社会保険事業運営評議会 第14回議事録        日時 平成18年9月26日(金)15時00分〜17時00分        場所 厚生労働省専用第18〜20会議室        出席された参集者(敬称略)         井戸美枝、稲上毅、遠賀庸達、         小島茂、鈴木正一郎、宮武剛 〇宮武座長  それでは定刻になりましたので、ただ今から第14回の社会保険事業運営評議会を開催いたし ます。ご都合で本日は、小澤良明さんと加納多恵子さん、紀陸孝さんが欠席でございます。開催 にあたりまして、村瀬長官からご挨拶をいただきます。 〇村瀬長官  本日は上半期末というお忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。 前回6月の運営評議会では、国民年金保険料の免除等に関する不適正な事務処理について、中間 報告をさせていただきました。その後の状況につきまして、若干補足して説明申し上げます。  8月3日に第3次報告書を公表し、それに基づき8月28日付にて不適正な事務処理に関与した 職員並びに監督者責任ということで、1,752名の処分をいたしました。数多くの社会保険事務局・ 事務所が、法令等に違反する行為を行い、国民の皆様方に対して、信頼を損ねたことにつきまし て、改めてお詫びを申し上げたいと思います。厳しいご批判に対しては、我々は真摯に受け止め、 反省をすると同時に、しっかりとした形でお示し申し上げて、社会保険庁が本当に変わったと、 しっかり事業運営をしていると思っていただける方向に持って行きたいと思っております。  今回の事案が発生したそもそもの理由は何かということは、詳細は後ほど申し上げますけれど も、私自身が判断しているのは3点ございまして、1点目は、法令を遵守するという職員の意識 が、残念ながら極めて不足していることだと思っています。  それから2点目は、以前から社会保険庁の体質ということで、ご批判を受けております組織と してのガバナンスの不足、これがまだ残念ながら解消できなかったということだと思います。  それから3点目は、地方事務官制度というものがあり、独自の判断によって事務処理を行う組 織風土を変え切れなかったということで、まさに社会保険庁の旧来からの体質が、そのまま表に 出たと考えております。社会保険庁改革ということで、さまざまな取り組みをしておりますが、 未だ本質なところまで行き届いておらず、これについては私も大いに反省すると同時に、職員と 一緒になって再度、しっかり改革に対して取り組みたいと思っております。そのためには、再発 防止策を徹底に講じて、二度とこういうことが起こらないようにしたいと思っております。   一番大切な職員一人一人の意識改革に再度挑戦をするため、「改革リスタートプロジェクト」 を9月からスタートしております。これは、現場発の改革を徹底的に行う主旨にて現在取り組み 中でございまして、その中で4つのキーワードを考え、打ち出しております。1つ目は「やるき 化」、2つ目が「あたりまえ化」、3つ目が「みえる化」、4つ目が「きれい化」ということで、 この4つのプロジェクトを立ち上げて、しっかり改革に向けて進んで行きたいと考えております。 「やるき化」につきましては、「私のリスタート・プラン」として、全職員からリスタート・プ ランの提案を貰うことになっております。そして、前向きな提案をした職員とは、対話を通じて 本格的なリスタートの改革に繋げるため、各事務局単位で「本音トーク」というものを行い、若 手職員を中心に、意欲的な意見を持っている職員とミーティングをしながら、大きな方向付けを して行きたいと考えており、この9月に既に、4ヶ所で実施をしております。今後国会等がござ いますけれども、国会の合間を見ながら、47都道府県でもう一度徹底的に、このミーティングを して行きたいと考えております。それと同時に我々の組織、上下それから横の繋がりという観点 での、情報共有の部分が不足していたということが、今回の問題で解明できましたので、現在事 務局長並びに事務所長には、全職員との対話をしっかり行うようにという指示を出しております。 これは9月に人事異動がありましたので、人事異動後の問題として、これから10月にかけてし っかりやることによって、社会保険庁の意識改革に努めてまいりたいと考えております。  それから前回、国民年金の収納率の問題につきまして、若干触れさせていただいていると思い ますけども、今回遅まきながら、17年度分の国民年金の収納率が報告の中に入っております。基 礎年金全体では、ご存知のように94%の方々が、納付をしていただいており、現在未加入者・未 納者は401万人ということで、400万を切るところまで減少しております。  ただし、国民年金の保険料につきましては、当初69.5%の目標を考えて取り組んでまいりまし たけれども、最終的には67.1%となり、単年度では3.5%の改善に留まっております。単年度の 改善目標3.8%に対して、3.5%ということですので、収納率に対する取り組みの結果が出てきて いると考えております。その中で1つは、事務局単位又は事務所単位で、大幅に改善をしたとこ ろが出て来たということで、明るい兆しも、大いにあるのではないかと思っております。例えば 大きな県では、福岡県で、単年度の改善幅が7.3%という改善をしております。また、福島県の 白河という事務所では、12.1%と単年度で2桁の改善率が示されております。やることをしっか りやれば、結果は付いて来るという実証なのだろうと思っておりまして、これを312の事務所、 47の都道府県でしっかりやって行けば、確実に収納率の先は見えて来るのだと考えております。 そのためには、平成16年度の年金法改正に伴い市町村から頂戴できることとなった所得情報、 これが極めて大切な情報源でありまして、これをしっかりいただくことにより、十分な収入があ る方については、しっかり納付していただき、一方十分な収入がない方については、免除制度と いうものを利用し年金権を確保していただく、こういうきめ細かな収納対策を行えば、先ほどの 401万人という数は、必ずや300万人台に突入するだろうと考えております。  一方組織の問題につきましては、前回の通常国会において政管健保を平成20年10月に分離す ることが決まっております。残った年金の組織でございますが、現在継続審議となっており、今 日から始まります臨時国会の中で、審議をいただくことになろうかと思います。ただし、ご存知 のように、社会保険庁改革につきましては、昨日の新聞には、連立与党の合意の中で、徹底的且 つ根本的な見直しを断行するという文言が入っておりますので、今後は、与党の方々と中身につ いて十分ご指導を受けながら、社会保険庁改革を実行して行くということになろうかと思います。  最後になりますけども、本日は17年度の事業実績と、どういう形で我々は行動し、どういう 結果が出て来たのか等の報告と予算と諸々、お手元にお配りしています大変な量の資料に基づき 議論をしていただくことになりますので、短期間ではございますけども、よろしくお願い申し上 げたいと存じます。以上でございます。 〇宮武座長  議事に入ります前に、9月1日の人事異動で、総務部長に清水美智夫さんが就任されましたの で、紹介いたします。 〇清水総務部長  清水でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 〇宮武座長  それでは議事次第に沿いまして、まずは資料の1から資料の3まで説明をいただいて、その後、 ご意見を頂戴したいと思います。説明を事務局のほうからお願いします。 〇高橋企画室長  総務課の企画室長の高橋でございます。それではまず、国民年金保険料の免除等に係る今般の 不適正処理の事案について資料1−1から説明をさせていただきます。これにつきましては、参 考資料の1−1から1-5まで、8月3日の第3次報告書、本省の大臣政務官が主催して行われまし た検証委員会の同日付報告書及び8月28日の処分について等を参考資料として付けております が、まず、資料1-1でその概要につきましてご説明申し上げます。  事案の内容でございますが、これまで公表等しておりますように、2月の京都の事務局におけ る事案の判明を発端といたしまして、5月29日に第1次調査報告、6月13日に第2次調査報告、 8月3日に第3次報告と公表してまいりました。(2)のところの概況でございますが、@市町村 から所得情報の提供を受け、これにより免除等に該当すると見込まれる未納の方々につきまして、 本来ですと、本人に申請書を出していただくところを、本人の申請意思を確認しないまま免除承 認を行った。あるいは、A電話等により個々人の申請意思を確認し、申請書を代筆して手続きを 行った。Bその他の不適正な事務処理と、このようなものが判明したわけでございます。  長官の挨拶にもありました通り、今般の事案の構造的背景につきましては、これらの報告書で は次のように整理しておりまして、事務局・事務所の問題といたしましては、法令遵守意識の不 足、従来の都道府県単位の地方事務官制に由来する組織の一体性やガバナンスの不足及び事務 局・事務所の独自の判断による事務処理を行うというこれまでの組織風土があります。一方本庁 の問題といたしましては、業務の標準化・統一化が不十分であったこと、チェックシステムが不 備であったこと及びガバナンスの不備があったことという点を指摘、整理しております。  2ページでございますが、そのための再発防止策といたしましては、報告書で仔細にまとめて おりますが、法令遵守の意識の徹底、業務の標準化・統一化、システム的なチェック機能、監察 部門の機能強化等々がございます。  また8月28日付で、今般の事案に関連しました職員の処分を実施いたしました。1,752名とい うことでございまして、全職員17,000人の約1割でございます。  それから5番目、処分にあわせまして、人事上の対応ということで、一部9月1日に実施済み ですが、来る9月29日付けで人事異動を実施いたします。