社会保険事業運営評議会 第9回議事録        日時 平成17年9月9日(金)15時00分〜17時00分        場所 厚生労働省専用第18〜20会議室        出席された参集者(敬称略)         井戸美枝、遠賀庸達、小澤良明、加納多恵子、紀陸孝、         鈴木正一郎、龍井葉二、宮武剛 1. 開会 ○宮武座長  それでは定刻になりましたので、第9回社会保険事業運営評議会を開催いたし ます。本日も大変暑い中、ご参集いただきましてありがとういございました。本 日は都合により、稲上毅氏は欠席でございます。開催にあたりまして、村瀬長官 からご挨拶をお願いいたします。 ○村瀬長官  改めまして、本日はお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうござい ます。前回6月30日に評議会を開かせていただきました。その後いくつかの局 面がありましたが、その部分が今回のご審議の中に入っているということで、ご 報告申し上げたいと思います。  1点目は、厚生労働大臣主宰の会議として開催される社会保険新組織実現に向 ける有識者会議について前回概要をご報告申し上げましたけれども、昨日までで 3回開いていただいております。昨日は、新たな業務改革プログラム並びに人事 評価制度につきましてご審議いただきまして、次回9月27日の会議におきまし て細目をつめ、取りまとめていただくことになっております。ご参考までに、昨 日配布しました資料を封筒の中に入れてございますので、ご覧いただけたらと思 います。  2点目に、7月13日に厚生労働大臣の下の国民年金特別対策本部でございま すけれども、ここで平成16年度の収納実績並びに17年度の収納対策につきま して議論をさせていただいております。  3点目は諸々ですが、平成16年度の収支決算等につきまして、特別会計ごと に、ご報告を申し上げております。  次に8月26日に厚生労働省並びに社会保険庁幹部の人事異動がございまして、 今日事務局側に座らせていただいております中で、所属が替わるものが2名、新 任で、サービス推進課長並びに年金保険課長が、本日からご出席をさせていただ いております。  それから、今日ご説明の中に入れさせていただいておりますけれども、18年 度予算の概算要求を8月31日に財務省に出しておりまして、その中で今回の予 算要求で社会保険庁の最大のポイントは、前回6月30日にご説明申し上げまし た社会保険オンラインシステムの抜本的見直しになります。この部分が非常に大 きな予算要求として入っていると同時に、これから我々が事業としてやっていき たいという国民サービスの向上、それから保険料収納の向上等も予算要求の中に 入れさせていただいており、後ほどご説明をさせていただけたらと思っておりま す。  昨日もお話を申し上げたのですが、新たな業務改革プログラム並びに人事評価 制度、これが今後社会保険庁を運営していく上で極めて大事な部分だというふう に思っております。特に、人事評価制度は、今後のコミュニケーションツールと していかにしっかりできるかどうか、これが社会保険庁の将来のガバナンスにも 多いに繋がってくるのだということで、非常に重要視している部分でございます。 今日のテーマ、議事に書いてございますように多義にわたりますけれども、ご審 議いただきましてご指導のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。以上で ございます。    ○宮武座長  ありがとうございました。それでは、議事次第に沿って進行して参りたいと思 います。最初に、本日も大部な資料が出ておりますので、事務局の方から説明を お願いいたします。   ○和田企画課課長補佐  企画課の和田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。早速ですが、 資料のご説明をさせていただきます。  資料1の「平成16年度収支決算について」をご覧ください。1枚おめくりい ただきまして、政府管掌健康保険の収支決算の推移でございます。棒グラフがそ れぞれの年度において立っておりますが、左側が収入、右側が支出になっており ます。推移を見ていただきますと、12年度から14年度にかけましては収支差 が赤字になっておりますが、15年度におきましては医療費の減、また16年度 におきましては老人保健拠出金の減少等によりまして、支出は減っておりまして 15、16年度と黒字という状況でございます。  1枚おめくりいただきまして、船員保険の収支決算でございます。こちらは、 全体的に申しますと平成12年度から16年度にかけまして、被保険者数の減少 によりまして収入と支出の規模が減少しているという状況でございます。  1枚おめくり願います。厚生年金保険の収支決算の推移でございます。こちら は、収入支出とも平成12年度から増加傾向ということになっております。平成 15年度は受給者数の増等によりまして赤字になってきたところでございますが、 平成16年度におきましては2,359億円の黒字になっております。これは、代行返 上による増がかなり大きな原因になっておりまして、これがなければ実質的には 赤字という状況でございます。  1枚おめくり願います。国民年金の収支決算の推移でございます。こちらは、 収入支出とも徐々に下がっているという状況です。主な原因は、旧国民年金法に よります受給者の減によるものでございまして、こちらは14、15、16年度 と赤字という状況でございます。  続きまして、資料2をご覧願います。「国民年金保険料の平成16年度の納付 状況の分析等について」でございます。平成16年度におきましては、収納対策 につきましては事務所ごとに目標納付率及び督励規模を数値化した行動計画(ア クションプログラム)を策定して取り組んできたところでございます。収納対策 につきましては、各督励とも概ね計画どおり達成したところでございますが、一 方、納付率につきましては前年度を若干上回ったものの行動計画上の納付率には 及ばないという結果でございます。下の方の四角でございますけれども、16年 度納付率実績は63.6%でございました。目標納付率が65.7%でしたので 2.1%ポイント及ばないという厳しい結果になりました。その下の四角ですが、 収納対策につきましては、それぞれ督励につきましては量的には概ね100%達 成したという状況でございます。  1枚おめくりいただきますと、16年度の納付状況の概要ということで前年度 からの推移も含めまして掲載させていただいています。納付率は16年度63. 6%、前年度比で申しますと0.2ポイント上昇です。過年度分を合わせた納付 率は68.7%でプラス0.4ポイントとなっております。  もう1枚おめくりいただきますと、さらに年齢別の状況又は被保険者属性別の 納付率を掲載させていただきました。年齢別につきましては、若年層の納付率が 低調でございますけれども、前年度との比較で申しますと、平成15年度からは 改善しているという状況でございます。また被保険者属性別にみますと、納付率 の上昇要因ということで、例えば四角の一番上ですが免除申請の励行等によりま して、新たに免除等に移行したという要因、また転職者等、この2年間に1回以 上資格喪失・再取得した者等の納付率の改善等の上昇要因がございます。  一方、低下要因ということで、免除等から新たに納付対象となった者の納付率 が低調であったということ、また新規に資格取得した者の納付率が低調であった ということ、それから納付率の高い者が60歳に到達ということで資格喪失をし たということ等による低下という要因もございます。  その下は地域別ということですが、説明を割愛させていただきます。  続きまして、資料3でございます。調達委員会における調達コストの削減結果 でございます。こちらにつきましては現在、社会保険庁本庁内に社会保険庁調達 委員会を設置しておりまして、契約方式あるいは購入数量等のチェックを行って いる状況でございます。これまでの調達委員会における削減結果でございますが、 件数で申しますと、299件、削減額で申しますと、調達計画額798億円に対し執行 額・概算見込額が730億円で、68億円の削減という状況になっております。  その内訳でございますが、1枚おめくり願います。主な改善事項を挙げさせてい ただきました。まず、契約方法ですが、例えば、地方庁ごとの競争入札について 本庁で一括して競争入札に付すこととした。あるいは、随意契約から競争入札に 改めた。それからコスト削減のところですが、随意契約から企画競争に改めた。 また、特に物品の購入などについては、配布基準を見直し調達数量を削減した。 こうした取組みによって、削減が図られたという状況でございます。また、3です が、システムの開発案件につきましては、システム検証委員会を別途設けまして、 開発規模等の精査を行っております。これにつきましては、資料4でご説明をさせ ていただきます。  つづきまして、資料4でございます。システム検証委員会の取組み状況でござい ます。社会保険オンラインシステム等のプログラム開発、またハードウェアの調 達につきましては開発内容、規模、調達コストの妥当性等をシステム検証委員会 において、外部専門家の参加を得て検証いたしまして、調達委員会に報告してお ります。また、今後は、開発途中またはシステム稼動後においても、開発規模の 妥当性について継続的に検証を行っていくということにしております。  具体的な、プログラム開発の検証方法ということで、ここでは事前検証でござ いますけれども、開発の必要性の検証を行っております。または開発の規模の検 証ということでも類似システムとの比較を行ったり、またはソフトウェア内での 処理の複雑さを評価して見積りを行ったりということをしておりまして、こうし た見積りによりまして、見積りの制度の向上を図っているところでございます。  1枚おめくり願います。具体的な、システム検証委員会の開催状況でございます。 16年度におきましては、8回、56件審査を行っておりまして、こちらにおいてプロ グラム開発の現状あるいは必要性等を審査しながら、見積りの制度を高めるため の有効な検証方法を検討してまいりました。17年度におきましては7回開催してお りまして、17件審査をしております。審査結果でございますが、開発を承認した もの6件、条件を付して開発を承認したもの7件、開発の必要性を認めなかったも の2件、開発範囲及び開発規模の再精査を指示しているもの、保留となっている案 件が2件、ということでございます。  1枚おめくりいただきますと、具体的な事例を参考で掲載させていただきました。 それぞれのプログラム案件におきまして、例えば一番上の事例ですが、市場化テ ストの実施に係るプログラム開発ですが、データ編集及び暗号化処理について汎 用ソフトを活用することで、開発規模を削減したり、また、真ん中のところです が、社会保険料控除証明書の発行に係るプログラム開発で、緊急性に乏しい機能 を削除した。また、一番下のところですが、サービススタンダード達成状況分析 のためのプログラム開発ですが、プログラム開発そのものを行わないということ で当面、エクセルの簡易集計で対応した。こうした取組みによって、開発規模の 見直しを行ったところでございます。  それから、資料5の社会保険庁概算要求の概要。これは後ほど、経理課からご説 明をさせていただきます。  