社会保険事業運営評議会 第13回議事録        日時 平成18年6月23日(金)15時00分〜17時00分        場所 経済産業省別館第1028会議室        出席された参集者(敬称略)         井戸美枝、遠賀庸達、小島茂、加納多恵子、         紀陸孝、鈴木正一郎、宮武剛 1.開会 ○宮武座長  それでは、定刻でございますので、第13回社会保険事業運営評議会を開催いたしま す。本日は、ご都合で稲上委員、小澤委員が欠席でございます。  それでは、開催に当たりまして、村瀬長官からご挨拶をいただきます。 ○ 村瀬長官  本日は、お忙しい中ご参集賜りまして、まことにありがとうございます。  本日の会議は、既に5月から国会等でいろいろ審議をされており、かつ新聞等でご 存知だと思いますけれども、全国の社会保険事務所で国民年金保険料の免除等に関し まして、法令に定める手続に反する事務処理が多数行われたということで、この現状 を委員の皆様にご報告申し上げ、実態を現段階でわかる範囲でご報告申し上げたいと 思っております。  具体的にどのようなことが起こったのかという詳細は、後ほど担当から話をさせま すけれども、その根底のところを若干私から申し上げたいと思います。  そもそも免除というのは、国民年金法に基づきまして被保険者等からの申請に基づ き行うのが本来の手続きでございます。ところが、この申請が無いままで承認をした ケース、申請を電話等の確認によりまして代行したケース、こういうケースが多数散 見されたわけでございます。  その背景は何なのだろうかということで申し上げますと、国民年金の収納対策のた め、平成16年の年金法改正によりまして、所得情報が市町村から頂戴できるようにな り、未納者の中で、所得が十分にある方と所得が十分でない方の判別ができるように なったわけでございます。それに対しまして、私どもとしては効率的な収納対策を行 うため、収入がそれなりにある方については強制徴収を、当初予定では17年度10万件、 実質的には17万件ほど強制徴収をさせていただきましたけれども、それに活用させて いただいております。  一方、収入が十分でない方については、年金権を確保するために免除勧奨をさせて いただいております。中間層の方については、より効率的な収納対策を行うというこ とを以前から報告申し上げてきたわけでございますけれども、相手方の収入がわかっ たために免除のやり方が法に逸脱した形で、ご本人の申請がないままに承認をしたケ ース等が今回出てきたわけでございます。  社会保険庁改革は、以前から申し上げておりますけれども、やはり職員の意識改革 と業務改革、それから組織改革、この3つが一体となって初めて改革が進むというこ とで、私自身が一番重要視していたのは、職員の意識改革です。全国の300の事務所を 訪問して、職員といろいろ対話をしてきた結果こういうことが起こったということで、 実は私自身がなぜこのようなことが今現場で起こったのか、一番不思議にも思います し、何としてでもこれは全容解明をしない限りは、次の一歩は進めないのだろう考え ている次第でございます。  また、今回、法案が審議の最中の5月にこの問題が顕在化いたしました。そのため 法案に向けて様々な形でご審議いただきました、当時で言いますと内閣官房長官の有 識者会議、厚生労働大臣の新組織の実現会議、与党のワーキンググループ、そして運 営評議会の委員の皆様にも途中経過を逐一報告してご尽力賜っており、ご尽力いただ きました方々に対して深くお詫びを申し上げたい。  また、国民の皆様には、年金制度そのものへの不信ということを増幅させたという ことに対して、やはり実施庁の長としては深く反省をしている次第でございます。  現在、これについてどういうことを行っているかということを申し上げたいと思い ますが、5月29日に第1次報告を出しまして、6月13日に第2次報告をさせていただ きました。  一方、報告は各事務局、事務所の自主点検に基づく報告でございまして、ある意味 では他人の目が通っていないということで、6月9日から18日にかけまして、全件274 万人の方々が免除並びに猶予の申請をいただいているわけでございますけれども、こ の方々の全件調査に入っておりまして、先週末に全て完了をさせていただきました。 現在、これについて集約中でございます。  一方、全件調査と並行しまして、今回どういう形でこの不適正事案が多数出てきた かということで、誰の責任下に基づいて、誰が実行主体なのかということにつきまし ても、詳細調査を並行して進めております。最終的には、全件調査につきましては6 月末、詳細調査につきましては7月中旬までにまとめまして、今、大臣のもと、政務 官で検証会議というのを設けていただいていますので、そこにしっかりご報告して、 我々の調査が正しいかどうかということを見ていただきながら全容解明し、かつこう いうことが二度と起こらない形にしていきたいと思っております。  その中で、当然のことながら、今回の不始末についてはもちろん現場の責任もあり ますでしょうし、またチェック機能を働かせなかった管理責任というのは、当然本庁 にも私自身にもあるのだろうと思っておりまして、関係者の処分というものを厳正に しなければならないと思っております。またこのようなことが二度と起こらない組織 にしっかり作り変えていく必要があるのだろうということで、既に一部始めておりま すけれども、総合的・体系的な再発防止策の部分についても、今日の会議でご議論を 賜りたいと思っております。  また一方、報告させていただきますとおわかりかと思いますけれども、社会保険庁 の場合には、どちらかといいますと事務処理のシステムはでき上がっていますけれど も、その事務処理自体のチェックシステムが十分働いていないという部分もございま して、やはりチェックシステムを働かせるような仕組み、それから実際の職員のモラ ルという問題から言いますと、法令を遵守するということの仕組みの問題、それから、 今回の問題というのは、局単位でいろいろなケースが起こっておりますので、そうい う点では、ある意味では局内中心の人事異動並びに局内特有の事務処理というものが 今回の問題で大きく影響している部分もあろうかと思いますので、そういった部分も しっかり防止する対策が必要なのではなかろうかと思います。  そして、私自身が今決意をしておりますのは、全容解明をしまして、今回の問題は なぜこういうことが起こったのかという本質を徹底的に究明することと、その中で、 これからやっていかなければいけないことは、我々の今までやってきた業務改革、職 員の意識改革、これをさら加速して二度と起こさない仕組みをつくっていく、それか らガバナンスが効きチェックが効く組織につくり変えていくということが必要かと思 っておりまして、その部分につきましては、ぜひ今日委員の皆様にもご意見を賜りな がら、明日へのステップにしていきたいと思っております。  これから、保険料免除の問題、国民年金事業自体をどうしていくかという問題につ きましてご報告を申し上げながら、委員の皆様方のご意見を頂戴したいと思いますの で、よろしくお願い申し上げます。 ○宮武座長  ありがとうございました。  それでは議事次第に沿いまして、進行役を務めたいと思います。  まず、今長官から報告がありました免除の関係のさまざまな不正の問題について、 資料1から7までということで聞いておりますけれども、まず説明をいただいた上で ご意見を求めるということになります。  では、事務局、よろしくお願いします。 ○鈴木年金保険課長  年金保険課長でございます。それでは、私の方から資料の1と資料2を使いまして、 今般生じました事案につきまして、現時点で私どもが整理しているところにつきまし て、経過と内容をご説明申し上げたいと思っております。  まず、資料1でございます。これは1次調査についてですが、その冒頭に今回の事 案に係る主な経緯というものがございます。この資料により、発端から今日に至るま での経過をまずご説明した上で、それぞれの調査の中身について内容をご説明したい と思っております。  そもそも、発端といたしましては、本年2月10日、本庁の業務統計リストにある社 会保険事務局の免除の取り消し件数が急増しました。具体的には京都の事務局でござ います。そういった普段の仕事の仕方では見られない異常値が見られたところでござ います。  これにつきまして、原因を解明するということで京都事務局に調査に入りまして、 具体的に調査を進めました結果、京都事務局管内の事務所におきまして、被保険者か らの申請がないままに免除等の手続を行っているという事案が判明したところでござ います。  そこで、まずそれを受けまして3月13日に運営部年金保険課国民年金事業室長から 全社会保険事務局長あてに同様の事案がないのかどうかという調査を行ったわけでご ざいます。この調査につきましては、残念ながらこの時点で京都のような事案はない という回答が全事務局長から寄せられてきたということでございます。  その後、4月21日でございますけれども、大阪社会保険事務局長のもとに、不適切 な処理が行われているのではないかといった意味の投書がございました。それから時 経まして、5月15日にこの件に関しまして報道機関から取材の申し込みが大阪社会保 険事務局にあったわけでございます。これを機に、事務局長が管内の事務所を調査い たしました結果、京都と同様の事例があるということが判明をいたしました。その結 果、17日に16事務所でこういった免除処理が行われていたということにつきまして、 大阪の事務局長から国民年金事業室長に報告が上がってきたということでございます。  これを受けまして、私どもといたしましては、全社会保険事務局長あてにもう一度 こういった事例がないのかどうか徹底調査をするということで、再調査をいたしまし た。  あわせまして、翌19日に調査の徹底を図る意味で、全ての社会保険事務所において 免除の勧奨などに使っております書類、被保険者のお客様にお渡ししている様々な書 類を全部出してもらう。そういった意味での検証も含めて行うということで調査をし たわけでございます。  その段階で幾つかの事務局につきまして、報道によりまして実際こういった不適正 事案が行われていることが判明したというような経過もございまして、5月24日に、 18日、19日の調査が必ずしも十分な回答を得られていないということで、もう一度全 国の事務局長に再々調査をしたということでございます。  この間、関係いたします幾つかの事務局の局長の更迭などがございまして、5月27 日に厚生労働大臣の指示もあり、緊急で全国の社会保険事務局長会議というものを開 催いたしました。その席で、法令遵守につきまして改めて徹底を図るとともに、その 会議終了後に私ども本庁の幹部が全事務局長に対しまして、具体的に個別にヒアリン グを行って、徹底的な聞き取り調査を行ったわけでございます。  その結果まとまりましたのが、冒頭の長官の話にもございました第1次調査報告書 というものでございます。その内容につきましては、後ほどご説明したいと思います。  この5月29日に第1次調査報告書が報告されまして公表いたしました後、6月6日 には厚生労働省にて西川、岡田両政務官のもとに民間の有識者にお集まりいただきま して、本件に関します検証委員会というものが設置されました。6日と9日の2回に わたって検証委員会が行われまして、私どもの今回携わっているこの事案の中身、調 査の妥当性といったものにつきまして検証が始められたということでございます。  その中で、私ども、基本的に第1次調査の段階で既に明記をさせていただいており ますけれども、基本的に免除の申請書の全件にわたって、具体的に一枚一枚めくる形 での全件調査を行いたい。それから、今回の事案につきまして、いつどういう形で発 案がなされ、どういう指揮命令系統のもとで行われたのかといったことも含めまして、 詳細調査をあわせて行いたいということを申しておりましたけれども、それを6月9 日から実施をしたということでございます。  この間、6月9日の全件調査に入ります前に一応の整理をするということで、第2 次の調査報告というものを求めておりまして、そのまとめを13日に第2次調査報告書 ということで公表させていただきました。  