具体的には、今般の処分を受けた職 員に対する平成18年度中の昇任・昇格人事は行わないこと、懲戒処分を受けた幹部職員に対し ては、現在の管理職ポストから異動させること。法令違反の主導に加え、累次の調査に係る虚偽 報告や調査怠慢があった幹部職員に対しては、降任・降格人事を行うこと。また、都道府県間の 広域的な人事異動を行うこと。更に事務所長につきましては、新たな試みとして民間企業経験者 からの公募を行う等の人事上の対応を図っております。  資料1−2ですが、長官からの挨拶にもありましたように、「改革リスタートプロジェクト」 を、職員1人1人が今回の事案を自らの問題としてとらえ、危機感をもって自ら変えるというこ とで、「やるき化」「あたりまえ化」「見える化」「きれい化」という4つをキーワードとして進 めております。  1の「やるき化」プロジェクトにつきましては、@の「社会保険庁改革リスタート・プラン」 ということで、全職員1人1人が自らの考えを「私のリスタート・プラン」として作成し、長官 に提出をする。それから2ページのAは、「全職員対話キャンペーン」ということで、なぜ今回 の事案を招いてしまったのか、これまでの業務の進め方に疑問点はないのかといった点について、 上司と部下が改めてお互いに率直な意見を各職場において交わすということを行います。具体的 には、事務所長と事務所内全員、事務局長と局内全職員あるいは事務所課長以上の幹部との対話、 本庁においては、課長・センター部長とそれぞれ課部内の職員という単位で対話キャンペーンを 行い、風通しの良い組織にしようとするものです。また、Bは、「長官と本音で語ろう」という ことで、各事務局単位で事務所の若手職員が、勤務時間終了後、長官と自由な意見交換を行う場 を設定し、こういうことの中から改革の構築を図ってまいりたいと考えております。  3ページの2は、「あたりまえ化」プロジェクトということで、職員行動規範に関しまして、 事務処理の基本を徹底することとしております。  3は、「見える化」プロジェクトということで、@として、その行動規範を本庁・事務局・事 務所におきまして、目につく場所へ掲示いたします。また、Aのコンプライアンス・カードにつ きましては、法令遵守の理念やチェックポイントなどを記載した小さなカードを、各人が常時携 帯するということをしてまいりたいということでございます。このようなことで意識改革を進め てまいりたいということでございます。 〇和田企画課課長補佐  引き続きまして、企画課の和田でございます。資料2をご覧いただきたいと思います。国民年 金保険料の平成17年度の納付状況の分析等についてでございます。17年度の国民年金保険料の 納付率ですが、67.1%と、対前年比では3.5%プラスということでございます。なおこの納付率 でございますが、免除等の不適正処理分の影響0.7%を除いた後のものでございます。左側のほ うに折れ線グラフで推移をお示しいたしておりますけども、納付率につきましては、下げ止まり から反転、上昇傾向という形で明らかになっているものと認識しています。  2ページですが、納付率につきましては、納付対象月数を分母、実際納付された納付月数が分 子、ということで割合を計算したものでございますが、表のほうに納付月数と納付対象月数をお 示しいたしております。その詳しいものが3ページでございます。上の方の納付月数につきまし ては、現年度分の納付月数が前年度比で、2.4%の減少となっておりますが、過年度分の納付月 数は、前年度比7.3%の増加ということでして、過年度分を含みます納付月数全体で申しますと、 前年度比1.7%下回っているという状況でございます。それと下の方の納付対象月数でございま すが、こちらにつきましては前年度から、7.5%減少ということでございます。このため、納付 対象月数が大きく減少しているという中で、納付月数の減少は比較的少ないということで、実質 的に増加しているということが言えるかと存じます。  4ページは、目標納付率との関係でございますが、17年度の目標納付率は、69.5%でしたので、 2.4ポイント及ばなかったという結果でございます。一方で17年度の単年度の目標改善幅は 3.8%でしたので、これには0.3%差まで近づくという結果となっております。この目標納付率に つきましては、下の方にございますが、平成15年8月に国民年金特別対策本部において、中長 期的な目標納付率ということで80%を設定したものでございます。この80%という数字につき ましては、下のほうにありますが、二十歳到達者に対する職権適用がほぼ完全実施された平成9 年度の納付実績値(79.6%)を参考として、当面の目標値として設定したものでございます。  5ページですが、これは目標の80%ということでございますけど、80%といっても、基礎的な 条件、例えば未加入者等の状況が異なれば、実質的な意味合いが変わってくるということで、そ ういうことも考慮して分析を加えたという資料でございます。若干説明を加えさせていただきま すと、右側の@をご覧ください。これはまず平成9年度以降、全ての市町村で二十歳到達者で加 入手続を行わない者に対する職権適用が行われましたので、その結果、未加入者については、平 成9年度は119万人でございましたけれども、平成17年度では27万人と大幅に減少しておりま す。それからAですが、平成13年度以前(地方分権前)には、現在の免除基準には該当しない方 であっても、特例で免除が認められていたということがありました。@の未加入者の影響、それ からAの特例免除の影響については、納付率を高める方向に働きますので、これらの影響を除 外・排除して納付率を算出するということによって、過去の納付率を現在と同じような条件で、 実力ベースで比較することができると考えております。なお、平成9年度の納付率(79.6%)に ついては、未加入者の影響を排除した場合は73.7%、未加入者と特例免除の影響を排除した場合 は、69.9%ということでございまして、現在の納付率に少し近づくというようなことになります。  6ページは、今回納付率が3.5ポイント上昇したものの要因ということで挙げさせていただき ました。  続いて7ページでございます。平成17年度の事務局・事務所別の納付状況ですが、10の事務 局と71の事務所、これは全事務所の約23%ですが、そちらの方で目標納付率の達成が図られた という状況でございます。納付率の改善幅ということで見ますと、事務局で申しますと、福岡・ 山梨・高知といった県で改善が著しいという状況でございます。それから事務所で申しますと、 白河・難波・小倉北というところが著しい改善を示しております。資料の下の方では、被保険者 が減少している中で、納付月数を伸ばしてきた事務所ということで、白河・甲府・大手前という 実例を挙げさせていただいております。こうしたところでは、未納者の属性に応じた収納対策を きちんと行っており、また進捗管理をきちんと行うことで、非常に成果を上げているということ ですので、こういった実績の上がっているところを、今後水平に広げていくということが課題で はないかと考えております。  8ページでございます。17年度の収納対策ですが、事務所ごとに行動計画を策定し、これに沿 って取組みを進めてきたという状況でございます。17年度の納付特例活動につきましては、ほぼ 計画とおり行動計画を達成したという状況です。それから負担能力の乏しい未納者の方に対して は、免除等の勧奨を行うことで年金権の確保に努めてきており、全額申請免除をはじめ、17年度 からは若年者の納付猶予制度、免除等の承認期間の遡及といった制度の充実が図られたこともあ りまして、適用促進に努めてきたところでございます。一方、強制徴収についてですが、負担能 力がありながら未納の方については、約17万件最終催告状を発行いたしまして、強制徴収を拡 充しております。こうした市町村からの所得情報を活用して、免除と勧奨を行う、あるいは強制 徴収を推進していくということによって一定の成果が上がってきたと考えております。  9ページ以降は、公的年金制度全体の状況を参考としてお示ししております。未納者の数374 万人、未加入者が約27万人ということでございます。未納者と未加入者を合わせた約401万人 ということにつきましては、公的年金加入対象者の約5.7%ということですので、公的年金加入 者全体で見ると、約94%の方が保険料を納付しているということになります。  それから10ページのグラフからは、今ほど申しました94%あるいは95%の方が保険料を納付 しているという状況について、変わらず続いているということがおわかりになるかと思います。  11ページにつきましては、未納者と未加入者の推移ということで、平成17年度合計で401万 人まで減少してきたという状況でございます。資料2の説明は以上でございます。 〇高橋企画室長  続きまして資料3の事業実績報告でございます。  資料3の1ページ、17年度の事業の概況を文章で説明しているところでございます。これにつ きましては省略いたしまして、10ページをお開き下さい。10ページ以降、各事業目標に対し、 それぞれの指標及び取組状況につきまして、項目毎に整理をしております。10ページは政管健保、 厚生年金の適用対象事業所の適用促進でございます。10ページの表の3段目、適用事業所数は、 16年度149万事業所から17年度151万事業所、厚生年金163万事業所から164万事業所という ことで増加をしております。  その適用促進の状況でございますが、11ページのAですが、未適用促進対象事業所に対しまし て、巡回説明・呼出・戸別訪問、いずれも実績の件数を大幅に増やして実施しております。  続きまして次の12ページでございますが、17年度は、戸別訪問・巡回説明等を繰り返しても、 適用の手続をご理解いただけない事業所に対して、新たに職権適用を行うという試みを開始いた しました。開始したばかりですので、17年度の実績は11事業所でございます。Cは、未適用事 業所の状況ですが、17年度は、雇用保険との突合結果リストや法人登記申請書の閲覧等によりま して、適用促進対象事業所として選定した事業所が26万事業所でした。