「船員保険福祉施設問題懇談会」議事概要 1 日時  平成17年8月9日(火)14:30〜16:45 2 場所  厚生労働省専用第24会議室 3 出席者  (敬称略、50音順)       青柳、朝浦、伊藤、大内、大曽根、笠木、小坂、三枝、武田、中野、       藤澤、山口、山脇 各委員 4 議題   (1)平成17年度における船員保険保養所の廃止について(案)        (2)船員保険福祉事業に係る平成18年度予算概算要求の概要について(案)        (3)その他 5 議事概要     事務局より資料の説明を行った後、質疑、意見交換が行われた。     各委員の主な意見は次のとおり。 議題(1)について ○ 船員を雇用している雇用主が福祉施設事業ということで拠出をし、拠出する目的は、自分が 雇用している船員の福祉事業に充ててほしいということで拠出をしているだから、そのお金が 有効に活用されている分については、合理的に有効に活用してほしい。同時に、船員に対す る福祉(施設)が平成14年のときから考えると、かなり急激な後退ではなかったかなと思う。 今後のことを考えると、船員として、特に休暇中の船員、それから船員であった職を退職さ れて船員保険の年金を受給しながら保養施設を利用して健康管理に努めたいと、乗船中は なかなかできなかったけれども下船してこういう保養施設を船員の独自の施設ということで利 用したいという意見は数多くあるため、残る施設については、経営努力とか施設整備について 引き続きお願いしたい。 ○ 平成15年度の懇談会の時に、いわゆる収支バランスが大きな判断材料になるということで 経営改善努力を求められた訳であるが、あまり派手にPRだとか宣伝とかできない中でかなり 努力をしている施設も見受けられる。にもかかわらず船員保険被保険者等の利用割合が低 いというところを取り上げて、廃止というのは釈然としない。 ○  福祉施設の費用は船主負担である。船主負担で賄っている状況からいけば、船員保険被 保険者等の利用割合が低い施設をなぜいつまでも維持していかなければいけないのかという 気がする。従って、今回提案のあった施設の廃止については、やむを得ない。他の施設につ いても相当悪い施設が中にはある。もっと整理合理化計画を早急に詰めるべき。経済財政諮 問会議などによっては、宿泊施設については廃止すべきというような方針も打ち出されている ため、そういう意味からいくともう少し計画を進めるべき。 ○  船主側であろうが被保険者側であろうが、施設の経営努力が報われることが理想の姿であ ると思う。 ○  14年12月の27施設の2分の1にするということでやってきた訳であるが、関東近辺 にはある程度の保養施設が残っており、全体の事情を考慮して、廃止はやむを得ない。 ○ 今まで社会保険庁や船員保険会が一生懸命努力してやってきた、制約がある中で収支改善 を図ってきたということがあるので、最終的には全体的な判断ということでの理解はしている が、そういう部分については十分検証していただきながら判断をお願いしたい。 ○  いろいろと意見はあるが、今後、閉鎖した後の代替処置について社会保険庁及び船員保 険会でしっかりと対応してもらいたいということをお願いし、やむを得ないと判断する。 ※議題(1)の「平成17年度における船員保険保養所の廃止について(案)」については、 原案どおり4施設(大洗、銚子、鳥羽、坂出)を廃止することで了承された。 議題(2)について ○ 船員保険の福祉施設の取り巻く状況等の説明をいただいたが、一切理解ができない。 船員保険の福祉施設は厳しい状況にはない。もっと言えば、立場の違いはあっても労使 が3〜4年間かけて14施設まで整理合理化をしてきて、現段階では適正な福祉施設に なろうとしているわけである。それに対し、何処にも厳しい状況が無く、要求案上での 収支では、約3億6千万円の黒字がでるという状況の中で、施設整備費や経営委託費を カットするようなことはおかしな話である。収支的に約3億6千万円もあるのだから、 せめてこの位は施設整備や国内保養所の経営委託費として計上しなければいけないので はないか。積立金を取り崩してまでとは言わないが、維持していく保養所であるのであ れば、これまでと同様に投入してもいいのだと、恥ずかしい話では無く、施設として維 持してこれからもやって行くというのであれば、これまでと同じような形で整備費も委 託費も出せる範囲で計上すべきである。 ○ 金額は別にして、施設整備関係経費で約1億円というのは大洗保養所と銚子保養所の 解体経費分であり、実質的には0、また、委託費関係経費についても国内保養所分につ いては0と、こういう説明であった。これはやはりいかがなものかと思う。金額がどの 程度がいいのかというのは判断のしようがあるが、予算の計上が0という考え方はもう 一度考え直していただきたい。 ○ 施設は箱物であるため経年とともに劣化してくる。また、施設内の機器等も旧式とな って厳しい検査に合格しないような設部分もあろうかと思う。そこの部分については、 是非、メンテナンス、維持していくという観点で施設整備関係の経費ということで予算 を計上していただきたい。それから、保養所の経営委託の経費であるが、海外保養所の 3ヶ月分だけであり、国内保養所は0と、これは論理が矛盾しており、全体からすれば そんなに大きな額ではないと思うので、従来どおり経営委託費を是非とも船員関係の利 用者が増えるような、船員関係者の利用した場合の補助ということだと思うので、船員 並びに海事関係者の利用しやすいような制度として委託費は是非残していただきたい。 ○ 多少ちょっと違った見方をもっているが、今この0要求というのは唐突な感じに受け 止めた。現状から原点に立ち返ると、船員の福祉のために拠出されているお金が、こう いった箱物に使われること自身、本当に理にかなったものなのかどうか、特に福祉セン ターの被保険者の利用率を見ると、そういった疑問を無くすわけにはいかないというよ うな資金拠出者としての立場である。