参考資料につきましては、資料の項目だけ挙げさせていただきます。中身の説 明は割愛させていただきます。  参考資料1では、先ほど申しました政府管掌健康保険、船員保険、厚生年金、国 民年金の収支決算の概要。やや詳しいものをつけさせていただきました。  参考資料2でございますが、先ほども簡単にご説明しましたが、平成16年度の国 民年金の加入・納付状況につきましてやや詳しい資料でございますが、つけさせ ていただいております。  参考資料の3でございます。夏の年金相談特別体制の実施結果についての1枚紙 でございます。  参考資料4ですが、市場化テストのモデル事業の進捗状況ということで、3つの 事業について、平成17年度からモデル事業を行うこととしておりまして、その状 況につきましての説明のペーパーでございます。  参考資料5、国際社会保障協定について、ということで、諸外国と2国間で社会 保障協定を締結している状況についてのペーパーでございます。本年10月から、 アメリカとの間で協定発効ということでございまして、その諸外国との発効状況、 また事務処理体制についてまとめたペーパーでございます。  参考資料6ですが、平成16年度国民年金・厚生年金保険被保険者等の概況で、1 枚目は被保険者数の推移です。簡単に申しますと、第1号被保険者が16年度は前年 より減少しておりまして42万人の減少。厚生年金は、15年度に比べまして37万人 の増加という状況です。もう1枚おめくりいただきますと、今度は受給者ですが、 受給者数の推移も挙げさせていただいております。国民年金で申しますと、平成 16年度総数で2,300万人、厚生年金で申しますと2,233万人という総数になってお ります。なお、アンダーラインになっておりますが、国民年金と厚生年金保険受 給者のうち、基礎年金番号の重複を除いた実受給者数を挙げさせていただいてお ります。        こちらは、平成17年4月の定期支払い時において3,065万人、という状況となっ ているところでございます。  それでは、資料5につきましては、経理課から説明させていただきます。 ○戸田経理課課長補佐  経理課の戸田と申します。私から、資料5の平成18年度社会保険庁概算要求の概 要の資料について説明をさせていただきます。  社会保険庁が所掌しております、厚生保険特別会計、国民年金特別会計、船員 保険特別会計の3特別会計の合計として、歳入を69兆8,864億円と見込んでおりま して、歳出を70兆450億円要求しております。厚生保険と国民年金のところで収支 差にマイナスとなっておりますのは、平成17年度予算において特例的に保険料を 充てております年金事務費、この財源の取り扱いにつきましては、年末に予算編 成過程での検討としていることから、要求段階では歳入不足の形になっていると いうことであります。ですから、これについては年末で決着して、その結果、歳 入・歳出が相整うこととなる予定でございます。  国庫負担の要求でございますが、年金給付の国庫負担、政府管掌健康保険の国 庫補助、事務費国庫負担の要求として7兆5,582億円ということで、2,198億円の増 となっております。この主な要因は、年金受給者の増が要因でございます。  (2)の各勘定の歳入・歳出の収支表ですが、この中で特に健康勘定、年金勘定、 国民年金勘定、※をつけましてマイナス表示が立っておりますけれども、これが それぞれ事業運営安定資金からの取崩し1,433億円、あるいはその積立金からの取 崩しで5兆3,508億円を見込んでおります。この年金勘定の▲の5兆円が多く見えま すけれども、先ほどもありましたとおりに厚生年金の単年度収支としては、平成 14年度以降、実体的には歳出が上回る構造になっておりますが、これまで農林共 済の統合でありますとか、厚生年金基金から代行返上によりますその積立金の原 資の移管がございまして、単年度赤字という形にはなってこなかったということ であります。  次の2ページをお開きください。社会保険庁の事業運営経費の要求のテーマとし ては、効率的で質の高いサービスの実現と国民の信頼回復に向けて、17年度から 19年度までを「改革のセカンドステージ」と位置づけまして、業務改革・組織改 革・意識改革を着実に実行するということで抜本的に改革に取組むこととしてお ります。社会保険庁の事業運営経費の全体としては、5,522億円を要求してござい ます。  大きな特徴としては、3つございます。1つ目は、国民年金収納対策の市場化テ ストの拡大、あるいは民間のノウハウをできる限り拡大することで、効果のある 取組みを行うということとともに、サービススタンダードの導入であるとか、相 談体制の整備であるとか、お客様志向のサービスを実現すること。2つ目は、長官 からもございましたが、社会保険オンラインシステム、レガシーとしてこれまで いろいろな御指摘を受けておりますので、最適化計画に基づきまして、将来の運 用調達コストを削減するということを目標に、効率的なシステム構築に着手する ということを考えております。3つ目は、昨年来国会等で無駄遣いであるとか、ご 指摘のありました執行実績と予算の乖離につきまして、きちんと見直しをすると いうこととともに、適用・徴収・給付・システム、それぞれの業務分類を行うこ とで皆様にわかりやすい形となるように工夫をしてございます。  具体的には、3ページ以降をご覧ください。  ひとつは、改革の着実な実行ということで、組織改革、年金運営会議の設置を する、特別監査体制を確立する、新たな人事評価システムを導入するということ を考えております。それから、社会保険オンラインシステムの見直しにつきまし ては、申しわけございませんが最後の9ページをご覧いただきたいのですが、これ から5年間をシステム構築の期間と位置づけまして、このグラフにございます次期 システムにかかる経費、この初期コストを5年間で1,300億円を見込んでおります。 このシステムの切替えを行うことによりまして、これまで大体900億〜1,000億近 くかかっていた通常の運用コストを600億程度に引き下げることを行いまして、コ スト削減を図りたいと考えております。1,300億円かけましても、初期コストの費 用も切替わった後の4年〜5年ぐらいでペイできると見込んでおります。  4ページをご覧ください。市場化テストにつきましては、大幅な拡大を考えてお りまして、適用促進事業については、全社会保険事務所の3分の1にあたります104 の社会保険事務所、それから国民年金収納対策につきましては、都市部の社会保 険事務所を中心に35事務所を選定したいと考えております。これらの費用につき ましては、これまでの既定経費を振替えすることで、新たなコスト増を発生させ ないことを念頭に組み立てております。  それから、2つ目の大きなテーマであります、国民サービスの向上でございます が、お客様志向の社会保険サービスを実現し、行政サービスのトップランナーを 目指す、ということを考えております。新たな取組みといたしましては、年金加 入記録の通知をまず初年度は35歳の方を対象に実施したいと考えております。次 の5ページでございますが、申請手続き等につきましても、省略化、あるいは裁定 請求書を事前に送付するというようなサービスに取組んでまいりたいと考えてお ります。最後は、首都圏のサービス提供の見直しでございますけれども、社会保 険事務所の適正配置ということにも見直しを取組んでまいりたいと考えておりま す。  それから、6ページでございます。もうひとつの大きなテーマであります、保険 料の徴収の取組みにつきましても、徹底を図りたいと考えております。国民年金 保険料につきましては、平成19年度の納付率80%に向けまして、強制徴収対策の 拡大を中心に集合徴収の強化、あるいは督促状などの納付督励の強化など、質と 量の両面から取組んでいくとともに、保険料納付にクレジットカードの導入のよ うな様々な納付の手段というものを拡大したいと考えております。  それから最後に、予算執行の透明性の確保でございますが、引き続き調達委員 会による審査を徹底して調達コストの削減に努めるとともに、会計業務あるいは 個人情報管理につきまして、監査体制を確立してきちんとした形にもっていきた いと考えております。以上でございます。 ○宮武座長  ありがとうございました。事務局から資料の説明を受けましたけれども、皆様 からのご質問とご意見の前に、少し教えてほしいことは、たいへん大部で説明も 早かったわけですけれども、例えば資料2でいいますと、国民年金の保険料の納付 状況ですが、要するに目標を達成したところ、それから達成せずに対策強化の対 象になっているところ、どのような取組みに良さと悪さがあったのか。地域的に も、特に大都市部を抱えているところだけでなく、郡部の多いところも含めてあ るわけでございますので、そういうところを少し踏み込んでご説明をいただけま せんでしょうか。あるいは3ページにも、納付率がたいへん大きく改善したところ もありますので、そのところもどんな理由だと考えられるのか、少し詳しく説明 していただかないと質問のしようがありません。 ○鈴木年金保険課長  年金保険課長でございます。今ご指摘のありました点、補足をさせていただき ます。  資料の2でございますが、全体といたしましては、0.2%の増ということでござ いましたけれども、私ども行動計画というものを作りまして、それぞれの事務所 ごとに目標を割り付けて、進捗管理をしていこうということでやったわけでござ いますけれども、やはり一番下にございますような、全体として大きく負の影響 を及ぼしたような事務局を中心といたしまして、行動計画の目標は数字の上では こなせたわけではございますけれども、それが実際の収納に結びついていかなか った。例えば、真ん中あたりの表にございますけれども、電話、戸別訪問、催告 状、こういったものは件数をこなしましたけれども、それが本当の収納に結びつ く、量から質へと申しますか、質の面での踏み込みがやはり足らなかった、とい う面があるのではないだろうかと思っております。それからもうひとつといたし ましては、毎月の進捗管理をしておりましたけれども、結果的にその年度で数字 が達成できればいいのだろうということで、毎月毎月、ターゲットを絞って効果 のある数字の達成というある意味で、きめ細かい進捗管理というところがひとつ できていなかったのかな、という感じがいたしております。  それから、もうひとつご指摘がございました。良いところということでござい ますけれども、3ページに地域別に見て、非常に大きく改善したところを載せさせ ていただいております。やはり、そもそも現年度分の納付率の高い島根、新潟、 長野、やはり口座振替の全体の割合が50%を超えているといったような、基礎的 条件がきちんと整備をされているということがございます。それから特に前年と 比較してがんばったということで兵庫、沖縄、青森というのを載せさせていただ いておりますけれども、例えば兵庫などは、局全体として収納体制の見直し、強 化を図って人員シフトもしっかりやったとか、あるいは先ほど申しましたことの 裏返しでございますけれども、進捗管理を、それぞれこの3つのところはきめ細か くやっている。例えば青森で申しますと、進捗管理だけではなく、先ほどの量か ら質ということでございますけれども、夜間・休日に集中的に電話・訪問などを やる。