日 時  平成18年2月7日(火) 14:00〜16:00 場 所  厚生労働省専用第24会議室 出席者  川島貴志委員、川端大二委員、駒村康平委員、袖井孝子委員      長谷川隆委員、渡辺俊介委員      大澤範泰サービス推進課長、吉岡荘太郎東京社会保険事務局長      宇野裕社会保険大学校長 袖 井:社会保険庁は満身創痍で国民からの非難を受け、解体的出直しを迫られている。 新組織への職員の移行については、漫然とではないと言われている中、国会議 員等の年金納付記録閲覧等を踏まえ、職員のモラルを高めることが必要である。 平成20年から新組織で出直すことになるが、倫理、接遇、窓口応対などの研 修について、この研究会でガイドラインを示せればと思っている。 事務局 資料説明 袖 井:議論の前に資料についての質問はありますか。 渡 辺:3点ほど。(資料2−V)P1、1(2)Aに、より実践的な接遇研修とあるが、 より実践的とは具体的にどのような内容なのか。  国民年金保険料の徴収に関する研修内容について説明願いたい。 ペーパーテストの結果は示されているが、結果が一般的なものしか見えない。 問題となっている接遇研修の効果がわかるものはないのか。 事務局:接遇研修は民間の講師を招き、講義形式よりは大半がグループ単位のロールプ レイを中心とした実技、言ってみてやらせるのが主。 国民年金保険料の徴収に関する研修は、今年度業務別研修で3回実施している が、来年度は、課長クラスの強制徴収経験の浅い職員を対象とし、さらに初級・ 中級とランク別に実施することを検討している。 接遇研修の効果については、サービス推進課で実施している「お客様満足度ア ンケート」の調査結果が中心となってくると思うが、サービス推進課と連携を とりながら効果を測定して参りたい。 渡 辺:接遇研修の講師は民間とのことだが、講師のリストを提示して欲しい。 事務局:次回までにご用意します。 宇 野:接遇研修の効果測定は正直難しいが、(資料2−W)P11「お客様満足度アン ケート」にあるとおり、接遇研修の効果とは言えないかも知れないが、平成17 年3月と平成17年7月を比べると若干ではあるが平成17年7月の方が「満 足」の数字がアップしており、満足という人が増えている。接遇研修は間接的 には効果があると考える。 大 澤:このアンケート調査は年2回定期的に実施しており、今後も継続的に実施した い。平成18年度からは社会保険事務所に知らせずに民間による覆面調査を実 施しようと考えている。 渡 辺:アンケート調査の時期は予め社会保険事務所に言っているのか。 大 澤:言ってあります。 駒 村:1回目なのでこの研究会の守備範囲、目的、動機付けをはっきりさせたい。 研修の最終的な目的は何なのか。この研究会の目標の到達点はどこなのか。ま た、研修と人事評価をどう結び付けていくのか。 宇 野:人材育成は幅広く、新組織の事業を担っていける人材を育てたい。改革意欲に 富み、サービス志向が徹底されて、高い専門性を身に付けた人材ということに なろう。ただし、社会保険庁全体で人材育成構想ができていないのが現状であ る。 (資料2−W)P5ABに事務局等から出てきた意見・提言にもあるが、ゼネ ラリストを育てるのか、専門家を育てるのか議論があるが、専門家を育てたい。 年金新組織においては、4もしくは5分野。ただし、若いうちは、幅広く経験 を積ませ、適性を見極めたい。(このことは平成18年度事業計画にも謳ってあ る) 現在はマストのレベルを目標に研修を行っているが、必ずしも全員がマストの レベルに到達していない。これが課題である。  研修と人事評価の結び付けは現時点においては時期尚早と考えている。 平成17年度から導入した新しい研修体系の評価(自分勝手にならないような 評価)を踏まえ年金組織に向けてのあるべき研修を模索している。 袖 井:範囲はどこまでということになるか。 宇 野:改革プログラムの一環として、新組織発足における研修の在り方について方向 性を見極めたい。 川 端:人事評価制度と人材育成との関係を提示してもらわないと話が進まない。人事 制度はどうなるかわからないが、専門分野の育成とは言え、前提に人事制度あ りきではないのか。 コンプライアンス、接遇など、問題に表面的に対応しているだけに見える。人 間力、判断力等はどうするのか。