
社会保険庁　運営部　医療保険課


第１９回政府管掌健康保険事業運営懇談会議事録

１　日時　平成１７年３月１１日（金）
　　　　　１０：０１～１２：０８

２　場所　霞ヶ関ビル３３階　東海大学校友会館「阿蘇の間」

３　出席した委員（敬称略）
　　　城戸、紀陸、櫻井、龍井、中西、山﨑、吉田

４　議題
（１）政府管掌健康保険の平成１７年度予算概要＜資料１＞

（２）診療報酬明細書等の開示に係る取扱い＜資料２＞

（３）その他＜資料３＞
　　　①未適用事業所に対する職権による適用について
　　　②社会保険業務の市場化テストについて
（４）参考資料
　　　①社会保険庁改革の議論の進捗報告
　　　②社会保障審議会医療保険部会の議論の進捗報告

５　議事内容

○中西座長代理
　それでは、第19回政府管掌健康保険事業運営懇談会を始めさせていた
だきます。
　本日は大変お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとう
ございます。
　稲上座長でございますが、大学の公務が急遽入ったということでござ
いまして、本日ご欠席ということに相なりました。座長より、司会進行
役を私にお願いしたいという旨、話がございましたので、座長代理とし
て本日の司会進行役を務めさせていただきます。
　また、高木委員、高野委員、ご両名が欠席でございます。
　なお、青柳運営部長でございますが、国会用務のため、恐らく11時前
後にはこちらに来ることができるだろうという話でございます。
　それでは、本日の議題に入りたいと思います。今回の議事録につきま
しては、前回と同様、後日事務局にて作成し、委員の皆様にご確認をい
ただいた上で公開したいということでございますので、ご協力ください
ますようお願い申し上げます。
　まず、事務局より、資料１の説明をお願い申し上げます。

○医療保険課竹林補佐
　それでは、私の方から資料１の説明をさせていただきます。お手元の
「政府管掌健康保険の財政運営」と頭に書いてある資料でございます。
　まず1ページ目でございます。平成17年度予算案。これは医療分と介護
分、全体でございますので、それぞれ医療分と介護分、別々にごらんい
ただきたいと思いますので、１枚おめくりいただきまして、２ページ目
の医療分の資料を見ていただきたいと思います。
　まず、17年度予算案の単年度収支差でございますが、一番下にそれが
ございます。195億円の単年度収支黒字ということを見込んでおりますが、
支出の一番下に予備費というのがございまして、この予備費400億円をほ
かに使わなければ、備考の方にございますように、平成17年度の単年度
収支差は595億円ということでございます。
　ちなみに、前回のこの懇談会でお示しいたしました政管健保の５年推
計でございますが、そのベースになっております17年度の概算要求との
比較で申し上げますと、約150億円の改善をする見込みという見込みを立
てております。
　その要因でございますけれども、16年度前半の保険給付費の実績が今
のところ把握されておるわけでございますが、その実績が、概算要求時
点で予測していたほど伸びなかったというのが最大の要因でございます。
　それから、平成17年度末の事業運営安定資金残高でございますけれど
も、備考の２でございますが、1,343億円ということになっておりますが、
これは平成16年度、17年度とも、その予備費、それぞれ400億円積んでお
りますが、それぞれ使用した場合の数字でございますので、使用しない
場合について申し上げますと、備考の一番下に書いてございますように
2,143億円という、このくらいを見込んでございます。これは、５年収支
のベースとなっております概算要求時点での見込みよりも550億円程度改
善しておると、そういう状況でございます。
　それから、１枚おめくりいただきまして３ページ目、介護分というこ
とでございます。介護の保険料率については、介護の担当部局の方で毎
年「介護納付金」という、保険者がそれぞれ負担しなければいけない金
額が計算されますので、その金額を納めるために必要な保険料率を毎年
設定する仕組みになってございます。その仕組みは細かくご説明しませ
んけれども、一応参考までに資料の６ページについてございます。これ
を参照いただければと思います。
　それで、平成17年度の介護保険料率につきましては12.5‰ということ
でございまして、16年度11.1‰でございましたので、1.4‰上昇するとい
うことでございます。これは、既に２月に告示を行っておりまして、17
年３月分の保険料から適用されるということでございます。
　次に、もう１枚おめくりいただきまして、４ページ目でございます。
こちらは、医療分につきまして、平成15年度の決算、それから平成16年
度の現時点での見込み、それから17年度の予算案について横並びで見ら
れる資料をつくってみたということでございます。
　まず、特筆すべき点といたしましては、下の基礎計数の被保険者数を
ごらんいただければと思いますけれども、これまで景気の状況等を反映
いたしまして、被保険者数は数年間減少し続けていたわけでございます
が、平成16年度に入りまして、これが下げ止まったと申しますか、反転
して増加をしているという状況でございます。そういう状況でございま
すので、17年度についても引き続き増加するだろうという見込みで予算
案をつくったということでございます。
　それから、その下の平均標準報酬月額でございますが、こちらの方は
引き続き下がっておりますけれども、下がり幅ということに関していう
と、ちょっと緩和してきたのかなという状況でございます。これらの基
礎計数につきましては、実は11ページ目と12ページ目に直近の数字の動
向を参考資料としてつけさせていただいております。
　11ページ目をごらんいただければと思いますが、11ページ目、中段ほ
どに実線のグラフがございますが、これが現時点で把握できている平成
16年度、一番直近の数字でございます。それで、一番上の点線が14年度、
下の点線が15年度という部分でございますが、被保険者数についていい
ますと、16年年度を月ごとに見ていっても、着実に15年度の分よりも増
加しておる。しかも、その増加幅が徐々に拡大しておるということで、
堅調に増加してきているという状況でございます。
　これに対しまして、もう１枚おめくりいただきまして、こちらが平均
標準報酬月額の月ごとの推移ということでございますが、こちらは直近
の平成16年度の実績が実線で示されておりますが、一番下に来ておりま
して、相変わらず下がり続けておるということでございますが、下がり
幅についていいますと、ちなみに一番左端の３月の数字を見ていただき
ますと、14年から15年にかけては3,000円程度下がっておるわけでござい
ますが、15年から16年にかけては約2,000円の下げ幅ということでござい
ます。これが３月の数字ということでございますが、もう少し視線を右
の方に移していただきまして、9月の数字を見ていただきますと、15年度
との対比でいきますと、16年度、下げ幅が1,000円程度になっているとい
うことで、下げ幅自体は小さくなってきているという、そういう状況で
ございます。
　それから、また４ページ目に戻っていただきたいと思いますが、この
４ページ目を見ていただきますと、単年度収支差という行がございまし
て、15年度から16年度にかけて、16年度の方が単年度収支差で黒字幅も
大きいわけでございます。
　通常、今の医療保険を取り巻く環境を考えますと、賃金の上昇率が医
療費の上昇率に追いついていないということですので、基本的には年々
苦しくなるはずでございまして、なぜこういうふうになるかという疑問
がわくところでございますが、これにつきましては、実は老人保険拠出
金と退職給付拠出金というものがございますが、これは毎年毎年その保
険料として収める金額は概算で、要するに見込みで立てておるわけでご
ざいますが、当然その見込みは多少狂うことがございまして、それを２
年後に精算するということをやっております。
　15年度についていいますと、この２年後精算、要するに13年度分の精
算が、これは追加的に拠出しなければならない、そういう状況だったの
に対しまして、16年度についていいますと、ある意味で14年度は多少払
い過ぎていたということで、16年度に納める拠出金が多少減らされると
いうような状況でございまして、こういったことの影響で単年度収支差
の幅が15年度と16年度、いわゆる実力ベースで見たときと比べて、その
幅の具合が逆転しておるということでございます。
　したがいまして、実力ベースで見れば、当然15年度の方が16年度より
も収支の状況がよかったということですが、見た目このような形になっ
ているということでございます。
　それから、１枚めくっていただきまして、5ページ目でございますが、
介護保険料率の分析ということでございます。これは、先ほど申し上げ
ましたように、介護保険の保険料率につきましては毎年改定しておるわ
けでございますが、ことしについてはなぜ12.5％になるかということを
説明する資料でございます。
　それで、一番上の当年度概算額分の料率というもの、これが単純にこ
とし納めるべき、介護納付金を納めるための保険料率ということでござ
いますが、介護納付金につきましても、先ほど申し上げました２年後精
算というものがございますので、その影響で0.5％上積みしないといけな
い。ただし、前年度末の資金残がある程度ありますので、その分0.3％に
下がるということで、トータルとして12.5％になる。こういう計算で、
ことしの介護保険料率は計算されているということでございます。
　６ページ目は、先ほど申し上げましたように、基本的な介護保険料率
決定の仕組みということでございますので、説明は省略させていただき
たいと思います。
　続きまして、７ページ目、平成17年度保健福祉事業関係予算案という
ことでございまして、保険給付のような事務的な経費以外の保健福祉事
業について、その主な項目についての予算確保の状況についてご説明さ
せていただきたいと思います。
　まず、７ページ目にございます生活習慣病予防健診事業でございます
が、そこに書いてあるとおりでございますけれども、乳がん検診に乳房
エックス線検査を導入する等検査内容を充実するとともに健診単価の引
き下げを行うことにより健診予算を縮減しつつ、実施者数を拡大する等
の措置を講じておるということでございます。
　参考のところでございますけれども、乳がん検診、これはいわゆる、
今申し上げましたが、マンモグラフィーというものを導入するというこ
とと、それから実施対象者の年齢の見直し、それから実施頻度の見直し
ということを行う予定でございます。
　２番目の子宮がん検診、これも対象年齢、それから実施の頻度を見直
す予定でございます。この見直しにつきましては、これは老健事業の健
診等の並びということでございまして、労働保険制度のサイドで、がん
検診に関する検討会というものがございます。その中間報告で、乳がん
の検診と子宮がんの検診についてはこのようなこととすべきというよう
なお話でございましたので、それに従いまして政管健保の健診でも見直
しを行うということでございます。
　参考の③番ですが、健診単価の引き下げ。これは一番下の注にござい
ますように、乳がん・子宮がん検診、フォローアップ健診を含む健診の
単価ということでございますが、このような形で引き下げております。
引き下げの方法としては、診療報酬におきます健診にかかる単価の下げ
幅等を勘案しまして、引き下げをやっておるということでございます。
　したがいまして、予算全体としては、表にございますように3.9％減っ
ておりますが、実施者数については13万5,000人増加すると、こういう見
込みを立てているところでございます。
　以上が、７ページでございます。
　続きまして、8ページ目でございます。これは参考までに私ども保健事
業といたしましては、今申し上げました生活習慣病予防健診が中心的な
事業ではございますけれども、それだけをやっているわけではございま
せんので、全体図を見ていただくために、その参考までにおつけした資
料でございます。
　今ご説明したものが、右側の生活習慣病予防健診ということでござい
ますが、健診をやったらやりっ放しということではなくて、それに基づ
く事後診療、それから１次予防を中心とした健康づくり事業、こういっ
たものにつなげていくというような事業をやっております。
　それから、左下の方でございますが、健康教育、健康相談、こういっ
た事業を実施しておるということでございます。
　こういった各種の保健事業につきましては、各都道府県に社会保険健
康づくり事業推進協議会というものを構成していただいておりまして、
構成員としては、そこにございますように学識経験者でございますとか、
被保険者代表、事業主代表、保健医療関係者等、こういった方々で構成
いただいておりますが、この協議会のご意見を伺って、各中央社会保険
事務局の方で計画を策定しながらやっておるということでございます。
　それから、これは今後の話ということでございますが、今、都道府県
ごとに保険者協議会という保険者の連合体、こういうものが立ち上がり
つつあるという状況でございまして、今後は、例えば都道府県ごとの医
療費の調査分析でございますとか、各種イベント、例えばウォーキング
大会、こういったものの開催を保険者協議会と共催という形でやってい
こうと、そういう方向で取り組んでおるところでございます。
　以上、８ページ目でございます。
　それから９ページ目でございます。高額医療費貸付事業及び出産費貸
付事業ということでございます。これは、事業の趣旨といたしましては、
自己負担が高額に及んだ場合の高額医療費、それから出産時の出産育児
一時金、こういったものが実はすぐに支給されるというわけではござい
ませんので、支給されるまでの間、その給付額の80％相当額の貸し付け
を無利子で行う。こういう事業をやっております。
　それで、国で直接貸付事業を行うわけにいかないものですから、全国
社会保険協会連合会というところに事務を委託しておるということでご
ざいます。
　したがいまして、事業自体は一定の資金プール、原資、これを回転さ
せる。要するに、貸しては返していただくということで事業をやってお
りまして、毎年の予算につきましては原資の積み増し部分と、それから
事務費というもので構成されておるということでございます。その予算
額が、平成17年度におきましては、高額医療費貸付事業は５億7,300万、
出産費貸付事業については２億5,000万ということになってございます。
　それで、事業の実施状況ですが、下の参考にございますけれども、17
年度につきましては、原資のトータルは約52億円ということで、これを
回転させて事業をやっていこうということでございます。今年度の原資
の追加額、いわゆる積み増し部分については１億4,500万ということでご
ざいます。それで、貸付件数10.5万件を見込んでおりまして、１件当た
りの平均17万3,000円ぐらいだろうということで、これを掛け合わせます
と約180億円ということでございますので、52億円の原資を回転させて、
延べ180億円を貸し付けると。こういった形で事業をやっていくというこ
とでございます。基本的な構造は出産費でも同じでございます。
　以上が９ページ目でございます。
　次に、10ページ目でございます。これは、前回のこの懇談会におきま
して、私ども毎年の予算あるいは決算で、支出のところで「その他」と
いうものを計上させていただいておるわけでございますが、この内訳を
もう少しきちんと説明するべきではないかということで、宿題をいただ
いておりました。これに従いまして、今回その資料を出させていただい
たということでございます。
　それで、表ですが、一番右側、平成17年度でございます。予算額とし
ては、トータルで1,020億円ということで組んでおりますが、まずその内
訳でございます。一番上に適用・徴収・給付にかかる事務費というもの
がございまして、これがいわゆる特例措置によるものということでござ
います。
　事務費については、基本的には一般財源というか、一般会計から負担
するのが基本でございますけれども、国の厳しい財政状況にかんがみま
して、引き続き事業費の一部を保険料で賄うという特例措置を継続する
ことになっております。この分が169億円ということでございます。
　その他、基本的には保健事業費ということで、その大部分を占めます
のが、先ほど申し上げました生活習慣病予防健診ということで、490億。
先ほどの数字とちょっと違いますが、これは事後指導分も含んだ数字と
いうことで、このような形になっております。
　それから、金額の大きなところでは、いわゆるレセプト点検124億円、
それから社会保険オンラインシステムの経費。オンラインシステムは年
金と共通でございますので、そのうちの政管健保として負担する分とい
うことで106億円。それから医療費通知14億円、健康管理指導講座の開催
等17億円、こういった形になっております。
　それから、その下にございます福祉施設事業費（社会保険病院の整備
等）ということでございますが、これにつきましては、もう基本的には
保険料を使って整備を行わないという原則となっておりまして、今年度
については16億円ということでございます。
　1,020億円の内訳としては、今のとおりでございます。
　以下は参考資料でございます。11ページ目と12ページ目は先ほどご説
明をいたしましたので、13ページ目に飛んでいただきまして、これは政
管健保としてお支払いしております診療報酬の推移ということでござい
まして、いわゆる患者負担分を除いた給付費ベースの数字を月ごとに見
ていくと、こういうふうになっておるということでございます。
　まず、一番上の点線が14年度分でございますが、ご承知のとおり15年
４月から、被保険者、ご本人の３割負担というものを導入しております
ので、当然その給付費ベースということになりますと、給付率でいえば
落ちるということになりますので、14年度から15年度にかけては大きな
減少があったということでございますが、これは制度改正が行われまし
たので、ある意味当然ということでございます。
　それで15年度、16年度につきましては、これは月ごとに見ていくとで
こぼこがございますが、基本的にはあまり伸びていないという状況にな
っております。先ほど申し上げましたように、16年度、17年度の単年度
収支差が概算要求時点より多少改善しておるのは、こういったことが要
因になっているということでございます。
　それから最後、14ページ目でございますけれども、これは健康保険料
の月別収納率の推移ということでございまして、ただ毎月の保険料率そ
れぞれの収納率ということではなくて、年度当初からの累積の保険料率
をその月その月の時点で見ておるということでございまして、年度末に
向けてどれくらい強化するといったこともございますので、最終的には
政管健保の保険料率については97％から98％にかけての数字ということ
になっておるわけでございます。
　とりあえず、資料の説明としては以上でございます。