あるいは、それで約束を取りつけたら放っておくのではなくて、その約束 を取りつけてきたあたりにさらにもう1回行って、本当にお金を取ってくるという ような、細かいフォローアップができている。そういうところというのは、こう やって上がっているのかなと思っております。私ども、従いまして、先ほどの反 省点に立ちまして、今回もアクションプログラムの見直しもいたしておりますの で、さらにきめの細かい、量から質への転換をより強力に図っていきたい、とこ ういうふうに思っている次第でございます。 ○宮武座長  私どもは、年金についても政府管掌健康保険についても、詳細にすべてがわか っているわけではございませんので、社会保険庁なり厚生行政独特の言葉もわか ったようでわからないとこもございますので、どうか委員の皆様も、本当に初歩 的な質問でも結構でございますので、ご質問なりご意見を是非よろしくお願いし ます。 ○加納氏  私の地元は兵庫県でございます。このように兵庫県が2.1も上がったとはいえこ れが果たして納付率がいくらになったのかわらない。それと今、いろいろご説明 がありましたが、私は震災復興十年ということで神戸の港の活気とかいろいろ感 じて、経済の向上と発展、これが大きな影響を受けているような気もいたします。 いろいろ努力してくださったことも、大きな成果だろうと思いますが、やはり経 済の復興と発展の10年ということも大きく、こういう数字に表れてきた結果では ないかなと思っております。 ○鈴木氏  今、議論になっているところについて意見を申し上げたいのですが、多少改善 をしたという様な表向きの数字になっているのですが、3ページのところの納付率 が上がった要因分析をしておられます。免除申請の励行等により経済的な事情で 納付が低調であったものが、新たな免除等に移行した。要するに免除したという ことで1.2ポイント上がったとするならば、0.2ポイント上がったというが、実際 的には1ポイント悪化したというふうにもいえるのではないか。それで1ページに 戻りますと、いろいろな督励の目標達成というところは、ほぼ行ったということ は予定したお金は全部使ったけれども、実際の納付率の結果は、いじわるないい 方かもしれませんが、下がったというと、このアクションプログラムは、いろい ろな良いところ悪いところを総合して現実的にどうあるべきかを、もう一度きっ ちり見直す必要があるのではないかという気がします。 ○青柳運営部長  今、ご指摘のあった点については、国民年金の収納率をどう考えれば良いのか というのは、正直いって私どもも若干、微妙に思うところがありまして、収納率 というのは割算でありますので、いってみれば、分母対分子の関係でいえば分母 が減れば分子は多少減っても実は率が上がるという関係にありますので、それを どう考えるのか、というお尋ねになるのだと思います。ただ国民年金の対象にな る方々は、自営業と一般にいわれていますが、現状では自営業で生業に就いてお られる方よりも、例えば若年の学生さんやフリーターのような方々が、ウェイト として非常に増えているということもありますので、一定の所得以下の方につい ては、むしろ免除という形で申請をしていただいて、生活が安定して所得が増え た後で、これは実は10年の間に払えば良いということになっているわけですが、 そうしたときに払っていただくというやり方を取って、むしろ年金の受給権を早 めに確保するというやり方が許されているものですから、私どもとしては、むし ろ所得の低い方、あるいは生活が不安定な方を、早く免除という形で捕まえて、 手続きを取ってもらうということは、単に収納率を見かけ上、上げるということ だけではなく、年金の受給権を確保する。その方々が障害になったときの障害年 金がきちんとでるようにする、そういったことも含めて、非常に重要な政策では ないかと思っています。従って、免除の対象者が増えることによって、実は保険 料収納額が減っているのに、例えば納付率が上がるということをどう評価するの かという点については、私どもはあえてこれは積極的に評価をして、この政策を あえてやらせていただいている点があります。従って、免除については当然、制 度的に対象になる方については、むしろ積極的に免除を申請していただいて、そ の分は保険料の収納額が減ってもやむをえない。むしろ、それは10年の間に後納 していただくことによって、最終的な年金権にきちんと結びつけていきたい、と いう政策をとらせていただいているということだけは、少し補足をさせていただ ければと思っております。  それから、加納委員からお尋ねがありました、兵庫県が上がったというけれど も、そもそもはどうなのだというのは、説明が不足しましたけれども、参考資料 の2という厚い資料の中の13ページに数字がございまして、兵庫県でいえば、16年 度は63.2という数字でございますから、全国平均よりはまだ少し低いですけれど も、ただ大都市部としては非常にがんばっていただいているということはいえる と思いますので、そのようにこの数字をご覧いただければと思います。 ○宮武座長  鈴木委員いかがですか。 ○鈴木氏  今、ご説明いただいた免除するものは積極的にやりたい。これについて私は反 対しているわけではありません。私が申し上げたいのは、いろいろな督促をする、 いろいろな対策を打つ、それによって払う必要がある人の納付率を上げるために 行っているのです。ですから、このアクションプログラムは、どういうことをし て納付率を上げるかという方法については、もう一度見直す必要があるのではな いかという点を私は申し上げたので、誤解のないようにお願いします。 ○青柳運営部長  私の受取方、たいへん失礼いたしました。その意味で直裁にお答えをするとす れば、一番のポイントになりますのが、実は前にもこの運営評議会で話題になり ましたけれども、所得情報をどうやって正確に捕捉をして、これを免除するべき 方には免除勧奨に結びつける。それから今お話ありましたように、所得があるの に保険料を納めない方には、滞納処分を含む強制徴収の仕掛けに結びつけていく と、これが正直いって最大のポイントだと考えております。その意味では、アク ションプログラムの作り方も、16年度はこの所得情報が必ずしも利用できないと いう条件の中で、いってみれば、手探りで納付督励、対策を行ったというきらい が正直いってございました。所得情報については、段階的にではございますけれ ども、早いところでは、既に電子媒体でその所得情報を提供していただけるとい う市町村も増えてまいりましたし、市町村も合併その他の事情で中はたいへんな ようなのですけれども、それでも所得情報の提供そのものについては、大部分の 市町村が協力をしていただけるということになっておりますので、この所得情報 を使って具体的なアクションプログラム、すなわち様々な督励対策を、この層に はこういう対策、この層にはこういう対策をと、個別具体的な対象を念頭に置き ながらの対策の段階に、やっと行ける材料が現在そろいつつあるということだろ うと思います。この情報を捕まえたアクションプランというのが、私どもの目指 す究極の姿でございますので、鈴木委員のリクエストにお答えできるのに、もう 少しお時間をいただきたいと思います。 ○鈴木氏  是非がんばってください。 ○宮武座長  井戸委員どうぞ。 ○井戸氏  今、個別具体的な対策ということですが、納付状況の分析についてお聞きした いのですけれども、地域別によってどのように違うのか。つまり、地域差を要因 としての分析というところが気になりました。例えば、東京で納付を行わない被 保険者と北海道の、例えば釧路とかに住んでいらっしゃる方が納付しないという 理由が、たぶん異なっていると思います。ですから、収入の多寡はあると思いま すけれども、収入そのものが地域によっても異なるし、就業の機会とか地域差と かも異なってくるので、もちろん免除というのもすごく大事なことですが、その 人その人に合った、もう少し地域性に沿ったアプローチの仕方とか、そういうの が入っていくと、地域差を基にした納付奨励対策みたいなものを入れていただく と、よりもう少し中に入っていけるのではないかと感じました。 ○宮武座長  いかがでしょうか。例えばそれに関連していえば、納付組合の様なものがあっ たところが、市町村が徴収することから社会保険事務所が徴収することに切替わ って、納付組合がなくなったということが、大きな要因でもあったわけです。そ ういうものが今、現状どうなっているのかも含めまして、少しお答えいただけま すか。   ○青柳運営部長  私からお答えをいたしますが、まず宮武座長がおっしゃった納付組合の影響、 あるいは市町村から事務を切り替えたことの影響については、平成13年度から 14年度にかけての事務の切り替えということで、私ども全国値としての分析を させていただきましたけれども、だいたい8ポイントぐらい保険料が下がってい るうちのおおよそ半分は、免除基準がそれぞれの市町村ごとにバラツキがありま して、そこを厳しくやるところと、そうでないところがあったりしたために、全 国一本に統一しなければいけなくなった、つまり社会保険庁がやるようになった ために全国一本に統一した。それで非常に厳しい、前との比較で言えば、前年度 は免除だった方が14年度からは免除ではなくなったということによって、納付 率が下がらざるを得なくなった。これが、全体の低下要因の半分ぐらいを占めて いたという分析をしております。  それから、残りの4ポイントのうち、おおざっぱに言って半分ずづくらいがそ ういう要因だと考えているのですが、実は市町村に国民年金の仕事をお願いした 時点から、収納率というのは毎年ちょっと右下がりの傾向で、言わばトレンド的 には収納率が少しずつ少しずつ下がっているという傾向がございました。これは 特にバブル崩壊以降、さまざまな経済的要因のなかで、サラリーマンがリストラ にあったりというようなこともひとつの象徴的な出来事だったと思いますけれど も、そういう経済要因等、言わばトレンドのなかで下がらざるを得なかった要因 というのを残りの半分ぐらい、すなわち保険納付率換算で言えば2ポイント分ぐ らいとして見ざるを得ないだろう。  そうすると、それ以外に要因のかわったものとして、今お話があったように、 市町村から国に仕事が切り替わったということに伴って落ちた部分を、2ポイン ト分ぐらいと見ると考えております。  特に、市町村から国に切り替わったことによる低下の原因としては、さまざま な要因があるわけですが、一番大きなものが、というか影響の出方が非常にわか りやすいものという言い方が正しいかと思いますが、お話のあったように、納付 組合等の納付組織の組織率が非常に高い都道府県については、落ち方が非常に大 きかったと。東京とか大阪のように納付組織があまりできていなかった所は、落 ち方が少ないと。言わば逆相関の関係というのが、明確に出ておりますので、そ ういう意味で、今ご指摘のあったようなことは、現実に保険納付率が下がったこ との原因としてはあったのかな、というふうに受け止めております。  その上で、井戸委員がおっしゃった、現在の地域差の要因分析というのをどの ように考えるのかというお尋ねでございます。これについては、なかなか被保険 者の要因分析を地域ごとにやるというところまで、私どもの分析手法が行き届い ていないところがありますので、先ほど申しあげたように、参考資料の2で、少 し都道府県ごとのさまざまな数字の違いはお示しをできるものはしておるわけで ございます。