これらの事業所に対し ては、様々な働きかけをしたわけですが、その結果、17年度末現在、未適用事業所として把握し ている事業所数は、63,539事業所となっております。引き続き厳しい働きかけをしてまいりたい と思います。  次に14ページの適用事務についてですが、3段目、年度末被保険者数につきましては、政管健 保が1,893万から1,915万、厚生年金が3,249万から3,302万ということで、17年度はそれぞれ 増加しております。  その適用の適正化につきましては、15ページの目標の欄に事業所の4分の1に対して事業所調 査を行うという数値目標を掲げておりまして、その取組状況は、Aの結果にありますとおり、関 係事業所調査件数は49万ヶ所ということで、適用事業所数(163万)の30.4%と目標を上回る 事業所調査をしてまいりました。この結果といたしまして、事業所調査により資格得喪関係・標 準報酬月額の修正を行ったことによりまして、保険料の適正化を図った金額(効果額)が、健康保 険で30億、厚生年金で53億と、それぞれ前年度を上回っております。  次に18ページですけれども、これは国民年金の適正化でございます。  それから、26ページですが、政管健保・厚生年金の保険料の収納状況です。26ページの表の 保険料収納額では政管健保・厚生年金いずれも平成16年度及び17年度の収納額増えております。 このため、保険料収納率も政管健保97.9%、厚生年金98.5%と、いずれも前年より収納率が向 上しております。  続きまして32ページからは、国民年金の収納率、又はその収納促進対策の状況でございます。 これは先ほどの資料2の取り組みと重複しておりますので、説明を割愛させていただきます。  同じく38ページからは、保険料の免除等の状況でございます。同じく重複しておりますので 割愛させていただきます。  次は、42ページをお開き下さい。政管健保の医療にかかるレセプト内容点検の状況でございま す。政府管掌健康保険は、16年度108万件から17年度122万件ということで、レセプト内容点 検によりまして、過誤調整が確定した分の件数が増加しております。一方1人あたりレセプト点 検効果額ですが、16年度3,747円から17年度3,416円と、一見低下しておりますが、その状況 につきましては43ページに説明をしております。43ページの@政管健保のレセプト点検効果額 は、前年から331円下回っておりますが、内訳がア・イ・ウとございまして、アの内容点検調査 は、縦覧点検により修正する分ですが、その件数は大幅に増え、またその内容点検調査による効 果額も、16年度の738円から17年度806円と68円増加してございます。一方、イは資格点検調 査ですが、17年度からは古い保険証によるものあるいは家族のレセプトであるにも拘らず誤って 本人と書いたようなレセプトにつきまして、従来は返戻していたものを返戻対象から除き、効果 額からも除く取扱いにいたしました。これは効果額に入れたとしても、翌月又は翌々月には新し い番号で届きますので、最終的には医療費適正化効果になりません。したがって、これを除いた ことにより、352円減少いたしました。この効果が全体数字が小さくなった原因でございます。  次に46ページですが、政管健保の現金給付の事業では、17年度から申請書を受け付けてから 給付金が決定し、通知書が届くまでの処理日数の目標を定めました。それぞれ3週間以内という ことで、サービススタンダードという名称をつけております。実施状況は49ページの下のとこ ろに表がございます。傷病手当金・出産手当金等が平均所要日数18.5日、18.2日ということで、 先ほどの3週間の目標の達成率は85%前後となっております。一方、出産育児一時金等につきま しては90%台でございますが、傷病手当金につきましては負傷原因や傷病の原因の調査等に時間 を要するケースがありますので、少し達成率が低くなっております。埋葬料につきましても、事 業主からの被保険者資格喪失届の未提出を理由とする遅延等で、少々数字が下がっております。  次に54ページは、同じく年金給付に係るスタンダードでして、年金の裁定請求を受け付けて から年金証書が届くまでの処理日数は通常2ヶ月としており、ターンアラウンドのように加入状 況の再確認を要しない場合には1ヶ月以内としております。また、障害基礎年金につきましては 3ヵ月半という目標を掲げております。  実施状況は、57ページの下の表にお示ししておりまして、年金給付につきましては概ね90% 台の後半という高い達成率になってございます。表の一番下にあります障害厚生年金73.5%につ きましては、障害厚生年金におけます障害の程度の判定が、障害基礎年金におけます判定よりも 複雑となっており、また、その添付書類の不備などによりまして時間を要しているということで ございます。  それから60ページは、健保の検診の実施状況でございます。検診の実施者数・事後指導実施 者数・検診実施割合、いずれも16年度を上回り目標を達成してございます。  63ページには、年金福祉施設等の廃止・譲渡の状況について掲載をしております。  また、66ページは、効果的な広報ということで、指標としてホームページのアクセス件数など を掲載しております。   また70ページには、年金教育ということで、学校の生徒を対象とした年金セミナーの実施率 を、全ての学校の25%で行うという目標を立てており、結果としてセミナー実施率28.7%とい うことで目標を達成しております。  78ページには、年金相談の関係がございまして、78ページの年金相談指標といたしましては、 来訪の相談数834万から744万と、来訪数は減っておりますが、79ページにありますように、電 話相談件数等が相当数上っており、わざわざ事務所にお越しいただかなくても済むような年金相 談の実施を図っております。また、利用しやすい年金相談としましては、休日相談や相談時間延 長等々の対応をしておりまして、特に年金ダイヤルにつきましては、中央年金相談室の応答率が、 平成16年度の20.5%から平成17年度は77.5%に、大幅に応答率が向上してございます。  以下、若干細かい資料になりますので、説明は省略いたします。以上でございます。 〇宮武座長  ありがとうございました。毎回大変な大部な資料でございまして、なかなか取っ掛りが難しい かと思いますが、皆様のほうからご質問なりご意見なり、ご自由にお出しください。どうぞ。 〇小島氏  口火を切ります。1つ意見と1つ質問があります。今回の国民年金の保険料免除の不適切な処 理の問題で、第3次報告書と検証委員会報告書が出ております。参考資料1−1の第3次報告書 の5ページのCのところで、各地方での不適切な処理に対する本庁職員の対応の問題点が指摘さ れております。報告の中では、本庁職員が今回の不適正処理に対して、承認あるいは黙認したと いう事実はないという結論でありますけれども、地方からそういう情報が上がってきたにもかか わらず、社保庁全体の情報の共有化という形で不適正処理を防止できなかったとの指摘がされて おります。まさにその点は、長官が冒頭に言われたように、今の社保庁のガバナンスの問題であ り、社会保険事務局あるいは事務所での、各職員の法令遵守の意識の欠如というところが大きな 問題です。これだけ大きな問題になる前に未然に防止するということができなかったというとこ ろに組織のガバナンスの問題があると思います。やはり徹底して再発防止には取り組んでいただ きたいと思っております。幸い、本庁の関与は、検証委員会のほうでも無かったというふうに結 論が出されておりますので、そこはそのように受け止めたいと思います。   それと質問ですけれども、報告書概要の7ページに、今回の不適正処理の調査・検証している 中で上がってきた、その他の事案が出ております。その表の下から2番目の(I)のところで出 されております不在者登録処理、これも不適正といいますか、処理を行っているという事案が 104,777件起こっているということであります。確かに、保険料免除の不適正処理の問題につい ては、本人の同意無しに行ったといったような問題がありますが、一応は免除手続をしていると いうことなので、年金受給権には直接加入年数が無くなるという話ではありません。しかし、不 在者登録処理をされている方については、いわば未納者扱いということになり、長期間そのまま ですと、受給要件を満たさないということになりかねません。したがって、10万人を超える方が、 そういった処理をされており、本人の年金受給権の問題は極めて重要な問題でもあります。これ を1件1件もう一度点検をして、何とか本人の確認を取るような手続が必要ではないかと思いま す。これからどう処理・対応するのか、ということが質問です。 〇宮武座長  はい、参考資料1-1の7ページの下段のほうにあります例でございますが、お答え願えますか。   〇鈴木年金保険課長  ただいま小島委員からご指摘がございました不在者登録処理につきましても、不適正な事務処 理だということで、私ども非常に遺憾に思っておりまして、その点も含めてきちんと事後処理を していかなければならないと思っております。現在の処理状況のご報告でございますけれども、 ここに上げております104,777件全てにつきまして、まず不在者登録処理を取り消しました。取 り消した上で、実際には、小島委員がご心配されたように、納付書が渡っていた方、いない方そ れぞれいますので、それぞれ調べまして、渡っていない方には納付書をきちんとお届けしお詫び をする、という処理をいたしまして、その処理が現在一応完結をしております。これはご報告で ございます。 〇宮武座長  よろしいですか。はい、どうぞ。 〇遠賀氏  不適正処理の件数を見ると、大阪・沖縄・静岡他にもありますけども、他県に比べて大きな数 字になっています。全国の統計数字を見ていれば、こういった場合、突出した数字が出ていると 思いますが、社会保険庁ではこれらの件の免除・処理件数など統計数字を見ていて、疑問を持た なかったのでしょうか。また同様に社会保険事務局あるいは事務局長だけが知らなかった、とい うケースもありますが、事務局は事務所の処理件数などを見て、疑問を持たなかったのかなと思 います。  