○中西座長代理
　ありがとうございました。
　それでは、ただいまの平成17年度予算案に関する説明につきまして、
ご意見ご質問等ございましたら、お願い申し上げます。
　なお、御発言の際には、お手元のマイクをお使い下さい。
○龍井委員
　質問です。

○中西座長代理
　はい、どうぞ。

○龍井委員
　先に幾つか質問させていただきたいと思うんですが、資料７ページの
健康福祉事業関係ですが、単価の引き下げをして、対象人数、実施者数
が拡大したというご報告ですが、これをどう評価したらいいかと。端的
に言って、十分か不十分かということですが、そのために実施状況とい
うか、実施割合といいますか、分母をどう取るかというのもあるのでし
ょうけれども、家族も含めて実施割合はどのくらいか。
　特に、零細企業の方は大分ご苦労されていると思うので、例えばこの
福祉事業ではないけれども、健診事業を別にやっているのかどうかとい
うことも含めて、ある程度実態を見ないと、前年度の比較で増えた・減
ったということでは、ちょっと評価ができないのではないか。つまり、
そういう把握をされているかというのが２点目です。
　それから、この中身ですが、一般健診で１万8,000円、まあ本人負担も
また増えつつあるのかもしれないのですが、このぐらいの金額でどの程
度の健診内容なのか、細かな項目を教えていただきたい。どんな健診項
目がカバーされているのか、それが十分なのかどうなのかということで
す。
　さらに、先ほどの10ページの資料では、事業費の引き下げが続いてい
るんですけれども、それがこの健診内容に影響を与えているのかどうな
のかちょっと心配になりますので、その点はどういうことになるんでし
ょうか。
　それからもう一つは、８ページですが、私もこの図を見るまでは、あ
まり推進協議会とか保険者協議会という実態がよくわからなかったので
すが、左側の保険者協議会の方でいうと、今どの程度設置をされていて、
この協議会の事務局というんでしょうか、どういうところが運営主体に
なっていて、予算措置はどのようなベースがあるのでしょうか。
　それから、真ん中の四角の箱にあります、推進協議会からの意見聴取
をした上で、事業計画の策定及び実施と書いてあるのですが、この計画
というのがどの程度、限られた計画と予算の枠内だとしても、ある程度
裁量権というものが発揮できるものなのかどうなのか。それで、これ承
認もされているわけなので、そうした計画の中身について、保険庁とし
て内容をどの程度把握されているのか。

○中西座長代理
　五つほどご質問があったかと思いますが、事務局の方から……。

○紀陸委員
　ちょっとよろしいですか。今、龍井さんのご質問いただいた予防の件
に関して、ちょっと関連しますので、１点ほど。
　予算で400億円という非常に大きな予防にかかるお金が計上されておる
んですけれども、予防健診というのは、私ども、やはり給付費の増を抑
える効果があるかどうかが非常に重要だと思っています。一般的にお金
を使う場合、成果･効果がどうかということは特に問題になります。こう
いうような予防をしたがゆえに、これだけ医療費の支出の面で改善があ
ったという、効果の把握が重要だと思います。Ｐ－Ｄ－Ｃ－Ａが経営原
則ですから、そういう意味で、予防健診を行うことによって、どういう
ような病気を防ぐ効果が出ているのか。そういった数字的な把握、デー
タが出ているのかどうか、その点もあわせてお聞かせいただければあり
がたいんですが。

○中西座長代理
　それでは、ただいまの紀陸委員のご質問もあわせて、事務局の方から
ご答弁いただければと思います。

○医療保険課竹林補佐
　それでは、事務方の方からまずお答えできる点から順々にお答えした
いと思います。
　まず、健診の項目でございますが、単価を引き下げることによって、
内容が縮小したりすることがあるかというご質問でございますが、これ
については、基本的に診療報酬上の健診項目の単価引き下げを勘案して、
健診単価の引き下げということでございますので、特に特定の検査項目
を削るとか、そういったことによって引き下げをするというようなこと
は、これまでやってきていないということでございます。
　それで、検査項目がそもそも十分なものなのかというこでございます
けれども、何をもって「これで十分でございます」と言うかというのは
なかなか難しいことがございますが、ちなみにどういう検査項目がある
かということを大まかに申し上げますと、視力・聴力とかいう基本的な
ものは当然でございますけれども、脂質、例えば総コレステロールでご
ざいますとか中性脂肪、こういったものの検査。それから肝機能検査、
ＧＯＴ、ＧＰＴ、こういったものの検査とか、それから血液検査でござ
いまして、赤血球の数と白血球の数、こういったものを検査する。それ
から尿、腎機能検査ということで、尿たんぱくでございますとか潜血、
こういったものを検査するということ。それから心機能検査、心電図だ
とかいうもの。それから肺、胸部エックス線検査。それから胃のエック
ス線の検査もやっておりますし、がんについても、これは子宮がんとか
乳がんについては、これは希望に基づき選択できるということでござい
ますし、大腸がんの検査、こういったものがございます。
　今申し上げましたのは一般の健診の項目でございますが、付加的な健
診というものもございますので、そういうものを加えますとさらに範囲
が広がるということでございます。