総じて私ども、具体的に成績の悪かった社会保険事務局から、長官 を中心に少しヒアリングをするという形で、対策を講じるための材料集めをずっ とさせていただいたわけでございますが、その中で、端的に成績の違いが表われ ておりますのは、ひとつには免除申請というものをきちんととるということで動 いたかどうか。今までのように、所得情報がないなかだと、どのみち市町村の窓 口申請に来たものをこちらがチェックするという受け身の形であったわけであり ますけれども、むしろ、積極的に働きかけて免除申請というものについて、監視 を行ったようなところ、あるいはいち早く所得情報をある程度活用しながら、そ ういう動きを市長村との連携ができたようなところ。こういうところは、そうい う意味での納付率が改善したというひとつの成績を出していたのかな、というこ とは見られるだろうと、私ども地域差という観点では考えております。  また、例えば私が申し上げた参考資料2の13ページをご覧いただいておわか りのように、納付率が絶対値としては非常に高い水準を維持している地域である にもかかわらず、近年納付率が減少傾向にあるような地域も片方でございますし、 あるいは沖縄のように、納付率が非常に低かったところが、がんばってなんとか 上げようとしているような所もございます。  ただこれらの数字は、それぞれの地域のがんばり度合いを表すものであるかも しれませんが、抱えている被保険者の数に非常にバラツキが大きいものですから、 そうすると全体としての納付率を引き上げたり、引き下げたりするのに、どのぐ らい影響があったかということも合わせて見ないと、なかなか評価はできないと 思いますので、この参考資料2の13ページの一番右側の欄にあります、全国値 への影響度と。すなわち、これは東京のように大きな所が少しがんばっても、全 国的には大きな貢献をするのにもかかわらず、例えば先ほど出ました沖縄県のよ うに、今まで低かった所が一生懸命がんばって改善度合いが全国1位2位という 所までがんばっても、全国値への影響度は、それほど残念ながら影響度があるわ けでもないというようなあたりが出てきてまいりますので、そういう意味では、 地域ごとのがんばりの度合いをきちんと評価していく仕組みと、それから全国的 にそういうものが大きな影響を与えるような所に対して、強力に私どもも個別の 指導をしていくというやり方をうまく組み合わせてやっていかないといけないと いうことだけは、地域差との関係ではひとつの反省点、あるいは今後への生かす べき教訓として考えております。 ○宮武座長  わかりました。どうぞ。 ○紀陸氏  この参考資料2で、今のお話に関連して、16ページに青柳さんのお話がござ いました、この免除率の全国各県別の数字が出ておりますが、北海道とか西のほ うですね、北海道より西のほう、首都圏であるとか山形以下滋賀あたりまでです が、このあたりは非常に低いです。他の所はその倍とか、少し沖縄は特異なので しょうけども、今のお話のような歴史的な経緯というのですか、そういうものが、 やはりこういう所に出ているというふうに理解してよろしいわけですか。 ○青柳運営部長  ひとつには今、紀陸委員からご指摘があったように、過去からの経緯というか、 歴史的な背景をもった違いというものがもちろんあります。それから、それだけ ではなくてやはり事務局・事務所が免除をとるということについてどれだけ力を 入れたかと。それは市町村に対してかなり強力にお願いをして、具体的な所得情 報をとるために、どれだけ努力をしたかというようなことも、残念ながらこうい うところに反映しているというように私どもとしては受け止めております。 ○紀陸氏  具体的に山形以下、滋賀あたりをターゲットにして、広域関係において、今の お話のような、免除率を上げていくことを目標にしていくとか、いうようなこと が具合が良いと、そういう目標が良いのではないかとアクションプログラムとし て、そういうことに繋がっていくのですか。 ○青柳運営部長  すでに、ある程度申請免除の絶対率の高いところもあるものですから、一律に これだけをというわけにはいかないとは思いますが、例えば、14年度に全国の 数値に揃えたものだから、全体として申請免除の率が下がったというようなご説 明も申し上げましたけれども、例えば13年度まで市町村にお願いしたときの免 除率と比べてみてどうなのかというようなことを、ひとつの目安にしていく必要 はあるだろうと、私どもは考えていますし、事務局にはそういうものと比較した 場合に、あまりにも免除率が低いようであればがんばってもう少し免除を一生懸 命とるということを、具体的なアクションプログラムのターゲットというか、目 標にしていく必要があるのではないだろうかと、こういうことは個別には指導さ せていただいております。  ○紀陸氏  資料2の3ページに、先ほど鈴木委員からお話も出た年齢別に見た納付率とい うのがありますが、当然ながら中高年以上はこれからどんどん減っていきます。 若い人が、大きな支える層になっていくと思いますが、この層も例えば若者であ るとか、よくいわれるフリーターの方であるとかあるいはニートになってしまっ ている方とか、そういうところをかなり個別につかんでいかないと、打つ手が空 振りに終わってしまう可能性が非常に多いと思います。ただ現実に20代層、あ るいは30代の前半層の人達のいろいろな属性を把握するというのは、口で言う ほど簡単にはいかないと思います。しかし、それをやっていかないと非常に難し いと思います。このアクションプログラムで100点あげても、実際にお金が入 ってこないということは、本当に深刻な話になっていくのだと思います。この属 性把握をどういうふうにやっていくのか、これは保険料の問題だけではないのか もしれませんけれども、従来と違った形でもって、そういうこと把握できるよう なシステムとか考えないと、非常に問題になっていくのだと思います。片方で個 人情報の保護とか、いろいろな規制がかかっている中で、これは簡単にはいきに くいかとは思いますけども、もう少し違った知恵の働き方をさせないと、本当に 無理だというふうに思います。 ○鈴木年金保険課長  今ご指摘ありましたように、国民年金の対象者で若い方といいますと、私ども持 っている統計は限りがあるわけでございますけれども、一定の統計を見てみますと、 やはり、パート臨時雇いそれからそもそも無職の方はかなりいらっしゃいます。当 然学生さんもいらっしゃるわけで、今回も新たに制度的に入れましたけれども、学 生特例とかあるいは若年者納付猶予の仕組みをなるべく活用してまさに今先生が 言われた属性に合わせた対策を打っていく、ということであろうかと思います。そ れから若者なりの生活様式といいますか、例えばコンビニエンスストアによく立ち 寄るとか、あるいはクレジット社会というのは若者最先端をきっておりますので、 これは来年度検討しておりますけれども、クレジットによる支払いを導入していく とか、そういった今ご指摘いただいたような、属性をきちんと把握してそこにター ゲットを向けた対策を打っていくということを心がけたいと思っておりますので、 引き続きご指摘よろしくおねがいしたいと思っております。 ○青柳運営部長  一般的な対策は、今、年金保険課長からあったとおりですが、ご存知のように 制度的には学生の納付猶予という仕組みもございますし、それから16年の年金 制度改正で若齢者、30未満の方で所得のない方には、新しい納付猶予制度を作 らせていただきましたので、むしろ大事なのは、そういう方々がまずは20歳の ときに、すべての住民票のある方を把握できる。把握した方々が学生であるとき には、きちんと納められる人は保険で納めていただいても結構ですが、学生納付 猶予という形できちんと追いかける。それから、その方々が今度は学生猶予でな くなったときに、もしニートみたいな形であるならば、それもきちんと納付猶予 という制度があるということで追いかける。あるいはお勤めになった場合、ある いは働いて所得があるようになった場合にも追いかけていくということです。そ ういう変化にきちんと追いかけて、しかもその時々に適切な情報が提供できる。 すなわち、払っていただけるのか、それともまだ猶予という形で繋げる方法があ るのかとかです。そういうところが、我々がきちんと追いかけていくというとこ ろが、必ずしも今まで充分でなかった。あるいは非常にマスを対象にした追いか け方をした。むしろ、個々人がそういう形で状況が変化したときに、適宜に変化 した状況に対応した情報の提供の仕方ができれば、一度捕まえた方をずっと繋げ ていって、最終的には条件整ったら納付していただく形にきちんと繋げていく。 これが、やはり一番大事ではないかと思いますので、その意味ではマスを対象に した政策から、個別の方を限りなく個別に、事跡管理を含めて、捕まえていくと いうところに、基本的な考え方を切り替えていきたいと、この問題については考 えております。 ○宮武座長  どうぞ、龍井委員。 ○龍井氏  一点目としては、データ上の補足をしていただきたいと思っていますが、自営 業者の割合が、今約4分の1で半分は働いているという点です。だから、その比 率の変化が80%後半だったときから、現時点でどういう推移があるのか。地域 特性でも、そういうことが何らかの説明要因になるのかどうなのか。これは別に 全都道府県を調べる必要はありませんので、少しデータ上補っていただきたいと 思います。それから二点目は、やはりこういう会議をずっと付き合っていると、 6割台は当たり前になってしまいます。計画を積み重ねて、でもどう考えても、 やはりそれは感性的に麻痺してしまうわけで、今、現場でご努力されていること も十分報告を受けて承知をしていますけども、もっと単年度の努力と計画と別に、 基本的に、構造的要因があるなら炙り出すべきだし、今の免除も含めて何か個別 の対策をやっていけば、今度は信頼感が高まっていくというのは、本当にそうな のか。少し心配していますのは、若者達が5割ということは、未納が例外じゃな い、というふうになっているわけですよ、残念ながら。これは、前回も申し上げ たかもしれませんけども、やはり年金改革論議のなかで、いわゆる積み立て型の 発想といいますか、自分は将来年金もらわないという選択をすれば、払わなくて もいいのでしょ、という意識が、まだ払拭されていないと思います。ですから、 やはり制度的信頼感みたいなことがどこかできちんと、皆年金、皆保険というの は、今の学校教育ではなくて、今の働いている人も含めて基本的にそうなのだよ、 という常識が徹底しないと、これは6割から7割へというのは難しいなと思うの で、是非これは、単年度の検討と別にでも、そういう「そもそも論」の議論をど こかで、きちんとしないといけないのではないかと思います。答えにくいのを承 知で言っているのですけど、検討を是非お願いしたいと思います。 ○中野企画課長  十分なお答えには、ならないかと存じますけれども、国民年金被保険者につき まして、私どもが行っております統計調査としましては、3年に1回、国民年金 の被保険者実態調査というのを行っております。直近結果が出ておりますのは、 平成14年の結果、となっております。その中で、就業状況等の把握も致してお ります。その中で第一号被保険者の就労状況としましては、全体として見まして、 第1号被保険者の内、常用雇用が10.6%、臨時パートが21.0%、というふ うな状況になっております。