日 時  平成18年 3月29日(水) 10:00〜12:00 場 所  厚生労働省専用第24会議室 出席者  井戸美枝委員、川島貴志委員、川端大二委員、駒村康平委員      袖井孝子委員、長谷川隆委員、渡辺俊介委員      村瀬清司社会保険庁長官、大澤範恭サービス推進課長      吉岡荘太郎東京社会保険事務局長、宇野裕社会保険大学校長 袖 井:前回は初回ということで皆様から問題点をアトランダムに出していただきまし たが、本日はもう少し絞った形で議論を進めさせていただきたいと思います。     最初に前回の研究会にご欠席でした井戸美枝さんがご出席されていますので、 ご紹介いたします。一言どうぞ。 井 戸:社会保険労務士の井戸と申します。私の立場からは、窓口に行かれているお客 様が満足していただけるようなサービスをしていただきたいということで、現 場の声ということでどんどん意見を言わせていただければと思っておりますの で、どうぞよろしくお願いいたします。 袖 井:ありがとうございます。それから本日は村瀬社会保険庁長官にもご出席いただ いておりますので、一言ご挨拶お願いいたします。 村 瀬:長官の村瀬でございます。第1回目につきましては出張中で、今日初めて出席 となります。正式メンバーには入っておりませんが、運営評議会や厚生労働大 臣の有識者会議等で、職員の研修は極めて大切であるというお話を聞いており ますし、私自身も、これからいかにして職員の資質を上げていくのか、極めて 大切なことであると思っております。     社会保険庁は実施庁ですので、法律に基づいて公平公正な業務を行っていくた めには、関連法令を含めたしっかりとした知識を身につけさせると同時に、法 律改正、人事異動を踏まえて、知識の定期的なリニューアルをすることが必要 であろうと思います。18年度からは人事評価制度を導入しまして、個々人の 実績評価、能力評価をしていく訳でございます。その中で研修を含めた本人の レベルをどう確認していくか、これが極めて大切だと思っておりますし、マネ ジメント教育のところがどうも欠けている部分が多いのではなかろうかという ことで、今後、知識レベルと同時にマネジメント教育をどういう形で導入して いくかということも大切な部分だろうと思っております。 どちらにいたしましても、職員の能力向上の総和が、業務品質、事務品質のレ ベルアップに繋がり、それは結果的に国民の皆様の信頼に繋がる、こういうふ うに考えております。したがいまして、研修の充実、職員の能力アップのため にどうしていったらよいかということで、活発なご議論いただきますようお願 い申し上げまして挨拶に代えさせていただきます。 袖 井:それでは、まず本日の資料1についてのご説明を事務局からお願いします。 事務局:資料説明 袖 井:どうもありがとうございました。まずご質問がありましたら、どなたからでも。 渡 辺:資料1−7お客様満足度アンケートについて、待ち時間がやや長引いている感 があり、満足度も待ち時間30分以上経つと下がっている。現実問題として、 多数の方が訪れて待ち時間が長くなることはやむを得ないと思うが、その間の 何か工夫をしているか。医療機関の待ち時間も不満が多いが、病院によっては ポケベルを持たせるなど工夫をしているところがある。待ち時間は老人人口の 増加、年金相談対応等でもっと長くなる事が懸念されるため、待ち時間の長さ があまり苦にならないような工夫を考えていく必要があるのではないか。 大 澤:同じ資料のP13をご覧いただきたい。これまでも@第2月曜日の年金相談時 間の延長、第2土曜日の開庁、ファクシミリによる相談等工夫を重ねており、 また年金相談センターの新設、年金相談窓口の拡充等これまで努めてきている ところである。またA混雑状況を予めホームページに掲示することによって、 なるべく空いている時間帯に来ていただくような誘導を促している。今後の問 題としてはBすでにモデル的には実施しているが、年金相談の予約制を来年度 は本格的に全国展開していくということを組み合わせながら、待ち時間解消に 努めて参りたいと思っている。 宇 野:研修においては、目があったお客様に対し会釈、笑顔で対応するというような ことを接遇研修の中でやっている。 袖 井:郵便局や銀行に置いてある、ただ今何人待ちというのが分かる機器を設置する のはいかがか。 宇 野:総合相談窓口方式になっており、入口の前に機器を置き、カードを引いてもら っているので、何人待ちというのはわかる。