その後、6月19日、今週でございますけれども、6月9日から始めておりました全 件調査に係る現地調査が終了いたしまして、調査団が戻ってきて、今、整理をしてお るというところが冒頭から申しました今日までの経過ということでございます。  その中で、2つ、第1次調査の内容、それから第2次調査の内容につきまして、簡 単にその要点をご説明させていただきたいと存じます。  まず、第1次調査でございますけれども、経過につきましては今ご説明したとおり でございますけれども、中身に入ります前に、資料1の4ページでございますが、冒 頭、長官の話にもございましたけれども、話の前提といたしまして免除の事務処理手 続につきまして、現在の法令の仕組みがどうなっているのかという点を押さえていた だきたいと存じます。  免除につきましては、国民年金法の90条1項等におきまして、被保険者等からの「申 請による」ということにされております。この法律に基づきまして施行規則の77条1 項等におきまして、申請書を社会保険事務所長あて、具体的には受理を市町村長に行 っていただく経緯を含めまして所長あてに提出をする「申請書」というものが位置付 けられてございます。  具体的に、(2)でございますけれども、この申請書の様式につきましては、課長通 知の中で定められておりまして、その中で、ご本人の署名、あるいは記名、ご本人の 押印、「自署または押印」と申しておりますけれども、こういったものが求められてお ります。それから、その他の業務取扱いの手順、要領につきましては、業務取扱要領 というものに処理手続が示されているというのがまず大前提でございます。  その上で、私どもは5月27、28両日にわたりまして徹底したヒアリング調査を行っ たわけでございます。その調査結果でございますけれども、これは便宜もございまし て、資料1の最後のページでございます。文章では分厚くなっておりますけれども、 一覧にまとめてみますと、今回行われた事案の概要というものについて、27、28日の 聞き取り調査その他を含めまして整理いたしましたのがこの表ということでございま す。  一番左をご覧いただきますと、今般の事案につきましては、パターンとして2つあ るだろうと思っております。一番左の(1)が、そもそも法律で決められております ご本人の意思確認をしないまま、勝手に免除の承認手続を行っていたというものでご ざいます。これにつきましては、@、Aにありますように、その結果をご本人に通知 したパターン、通知していないパターンというのがございます。  それから、もう一つ(2)というのがございますけれども、これは基本的にまず法 律で求められておりますご本人の申請、その意思については確認をした。そして、申 請書を書くに当たりまして、職員が代筆をして承認手続を進めたという結果、課長通 知に定められておりますご本人の自署または押印というものなしに処理が進んでいた ものでございます。  (2)につきましては、@、Aとございますのは、そういったご本人の意思を確認 したということをきちんと記録に残しているかいないか、@は残していないものでご ざいますし、Aは残しているものでございます。それから、Bは以上と全くパターン が異なりまして、そういった形で電話にて意思確認をし、代筆で進めておりましたけ れども、結果的に最後にご本人の自署または押印がある申請書を受け取ったという報 告をこの時点で受けていたというパターンでございます。  以上、それぞれどういったところが問題かというのが、右側から2点目の事務手続 上の問題点というところでまとめさせていただいております。  (1)の本人の意思を確認しないまま承認を行ったというのは、これは明らかに冒 頭申し上げました国民年金法の申請を経てという手続に反する法律違反の行為でござ いまして、無効であろうと思います。したがいまして、その右に書いてございますよ うに、まずは基本的に取消処理をした上で、具体的にご本人に早急にお会いして、経 過をご説明しお詫びをするとともに、基本的には免除の要件に当たる方でございます ので、改めて申請書を出していただけるのかどうかという意思確認をし、申請書を提 出していただくということを進めているところでございます。  (2)につきましては、基本的に法令に定める手続が通知レベルにおいてまで完璧 にできているわけではございませんけれども、具体的にご本人の意思確認をしている ということで、ご本人を既に巻き込む形で始まっておりますので、一方的な取り消し ということになりますとご本人に不利益が生じます。したがいまして、基本的にはそ れぞれの申請者の意思に沿った手続を進める。その中で生じている瑕疵というものを 後で治癒する形で手続を完結させるという方向に進むべきではないかということで、 具体的に申しますと、(2)につきましては事後になりますけれども、改めてご本人か ら記名押印をしていただく、あるいは自署をしていただくということで、申請書を完 結したものにしていただくという取り組みをしたいということでございます。  甚だ簡単でございますけれども、第1次報告の段階で事案の整理につきまして、以 上のような行為のパターンとそれぞれの問題点、それに沿いましてとるべき行動とい うものをまとめたところでございます。  次に、この第1次報告をまとめた後でございますけれども、資料2の18ページをお 開きいただきたいと存じます。18ページに第2次報告書に至る経過及び今後の進め方 というものを1枚にまとめさせていただいております。一部重複はございますけれど も、一番上の四角にございますように、27、28日に緊急の事務局長会議と詳細の聴取 をいたしまして、29日にただいま申し上げました第1次報告書を公表させていただき ました。  この第1次報告書自体が緊急に実施したということもございまして、その後事務局 から件数の追加・修正といったものの連絡がございました。そこで、30日に、こうい った1次報告書の結果につきまして追加・修正があれば、調査して提出をするように ということを事務局に指示したわけでございます。  また、先ほど申し上げましたように、一方で第1次調査の中で申請書の全件調査と いうものを実施するということを私どもうたわせていただいておりまして、それを6 月9日から実施をするということでもございましたので、それに先立つ形で6月8日 を期限といたしまして、再度の確認文書の提出を指示いたしました。それが真ん中の 四角にございます6月5日というところに書いてあるところでございます。  この6月5日に求めました再度の確認文書というものを、改めて8日時点で、すな わち全件調査に入る前日の時点でまとめて、それを整理して公表いたしましたのが第 2次の調査報告ということでございます。  その結果の概要を、要点だけご説明させていただきますが、資料2の1ページでご ざいます。  これに第1次調査報告との変化も含めまして、改めて整理をいたしました。第2次 調査報告、真ん中に1の第1次調査報告で公表した類型の不適正処理ということでま とめさせていただいておりますけれども、1次から2次にわたりまして、それぞれ全 国312の事務所のうち不適正処理のあった事務所が、一番上の欄にございますように10 ほど増えまして、100事務所から110事務所になったわけでございます。このうち、先 ほど申し上げました法律で求められております申請というものなく勝手に処理をして いた(1)の類型につきましては、44事務所から50事務所に増えたということでござ います。  事務局ベースで申しますと、そういった不適正な事務所を管轄しております事務局 が全体で26から29に3事務局増えまして、そのうち(1)のただいまの類型のものに つきましては、10から20に増えたということでございます。  それで、不適正処理の件数でございますけれども、先ほどこの部分につきまして活 用させていただきましたが、第1次調査報告の段階でこの(1)、(2)合わせて約11 万4,000件の報告が上がってまいったわけでございますが、その後各事務所から追加報 告がございましたように、第2次の段階では19万3,000件ということになったわけでご ざいます。  第2次調査報告の段階では、それぞれの類型別に、この19万3,000件がそれぞれどう いう分布になっておるかということも合わせてまとめさせていただいておりまして、 これが下にございますように、(1)の意思を確認しないで勝手にやったものの通知が 「有り」「無し」、それから電話によって意思確認は行っていたのだけれども、代行の 確認記録を残していないものといるもの、@、A、それぞれご覧のような件数の分布 になったというわけでございます。  それで、1点、(2)のB、代行意思を確認して手続を進めておりましたけれども、 その後全部申請書を受け取ったということを第1次報告時点で報告を受けておりまし たパターンがございましたけれども、このパターンにつきましては、より精査をさせ た結果、第2次報告書では該当するものがなくなりましたので、(1)、(2)につきま して、ご覧のような全4パターンの事案につきまして整理をしたということでござい ます。  あわせまして、この第2次調査に至ります間、国会等でもその他の不適正処理につ きましてご指摘がございました。それにつきましても、第2次調査では合わせて調査 をしておりまして、それが具体的に一番下のA、B、Cでございます。  Aにつきましては、職員が申請書の代筆をする。その中で代筆だけではなくたまた ま手持ちの印鑑があったので、押印までしてしまったというものが2つの事務所、計 22件ございました。  Bにつきましては、わかりにくく恐縮でございますけれども、現在免除の申請書に つきましては、全額の免除、半額の免除、それから納付猶予という3種類ございまし て、1枚の申請書でこの3種類の該当するものに丸をつけて申請をしていただくとい う形になっておりますけれども、この丸をつけていただいた項目以外の項目の処理を したものです。その処理をするに当たりまして、ご本人に意思確認ができていなかっ た、あるいは意思確認をしたけれどもその記録を残念ながらきちんと残していなかっ たというものにつきましては、やはり行政手続の補正が不十分だったのだろうという ことで、これにつきまして調査をいたしました結果が、91事務所で約1万6,000件上が ってまいったということでございます。  あわせまして、非常にケースとしてはまれでございますけれども、外国の方で本邦 に来ておられた方がお帰りになる場合に、本邦に来ておられる間は国民年金の適用が ございますけれども、お帰りになる前に、基本的にはそれは適用除外を行えばよかっ たのですけれども、それを免除という形で間違った処理をしてしまったという報告が 上がってまいりましたのが、4事務所125件あったということでございます。  以上につきまして、基本的にその結果をまとめさせていただいたということでござ います。  具体的な中身につきましては、2ページ以降につきまして詳細なまとめ、それから 事務所毎の詳細な係数表等もつけてございますが、時間に限りもございますので、ま た足らざる部分はご質問等いただければ補充させていただきたいと思っております。  調査の今のところの概要につきましては、私の方からは以上でございます。 ○吉岡企画室長  企画室長でございます。続きまして、お手元の資料3、今後の再発防止策について (案)というペーパーでございます。今、ご説明いたしました第1次調査報告書を取 りまとめる作業を進めると同時に、走りながらでございますけれども、この再発防止 策というものを取りまとめさせていただきました。  したがいまして、今後この事案の全容が明らかになった段階で、改めてどのような 措置が必要かということを再検討する必要があるという性格を有すると同時に、ここ に掲げてあるものにつきまして、現時点から着手できるものは、まず速やかに着手し ていこうという性格のものでございます。  まず初めに、当面の対応策ですが、第一に、事務処理方法等の見直しでございます。 @は、社会保険事務所あるいは事務局の事務手続におきます法令違反の疑い等につき まして、被保険者の方あるいは受給者の方々から、本庁の方で直接受け付ける体制を 整備するということでございます。  Aは、そもそも免除等の処理につきましては、事務所では行わないことといたしま して、事務局の事務センターで一括処理するということでございます。  