その他の方々は自営、あるいは家族従業者、無職、 といったような状況になっているわけでございます。その中で、若年者、20代 の方についてみてみますと、20〜24歳の方については常用雇用が10.4%、 臨時パートが27.2%、ということで3分の1強、それから25〜29歳の年 齢層の方については常用雇用19.0%、臨時パートで28.4%、ということ で、5割近い方が常用雇用・臨時パート、という形の就業でありながら、第一号 被保険者でいるという状況でございます。これが現状においてどう変化してきて いるのかについては、新たな調査を実施してみないと分からないところでござい ます。あとは現場で、具体的な収納を行っていくうえで、個別の事跡管理という かたちで把握した情報を私どもなりに、今後は集約をしていくことができるかど うかということか、というふうに思います。ご指摘の点、十分踏まえながら、今 後、情報の取り方についても十分検討していきたいと思います。 ○龍井氏  今のデータは、何年までさかのぼれますか。全く同じ分類ではなくてもいいが、 少なくとも自営業者割合と、働いている人・雇用労働者の割合ぐらいは、どの辺 りまでさかのぼれますか。 ○廣瀬数理調査室長  数理調査室長でございます。企画課長から、平成14年の数値についてお答え したわけでございますけれども、その6年前の平成8年の調査というところまで、 さかのぼる事が可能でございます。 ○宮武座長  龍井委員、今日でなくても追加資料で頂ければよろしいでございますね。どう ぞ他にご意見、ご質問ございましたら。 ○小澤氏  私は市町村ですから、現実に、大変な環境の中で、例えば税の徴収率を0.1% 上げるだけでも、大変な努力をするわけです。環境がもう決まっていますから、 こちらの徴収体制もあまり贅沢なことできません。ですからそういう逆風の中で 平成14年度から、着実に目標とは率直に言って大分遠いみたいですけども、着 実にこうして上がっている、いいベクトルになっている、ということは、下がる ことだってありうる事ですから、私は評価したいと思います。大変ご苦労様でご ざいます。ただ、先ほどたまたま部長さんのご発言のところにございました、未 納者の所得情報の件で、これは18年度概算要求が出たという点で、こんなこと 言ってもいけないのかもしれない、あるいは入っているのかもしれませんけれど も、我々市町村でソフトの転換をしていかなくてはならないのですけども、シス テム開発するのに、我々のクラスですと大体平均300万ぐらいかかります。そ れが事務費を入れて上限200万という交付金となりますと、なかなか、たとえ 10万でも50万でも厳しい時代に、100万も自分の懐から出して社会保険庁 さんに協力するという自治体が、やはりなかなか増えていかないと思います。そ の不満は自治体に相当ありまして、予算でどうなっているか分かりませんけども、 陳情みたいな話になってしまいますが、システム開発費の交付金の増枠をできる だけ早くしていただきたい。  一つは、年金保険料の支払い者との信頼関係の構築、これは最大の課題と思い ますが、それと同時に私ども、お手伝いしている市町村との事務の円滑な推進は、 やはり非常に大事なことです。我々の方がむしろ手馴れている部分もありますの で、そこの基本的なことの中でいくらでもない金額、国としては集めると膨大な 金額になってしまうのでしょうけど、市町村がなかなか熱心にできないようなこ とでいつまでもいてほしくないな、というふうに思って、これ一つ陳情です。  それからもうひとつ、これは質問ですけども、未納が2年で時効になります。 国会にこの延長の法案を出されたようでありますが、成立していないということ のようです。社会保険庁として、2年間でこのままにしているということについ ての、延長に関しての御努力というのは、その後どの様になっているのかお聞き したいのですが。 ○宮武座長  ご回答お願いします。概算要求ではどの様になっているのかも含めまして。 ○鈴木年金保険課長  今、お話がございましたシステム開発で市町村と協力させていただいている、 こちらから渡している交付金でございますけれども、それは多ければ多いことに 越したことはないわけでありますけれども、言い訳になって恐縮でございますが、 全体が厳しい中で、なかなか一気に全部上げるというのも難しいと思っておりま す。そこで、基本的には市町村の事情など丁寧にお聞きして、なるべく効果的・ 効率的にメリハリをつけてお応えできるような仕組みにしていきたいと思ってお りまして、18年度要求に向けましても、そういった、一律ではなくて、メリハ リをつけるような方法を盛り込めないか、ということで、今詰めを行っていると ころでございます。いずれにしましても所得情報については非常に私ども、あり がたいと思っておりまして、これはもっと緊密な形で連携させて頂くというのが、 私どもにも、市町村の皆様にも、いい結果をもたらすのではないかと思っており ますので、そういう方向で、限りはございますけれど、できるだけ頑張っていき たいと思っております。 ○青柳運営部長  後半の方は、私からお話を申し上げます。まず未納が2年時効になるので、こ れを延長ということで法案が、というお話がございましたけども、議員立法で出 ている法案が確かありますけども、残念ながらご存知のような国会情勢の中であ りますので、成立するに至っていない、ということがまず事実関係としてござい ます。私どもとして、この時効をどう考えるか、というのは非常に悩ましいとこ ろではありますが、はっきりいって、債権債務関係が宙ぶらりんのまま長くいく というのは、決して良いことではないというふうに思っていますので、私どもと しては時効が何年になるか、ということもさることながら、むしろ時効になる前 に、本当に負担能力がある方からはきちんと滞納処分も含む強制徴収をやってい くということを、私どもの立場としては目指していかなければならないだろう。 それは同時に、逆に所得のない方にはきちんと免除を申請していただく、という ことをセットで、ということになろうかと思いますけれども、そういうことをと りあえず社会保険庁としてはまずは目指したい、というふうに考えております。 ○宮武座長  遠賀委員、随分お待たせしてすいません。 ○遠賀氏  参考資料2でございます。この4ページの下の段『誕生年度別納付率』では、 ほぼ全年齢で納付率が上昇しているが、上段の『年齢階級別納付率』では40歳 以上の納付率が低下している。これは単純に考えると、40歳以上の者で二号保 険者から一号保険者に移行、あるいは免除者から非免除など、新たな納付対象と なった人の納付率が全体の納付率を押し下げているということだと思いますが、 5ページでは二号被保険者から移行者の納付率は、前年度に比べ改善している、 とあります。また、7ページでは免除者から納付対象者となったものの納付率は 改善傾向にあるとあります。このことを考えあわせますと、新たな納付対象者の 増加率が、他の年代に比べ高い、または他の年代に比べ納付率が低い、あるいは その両方、ということが考えられますが、主な理由としてはどのようなものなの でしょうか。  また、免除は前年の所得を基準にされていると聞いていますが、前年度に失業 した人が、前年の会社に勤めていたときの所得によって、免除にならないという ことから、この年代の納付率の低下の原因になっている、ということなのでしょ うか。そこを少し説明していただきたいと思います。 ○廣瀬数理調査室長  最初のご質問にお答えしたいと思います。委員ご指摘の4ページにある『誕生 年度別納付率(コーホート)』。ご指摘ございましたように、同年で生まれた者 が、去年と今年でどうか、というところを見ますと、どの生まれ年の方も去年に 比べれば納付率は少しずつ上がっていますというかたちで出ているとこでござい ます。そのひとつ上の、年齢階級別納付率というのは、去年の何歳の人と、今年 の何歳の人、この年齢を同じ同士でとっているものでございます。ですので、誕 生年度別でみますと去年より少しずつ良くなってはいるものの、その結果のもの の数字と去年も同じ年齢を調べてみると、若干下がっているところがこの40代 以降で発生している。それが上と下とで、下のコーホートでは全生まれ年度では 上昇しているものの、同年齢というかたちで去年・今年を比較すると、高年齢で は少し負けている、逆に若い方ですとリードしている、という形が出ているとい うのが、この2つのグラフでの結論でございます。  あと8ページの『現年度納付率の変化に係る分析』。これは資料2の方でここ の抜粋ととっていたものでございまして、例えば去年と今年、両年度とも納付対 象月数がある者という形で見ているわけでございますけれども、まず2年間とも 全てが納付対象となっている方というのが、一番大きな四角になっているところ でございます。平成15年では66.7%、それが平成16年度では66.6%、 わずか0.1ポイント下がっているわけでございますけれども、基本的にほぼ同 水準というかたちで出ている、というのがまずこの大きな四角の部分でございま す。  一方、この同じ所の下のところでございますけれども、『その他』と書いてあ るところで、この2年間に1回以上資格喪失・再取得した者、というところがご 指摘ありました二号と一号の間を行ったり来たりしたような方々、というのがこ こに入るわけでございますけれども、それが平成15年度におきましては50. 3%、そして16年度で54.1%、というかたちで、16年度についてはこう いう方々が上昇している、そしてこれが全体の納付率の上昇の要因となっている、 というのが15年度から16年度の変化として出ているところでございます。 ○鈴木年金保険課長  それから、失業の場合のご指摘がございましたけど、今の免除基準上は失業い たしますと即ち免除ということになっておりますので、ご指摘いただいた前年度 の所得が影響を及ぼしているということはないのではないかと思っております。 ○宮武座長  どうぞ、井戸委員。 ○井戸氏  確かに退職されると免除とはなりますけど、7月、6月という免除期間が決ま っているので、例えば5月に退職されたとすると、それが利くのは6月までです。 まだ仕事が見つからない、失業保険も切れてしまった、といっても、前年所得で 見ると、その前年所得が残っているから、免除から外れてしまうという話をお聞 きします。その辺りで滞納してしまうという方が意外といらっしゃるのです。だ から、7月、6月で切られてしまうことによって、隙間が空いてしまう、そのと ころで、所得はあるのだけれども保険料を払いようがない、という誤解をされて いる方はいらっしゃると思います。 ○宮武座長  どうぞ、どんどんご意見、質問ございましたら続けてください。 ○紀陸氏  少し細かい点で恐縮ですが、納付督励の件ですが、口座振替がかなり効力があ ると思いますが、16年度の実績というのは数字的に把握されておられますでし ょうか。口座振替の奨励件数というのですか。 ○鈴木年金保険課長  口座振替率ということで、よろしいでしょうか。16年度末では37%になっ ております。 ○紀陸氏  その前の数字はありますか。すこしずつ上がっているとか。 ○鈴木保険年金課長  35%でございます。 ○紀陸氏  15年度が。傾向的に上がっているのですか。 ○鈴木年金保険課長  これは、上げるべく努力もしておりますし、傾向的に上がっているということ だと思います。 ○紀陸氏  こういうものは、年齢階層別みたいなもので把握できるのですか。口座振替は、 例えばどの年齢層が多いとか、あわせてご質問です。   ○鈴木年金保険課長  今、手持ちの資料に年齢階級別までございませんので、とれるかどうかも含め て宿題とさせていただきたいと思います。 ○宮武座長  そうぞ、違うご意見なりご質問でも結構ですので。 ○鈴木氏  この資料2と、参考資料2で、ずっと今日は指摘していますが、最後にひとつ だけ感想を申し上げたいと思います。この参考資料2をみますと、かなり時間を かけて、相当労力をかけてお作りになったということがよくわかりますが、普通 ですと、こういう資料を作ったその分析結果、こういうふうにすると納付率が上 がるのではないかという最後の章がここについていると非常に良い。普通はそう あるべきです。せっかくここまでおやりになったら、最後の部分を持っておられ るのかも知れませんが、そこはやはりお出しいただくと我々も非常に議論がしや すいですから、是非これから心がけていただきたいと思います。  それから、少し話題を変えて、ひとつ質問をさせていただきたいと思います。 この参考資料1の3の収支決算で、厚生年金、国民年金が赤字になっている、あ るいは実質は赤字ではないかということになっておりますが、この参考資料1の 3の5ページと6ページのところを見ておりましたが、例えば、厚生保険特別会 計の運用収入というのがここに欄がありますけれども、これを見ますと年度ごと ずっと減ってきている。これに対応するのでしょうか、積立金が、それほど変化 していないということですから、この年金勘定の推移という中には積立金の運用 収入が、ここに入ってこの収支決算が出ているわけではなくて、一部が何か入っ ているのかと思いますが、その運用収入全体とこのバランスの関係をご説明いた だけるとありがたいのですが。 ○青柳運営部長  まず、この数字そのものを見ていただく前提となるところについて、一言補足 をさせていただきたいと思います。厚生年金、国民年金、単年度赤字であるとい うことで大変にご心配をおかけしている面があると思いますが、実はこの理由と いうのは、非常にはっきりしておりまして、厚生年金、国民年金について、従来 は5年に一度保険料率を上げまして、それで運用をしていくというのが制度の運 用の基本だったものですから、平成11年までは、当然のことながら赤字が出る ような構造にはなっていなかったわけです。  ところが、平成11年の年金改正のときに、当時の経済情勢をいろいろ鑑みて 保険料率の引き上げをあえて行わないという判断がされまして、言ってみれば、 平成6年にその前保険料率を上げて、これは一度にたくさん上げると大変だから というので、その2年後に段階的に刻みはつけましたけれども、平成6年に大き な料率を上げたものを、10年近く保険料率を上げないという形の制度運用を、 あえて当時の政策判断としたということが実は背景にございます。  したがって、平成16年の財政再計算の結果でもはっきり出ていますが、厚生 年金保険料率を少しずつ小幅に上げていただくという改正になっているものです から、実は2009年度になりますと単年度赤字が解消いたしまして、当分の間 は再び黒字に戻るという構造になっております。国民年金についても、2008 年度にまでは単年度赤字が続くがその後は戻るという構造になっております。そ の意味では、まずは全体の構造として保険料が再計算のときに想定されているよ うにきちんとあげられておれば、こういった単年度赤字が出ないという意味では、 現在の単年度赤字は年金制度の運営上は異常な状態、というふうにご理解いただ ければ幸いに存じます。  その上で、直接のお尋ねのあった運用収入と積立金の関係について補足をいた します。 ○山田経理課長  経理課長でございます。運用収入と積立金の関係でございますけれども、積立 金につきましては、運用収入というところとその下の年金資金運用基金納付金と いうのがございますけれども、従前で申し上げますと財政融資資金、大分前です といわゆる財投の資金、資金運用部に預託するという格好で、その預託していた 金利分が運用収入ということで年金勘定のほうに入って参ります。それがこちら の運用収入ということでございまして、ただ基本的に積立金については全額年金 資金運用基金のほうに預託をして、そちらの年金の資金は運用する。財投へ預託 する形でなく運用するという形になりましたので、そちらで運用しました運用益 につきましては、年金資金運用基金納付金ということで運用益が年金勘定に入っ てくるわけですが、ただゼロになっておりますのは、ご承知のとおり非常に運用 環境が厳しいものですから、実際上基金に納付できない状況になっているという ことでございます。 それから積立金の、それが運用益の関係でございますが、下のほうをご覧いた だきますと歳入・歳出差引残というのがございます。平成15年度の決算で申し 上げますと、3,379億円の赤字でございますけれども、その下の段に積立金という のがございます。運用収入も歳入の一部でございますので、保険料、あと一般会 計として国庫負担というものもございますので、そういう全体の歳入に入って参 りますものと、それから年金として給付をいたします歳出のほうの差額、それが 歳入・歳出の差引残になるわけですけれども、毎年度、15年度で申し上げます と▲3,379であれば14年度の決算の積立金の137兆円から、その額を引いた額 が15年度の決算として基本的には積立金の額になる。16年度は2,359億の黒字 でございますいので、収支差が黒字でございますので、その分が積立金の増額に なって参ると、そういうことでございます。 ○中野企画課長  鈴木委員のほうからご指摘が入りました第1点目の件でございますが、運営上 の件ですので、若干補足させていただきます。  私ども、前回の6月30日の会議で国民年金収納対策16年度の対策というこ とで、その時点で案として考えておりましたものを当会議でかけさせていただき ました。その時点では63.6%という全体の納付率しか把握できてない状況で、 この詳細の分析ができていない段階でございました。その後、7月13日、その 分析結果も踏まえまして厚生労働大臣の下の国民年金特別対策本部という場で、 資料のご説明をしたという経緯がございます。  ご指摘の点もございまして、今年度につきましては年度後半の国民年金収納に 向けて行動計画を改めて見なおしをするという予定にいたしておりまして、現時 点の予定では、次回の会議にこういった分析、さらにはもうすこし私どもなりに 使えるツールを盛り込んだ形で後半の対策をどうするか、当会議にお諮りさせて いただきたいと考えております。 ○宮武座長  よろしゅうございますか。どうぞ。 ○鈴木氏  少し私の理解力がなくてもう一度質問させていただきますが、積立金が137 兆という額があって、いろいろな格好で運用している。市場で運用しているもの、 預託になって利息が入ってきているものもある。その利息が入ってきているもの は、上に記載されているというお話だったと思いますが、そうするとこれ以外に も運用益はもっと出ているはずです。それはどこに入っているのでしょうか。 ○山田経理課長  基本的には、ここで全部だとご理解いただければと思います。 ○鈴木氏  これが全部ですか。 ○山田経理課長 上の運用収入が減ってきて参りますのは、いわゆる財投に預託していた金額その ものが減少しているので、金利で入ってくる部分が減っているというのが下の欄 でございます。  一方、運用基金は最近はかなり運用実績が上がっていて、かなりの額を納付で きるような状況ですけれども、14年度から16年度は確か非常に運用環境が悪 く、なかなか納付できるところまではいってないということでございます。 ○鈴木氏  16年度は、高い運用収入があったのではないですか。まったくそういうもの がゼロとして書いてあります。預託はどんどん減っているのですから、運用資金 が増えていって、多分16年は運用益は相当出ていないとおかしいような気がし ます。 ○鈴木年金保険課長  おっしゃるように16年度は、運用益が出ておりまして、年金資金運用基金か ら私ども特別会計にいただくにあたりまして、その収益の合計がその元金の1% を超える段階で、超えた額をいただくことになっておりまして、いままでなかな かそこまでいかなかったのですが、16年度、おそらく超えますので、今年度は いただけるのではないかと思っております。 ○小澤氏  今の年金資金運用のことで少し素人の質問ですけど、私は神奈川県の国民年金 基金の理事長をさせていただいていますけども、今も少しお話にございましたよ うに2〜3年前非常に経済の調子が悪く、うまくいかないので県の年金基金、上 乗せですね、それの運用赤字が大変でました。年金基金ですから神奈川県民のな かに代議員がいて代議員のなかに理事がいて、私が理事長になっているわけです けど、代議員にしても理事にしても直接的に年金基金加入者の声が入ってきて、 そういう声の中で巨額の運用赤字について一時ガタガタもめました。とにかく俺 達の大事な年金を預けていて運用をお任せして、連合会で運用するなどして、そ れが損を出したということです。  ただその運用の仕方が、何か委員会みたいなものがあって、例えば株式に何%、 投信には何%とその率が決まっていて運用しているのだというような話を当時聞 いたのですけども。率直に言いまして、現場の加入者の1人1人から我々は生の 声を聞かされます。国の国策として運用しているのとは違いまして、なぜこんな 経済の状況のなか株なんかやって損するに決まっているではないかと指摘されま す。それを3割だかなんか株でやるような仕組みに定められているのですか。そ ういう運用枠が決まっていて、その枠内で運用するから、悪いときはどうしても 赤字がでてしまう。でも必ず株は良いときも悪いときもあるのだから、いつかと れるのだというような話がありましたが、いつかとれるのだというような、そん な無責任な話は我々は現場で1人1人の加入者と直結していますから許せない。 そんなことなら、代議員も返上するみたいな騒ぎになったことがありました。そ こら辺のシステムというか、運用に関する基本的な決まりみたいなものはどうな っていますか。 ○青柳運営部長  いつもと違って、社会保険庁の人間、この運用の問題についてはやや遠慮しな がら発言させていただいているには理由がありまして、今お話がありました国民 年金基金もそうですし、それから本体の運用もそうですが、役割分担を役所の中 でしておりまして、実は年金局がこれを専一にやっているということがあるもの ですから、そういう意味で、我々自分で直接やっていないもので間接情報という こともあり、やや説明の仕方が不十分かなということは、自分でも思いつつ、ま ずはお詫びを申し上げなければいけないだろうと思います。  その上で、私ども承知しているかぎりで今の小澤市長のお尋ねにお答えをする とすれば、ひとつにはポートフォリオと言われておりますけれども、年金資金の 運用の仕方として、特定のところに資金をシフトしてしまうと、経済というのは、 例えば株が悪くなると国債がよくなってというような相互の関係で成り立ってい るものですから、そういう危険分散をするという観点から、ポートフォリオとい ういくつかの資産の組み合わせをする中で、最大の全体としての利回りを得てい こうというのが、これは別に年金基金や年金の資金運用だけではなくて、通常の 生命保険始めとする、さまざまなファンドの基本的な考え方でもありますので、 私どもだけがそういう特異な考え方をしているのではないということを、まずご 理解いただきたいと思います。  