ただし、年金相談は個人によって 異なり、後何分ということを言えないのが苦しいところである。 村 瀬:総合相談室にしているので、そこで相談の中身によって、もう少しさばきがで きるようになると思う。18年4月までに、すべての事務所で総合相談室を置 いて、1階のさばきをやるようにしている。それでもやはりこちらの意向どお りにはいかないので、そこをどう解消していくかが課題。 袖 井:社会保険事務所そのものの配置の問題もあるのではないか。人口の多い所に増 やせるのか。 村 瀬:都内同一区に2カ所あるところを3カ所廃止し、居住人口の多い地区、市川、 越谷、青梅に事務所を開設したいということで国会に出している。 駒 村:相談時間にばらつきがあるが、一人あたり大体どれくらいの相談時間をとられ ているのか。 大 澤:今のところ統計をとっていない。次回以降の調査の中でわかるようにしたい。 袖 井:この調査はご自分で書かれたものか。 大 澤:P17に載っているアンケート調査票を、相談が終わった時点でお客様にお渡 しし、ご記入いただいた上で、アンケート回収箱に投函していただくか、近く の職員にお渡しいただくというやり方をしている。 川 端:相談内容はどのようなものが一番多いのか。 大 澤:色々である。年金相談であれば、新規に年金を請求したいという話から、健康 保険の傷病手当金等の給付を受けたいなど事業所の担当者からの相談もある。 川 端:メールやインターネットにアクセスすることで用が足せるレベルのものはない のか。メール等をうまく活用し、事務所に来なくても済むように簡潔にできる 部分もあるのではないか。 大 澤:おっしゃるとおりです。 渡 辺:障害年金、遺族年金は老齢年金に比べてかかる相談時間が長いと思うが、待っ ている方が老齢、障害、遺族いずれかの相談なのかは分からないのか。 村 瀬:一番初めの受付段階でどういう相談の中身かということを知ることによって時 間のかかり具合が読めるはず。そこの品質を高め、複数ある相談窓口にどうい うレベルの人達が揃っているかということきちんと見て、相談を受けるレベル と相談の中身をマッチングしていけば、来ていただいた方の振分けができる。 それから川端先生がおっしゃったように、そもそもお越し頂かなくても済む部 分を増やすべく、電話にするなり、インターネットにするなりしていく。この 両方合わせてやっていかないとだめなのだろうと思う。 袖 井:お客様アンケートは来所した時のことしか聞いていないが、裁定までの期間を もっと短くできないかという要望もかなりあった。それは可能なのか。 大 澤:原則的に2か月以内、障害年金についてはこれまでは3か月半以内という、請 求を受け付けてから年金証書をお届けするまでの期間の基準を決め、期間を超 えているものについてはその中に収めるように各事務局へ指導してきている。 井 戸:老齢年金の手続きが1回で済むケースが少なく、何度か足を運ばなければいけ ないという不満の声をよく聞く。足りない書類については郵送で認めてもらう といった判断も必要。また待ち時間に対する評価が、「少々お待ちください」「あ と何分くらいです」等の対応でもたらされる、ほったらかしにされていないと いう意識によってすごく違う。また、会った時の職員の感じで「嫌だな」「これ なら少しは待てるかな」というのが8割9割決まってしまうので、よりきめ細 やかな対応も求められる。 袖 井:接遇のトレーニングは元客室乗務員の方による講義のようで、これから変わる かなと思うが。 宇 野:研修の講義内容の資料には文字として書いていないが、接遇の基本中の基本は 見た目が8割と、それを一番最初に教えている。 袖 井:少し気になったのがP10で、電話相談(ねんきんダイヤル)を知らなかった という方が非常に多いように思うが、どうしてか。PR不足か。 大 澤:新聞の広報、庁のHP、事務局または事務所のチラシ、市町村の広報等色々な 形でやってきているが、まだ十分と言えない。これからさらに普及させたい。 渡 辺:高井戸の業務センターは1日3000本位かかってくるが、繋がるのは半分程 度というケースが昔はよく言われていたが、現在は業務センターよりも、各事 務所にかかるのか。 大 澤:昨年の10月31日からはねんきんダイヤルにかけていただければ、全国の年 金電話相談センター等のうち回線の空いているところに繋ぐしかけにした。 渡 辺:全国共通のフリーダイヤルのようなものか。 大 澤:フリーではないが、市内通話料金をお支払いいただければ利用できる。 村 瀬:高井戸と、23の地域に分散して電話相談センターがある。