Bは、事務処理の確認検査におきましては、処理結果と申請書との突合を日次・月 次で行うということを徹底する。  Cは、今回の調査の過程で、免除の勧奨の文書などで一部各事務所の方でつくって いるものに不適切なものが見られたということもございました。したがいまして、今 後個々の社会保険事務所あるいは事務局で使用します文書などにつきましては、全国 統一化を基本として、地方独自の作成が必要なものにつきましては、本庁で事前の承 認をする、そういうチェック体制を整備するということです。  また、今後の検討課題ですが、今回の背景といたしましては、なかなかご申請をい ただけなかったという状況もございますので、こうした低所得者の対策につきまして も、ターンアラウンド方式の導入、あるいはインターネットの活用などでの簡便な手 続による申請方式というものを検討するということです。  それから、Aにございますように、大量な免除申請の取り消し処理などの異常な事 務処理があったときには、本庁に警告リストを出力するなど、システムの構築を検討 するということです。  それから、2点目でございますけれども、法令遵守委員会の機能強化でございます。 法令遵守委員会は、平成16年10月にスタートをいたしておりますけれども、これまで 職員からの通報に基づいての対応ということになっておりました。これまで職員から の通報というのは、全体として4件しかなかったわけでございます。したがいまして、 職員だけではなく、社会保険事務所から報告されます様々な事件・事故・事務処理誤 りといったもの、あるいは先ほど申しました一般国民の方々からの通報につきまして も、この法令遵守委員会で調査あるいは対応策の協議を行うといった機能強化を行う ということに加えまして、Aにございますように、本庁だけではなく、各事務局の方 にも委員会を設置して、本庁の委員会と連携した対応を行う。  さらには、Bにございますように、職員に通報制度などにつきましての周知徹底を 図っていくということでございます。  2ページ目でございます。3点目は、法令遵守研修の充実でございます。社会保険 大学校における各階層の研修カリキュラムに、法令遵守研修を導入すると同時に、各 事務局・事務所で行っております個々の専門業務の研修におきましても、法令遵守研 修というものをその中に組み込んでやっていくということであります。  こうしたことに加えまして、いわば体質を変えていくための取り組みといたしまし て、4点目にございます、広域的な人事異動の拡大であります。今回の問題の背景と いたしまして、1つには都道府県を単位とする閉鎖的で内向きな組織体質というもの がございます。それを解消するために、事務所長を含め都道府県域を超えた人事異動 の大幅な拡充を図っていきたいということであります。  さらに、3ページ以降が組織改革による対応でございます。国会に提出しておりま すねんきん事業機構法案の中で、新たな組織におきましては外部専門家による年金運 営会議、あるいは特別監査官というものを設置いたしまして、意思決定機能・監査機 能というものを抜本的に強化するということを考えているところでございます。  これにつきましては、(2)にございますように、法案が成立した後には、現在の社 会保険庁におきまして先行的に設置をし、事前・事後の厳しいチェック体制を確保し ていきたいと考えております。  なお、この法案につきましては継続審議となりましたので、この資料では18年10月 からと記載しておりますけれども、若干ずれ込むことになろうかと考えております。  4ページ目でございます。地方組織のブロック化ですが、地方年金局を設置すると いうことでございます。現在の都道府県単位の事務局を廃止した上で、これをブロッ ク機関に再編成をいたしますが、監査業務につきましては(2)にありますように、 先行して集約をしたいということでございます。今年の10月からですが、監査業務は 先行的にブロック化し、地方社会保険監察官をブロック担当局に全て集約をした上で、 それぞれ自らの出身県以外の事務局の監察を担当する方式に改めたいということです。  いずれにしましても、今後、事案の全容が明らかになった段階で、さらにこの再発 防止策については考えていきたいというものでございます。  また、資料4からは、この再発防止策の中で既に着手をした、あるいは着手をもう すぐしようとしているものです。資料4が法令違反通報窓口の設置です。実施内容の 2のところにございますように、電話、メールあるいは手紙での受け付けを行います。 6月14日からこの受け付けを開始したところです。  また、次の資料5でございます。法令遵守委員会の機能強化ということでありまし て、本庁の委員会の機能強化、それから各事務局でも法令遵守委員会を設置するとい うことにつきまして、7月1日から実施をするということで考えております。  次の資料といたしまして、左上に「参考」と書いたペーパーですが、社会保険行政 における法令遵守の徹底についてという資料でございます。これにつきましては、昨 日文書にて各社会保険事務局あるいは本庁の各課に周知徹底を図ったものです。  中身といたしましては、1枚目の下のところにございますように、まず1番目には、 今回の不適正な事務処理の問題点、どのような点が問題かということで、@といたし ましては、先ほど年金保険課長から申しましたように、意思を確認しないまま手続を 行ったものにつきましては、国民年金法に明確に違反するものであるということ。そ れから、2ページ目のAのところにございますように、意思を確認して職員が申請書 を代筆し手続を行ったものにつきましても手続違反の事務処理であるということ。そ れから、Bですが、オンラインシステムのデータは、個々人の年金の権利に結びつく 記録であり、刑法等にも規定されているような高い法的保護の対象にあるものであっ て、勝手に書きかえることは許されるものではないということを明記させていただい ております。  また、2番目の法令遵守の徹底の取り組みでございますが、3ページの一番下のと ころに、「職員においてはこうした法令遵守委員会の枠組みを理解した上で、職員の服 務上の行為に関して法令違反の疑いのある事実を知った場合には、速やかに通報しな ければならない」ということで職員に周知徹底を図ったところでございます。  以上でございます。 ○大澤サービス推進課長  サービス推進課長でございます。  私からは資料6に基づきまして、目下社会保険庁として実施をしております実態調 査の概要について、また資料7に基づきまして、業務監察の体制につきまして、簡単 にご説明を申し上げます。  まず、資料6でございます。目下社会保険庁として実施をしております実態調査、 大きく分けて、冒頭長官の話にもございましたように、申請書の全数調査と、それか ら不適正事案の詳細調査、この2種類がございます。  1の(1)の申請書の全数調査でございますけれども、全国で18年4月末現在約274 万人に及びます平成17年度の申請免除ないしは若年者納付猶予の申請書類等を、一枚 一枚全て確認をいたしまして、不適正な事例の有無について詳細に調査をしているも のでございます。  調査事項、手順につきましてはご覧のとおりでございますけれども、まずは、申請 書と社会保険業務センターで作成をいたします処理結果リスト、これを突合いたしま して、処理結果リストにはあるけれども申請書がないもの、あるいは逆の状態にある ものをチェックいたします。その後、一枚一枚の申請書につきましては、AからC、 すなわち所得要件確認のために市町村に対して証明を依頼することになるわけですが、 その経由がされているのかどうかということのチェックをいたします。それから、B ですけれども、個々の申請書につきまして、代筆作成が疑われるものについてチェッ クをいたします。そして、申請書の本人押印がされているのかどうか、職員が手持ち の押印をしているのかどうか等につきましてのチェックをさせていただいているとこ ろでございます。  一方、不適正事案の詳細調査でございますけれども、関係職員からの提出資料ない しはヒアリングをもとにいたしまして、各社会保険事務所あるいは社会保険事務局に おける不適正事案毎の責任の所在について、詳細に調査をいたしまして、全国的に生 じた原因を究明してまいります。  この調査結果を活用し、その後本件関係者の処分も行います。具体的には、まず不 適正な事務処理の発案から実行に至る具体的な経緯、発案者はだれか、方針を決めた のは誰か、実行したのは誰か等を確認いたします。  また、不適正な事務処理を行った動機、あるいは管理者が関与していたかどうか、 また関係者が違法性を認識していたかどうか、あるいは度重なる一連の本庁調査に対 して、しっかり報告したかどうかということを確認いたします。  2ページ、具体的な調査の手順でございますけれども、まずは関係者一人一人から、 申告書の作成、提出をさせます。その上で関係者からのヒアリングをし、その申告内 容、関係書類の分析をした上で、必要があれば再ヒアリングをするという手順にして ございます。  ※の1つ目になりますけれども、あわせまして今回不適正事案が生じなかった事務 所・事務局もございますので、今後再発防止策を考える上でコンプライアンスを徹底 する上で、適正なことが行われていたところがあれば参考にしたいという意味で、そ の背景と理由等についてもあわせて把握をいたします。  2つ目の※ですけれども、不適正事案詳細調査の状況を踏まえながら、別途本庁の 全職員、すなわち平成17年度に本庁、社会保険業務センター、社会保険大学校に在職 しております全職員に対しまして、事務局、事務所から問い合わせを受けて了承した 事案はないか、また、了承していなくても事案を知っており、結果として黙認してい たという事実はないか等々の関与の有無につきまして、まずは文書を提出させ、個別 面接調査を経て確認をいたします。  この内容につきましても、不適正事案詳細調査の結果とあわせまして、厚生労働省 に設置されました検証委員会に報告をする予定にしております。  調査体制と方法ですけれども、長官を長とする実態解明チームを編成いたしまして、 調査を行いまして、その結果につきましては本省の検証委員会にご報告申し上げます。 実態解明チームにつきましては、本庁の指導官、指導官以外の職員、それから全国の 地方監察官120名程度おりますけれども、また地方監察官は各都道府県毎に配置をされ ているのですが、当然のことながら自らの都道府県の調査には加わらないことを前提 といたしまして、都道府県毎に47班編成し、事務局に対する調査を実施してまいりま した。  そして、申請書の全数調査については、原則事務所に置かれているわけですけれど も、事務局へ集約をした上で、事務局におきまして一枚一枚確認をしたり、ヒアリン グを実施しております。  調査期間、これは次のページにスケジュールを載せておりますけれども、当初の予 定では6月9日から現地調査を開始いたしまして、18日で終わる予定でございました が、一部の事務局におきまして1日延期をいたしましたので、最終的に現地調査が終 了いたしましたのは19日でございまして、目下全数調査についての調査結果を整理し ている段階でございます。それを6月末までにまとめまして、検証委員会に報告をい たします。  他方、不適正事案詳細調査につきましては、補完調査作業を7月7日ごろまでに終 了いたしまして、整理をした上で、さらには問題発生の構造的背景の分析をした上で、 7月中旬ごろまでに検証委員会に報告をする予定にしております。  この問題発生の構造的背景の分析といいますのは、2ページの4に書いてございま すけれども、実態調査の結果を踏まえまして、今回の問題について未然に防止するこ とができなかった理由は何か。本庁からの業務指示がどのような影響を与えたのかと いった点を含めて、問題発生の構造的な背景を分析するといったものでございます。  以下、4ページ以降は詳細調査等についての具体的な対象範囲や様式等を挙げてお りますが、時間に限りがございますので省略をさせていただきたいと存じます。  続きまして、資料7でございます。社会保険指導官及び地方社会保険監察官の職務 内容・体制についてですが、今回の事案、私ども本庁・地方庁を含めまして業務監察 を実施しておりましたが、その過程で発見できなかったことを深く反省をしておりま す。