その上で、そういった組み合わせを非常に恣意的にやったりした場合には、年 金資金の場合には特に137兆というのは巨額なお金になりますので、変な形で 国の経済に悪影響が生じる場合がある。政治的には、時として株価を維持するた めにそういったものを使えば良いではないか、という声が聞こえてこないではな いですが、そういうことは資金をお預かりしている被保険者を裏切るものになる のではないかということも、私ども厳に戒めているところでありますので、先ほ ど少し話題がでましたけれども、私どもボードと言っておりますが、その資金運 用についての意思決定機関をきちんと定めて、そこに責任をもってポートフォリ オ戦略を決めてもらう。それを基金の側は墨守をする。きちんと報告をしながら ではもちろんありますし、それはまた一定の期間ごとに戦略を経済環境の違いに 応じて見直すということもやっているわけでありますけれども、基本的にはあま り裁量的な資金運用をしないということを、こういった大きな基金資金運用のひ とつの原則にしておりますので、そういったものの情報公開、一生懸命年金局も 関係の機関もやっていると思いますが、必ずしも十分でないことから、おっしゃ ったようなお尋ねやお怒りの声があるのかなということは、年金局にしっかり伝 えなければいけないなと思います。いずれにしても、そういうルールをきちんと 定めた中で資金運用をやっていくというのを、こういったもののひとつのやり方 にしております。したがって、つい最近までこんな株なんか買っても儲からない のだから全部国債にすれば良いではないかというようなことを、例えば国会の場 でもお尋ねがあった時期もございますが、結果的に先ほど鈴木委員からもお尋ね がありましたように、16年度末を締めて見た段階で見れば、非常に株価の回復 といったような状況もあり、全体として私どもがやってきた資金運用は、結果と して間違いではなかったということが、おそらく証明されたのではなかと思いま すので、これは決して牽強付会な私どもの意見ではなくて、経済的な専門家の評 価でもあろうかと思いますので、その点では引き続き説明をきちんとするように ということは、これまで以上に努力はさせていただきたいと思いますが、そうい った大きな仕組みの中で、公平かつ透明性をもってやっているということだけは、 ぜひこの場を借りて少し言い訳を申し上げさせていただきたいと思います。 ○宮武座長  必ずしも小澤委員の今のご質問のお答えではないですが、役割が違うため、し かたがないかもしれません。  参考のために、今の137兆円のうちで資金運用部と年金資金運用基金は、だ いたい今いくらぐらいの比率になっていますか。 ○鈴木年金保険課長  調べますので、お時間いただきたいと思います。 ○宮武座長  いずれにしろ、平成20年になると全額、独立行政法人で引きうけて運用され るわけです。 ○鈴木年金保険課長  今のお尋ねでございますが、16年度でまるめた数字で申しますと、資金運用 部に約64兆、それから年金資金運用基金に66兆5,000億でございまして、67 兆といってもいいかもしれませんが。そういう状況でございます。 ○宮武座長  まだしばらく時間がございますので、もし他にご意見なりご質問なりございま したら、ぞうぞ。 ○紀陸氏  資料3でございますが、少し細かい点の確認でございますが、調達コスト68 億円が計画額の約1割削減されたというようなことになっていますが、その内訳 はおおまかにいってどの様になっているのか、お答えいただければと思います。 ○山田経理課長  68億円の内訳でございます。68億円のうち、一番大きいのがデータ入力な どの業務委託あるいはその機器のリース、それを合わせまして会計法令上役務の 提供とわかりにくい言葉で恐縮ですけれども、言ってみればサービスを調達して いるというようなイメージで、具体的にはデータの入力などの業務委託・機器の リースなどでございますが、それが一番大きく23億円、68億のなかで占めて おります。  それから、その次が物品の製造でございまして、これが約20億円でございま す。それからオンラインシステムの関係が約8億円。それから物品の購入、物を 買うものがだいたい7億〜8億。それからあと国会等でご指摘がございましたこ ともありまして、事務局とか共同事務センターあるいはレセプト点検センター、 さらには他に倉庫などございますが、そういう賃料、それについてもかなり削減 に取り組んでおりまして、それがだいたい7億でございます。  内訳は、以上でございますけれども、せっかくでございますので調達委員会で どういうことをして削減できたか、というのを補足的にご説明させていただけれ ばと存じます。  先ほどご説明したのと、少し順序が変ってしまいますけれども、物の製造の関 係で言いますと、例えば大量に物を買っていたのを、社会保険庁本庁で自分達で 企画をして物を買うのではなくて、案を自分達で作って上で、それを印刷に発注 して調達をする。そういう形をいたしますと、物そのものはある程度定価があり ますので、それで相手先が決まり、ご批判の多い随意契約で調達をするという格 好だったものを、本庁で企画をして印刷をする場合入札でできますので、かなり コストダウンを図れる、そういう形で物の製造については切り替えをかなり図っ ております。  それから、納付書の類、業務に使う納付書とか、そういうものについては複数 入札制度を導入いたしまして、言ってみれば入札をして低いほうの入札価格の業 者の方から順番に買っていくような形にしてコストを下げる、というようなこと で取り組んでおります。それからもとより物を買う場合には、数量をかなりぎり ぎり、調達委員会のほうでそれだけ本当に必要なのかどうか、必要数量も必要最 小限に抑えるということで、厳しいご議論をいただいていまして、数量の精査、 必要数に絞るということでかなり削減ができている部分がございます。それから システムの関係は、先ほどご説明いたしましたが開発規模の精査をして、システ ム開発の規模がそれほど大きくなくても、もう少し開発規模を抑えてできるだろ うというような精査をして削減をいたしております。  主なものだけで恐縮でございますが、そういうような削減努力をいたしまして、 68億円の減ということでございます。まだまだこれから努力の余地があると思 っておりますので、今後とも厳しく調達委員会でご審議をいただいて、さらに削 減に努めて参りたいと思っております。 ○宮武座長  遠賀委員どうぞ。 ○遠賀氏  参考資料4、市場化テストのモデル事業についてお聞きしたいのですけど、厚 生年金、政府管掌健康保険の市場化テストの実施状況をみますと、適用促進対象 事業者数に対して3ページの東京都社会保険労務士会の結果では、巡回説明を行 った件数が非常に少ない。また4ページの株式会社アイ・シー・アールは適用と なった事業所が0件と、いずれも対象件数に対して適用件数が非常に少ないので すが、この原因というか、始まってまだ2カ月ぐらいですから、そういうのもし かたがないと思いますけど、スケジュール的なものなのか。  また4ページの株式会社アイ・シー・アールでは、巡回説明を行った件数が3 4件に対し適用になった件数が0となっていますが、これらの事業所は現在どう なっているのでしょうか。また、今後どのようにするのでしょうか。そこを聞き たいと思います。 ○武田医療保険課長  ご指摘の厚生年金、政管健保の未適用事業所の適用促進事業ですが、資料にあ りますように、6月、7月の2カ月分の実績報告となっておりまして、市場化テ ストを実施する前は、私ども社会保険事務所でまず適用対象事業所の把握を行い まして、その事業所を絞り込んで巡回説明を行うことを社会保険労務士会に委託 をしてきたという形をとっております。  そういうことで言いますと、まず例えば法人登記を見まして新設法人を全数把 握いたしまして、そこの中から既に社会保険に適用になっているものなってない もの、また法律上適用になる事業所そうでない事業所、こういう洗い出しをいた しますので、そういう意味ではなかなか巡回説明にすぐ全事業所たどりつけない のが、むしろ、この予想される事業の実施状況だったというふうに思います。そ ういう意味で言いますと、東京にいたしましても福岡にいたしましても、巡回説 明にかなりの箇所を着手しているということで、むしろかなり積極的に取り組ん でおられるというふうに思いますし、特に東京のように巡回説明を実施したとこ ろが、すでに適応になっているというのが、かなりこれまでの事業経験からいた しますと、やはりハイスピードで進んでいるということではないかと思います。 いずれにしても始まったばかりでございますので、私どもももう少し実績を見た 上で評価をいたしたいというふうに思います。福岡につきましても、巡回説明2 5ヵ所ということでございますが、通常この巡回説明をしてもなかなかすぐは入 っていただけないのが実情でございまして、巡回説明の後、さらにもう一度参り ましたり呼出しをいたしましたり、さらに何度も何度も手間隙をかけて、ご納得 をいただくというのが非常に多いパターンでございますので、この福岡にいたし ましても、まだ実績は上がっておりませんが、引き続き推移を見て参りたいとい うふうに考えております。 ○宮武座長 よろしゅうございますか。そうぞ。 ○龍井氏  少し細かい点になりますけど、ひとつは資料3の先ほどの論点にもどりますが、 この削減額をどう評価するのかというときに、そもそも設定している調達削減目 標というか、あるいは調達計画額、これ自身どういう考え方というか、どういう 基本的認識でそもそも設定したのかが、もしおわかりになれば教えてほしいと思 います。  それから、予算関連では3点、1点目は、資料5の最初に説明がありました事 務費の取り扱いについては、特例措置を基本的に18年度についても継続をする ということでお考えなのか。  それから2点目は、今お話があった市場化テストについてはかなり拡大という 方向が示されていて、問題点をいくつか今までも指摘させていただいてきている のですが、わからないわけではないのだけども、市場化テストという手法がテス ト段階という時に、しかも項目によっては、評価基準そのものが、どうも私ども から見ているとまだ定まってないようなところがある中で、ここまで拡大してい くというところの根拠がわかれば教えてほしいです。  最後に、先ほども長官の冒頭のご説明で、強化していきたいということで6ペ ージのサービスの充実。これは議論としては具体的な活動計画の段階で示される ことになるとは思いますけども、やはり私どもとしては前回の政管の懇談会でも 報告がありましたように、医療費削減の面からいっても、箱物は整理したとして も機能的にどれだけ強めていけるか、サービスを提供していけるか、というのは 大きな根幹になると思いますので、是非その点の具体策につなげていただく、あ るいはアピールをしていただく、最後は要望でございます。以上です。 ○山田経理課長  私から2点お答えをいたします。