また、今回の不適正処理は、ほとんど申請すれば免除になるような所得の人で、勧奨しても申 請書を提出しない人が対象になっていると思います。これは免除申請がかなり面倒な内容になっ ているのではないでしょうか。今後ターンアラウンド方式などで、免除申請の簡便化を検討する としていますが、社会保険庁で所得が分かっていて、免除になるかどうか分かるのであれば、例 えば往復はがきなどで、免除申請の意思がある方は、記名・押印のみといった、これは極端な例 かもしれませんが、簡便な方法を考えたらいかがなものでしょうか。 〇宮武座長  どうぞお答えください。 〇鈴木年金保険課長  それではお答え申し上げます。1点目の非常に不適正件数の多い局について、統計上掴めなか ったのかということでございますけども、残念ながら、それぞれの局につきまして、実際どの程 度不適正なものだったかというのは、統計上の数字を見ただけでは分からないという状況でござ いました。他の局でも適正な免除をきちんと行って、統計上大きな数字を上げて来た局もござい ます。ただし、私どもはその反省に立ちまして、今後は例えば免除を取り消すというような、普 通では考えられない異常な処理が多数生じたような場合には、統計上アラームが私どもに発せら れるようにして、それでおかしな処理をしているのではないかということを見つける端緒にして いくというような取り組みを、再発防止として始めたいと思っております。  それから2点目ですけれども、おっしゃるように手を挙げていただければ免除になる方でも、 なかなか手を挙げていただけない。そこで現場がかなり汗をかいているというのが実態でござい ます。それで私どもも今回の反省として、ご指摘がございましたターンアラウンド方式をできる だけ早く実施したいと思っております。具体的にはご指摘がございましたように、記名と捺印あ るいは署名というものがあれば、後は私どもでそれを預かって、市町村その他の手続も含めまし て、免除に繋げることはできるよう、システム化には一定の時間も必要ですが、できるだけ早く 実施をしたいと思っております。以上でございます。 〇宮武座長  宜しいですか。 〇遠賀氏  ありがとうございました。 〇宮武座長  鈴木委員、お待たせしました。 〇鈴木氏  資料1−2「改革のリスタートプロジェクト」というのに取り組まれたということでありますが、 その2ページ目のところに「全職員対話キャンペーン」であるとか「長官と本音で語ろう」とい うことが書いてあります。非常に重要なポイントだろうと思います。以前から村瀬長官は各事務 局を回られ、直接対話をしておられると、私伺っておったのですけれども、やはりこういった対 話の中から、モラルの向上というものが図られるのかなと思われます。民間でもご承知の通り、 労使コミュニケーションというものの大切さというのを、最近非常に強く打ち出しているわけで す。ここが一番日本の強みになる部分だと我々理解しており、官においても同様ではないかと思 っておりますので、是非これを積極的に進めていただいて、こういったことが二度と起こらない ように、是非お願いをしたいということが1点目であります。  それから2番目であります。今ご説明いただきました資料2です。納付率は下げ止まりから反 転へと。これはもう事実ですから、これでもちろん良いわけであります。それでその資料の中で、 3ページ目でしょうか、一番下に、納付対象者数が大きく減少している中で、納付月数の減少は 比較的少なく、実質的に増加していると言えると、こういうふうに答を出しておられます。これ は本当なのかもしれませんが、6ページに上昇した3.5%の内訳が書いてあり、この中では払わ なければならない人が払うようになったためという分析は、少なくともここには出ていません。 それからその次の7ページ目に、今紹介のありましたように、福島県の白河、甲府、大手前とい ったような所が、納付月数が増加しているということが書いてあります。こういった一連のこと を読むと、確かに1ページの納付対象月数が急激に減っている。これはいろいろな免除基準を改 正したこと等によるのだと思いますが、その免除基準でこの納付対象月数から外れた人達という のは、その以前においてもほとんど納付していなかった人が多いのではないか、ということにな りますと、やはり納付月数が少しでも上向くことによって、この数字が上がるというところまで、 頑張る必要があるのではないかという気がいたします。事実そうなった所もあるわけですから、 3ページにあるようにあっさりと、これで良いと言い切ってしまうのには、若干甘さがあるので はないかという感じがいたします。  それから非常に事務局・事務所で、成績が上がっている所があるわけですが、こういった所を どのように、これから各局あるいは事務所のインセンティブとして使っていくか、という手法の 問題でありますが、成績というものを付けて、規律を上げようというような運動も片方にはある と聞きますけども、こういう納付率の向上というのはかなり重要なことでありますから、こうい う実績が上がっている所には、団体として何らかの処遇をするというのは結構効果的ではないの かなと思います。これは民間でも最近各社取り入れている手法ですから、個人個人の成績査定を するよりも、グループで査定をして競わせる、というのは日本人の性格からいって、極めて効果 的だと思いますから、是非そこもご検討いただきたい。それから(参考)の中の公的年金制度全 体の状況というところで、表がついており、今の資料3でも、厚生年金の事業所の適用促進の話 も出ているのですが、この前、日経新聞だと思いますが、大きくその記事が出ていました。これ は総務省から出た参考資料11の中に出ているわけですけども、今説明いただいた資料3の適用 促進に関するご説明と、この総務省が出している行政評価・監視という勧告と内容が合っている のかなという気がします。例えばこの参考資料11の2ページのところに、適用漏れ事業所の把 握の効率的かつ的確な実施、と書いてありますけれども、この適用漏れの恐れのある事業所の数 や適用漏れの恐れのある被保険者数が、267万人もいるとあります。そうすると先ほどの表の人 数とは、整合性があるのかなと思います。先ほど説明のあった適用漏れの恐れのある事業所の数 が、1桁違うのではないかなというようなことがありますし、この調査結果2ではかなり厳しい 指摘が出ています。それに対して、先ほどの資料3の説明の中には、そのあたりの説明がないの ではないかなと思いますので、そのあたりを少しご説明頂けるとありがたいです。当面そこまで 質問を申し上げたいと思います。 〇宮武座長  1点はご意見ということで、あと3点のご質問を兼ねた件ですが、お答えいただけますか。 〇松岡医療保険課長  医療保険課長でございます。厚生年金の未適用の事業所のことについて、ご質問がございまし た。この適用の促進につきましては、先ほどの資料3の11ページから12ページにかけてご説明 をさせていただきました。この中でございますが、我々といたしましてはこの未適用の事業所に つきましては、資料3の12ページのCの未適用事業所の状況にあるように、雇用保険の突合の 結果や法人の登記の閲覧で把握をいたしまして、その中から文書指導や巡回説明・戸別訪問等な ど実地に行ったり、巡回で行ったりいたしまして、適用促進に努めております。把握をいたしま して、そういった形で適用促進に努めておりますが、これは未適用であるということではっきり 掴んでおるものが、17年度(18年3月末)で約64,000件であるということでございます。ただし、 この未適用の数の全体像がどうかといったところについては、現段階では把握をしておりません ので、我々の中で分かり得るところについては把握をして、その適用に努めているところでござ います。総務省の勧告で挙げられておりますデータといったものは、これは一定の前提をおきま して、推計をしたというものでございます。この推計のやり方については、いろいろと考えるべ き点はございますけれども、社会保険庁といたしましては、労働保険と厚生年金保険の適用範囲 の相違などにも留意しながら、この推計値も参考にしながら、未適用事業所の全体像の把握に努 めていく必要があるものと考えております。 〇鈴木氏  よろしいですか。 〇宮武座長  どうぞ。 〇鈴木氏  結局その勧告が出ているのが63から70万事業所であって、社会保険庁が認識しているのが 63,000件だというと、1桁違いますよね。ですから何かこれは少し問題を起こしはしないかなと いうことで、心配をしているのです。この勧告をどういうふうに受け止めて、どうしようとして おられるのでしょうか。 〇松岡医療保険課長  この勧告で挙げられております出し方としては、厚生年金にも労働保険にも加入してない部分 があります。それから雇用保険には加入しているけれども厚生年金に入っていない部分がありま す。それぞれ約30万として推計をいたしております。したがって、少しこの推計のやり方、中 身といったところは、1つの推計値でありまして、厚生年金と労働保険の適用の範囲の違いなど ございますので、その数については、今後調べて行く中で、よく吟味していく必要があると思っ ています。我々としてはいずれにしても、労働保険との突合データ等で分かったものを踏まえて、 そのデータを基に、一生懸命適用促進に努めていく。こういった努力をしていくということが大 事だと考えております。 〇鈴木氏  ここの総務省の報告を見ると、調査結果2というところに、電算システムの活用が不十分で非 効率と書いてあります。そして、突合リストは、14事務所が正確性と最新性が欠如している、と いうようなことが書いてあったりしている。それから、Aでは法務省が登記情報を電子化してい るにもかかわらず、社会保険庁はこれを利用していない。このため法務局での閲覧に多大な業務 量が発生し、中には閲覧を全く実施していない社会保険事務所が13事務所あるということが具 体的に書いてあるわけです。