○菅野給付指導班長　　
　保険者協議会に関しましてご質問いただいた件でございますが、お答
えさせていただきます。
　まず、保険者協議会につきましては、２月末現在で私どもが、といい
ますのは、これ保健局の方が主体で動いております関係上、ちょっと正
確なことは把握しきれておりませんけれども、２月末現在で、新潟、滋
賀、宮崎の３県で設置済みというふうに伺っております。事務局につき
ましては、今のところ、各都道府県の国民健康保険連合会が事務局を行
うということで進んでおるようでございます。
　それから、予算措置につきましては、この保険者協議会にそれぞれ各
保険者が参加をして、それぞれの負担をするということで、例えば先ほ
ど言いました医療費の調査分析ですとか、あるいはヘルスコーディネー
ターとか、そういった健康管理のリーダーとなる人の養成事業の経緯で
すとか、そういうものがございまして、ちょっと全体の予算は把握して
おりませんけれども、一応政管健保としては17年度で１億4,600万円余り
を計上させいただいております。
　それから、社会保険健康づくり推進協議会につきましてのご質問でご
ざいますが、先ほど委員のご指摘があった中で一部ございましたように、
実質的には、具体的に予算をこれぐらいというふうに与えておりません
ので、具体的な、どこまでやるかということについては、最終的には私
ども社会保険庁の方に協議をいただいて、承認をするという形にしてお
ります。
　まだ具体的に、一応15年度から全県に設置はしておるんでございます
けれども、正直申しまして、今のところはまだ、今まで都道府県の地域
政管事業として、どういうことをやってきたかということの報告という
のが中心になっておりまして、正直こういう形でしっかり意見をお聞き
してやっていくというのは、十分にできていない部分かもしれませんけ
れども、今後そういうことでやっていきたいと。予算的にも、できる予
算の枠はあるんですけれども、そういう中でできるだけ配慮はしてまい
りたいというふうに考えております。
　以上でございます。

○武田医療保険課長
　今ご報告させていただいたことに加えまして、評価についてのご質問
がお二人の委員から出ているというふうに認識しておりますが、政管で
行っていく健診事業の効果が、特に医療費との関係でどうかということ
でございますが、私ども、この健診のデータにつきましては、受付事務
と事後指導を委託しております健康事業財団というところにデータが保
管されております。このデータを用いて、どのような効果があったか測
定できないかというご質問で、一つは健康事業財団の方で、この事後指
導の効果について評価を行ったものがございます。それから、私どもの
方で健診データ、医療費データを使いまして、医療経済研究機構に今委
託調査をお願いしているところでございまして、このような研究結果に
つきまして、後ほど、次の機会にでもご提供させていただきたいと思い
ます。
　事後指導につきましては、個別に保健師が健診結果を踏まえて指導を
するということで、より効果が出やすいものではないかと思いますが、
健診だけでどのような効果があるということは、政管に限らずいろいろ
な医療保険者がやっていますが、はっきり、なかなか数字として効果が
出にくいものではないかと。これは、やはり中長期的にかなり長いトレ
ンドで見なければなかなか難しいことだと思いますので、はっきりした
成果はなかなか出にくいとは思いますが、研究委託をしておりますので、
途中段階のものでありましても、機会をつくりまして、概要報告をさせ
ていただければと。この場にご報告をさせていただければというふうに
思います。
　それから、健診内容につきまして、単価的に見て、また総額から見て、
予算を削っている状況で内容の担保ができているのかというようなご指
摘もあったと思いますが、資料の中でもご説明いたしましたが、健診項
目自体、削減ということではなくて、時代に応じた見直しをするという
ことで、老人保健事業の見直しに合わせまして、健診項目の一部入れか
えを行ったりしております。必要とされている健診ニーズを満たすよう
な形の健診に今後ともキャッチアップをしていきたいというふうに思っ
ております。
　それから、推進協議会その他の関係で、私ども医療保険課としての関
与、それから地域での社会保険事務局での計画づくりについてのご質問
ということで、一部お答えさせていただきましたが、私ども基本的には、
政府管掌健康保険、都道府県ごとに運営をしていったらどうかという提
案を、医療改革の中でいただいておりますので、保健事業につきまして
も、先ほど問題になりました健診の効果につきましても、やはり地域で
疾病特性が違う可能性もございますので、その地域ごとにどのようなニ
ーズがあるのかを分析をし、地域で自ら計画を立てていくという形に移
行していくのが、運営としては望ましいのではないかというふうに考え
ておりますので、そういった観点からきょう資料で出させていただきま
したが、事務局主体の計画づくり、それから地域地域の推進協議会での、
保健医療関係者の方々にご意見をいただきながら運営をしていくように、
今後なるべくこの形を進めていきたいというふうに考えている次第でご
ざいます。
　以上です。

○龍井委員
　実施状況把握は、いかがでしょうか。

○医療保険課竹林補佐
　失礼いたしました。まず健診の実施率でございますけれども、お手元
の資料で一番最後の参考資料２というのがございまして、これは今月４
日に開催されました社会保障審議会医療保険部会の資料でございます。
この資料の中に、参考として６ページ目に都道府県別の受診率というも
のが掲載されております。これは平成13年度から15年度の状況でござい
ますが、ここの表の下の方に注がございますけれども、受診率の数字と
いたしましては、分母を40歳以上の被保険者の数、それから分子の方を
健診を実際に受診された方の数ということでございまして、全国的に見
ていきますと、大体30％前後ということでございます。
　受診状況の資料としては、このようなものを今のところ把握しておる
ということでございます。

○中西座長代理
　よろしゅうございますか。

○龍井委員
　わかりました。だとすれば、だからこの数字をどう評価するかという
ことになると思うんですね、データがあるとすれば。それで、紀陸委員
が言われたように医療費適正化という問題と、それからまさに政管の健
康事業が予防として、本人にとってどれだけ効果があるか。これも分子
なんていうのは、これ家族は入っていないわけですから。
　それから、多分これは平均値ですから、さっき私が申し上げました零
細企業などの実態まで含んでいった場合に、もっと格段に落ちてくるだ
ろうと思います。実は、そこが一番人数の多いところで、それが全国な
のか地域なのかというのはございますけれども、目標値を設定してでも、
拡充していくべきだと考えています。予算措置が大変厳しい中でも、こ
れはデータとして後ほど解析されるということですけれども、やっぱり
拡充していくべき分野ではないかと思っています。何か目標値を設定し
てでも最低限の機能を果たしていこうというような議論に、どこかで結
びつけていただければと思っております。

○中西座長代理
　ほかにございましょうか。城戸委員。

○城戸委員
　細かい質問ですが、まず確認させて頂きたい。７ページ目の一般健診
というのは、大体老人保健事業の中の健康診断といいますか、それとパ
ラレルでしょうか。次に、付加健診というのは、希望によるものかどう
かということを確認したいというのが１点目です。
　それから、10ページ目にあります、その他の支出の中高年齢者の疾病
予防検査等というものがありますが、これとどう違うのかということが
２点目です。
　それから３点目は、９ページ目にあります高額医療費貸付事業及び出
産費貸付事業の、高額医療費貸付事業ですが、17年度予算案で35.5％と
急減した。この理由は何でしょうか。

○中西座長代理
　それでは、事務局の方からよろしくお願いします。

○医療保険課竹林補佐
　まず、老健事業と健診項目の関係でございますが、基本的にパラレル
でございますけれども、一部政管健保の健診項目に匹敵するものでござ
います。
　それで、付加健診でございますけれども、付加健診については希望さ
れる方ということでございますが、一般健診を受診される方の中で、40
歳または50歳の方の中で希望される方について実施するというような関
係になってございます。
　それから、10ページ目のその他支出の中高年齢者の疾病予防検査等と
いうことですが、これは、すみません、書き方が違うんですが、物は同
じでございまして、この490億円という数字は、７ページ目の生活習慣病
予防健診事業の予算に、事後指導の予算、こういったものを加えた、も
うちょっとトータルな見方をした予算の額を計上しておるということで
ございますので、基本的には同じものということでございます。
　次は、高額医療貸付事業でございますが、ご質問の趣旨でございます
けれども、これはひとえに健診追加額をどう考えるかということでござ
いますけれども、これは直近の状況を踏まえまして、大体トータルで述
べどれぐらいの貸付金額が必要かということから、どのくらいを積み増
す必要があるかということを計算するということでございます。
　ちなみに、参考のところで15年度を見ていきますと、非常に大きな原
資の追加額がございます。数字にして2,467、単位は100万円でございま
すので、25億円もの積み増しを取るわけでございますが、このときは、
15年４月に被保険者ご本人の自己負担率が２割から３割になったという
ことで、当然高額医療費が多く出て行くだろうということで、原資を積
み増す必要があると判断をしたわけでございますが、件数の伸び率が多
少落ち着いてきたという実績を踏まえまして、今年度については１億
4,500万の積み増しで大丈夫だろうという判断をしておるということでご
ざいます。
　ちなみに、これに事務費が加えられて全体の予算を構成するわけでご
ざいますが、事務費につきましては、財政状況が厳しいということもあ
りまして、少しずつ縮減をしておるということでございます。こういっ
たことから、全体の予算としては、16年度との対比でいきますと減額に
なっておるということでございます。

○山崎委員
　よろしいですか。

○中西座長代理
　はい、どうぞ。

○山崎委員
　ちょっとお聞きします。2003年に、ここにありますように8.2％に料率
が上がって、自己負担の割合も３割負担となったんですが、景気の状況
も依然として悪い状況が続き、給料も上がらず、企業のリストラもある
など厳しいなかで、適正な財源を得るためには、将来再引き上げをしな
ければならないだろうという懸念もあったと思うんです。今４ページの
ご説明を聞きますと、また表を見ますと、かなりいいような状況に来て
いるような感じがするんですけれども、経営者側からすると、保険料の
支払い負担が増えていく状況があります。このままいくと、この安定資
金残高が大分増えるのではないかと予想されるんですけれども、安定資
金の適正な額といいますか、料率の値上げ・値下げを図る上での目安に
なる額というのは、どの位を見込んでいるんでしょうか。

