような考え方、同じような行き方をさせていただきたいと思います。以上です。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。それでは、失礼しました山脇委員どうぞ。 ○ 山脇委員  ちょっと補足させていただきます。先程三尾委員の方からも、それから小坂さんの方か らも、船員の独自性というものをどこまで全国健康保険協会の中で運営するにあたって、 保てるのか心配だというご発言がございました。しかしながら、この船員の独自性、全部 が全部とまで、私自身確認はしておりませんけれども、これらは、ほとんどの部分がIL O等を始めとします条約なり、それから、それを受けた形の船員法であるとか、こういっ た形で担保されている部分が多いかと思います。これに関しましては、当然、ここで提案 されておりますような船員評議会の中での議論のベースとなりますでしょうし、もちろん 法律、条約がベースとなっておりますので、そこから先、一般の方々のご理解を受けられ る部分は大きいかと思います。そういった意味合いもありまして、この、いわば一国二制 度と言いましょうか、全国健康保険協会を組み立てるならば、一国ではございますけれど も、その中の二制度で独自のルール、スタンディングルールに基づいて運営してすること は可能ではないかと感じております。 以上です。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。それでは木村委員お願いいたします。 ○ 木村委員  ありがとうございます。ずっと議論を拝聴しておりました。検討会の段階で決着をつけ なければいけなかったような問題が、改めて議論されているということで、今後のスケ ジュール等を考えますと、非常に不安な部分もあるな、というふうに思います。それで、 この懇談会のですね、結論、報告書というものは、最大限尊重されるべきというふうに私 共は考えるわけでありますけれども、この運営主体のところですね、私共は独自の健保組 合を作ったらいいんじゃないかと、いうようなご提案はこれまでさせていただいたところ なんですけれども、健保組合を作るには、やはり労使合意がなければどうしようもない話 でありましてですね、議論を聞いていますとやはり、全国健康保険協会に行った方が良い という意見、そして独自の健保組合を作るべきだと、いうような意見。これが対立してお りまして、ここでですね、ずっと議論を続けててもですね、埒が明かないと思いますので、 これは少なくとも労使のですね、やはりきちっとした、詰めた議論をしていただかないと、 この話は進まないのではないかなというふうに思いますので、早急にそういうですね、場 なりを設定をしていただいて、議論を、まあ、どっちに転ぶのか分かりませんけれども、 きちんとした、十分な詰めた議論をしていただきたいということを是非お願いをしておき たいと思います。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。それでは、遠藤委員、お願いいたします。 ○ 遠藤委員  この点につきましては、これまでも述べてきたとおりでございまして、基本的には、い ろいろな、一般制度と比べた時の差などがあるということを鑑みますと、なかなかこう、 一般事業主全体から見た時に、全国健康保険協会の中で運営していくということについて は理解を得にくいところが多いのかなというふうな、素直な、率直な感覚を持っていて、 であれば、ここから先はちょっと、一般事業主としてはなかなか言いにくいとことなんで すが、船舶労使の方々が一緒に詰めてご議論いただくというふうな形の方がよろしいん じゃないか、率直に言って、独立した法人の方がいいんじゃないかなというふうな意見を 持っています。 ○ 岩村座長  はい、ありがとうございました。一通り今、船員の組合側、それから船主側、そして一 般の事業主、被保険者側のお話を伺ったんですが、一通り回ったところで何か他にござい ますでしょうか。はい、中村委員どうぞ。 ○ 中村委員  長距離フェリー協会の中村でございますけれども、今、運営主体のことが出てるんです けれども、私共としてはやはり、全国保険協会でやっていただきたいと。やはりそれは、 今、いろんな保険の問題とか、年金の問題出ていますけど、やっぱり少子高齢化の中にお いて、いかに効率的な運営をやっていくかということが求められているわけでしてね、従っ てこういう部分、確かに、多分、独立したものを作った方がより便利性があると思うんで すけれども、やっぱり効率性を追及しなきゃいかん。