こういうことがどうしてもまた新聞に出てしまうのですけれども、 これはまた何かあるのではないかということですから、こういう勧告が出たら、はやり迅速に何 らか反応をしないと、せっかく努力しているのに報われない、ということになりはしないのかと 思います。まず是非良く検討してもらって、またこういうことで記事が出ないようにしてもらい たいと思いますし、ここで267万人が被保険者から漏れている恐れがありますと、さっき申し上 げました表の人数も、こんなにぴったりと本当に上手くいっているのだろうか、というようなこ とにもなりかねないので、この表を出す際も、あの批判はどこに入っているのということも、慎 重に中で議論をして、書類を作らないといけないのではないかと思いますので、申し上げておき ます。 〇青柳運営部長  厚生年金と国民年金にまたがる話なので、私の方から一言付け加えさせていただきたいと思い ます。今鈴木さんがご心配されたような267万人の数は、全部とは思いませんが、実は相当部分 が国民年金の被保険者になっておられます。もちろんその中に結果的に滞納をしている方もいる と思いますが、267万人が丸々無年金になるようなことではないということは、まずご理解を賜 りたいと思います。 〇鈴木氏  全くそのとおりです。 〇青柳運営部長   それから、なかなか我々も評価局にはいろいろ言いたいことがあるのですけれども、同じ政府 の中での話ですから、こういう場で批判めいたことを言うのもいかがかなと思いますので、今医 療保険課長もやや物のはさまったような言い方をしたと思うのですが、ただ一つはっきり申し上 げられるのは、実は平成16年、17年以降に初めて、ある意味では村瀬長官が来てから社会保険 庁で、という言い方をしたほうが良いのかもしれませんが、初めて事業所で登記あるいは雇用保 険との不突合があったものをきちんと追いかけるようになりました。それまでは調査をしても、 ある意味でほったらかしにしていましたので、いわば根雪が溜まり、それがどの位の数になって いるか見当もつかないという状況だったものを、16年度以降にそうやって新たに発見をしたもの を、きちんと追いかけていって、それをいわば管理をする、これができるようになったのが、恥 ずかしながら平成16年度以降という状態でありまして、その意味で65,000という数字は、16年 度以降にきちんと管理をし、個々にこの事務所はどうなっているのか、ということを把握してい るものという意味、つまり個々の事業所を特定した形で把握できているものの数、とご理解いた だきたいと存じます。従ってそれ以外の、いわば特定できない、しかし根雪のような形になって いるものが相当数あるのではないか、という指摘は謙虚に受け止め、その解消も平行してはかっ ていかなければならないと思うのですが、まずはきちんと特定をして把握しているものを、一つ でも無くしていくこと、この努力に全力を傾けているというのが現在の状況だとご理解を賜りた いと存じます。 〇鈴木氏  それはある程度分かっているつもりで申し上げているのですが、そうするとこの事業実績・報 告書の書き方が、もう少ししっかりしていないと、全然勧告を見ていないということになります ので、そこはもう少し分かりやすく、こういうことでこういう結果があるけれども、こういうこ とを行っているのだと言えば、分かるわけです。それが落ちていると、また大きな批判の対象に なるのかなと、それを心配しているので、是非気をつけて扱っていただければと思います。 〇宮武座長  あと2点ほど、鈴木委員からのご質問兼ご意見ございました。納付対象数が大きく減少してい る中で、納付月数の減少が比較的少なく、実質的に増加していると。こういう表現が適切かどう かというご意見と、実績を上げている所に対して、事務所として評価をして行くということはで きないかということだと思います。 〇鈴木年金保険課長  2点あるうちの1点目ですが、鈴木委員からご指摘をいただきました、そもそも納付月数を増 やして行かないといけないということは、まことにその通りでございまして、これから我々はそ れに全力を尽くして行かないといけないと思っております。国民年金の被保険者数が、景気の動 向もありまして減って行く中で、絶対数で伸びるかどうかということは分かりませんが、とにか くここを実質的に伸ばして行かないといけないということでございます。その中で今回17年度 の伸び率分析について、資料2の6ページのところで、3.5ポイントの要因を見ると、全部分母 ばかりじゃないかというご指摘でございますが、この3.5ポイントの上昇の要因については、納 付率を上げた要因と下げた要因と全部並べてみて、その差し引きを見て、3.5という分析をする のが実は正しい分析でございます。しかしながら、今回その分析が不適正事案の影響でできませ んでした。そこでこの6ページは、とりあえずできるものだけ分析してみようというものであり、 本当はそういう注釈を丁寧に付ければ良かったのですが、付けておりませんので、そういった非 常に限定的な分析だということは、ご承知いただきたいと思っております。それから、この分析 の中でもやはり法律改正事項として、若年者猶予や免除の遡及といったツールができましたので、 現場としてはここを一生懸命やろうということで、適正な働きかけをしたということは、自然な ことではないかと思っております。いずれにしましても、私どもこれから、払っていただくお金 をどれだけ増やすのかということに全力をあげて行きたい、そういう意味でご指摘をしっかり受 け止めて、やらせていただきたいと思っております。 〇中野総務課長  総務課長でございます。ご指摘の2点目、業績をどのように反映させていくのか、という点で ございます。私ども17年度に人事評価制度を試行的に導入しまして、平成18年度から幹部職 員、事務所の課長以上の職員には本格的な実施をしております。その中で業務の上で成績を上げ た場合には、勤勉手当にこれを反映させるということにいたしておりまして、事務所として優秀 な成績を上げた事務所につきましては、その勤勉手当の引き上げについて、特別なファンドをそ の事務所分についてまとめまして、事務局に配分をするという取り扱いにすることといたしてお ります。そういう形で一生懸命努力し、成果を上げた事務所については、評価がされて行くのだ ということで、現場のやる気といいますか、健全な仕事への取り組みを、より多く引き出してい くような形にしていきたい。一般職員については、19年度、実績のボーナスへの反映を行う予定 です。なお、17年度は未だ試行段階でございましたので、勤勉手当に反映させるのは、今年度の 成果からということになります。 〇宮武座長  よろしいでしょうか。 〇鈴木氏  はい、良いです。 〇宮武座長  他にございませんか。井戸委員。 〇井戸氏  ご質問が1点とそれから感想を1点話させていただきます。資料2ですけれども、6ページ目 のところのE納付状況の要因分析というところなのですが、第1号の人口構成の変化による影響 で、0.2%上がっているのですけれども、人数が変わったから上がっているとここには書いてあ るのですが、それ以外に理解して払うようになったことによって、コンビニ払いが増えているこ とや、それ以外に意識調査というのでしょうか、現場を知ってらっしゃる方、例えば集金をされ る方のアンケートを取ってみることや、もう払わないと言われる方の理由を確かめてみること、 あるいは地域性もあるかも知れないのですが、そういうことが分かれば、もう少しスポットを当 てて徴収し易いのではないかというのが1つご質問です。そういった調査があるのかどうかとい うことです。  それから感想ですけども、次のページですが、実は大手前の社保には時々行くのですが、ここ はとても対応が良いのですね。やはり納付月数が増加しているというのは、聞きに行かれるから だと思います。やはり行ったところの社会保険事務所の環境とか、それから会った時のその職員 さんの説明の仕方など、それによってとても違って来るのではないかと思います。他は行ってい ないので分からないですけれども、感想でご報告させていただきました。 〇宮武座長  質問のほういかがですか。 〇鈴木年金保険課長  1点目でございますが、この人口構成の変化と申しますのは、1つは年齢が高くなればなるほ ど納付率が高いというのは、これはもう自然の人間の本姓に根付くものだと思います。その上で、 今、団塊の世代の方々がだんだんお年を召していらっしゃいますので、そうすると大きな人口の 集団が、だんだん年齢の高い方、すなわち納付率が高い方に移って行くので、その影響だと思っ ていただければよろしいかと思います。また、動機に基づく要因分析についても、重要だと思っ ておりまして、具体的には17年度の被保険者実態調査、これはアンケート調査でございますが、 いろいろな施策に活用しております。詳細な調査結果は現在取りまとめ中でございますけども、 今いただいた点も含めて、きちんと施策に活かしてまいりたいと思っております。 〇宮武座長  他にはございますか。稲上委員どうぞ。 〇稲上氏  たとえばですが、民間企業が営業利益率を上げることと、この納付率を上げることとを比較す るのがよいのかどうかよく分かりませんが、要するに、納付率を上げようとして、結果として大 きな不祥事が生じたということでしょうか。法令違反が次々と現れて、それも僅少な数ではなく て、膨大なものであるということは、本当にこれは深刻なことだと思います。法律違反に伴う処 分のことについてはここにいろいろと書かれていますが、しかし道義的責任まで含めていうと、 本庁職員の責任はきわめて大きいと私は思います。法律上問題はなかったということかもしれな いのですが、しかしきつい言い方をしますと、ある指示を出してこういう事態になることをまっ たく予測もしなかった、できなかったということであれば、そのこと自体やはり問題である、と いうくらいに考えないといけないように思います。ともかく、今回の事態は非常に深刻なことだ という印象があります。まず、この点を申し上げておきたいと思います。  制度の詳細について疎いので、いくつか質問があります。まず、資料2の最初のページの折れ 線グラフなのですが、納付率は90年代の中頃がピークでしょうか。