○中西座長代理
　どうぞ。

○医療保険課竹林補佐
　今のご質問ですけれども、政管健保につきましては、基本的に保険料
を設定する際に、おおむね５年間、財政が均衡するようにということで、
保険料率を設定するということになっております。それで、平成15年度
に新しく82％という保険料率が設定されましたので、基本的には19年度
までこの保険料率で何とかやっていけるという保険料率を設定するとい
うことでございますが、この発想でいきますと、資金難だから、毎年幾
らなければならないということではなくて、５年先まで何とか持つとい
うことであれば、その保険料率としては今の制度の中では適正だという
ことであります。
　ちなみに、前回の運営懇談会で５年収支というものを出させていただ
きまして、何とか平成19年度までは財政が均衡するということでござい
ますので、とりあえず平成15年度の保険料率の設定につきましては、ほ
ぼその制度の趣旨を踏まえたような水準になっているものと考えてござ
います。
　以上でございます。

○中西座長代理
　吉田委員、どうぞ。

○吉田委員
　二つお伺いしたいと思いますけど、一つ目は、先ほど医療保険課長さ
んより、健診は政管健保に限らずやっているというご発言がございまし
たけれども、今把握していらっしゃるのは、一般にどれくらい健診をや
っている種類があるのか。ちょっと聞き方が悪いですけれども、例えば
厚生労働省が事業者に対して労働安全衛生法にもとづき課しているもの
とか、それから政管健保のかわりに、例えば私どもなどでは区役所から
通知が来る節目健診とか。何種類かあると思うんですが、私十分に勉強
していないんで、ひとつ、どういう種類があって、幾つぐらいあるかと
いうことをお聞かせいただきたいと思います。それが一つです。
　それから、第２の質問は、先ほどご説明がございました参考資料２の
６ページの数字で、予防健診の受診者が全国平均でほぼ３割という数字
をお示しいただいたんですけれども、私、非常にこの数字が高いんで驚
いたんですが、どうやってこれを計算されたのか。全国で計算されるの
は大変なことだと思うんですけれども、どういうふうにやられたのか。
例えば１年間に１人が受けたら、それで１としていると、１被保険者が
１回受ければ１でしょうけれども、これを例えば政管健保では年間に何
回やっておられて、それを１回でも受けたらなのかというような今の仕
組み、そしてそれが30％というのはどういう計算で把握していらっしゃ
るのか。
　ちなみに、私ども小さな企業で政管健保に入っておりますが、工場で
も東京の本社でも政管健保の健診を受けている者はあまりいないようで
す。
　今、会社で近所の医者で受けている健診も一人18,000円程度かと思い
ますが、国からの補助で安く受診できるのでしたら、先ほどお話を聞い
たところでは検査アイテムもほとんど同じようですから、労働安全衛生
法で義務付けられている健診をこれで受けさせていただいた方がいいか
と思うのですが。そういうＰＲはどのようにしていらっしゃるのかとい
うことをお聞かせいただきたいと思います。

○中西座長代理
　では、２点についてお願いします。

○医療保険課竹林補佐
　まず、健診につきまして、どういう種類の健診が、世の中にと申しま
すか、制度上あるかということでございますが、まず老人保健法という
法律がございまして、この実施主体は市町村であるわけでございますが、
ここにおきまして老後における健康の保持ということを目的にいたしま
して、対象者としては、その市町村の区域内に住んでおられる40歳以上
の方に対して、その健診事業をやるということでございます。まず、こ
ういうものがございます。
　それから、労働安全衛生法という法律がございまして、これの目的と
しては労働者の健康管理、それから作業環境の管理といったことを目的
にしまして、健診を行っているものがございます。この制度につきまし
ては、費用の負担は、原則事業主の方で全部負担いただくと、こういう
仕組みになっております。
　その他、医療保険による保健事業の中で、それぞれ制度ごとに健診を
やっておりますが、もちろんいわゆる組合管掌健康保険、あるいは国民
健康保険、それから私ども政府管掌健康保険ということで、これは努力
義務ということになっておるわけでございますけれども、それぞれの取
り組みとして健診事業をやっておるということでございます。
　それから、参考資料２の６ページ目の受診率の計算方法ということで
ございますが、その表の右下にございますように、受診率の定義として
は、４０歳以上の被保険者数、これは当然、何人おられるかというのを
把握しておりますので、これを分母にいたしまして、それとの対比で健
診の受診者が何人おられるかということを計算しておるということでご
ざいます。当然、お１人につき年間に１回しか受けられませんので、そ
れをカウントしておるということでございます。

○菅野給付指導班長
　あと、ＰＲということでご質問いただきました件でございますが、毎
年度、前年度の末、例えば来年度、今の時期でございましたら、17年度
の健診申し込みに関しましては、今月末ぐらいに各政府管掌健康保険に
加入されている事業所あてに、35歳以上の対象者のリストを送付してお
ります。このリストが申込書と兼用になっておりますので、それに希望
される方は表示していただいて送り返していただくということで、対象
者の方に対するＰＲというか、お知らせはしているという状況でござい
ます。

○中西座長代理
　どうぞ、吉田委員。

○吉田委員
　大変ありがとうございました。よくわかりました。
　最後に私の方から、一つお願いがございます。
　今ご説明がございましたように、労働安全衛生法、その他医療保険、
国民健康保険とか政管健保とかいろいろ制度毎に健診があるようでござ
いますが、制度毎ではなく、特に厚生労働省は二つの省庁が一つになっ
たわけでございますし、なるべくこういうものを合理化して一つのもの
としてまとめていくようなご努力をお願いしたいと思います。
　といいますのも、私どもは労働安全衛生法による健診を一般の医者で
受診していますが、政管健保が事業の一環として推し進める健診と内容
がほとんど同じでございますので、工場などで有害な業務に従事してい
る労働者に対する特別な健診とか、そういうものは別としまして、内容
が一緒でございますから、日本の健診を一本化してもらえたらと思いま
す。
　以上であります。

○中西座長代理
　では、紀陸委員、どうぞ。

○紀陸委員
　介護保険の料率の問題でございますが、11.1‰から12.5‰に上げられ
たということになったんですけれども、やはりこの料率については、法
律できちんと上限・下限を決めるべきだと思っています。大臣の告示で
決まりました、だからよろしくという感じではすまないと思うのです。
　５ページに、最終的な料率の数字が、15年度、16年度、17年度と書い
てありますけど、一般の方々には、何でこういう料率だというのは十分
にわからないと思いますので、やはりこういうのはきちんとした仕組み
をもう一度定めておくことをお願いしたいと思っています。これは私の
意見でございます。

○中西座長代理
　何か事務局はコメントございますか。

○武田医療保険課長
　私どもとしては、現行制度のもとで、介護保険法施行のときに上下限
の議論もあり、上下限を外した形で、なおかつ、保険者としては割り振
られた費用を自動的に計算してお支払いする仕組みということで制度が
仕組まれておるんですが、今いただいたご意見は制度担当部局にも伝え
ておきたいというふうに思います。

○中西座長代理
　城戸委員、何か。

○城戸委員
　二つございます。一つはそれほど多額ではないのですが、10ページに
ありますその他支出の予算額の適用・徴収・給付に係る事務費。これは、
現在一般財源ではなくて、社会保険料で賄われています。年金保険の場
合も同じで、それについて批判があります。社会保険は、元来、国の制
度としてつくられていますから、組合管掌健康保険のような自律的な健
康保険制度であっても、出発点では事務費だけに国庫補助をつけていま
したね。
　そうした観点からすると、財務省がなぜ社会保険料で事務費を賄えと
言っているのか、その理論的根拠は何だろうかという疑問です。
　二つ目は、要望ですが、これから政府管掌健康保険が都道府県別に分
割されてゆきます。現在の制度では国に中央社会保険医療協議会があり、
それから都道府県別に社会保険医療協議会があります。今後、この都道
府県別社会保険医療協議会に、例えば診療報酬、その地域での診療報酬
の額を決めるとか、もう少し権限を下ろしていったらいいのではないか
という気がしています。
　医療提供体制も都道府県単位で保健医療計画をつくるという話もあり
ますし、そういう意見を社会保障審議会の医療保険部会に伝えていただ
けないでしょうか。

○中西座長代理
　制度論にかかわる話ですが、事務局の方から何かコメントがございま
したら。

○山田適用徴収対策室長
　まず事務費の関係ですけれども、なぜ保険料からという、財務省の考
え方ですが、平成10年度から財革法という法律に基づいて、年金の方の
話ですけれども、国の財政事情が非常に厳しいということで、６年間、
年金の関係で保険料から一部出してほしいということになっていまして、
16年度、17年度、これは単年度ということですけれども、特例措置とい
うことで、どういう理論的根拠かというのは、もともとは財政事情が厳
しいということからですけれども、その一部の考え方としては、もとも
と保険といいますと、民間の生命保険ですとか、あるいは国の関与する
さまざまな雇用保険とかそういったものもありますけれども、保険料か
ら出すというような考え方もありまして、財政事情が厳しいということ
がベースにあるわけですが、保険料から一部お願いしたいということで
特例的にやってきているということがございますので、今後またどうす
るかということは、国の財政事情ですとか、あるいは根本的に、そもそ
も保険なんで、保険料から事務費を出して自己完結をしていくというこ
ともあるのではないかというようなことも言われていますので、これは
社会保険庁全体をどうしていくかというようなことをよく見て考えてい
かなければいけないということになっております。

○武田医療保険課長
　都道府県単位の財政運用ということが、今、医療保険部会で審議の対
象になっておりまして、政管健保については、都道府県単位の財政運営
を進めていくべきではないかという方向で議論が進んでいるのはご案内
のとおりだと思いますが、その中で、診療報酬の決定方式につきまして、
現在は中央社会保険医療協議会で決定をして、大臣の告示で全国に適用
するという形になっているわけでございますが、これについて、地域別
の診療報酬ということが考えられないのかというようなことにつきまし
ては、恐らく、ちょっと記憶が定かではありませんが、例えば全国知事
会のようなところで、仮に都道府県が権限を負うのであればという話の
中で出たような記憶がないわけではない……ちょっと自信がありません
けれども。ただし、制度的には非常に難しい面が多々ございます。
　保険医療機関の指定という行為は、厚生労働大臣の指定によりまして、
全国どこの被保険者も指定された保険医療機関にかかれるという、その
指定のところでは全国ベースにもなっていますので、費用の部分を都道
府県ごとに決めていいのかどうか。かなり制度論的には、非常に深い議
論を要するテーマではないかというふうに思いますが、いずれにしても
保険局の今後の議論にそういう点が入るかどうか、私どもは詳細にはち
ょっと承知をしておりませんけれども、きょうの議論についてはお伝え
することにさせていただきたいと思っています。

○城戸委員
　山田室長に申し上げたいのですが、民間保険というのは任意加入です
ね。社会保険の場合には全員加入ですから、全然性格が違う。先ほど健
康保険組合を例に出しましたように、自律的な機関であっても、国庫補
助がついていました。何故かというと、国の法律に基づいた公の制度だ
からではないでしょうか。
　社会保険である以上、事務費は国がつけるというところで出発したの
に、特例措置でしばらくの間というなら理解できますが、何でそれを受
け入れ続けなければならないかというのがよくわかりません。