そこにおいて何がどんなことが問題 なのか、こういう問題があるとするとそれはどうやって解決しようということをですね、 考えるべきじゃないかと思います。それから一般の産業においても、いろんな職種があり ますけれども、確かに海上労働の特殊性、多々あると思います。だけど、やっぱり陸上に おいても、いろんなものがあるわけですから、そういう問題をですね、解決できない問題 はないと思いますし、先程も言いました、船員の特殊な部分は確かにございます。だけど それは、この中でじゃあどうやって解決したらいいかですね、こういうことをしておけば それは担保できると、そういうふうな形で、アプローチを考えればよいのであって、短絡 的に特殊だから別だと考える必要はないんじゃないかと、いうふうに思います。 ○ 岩村座長  はい、ありがとうございました。それでは一通りご意見を承りまして、先程三尾委員の 方からご質問があったと思いますので、それについて事務局の方でお答えをいただければ と思います。 ○ 保険課  三尾委員から中間的な方法はないのかというご指摘ございます。それから最初に清水委 員から、社会保険の世界でも機能分化をして適切な方法を見つけたらいいんじゃないかと いうことで、事務局の、本日の資料の25ページの中程に言及されたと存じます。これにつ きまして私が申し上げたいと思います。この(1)運営コストのついてのポツの三つ目の ですね、独自の公法人を設けて本部業務を行いつつ、各支部で行う保険給付等の業務を全 国健康保険協会に委託する場合には、保険者業務の実態を有しない法人となることから適 当でないのではないか、この様にあるわけですけれども、中間的な形態というのは恐らく こういったものが中間的な形態にあたるのかなと存じます。それで、これについて考えま すと、保険者としての業務の本質というのは保険の適用、徴収、そして給付ということに なるかと存じますが、船保制度につきましては、適用、徴収部門が、年金運営主体で行う と、いう方向になっているわけでございまして、従いまして保険給付が本質になっている ということになるわけですが、保険給付をですね、法人で行わずに実際には委託して行う ということになりますと、保険者としての中核的な業務を実際には実施しないということ になってしまう。そのような意味でですね、これでは保険者業務の実態を有しないという 表現をさせていただいたんですが、そのような内容でございますと、独自の公法人という 形で保険者を設立するということの必要性についてですね、なかなか難しい面が出てくる のではないかということでこのような記述にしております。もう一つは運営方針の決定に ついての問題でございますけれども、全国健康保険協会におきまして、ここには運営委員 会の下に船員評議会を設けるということで、そこで保険料率の設定等を実施することがで きるのではないかと、このような事で書いておりますけれども、運営委員会の議決事項は 法律で定まっておりますが、当然船員評議会におきまして、自主的に決めていただくべき 事項、例えば料率の決定などが考えられると思うんでございますが、一定の事項につきま してですね、船員評議会の決定というものが尊重されるような仕組みを工夫していくとい うことが考えられるのではないか、というふうに存じます。以上でございます。 ○ 岩村座長  はい、ありがとうございました。三尾委員よろしゅうございましょうか。 ○ 三尾委員  質問に対する答えとしてはそういうことなんでしょうけれども、ここに、25ページにも 書かれているようにですね、船員評議会の意見を聴かなければならないこととする等と書 いてあるんですけど、先程申し上げたようにね、意見を述べるということはできるんだろ うけれども、極端に言えば運営委員会に私共が入るということじゃないんですよ。今まで のお話からしてもね。一般制度の全国健康保険協会ということですから、そこの運営委員 会に、例えば私共のメンバーが入るということであれば、決定するところに入るわけです から、それなりのことはできるのかなというふうには思うんだけれども、どうもそういう ことにはなりそうもない。私共としては、自分たちが独特のものを持っているということ についてね、正しくそれが反映されるような形をとるためには、独自がいいだろうと。そ れからもう一つ、先程ちょっと小坂委員の方からも出ましたけれども、福祉施設について は、今までの懇談会あるいは、事務的打合せの中でも、当方の方からですね、一応、今ま で労使でそういう懇談会の中でいろいろと議論して詰めてきたところがありますと。