その上では、本当に箱物だけ、もっと違う有効な 福祉関係支出があり得ないのか、こういうところを本来議論するべきではないのかと感 じている。 ○ こういう唐突な形の0要求はやるべきではない。もし保険料を安くしていただけるの であれば、ある意味それはそれでやりようがあるが。経営委託費等は前年度の予算規模 から考えて、満額計上すべき。また整備費については、箱物だから単に悪いというふう には思っていない。そういう意味では、有効と見込めるものにはお金を投入すべき。 ○ 船員の福祉というものを一体どう考えるのか、根本的な部分から問題提起をしていか ざるを得ないと思う。船舶所有者側からも発言があったが、今まで船員保険の取り巻く 状況が厳しいという話もありながら、船員の福祉の切り捨てにならないように、船員の 福祉を守っていくという立場で施設の半減をやむを得ないという判断をして現在に至っ ている。ここにきて、予算要求もしないということになるとこの先一体どういうふうに 考えたらいいのか。この問題について、一体どうするべきなのか。船員の福祉施設はど んどんシャッターを下ろしてしまう、切り捨てていく、こんな話にもなりかねないよう な内容だというふうに受け止めた。そういうことに関しては、私どもは抵抗せざるを得 ない。施設の収支バランスの話もありましたけれども、いわゆる福祉というのは一体何 かと、営利を追求するわけではないのである。経費がかかるのは当たり前である。ただ、 大きな赤字にならないような努力はしなさいということをやってきている。それを全く 切り捨ててしまうことに繋がるような提案には合意できない。もし、こういう方向で進 むということであれば、なんとしても方向を変えさせていかなければならないというふ うに考えている。 ○ 船員保険制度そのものがどういうふうにあるべきかという議論がされており、一方で 国際条約の関係から船員の福祉関係は義務づけられている側面もある。施設があるとい う状況で予算を0にしてしまうということは時期尚早である。 ○ 船員保険の場合には6‰という特別の保険料で福祉事業をやっているということでお 預かりしている。先程被保険者側からもあったように船員の福祉そのものを例えば事務 局の側が後退させるとか軽視をするだとか、そういうことはもうとう考えていない。た だ、箱物を作っている事業を国がやるというやり方そのものがどうかということが実は、 年金の福祉施設の国会における議論でも大きく問われた問題ではないかというのが私政 府参考人として答弁をしながら切実に感じたところでもある。従って、どういうやり方 で船員の福祉を維持、向上させていけばいいのかということについては、私どもこうい う場も含めてよく議論いただいて関係者の合意の基にその事業を国として完成させてい ただくということが基本線であるというふうに思っている。ただ、そのやり方として箱 物を国がお預かりしているとはいえ、国有財産として施設を作ってそれを運営委託して いるやり方、現に国会の中では自分の所では委託先法人を作ってOBが就職していると いう形の、いわば国がそういう形で自分たちの就職先を維持しているのではないかとい う正面きったご批判を国会の方でお尋ねいただいたということもある。従って、こうい うことも含めて国が直接やるということについての問題点或いは今までやってきたこと 自身が適切であるか問われている。この点については是非皆様にも今後の問題として、 今後どのようにしていったらいいのかということをよくお考えいただきたいということ での本日の提案であった。 ○ 新たに建て増ししていくということであればそのとおりだと思う。しかしながら既存 のものを手直ししていくというのは当然箱物を作った責任者、かつ委託している責任者 としてはきちんと整備をしていかなければいけない。我々の船主サイドと組合サイドで は福祉施設についての考えが若干違うところがあったのかもしれないが、現実には一定 の折り合いをつけている。それを18年度予算で一方的に0にしていく、それはおかし いのではないかということを先程から申し上げているところ。従って、収支の損なわな い範囲で是非ともこれはやっていただきたい、従って、経営委託費の方については、満 額での前年度と一緒若しくは若干減るのであれば、それからいけば9千万円もあれば十 分な話になる。2億円ぐらいで何か整備ができるのであれば、それはやはりやっていく べきである。 ○ 福祉レベルを切り下げるものではなく、使い方を考える余地があるのではないかとい うことに関しては、賛成であるが、一方で被保険者側が言うように、一方で箱物が悪い からすぐ手を下ろしてしまうと何もない真空地帯ができてしまう。こういう事態はひょ っとすると政策的にはまずい、そうなると全体の福祉レベルを守るための方策というも のを考えていく必要がある。 ○ 船舶所有者側からもあったが、新たに何か作ってやっていくというわけではないので、 例えば病院の外壁のコンクリートが崩れて下に落ちている、通行人に怪我をさせたら大 変だと、こういったようなことも地方支部から聞いているので、施設の管理者である国 がやはり施設整備ということで是非ともやっていただきたい。 ○ 只今のご意見を踏まえ、再度事務局の方で早急に検討させていただき、皆様へお諮り させていただきたい。ただ、概算要求まで日程が限られているので、この点については 持ち回りでご承諾を得るということで諮らせていただきたい。 ※ 議題(2)「船員保険福祉事業に係る平成18年度予算概算要求の概要について(案)」 の施設関係については、以下のとおり修正することで各委員から了承された。   @ 施設整備関係経費は、解体経費の他に、必要最小限の整備に要する経費を要求する。   A 保養所等経営委託関係経費については、従来通り要求する。 ※ 議題(3)として、被保険者代表側から年金福祉施設等の譲渡等に当たり、北海道健 康管理センターの機能維持について要望があった。   ※ 最後に、事務局から船員保険福祉施設問題懇談会の見直し案について説明し終了した。