○山田適用徴収対策室長
　私どもも、もちろん喜んで受け入れているということは全くございま
せんで、これは当然財政当局と厳しくお話をさせていただいて、もちろ
ん国庫負担というか、税金でというのが望ましいというか、それが本来
の姿だというふうに思ってやっているわけですが、そうは言っても非常
に厳しいというようなことで、財務省からお願いというか、そういう形
で特例的にされているということがございます。
　それから、保険、国が関与しているものにいろいろな制度がございま
して、一部いろいろな制度がある中で、保険料から事務費を出している
というような制度もございまして、どこが違うんだと。いろいろな制度
の成り立ちとかいったこともございますので、その辺はよく考えていか
ないといけないんですが、この医療保険の世界でも、当初、やはり制度
が定着していかなければいけないというようなところで出てきたもので
はないかと。これは、財政当局の考え方というか、言い分でもあるんで
すが、ここまで定着してきますと、保険として保険料の中から事務費を
出すという考え方も一つはあるんではないかと。諸外国の例なんかを見
ましても、必ずしも別に国が全部出しているというわけでもないのでは
ないかとか、いろいろな議論がございまして、その辺はよく今後も財政
当局とも議論していかなければいけないというふうに思っております。

○武田医療保険課長
　ちょっとよろしいですか。懇談会という場に免じていただいて、個人
的感想に近くなりますが、担当課長としてはあまりここで発言しない方
がいいのかもしれませんけれども、事務費につきましては、例えば健保
組合なんかは、やはり社会保険事務費だから国庫でという中で、一定の
定額はいただいていますけれども、実際にはかなりの部分保険料の中か
ら事務費を負担しているのが実態でございます。完全に事務費を国庫補
助ということになりますと、非常に財政当局の発言力が強くなり、いわ
ば我々査定権限の場合、首根っこつかまれたような感じになりましてね。
　恐らくこの懇談会で、例えばこういうことにもっと力を注ぐべきだと、
こういうご意見をいただいて、そこで自律的に決められず、財政当局と
協議をして、やっぱりない袖は振れないといわれて、なかなか実現をし
ないというような、構造的な部分というのがあるのかなと思いました。
我々も可能な限り、事務費は国庫負担であるべきだとは思いますが、一
方でそういう完全国庫負担となった場合に、思うように事業展開できな
いケースがあり得るということも、何となく悩ましさとしてはあるとい
うことをお話しさせていただいた方がいいかなと。よけいなコメントで
すが。

　　　　　（青柳運営部長、入室）

○中西座長代理
　櫻井委員。

○櫻井委員
　いや、医療保険課長が感想を言ったから、私も感想を言わせてもらう
と、要するに今の政府のやり方が、財務省主導で何でも金だ金だという
話になっているから問題があるのです。ついでに言わせてもらうと、先
ほどの健診事業についても、どれだけ医療費が減るのだという話をおっ
しゃったけれども、それは非常にナンセンスだと思っています。問題は、
健診することによって、この場合は、政府管掌籍の被保険者ですが、要
するに国民がどれだけ健康になれるかということが問題なのです。みん
なが健康になって長生きすると、長生き分だけ医療費が増えますから、
健診をやればやるほど医療費は増えるんです。だから、医療費を減らし
たいのだったら、長生きさせないで、健診なんかやらないで、早く病気
にしてしまえばいいわけですけれども、そうではないわけだから、健診
の評価というのは金の問題ではなくて、みんながどれだけ健康になれた
かということを評価することが本来の評価なんです。幾ら医療費が減っ
たかという考え方は、全く今の財務省のやり方と同じことを皆さんが言
っているのはおかしい。これは感想ですから、そう思って聞いていまし
た。

○中西座長代理
　まだ幾つか案件もございますので、とりあえず資料１、予算案の関係
につきましては閉じさせていただきまして、資料２につきまして、引き
続き事務局の方からご説明をお願いいたします。

○医療保険課竹林補佐
　それでは、お手元の資料２の１から４までございますが、基本的には
資料２―１という資料について、中心にご説明をしたいと思います。
　「診療報酬明細書等の改善にかかる取扱要領の主な変更点（案）」と
いうことでございます。いわゆるレセプト開示というものについての取
り扱いについてでございますが、取扱要領と書いてございますが、これ、
私ども今、通知でこういう取り扱いでやりますということを決めておる
わけでございますが、ご承知のとおり、この４月から各種個人情報保護
に関する法律、各種と申し上げましたのは行政機関と民間の機関、それ
から独立行政法人では、適用法律が違うからでございますが、私どもに
関していいますと、行政機関の保有する個人情報保護法、個人情報の保
護に関する法律というものが施行されますので、その趣旨を踏まえて、
必要な見直しをするということでございます。
　それで、基本的な論点につきましては、前回の運営懇談会でも簡単に
説明をさせていただきましたが、今回は主な変更点の案ということで資
料を出させていただいております。
　まず、一つ目の開示請求の取り扱いの整理ということでございます。
まず一つ目の丸でございますが、いわゆるレセプトに記載されている情
報につきましては、法に規定する「保有個人情報」ということでありま
すので、このレセプトに関する開示請求については、これはご本人から
の請求であれば、法に規定する開示請求ということになります。これは、
二つ目の丸と合わせて今説明しておる問題です。
　したがいまして、こういう法に基づく改正として取り扱うという意味
でございますが、これはいわゆる不開示情報、開示すべきでない情報に
該当しない限りは、行政機関として開示の義務がかかるということにな
ってまいります。これは法律で具体的に申し上げますと、第14条という
条文の規定によって、そういう義務がかかるということでございます。
　三つ目の丸でございますが、今申し上げましたのはご本人からの開示
請求ということでございますが、一方、ご遺族の方からの開示が依頼さ
れるということがございまして、今もそれに対して対応しておるわけで
ございますが、法律上は、個人情報というのは、生存する個人に関する
情報ということでございますので、ご遺族からの開示のご依頼につきま
しては、実は法律に基づく開示請求として取り扱うということは、法律
上できませんということでございます。したがいまして、これは法律上
の義務ということでなくて、行政サービスの一環として取り扱うという
ことでございます。
　したがいまして、取り扱いが異なってまいりますので、ご本人様から
の開示請求については「開示請求」という名称で、ご遺族からのご依頼
については「開示依頼」ということで、法定代理人の整理をさせていた
だいておるということでございます。
　次に二つ目、開示請求を行え得る者の範囲ということでございます。
一つ目の丸でございますが、現在はご本人様からの開示請求につきまし
ては、ご本人、それからその法定代理人に加えまして、弁護士の方から
代理請求というものを認めているということでございますが、実は、今
回施行されます行政機関の個人情報保護法によりますと、請求できる主
体はご本人かその法定代理人。法定代理人というのは、具体的には、ご
本人が未成年の方である場合とか、あるいは成年被後見人の場合の法定
代理人ということでありますが、こういう方からのみ請求を認めておる
ということでございますので、今後、これまで認められていました弁護
士による開示請求というのは認められないということになります。
　ただ、なぜこういうことになっているかという一つの理由としては、
三つ目の①番に出てきますが、これまではレセプトの開示請求について
は、社会保険事務所の窓に直接来ていただいてご請求いただくというこ
とになっておったわけですが、今後は郵送による請求もできるというこ
とでございますので、基本的にはご本人から郵送していただければ、そ
れですむ話でございますので、こういった整理になっているという面が
あるということでございます。
　２の二つ目の丸でございますが、ご遺族につきましては、開示を依頼
できる方の範囲として、現行の通知上は、父母、配偶者、子という、こ
の３種類に限定されておるわけでございますが、今後は、これらに準ず
る者として基本的に想定しているのは、祖父母、あるいは孫といった
方々でありますけれども、こういった方々に主体を拡大するということ
を考えておるということでございます。
　次に三つ目でございます。被保険者等からの開示請求の業務処理とい
うことで、これはいわゆる患者ご本人からの請求についてのものでござ
います。
　まず、①番ですが、先ほど申し上げましたとおり、今後は郵送によっ
て請求をいただくことが可能ということでございます。
　二つ目に手数料の徴収でございますが、現在、私どもが行っておりま
すレセプト開示については、何ら手数料をいただいていないわけでござ
いますが、これは、今後はご本人からの請求については、法に基づく開
示請求ということになっておりまして、法律上は手数料を取るというこ
とになっておりますので、法律に従いまして手数料をいただくというこ
とでございます。
　金額についても、１件当たり300円ということが政令で定められており
まして、ただ、これは、私ども情報公開法というものが既にございます
が、その取り扱いにならいまして、一つの行政文書開示について300円と
いうことでございまして、レセプトについては年度ごとに行政文書開示
を構成するという取り扱いになっておりますので、年度単位で300円をい
ただくということになるということで考えております。
　③番でございます。保険医療機関等への照会ということでございます。
これにつきましては、冒頭、いわゆる不開示情報である場合、ものによ
っては不開示の義務がかかるということでございますが、不開示情報に
該当する場合としましては、開示することによって、ご本人に心理的な
影響を与えて、その後の診療、あるいは治療効果等に悪影響が及ぶ恐れ
があるという場合には、開示しないということがあり得るということで
ございますが、開示すべきかどうかということについては、あくまで保
険者として判断するということになっております。
　ただ、現行の通知に関していいますと、これは今でも、要するに治療
上どういう影響があるかということは、なかなか保険者だけで判断でき
ないという部分でございますので、保険医療機関等に照会することにな
っておりますが、今の通知の書きぶりは、「開示の適否について照会す
る」ということになっておりまして、保険医療機関で判断するかのよう
な形になっておりますので、このあたりは法律の趣旨を踏まえまして、
あくまでも保険者が最終的には判断するということでございますので、
開示の適否についての意見を照会するというような形に改めていくとい
うことでございます。
　それから、二つ目の丸でございますが、今後、私ども保険者として主
体的に開示するのか、部分開示なのか、不開示なのかということを判断
していく以上、これまでは、実は保険医療機関にこのあたりのことを照
会するときに、開示か、部分開示か、不開示かということだけをご回答
いただいていたということがございます。
　具体的には、資料の２―２というもので、現況の通知でございますが、
そこの14ページ目にご紹介させていただいているご回答いただく場合の
様式をつけてございますが、見ていただければわかるように、開示の適
否区分ということで、１．開示、２．部分開示、３．不開示と、こうあ
るわけでございまして、なぜ部分開示なのか、なぜ不開示なのかという
のが、今のところは照会することになっていないという部分でございま
すが、今後、行政機関、あるいは保険者として主体的に判断していくた
めには、なぜというところが必要になってまいりますので、その理由は
保険医療機関のほうに明らかにしていただくということが一つ目でござ
います。
　それで、二つ目の丸の後段でございますけれども、開示が可能になる
時期についても記入してもらうように努めるということでございます。
これは、開示か不開示か、その適否を考える際に、例えば典型的にはが
んの告知のようなことかと思いますが、まだ告知はしていません、ただ、
間もなく患者にも告知をしますというようなときに、今すぐには開示さ
れると困るけれども、例えば３カ月後だったら何とかなるかなというよ
うなことがある場合に、それでは３カ月たてば、開示は可能になります
よということが書ける状況であれば、書いていただくということでござ
いまして、ここにその時期を書いていただければ、⑦番にございますよ
うに保険者としては、その時期が書いてあれば、その時期が到来次第レ
セプトを情報的に開示するというような取り扱いを考えておるというこ
とでございます。
　次に、③番の三つ目の丸でございますけれども、これも書いてあるこ
とは、部分開示、または不開示とすることができるのは、レセプトを開
示することによって、患者本人に重大な心理的影響を与え、その後の治
療効果等に悪影響を及ぼす場合に限られる旨を明記するということでご
ざいまして、これが法律の趣旨で、不開示情報以外は開示する義務があ
るということでございますので、それを確認するという意味で、こうい
うことをしっかり書こうということでございます。
　次に、④番でございますけれども、これは行政手続法というものに、
行政庁として不利益な処分をする場合には理由を書かなければいけない、
理由を示さなければならないということがございますので、開示請求に
ついて部分開示、あるいは不開示とする場合には、理由を記載すること
とするということでございます。
　それから、二つ目の丸は先ほど説明いたしました開示が可能となる時
期というものが、保険医療機関の方で書いていただければ、その時期を
あわせて決定通知の方に記載するということでございます。
　次に、⑤番でございますが、レセプトの開示請求をいただいたときに、
例えば再審査請求ということで、レセプトを診療報酬支払機関の方に戻
させていただいている場合等々ございまして、原本がないという場合が
ございます。そういう場合に、その取り扱いが問題になるケースが、そ
んなに多くはないかもれませんが、これまで生じてきたということでご
ざいます。こういった場合の取り扱いを明らかにするとという趣旨で、
再審査請求中、あるいは返戻中のレセプトであっても、返戻前のレセプ
トについて開示請求があるという場合には、通常のレセプトと同じ手続
で開示等の決定を行うということで取り扱うことにするということにし
てはどうかということでございます。
　それから、⑥番目の開示決定の期限ということでございますが、これ
は法律の19条という条文がございまして、これによりますと、例外的な
ケースを除きまして、保険者としては、その請求書を受理してから30日
以内に開示決定を行わなければならないと。これはもう法律上の規定で
ございますので、それに従った取り扱いにするということでございます。
　⑦番は先ほど申し上げたとおりでございますので、説明は省略いたし
ます。
　次に、４番目でございます。ご遺族からの開示依頼の業務処理という
ことでございます。まず一つ目の保険医療機関等への照会等ということ
でございます。
　まず一つ目の丸でございますけれども、レセプトの情報が医師の個人
情報にも該当する場合があるということにも配慮することとするという
ことでございます。レセプトの情報につきましては、例えば健保組合の
ガイドライン等にも書いてございますが、患者の方の個人情報という面
と、担当の医師の個人情報という二面性がある場合があるということで
ございますので、そういった医師の個人情報保護という観点からも配慮
するということが必要だということでございます。ただ、これに配慮し
た具体的な取り扱いは今後つくる必要があるということでございます。
　次に、一つ目の丸の二つ目のパラグラムでございますが、ここは全然
違うことが書いてございまして、ご遺族からの開示請求につきましても、
亡くなった患者ご本人の生前の意思、あるいは名誉、こういったことを
尊重すべきだということが、例えば健保組合の個人情報ガイドライン、
あるいはカルテの開示のガイドライン、こういったものに書かれており
ます。そういったことも踏まえまして、私どもとしてもそういう配慮を
する必要があるということでございますが、ただ、なかなか保険者とし
て、亡くなった患者の方が生前どういうご意思を持っておられたかとい
うのは、なかなか把握することが難しいということがございますので、
これは開示依頼をされるご遺族の方に直接、これはご本人の生前意思
等々の関係で問題ありませんね、ということを確認することでどうかと
いうことでございます。
　次に、②番でございます。手数料に関してでございますが、冒頭申し
上げましたように、ご遺族からの開示依頼については法律に基づく請求
ということではございませんので、私どもとしても、手数料をいただく
根拠も特にないということでございますので、ここはご本人からの請求
と取り扱いが違って多少複雑な面はございますけれども、ご遺族からの
開示依頼につきましては手数料はいただかないということでございます。
　次に、③番でございますが、二つ目の丸でございますけれども、先ほ
どご遺族から開示の依頼を受け付けるときに、ご本人の生前の意思とか、
あるいは名誉等の関係で問題があるかどうかということを確認すること
になっておりますので、もし仮にその場で実は問題があるということで
あれば、やはり開示するわけにはいかないということでございますので、
そういう場合には、例外的に部分開示とか不開示ということで取り扱う
場合が出てくるということでございます。
　④番でございます。開示決定の期限ということでございますが、繰り
返しになりますけれども、ご遺族からの依頼は法律上の請求ではござい
ませんので、30日以内に処理をするということは法律上の義務ではござ
いません。ただ、これまでも標準処理期間ということで、１カ月程度と
いうことでやってきておりますので、その取り扱いを継続的にやってい
くということでございます。
　最後に、その他でございますが、遺族からの開示依頼の方法等につい
ては、本人からの開示請求の方法に準じて取り扱うこととするというこ
とでございます。
　私の方からは以上でございます。