これ から今14施設ですか、それを今後どうするかっていうことは、引き続き、この場で検討し ていくことになっているけれども、この書き方からすれば、全国健康保険協会を保険者と するということであれば、その検討すらも、もう無しよと、いうことになりかねない。と いうことからすると、大変な問題だというふうに我々は認識しているということでござい ます。 ○ 岩村座長  それでは小坂委員どうぞ。 ○ 小坂委員  先程回答をいただいて、特に25ページのところの、保険者業務の実態を有しない法人と なることから、とこういうふうに書いてあるんですね。今そういう説明をいただいたわけ です。そうするとですね、参考資料の9ページの、経費の大まかな試算というところに、 独自の公法人と全国健康保険協会の場合という二つの場合があって、何にも仕事がしなく ても、ここでは6パーミルの金がいると、いうふうに書いてあるんだろうか。その辺のこ とがですね、どうも説明が理解ができないですね。じゃあ保険者業務の実態を有しないと いうことは、仕事を何もしませんと。こういうことなんですね。で、片一方では、公法人 でやると、全国健康保険協会の場合よりも、2パーミルも、6億円も金が余分にかかりま すと。ちょっとこの説明は、僕は理解できないので、その辺をもっとはっきりくっきりやっ ていただかないと困ります。   ○ 岩村座長  はい、医療保険課長、じゃあお願いします。 ○ 事務局  この点について、参考資料9ページのところについてご説明いたしますと、独自の公法 人の場合ということで出しておりますのは、これはあくまでも支部を持って自分で給付を 行うといった場合を想定したコストでございます。したがって、そういう意味でここでい う支部を持っているというところでございますので、三番目のような他に委託をすると いったようなケースで試算したものでございませんので、その点、ご理解いただけるかと 思います。 ○ 岩村座長  はい、小坂委員。 ○ 小坂委員  ということになりますとですね、例えば保険者業務のかなりの部分は公法人でやって、 特に僻地、山間部やら少ないところやらというのは、委託するというようなことも当然、 考えられる話でね。どうも説明がね、○か×で、×のほうに何とかして書こうという、変 な努力があるんじゃないか。もう少し、分かりやすくですね、話をこの次の機会にでも出 していただいた方がよろしいんじゃないか。はっきり申し上げて、例えば船員の極めて多 いところというのは、いくつかありましたし、そこがちゃんと支部を作ってやって、あと は全部委託します、ということでも十分出来るはずであってね。私が言いたいのはそうい うことです。 ○ 岩村座長  はい、ありがとうございました。ちょっとそこは、今のような考え方があり得るのかど うかということも含めてご検討いただければというようには思いますが、ちょっと私、今 までの議論を伺ってですね、意見いうかコメントとして思っておりますのは、組合側の方々、 それから船主の方の中でも小坂委員などがおっしゃるように、船員で独自の運営主体とい うことについては、シンパシーは持っております。ですが、いくつかの要素は考慮した上 で、制度設計を考えなければいけないというようには思っております。一つは、今、全体 として医療保険に関していうと、なるべく保険者は大きい方が良いと、そうしないとリス ク分散が図れないということがあってですね、できるだけ大きな保険者の方が、安定的な 財政運営ができるということで、国民健康保険、その他を始めとしてですね、大きな保険 者へということで、統合なり何なりを進めているという全体の政策動向があるということ と、それから先程どなたかおっしゃいましたが、やはり将来の事を考えていった時には、 やや厳しめの予測ということで、まあそうしても考えざるをえないと。これはちょっと、 船主側、それから船員側には申し訳ないんですけれども、客観的に見るとそういうことで 考えざるを得ないのかなと、いうふうに思います。まあ、そういったことを考えると、私 は独自法人ということについてはシンパシーは持つんですが、やはり、全国健康保険協会 の中で一定の独自性を保つという方向で考えていくということが、妥当でないのかなとい うふうには思っております。ただ、他方で船員の方がおっしゃっていた、なかなか船員の 独自性というものを一般の事業主なり被保険者の方々に理解してもらえない、というとこ ろについては十分な配慮が必要であると、いうことの理解は必要だと思いますので、何か その辺のところが、今日、25ページで一応、提案という形で提起されていますが、まあ提 起が可能かどうかということについても検討事項かもしれない、というふうに思います。 