電話番号が年金受 給者、年金被保険者と二つに分かれており、年金受給者はすべて高井戸へいっ たん繋がるようにしており、オーバーフローしたものを他の地域に回している。 一方、年金被保険者は各地域のエリアごとに決めていてそこに第一に繋がるよ うにしており、そこに繋がらなかった場合は空いているところへ転送し収まる ようにしている。全国460ブースでやっており、応答率が平均値で8割くら いに上がってきている。ただ、繁忙期については5割強くらいまで落ちるため、 ブースをいかに効率的に確保していくかということも重要である。 川 島:資料1−7P9に事務局別の全体満足度が出ているが、自分の事務局の数値を どう改善していくのか、ということを事務局長の人事評価に反映させ、部下の 能力の向上、配置の工夫を図るということも必要ではないか。 大 澤:アンケートはまず事務所単位で集約をし、次に事務局単位で集約をし、本庁に 報告していただいて集約。またそれを分析して逆ルートでフィードバックして おり、それぞれ自分の事務局、事務所についてはどのような状況になっている か認識できるようになっている。また人事評価制度の評価の中で、個々にスコ アを決め、5点満点中何点かということを実績評価している。来年度からは本 格実施、また再来年度からは一般職員についても対象となるので、各部署ごと にスコアを上げる努力を促すようなしくみを取り入れていきたい。 袖 井:事務局ごとにまとめられているが事務所ごとにも実施しているのか。 大 澤:事務所ごと、また接遇等個々の分野ごとにアンケートを実施している。 駒 村:それについて事務所ごとに何かコメントは求めているのか。 大 澤:全国平均以下の事務所については、原因を分析して改善計画を出させるように する予定である。 袖 井:アンケート調査は何回するのか。 大 澤:年に2回。7月と1月に実施している。7月が比較的閑散期、1月が繁忙期と いうことで、経年的に追ってみる予定。 袖 井:事務所ごとに利用者人数も随分違うのでは。事務所の規模別の集計も試みては どうか。満足度が高い事務所でも、そもそもの利用者が少ないこととの関連も ありえるし、いちがいに努力がどうとは言えないようにも思うが。 駒 村:人事評価とリンクしていくならば、より洗練されたアンケートにしなければい けない。また1月と、7月と分かっていればその時だけがんばろうという傾向 になる可能性も否めず、もう少し覆面的な実施も必要ではないか。 大 澤:事務所側の準備もあり、いきなり明日というのは業務上厳しいが、来年度、数 は1事務局1事務所位であるが民間による覆面調査を別途実施する予定である。 吉 岡:アンケート調査の中身について、来所の所要時間や、窓口で何分位相談を受け たかという時間に関する項目があったほうがよいのではないか。待った時間と 相談を受けた内容の相関がわかればお客様の満足度についても何か手がかりに なるのではないか。 袖 井:可能であれば、時間に関する問を加えることによって、今後役にたつのでは。      井 戸:今の時間と内容の件に付け加えて、お客様は年金について、どんな場合に知り たくなるか研究する必要も今後あるのではないか。 大 澤:今のお話は、アンケート調査の内容というよりは、別の角度で要検討か。 袖 井:人事評価の結果のようなものは出ているのか。公表は可能か。 宇 野:試行の結果はまとまっている。不都合な点がないかチェックしているところで あるが、公表はできない。相対評価でS、A、B、Cを付けるよう実施したが、 それは守られている。 袖 井:クレーム等はないか。 宇 野:結果については、まだ被評価者はわからない状況。今後クレームは出てくるか も知れない。 袖 井:評価者が非常に大変なのではないか。評価者の意見も募っているのか。 宇 野:アンケートを実施。その中で、評価対象者が多数いて大変だ、評価補助者を認 めてくれという意見も出ており、改善できるものは取り込んでいきたい。 川 端:国家公務員の特別昇給のように持ち回り的な評価になる懸念はないか。 宇 野:人事評価制度については、ルールどおりやっていく。特別昇給の対象について も17年度は、順繰りにならないように評価をして選んだ。 渡 辺:評価について、接遇面は年金相談に携わる者に求められるだろうし、一方でデ スクワーク中心の者であれば、多少愛想が悪くても業務能力が求められるだろ う。色々なセクションがある中での評価というものを意識しているのか。 