現行の体制を若干説明申し上げますと、この資料の一番上にございますように、 本庁の指導官は12名おりまして、この指導官は中ほどにあります地方社会保険事務局、 都道府県毎47カ所ございますが、1年で全ての事務局を回るスケジュールのもとに、 具体的にはその箱に細かく書いておりますけれども、要約しますと社会保険にかかわ る事業の運営についての業務監察を実施しておりまして、業務の実施状況が足らざる ところにつきまして、なぜその実施がうまくいっていないのかを中心にこれまでは業 務監察をしてまいりました。  したがいまして、今回のような適正な事務処理を行っているということはいわば当 然の前提として業務監察をしてまいりましたので、今回の事案は発見できなかったの ではないかと反省をしておりまして、今後はそういった適正な事務処理が行われてい るかどうかといった点も重点的に監察をするよう、秋以降の業務監察再開の折りには 実施をしてまいりたいと考えております。  他方、地方には、右の中ほどにございます121名の地方監察官が都道府県毎に配置を しておりまして、こちらの方はむしろ社会保険事務所312カ所を重点に、同様の監察を してございます。  次のページ、横書きになっておりますけれどもご覧いただきたいと思いますが、今 申し上げました地方社会保険監察官は、都道府県毎にそれぞれ121名を配置しておりま して、現在の体制は自分の事務局を自分で見るというようなことになっているもので すから、第三者的な立場での監察がなかなかやりにくい構造になってございます。し たがいまして、今年の10月から監査業務のブロック化を先行実施してまいりたいと考 えております。  具体的には、9ブロックのブロック担当事務局に121名の都道府県毎に配置されてい る地方社会保険監察官を集約いたしまして、そして出身県の監察は原則担当しないと いうルールで、ほかの県の事務局・事務所を監察するというようなことで、第三者的 立場からしっかり監察する体制に移行させていただきたいと思っております。  資料の説明は以上で終わらせていただきます。 ○宮武座長  ありがとうございました。  今回の問題について、ぜひ委員の皆様の忌憚のないご意見、ご質問も当然あるかと 思いますので、ご自由にご発言をいただきたいと思います。 ○小島氏  今日の運営評議会は、定例で予定されていた日ですが、本来であれば、こういう事 態が起これば、もう少し早目に開催すべきではないかと思います。国会の衆参両方で 質問、最終日の衆議院での集中審議ということで、なかなか時間がとれなかったとい う事情はわかりますが、そういう努力は必要ではないかということをまず言っておき たいと思います。  それから、今回の不適切な免除処理の問題です。第2次調査報告を見ましても、全 国312の社会保険事務所のうち、110と言えば3分の1を超える事務所でそういう処理 が行われていたということであります。これは極めて大きな問題だと思っております。 まさに構造的な問題かどうかということで、今解明を急いでいるところだと思います。  この問題は、従来からそういう処理がされていたのかどうか、あるいは今回の国民 年金保険料の納付率80%を目指すという目標のもとでこの事件、処理が起きたのか。 そういう意味では、原因解明なり責任の所在を明確にすべきだということが1つです。  それから、2つ目は、今回資料3で今後の再発防止策ということで、当面の対応と 組織改革による対応という2つの柱について、先ほどご説明いただきました。今進め ている調査及び原因の解明を踏まえて、この防止策を補強すべき必要があればしてい くということで、十分防止策については徹底を図るべきだと思います。  3つ目です。最終的には責任所在、処分という問題が出てくると思いますが、これ については厳正な対応が必要だろうと思います。それの指導・管理・責任ということ も、当然これは問われると思っております。  処分なりの問題が最終的には行われると思いますが、それだけで果たして今回のよ うな事案というものが解決できるのかどうか。これはまさに制度論の話になってくる と思います。国民年金の保険料の納付率80%を目標として掲げておりますが、今の免 除制度の中には法定免除と申請免除があり、今回は申請免除での不適正な処理が行わ れた。もう一度免除のあり方まで含めて、まさにこれは国民年金の制度論に入ってい くかと思いますが、そういう問題も含んでいるのではないかと思っております。  そういう意味では、今回の調査・原因解明をきちんとした上で、現場でのさまざま な問題をくみ上げる仕組みということもこれからの再発防止については検討するべき だろうと思います。やはり、現場サイドで利用者の声を吸い上げていくような仕組み、 本来であればそういうものを制度の中にどう組み入れていくかといったような組織の あり方についても検討すべきではないかと思います。  最後に、最終的には責任の所在の明確化ということになると思いますが、これまで も各現場サイドではさまざまな業務改善あるいは意識改革というものを進めてきてお ります。一定の成果なり、サービス向上というところも見られますので、それが今回 の最終的な処分によって、またかつてのようなお役所的な仕事になったり、現場の職 員が萎縮してしまうようなことは避けるべきです。やはり利用者のサービス向上とい うところに力点を置いた意識改革、業務改革ということについては、引き続き進めて いく必要があると思います。   ○宮武座長  以前からこの種の不正な手続があったのか、なかったのかということなど答えを求 める必要はありますか。 ○小島氏  それは、調査をやっている最中だと思いますので、その結果、最終的にその問題に ついても解明されると思っています。 ○宮武座長  では、ご要望・ご意見といたします。  どうぞ、ご自由にご発言ください。  鈴木委員は、以前から申請免除という形で、分母を減らすことについては疑問を呈 するご発言も以前からいただいておりました。そういうことをご心配になっていたの だろうと思いますけれども、今回改めてこういう問題が起きて、いかがでございます か。 ○鈴木氏  これは、村瀬長官以下社会保険庁挙げて改革に取り組むということで、一生懸命や ってこられたにもかかわらずまことに残念なことではないかと思います。ですから小 島委員からも、これでくじけないでもらいたいという話がありましたけれども、まず 私もそこを強調したい。改革の中でこれをプラスにどう使うかということがポイント になって、これから原因の解明も行われるべきであり、処分もそういうことに従って 行う。それで、この問題を乗り切ったときには、さらに改革が加速するのだというよ うなことをぜひポイントにして乗り切ってもらいたい。  今日、お話を伺いました。原因の究明、なぜこういうことが起こったのだろうかと いうことに対して、いろいろな角度から攻めておられるわけですから、ここまでやれ ば相当のことがわかるのではないかと思います。  過去にもいろいろなことがありましたけれども、これで終わりという、これだけ片 づければ、これさえ終われば、あとは全部いいと。ひょっとするとそうではないケー ス、そうではないということはあるのだろうと思うのです。ですから、そういう意味 で、この原因を徹底的に解明することによって、個別の問題の処理ではなくて、もっ と別に普遍的に大きな問題が全部片づけられるような調査、原因解明であり、処分で あってもらいたいと思っております。  ぜひこの事件を前向きにとらえて、より改革が加速するように、もう一度長官のも とで一致結束して、ぜひ取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思いま す。 ○宮武座長  ありがとうございました。  どうぞ、ご自由にご発言ください。加納委員、いかがですか。 ○加納氏  本当に今おっしゃったとおりで、これをブラスの方向に改革していただきたいと思 っております。  この資料6の最後に出ております調査事項の中の4番、関係者の違法性の認識につ いては、私は、関係者は申請書のあり方と免除のあり方をそれほど重要視していない、 違法性を認識していらっしゃらない方が多いのではないかと思います。これを徹底的 に法的なことでしっかり説明をしていかないと、違った面でまたこういうことが起こ るのではないかと思って、その辺りが今も長官がおっしゃいましたけれども、職員の 意識改革が本当に大事だと思います。  というのは、私もこの間も説明いたしましたが、たまたま社会保険事務所に行きま したときに、窓口は半分程度しか開かれてなく、そこで働く職員はその半分ぐらいが 掛け持ちのため、1時間待たされ、手続にまた1時間、1つ聞けば「ちょっとお待ち ください」で奥へ入っていく、帰ってくる、そしてまた次の質問をすればまた「お待 ちください」となる。一番の私たちの接点になってくださる窓口の対応者が、一体こ の人はどこまで年金についてわかっていらっしゃるのか、わざわざ衝立の向こうに行 かれるのは何か機械的なインターネットか何かで調べられるのでしょうけれども、本 当にまどろっこしい対応でした。こういうことではなく、やはりしっかりとした研修 をしていただきたいし、私たちの質問に適切な対応をしてくださる方が窓口にいらっ しゃれば、もっと信頼感が持てて、今後のことにも良いように方向づけられるのでは ないかと思います。  それから、もう一つ、一度に言ってしまいますが、資料3の中の企画室長からのご 説明で、資料3の4ページの(2)の最後に、「自らの出身県以外の事務局の監察を担 当する方式」とするとか、あちこちに出身地以外のと書いてあるのですが、この言葉 が第三者的な距離を置いた方をということの意味で「自らの出身県以外」という言葉 を使っていらっしゃるのでしょうか。私からすれば、とても旧式な言葉であって、出 身地とか出身県とかにこだわらないで、皆さんは公平な立場で当たってくださるのが 当然の義務であるので、わざわざこういう文章を入れられているというのは不自然だ と思います。  以上でございます。 ○宮武座長  2点目については、何かお答えがございますか。 ○青柳運営部長  加納委員から今ご指摘があったのですけれども、実はこれは社会保険庁の非常に恥 部であるとご理解いただいた方がおわかりいただきやすいかと思います。何かと申し ますと、社会保険庁はつい最近までご存じのように地方事務官の時代に、いわば県の 組織として保険課あるいは国民年金課という組織があって、採用から人事の異動から、 全て県単位に行われておりました。したがいまして、出身県という意味は、人事なり のサイクルが内輪で閉じている部分でのことという意味であります。  したがって、今後社会保険庁がねんきん事業機構に変わっていく際には、これをま さにブロックという広域で採用もし、人事異動もするという新しい組織に変わってい くわけでありますが、現時点においては、全てが地方事務官制度廃止になって国の機 関になったにもかかわらず、引き続き県単位の事務局毎に人事異動等が行われている。 そのことを先行して監察業務なりを見直していく際に、そういう出身県の中で人事が 閉じているものの中で、いわば仲間内というような形で物事が判断されないようにす るにはどうしたらいいかという、現時点における苦肉の策だとご理解いただきたいと 思います。  大変恥ずかしいことでありますが、現実がそうでありますので、あえて赤裸々に申 し上げました。 ○宮武座長  よろしいですか。 ○加納氏  はい、ありがとうございました。 ○宮武座長  どうぞ、井戸委員。 ○井戸氏  私も、村瀬長官を初めとして、どんなサービスをしたらいいか、広報はどうしたら いいかなど、いろいろなことをされていたのに、残念で仕方がなかったです。  1つご質問なのですけれども、資料3のAですが、「免除等の処理について」と書い てあるのですけれども、この「等」というのは、納付特例といったことなのでしょう か。  どうしてこういう質問をしているのかというと、当然正しく行っていることを前提 として監査を指導官がされていたということなので、しているのが当然ということが されてなかったわけですから、当然ではないことというのがどういうことがあるのか、 改めてピックアップしていただいて、事務センターで一括処理していただきたいとい うふうに思います。  