○中西座長代理
　それでは、ただいまのレセプト開示に係る取扱要領変更に関係しまし
て、ご意見ご質問等ございましたら、どうぞ。

○龍井委員
　今、現行のものを見ながら説明を伺っていたんですが、具体的にどう
変わるのかというイメージが持てるところと持てないところがあります。
現行のものが新しい法律規定によって変わってくるというときに、新し
いところと現行のものと、まだうまく整理し切れていないので、重なる
質問になるかもしれないんですが、一つは、先ほどのご説明の、医師の
方の個人情報という言葉の中身ですけれども、個人情報保護法で、必ず
しも医師の方の姓名が明らかにされなくても、例えば事実上特定できる
というのも多分含まれてくると思うんです。もしもそうだとすると、大
きな病院などの例で、例えば大きな手術で、チームで担当される場合、
あるいは同じ診療科目でも複数の医師の方が担当されたり、そういう場
合の個人特定の範囲はどう整理したらいいかというのが１点目の質問で
す。
　それから、先ほどのご説明ですと、遺族からの請求とご本人からの請
求というのが、まだはっきり、どう変わるかわからないんですが、区別
をされようとしているのかなというのは透けて見えます。率直に言って、
本人請求と遺族からの請求というものの基本的なコンセプトの違いとい
うのは、現状の取扱要領でも、仕分けはされているけれども、そんなに
大きな違いではないわけなので、その基本的な区分けというのをどう見
るべきなのか。
　それから三つ目は、これはちょっと現行のものと離れるかもしれない、
別のレベルでの質問になってしまって恐縮ですが、いわゆる情報開示と
いう場合に、もっぱら私契約としてやっている契約なり、業務なり、サ
ービスなり、というときの情報と、医療のように、政管のように、公的
あるいは国が関与しているものの中での情報開示というのは、私は当然
違う部分だと思うんですが、その辺をどういうふうに整理したらいいか、
ちょっと抽象的なところも含めて恐縮ですが、質問です。

○中西座長代理
　３点ほどご質問があったかと思いますが、事務局の方からひとつよろ
しくお願いします。

○医療保険課竹林補佐
　まず、お答えできる範囲でお答えしたいと思いますが、ちょっと順序
があれですけれども、遺族の取り扱いについて、ご本人の取り扱いとの
違いということでございますが、これまで私どもは、レセプト開示につ
いてはご本人からの請求、それからご遺族からの請求ということでやっ
てきたわけでございますが、法律上は、繰り返しになりますけれども、
個人情報というのは、生存する個人の情報ということでございまして、
法律上は、遺族の方々というのは特段の位置づけが、少なくとも明確で
はないという状況でございます。
　ただ、そうは言いましても、これまでも遺族の方々からの開示依頼に
応えてきたということもございますし、単なる第三者と遺族というもの
はやはり位置づけが違うのだろうなというのが、一般常識とか社会通念
に照らした上での考え方だと思うんですが、そういったこともございま
すので、本来的に行政として今回施行される法律の義務がかかるのはあ
くまでご本人様からの請求ということになってしまいますが、社会通念
に照らして、ご遺族の方については、単なる第三者とはやはり違うんだ
ろうということで、ただし、それは法律上、明確な位置づけがないもの
ですから、法律上の請求とは位置づけないということで、引き続き行政
サービスということでやっていかざるを得ないというのが、法律上の整
理になろうかと思います。
　それから、私契約としてやっている業務についての情報開示と国が関
与する場合の情報の開示ということでございます。ちょっとご質問にき
ちんとお答えするようなことにならないかもしれませんけれども、まず、
少なくとも民間の個人情報の取り扱い業者と行政機関とでは、そもそも
適用される法律が違うというようなことで、まずそういう基本的な話が
ございます。
　それで、幾つか相違点はあるわけでございますが、例えば第三者に個
人情報を提供する場合についていいますと、民間の個人情報については、
個人情報保護法に関していうと、第三者提供というのは、ご本人から同
意があった場合に厳しく制限されているわけでございますが、行政機関
といえども、当然個人情報を、基本的にはご本人からの同意を得て第三
者提供をするのが基本ではございますけれど、特別な理由がある場合に、
その判断ができる余地が残されているというような点で、多少行政機関
としての位置づけを持っている機関と民間の機関との情報開示のあり方
は異なるということが言えるかと思います。
　とりあえず、お答えできるものは以上でございます。

○武田医療保険課長
　追加させていただきますが、大きな病院の場合、複数の医師がかかわ
る場合などというようなご指摘でございまして、医師の個人情報に該当
する場合があるということで、今日の資料にも書かせていただいており
ますし、健保組合のガイドラインもそういうふうな表現が書かれている
わけですが、個人情報といいますのは、委員のご発言にも今ありました
ように、個人が特定をされるので個人情報というような扱いにもなりま
すので、レセプトにおける医師の個人情報というものも、医師が特定さ
れる場合、特定されない場合というのは、概念上はあるのではないかと
思いますが、どのように現場で取り扱うかというのは、少し検討をさせ
ていただきたいというふうに思っております。
　それから、遺族の取り扱いにつきまして、今、担当補佐の方から社会
的通念に照らしてというようなところを申し上げましたが、私どもとし
ては、例えばこれに先立ちまして、診療情報の提供のガイドライン、い
わゆるカルテの提供ガイドラインでも、本人に準じて遺族に対しても提
供が認められている。または、健康組合のガイドライン、先行して出さ
れましたが、それでも遺族の扱いが定められているというようなことも
踏まえて、この扱いを検討させていただきたいと存じます。