宇 野:なるべく似たようなランク、業務ごとに、評価する対象をグルーピングしてい る。人事評価制度の基本的モデルとしては、社会保険事務所の事務であり、内 部事務が多い本庁は難しい面がある。それでも、業務の成果やサービスの満足 度、リーダーシップの有無などについて評価をしてみており、どういうところ に問題があるかというのは分析中である。 村 瀬:今回は試行ということで管理職(事務所の課長以上)を対象とし、職務ごとに 一つのパターンを決め実施したため、さほど齟齬はないと思う。18年度から 担当者レベルまで広がるため、どういう項目にしていくかというのをきちっと しなければいけない。まさに、18年度試行し決めていく部分である。 川 島:これから試行される担当者レベルの評価については、年度の初めに個人目標を 策定し、目標達成に向けて上司と面談することになっているが、その時に8割 くらい勝負がつくのではないか。その時点で、お互いに何の項目をどういうふ うにやろうときちんと定めることが大切であり、担当者レベルになればなるほ ど、そういった細やかさが要求されるのでは。 村 瀬:おっしゃるとおり目標管理シートが一番大事な部分で、そこでしっかり上司と 部下のコミュニケーションを持ち、合意できるか、それに尽きると思う。 川 端:評価について、目標を超えた部分に対して加点するというような加点の部分を 取り込むことによって、モラールが高まるのではないか。 宇 野:目標以上の達成を評価するしくみは取り入れている。それが三段階の評価でい いのかどうかという議論はあり、見直すことになるかも知れない。 川 端:もう一つは目標のレベルの問題。目標がそれぞれの職責にあって適当なのかど うか、高いのか低いのかという基準も考える必要があるのではないか。成果主 義を賃金だけに結びつけるのはあまり適切ではない。それ以外の側面に色々な 工夫をしていくのが重要だと思う。 村 瀬:公務員制度の制約の中で、一歩でも二歩でも実績に合わせた評価をできるしく みを作っていきたいというのが今回導入の目的である。問題は次のステップで、 制度全体を国家公務員としてどう考えていくのか、その時に社会保険庁はどう いう位置になるのか、ここはきちんと議論しなければいけない部分だと思う。 袖 井:他にご意見等なければ資料2の方に移りたいと思います。 事務局:資料説明 袖 井:ありがとうございました。質問、ご意見、疑問点等ありましたらお願いします。 渡 辺:資料2−1P2のコア業務の意味について。例えば保険料徴収の市場化テスト が実施されているが、これはコア業務になるのか、つまり外部にさせる仕事と いう解釈してよいのか。また新組織でいうコア業務とは何を意味するのか。 宇 野:市場化テストを含めて外部に出すものは、非コア業務と考えている。権力の行 使を伴わないものについては国の職員でなくてもできるということで、積極的 に出していくという方向。 渡 辺:市場化テストの対象となるものもこの資料に含まれているのか。 宇 野:基本的には含んでいない。 渡 辺:という事はP2の国年の徴収は強制徴収の執行を意味するのか。 宇 野:最終的にはそうなる。ただ、その前に20歳到達者の住民基本台帳に基づいた 完全適用、また厚生年金からの異動者等で届出がない者の職権適用を行う。制 度の周知や勧奨は、行政官でなければできないということではない。最終的に そういったものは外に出せるようにしていく方向。 渡 辺:徴収以外にここに挙げられている中で、市場化テストの対象になる、つまりコ ア業務以外の業務はあるのか。 村 瀬:現段階で、3つある。1つは国民年金保険料徴収の所得情報に基づく免除勧奨、 強制執行を除く通常の収納対策であるが、現在5事務所で市場化テストを行っ ており、来年度は35まで増やす。2つ目は年金電話相談で、1事務所だけ実 施しているが、年金相談の電話の部分については、全部外部委託するのか自ら やるのか検討課題となっている。3つ目は未適用事業所対策で、現在5事務所 でやっているが、18年度は104事務所に増やす。事務所そのものを市場化 テストしたらどうかという意見もあるが、我々としては所得情報だとか、強制 執行というものは残念ながら民間に委託できないと考えている。 渡 辺:社会保険庁の職員が民間以上にすばらしくなって、市場化テストに出さなくて も新組織としてやっていけるという姿が望ましい、というつもりで私は言って いる。むしろ取り戻す位の気概でやってほしい。そのための職員研修であり、 お客様サービス向上などやっていく訳だから。