いずれにしても、先程、一般の被保険者それから事業主双方の木村委員、遠藤委員の方か らもお話がありましたように、この問題については、かなり、船主、それから船員側とで ご意見が分かれているところがありますので、早急にちょっと、両者で話し合いをしてい ただいて、この問題についての検討をですね、お願いしたいと座長としては思う次第です。 あと時間が限られておりますが、先程、三尾委員の方から、それから小坂委員の方からも 触れられました福祉施設の問題というのがございますので、時間的にタイトではあります けれども、少々時間を頂いてですね、それぞれご意見、あるいはご質問があれば、お伺い をしておきたいというふうに存じます。 (○ 大内委員) (座長の今のまとめた内容に関する発言をしたいんですが) ○ 岩村座長  そうしましたら、それ、最後にお願いできませんか。 (○ 大内委員) (今のまとめの発言はちょっと重大な部分を含んでいるんで、その件に関して、それを除 いて次に進められちゃうと、ちょっと問題だな、と思うんで。) ○ 岩村座長  わかりました。それでは大内委員どうぞ。 ○ 大内委員  今、座長の方から、今までの論議を振り返って、考え方、座長の視点でですね、考え方、 まとめ、方向性ということで示されました。そのまま聞いて、そのまま行っちゃうと、そ れはそういうことになっちゃうということで、ちょっと一つ、一点だけですね、私の方で 懸念を持つ部分がございましたので。例えばですね、今回のこの検討資料の中にもずっと ございますけれども、数字の話、これが厳しめの予測をという話で見解を示されました。 当然、将来予測ということですから、多少の厳しさをもって予測をしていくというのは、 これは当然の話であって、私はそこまで否定するつもりはありません。ただですね、その 前提となる根拠の部分があまりにも実体とかけ離れて、それを大まかだとか、イメージを 出すためだとかで、数字を根拠にして展開をして、それで弾き出された数字が、あたかも、 イメージだとか、大まかだというイメージから全くかけ離れてですね、それがその数字が 一人歩きをして、それが絶対かのような形で数字展開がされていくと。こういうことは、 非常に私は危険だと思っています。ですから、数字の予測というのは、厳しめに予測をし ていくというのは当然、これは分かりますけれども、あまりにもラフな乱暴な数字展開で もってですね、出てきた答えをそれに基づいてそれが絶対であるかのごとく展開をされて いく、こういうことについては極めて問題だというふうに思っていますので、そのことだ け申し上げておきます。 ○ 岩村座長  はい、ありがとうございました。それでは福祉施設につきまして、山脇委員ですね、お 願いいたします。 ○ 山脇委員  なかなか今までの懇談会及び事務的打合わせの場でも、なかなかこの議論については、 労使共に議論を深めることなくここに至っているわけでございますが、我々といたしまし ては、こういった、いわゆる箱物というものに関しては、引き続き運営をこの新船員保険 で行っていくことについては否定的でございます。過去の議論におきまして、組合さんの 方からは、いわゆる施設懇等で既に決着済みであるというお話も出ておりますが、あれは あくまでも、いろんなステップの内の一つのステップでしか過ぎないと。ここに整理され ておりますように、陸上、一般制度の同様の施設と同様に、同じ国の方針に沿ってのプレッ シャーのもとにあるというふうに思っております。ここで、そうは言いましても私共、こ れからどうしていけばいいのか、なかなか具体的なアイデアを持ち合わせないところでは ありますけれども、例えば、一般制度と比べてみて、どのような整理合理化案といいましょ うか、こういった具体策が考えられるのか、この辺りについて、もしアイデアがあれば、 事務局の方からでもご説明いただければと思います。 ○ 岩村座長  小坂委員、どうぞ。 ○ 小坂委員  私は、昨今の議論という形で、23ページの一番上の丸のところに書かれている、年金健 康保険の福祉施設及び国会の法案審議の動向を踏まえ、と書いてありますけれども、この 部分はですね、厚生年金や共済年金や政管健保やらというような、言葉は過ぎるかもしれ ませんけれども、不特定多数の、労使といえるのか、部分がかかわっておる部分であって、 船員保険上の福祉施設というのは、これも論議が分かれるかもしれませんけれども、ある 部分では、給料の一部に近い部分で本来あるはずで、我々の船主団体も、それから組合サ イドも、いわゆる船員を100パーセントとは言わないまでも、十分に代表して、これまで 運営されてきた話であって、国会で審議されているような話の部分と、姿は一緒かもしれ ない、箱物ということでは一緒かもしれないけれども、その経緯と内容は一番違う部分で ある。