○龍井委員
　いいですか。１点目の点について改めてご質問させていただいたのは、
やっぱり法律の義務づけというものが限定されることで、今行われてい
ることが、別に義務が解除されるわけではないので、そこが変わるとい
うことは望ましくないんではないかという趣旨です。今、ご指摘があっ
たガイドラインを拝見してみても、これは要するに原則開示ということ
をうたった上で、どういう場合に拒否できるのかということをきちんと
明記をし、当然患者本人の生前の名誉とかそういうものを尊重しましょ
うという、かなり配慮されているものですが、それを、新しい法律にな
ることによって別の何か規定にすることの必要性はよく理解できません。
当然これまでと同じような、今実際にされていることが行われていくの
が当然ではないかと。それを変える必要はないのではないかと非常に常
識的に考えているんですけれども、ぜひその方向でお進めをお願いした
いと思っています。

○中西座長代理
　ほかにございましょうか。
　はい、どうぞ、紀陸委員。

○紀陸委員
　遺族からの開示請求の問題ですけれども、既にカルテは開示請求があ
たりまえになっているんでしょうけれども、ちょっと伺いたいのは、開
示請求の請求者が、例えば法定代理人ではなくて、弁護士などの場合は
どうでしょうか。

○医療保険課竹林補佐
　開示請求ができるものの主体というところでご説明したとおりなんで
すが、ご本人からの開示請求に関していいますと、法令上、弁護士を通
じた請求ということではなくて、郵送でもかまいませんので、ご本人か
ら請求していただくのが基本ということでございます。
　ただ、法律上の規定は、遺族からの開示請求が法に基づく請求ではな
いというふうにございますので、遺族については、基本的にこれまでど
おりの取り扱いをさせていただくということでございまして、弁護士の
方からの代理請求も、また依頼も可能という整理でございます。

○中西座長代理
　ほかにございましょうか。
　どうぞ、吉田委員。

○吉田委員
　ちょっと本質から離れているかもしれないんで、申し訳ないんですが、
本人の要求の場合、本人が病気で、もう既に意識がないということをお
医者さんは認定していらっしゃると。それでも要求が出てきた場合、形
式的には本人の名前が書いてあって、本人の実印なりが押してあれば、
それは本人の意思ということになるんですが、この場合は、明らかにお
医者さんは、この人間は今何も判断できるはずがないということですけ
れども、これはもちろん、形式的に整っていれば、それは本人が生きて
いる間は生きているとして開示されると、こういうふうに考えていいで
すか。
　この場合、明らかに遺族というかご家族のご判断だということになり
ますけれども、それを知っていらっしゃるのはお医者さんしかいらっし
ゃらないわけですね。ということになるんですけれども、保険者として
はどういうふうにお考えですか。

○中西座長代理
　いかがでしょうか。

○医療保険課竹林補佐
　今のようなケースが必ずしも想定されているわけではないと思うんで
すが、法令上、その法定代理人であれば請求できるということでござい
まして、例えば小さな子供であるとか、あるいは成年被後見人という、
ご自身でご判断できないようなケースについては、法定代理人が請求で
きるということでございます。
　ただ、今のケース、必ずしも意識不明になった方に成年後見人がすぐ
立つということはないと思いますので、なかなかちょっとお答えしづら
いというか、今後ちょっと勉強させていただければと思います。

○龍井委員
　わかりました。ありがとうございました。

○武田医療保険課長
　今、補佐から答えたとおりですが、保険者の方だとわからないと思う
んですね、そこまで。提出された書類で処理をいたしますので、ご本人
の名前で、それで、本人証明の書類を必ず添付していただくことになり
ますので、本人証明ができて、本人の名前で出てくれば、基本的には医
療機関の方に照会をかけるという流れに乗ってしまいます。
　それで、医療機関の方も、今時点では意識がないとしても、その前に
開示してほしいという意思を表示していた場合というのもあると思いま
すので、医師の方もなかなか判断しにくいのではないかという感じがし
て、現実的に非常に悩ましいケースになろうかと思います。

○中西座長代理
　ほかにございましょうか。

○龍井委員
　もう１点、質問よろしいですか。
　２ページの理由という方の、理由明示ということが出されていますけ
れども、実行例に倣って、請求書に記載するんですが、これはつまり、
医療機関から保険者、そして保険者から本人、二つの戻りがあるわけで
すね。
　それで、２ページの二つ目の丸で、こういう場合でなければ、開示は、
あるいは部分開示できないというときに、当然、それに当てはまらない、
つまり妥当でない場合というのがあり得るわけですね。その理由が。そ
のときに、保険者の方から、まず照会というんでしょうか、この趣旨に
照らして問題だというところと、今度それが本人に言った２番目のとこ
ろで、これは納得できないという二つの場合があると思うんですが、後
者の場合は不服審査というふうになるんでしょうか。前者の場合は、む
しろ保険者と医療機関の間での手続き的なところですか、そこで何らか
のアクションを取られると、そういう理解でよろしいんでしょうか。

○中西座長代理
　どうぞ。

○医療保険課竹林補佐
　今のご質問でございますけれども、ご本人との関係は、不服審査とい
うことでもちろんできるというわけでございます。ただ、実はその理由
をどういう形で書くかということですが、例えば医療機関から保険者に
対して、まだがんの告知が終わっておりませんという理由が来たとして
も、保険者がご本人にお伝えするときには、まだがんの告知が終わって
おりませんとはちょっと書けないものですから、その書き方はちょっと
変わってくるんだと思いますが、法律上の手続きということに関してい
うと、不服審査は可能だということになります。
　それで、医療機関とその保険者との関係でいきますと、理由を書いて
いただいた上で、ちょっと常識に照らして納得ができないということが
もし仮にあれば、それはその時点で即、これは開示するということでは
なくて、医療機関とコミュニケーションを取って、納得するまで説明し
ていただくということですが、最終的にどうしても常識に照らしておか
しいということであれば、保険者判断で最後は開示するということにな
ろうかと思いますが、実際上そういうケースがどのくらい出てくるかと
いうのは、ちょっとよくわからないところでございます。

　　　　　（紀陸委員、退室）

○中西座長代理
　はい、どうぞ。

○吉田委員
　今、医療保険課長から、保険者では判断できない、意識があるかどう
かということについて判断できないというお話がございましたけれども、
先ほどご説明がございましたように、資料２で「レセプト開示の適否に
ついては、最終的に保険者が判断することである」と書いてありますか
ら、そういうふうに決まっているわけです。今、医者の方にレセプトを
出せと言ったら、医者の方は、いや、これは個人情報だから、個人があ
れしなくてはいけないんで、個人はずっと、例えばここ２年間も３年間
もこういう状態であるから、意識がないはずだ、本人が要求しているは
ずがないと。それで、個人情報の規定によればということで、一つケー
スができると、それがずっと行くと思いますから、ということで、そこ
でもう一回返ってきたときのフレーズで判断されなければいけないから、
そういう問題が起こり得るということだと私は思いますので、ご判断だ
けはいずれ、ここでお答えいただく必要は全くございませんが、ご検討
はいただきたいと思います。
　以上です。

○武田医療保険課長
　お答えしなくてもいいということなんで、お答えしなくてもいいのか
もしれませんが、十分趣旨を踏まえて検討させていただきます。
　私が保険者では判断できないと言いましたのは、申請が上がってきた
時点ではわからないということがございまして、法律上30日以内に何ら
かの決定をしなければならないということですので、その時点で得られ
た情報に基づいて、いずれにしても、保険者としては出すか、出さない
のかの判断をしなければならないと思っております。

○吉田委員
　保険者さんは、お医者さんにおっしゃる。お医者さんはノーと。理由
は、本人は相当期間意識がないのだからとおっしゃったときに、最終的
に保険者さんが判断されないといけないということなので、そういう場
合はどうお考えかと、私はお伺いしているわけです。どうもありがとう
ございました。

○中西座長代理
　それでは、時間も迫ってきておりますので、次の議題に移りたいと思
います。
　資料３でございますが、この件について事務局の方からご説明をお願
いいたします。

○医療保険課竹林補佐
　それでは、時間も押しておりますので、簡単にご説明させていただき
たいと思います。
　まず、資料３―１でございます。「未適用事業所に対する職権による
適用について」ということでございまして、一言で申し上げますと、こ
れまで実際上やってこなかった職権による適用ということを、今後は実
施していくということでございます。
　ただ、具体的内容のところに書いてございますが、まずは、基本とし
てはやはりこれまでどおり事業主の方々にご理解をいただいた上で、き
ちんとご加入いただくということで、重点的な加入指導をやっていくわ
けでございますが、こういった指導にもかかわらず、ご理解をいただけ
ないという場合については、②に書いてあるとおりでございますけれど
も、強制適用の基本に立ち帰るとともに、モラルハザードを防止するた
めに、社会的な責任が大きいと考えられる、従業員規模が一定規模以上、
20人程度を目処ということでございますが、こういうところから、順次、
職権による適用を実施していくということで、適用推進対策を今後さら
に強化していこうということでございます。
　それで、２ページ目でございますけれども、「適用促進の流れ」とい
うことでございまして、一番右から、まず未適用事業所を把握すると。
それから、それに基づいて重点的な加入指導を行うと。これが、これま
でにやってきたということでございますが、これでもなお入っていただ
けない事業所については、規模の大きいところから職権でやっていこう
ということです。
　ただ、適用する上では、まず必要な書類、例えば従業員が何人いて、
給料をどれくらい払っているかというようなことを、こちらとしては把
握する必要がございますので、ご理解が得られて、書類の提出が得られ
れば別でございますが、そうでなければ立入検査をして、事実関係を把
握するということをする必要があるわけですが、場合によっては、こう
いうことに応じていただけないという場合も出てこようかと思います。
そういう場合には、左端にございますけれども、告発をすると。罰則を
適用するという方向で現在検討しておるというところでございます。
　以上が資料の３－１でございます。
　それから、資料３－２でございますが、「社会保険業務の市場化テス
トについて」ということでございます。市場化テストでございますが、
これは必ずしも国で直接実施すべきでないのではないかと考えられるも
のについて、民間の業者と国の方とで基本的には競争をして、それで結
果的にうまくできた方がその業務をそのままやっていくというような、
市場化テストという発想があるわけでございますが、まだこの市場化テ
スト、国として全面的に大々的にやっていくための法整備が進んでおら
ないわけですが、平成17年度については、モデル事業として幾つかやる
ということになっておりまして、社会保険庁の関係でいいますと、政管
健保、厚生年金の未適用事業所に対する適用促進事業、それから国民年
金保険の主要な事業、年金電話相談センター事業という、この三つの事
業について、モデル的にやっていくということでございます。
　政管健保に関していいますと、一番上の未適用事業所に対する適用促
進事業ということでございますが、具体的には5カ所の社会保険事務所を
対象として、業務を包括的に委託するということでございます。ただ、
職権適用のような本当に公権力の行使に該当するものは、この対象では
ございませんけれども、そこの前段階までの未適用事業所の把握、それ
から加入勧奨、こういったことをやっていただくということでございま
す。
　具体的な社会保険事務所の例はそこに挙げてあるとおりでございます
が、実際上は東京の社会保険事務局に管下の事務所を三つ、それから福
岡の二つ、これらをそれぞれまとめて委託するということで、現在考え
ているところでございます。
　資料については、以上でございます。