そうしないと全体のモチベーシ ョンも高まらないのではないか。 村 瀬:国年の収納という観点からいくと、最終的にどちらが収納率を上げられるかと いう事になる。民間に委託して結果として収納率が上がらなければ、社会保険 庁本体が責任を負うのだから、そこは見極めをどこかでつけなければいけない。 ノウハウの問題と考えたい。 袖 井:民がいいのか、官のままが効果的か、その点は何か調査するのか。 村 瀬:それはどれだけ効果が上がるかということを見る。 袖 井:単に収納率ということだけでなく、電話相談であればお客様満足度を計ること も必要。民だからすべてうまくいくとは限らない。 井 戸:市場化テスト等他のところに任せた時には、モチベーションが上がるような仕 組みの方が数字も上がるのではないか。 宇 野:未適用事業所の市場化テストでは、どれだけの企業を適用したかという成功報 酬方式になっている。東京都は東京都社会保険労務士会が落札し、社会保険労 務士の本来の役割であるという位置づけの下に、適用に力を入れていくという 話がインタビュー記事に出ていた。結果が楽しみ。 川 端:資料2−1P1に、年金新組織の人材に求められる資質が3つ挙げられている が、能力・スキルのところにも、業務改革に積極的に取り組むようにするため にはどういう能力・スキルが必要かというのも入れた方がよい。 長谷川:知識、スキルは重要であるが、それ以外に2つあるのではないか。1つは方針、 方向性を管理職だけでなく、末端の職員に至るまできちんと理解してもらうと いうこと。もう1つは職員のモチベーション。職員のモチベーションが上がら ずして、改革意欲にもつながらない。管理職の研修の中で職員のモチベーショ ンを高める事を取り入れる必要がある。管理職が職員に対して「よくやった」 と声をかけるとか、そういうことも考えていくべき。 袖 井:資料2−2P2に「事務局・事務所グランプリ」とあるがどのようなものか。   大 澤:「事務局・事務所グランプリ」は分野別に年に一度、優秀な事務局、事務所を表 彰する。個人的なものとしては、内部改善提案制度というものを設けており、 優れたものについては長官表彰ということを現在もやっている。 駒 村:資料2−2P2年金のプロの養成の(現状)において、18年度より、各職員 を社会保険の主要な部分を幅広く経験させた上でその適正を見極め、いずれか の部門の卓越した知見を有する専門家・熟達者として養成する計画的な人事配 置を行うとあるが、これまではどのような人事配置をしていたのか。新たに人 事管理をするスキームを作らなければいけないという理解になるのか。 宇 野:今までは色々な分野を順繰りに経験させ、その結果逆に全体的に高まり方が足 りないという弊害が出てきている。ねんきん事業機構と全国健康保険協会に分 かれる事を踏まえ、それぞれの分野で専門家をしっかり作っていくことをこれ から始める。   駒 村:現在、各事務局の人事権というのは強くないのか。 宇 野:現在は実質的に事務局単位で人事を行っており、素案も各事務局で作成してい る。これからブロック組織へ移行し、全国一本の組織であるため本庁の人事組 織をもっと強化しなければいけない、そういう方向で動いている。 村 瀬:基本的には全国組織として一本化するために18年度からきちんと取組を始め ます、というように考えていただきたい。人事評価制度のシートも、今回初め て統一パターンを作り、組織が一体となって進んでいくのだという意思表示を したということ。 川 端:地方事務官制度が廃止になったのはいつであったか。 宇 野:平成12年です。 袖 井:地方事務官制度が廃止後も、人事交流はあまりなかったということか。 宇 野:事務局長は本庁から出していたが、人事交流のチャネルは多くなかった。今は 段階的にではあるが、若手職員の交流とかブロック単位の人事交流を行うとか 色々なレベルで少しずつ増やしているところ。 渡 辺:公務員と医者には、説明が下手、相手の身になって考えない、いばっているな どの共通点があるように思う。そういったことから人間力を身につける事は、 重要かつ難しい事である。アメリカの医学教育では医者どうしで一方が患者役 になるなど、模擬体験などを取り入れている。例えば相談対応者とお客様役と いう模擬体験をすることによって、相手の身になることを学ぶ、ひとつの方法 ではないだろうか。 袖 井:大変いい提案。ぜひ取り入れていただきたい。 川 端:論点の大半の課題においてポイントになるのは管理者である。管理者の教育も 行っているとは思うが、事務局、事務所ごとに見れば望ましい姿になっていな いかも知れない。