先ほど、お話がありましたけれども、今、処分とかいろいろ検討されていると思う のですけれども、社会保険庁がここまで全部あからさまに出して、こういうふうに前 向きにやっていくのだということを、改めて国民の皆様にお知らせすることによって、 大きくプラスに動くことがあるかと思いますので、その辺りのところを徹底的にして いただければと思います。 ○宮武座長  ご質問の件については、どなたがお答えいただけますか。 ○鈴木年金保険課長  ご質問のありましたのは、資料3の1番の1のAの冒頭、「免除等」の「等」だと思 います。これは、委員がおっしゃったように、私どもが今念頭に置いておりますのは、 納付猶予でございます。もちろん調査が進みまして、さらにこれに加えるべき事案が あり、それに正すべきことが出ましたら、躊躇なく加えてまいりたいと思っておりま す。 ○宮武座長  遠賀委員、どうぞ。 ○遠賀氏  これまで、村瀬長官のもと、さまざまな改革、納付率向上など、信頼回復に努力し てきたことが、この問題によって再び信頼を損ねてしまったことは非常に残念だと思 います。なぜ不適正な処理が行われたのか、詳細調査によって今後明らかになるかと 思いますが、事務処理の経緯と内容を見ますと、所得状況を把握して申請すれば免除 になる人に、文書などによって申請をするように促しても、申請しない方が多数いる。 そのまま放置すれば未納となり、目標の納付率が達成できない。申請すれば免除にな る方なので未納で放置するより本人のためにもなる。また、申請すれば納付義務が免 除されるのに、未納のまま放置している方が多数いるということは、被保険者の間に 納付義務の意識が希薄であるということであり、これがこの問題の根底にあると思い ます。  また、現状では、目標の納付率を達成するために申請すれば免除になる方を未納の まま放置させるように、申請書の提出についていろいろ勧奨することはやむを得ない ことと思いますが、先ほど長官も言われたように、納付困難な方には、自ら納付義務 の免除を申請すべきであり、法令もそのような趣旨でつくられているというお話があ りました。このような方に、文書はともかく電話や戸別訪問までして申請させるのは、 納付している方からすれば過剰サービスと言われても仕方がないのではないでしょう か。  今後、未納者に滞納処分を徹底し、保険料の納付は個人の年金権の確保の前に国民 の義務であることを徹底していく以外、納付率の向上の道はないのではないかと思い ます。広報でも、納付義務について制度の魅力云々という前に、国民の義務を果たす べきということをもっと強く打ち出していただければと思います。 ○宮武座長  いかがでしょうか。電話や訪問までして、わざわざ免除の手続をとるように一生懸 命勧めるということはいかがかという遠賀委員のご意見でございますけれども、お答 えいただけるならばぜひお願いします。 ○鈴木年金保険課長  今のご指摘でございますが、私どもといたしましては、免除の方だけではなくて、 まさに納付をしていただく、保険料を払っていただく方へのいろいろなお勧めもバラ ンスよくやっていくべきというご指摘と受けとめております。  もちろん、私どもも免除だけではなく、強制徴収も含めまして、払っていただく方 の義務の履行というものを強く迫るものもバランスよくやっていきたいと思っておっ たわけでございますけれども、残念ながら今回のような事案を見ますと、やはり今遠 賀委員からご指摘を受けましたように、免除をより丁寧にやっていたのではないかと いうような受けとめ方をされてしまうということもやむを得ない面もございます。今 後はそういった面に注意しながら、しかしながら免除につきまして依然として受給権 保護をしていかなければならないという面があるのも事実でございますので、払って いただく方にも払っていただくことについても一層力を入れつつ、両者バランスよく 国民のご批判を受けることのないように進めてまいりたいと改めて感じました次第で ございます。 ○宮武座長  遠賀委員、よろしゅうございますか。 ○遠賀氏  免除者を含まない納付率というのは何%ぐらいなのですか。今、納付率が64%ぐら いですか。免除者を含まない場合はどうですか。 ○青柳運営部長  納付率という概念が変わってきてしまうのです。と言いますのは、法律上払わなけ ればいけない義務がある方に対してどのくらいかということで、今63.幾つという数字 の話を議論しているのですが、遠賀委員のおっしゃったのは、恐らく免除の方まで分 母に入れるとどうなるかということだろうと思います。これは、そういう機械的な計 算をしたらどうなるかということで、国会の委員会でも聞かれました。  16年度の確定した数字では、50.6%という数字が出ています。ただし、この50.6% というのは、制度的には意味のない数字なのです。つまり、払わなくてもいいという ことで免除を受けた方まで分母に入れて計算するということになるので意味はありま せん。もし本当にそういう意味のある数字を出そうと思えば、私どもは7,000万人の被 保険者、すなわちこれは第2号被保険者あるいは第3号、その被扶養者の方たち、共 済も含みますが、そういう方たちに、どのぐらいの保険料を実際に払っていただいて いるのかということになり、これでは93%ぐらいの数字になりますので、50.6%とい う数字ではなく、むしろ93%という数字が、実際の基礎年金の財政の仕組みにとって は意味のある数字ではないかと思っております。 ○宮武座長  どうぞ、鈴木委員。 ○鈴木氏  先ほど宮武座長から、以前、私が、分母を小さくするのではなくて分子を大きくす ることに方に力を入れてもらいたいと言ったことでのお話がありました。もちろん今 でもそう思っているのですけれども、では分母を小さくすることというのは無駄なこ となのかというと、やはりこれは法的に払わなくていい方を明確にして、その方には こういうことになっているのですということを明確にすることによって、ではそうで はない方はきちんと払ってくださいというのと表と裏だと思うのです。  したがって、今回どちらかというと印象では、分母を小さくすることに少し力が入 りすぎていたのではないかという指摘はあると思いますけれども、私はさっき申し上 げたように、これをプラスにするためにも、ここはきちんとこの問題を乗り切って、 だからあなた方はこういうことだから払わなくていいので、きちんと申請をしましょ う。そのかわり、払わなければいけない方は強制でも何でも絶対取りますよと言って、 ずっと収納率を上げていくということにぜひ切り替えていただきたいと思っています。  この問題では、払わなくていいという制度があるのだなということを国民もしっか り認識したでしょうから、一挙にここでそういう方を整理できれば、それ以外の方は、 お金があっても払わない方なのだから、これは強制的にどんどんやるということで、 また一段と意識が変わって、本当の意味の収納率が上がっていくということになりま すから、今回の問題を前向きにとらえて、この問題も中途半端にしないで、ぜひしっ かり整理してもらいたいと思います。 ○宮武座長  紀陸委員、いかがですか。 ○紀陸氏  資料2の9ページ、別添2のところですけれども、先ほど青柳部長から地域が閉じ ている、非常に閉鎖的であるというお話がありました。それに関連することなのです けれども、免除等の処理件数は全部で431万件。そのうちの約1割が大阪であるという ことで、地域によってかなり数字にばらつきが出ていると思うのです。  こういう実態だと、今お話が出ている収納率を上げる取り組みも各県によって、以 前そのような数字が出ていたかと思うのですが、やはり県によってばらつきが出てい るのだと思うのです。こういうものについて、地域別というか県別というのですか、 対処の仕方というのが違ってくるのではないかという気がしております。  特に先ほど、これは資料6の実態調査に絡むところで、不適正事案の詳細調査、資 料6のページ2のところで、一番上に調査の手順が書いてありまして、※がついてい て、併せて不適正事案が生じなかった社会保険事務所及び社会保険事務局について、 生じなかった背景について把握するというのは、何か私どもの感覚からいくと変な感 じがするのです。これは当たり前の話で、起こったところと起こってないところの背 景事情を把握するというのは、言葉に書くとこういうことになるのでしょうけれども、 何となく地域だとか県だとかによって、問題ができる事由、あるいは講ずるべき対策 というのが少し違うのではないかと思います。  あまり私どもは各県の歴史的な事情というのはよくわからないのですけれども、恐 らく構造的にそういうのがあるのではないかと思います。その辺りから、それこそ内 輪の話になるのでしょうけれども、違った対策を打つというようなことも、場合によ っては必要になってくるのではないかという感じがいたします。 ○宮武座長  いかがですか、何かお答えございますか。 ○青柳運営部長  その辺りも、今進めている詳細な調査全体を見てみないと即断して物は言えないだ ろうと思いますが、ただ、先ほど第1次調査報告、第2次調査報告で申し上げたよう な形で、一応類型化は私どももしておりますけれども、細かいところを見るとやはり やり方が少しずつ違うのです。例えば申請書なしで免除の手続をしているというもの の中にも、通知を出しているもの、出してないものという簡単な色分けもいたしまし たけれども、どの段階でそういう通知を出しているかなどが、各事務局毎にパターン が少しずつ違うものですから、そういったことも含めて、今、紀陸委員からご指摘の あったような観点を入れて調査を整理する必要があるだろうと思っております。 ○宮武座長  どうぞ、ご自由に。  私は、今回の問題は、単なる手続の不正というだけにとどまらずに、大変深刻な問 題だと思っています。社会保険事務所が社会保険の原理と原則を自分で破ってしまっ たというところに、根が深いところがあると思っておりまして、自助努力で保険料を 払えば、その見返りに年金を受ける権利が生まれるという基本があって、しかし払え ない方はどうしても出てくるわけでありますので、払えないことを確認した上で自主 的に免除の申請をしてもらうという、これは先ほどから遠賀委員もおっしゃったとお りで、手伝う程度のことは当然ながらあってしかるべきでありますけれども、今回の ようなことをやりますと、一生懸命生活費を切り詰めて保険料を払っている方は本当 に腹立たしい思いをする。納付意欲が削がれてしまう。  しかも、結局は免除されている方も、一生懸命払っている方も、最終的には給付の 3分の1は税金の補助付きで年金が出てくる。同じだったらもう払わないで、3分の 1の国庫補助だけ受ければいいではないか。これが将来的に2分の1になったら、半 分をもらうのだったらもう払わないでおこう。このような思いをする方が当然ながら 出てくると思うのです。  今でも、基礎年金を全額税方式にせよという主張は大変根強いわけでございますけ れども、全額税方式というのは、言ってみれば今回の全額免除の究極の姿のようなも ので、ある意味では今回の不祥事が全額税方式に変えよという、そういう流れをつく っていくのではないかと思います。そうすると、社会保険の寄って立つべき理念や原 則を無くしてしまうのではないかという、こういう怖さを私は感じてならなかったの です。  釈迦に説法かもしれませんけれども、社会保険庁、社会保険事務所は、社会保険の 理念と原則の上で仕事をしておられる、その上に成り立っている組織であるというこ とを、やはりもう一回職員の方に再確認をしてもらわなければいけないと私は思えて なりません。  そういう感想を持ちました。  それから、私、ちょっと踏み込んで申し上げますけれども、2007年度に80%に納付 率を上げるという数値目標があるわけでございますけれども、数値目標というのは数 だけではなくて、その数に見合う価値があるのかどうか、まさに「数値」というのは 値打ちがあるものでなければいけない。そういう意味では、これは長官、お答えにく いかもしれませんけれども、この80%という数字を、もう少しリアリティのある目標 に変わる考え方も、先行きあるのでしょうか。それをぜひお聞きしたいと思います。 ○村瀬長官  国会でも、80%という問題につきまして問い合わせがありました。