いろいろ実力ベースだとい うお話が後に書かれていますが、85.7というところからどこがピークなのでしょうか。そのあと 緩やかに、しかし傾向的に納付率が下がってきているわけですね。なぜなのでしょうか、という ことが質問のひとつです。  それからもうひとつ、同じく資料2の4ページにありますが、平成19年度の目標は80%とあ ります。これは2年先ですね。次の5ページのところを拝見すると、実質というのでしょうか、 実力ベースをみると、現状との比較で馴染む数字は、69.9と67.1なのでしょうか、もう一度ご 説明いただきたいと思います。仮にそうだとすると、この80という数字は、これから2年後に 67.1から80に上げるという意味でしょうか、あるいは別の数字が想定されているということな のでしょうか。現状が67.1で、2年後に80というのは、普通にいえば途方もない目標ではない でしょうか。率直にいって達成できるのでしょうか、そういう印象をもちます。実際には別の数 字が考えられているということであれば、それとして理解いたします。  それから、別の質問なのですが、この資料1−1を拝見すると、今回の問題の「構造的背景」 について他の報告書にもいろいろと書かれていますね。確かにここに書かれているような問題が 事務局・事務所にあり、また本庁にもあったということだと思います。再発防止策についても、 それはそれとしては理解できますけれども、その法令遵守ということで大事だと思いますのはた とえば職員の行動基準、行動規範を作られる時に、法律を遵守しなければいけないということを いくらいっても、率直にいってあまり意味がない。民間企業の法令遵守についてはいろいろな事 例がありますけれど、それに関しては必ず経営理念といいますか、もう少し突っ込んだ経営理念 あるいは企業理念に関わることが普通は謳われていると思います。そういうことは、ご検討にな っているのだと思いますが、立ち入って言及する必要があると思います。法律を守るべきだとい うのは当たり前のことで、それだけでは少し不足するところがあると思います。  それから、1ページの(2)の、本庁の問題は特にCですね。これがきわめて重要なことだと思 います。ただ、コンプライアンス意識の改革・刷新をしますといっても、それをどういうふうに するのかといえば、それはやはり広い意味での教育ということが非常に大事になるだろうと思い ます。細かな数字は分かりませんけれど、事務所ベースで申しますと、あるいは事務局を広く含 めてそうなのかもしれませんけれど、正社員じゃない方たちがかなりいらっしゃると思いますね。 パーセンテージは知りませんけれども。コンプライアンス教育という場合、当然幹部の教育はも ちろんでしょうが、広く現場末端の方たちといいますか、その人々を十分視野に入れたものであ ることが非常に大事だと思います。つまり、企業倫理・理念、制度設計、教育訓練といったもの が互いに連動しないと、結局うまく行かないのだろうと思います。  前置きが長くなりましたけども、そのうえでの質問は、2ページの再発防止策でお書きのこと なのですが、さきほど長官が直接職員と対話なさるという話がありました。とても良いことだと 思います。企業不祥事があった民間企業でも社長と社員との直接対話、そういうことがしばしば 行われています。そこで、リスタートのプロジェクトということなのですが、この再発防止に関 する具体的なことがらとして、どの時期にどういうことをやろうとしているのか、何を目標にお られるのかということですね。あまり遠くない将来、社会保険庁は抜本的な組織改革を経験する ことになるのでしょうが、この苦い経験を踏まえて、いま具体的にどういうことをしようとお考 えなのか、それがもうひとつの質問です。 〇宮武座長  本庁職員の道義的な責任は、極めて重大であるという点や、あるいは再発防止を具体的にもう 少し詳しく説明せよという、この点については、まとめてお答えいただけませんか。その後ご質 問の、なぜ納付率が長期的に下降線を描いているのか、あるいは実力ベースでの納付率の計算と いうものが、少し分かりにくいというご質問だったと思います。最初のご意見の2点についてお 答えお願いします。 〇高橋企画室長  再発防止策でございますけれども、3次報告書の概要と表題をつけております参考資料1-1の 8ページに、今般の再発防止策6項目をまとめております。(1)法令遵守の意識の徹底につきまし ては、外部からの法令違反通報窓口を設置する。これは既に6月末にスタートしております。そ れから法令遵守委員会を、地方事務局にも設置する。これは7月に既に実施しております。また 法令遵守研修の実施など着手しております。また業務がバラバラであったため、それぞれ事務 局・事務所毎にいろいろなやり方をしていたことにつきましては、業務マニュアルを作るという ことで、昨年来取り組んでまいりましたが、第1段階のものが完成いたしまして、本年の10月 から業務マニュアルに沿った運用を開始していきます。更に来年度には、より細かいものを検索 したり、随時閲覧できるようなシステム化というところまでもっていきたいと思っております。  また、パンフレットやチラシなども今回、事務局・事務所でいろいろなものを作り、それに不 適切な物があったということにつきましては、パンフレット・チラシは全国統一をします。なお、 事務局・事務所で異なるものを使いたい場合には、審査をするという仕組みを既に実施しており ます。  それから3番目のシステム的なチェックにつきましては、異常な数値について監視できるよう なシステムにするということで、本格的なシステムは、システム刷新がされなければ難しいので ありますが、まずは当座、異常な数値が出たときに監視することが早期にできるようにしたいと 思っております。また、おっしゃる自動読み取り機によって自動チェックをすることの必須化、 これは既に通達をしております。  それから(4)監察部門の強化でございますが、これにつきましては、外部人材を登用した特 別監査官を18年度中に置きます。それから今まで都道府県単位の監査官・監察官を置いており、 身内で監査するということでは弱いということで、ブロック単位化を10月から実施いたします。  また、ガバナンスを強化するための日常の業務執行ルールの明確化。これは8月からスタート をいたしました。  能力重視の広域人事異動ということで、しっかりと管理できる能力を持つ人材を、管理職に就 けるということにつきましては、今般の人事でも断行しておりますし、また人事評価制度等を行 う中で、そのようなことを進めてまいります。  一つ法令遵守のための経営理念ということもご指摘がございました。社会保険庁の職員行動規 範で8項目まとめてございますが、行動規範の第一は、お客様第一ということでございまして、 私たちは全ての国民の皆様をお客様として、お客様第一の精神で取り組みます。また第2番目の 行動規範は、国民へのサービス向上に努めます。3番目は、安心と信頼ということでございまし て、このような理念の下、行ってまいるということでございます。 〇宮武座長  長期的な納付率の低落傾向についてと、もう1つ、この実力ベースでの納付率というのが出て いる。このへんが非常に理解しにくいというご質問でもありましたが、どなたかお願いします。 〇青柳運営部長  まず資料2の、1ページ目をご覧いただきたいと思います。稲上先生からもご指摘のあったよ うに、この納付率がどこから低落しているか見るところがあるかもしれませんが、一番端的に現 れているのは、平成7年度以降それまで80%台あったものが、70%台に低下しているところを見 ると、どなたがご覧になっても明らかな低下傾向をご覧いただけると思います。この時に折れ線 を見ていただくのと併せて、後ろにある棒グラフも見ていただきたい。棒グラフの白いポツポツ になっているところは、納付対象月数ということでありまして、平成7年度、小さい文字で書い てありますが、手帳送付による職権適用開始が、この平成7年度から段階的に実施されておりま す。何を言いたいかと申しますと、すなわち二十歳になった人は、住民票に基づいて、その住所 に手帳を全部送りつけて、保険料を払おうが払うまいが、あなたは被保険者なのだということで、 適用を拡大しました。そのことによって平成7年度以降、この白いポツポツの棒グラフが伸びて おります。もちろん、景気の問題などありますから、それだけが理由ではありませんが、この白 いポツポツが黒い斜線の減り方以上に伸びているということは、直感的にもご覧いただけるだろ うと思います。すなわちこの平成7年度職権適用の開始に伴って、それまで未加入という形で放 置していた方々を、被保険者として適用しました。しかし残念ながらその方々が、皆さん保険料 を払っていただくというわけにはいかないので、未納者が増えました。そのことによって納付率 が下がっているという現象をこの1ページのグラフから是非読み取りいただきたいと思います。 この点について、直感的な議論だけではまずいものですから、平成9年度以降ということで、5 ページのようなグラフを、今回初めて作ってみました。実際その効果がどのくらい現れてくるの かということを、我々も数量的に掴もうということで、この5ページのグラフができております。 まずこういう関係をご理解いただきたいと思います。その上で、平成9年度の80%というものを、 今後どのように考えていくのか、こういうお尋ねだったと思います。我々は、この69.9という 平成9年度の一番下の数字に相当するところまで行けば、平成9年度のいわば従来80と言って いたものは、実質的にクリアできるのではないかと単純に受け止められると、少し具合が悪いか なと思っております。なぜかと申しますと、そもそも平成9年度の79.6、80という数字自身は、 当面の目標として我々が定めたものでありますから、これは先ほど鈴木委員からもお尋ねがあり ましたように、本来これは100でなければいけない数字だろうと理解しております。その意味で は69.9になればそれで終わりなどという甘い考え方は、ゆめゆめ持ってはいけないと我々は認 識しております。