一番教育に力を入れるべきは管理者ではないか。また、企業 派遣などによって外を知る事も大事。 袖 井:公務員の世界は、前例主義できたところがあるので、頭の切り替えは非常に難 しいと思うが、これからは民間活用でやっていかなければいけないのかも知れ ない。民間企業への派遣研修とあるが、今までこのような事はなかったのか。 宇 野:今年度試みたが、長い期間派遣してくれなければ受け入れられないということ で結果的に実現しなかった。業務が増え、定員が減っている中でどうやってい くのか、むしろこちら側の工夫が一番ネックになっている。 袖 井:民間から来てもらうという事はどうなのか。 宇 野:プロジェクトリーダー等として9人来てもらっている。 袖 井:どういうところから来てもらっているのか。 村 瀬:電器、電力、コンサルタント会社等で、私と一緒に来たので2年になる。これ からもお願いしたいと考えている。 袖 井:その方々が入ったことによって変化はあったか。 村 瀬:今回の社会保険庁改革というのは、民間、地方の現場、霞ヶ関本庁、従来から の社会保険庁、この4つが組み合わさって出来ていると思っている。この4つ が上手く回り始めたから改革案も出来てきたのだろうと思う。 袖 井:地域によって事情も異なるであろうし、民から官へ、官から民へといった交流 をぜひ推進していただきたい。 長谷川:管理職のマネジメント教育について、先ほど川端先生もおっしゃっていたが、 最終的には管理者の日々の行動、職員に対する態度が変わるかどうかというこ とである。管理者が挨拶をしないような職場で、職員に「いいサービスをしな さい」と言ったところで無理な話で、そのへんの原点というか基本的な事から 構造改革から入っていくのが大事なのではないか。このようなマネジメント教 育もぜひ考えていただきたい。 宇 野:接遇研修については所長も対象にしており、組織としての接遇のレベルをどう 上げていくのか、CSマネジメントに着目した内容になっている。その内容を 充実させていきたい。 長谷川:人事評価まで使わなくていいと思うが、管理職を対象に360度フィードバッ クをやってみてはどうか。それをそのまま評価に使うと色々問題もあるが、日 頃の行動を見直してもらうフィードバックツールとして使うと有効だと思う。 川 島:結局、この改革が成功するかどうかというのは「現場一人一人のモチベーショ ン」、がキーワードになるのではないか。お客様満足度調査は始まっているとい う事なので、職員の満足度調査を実施してはどうか。お客様満足度調査と職員 満足度調査が両輪で回っていくような仕掛けになれば、原因と結果が掴みやす いように思う。 村 瀬:人事評価制度は試行の段階であり、中間で全職員から意見を求めるので、それ を人事評価制度だけではなく、幅広くとるような仕組みを講じればいいと思う。 吉 岡:現状では女性の管理職が極めて少ない。優秀な女性職員が埋もれている現状に あるため、全体の人間力のアップも重要であるが、女性のモチベーションをど うやって高めていくか、国年保険料の収納業務で実績をあげている女性管理職 も出てきており、社会保険の業務に対する見方を変えていかなければならない。 袖 井:社会保険庁の女性の登用はどのような状況か。 宇 野:本庁の課長級、事務局長には女性はいない。事務所長は今年12人になる予定。 村 瀬:ひとつは年齢層の問題がある。今大体3割の女性職員がいるが、それが10年 20年経った時に、女性の比率が3割のままか、例えば1割2割になるのかど うか。登用もその比率によってくる。 袖 井:女性が残れるような仕組みにしていかないと。 村 瀬:それはおっしゃるとおり。現場では実際にかなり女性に出てもらっている。 井 戸:社会保険事務所の感じがかなり変わったように思う。電話もどこへかけても必 ず名前を名乗るし、職員の意識は変わってきつつあるのではないか。 袖 井:アンケートによると、事務所のソフト面はよくても、ハード面についてはクレ ームが見受けられる。建物の老朽化等あるのかも知れないが、そのへんもサー ビス業としては考えていかないといけない。 村 瀬:特に大都市圏に多い問題である。 袖 井:今日は360度フィードバック、男女平等の問題等非常によいご意見を頂きま した。本日の皆さんの意見を整理していただきまた次回議論したいと思います 事務局:次回は社会保険大学校の視察も兼ねて4月末を考えております。     皆様本日はお忙しいところ誠にありがとうございました。