最初に調達目標の関係でございますけれども、 最初に調達委員会を昨年10月に立ち上げます時に、ひとつ参考にさせていただ きましたのが郵政公社の関係でございまして、それで郵政公社で調達委員会のよ うな先進的な取り組みをされておられて、かなりコストの削減で成果を上げてお られるということで、郵政公社からもいろいろお話を頂戴いたしました。それで 参考にさせていただきました時に、おうかがいしましたら、確か2年間で2割程 度コストを下げるということで取り組んでおられる。ただ何に対してということ ころが、少しちがうところがあって、2年間で2割というのを、そのまま使うわ けにはいかないだろうと思いましたのと、それから、私ども全く実績のない中で いきなり目標を定めてしまうのはということで、具体的な目標ではありませんけ れども、図書などについてはかなり削減できるだろうと。2割とか3割とか思い きって削減できるだろうし、物品などについてもかなり高い目標を掲げて1割以 上2割とか3割とかいうことでとりあえず取り組みました。それで実は16年度 分の23億というのは、下半期分でございますけど、4割ぐらいの削減になって おります。ですからその段階で、かなり削減をできたと思っております。ただ1 7年度につきましては、年金事務費の無駄使いが多いというご指摘もありまして、 17年度予算でかなり予算を絞り込みました。その段階で調達計画を作る時も、 かなり厳しい調達計画でないと予算が足らない形になっておりますので、そうい う調達計画額に対してどの程度落とせるかということで、実は45億円というの は17年度で6%の減でございます。それで40%から6%ということで、かな り数字が落ちたように見えるかもしれませんが、ひとつは随契でなくて入札でや ろうということは徹底しましたので、調達計画の段階から入札で行うということ で、かなり低い額の調達計画になっております。そこからどれぐらい落とすかと いうことで取り組んでおりまして、そういう実績も踏まえて1割ぐらいは削減し ようと、17年度について削減しようということで目標を定めて、できるだけ高く 目標を高くというか、目標以上に達成できるように努力をしていこうということ で、取り組んでいるところでございます。  それから、資料5の概算要求の関係のご指摘がございました。事務費の関係8 ページその他の2番目の星印のところに書いてあるものでございます。特例措置 が講ぜられている厚生年金等の事務費財源の取り扱いについては、今後の予算編 成過程において検討する。これは夏のシーリングの閣議のときに、なかなか夏の 段階で年金法の本則上は国庫負担、ご承知のように国庫となっておりますが、な かなか財源の確保ができないということで、年末に向けて検討ということで、先 ほど少し1ページでご説明をしまして三角で歳入欠陥の形で要求をさせていただ いているというのは、保険料をあてるか国庫財源をあてるかということについて は、年末までの検討課題ということで、閣議で事項要求という扱いになりました。  したがいまして、特例措置にするということは、夏の段階でもちろん決めてい るわけではございませんので、年末に向けてどういう取り扱いにするか検討する ということでございます。 ○宮武座長  概算要求についての質問については、これでよろしゅうございますか。もうひ とつの質問についてお答え願いします。 ○中野企画課長  市場化テストの関係につきまして、概括的にご説明をさせていただきたいと思 います。資料5の4ページにございますけれども、市場化テストのモデル事業に つきまして18年度に未適用事業所の適用促進事業、国民年金保険料の収納事業 につきましては、ここにございますような形で拡大をしていきたいと考えており ます。  このことにつきましては、この資料5の2ページにもございますけれども、社 会保険庁全体として、事業運営をすすめていく上で、民間のノウハウをできるだ け組み合わせることで効率的な事業運営をしていこうという考え方に基づいて、 今こういった事業の市場化テストのモデル事業への切り替えを行っていこう、と いうふうに考えているわけでございます。  現時点におきまして、具体的に事業が動いておりますのは未適用事業所の適用 促進の部分でございまして、国民年金保険料の部分は今後10月から事業の実施 が始まるわけでございます。その過程で適用促進のほうもそうでございますし、 保険料収納のほうも私どものほうで毎月の実績に加えまして、サービスの質とい う部分についてもモニタリングをしていくことといたしております。  そういった形で、事業の実績の把握も十分進めながら、この民間事業者による 事業と私どもで行う事業で組み合わせて全体の効率化を図っていきたい、こうい うふうに考えております。 ○武田医療保険課長  未適用事業所の適用促進事業につきまして104ヵ所ということで、概算要求 を出しましたが、未適用事業所が都市部に多いということ、また民間事業者の活 用ということを考えますと、都市部のほうが受託企業が手をあげてきやすい環境 であるということをふまえて、今回は東京地区と福岡地区ということですが、来 年度は政令指定都市をカバーする社会保険事務所およびその周辺地域を、この事 業の対象として選定をいたしまして、その結果104社会保険事務所ということ になったわけでございます。  それからもうひとつ、先ほどの政管の事業につきましても、医療費の適正化の 観点からサービスの推進をというようなお話ございまして、政管の保健事業の大 きな柱になりますのが健康診断の事業でございますが、近年予算の削減にともな ってなかなか受診者数が伸ばせない状況が続いておりますが、政管の法人化とい うようなことも視野に入れまして、また実際に健診のニーズを把握いたしました ところ、現在の受診率27.7%に対してまして、約53%の被保険者が健診を 受けられれば受けたいということでございますので、今年度健診事業で70億程 度の予算増の要求をいたしまして、被保険者サービスの拡大に取り組んで参りた いと考えておりますので、もっとPRしたらどうかというようなご指摘でもござ いますが、私どもこういうことはご説明を各方面にして参りたいと考えておりま す。 ○宮武座長  あと時間もございませんので、短いご質問であれば、ぜひどうぞ。 ○小澤氏  前回欠席いたしましたので、前回議論があったのかも知れませんけど、都道府 県に1ヵ所サービス改善委員会を設置するというような、名称はわかりませんけ ど、そのメンバーはどんなメンバーなのでしょうか。それから、都道府県1ヵ所 だけにとどまるのでしょうか。 ○大澤サービス推進課長  サービス推進課長でございます。お尋ねの地方社会保険事務局サービス改善協 議会という、これは広く地域の方々に情報提供をさせていただいて、そして利用 者なり被保険者の観点からのご意見を受けとめて、地域の事情にそくしたサービ スの充実を図るということで、外部の意見を取り入れるといいますか、外部の意 見との接触を図るサービス改善協議会というものを設置することにしております。 これにつきましては、47地方社会保険事務局ごとにひとつずつ設置することと しておりまして、現在までの間、すべての事務局において設置済みであると聞い ております。 ○小澤氏  どの様なメンバーでしょうか。もうちょっと。市長村代表とか団体代表とかで しょうか。 ○大澤サービス推進課長  メンバーにつきましては、例えば大学教授などの有識者、それからマスコミ関 係者、あるいは労働団体の関係者、事業主、社会保険労務士といったような方々 で、それぞれの地域の事情に即して、選ばれているように聞いております。 ○小澤氏  一瀉千里に、そうはいかないのでしょうけど、都道府県でそれぞれ納付率もバ ラバラですし、同じ都道府県の中でも、また地域によって多分いろいろ事情があ って違うのだと思います。それぞれ納付者によって不満の種類も違うかも知れま せん。事務所のレベルも違うかも知れません。いろいろなサービスをチェックす る体制等も整ってきているようですけれども、我々からしますと、できれば社会 保険事務所ごとにサービス改善協議会をお金がかかるものではないと思いますし、 ボランティアでみなさん出ていただいて設置していただきたい。とにかく直接納 めている人たちの意見をもう少し、偉い人たちばっかりではなくて、そういう国 民の生の声が、それぞれの社会保険事務所に入って、それからこちらに来るとい うような形を、もう少し、いろいろやってらっしゃるのはわかりますけど、そう いうのもどうなのかな、というふうに思います。特に我々市町村の代表もそうい うところに入れていただいて、事務レベルで、先ほど来お話していまして、いろ いろなお願いもさせていただきましたけれども、率直かつ具体的なお願いも日常 的にあるようですから、そういう点も納付率の向上のためにも、なんとか少し輪 を広げられないかなと思っておりまして、これはお願いにしときます。以上です。 ○宮武座長  在席でお聞きいただいたので、ご感想なり補強すべきご感想等ございましたら、 お願いできますか。 ○村瀬長官  本日はどうもありがとうございました。皆様方の貴重なご意見を聞かさせてい ただきました。事務局からいろいろ回答させていただきましたけれども、やはり 我々事業をやっていく上で結果を出すためにどうしていったらいいか、それをい かに安いコストで実行できるのかというのは、極めて大事だと思っております。 その中で、今回の予算要求につきましても、非常に厳しい中でギリギリ切り詰め る形で、我々としては出させていただいたつもりでございます。  その中で、前からお話しておりますように基本的な考え方は、ご利用をさせて いただけるところは徹底的にご利用してご協力をいただきたいと、こういう思想 でございまして、先ほどの市場化テストを始めとしまして、たくさんの方々に協 力いただいて結果を出すようにしていきたい。また今日のご議論の中でも、特に 我々の最大の課題であります国民年金の収納率の部分につきまして、非常にたく さんのご意見いただきました。ここにつきましてはしっかり我々としてもやって いきたいと思いますし、またアドバイスもいただきたいと思います。  その中で、行動計画のところが先ほど出ましたけれども、ご存知のように昨年 の10月に初めて作りました。行動計画で結果を追求するのではなくて行動する ことを優先させながら、次に品質を高めて結果を出していくということで、まさ に17年度は、結果と効率を求めて行動していくという形になっていくのだろう と思っております。  その点で、下期に向けての行動計画をどう立ち上げるか、これは極めて大事な ところだと思っておりまして、現在、再修正に入っておりますので、次回10月 に、今まで上期の活動状況をきちんと評価をして、また下期の行動計画が、それ に見合った上で最終的に目標数字にいく形になっているかどうか、ご検証してい ただけたらと思っております。 ○宮武座長  ありがとうございました。  それでは、次回の日程等を含めて説明願います。 ○中野企画課長  貴重なご意見、大変ありがとうございました。次回の会議でございますが、1 0月19日水曜日の15時から開催をいたしたいと考えております。テーマにつ きましては、「平成16年度に社会保険庁が達成すべき目標についての評価」、 それから今お話のございました「国民年金収納のための下期の行動計画」などを テーマとして予定をいたしております。よろしくお願いします。 ○宮武座長  ありがとうございました。長時間にわたって活発なご意見いただきまして感謝 いたします。それでは本日これで終わります。 (了) - 1 -