講義レベルではなく踏み込んだ育成が必要に なる。これは根っこのところなので、もっと人間力を付けるための研修が必要 ではないのか。  また、1万人削減とはリストラがあるということなのか。 宇 野:人事評価制度については次回概略をご説明する。  研修内容等については、この研究会でご教示いただきたいと考えている。 1万人削減の内容は、正規職員については2千7百人純減、2千人が公法人へ 行く。非常勤職員については年金新組織で3千5百人減、公法人化で1千5 百人減の予定。非常勤職員については、年金相談、徴収業務に係る市場化テス トを行っており、これを全面的に活用して減らしていく。 公法人の正規職員2千人について、どのような人を採用するかは、新たにでき る全国健康保険協会の独自の採用基準によるところであり、来年度準備組織が 作られる。社会保険庁からの採用が多くなると思われるが、与党からは民間か らも採用し、職員を漫然と移行させるのはだめと言われている。 年金新組織の正規職員2千7百人については、7年計画で削減することとして いるが、毎年の退職者は5百人程度であるので、退職不補充で対応できる数字 ではあるが、与党からは年金新組織についても民間から採用すべきと言われて おり、それとの兼ね合いで考えていく必要がある。 川 島:平成20年までに、研修レベル(人材育成)、マストをどう底上げするのか。ス ピード感、スケジュール感的に、理想と現実のギャップがある。相当スピード アップしないと理念に合わないし、人事評価ともワンセットで考えるべきでは ないのか。スピード感が大切であり、平成20年まで時間がない。 宇 野:現実とあるべき姿のギャップに悩んでいる。社会保険庁における人材育成はこ れまで必ずしも十分ではなかった。社会保険大学校の職員は20名しかいない。 教授と外部講師(本省庁の職員含む)で講義を行っているが、現業に追われ、 理念的なものができないのが現状である。 マストのレベルについては、一般職員研修については平成19年度までに全対 象者が受講できる見通しがついており、社会保険マンとしての最低レベル(基 礎的知識の習得)はクリアされる。 業務別研修は15コースあり、新たにポストに就いた者を対象に実施している ところであるが、今後は中・上級編を新設し、専門性の高まった者を評価する ことも考えている。 袖 井:平成20年までにやらなければいけないことが他にもある。国民の年金に対す る不信感が高い中、早くやっていかないといけないのではないか。新組織に向 けて議論すれば良いのか、それまでの間についても議論するのか、政管健保と ダブルで考えるのか。 宇 野:政管健保は考慮しなくてよいと考える。 国民年金に関しては、強制徴収を実際やっていないからプロが育っていない。 少数だが、事務局等で実務経験が豊富な者(いわゆるカリスマ職員)を本庁へ 出向させ、講師をお願いしている。 渡 辺:医療機関を指導する地方事務局の態度がお役所的という話を耳にする。政管健 保に移る職員も研修すべきではないのか。 宇 野:言い過ぎだったかも知れない。医療保険改革全体像が固まったが、それを見る 限り現在の社会保険大学校でも、教育する資源が足りないということはないと 言うつもりであった。 渡 辺:年金中心だが医療監査もある。横柄な監督官庁的発想はやはり問題ではないか。 袖 井:平成20年までは医療保険もカバーするのだから、目配りは必要だろう。 吉 岡:社会保険の職場には、年金相談のようなサービス行政の面と指導・監査部門と いった公権力の行使という面が混在していることはご理解いただきたい。 マストもそうだが、サービス行政、医療に対するスキルの平準化(一体感を醸 成することや、全国同一のサービス)が必要であり、そういう意味からも、今 後社会保険事務局がブロック化していく中で、社会保険大学校研修の役割は重 要になってくる。 渡 辺:権力行政だからしょうがないという話ではない。そういう考えは改めてもらわ なくては困る。まだブロック組織ありきという発想では賛同しかねる。 吉 岡:権力行政だからしょうがないと言ったつもりはなかった。医療費の不正請求も 後を絶たない中、指導・監査行政には明確な基準とそれを毅然と行使する姿勢 も必要な場合があると申し上げたかった。 また、ブロック組織は都道府県の社会保険事務局を整理統合して効率化を図る ものであることもご理解いただきたい。 