実は国民年金の 収納は、14年度より地方から国に移っております。今まで14、15、16と、17年を入れ て4年間やってきたわけですが、本格的に目標を決めてやりだしたのは、16年度の後 半からとなります。それから、16年の年金法改正で様々な収納に対する支援的な仕組 みができ上がったのは、16年の後半、実質は17年度からです。  例えば、税情報を市町村から頂戴できるようになった。これは未納者の方について だけです。それから、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書ということで、国民 年金保険料を証明書がない限りは控除ができないなど、様々なサポートができたのが 17年度に入ってからです。その後、18年からは、ご存知のように7月から多段階の免 除、多段階納付が始まるわけです。  そういう観点から言えば、やっと緒について動き出した。それから、我々の仕事と しても所得情報に基づいて3つの方式ということで、1つは強制徴収を今年35万件、 来年から60万件に増やして徹底的に頂戴できる方からは頂戴に行く。一方、先ほどの 免除の勧奨という観点からいえば、やはり年金権を確保するというのも大事な仕事だ ということで、しっかり行う。それをしっかり行えば、本当にどこまで行けるのかと いうことが私は見えるのだろうと思っていまして、やってもいない中で80を落とすわ けにいかないというのが、私の今までの考え方であり、努力しまくった結果、ここま で行きました、ここまでしか行きませんということになって初めて80が高かったのか 低かったのかを言えばいいのだろうと私は思っているのです。  したがって、国会の場でも様々な仕組みをいただいて、これをやるということで80% を厳しいけれども何としてでもおろさないで近づけたいという考え方は、今も変わっ てないのです。  ただ、おっしゃるように、後ほど数字が出てきますけれども、63.6が今回の機械的 な計算で免除を中心にはやらせていただくかもわかりませんけれども、67.8まで17年 度は上がりましたから、単年度だけで言えば4.2、これが今回の不正事務処理問題を考 慮しても、多分3.8から3.9ぐらいは残っているのだろうと思うのです。そうすると、 予定からいきますと、17年度対前年度改善幅というのは、目標は3.8ですから、ある意 味では結果的には3.8はクリアしたということになりますので、やれば必ず結果は出て くるのだろうと思っております。そういう点では、今でもなぜこんなことが起こった のかと、私自身が一番不思議で仕方がないというのが現状でございまして、そこは徹 底的に実際現場で収納をやった者たちと話し合いをしたいと思っております。  苦労があるのは当たり前でして、徴収で苦労がないなんてあり得ないわけですから、 それを苦労と思って、もうできませんと言ったら、ある意味ではこの組織としての収 納はできないということになりますので、やはりそこはしっかりやっていく必要があ るのだろうと思います。したがって、まだ個人的には目標は落としません。  どうしてもできないというのなら、なぜできないのかというところを究明していき たいと、これが今の私の考え方なのです。 ○宮武座長  わかりました。  どうぞ、鈴木委員。 ○鈴木氏  今の目標が高いのか低いのかという話で、どうもいろいろな話を聞いていると、高 すぎる目標を設定することにこの問題があるのだというような観点でとらえられてい る面があるわけですけれども、私はこの80%というのは、80%では本当はいけないわ けですよね。100%でなくてはいけない。そうしないと不公平があるわけですから。  ですから、その通過点として幾つを設定するかということです。100にするわけです から、目標が高すぎるから悪いことをしたのだということを正しいとしてこの問題を 片づけては、私は後ろ向きな解決の仕方になると思います。やはり方法をきちんとさ せて、80は少なくともやらなければいけないのだと皆さんが思っていただくことの方 が重要です。80ではなく90、やはり100にならなければいけないのだと皆さんでやはり もう一度決意を新たにして、法に則った方法でそれをやりますということを今回決意 する必要があるのではないかと私は思っております。 ○宮武座長  いかがですか。それ以外にもご意見があるかと思いますが。  どうぞ。 ○加納氏  努力目標というのを決めますよね。私も共同募金の会長をしておりますが、今年の 努力目標はこれだけと決めます。それによってみんな一生懸命協力するのであって、 それをノルマがあるとかないとか、それはちょっとおかしいと思います。当然80なら 80の努力目標で皆さん頑張っていただきたい。目標を上げたから、下げたから、内容 が変わるようなことはおかしいと思います。 ○宮武座長  どうぞ、紀陸委員。 ○紀陸氏  別な話で恐縮なのでございますが、参考資料2−2の市場化テストモデル事業に関 する件で、この内容が違うと思われます。この中の東京都社労士会と福岡のICRと いう会社の事業受託の比較なのでございますけれども、5ページの真ん中のCという ところで、これは東京都社労士会で適用に結びついた事業所1所当たりに対する費用 として、約23.5千円と書いてありますが、これだけのコストが掛かっています。一方、 10ページの一番上のCでございますが、株式会社ICR、一番上の事業所1件当たり に対する費用は117.2千円。相当にコストに差があるわけでございます。これがどうい う事情によるものなのか、その辺りの分析がございましたらお教えいただきたいと思 います。  東京と福岡という地域差なのか、あるいは契約をそもそも東京都社労士会は1円で 契約しておりますが、片方のICRは成功報酬のウエートが大きくなるようなやり方 ですし、その他何か事情があってこれだけの成約1件当たりのコスト差が出てきてい るのか、きちんとした理由があればお教えいただきたいと思います。 ○宮武座長  これは、後で事務局の方から説明いただいて議題に入ろうかと思っていたものです。 それでは、ご発言もなければ次の議題に入って、その中で今のご質問を出していただ きます。  残りの資料の説明をお願いいたします。時間が大分押しておりますので、簡単で結 構でございます。 ○鈴木年金保険課長  続きまして、資料8−1から順次ご説明をさせていただきたいと存じます。  資料8−1は、ただいまの長官の話にもございましたように、17年度の国民年金の 納付率についてです。今般のような事案がなければ、正式なものとして発表させてい ただくことになっておりましたけれども、参考までにこの表の一番右下にございます ように、67.8%、単純に比較いたしますと対前年比でプラス4.2%という結果でござい ます。  もとより、これは今般の不適正な処理に基づくものを含んでおりますので、最終的 には不適正なものをきちんと排除した上で、正確な値を公表してまいりたいと思って おりますが、現段階の中間的なご報告としてとらえていただければと思っております。  ちなみに、一番下の括弧書きに書いてございますように、仮に今、我々が把握して おります不適正処理19万件が、全部不適正だったということで全部取り消されて、か つ期間も最大限と見ますと、これからさらに▲0.5%ほど影響が出てまいろうかと思っ ておりますが、いずれにしましても、正確な値につきましては、全容解明を経た上で 報告をさせていただきたいと思っております。  続きまして、資料8−2、強制徴収の現在の進展状況のご報告でございます。これ は、取り組みといたしましてはここにございますように、きちんと納めていただいて いる方との公平という観点から厳正に対処してまいりたいということで、最終催告状 の発行件数につきまして、18年度は35万件ということで臨んでまいりたいと思ってお ります。17年度の実施状況でございますけれども、一番下のフローチャートにござい ますように、最終催告状は結果といたしまして17万2,440件発行させていただきました。 このうち、お払いいただけないということで、督促状に移りましたものが3万6,398 件。さらにこのプロセスを進めまして、差押予告が8,690件を経まして、最終的に財産 差押まで至りましたのが、一番右にございます2,697件でございました。その過程で、 4万3,248件につきましては、現在のところ納付をいただいているという状況でござい ます。  2枚目につきましては、15年度から本格的に強制徴収に移らせていただきました。 この3カ年の動きというものを改めて整理をさせていただいております。先ほどのお 話にもございましたように、18年度自体はこの最終催告状につきまして35万件、来年 度は60万件を目指して、この辺りの取り組みをより強化してまいりたいと思っている ところでございます。  資料9−1でございます。これは、昨年度実施いたしました年金広報の結果につい てまとめたものでございまして、ポイントだけご説明させていただきたいと思います。  年度末の広報につきましては、私ども18年2月16日から19日にかけまして実施をい たしまして、広報テーマは下にございますような、1つは保険料額の改定がございま すので、この引き上げの周知。それから、年度初めに口座振替によりましてできるだ けこれを納めていただくということが、いわゆる分子を増やしていくというために非 常に重要でございますので、この口座振替の前納、口座振替により早期の納入をいた だければ、それだけ割引が大きくなるということ。それから、それ以外に、今年度新 たに始まります多段階免除制度その他につきまして、ご覧のような広報をさせていた だいたということでございます。  2ページに移りまして、具体的な媒体と時期につきましては、新聞につきましては 2月18、19日、それから3月25日から30日、それからリビング紙という広報誌につき ましては、2月16日、17日ということで、ご覧のような各種エリアにつきまして実施を させていただいたということでございます。  あと1点報告がございますのは、調査結果につきまして、広告の効果測定等の調査 を実施してございます。調査につきましては、インターネットを活用してアンケート 調査を行いまして、実施概要は3ページに載せさせていただいております。  1,858人の有効回答数を得てアンケートを実施いたしまして、基本的に広告の接触率 は、新聞が17.9%、リビング紙が1.3%ということでございまして、今回は一部カラー 広告も実施をいたしましたので、カラー広告についての接触率等の調査も実施をいた しました。それから、従来からやっております広報テーマ、先ほどご紹介いたしまし たけれども、これらの認知率、理解度というものにつきましても調査をさせていただ いております。  具体的な詳細として、例えば6ページをお開けいただきますと、制度・事業内容別 の認知率・理解度ということで、ビジュアルな形でまとめさせていただいております。 理解度という濃いグラフにつきまして、今回テーマとして取り入れをさせていただき ましたが、やはりその内容によりまして差がございまして、真ん中にございますよう な、先ほど申しました一番力を入れたいと思っておりました口座振替についての割引 アップというところについては、かなり理解度の進んでおるわけでございますけれど も、一方で右の方にございますような、特別障害給付金の問題や多段階免除につきま しては、思ったほど伸びていないというようなところもございます。  それで、私ども、こういった調査を通じまして、7ページ以降でございますけれど も、幾つか今後の広報にさらにこの調査結果を生かしてまいりたいと思っております。 これも要点だけご説明をさせていただきますれば、7ページでございますが、1つは、 広告のテーマに合わせた広報媒体というものをきちんと選定をしていかなければなら ないだろうということ、具体的には、これから20代から40代までの若い方に払ってい ただかなければなりませんので、若者向けの広報、それからその媒体というものをき ちんと選んでまいりたい。現在、雑誌とかインターネットという手段だけでやってお りますけれども、もっと多様化はできないのかということを検討してまいりたいと思 っております。  