そういうことを含めてこの論点をお書きいただくのならいいけれども、これは、国 がこうだからという論点には、私はなじまないのではないのか。特に最初の丸は、認識が 私とはかなり違うように思います。 ○ 岩村座長  続いて船員側どうぞ。 ○ 三尾委員  私はですね、先程、福祉施設のことも併せて申し上げたと、いうふうに思いますけれど も、船員の福祉施設というのは歴史もあるし、根拠もあるというふうに思っております。 今年の2月に新しくILO海事労働条約が採択をされて、そこの中でもですね、国際的な 了解として、こういう船員の福祉についての在り方というようなことも記載されておりま すし、これは国なり、そういったところにも責任があるというふうに私は理解しておりま す。これは今年のILO条約だけではなくて、前からあった、そういう条約に基づいて、 船員の立場ということを考慮して決まって、今回議論にもなっている福祉施設をどうある べきかということにつながってきているというふうに思います。その船員の立場というも のは、基本的には私は海の上で働いているという労働は、船の形は変わってきているけれ ども、基本的には変わらない、というふうに思いますので、その条約の精神というのはね、 今でも引き継がれているというふうに理解しておりますので、こういう施設については、 今後はね、今まで施設問題懇談会の中で議論をして、どうあるべきかということを議論し てきたわけですから。そういう議論ができるようなものに、それを残しておいていただき たい、というふうに思います。議論しない、これはもう絶対一歩も譲らないんだ、という 話ではなくて、ちゃんと議論をして、これをどうするか、生かしていくものは生かしてい く、整理をするものは整理をするということで、今までやってきたわけですから、そうい う関係者の議論を踏まえてですね、対応ができるようなものにしておくべだというふうに 思います。 ○ 岩村座長  はい、ありがとうございました。医療保険課長、お願いします。 ○ 事務局  先程、山脇委員の方から、具体的に整理合理化を進めるとした場合の、どういう手法が あるのかということについてのお答えですけれども、具体的な方向として考えられます手 法としては、一つは国が直接、整理合理化を進める。国の方でもってやっていくと、いう のが一つでありますし、もう一つは、独立行政法人の年金健康保険福祉施設整理機構とい うのがありますので、そちらの方に出資をしてやっていくというのがあります。ただ、整 理機構につきましては、現行では、年金の福祉施設及び健康保険の福祉施設が整理合理化 の対象でありますが、船員保険の福祉施設が対象となっていませんで、もし、そういうこ とであれば、出資を可能とするには法改正が必要となってくるといったところでございま す。以上です。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。ただ今医療保険課長から説明がありましたけれども、何か他 にございますでしょうか。 ○ 小坂委員  認識はいかがでしょう、私が申し上げた認識は。ここに書いてある福祉施設の論点の上 の丸は、この認識は本当に正しいのだろうか。私が間違っているのだろうか。 ○ 事務局  この上の認識につきましては、参考資料の3ページにですね、お付けをしておりますが、 基本的に宿泊施設については、整理をしていくということでございますし、諸々、審議会 の方でも整理合理化をと、いうことで、船保の施設についても言われているところでござ います。併せて法案の審議、特に年金健康保険の施設の審議などではいろいろ方向は出さ れておりますし、他の、4ページにございますけれども、雇用保険などの施設についても 整理合理化といったことでありますので、基本的には整理合理化を進めるべきであると いったような、大きな流れの中にあるというふうに理解しております。 ○ 岩村座長  小坂委員。 ○ 小坂委員  もし、そうであるならばですね、今度はその下の丸の認識がまた違ってくるんじゃない か。というのは、船員保険の上で労使が議論を含めてやって、管理もされて、船主側は金 も出してという姿というのは、今、ご説明いただいた全体的なというか、大きな流れに該 当しない部分ではないか。