川 島:社会保険庁は職員間に競争意識がないことがまず問題である。社会保険大学校 に来て研修を受けたかどうかではなく、まず自分のことは家で勉強する。自分 のスキルは自分で身に付けないと脱落するという意識が必要。研修に参加した、 しない以前の問題であり、参加者の意識が重要なのではないか。これでは研修 プログラムを充実しても意味がない。 吉 岡:都道府県毎にOJTを実施しており、東京社会保険事務局では管理職試験を行 っている。 一定期間の集合研修は良いことだと思うが、業務面等から数多くの研修生を出 せないというのが実情である。社会保険のキャリアを通じて、どの程度のボリ ュームの研修が必要かについても議論いただきたい。 宇 野:人事評価については現在試行をしているが、上司と相談しながら目標設定を行 い、その実績を踏まえて業務評価をする。自己学習も評価することとしている。 ガバナンスの弱い本庁に人が少ないため、本庁の職員を増やし始めているが、 その分を上乗せして地方の職員を減らしており、一人一人の資質を高めていく 必要がある。 業務が忙しくて研修に参加できない者に対しては、通信研修の実施や、オンラ インシステムの刷新によりeラーニングの導入も予定している。 社会保険大学校に来て研修スタートではなく、事前に各自勉強してもらう方向 性も視野に入れ、社会保険大学校では討議などにウエイトを置いていきたい。 全体として期間は短縮しながらパフォーマンスをアップさせたい。 袖 井:研修は国民のためのサービス意識の徹底ではないのか。そのための研修の在り 方、目的を考えなければならないのではないか。 川島委員のおっしゃるとおり競争意識がない。働かなくても給料はもらえる、 という図式に思える。以前、社会保険事務所へ年金の手続きに行った際の窓口 対応の悪さに愕然とし、早速コラムに掲載したことがあった。専門科目よりも ベーシックなものを重視すべきではないのか。 駒 村:叩かれて「良くしよう」では困る。全職員が「良くしよう」とうインセンティ ブがないと長続きしないのではないか。 渡 辺:相談窓口アンケートは職員の前で書いていただいたのではないのか。職員がい ないところで書いていただくべき。何が満足で、何が不満かをはっきりすべき である。 大 澤:不満な点は「待ち時間が長い」「接遇がなっていない」など、事項別に満足度を まとめているので次回提出します。 長谷川:この場で何を議論するのか考えていたが、組織の目的を達成させるための研修 ではないのか。 ハードの構造改革の説明はたくさんあったが、ソフトの構造設計が見えてこな い。ただ、サービス向上と言っても漠然としている。 宇 野:新組織の人間像について全庁的議論はまだまとまっていない。2008ビジョン をどうやってブレイクダウンするかだと考えている。 長谷川:ゴールがはっきりしていないと効果測定はできない。研修理念(目標)をはっ きりすべきで、はっきりさせてから研修の議論ができるのではないか。 宇 野:2008ビジョンにある「3つの基本理念」「4つの約束」を確実に体現すると いうことではないか。できるだけ早い段階で議論したい。 吉 岡:社会保険大学校の研修カリキュラムはどこで決まるのか。 事務局:職務階層別研修のカリキュラムは社会保険大学校で、業務別研修のカリキュラ ムは厚生労働省・社会保険庁各担当課の意見を聞きながら決めている。 吉 岡:毎年変更等は可能なのか。社会保険事務局等の意見が反映されるのが2・3年 後になるということはないのか。 宇 野:2月23・24日に実施される人材育成推進者研修時に研修生と意見交換を行い、 社会保険事務局等からの要望を聞くこととしている。 袖 井:初回ということでたくさんの資料の説明をいただきましたが、この研究会がど こまでカバーするのか、次回は色々なデータを示していただき議論したい。 皆さんからは次のような意見が出されたが、この研究会でどこまでカバーした ら良いのか含め、次回は問題を絞って議論したい。     ・小手先、表面的なものではだめ     ・ベーシックなところからの取組     ・タイムリミットの問題     ・人事評価と結び付けないといっても関連付けざるを得ない 事務局:次回は3月の最終週を考えている、次回は本日いただいたご意見を含めて論点 メモをお示しする。     皆様本日はお忙しいところ誠にありがとうございました。