それから現時点では、74.5という19年度の従来からの目標数字を目指して、 現場が努力をしている時点でもありますので、直ちにこの数字目標を改めるということも、仕事 の進め方という意味で、適切ではないのではないかと理解をしております。ただし将来のことを 考えますと、今回の不適正免除問題の最大の反省点として、分母の問題・分子の問題を一切考慮 せずに、結果としての80ということだけを追求しようとしたのではないかと我々も反省をして います。従いまして、今後この問題をどういう目標で考えていくのか、という議論をするとすれ ば、これは分子がどうなっているのか、それから分母がどうなっているのかということを、もう 少し細かく見ていくような手法というものを、工夫していかなければいけないと理解をしていま す。従いまして結論、繰返しになって申し上げますが、まず69.9というような数字をクリアに すれば良いという単純な考え方は、我々は持っておりません。それから80というのが、実現不 可能ではないかというお尋ねがございましたけれども、我々としては最終的には、100に近いも のにならないといけないと思っていますし、それはしかし、分母がどうであるか、分子がどうで あるか、これをきちんと見た上で、出てきた数字がどうなのかということをお示しする作業とい うものが、ワンクッション必要ではないかと思っております。ただし、現時点では、それを具体 的にお示しできる材料が揃っておりませんので、我々としては、努力をした結果として、更にご 相談をしながら、またご意見をいただきながら考えていく、というステップを踏みたいと考えて おります。 〇宮武座長  はい、時間もちょっと迫ってまいりましたので、残りの資料4以降を、簡潔にご説明願えませ んか。 〇和田企画課課長補佐  それでは資料4の、平成17年度収支決算について、ご覧いただきたいと思います。政府管掌 健康保険の収支決算の推移でございます。こちらにつきましては、平成17年度だけ申しますと、、 収入支出とも、前年度より被保険者の増加等によりまして、増加しているという状況でございま す。単年度の収支差ですが、1,494億円の黒字と前年度よりは若干、黒字幅が減少したという状 況でございます。  続いて船員保険ですが、こちらにつきましては全体的に、平成13年度から17年度にかけまし て、被保険者の減少によりまして、収入と支出とも減少しているという状況でございます。  それから厚生年金保険の収支決算の推移についてです。こちらにつきましては、収入支出とも、 平成13年度から増加傾向ですけれども、17年度につきましては、かなり収入支出とも増加にな っております。これは収入面では、保険料収入の増加と、大きな要因としては、積立金より約6 兆2,500億円受入を行ったことによりまして、前年度より約5兆7000億円増加しております。 また支出のほうでございますけれども、これも受給者数の増加に加えまして、これは年金住宅融 資にかかる資金の繰上げ償還の財源で、約4兆800億円支出したことで、昨年より5兆円ほど増 加しております。単年度の収支差につきましては、9,672億円の黒字でございます。  それから国民年金の収支決算の推移でございます。こちらは平成16年度まで、収入支出とも 徐々に下がっている状況でございましたけれども、17年度につきましては、大幅に増加をしてい る状況でございます。これは厚生年金と同様でございますが、収入面では積立金からの受入を行 ったことが、大きな要因となっております。それから支出面につきましても、同様に年金住宅融 資にかかる資金の繰上げ償還の財源ということで、これを約2,600億支出したことが影響してい ます。単年度の収支差につきましては、約1,071億円の赤字でございます。  資料5-1でございます。平成19年度社会保険庁概算要求の概要について、ご説明させていた だきます。平成19年度におきましては、行革推進法に基づきまして、特別会計の見直しを行っ ていくということを踏まえまして、これまで厚生保険特別会計と国民年金特別会計ということで ございましたけれども、これを統合し、年金特別会計(仮称)を設けることにしております。これ と船員保険特別会計と合わせまして、合計でございますが、歳入を72兆2,285億円、歳出を72 兆2,254億円と要求しております。また、国庫負担の要求額、それから各勘定別の歳入・歳出・ 収支差を上げさせていただいておりますが、説明のほうは省略させていただきたいと思います。  社会保険庁の事業運営費でございますが、要求のテーマといたしまして、不適正な事務処理の 再発防止と業務改革・組織改革・職員の意識改革の更なる推進ということで、社会保険庁改革に 取り組むということにしております。事業運営費の合計でございますが、4,957億円を要求して おります。  具体的な要求項目を絞って説明させていただきます。2ページ以降をご覧いただきたいと思い ます。2ページでございますが、1つは組織改革・職員の意識改革の推進ということでございま して、新規の事項といたしましては、法令遵守研修の充実であるとか、全国統一の業務処理マニ ュアルを、随時検索・閲覧できるようなシステム化を図るといったことを考えております。  2つ目の柱の業務改革の推進でございます。国民サービスの向上につきましては、3ページの 中ほどになりますが、年金電話相談業務の見直しということで、中央年金電話相談室と全国23 箇所の年金電話相談センターについて、平成19年度から順次集約化を進めるということで、コ ールセンターを整備するということでございます。また下のほうですが、政府管掌健康保険にお きましては、検診の受診者の拡大、あるいは肝炎ウィルス検査の充実を図ってまいりたいと考え ております。  1枚おめくりいただきたいと思いますが、保険料収納対策の強化でございます。こちらにつき ましては、行動計画に基づく納付督励の着実な実施であるとか、それから所得情報を活用した強 制徴収の拡大。こういったものを中心に制度の周知、あるいは保険料を納めやすい環境づくりを 進めていきたいと考えております。それから国民年金保険料の収納業務につきましては、公共サ ービス改革法に基づく民間委託。これは市場化テストと呼んでいるものでございますが、対象を 35事務所から95事務所に、大幅に拡大したいと考えております。  1枚おめくりいただきまして、厚生年金等の未適用事業所に対する適用促進。これにつきまし ては全312箇所の社会保険事務所で、民間委託を実施するということにしております。  それから社会保険オンラインシステムの見直しにつきましては、18年度から5ヵ年で計画を進 めておりますが、平成19年度は2年目ということで、1,434億円を要求してございます。  最後のページは、特別会計の統合と被用者年金の一元化の取組み、ということで挙げさせてい ただいております。  それから資料5-2でございます。社会保険事業運営に必要な経費ということでございます。こ ちらにつきましては、事務費とその他の運営経費ということで、大きく分類した上で、経費の区 分毎に、内容と要求額と財源を整理してございます。事務費のうち、一番上の職員人件費等、約 1,842億円でございますが、こちらにつきましては国庫財源ということでございます。またその 下に、保険事業に直接関わる経費ということで、これは適用・徴収・給付ということで、経費を 分類しておりますけれども、これにつきましては保険料財源を充てることにしております。それ から、その他の運営経費ということで、4つほど項目を挙げさせていただいておりますが、これ につきましても、保険料財源を充てるということにしております。  最後に、資料6-1でございます。全国健康保険協会のシステムについて、ご説明させていただ きます。政府管掌健康保険につきましては、先の通常国会で健康保険法の改正法案が成立いたし まして、平成20年10月から全国健康保険協会ということで、国から切り離された公法人を保険 者として成立いたします。そして、全国健康保険協会において、健康保険事業を実施していくと いうことにしております。このため協会の設立に向けまして、社会保険庁のオンラインシステム とは独立した、新たな健康保険業務のシステムを開発していくということでございまして、この 資料6-1につきましては、この新たなシステム開発に向けての考え方・方向について、説明をし たものでございます。左側は、現状でございますが、健康保険業務につきましては、現在は社会 保険オンラインシステムを利用して、厚生年金の業務と一体的に処理をされておりますけども、 課題にありますとおり、業務の効率性あるいは合理化の面で、手作業が多いといった点や被保険 者サービス等の面で、現金給付の支払いまでに時間を要するといった課題がございます。こうし たことから、新たな仕組み・システムにつきましては、中ほど基本理念を挙げさせていただいて おりますが、業務の効率化・合理化、被保険者サービスの向上、保険者機能の強化、安全性・信 頼性の確保、経費削減といったことを掲げまして、システム開発を進めてまいりたいと考えてお ります。具体的には民間の健康保険組合向けの汎用パッケージを、最大限活用していくことを想 定しております。それと共に右側の最適化の実施内容に書いておりますけども、業務の効率化・ 合理化の推進といった点では、各種業務処理のシステム化の推進、データの統合管理。被保険者 サービスの向上ということでは、支払い期間の短縮や口座振替の導入。それから保険者機能の強 化ということにつきましては、医療費の分析機能の充実。それからシステムのオープン化、サー バーの集中化といったことで、費用対効果に優れたシステムを実現していこうということで、こ うしたシステム開発を進めてまいりたいと考えております。  それから次のページは、システムのイメージということでございます。詳しくは省略いたしま すが、協会のシステムにおきましては、年金運用主体から日々、被保険者情報等からデータを受 けまして、保険給付を行うことになります。従いまして社会保険オンラインシステムと適切なイ ンターフェースを確保していくということが重要でございます。