大きい流れの部分で、区分管理された箱物が、それから労使で 直接運営に対して議論されてものが進んできたということは、私の認識では考えられない。 ○ 岩村座長  医療保険課長。 ○ 事務局  年金の一般制度の施設につきましても、これも正に被保険者、事業主の方の保険料で建 てた、作られたものでございますので、そういった方々のご意向も念頭に置きながら議論 が進められてきたものと考えております。おっしゃるように、この二番目のところにつき ましては、船員の事業主の方でご負担されている、保険料を出されているといったところ がございますので、そういった意味で、船員の事業主の方、それから被保険者の方でどう いうふうにお考えなのかといったところのご意向といったところも重要なところだと承知 をしております。 ○ 岩村座長  小坂委員。 ○ 小坂委員  もしそうであるならばですね、尚更のこと、去年まで福祉施設懇談会でやってきたこと が嘘をやってきたのだろうか。やっぱりああいう形の中で、しっかり公的な場所で議論し て、これをやってきた。そこを踏まえて論点をちゃんと書いていただけるんであれば、そ れはそれで論点としては正しいだろうし、最終的に労使がものを決めていけばいい話。私 は採算にも乗らないものを無理してでもやれということは、一つも言ったことはないし、 これまで福祉施設懇の中でも積極的に経営の成り行かないものは、廃止、統合等に尽力を してきたつもりである。以上。 ○ 岩村座長  大内委員、どうぞ。 ○ 大内委員  今、小坂委員のご発言がございましたけれども、これまで福祉施設について福祉施設懇 談会でこれまで議論して、廃止すべき所は廃止して現在に至っているわけです。この場で も申し上げた記憶があるんですけれども、この今の14施設、これを将来、ずっと持続して くれということではなくて、老朽化、あるいは経営の成績が厳しいという中で、将来的に どうするんだという検討であれば、当然、するんだろうというふうに申し上げてきました。 ただ、今回のこの問題に絡めてですね、全国健康保険協会に加入することによって、自動 的にこれらの福祉施設も一括して廃止をされていくような状況が、この中に生まれている わけです。だから、そういうところでこの福祉施設の問題については、こんな形で処理を してしまっていいのかということになると、やはりこれまで福祉施設懇談会で真剣に議論 しながらですね、船員の福祉施設というものをどうすべきかということでやってきている わけです。そんな話ではなくて、福祉施設の問題についてはどうしていくか、あるいは残 すべきところは一体どういうところなのか、というようなことがですね、きちんとルール できるような形で、今後も福祉施設問題に対して我々は取り組みたい。この問題について は、当方の三尾委員、それから小坂委員のご発言がございましたけれども、この問題につ いて、一緒くたにしてガラガラポンでやられるということは、当然、納得できないと私は 申し上げておく。 ○ 岩村座長  山脇委員。 ○ 山脇委員  今、受け皿がどちらになるかということで、この福祉施設の問題は変わってくるという ご指摘、これは確かにそうでございます。その意味合いで、確かめておきたいんですが、 参考資料ですか、こちらに運営主体の比較という形で、全国健康保険協会を保険者とする 場合と新たな公法人を設立し保険者とする場合。この場合で、福祉施設の扱いについて、 二つの対峙がしてございます。これ、このまま読ませていただきますと、いずれのケース にしろ、認められない可能性が非常に高い。全国健康保険協会に場合ですと認められない 可能性が高い、新たな公法人の場合はそれと同様の扱いになる可能性が高い。この辺りの 差というものは、どの程度あるものでしょうか。 ○ 岩村座長  医療保険課長、どうぞ。 ○ 事務局  参考資料の件でございますけれども、基本的にはですね、全体状況から見て、施設につ いては整理合理化を進めていくべきであるという全体状況にあるといったところについて は、まず同じような状況にあると考えられます。それからまた、もう一点、福祉施設につ いては、国の財産という形になっています。これを保険者の方に引き継いでいくといった ことになるといたしましても、それは国の財産をですね、別の主体に渡すということにな りますが、それは協会にせよ、新たな公法人にせよ、国の財産を引き渡すとことがいいの かといった議論になります。それについては今の全体の整理合理化といったような状況か ら見ますと、いずれにしても厳しい状況にあるのではないかというふうに考えております。 ○ 岩村座長  はい、ありがとうございました。