それから、カラー広告のところにいろいろ書いてございますけれども、最終的な総 括といたしまして、右下の方にございますように、カラー広告自体の費用対効果はや はり高い面がございましたので、今後も適切な機会を得まして実施をしてまいりたい と思っております。  それから、次の8ページでございますけれども、広報テーマ、基本的に総花的な広報 テーマではいけないので、優先順位をつけて項目を絞り込むということでございます けれども、やはり現時点、かなり制度が動いていることもございまして、それからお 伝えをしたいということも多うございますので、基本的にテーマ自体を絞り込むとい うよりは、テーマごとに媒体を分けまして、例えば市町村の広報誌で優先的にやって いくテーマとか、あるいは新聞その他のマスメディアを使って優先的にやるといいテ ーマとか、そういった媒体との関係を含めて効果的なものを選んでいきたいというふ うに思っております。  それから、やはりこのご時勢、インターネットというのが非常に効果的でございま すし、活用度合も大きいですので、意欲的に活用を図ってまいりたいと考えておりま す。  時間に限りがございまして要点だけでございますが、年度末広報の結果につきまし ては以上でございます。 ○吉岡企画室長  続きまして、資料9−2でございます。先般、平成18年度の社会保険庁全体としま しての広報実施計画を取りまとめましたのでご報告を申し上げます。  今年度の広報、U番目のところにありますように、広報の重点事項は大きく5点で ございます。1点目が年金制度の理解と信頼のための広報という、最も基本的なとこ ろでありますが、さまざまな広報の機会におきまして、(1)から(5)に掲げており ますような考え方を基本としつつ、創意工夫を凝らした広報を展開していきたいとい うことです。  2点目は、国民サービス向上のための広報ということで、近年、さまざまなサービ ス向上の取り組みを行っておりますので、そうしたことを大いに広報していきたいと いうことでございます。具体的には(1)にあります様々な年金相談の周知・普及。 (2)にあります年金個人情報の提供、例えば先般開始をいたしましたIDパスワー ド認証方式によるインターネットでの情報提供、こうしたものを初めとする年金個人 情報の提供の取り組みの周知。2ページ目ですが、(3)にありますように今年の10 月から住民基本台帳ネットワークを活用して、年金受給者の方々の生存確認を行うと いうことで、これによりまして毎年度提出していただいた現況届というものも不要に なりますので、そうした事前広報、周知ということであります。(4)が労働保険との 徴収事務の一元化。徴収事務センターでの受付範囲が拡大するといった点につきまし て、事業主にリーフレットなどでの広報を行うということでございます。  3点目が、国民年金保険料の収納率向上のための広報でございまして、(1)にあり ますような口座振替あるいはコンビニ収納、それから法案に盛り込んでおりますクレ ジットカードによる納付、こうした取り組み。それから、(2)にございますような免 除、あるいは納付猶予といった取り組みについての広報を的確にやっていきたいとい うことであります。  4点目が制度改正に関する広報でございます。(1)にありますように、16年制度改 正の施行等がまだ残されております。今年の7月には多段階免除制度、9月には厚生 年金保険料の改定、それから来年3月には介護保険料率の改定、そして4月には一番 の課題となりますけれども、離婚分割制度も開始されます。こうした広報を的確に行 うこととあわせまして、現在、国会に出しております社会保険庁改革の2法案や先般 成立しました医療保険制度改革、こうしたものについての広報を展開していきたいと いうことであります。  最後に5点目として、その他の広報に掲げておりますが、特別障害給付金の問題で ありますとか、あるいは(2)の届け出の適正手続、あるいは電子申請の利用促進と いうものも、これからさらに展開していかなければなりませんので、そうしたことに ついて、事業主向け、あるいは個人向けの広報、それぞれ着実に行っていく。そのほ か、(3)にあります、政管健保の保険事業の取り組み、あるいは(4)にあります各 国との社会保障協定、今年度中には日仏、日白(ベルギー)との協定が発効しますの で、こうした広報を行うということを柱として掲げております。  V番目に、広報手段ということで4点掲げておりますが、新聞・雑誌等による広報、 個別対応によります広報・伝達、関係機関との連携、社会保険の関係者の方々を通じ た周知・理解、こうしたさまざまな切り口をもっての広報というものを進めていきた いということであります。  次のW番目にございますのが、そのうち本庁で実施する媒体広報ということであり ますが、最初は年金集中広報でございます。秋の年金広報、それから年度末の年金広 報につきましては、保険料収納率の向上につながる広報と、それから制度改正内容を わかりやすく伝える広報、これを中心としまして、新聞等の活字媒体を基本とした広 報を行っていきたいということであります。  とりわけ秋の年金広報につきましては、これまで年金週間という形でやっておりま したけれども、今年度から年金月間に改めて取り組みをやっていきたいということで あります。  2番目にあります社会保険庁ホームページの充実でございますが、今年度において はとりわけ(6)(7)(8)というものに新たに取り組むことにいたしております。 携帯電話版ページの充実、あるいは動画でわかりやすく解説する年金ネット番組を創 設する、それからキッズページ、こうしたものに順次取り組んでいきたいと思ってお ります。  X番目に、地方社会保険事務局で実施する媒体広報ということでございますけれど も、1の(1)にありますのが、先ほど今回の事案につきましての関連でご説明申し 上げましたけれども、リーフレット、チラシ類、原則として本庁で一括作成し、地方 で独自につくるものにつきましては、事前に本庁の方で承認をするというような形で 適正化を図っていきたいということでございます。  次の5ページ目でございますけれども、(2)にありますように、その一方で本庁に て一括作成するものにつきましては、十分に地方から意見・要望を徴取してそれを反 映していきたいということであります。また、(3)にありますように、各事務局で独 自につくる必要があるものにつきましては、私どもが個々に承認することにしますの で、そうした承認結果等の情報を伝えまして、よりよいものができるようにしていき たいということであります。  以上でございます。 ○宮武座長  ありがとうございました。  それでは、先ほどの紀陸委員のご質問がこれに関連する参考資料の中にある記述で ございましたので、それをご説明願えますか。 ○武田医療保険課長  医療保険課長でございます。  参考資料の2−2で、昨年度の市場化テストモデル事業の評価をまとめております。 先ほどの紀陸委員のご質問は、今回2つの地区で2つの事業者によりまして適用促進 事業を行いましたが、結果においてかなり明確な差が出ております。  改めてご質問でご指摘をされた点、5ページを開けていただきますと、A、B、C とありまして、Cの適用に結びついた事業所1件当たりに対する費用、東京都労務士 会約2万3,500円ということでございますが、一方でICRという福岡の会社ですが、 同じ資料の10ページのCのところで12万7,200円と非常に大きな差があって、この原因 をどのように評価をするのかというご質問だったと理解しております。  この件に関しましては、評価をどういう切り口でやるかという点で議論が分かれて くる可能性がございますが、改めてご紹介をいたしますと、資料があちこちになるの で口頭でご説明をいたしますと、東京都社労士会は、前回もご説明をしたかと思いま すが、1円入札ということで入札をしております。今回は、市場化テストモデル事業 ということで、可能な限り民間事業者の創意工夫を生かした委託ができるようにとい うことでございまして、一定の要求水準をお願いして入札をするのですが、それに加 えて成功報酬を払うという体系にしてございます。  東京都社労士会は、基本的な事業所の洗い出し業務は1円入札を行いましたが、結 果的に社会保険適用に結びつけますと成功報酬が入るということで、成功報酬のとこ ろに非常に力を入れた事業展開をしております。したがって、結果的には社会保険適 用に結びついた事業者が多くなりまして、コストという面で見ると1件当たりは低か ったという結果でございます。  一方、福岡のICRは、社会保険労務士会の適用のプロ集団というよりは、着実に 効果的に洗い出し、適用促進をやるということで、評価がなかなか難しいのですが、 10ページ目に評価を上げてございますが、未適用事業所を結びつけるというところで は要求水準を満たしておりますけれども、結果として適用に結びついた事業者数とい うのは、社会保険事務局がやっている実績よりも低くなってございます。  ここの評価の点、私どもが悩んだところでございますが、6の評価のところの「し かしながら」と書いておりますが、全国平均から見ますと適用に結びついた事業者数 というのはそれほど低いわけではないということも考えますと、一概に数字が悪かっ たということではないだろうということでございます。  10ページの下に表をつけてございますが、福岡と東京と2カ所選びましたのが、東京 というのがなかなか事業所の数が多くて事務局の調査が追いつかないというところで す。福岡は、同じ都市部ではありますけれども、事務局・事務所が比較的これまでも 効果を上げてきたところだということがございまして、福岡と比べますと実績は多く ないのですが、東京その他全国と比較しますと、このICRというのはそれほど劣っ ているようには見えないということがございまして、どこと比較するかで評価が分か れると思います。それから、事業者自体がどこに重点を置いて事業をやったかで評価 が分かれるということになってしまいました。  したがいまして、ご指摘いただいたところ、結果的に適用に結びついたところとい うことで見ると、数がそれほど伸びていませんし、コスト的には1件当たりは高くな るということですが、ここをどう評価するかはなかなか難しいというのが今回の結論 だろうと思っております。  実は、このICRという会社、18年度も全国各地で入札を行いましたが、幾つかの 地区で落札をしております。したがいまして、2年目の結果も踏まえて、市場化テス ト、それからそれに参加をされた民間会社の評価というのは、18年度の結果も踏まえ て改めて評価をしていきたいと考えております。  長くなりましたが以上でございます。 ○宮武座長  紀陸委員、再質問はございますか。 ○紀陸氏  いえ、難しいですね。これは悩ましいですね。わかりました。 ○宮武座長  どうぞ、小島委員。 ○小島氏  3点ほど質問があります。1つ目は、資料8−1、国民年金の直近の納付率のとこ ろです。暫定数値ということになっておりますけれども、18年の4月末のところでは、 前年度から比べますと対象月数がマイナス8.5%と大幅に落ちています。この要因とし ては、免除の不適正処理により相当免除者が落ちたということが影響しているという ことが1つあると思いますが、そのほか何か考えられるのでしょうか。  というのは、第1号被保険者自体の数が減ってきているのかどうかということです。 多少景気回復によって1号から2号に移るという要因というのが考えられるのかどう か、これだけ対象月数が落ちている理由は何かというのが1つの質問です。  2つ目は、同じ資料の8−2ですが、催告状を出したのが17年度17万件に達したと いうことです。この表を見ますと、催告状を出したのが17万2,000、そして納付・一部 納付等が4万3,000、最終的に財産差押等の処分を行ったのが2,697件ということです。 その差、約12万件はどういう扱いなのでしょうか。多分これは納付されないので、未 納扱いということで、2年過ぎると時効になってしまうと思います。この差の12万件 は、これはどういう扱いになっているのかというのが2つ目の質問です。  最後は、先ほど紀陸委員が指摘されました市場化テストの関係で、参考資料の2− 1です。先ほど17年度の実績については2−1でありました。参考資料2−1の市場 化テストの実施についての中で、18年度については市場化テストで適用の促進事業と 国民年金保険料の徴収事務を大幅に増やすということになっておりますけれども、そ れの費用負担の問題です。  