そのため、オンラインの利用促 進あるいは安全性・信頼性の確保といったことにも留意しながら、システムを構築していく必要 があるものと考えております。  以上申し上げましたシステムの詳細につきましては、説明は省略させていただきますが、資料 6-2ということで、社会保険業務の業務・システム最適化計画(案)の中に盛り込んでございます。 これは、今年の3月に決定したところでございますけれども、この中に健康保険の業務の関係が 盛り込まれておりませんでしたので、今般健康保険業務につきましても、この計画の中に盛り込 みまして追加をさせていただいております。後ほどご覧いただきたいと思います。具体的には20 ページ以降に、内容について掲載をさせていただいております。今後この計画につきまして、パ ブリックコメントを出した上で、10月末を目途に、最適化計画の改訂という形で決定をしてまい りたいと考えております。以上でございます。 〇宮武座長  ありがとうございました。それではご質問なりご意見なり、いかがでしょうか。どうぞ。 〇小島氏  今資料をご説明いただきましたけれども、19年度の概算要求の件です。資料5-2で、社会保険 事務運営に関する必要な経費ということで、前回の事務経費はどういう項目でどのくらいかかっ たのかということを、今日提示していただきまして、ありがとうございます。この中で見ますと、 各事務費とその他の運営経費と分かれております。その事務費の中でも、国民年金の適用事務に 必要な経費、あるいはその下の、厚生年金・政管健保の適用事務に必要な経費という項目が分か れており、その費用を保険料から充当する。その際には国民年金の特会、あるいは厚生年金、健 保特会からの保険料を拠出するということになるのだと思います。そうしますと、その他の運営 経費の中での社会保険オンラインシステム費、これは今政管健保のことを言いましたけども、年 金のほうのオンライン適正化、これは当然国民年金と厚生年金があります。その保険料の拠出・ 充当の比率についてはどういった仕分けがされているのかということが質問です。 〇宮武座長  お願いします。 〇戸田経理課課長補佐  経理課の戸田と申します。今の特別会計の中でも、例えば年金の相談やオンラインは、各々厚 生特別会計と国民年金特別会計と別々に計上されているものが、今回特会が統合になるため一緒 の計上になります。この費用負担の考え方としては、例えばその相談に来られる対象者の、被保 険者数の割合、あるいは相談の記録通知を発送するにあたっては、その国民年金の受給者の数と 厚生年金の受給者の数、そういった形で按分をしております。また、システム設計においては、 例えば職域部分の厚生年金の年金額計算の開発にかかるものについては、厚生年金の費用で賄う、 といったような考え方を取っております。 〇宮武座長  小島委員、よろしいですか。 〇小島氏  はい、とりあえず。 〇宮武座長  他に何かございますか。どうぞ。 〇鈴木氏  年金国会が行われたのは、2004年でしたでしょうか。給付と負担の見直し、あるいは基礎年金 の国庫からの2分の1というようなことが議論されて、この年金システムというのは100年もつ という人と、いや単なる政治家のパッチワークだから、もう一度抜本的に見直しされなければい けないという方と、両方いるのですけれども、この収支の資料を見て、計画通りに行っていると 理解すれば良いのか、それともあの時議論したのと大幅に実は違っているというのでしょうか、 そこのところをお伺いしたいのですが。 〇宮武座長  大変難しい質問です、どうぞ。 〇青柳運営部長   今日お配りしたものでいえば、参考資料3-3に、17年度決算の概要資料の細かいものを付けさ せていただいております。それで4ページ、5ページが、数字で17年度の厚生年金と国民年金の 特別会計の決算数字があります。厚生年金は、例えば4ページをご覧いただきますと、歳入・歳 出が年度末積立金の欄で5兆2,600億円のマイナスと、積立金が減っております。こういう数字 になっておりまして、これと実際の例えば、再計算の時の数字がどういう関係になるのか。こう いうことで整理をさせていただければ良いのかと思います。実はいくつか17年度に特有のプラ スマイナスの要因というものがありますので、それを差し引いて実力といいますか、実際のとこ ろはどうなのかと、こういうことをしなければいけないのですが、まず17年度に特有の事件と して起きたことということで申し上げれば、例えば解散厚生年金基金の徴収金約3兆4,000億円 が、17年度決算で厚生年金に入って来ておりますが、これは元々基金のお金ということですから、 例えばこの3兆円というのは、本来厚生年金特会にすれば、期待のできないお金として見ていた だかなければいけないお金だと思います。  一方、積立金より受け入れるところが、6兆円も膨らんでおります。これは何かということで 見ていきますと、実は厚生年金でいえば、福祉施設費等業務勘定へ繰り入れる4兆2,000億とい う非常に大きな額があり、前年と比べても大きな額になっております。福祉施設は、もうやめた のではないのかという疑問が出るかもしれませんが、これは実は住宅融資を、これまで財投から お金を借りて、被保険者の方に住宅ローンとしてお貸ししていたのですが、この事業を止めまし た。しかし止めるからには、財政投融資のほうに一旦お金を返さなければいけないわけですけれ ども、現にローンを借りている方から取立てをするわけにはいきませんので、いわば制度が一旦 立て替えて、財政投融資にお金を返しました。従ってこの4兆円が膨らんでおります。そういう ことで差引き全体を見ますと、先ほど積立金が5兆円減っていると申し上げたのですが、実は財 政再計算においても、厚生年金でいえば、2009年度までは毎年赤字が出る計算になっています。 2兆円ないし3兆円ぐらいです。あとはその計算上、単年度で一番大きい時は、運用利回りが相 当、2兆円ぐらい出るという計算になっているのですが、これは今の年金の運用基金の運用資金 を、そのために現金化して取り崩すかどうかという話になってしまうものですから、とりあえず 運用基金からの納付金という形で、17年度にいわば運用収入として貰っているものは7,500億と なります。これが若干財政再計算の時とは、違ってきている数字になっています。ただし、この 運用は、もう一つ言いますと、今は時価運用ということで、株式などの運用が中心になってきて、 運用基金が時価で運用するということになりますので、時価で運用している総額がどうかという ことを、6ページの数字で見ていただきますと、実は年度末の積立金が増えている計算になって いるものですから、その意味でも、見かけの数字と実際の時価ベースの数字は、区別をしていた だく必要があります。結論を申し上げますと、その運用利回りの部分が、いわば現金化できてな い相当部分だけ、マイナスが予想よりも出ているということですが、今申し上げた6ページのよ うに、時価で実際に株なりで形になっているものまで入れると、逆にプラスになっております。 ただし、それは最初に申し上げたように、特別の要因で増えている部分がありますから、プラス マイナスで見ると、だいたい再計算のベースになっている、これが結論だとご覧いただきたいと 思います。  この傾向は、国民年金についてもほぼ同じということで、ご覧をいただければと思います。 国民年金は2008年までは、単年度は赤字になるということになっています。このことは先ほど お話の出ました、2004年度の年金改正法案の中では、段階的に保険料を上げていくという法律改 正をしていただきましたので、国民年金でいえば2009年度から。厚生年金でいえば2010年度か ら、単年度収支はまた黒字に戻ると、こういう形になっておりますので、未だ2年しか経ってな い状況ではありますけれども、とりあえずは財政再計算で見込んだとおりの推移になっていると。 当たり前のことですけれども、それだけはご報告ができるかと思います。 〇宮武座長  はい、あとは何かございますか。もしなければ、これで本日の討議は終わりたいと思います。 村瀬長官、ずっとお聞きになっておりましたので、何か一言ございますでしょうか。 〇村瀬長官  先ほど本庁のガバナンスの問題についてお話がございました。今回の国民年金の不適正事案と いうのは、逆に本庁の関与が現場までしっかり行っていないから見つけ出すのが遅れたと、こう いう認識を、私は持っております。従いまして、今後、事業をやっていく以上は、当然事業責任 は、本庁の事業課が負うということで、きめ細かく行っている中身まで見に行く。それが本来の 姿なのだろうと思います。先ほど厚生年金の適用の問題につきましても、総務省から言われてい るのは何かと言いますと、たまたま数字の大きさというのは現象面でして、ちゃんと管理をしな さいということを、勧告で言っているのです。従いまして社会保険庁としては、今後事業を行っ ている厚生年金・政管健保それから国民年金、全てにわたって、やはり明確な目標を決めたら、 それに対して現状どこまでしっかり仕事を行っているのかということを、本庁が責任を持って捉 える。現場は、それに対して動いているかどうかということで、まさに業績評価・人事評価の中 できちっと見に行く。こういう仕組みを作り上げない限り、緊張感のある組織はできないだろう と思っておりまして、今回を契機に、更にそこをしっかりやらせていただけたらと、このように 考えております。 〇宮武座長  ありがとうございました。それでは今後の日程について、事務局のほうからご説明願います。 〇和田企画課課長補佐  本日は、貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。次回以降の予定につきま しては、11月頃を予定しておりますけども、詳細につきましては、また皆様にご相談させていた だきまして、決定したいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。 〇宮武座長  どうもありがとうございました。本日もご足労願って、恐縮でございました。これをもって閉 会といたします。 〔了〕