福祉施設についても議論が尽きないところではありま すけれども、予定していた時間をかなり超過しておりますが、では清水委員。 ○ 清水委員  山脇委員のご意見を正しく認識するために質問させていただきます。山脇委員は、箱物 はもういらない、国の方針に基づいてですね、とおっしゃったんですが、それは、今ある 箱物が船員福祉にとってあまり役立っていない。だから、もう無くしてもいいんだという ことでおっしゃっているのか、そもそも船員福祉はいらないんだ、というためにおっしゃっ ているのか、それはどちらなんでしょうか。 ○ 岩村座長  山脇委員。 ○ 山脇委員  当然のことながら前者です。過去、提出された資料を見ましても、保養施設の船員の利 用率というのは、ほとんどが一桁台、例外的に二桁が混在していると。それから、これが なければ福祉ができないのか、といった観点から見た場合、どれだけ本当に必要か。病院 とか診療所はそうではないのかもしれませんが、現在の状況で箱物を船員保険として独自 に持つ必要があるかという問いかけに対しましては、必ずしも必要がないのではないか、 こう考える次第であります。 ○ 岩村座長  はい、清水委員。 ○ 清水委員  その種の話はですね、労使でもってじっくりとお話し合いすればいいことかと思います が、そうは言っても、無くしたら船員福祉のそれまであった分がゼロになってしまうわけ ですよね。そのことだけ指摘しておきたいと思います。 ○ 岩村座長  施設をどうするかというのは、箱物の議論というのがありましたが、今、山脇委員がおっ しゃったのは、福祉事業が必要ではないというご意見ではなくて、そうすると、例えばこ れはあくまでも私の個人的な意見でしかないですけれども、例えば施設という観点から言 えば、今であれば一種の宿泊券みたいなものを発行して、それを使って泊まっていただく という考え方というのもあり得るのだろうというように思います。ですから船員の方々の 海上労働という特殊性に鑑みて、どういう福祉事業を行うかという問題と、同じようにど こか保養のために宿泊するという場合に、それを保養所という箱物を持ってやるのか、そ れとは違う代替手段ということで構想していくのか、という議論もあるんだろうと考えて います。その辺も含めて、先程の運営主体にも関係することでございますので、労使の方 でご議論をいただければというように思います。小坂委員どうぞ。 ○ 小坂委員  今、山脇委員の方から利用率が極めて低いという話があったんですけど、本当に低いん だろうか。私はこの前も指摘したと思うが、船員としての利用率は低くなくて、こんな高 い利用率はあるんだろうか、何かの間違いじゃないかというくらい高かった記憶があるわ けです。で、この場でなくて結構ですから、本当の意味で船員が、6万数千人の船員と家 族がどれだけの実数で利用しているのかというようなことをはっきり出さないと、嘘の議 論の中で1パーセントだ2パーセントだという議論をしてしまうと大きく誤ってしまう。 私の記憶では、船員数の単純計算からいくと、30パーセントとか、40パーセントが利用し ているような、異常な利用の姿があったように記憶しております。私の記憶ですから、間 違っているかも分かりませんし、その辺もしっかり労使で議論して、やめるべきものはや める、全部止めるなら全部止める、それは議論の中で決めていけばいいと思います。 ○ 岩村座長  多分利用率については、前に資料に出ていたというように思いますので、恐縮ですけれ ども、そこはご確認をいただければ、というように存じます。そうしますと、私の不手際 で時間が大分過ぎておりまして、今のところ議論が尽きるという状況ではございません。 特に運営主体とか、福祉施設といった点に関しましては、まだ関係者の間での意見の隔た りというものが存在するというふうに、私としては思うところでございます。そこで、ス ケジュール的にもかなり厳しくなってきておるところでありますので、次回の運営懇談会 に向けまして、大変恐縮ではございますけれども、船員同士の関係者方々でですね、今日 まだ議論してない、いくつかの論点、問題点につきまして、鋭意、場を設けていただいて、 意見交換を積極的にこなしていただいてはどうか、というふうに考えております。また、 必要に応じまして、今日ご欠席の野川委員、西村委員のご意見も伺った上で、報告書の取 りまとめに向けまして、事務局と私との間で更に方向性を詰めさせていただくということ で、こちらとしても努力をさせていただきたいと、いうふうに考えております。そのよう なことでよろしゅうございましょうか。