年金保険料を年金の事務費に活用するということが今は特例措置で行われておりま す。今回、法案が出まして継続審議扱いになっておりますけれども、年金事務費に保 険料を使うということですが、私はそもそもそれは問題だと思っております。とりあ えず今回も市場化テストの適用推進なり収納事業については、この費用は年金保険料、 あるいは政管健保の保険料を充当していると聞いておりますけれども、この市場化テ ストを増やしていけばいくほど保険料からの充当が増えていくということになってし まいます。今回の市場化テストで委託した事業費を丸々保険料から充当しているのか、 そこの人件費等は別扱いをしているのか、その仕分けをきちんとすべきだと思います。  それと、本来はやはり保険料を負担している労使あるいは国民年金保険料を出して いる納付者の意見を当然聞いて、その活用についても明らかにする必要があると思い ます。保険料を事務費に使っているならば、それをどういう根拠で、何に使っている のかを明確に加入者、保険料負担者に明らかにすることが最低限必要だろうと思って います。以上3点、質問と意見です。 ○宮武座長  各々お答えが違うかもしれませんが、お願いします。 ○鈴木年金保険課長  若干順不同になりますが、4点いただいたうちの1点目の資料8−1で分母が減っ ている要因でございます。これは、今回の不適正処理自体は全体のプラス4.2に比べま して最大限見積もりましても、現時点では0.5ということでございますので、規模感と してそんなには大きくないと思っております。  しからばその8.5というのはどういうことかといいますと、1つは小島委員から指摘 がございましたように、被保険者自体が減っているというのは事実でございます。ち なみに、17年4月で2,217万人おりましたものが、18年4月現在では2,190万人という ことで、従来よりも減少傾向がさらに強くなっております。  もう1点は、当然ながら免除・猶予につきまして、私ども獲得をしてきた効果がこ こに出ているということでご理解をいただければと思っております。  2点目の資料8−2の強制徴収でございますけれども、ご指摘いただきましたよう に17万2,440件のうち、最終的に差し押さえが2,697で、一部納付等が4万3,000という ことでございますが、この差がどうなっているかといいますと、これは現在保険料獲 得の交渉中、調整中でございまして、全部が消えてしまうわけではございません。当 然、督促状を出しますと時効中断効果もございますので、そういったことも含めてし っかり債権確保していきたいと思っております。 ○武田医療保険課長  市場化テストの財源についてご指摘あったと思いますが、適用促進事業、本年度、 昨年度、市場化テストを行っております。この適用促進事業につきましては、特例措 置により保険料財源ということで実施をしているものでございます。  ちなみに、先ほどつけ加え忘れましたが、市場化テストでの適用促進事業は、公権 力の行使の一歩手前までという整理でございますので、この後職権適用も視野に入れ て指導していくという部分は、事務局・事務所の事務でございまして、もちろんこう なりますと本体の職員の人件費は国庫という整理でございます。 ○宮武座長  費用負担の問題はいかがですか。 ○山田経理課長  年金事務費の費用負担の一般的な財源区分の考え方ということでご説明をさせてい ただきます。  年金事務費につきましては、昨年末、財務大臣と厚生労働大臣の合意がございまし て、そのときの考え方についてご説明をさせていただきますと、国民皆年金制度のも とで公的年金に対する国の責任をきちんと果たすという観点で、職員の人件費、国家 公務員の人件費、それから職員宿舎、公用車などの直接事業に関係のない、いわば内 部管理的な経費につきましては国庫負担にするということで、いわば年金事務費に対 する国の責任を明確にするということでございます。  一方で、保険事業運営に直接かかわる経費、適用・徴収・給付といった経費につき ましては、基本的に保険料を当てるということで、言ってみれば事業運営をするとき の受益と負担の明確化を図るということで、年金事務費、以上のような考え方で財源 負担の区分をしてございます。 ○宮武座長  小島委員、再質問をどうぞ。 ○小島氏  最後の事務費についての一般的な説明は承知している。具体的に、例えば年金事務 運営に直接関わる経費として、システム関係あるいは適用関係事務、徴収事務関係、 それから給付関係事務という、4つの事務が示されておりますが、具体的に中身をも う少しきちんと公表してもらいたいということです。  例えば、市場化テストの委託費は、全て保険料で賄っていくということだと思いま す。そうしますとこの市場化テストを段々増やしていきますと、その委託費用がかさ んでいく。際限なく市場化テストを進めるかどうかは別の問題として相当保険料から の充当が増えていくということになりますが、歯止めとかそういうのは何もないので しょうか。 ○山田経理課長  基本的な財源区分の考え方は申し上げたとおりでございまして、ご指摘の具体的に どういう経費に充てているかということにつきましては、資料を整理して次回の会議 でご説明をさせていただきたいと思います。 ○宮武座長  どうぞ。 ○小島氏  具体的な経費の内容を次回是非示していただきたいと思います。  今は、財務大臣と厚生労働大臣の合意の中で保険料の活用の上限を決める、あるい は歯止めというのは多分ないと思います。やはり被保険者の声を十分踏まえて、保険 料の使い道について十分検討する必要があると思います。これからはそういう仕組み を是非考えていただきたいと思います。 ○宮武座長  前にも私も質問して、結局よく金額としてわからなかったこともございましたので、 小島委員、次回でよろしいですか。では、資料提出をしていただきます。  どうぞ。 ○加納氏  免除の中に生活保護の方が入っていますね。理解しないといけないのかもわかりま せんが、私は、どうしても納得がいきません。  生活保護というのは、個人ではなく世帯の単位ではないかと思うのです。そこへ年 金の免除のところへ生活保護者を入れるというのは、何となく一体どういうことなの だろうかと思うのです。 ○宮武座長  生活保護の方は法定免除ということで免除されているわけですけれども、それの仕 組み自体がおかしいという意味ですか。 ○加納氏  生活保護を受けられる方というのは、世帯の中の生活の基準が下がっているからと いうことで、ケースワーカーが指導しています。それとこの年金の免除の関わりがわ からないのです。 ○青柳運営部長  医療保険を例にとってみると、医療保険の場合には生活保護の対象になる方は医療 扶助として、医療の給付を生活保護において受けられるため保険から外れています。 ところが、年金はそういうやり方をしないで、年金の中で抱えておいて免除という扱 いにしております。  なぜそういうことをしているかといいますと、医療保険は今すぐ必要な給付を受け るためということですから、国民健康保険の他の被保険者にしわ寄せをかけるわけに いかないので、生活保護から給付しています。ところが、年金の場合には、今生活保 護の状態であっても、10年後も20年後も30年後も40年後もそういう状態にあるとは限 りません。したがってそういう方は今は負担能力がないから生活保護という扱いにし ているけれども、いずれ生活保護から外れて負担能力ができたときには、例えば10年 以内であれば追納として保険料を納められますし、そういう可能性があるので今は免 除としております。将来生活保護が外れれば、その外れたときに追納していただくな り、あるいはその時点での保険料を払っていただくということで、保険料を払ってい ただく被保険者、いわば本来の姿に戻れるのではないかと思います。  そういう時点の違い、タイムラグのようなものを念頭に置いているので、年金では 生活保護の人を免除にするという扱いをしているとお考えいただければよいと思いま す。  もちろん、不幸にして40年間全部生活保護になってしまって、年金を受ける年齢に なっても、3分の1相当、国庫負担相当の年金をお受けになった上で、差額の部分を 生活保護で老後も生活されるという方がいらっしゃらないわけではないと思いますけ れども、やはり生活保護は一次的に今の時点での緊急避難であり、将来的には、その 方々が自分で生活できるようにするという状況を考えれば、年金もそこを目指してつ なげていかなければいけないのではないか、そういう考え方だとご理解いただきたい と思います。 ○加納氏  生活保護は数が増えておりますので、随分と数が増えますね。 ○宮武座長  建前はやはり自立支援ということになっているので、青柳部長がおっしゃったよう な趣旨ではありますけれども、今大変数が増えておりますね。 ○青柳運営部長  生活保護そのものをどうやって適正化するかというのは、これは加納委員には本業 でいろいろご協力いただいているところだと思います。これは厚生労働省全体として は非常に大きなテーマだと思っております。ただし、年金との関わりで言いますと、 将来のことに向かってつなげていくというのが年金の役割ではないかと思っておりま す。 ○宮武座長  よろしゅうございますか。 ○加納氏  はい、ありがとうございます。 ○宮武座長  大分時間が押し迫ってまいりましたが、他にどうしてもということはございますか。 もしなければ、いろいろ厳しいご意見が相次いだと同時に、これを機に頑張れという 声もございましたので、この会議はある意味では社会保険庁の応援団的なところもあ るわけでございますので、そういう激励もあって救われた思いもいたします。ただし、 応援団もいつもおとなしいとは思わないでほしいと思います。  では、最後に村瀬長官からご挨拶を願いたいと思います。 ○村瀬長官  今日は、様々なご意見、本当にどうもありがとうございます。  先ほども申し上げましたけれども、今やらなければいけないことは何かといったら、 やはり社会保険庁の信頼回復、その信頼回復でやらなければいけないことは何かと言 いますと、やはり今回起こったことの全容解明をして、なぜこのようなことが起こっ たのか、二度と起こさない仕組みをどうつくるか、これに尽きるのだろうというふう に思っております。  したがいまして、6月、7月、ある意味では危機を乗り切れるかどうかという大変 な山場だろうと私は思っております。何としてでも乗り切れるような形で答えを出し たいと思います。  ずっとご議論いただきましておわかりいただいたと思いますけれども、社会保険庁 は312の事務所長にとてつもない権限を与えているわけでございます。その割には、シ ステム面、事務処理面できちんとしていたかどうかと言うと、残念ながら大いに反省 すべきところがあります。したがいまして、やはりこれから312の事務所で働く者たち がしっかりした意識を持って働く仕組みをつくることと、それから事務処理上で決し ておかしいことは起こさないような仕組みをつくって防止していく、それをしない限 りはだめなのだろうと思っていまして、これは何としてでも7月までに方向を決めて しっかりやらせていただけたらと思っております。  そして、先ほど鈴木委員からもありましたように、まさにこれをばねにして、社会 保険庁が本当に変わるという形の組織に私自身はしていきたい、それにチャレンジし たいと思いますので、ご尽力のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。 ○宮武座長  ありがとうございました。  もう一つ忘れておりましたが、冒頭で小島委員から、こういう重大な事態があった 場合には、運営評議会も緊急に会議を開くべきだという声もございました。私もそれ は忸怩たるものがございまして、以降は委員の皆様、これはすぐ開くべきだと、どう いう事態なのか聞いてみたいというときは、ぜひ社会保険庁の事務局にお声を寄せて いただくか、あるいは私に電話をいただいても結構でございますが、その連絡がすぐ 各委員に伝わるようにしていただきたいと思います。今後ともそれをよろしくお願い いたします。  それでは、本日の会合はこれをもちまして終了いたします。ありがとうございまし た。 〔了〕