次回に向けて、ということでございますけれども。 はい、大内委員。 ○ 大内委員  今日、検討資料ということ提出がありましたけれども、私としてはまだまだ、内容的に ですね、論点やら問題点やらということで言いますと、クリアにされていない。そういう 状況の中で、次回はまとめということでね、今座長おっしゃいましたけれども、お互いに 消化しないままにどんなまとめになるのか分かりませんけれども、見切り発車的にですね、 期日が来たからこれでもうまとめていく、こういうふうになると、私はこの問題に関して はですね、とんでもない話になるというふうに思っていますので、決して性急なまとめと いうふうにならないようにですね、座長として是非ご配慮いただきたい、というふうに思 います。 ○ 岩村座長  今の点に関しては私としてもできる限りのことはさせていただくと、いうふうに思って おりますが、ただ他方で、実は先程話題になりましたような関係審議会の日程が設定され ているとかですね、他の状況がございまして、そういう意味では日程的には申し訳ないで すが、かなりタイトになっています。そういう意味で今大内委員のご発言あったように、 できる限り私としては、強引に押し切るという形は避けたいというふうに思っております ので、是非、先程申し上げましたように、ご疑念の点については、事務局に情報提供なり ご説明を積極的にお求めていただくというふうにお願いしたいと思いますし、また、労使 双方でですね、是非、場を設定していただいて、話し合いを精力的に行っていただきたい というふうに、私からも重ねてお願いをしたいというふうに思います。はい、どうぞ。 ○ 大内委員  この懇談会がスタートする時をですね、もう一度思い起こしていただきたいんですが、 スタートする時にですね、この問題の内容については非常に重要なテーマがいっぱいある。 ということで、議論が煮詰まらないままにですね、期日が来たからといって強引に進める というようなことは絶対に行わないでください。それについてこの懇談会の中で、皆さん とこの中で確認されたんですね。審議会の日程がどうだとか、あるいは法案の日程がどう だとか、そういうことに拘束されてですね、ここの中での審議が未了のままに変な形でま とめられていく。こういうことについてはですね、私共としては同意できないということ をこの場で明らかにしておきたい。以上です。 ○ 岩村座長  私としては煮詰まらないで終わらせるという趣旨で今は発言したつもりではないので、 その点、そういう印象を与えたとしたらお詫びをしたいというふうにおもいます。 ○ 岩村座長  最後に清水委員。 ○ 清水委員  今の点と若干関連しますけれども、当方の意見は事務局の方にはお伝えしています。そ れに対する回答は、後日いただけると冒頭、確認していただいたようにですね、改めてお 答えはいただけるものと思っております。また、いきなりということになると何ですので、 一点だけ全然触れなかった問題について、こういう問題を事務局には投げかけている、と いうことの一端をですね、紹介しておきたいと思います。統合後のメリット制の適用方法 には反対だと、こういう意見を事務局には申し上げております。その理由を話すとまた時 間がかかりますので、これはまた後日、この場、あるいは事務的打合わせが開かれるので あれば、そういった場でご説明申し上げたいと思います。その他、いくつか、この記述で は受け入れられないという点を挙げておりますので、ご了解いただきたい。以上です。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。申し遅れましたが、今日、いくつか資料提供なり、そういっ たことでのご要望がございましたので、事務局の方で恐縮ではございますけれどもなるべ く早急にご用意いただいて、関係者、委員の方々にご提供いただければというふうに存じ ます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。それでは、誠に私の不手際で時間が伸びて 申し訳ございませんが、今日の懇談会はこれで閉会とさせていただきたいと思います。こ れは間違いないと思いますが、次回の運営懇談会でございますが、次回は11月30日の午 前10時から、ということで調整させていただいて、決定させていただいていると存じます。 場所としては厚生労働省の会議室ということでございます。11月30日の午前10時からの 開催ということで行わせていただきたいと存じます。それではこれで閉会させていただき ます。本日はどうもありがとうございました。