○中西座長代理
　ただいまの二つの案件についての説明でございますが、ご意見ご質問
等ございましたら、お願い申し上げます。
　山崎委員。

○山崎委員
　資料３－２の市場化テストのところで、対象保険事務所で民間に委託
というようなことを先ほどおっしゃっていました。入札ということをお
っしゃいましたが、具体的にはどういう民間団体、あるいは企業を想定
されておられるんでしょうか。

○医療保険課竹林補佐
　さすがにちょっと、まだ競争入札の前でございますので、具体的に会
社の名前とか、私ども必ずしも把握しておりませんし、ちょっと申し上
げる状況にはないのでございますが、もともとモデル事業として実施す
る事業については、検討段階で何らかの関心を示した企業があるものに
ついてこういったことになっておりますので、ちょっと具体的にはわか
りませんけれども、いくつかの企業が手を挙げてくるのだろうと考えて
おります。

○山崎委員
　それは、例えば事業者団体でもよろしいんですか。事業者団体ですと、
会員企業の状況をよく把握しているので、１会社よりも幅広くお手伝い
が出来ると思います。そういう団体の活用というものもお考えですか。

○医療保険課竹林補佐
　特段制約は、そういうものはだめだということはございませんので、
一番適切にやっていただけるところにやっていただくということだと思
います。

○中西座長代理
　ほかにございましょうか。
　ないようですれば、参考資料の説明がまだ２件ございますので、その
説明について、事務局の方からお願いいたします。

○改革推進本部事務局　内山補佐
　それでは、参考資料の１でございますけれとも、「〈社会保険庁の在
り方に関する有識者会議〉の議論の状況」ということで、ご説明させて
いただきます。
　社会保険庁改革につきましては、昨年８月に内閣官房長官のもとに設
置されました社会保険庁の在り方に関する有識者会議において、基本に
立ち返った議論を進めていただいておるところでございます。
　これまで、一枚目に掲げておりますとおり、７回の会議が開催された
ところでございます。
　議論の中身といたしましては、大きく二つございまして、業務改革と
組織改革という２点でございます。１点目の業務改革につきましては、
12月の懇談会でご説明いたしましたとおり、第５回、11月の会議におき
まして、80項目の業務改革メニューといたしまして、緊急対応プログラ
ムという取りまとめをいたしまして、現在このプログラムに沿いまして、
各項目の業務改革を進めているところでございます。
　それから、二つ目の組織改革につきましては、第４回の10月以降議論
を進めていただきまして、その状況についてですけれども、まず１枚お
めくりいただきまして、２ページを見ていただきたいんですけれども、
組織の在り方につきましては、まず11月の有識者会議、中間取りまとめ
におきまして、この枠の中でございますけれども、まず社会保険事業の
運営主体の在り方を検討するに当たりましては、考慮いただきたい点と
して、基本的要素を８つ掲げてございます。それで１から８までござい
ますが、⑤の政管健保につきましては、政管健保における被用者の受け
皿としての機能の確保でございますとか、６つ目の被保険者情報の保護
の徹底、７つ目の保険料の強制徴収等の公権的行為の迅速･確実な実施と
いった点を含めて、８つの基本的要素を整理した上で、下線部でござい
ますが、独立行政法人化等の公法人化すべきではないか、民間に委ねて
はどうか、社会保険庁の業務の一つである徴収業務を他の機関に移管し
てはどうかといった議論も含めて、あらゆる議論を例外としない幅広い
検討を進めていただくということとしております。
　そうした基本的な検討方針を踏まえまして、１枚おめくりいただきま
して、３ページ目ですが、第６回の１月の会議におきまして、口頭了解
事項という、口頭了解していただいた事項がございます。その中身とい
いますのは、まず組織の検討に当たりまして、現行の社会保険庁の存続
を前提としないこと。それから、国民の信頼を確保するためにはどのよ
うな組織とすべきかという点を重視すること。この２点を基本的な視点
といたしまして、新しい組織のブランドデザイン、新組織の基本骨格と
いうものを３月中にまとめることといたしまして、最終的な取りまとめ
についても、従来、夏までとしていたものを５月に前倒しをするという
ことが口頭了解されました。
　それを踏まえまして、１枚おめくりいただきまして、２月の、前回の
第７回の有識者会議で、慶応大学名誉教授でいらっしゃる金子座長から、
議論のたたき台として、座長メモというものをお示しいただいたところ
でございます。
　３枚ございますけれども、このグランドデザインのたたき台といたし
まして、１、考慮要因といたしまして、まず基本コンセプトというのを
掲げていただいております。掲げられているのが、先ほどの中間取りま
とめにおきます基本的要素８項目でございますとか、あと、ご説明は省
略させていただきますが、今年の１月に社会保険庁の不祥事に関する調
査報告書を出させていただきましたが、その際に上げさせていただきま
した組織の構造問題といたしまして、ガバナンスの不足でございますと
か、内向きで閉鎖的な組織体質といったものを上げさせていただきまし
た。そういった組織の構造問題を解消することを踏まえて、新しい組織
のグランドデザインを描くということにしております。
　それで、２の具体的な新組織の業務範囲でございますけれども、まず
（１）といたしまして、医療・年金の分離ということを掲げております。
ご承知のとおり政管健保の業務につきましては、現在、社会保障審議会
において、保険者組織の形態も含めた議論をしていただいているところ
でございます。それで、財政運営を基本的に都道府県を単位とする。そ
れで、被保険者の意見を反映した自主性・自律性のある保険運営ができ
る仕組みとするといった基本方針を踏まえまして、政管健保部門の組織
の在り方につきましては、年金部門から分離される可能性も視野に入れ
る必要があるということで掲げております。
　それから、（２）のところで、福祉施設の売却などによります関連事
業の切り離しでございますとか、（３）における、先ほどご説明があり
ました市場化テストなどによります民間で行われる事業については、外
部委託を進めるといったことによりまして、組織のスリム化、合理化を
進めるということをされております。
　２枚おめくりいただきまして、6ページでございますが、具体的な新組
織の枠組みとして掲げておりますところでございますが、この２、３、
４に掲げておりますとおり、今、意思決定機能、業務執行機能、監査機
能と、組織をいわば３部構成にするといったものを基本的なイメージと
して掲げていきたいというところでございます。
　それで、２の「意思決定機能」につきましては、国民の意向を反映す
る形で、よりガバナンスの強化を図るという基本的な理念がございます。
　それから、３の「業務執行機能」につきましても、ガバナンスの強化、
地方の事務局、事務所まで徹底できるようにするといった、基本的な考
えがあります。
　それから、４の「監査機能」につきましては、組織内において監査機
能を強化するために分離をいたしまして、会計監査、業務監査、そして
個人情報の管理監査というものを常に行うと。そして、その結果を作成、
公表するといったような形で整理をしております。
　それで、今後、この座長メモに基づきまして、有識者会議において議
論を進めていただきまして、次回３月31日の会議におきまして、新組織
のグランドデザイン、新組織の基本骨格というものをまとめていただき
まして、その後５月に最終的な取りまとめをしていただくこととなって
おります。
　社会保険庁といたしましては、この有識者会議におきますご議論の結
果を受けまして、抜本的な組織改革を進めてまいりたいというふうに考
えてございます。
　以上でございます。

○医療保険課竹林補佐
　続きまして、参考資料２でございます。社会保障審議会の医療保険部
会におきます「政管健保の改革に伴う論点について」ということでござ
います。
　医療保険部会でも、とにかく政管健保に関する議論につきましては、
ことしの１月26日にまずご議論いただきまして、続きまして今月４日に
再度ご議論いただいたということで、この資料は３月４日に提出された
資料ということでございます。
　時間もございませんので、ごく簡単にご説明いたしますと、２ページ
目にまず医療保険制度全体としての改革の方向性、その中で政管健保の
改革がどう続けられていくかということでございますが、真ん中の左の
あたりに書いてございますが、全体として保険者を都道府県の区域を単
位とした保険運営という方向に持っていくということだと思います。そ
ういった展開を、改革の方向性の中で、政管健保については、財政運営
は基本的には都道府県を単位としたものとするということで、これは平
成15年３月の閣議決定で、基本的な方向性が示されておるということで
ございます。
　以下、３ページ目に今申し上げたことをイメージしたような資料、そ
れから４ページ目に、これは昨年の２月に既に出しておりますが、都道
府県会議で保険料率を設定したときの、機械的な試算をしたときにどう
なるかということ、それからそのバックデータが５ページ目でございま
して、６ページ目には先ほど紹介いたしました生活習慣病予防健診の都
道府県別の受診率と。こういった資料をつけております。
　それで７ページ目でございますけれども、それにはもう少し具体的に
どういう姿、形が考えられるかということで、必ずしも三つの案を提示
したということではございませんで、こういった考え方が例えば考えら
れるんではないでしょうかということで、三つのパターンを上げさせて
いただいております。
　Ａパターンというのが、県ごとに保険料率は設定するわけでございま
すが、その設定プロセスとしては、被保険者等で構成される何らかの組
織からご意見をいただいて、それを踏まえて、意思決定を被保険者で構
成される組織でやるわけではなくて、その保険者組織の長が最終判断を
して、料率の改定を国に対して申し入れをして、国の方で告示をもって
料率を決定すると。今の仕組みとかなりの共通点があるようなパターン
でございます。
　パターンＢというのが、これはやはり都道府県ごとに保険料率を決定
するわけでございますが、保険者組織の中に被保険者等で構成される理
事会におきまして、この理事会の中で意思決定をするということで、今
のやり方よりは、自主性・自律性ということが強化されるというような
パターン。ただし、これは、保険者としては47に分割するわけではなく
て、全国で１組織、それで47の支部がある、こういうイメージでござい
ます。
　パターンＣは、本当に都道府県ごとに分割いたしまして、それぞれの
組織において理事会を設置して、その中で料率を自主的・自律的に検討
するというような考え方でございます。
　こういった考え方について、下の表でございますが、自主性・自律性
のある保険運営でございますとか、事務の効率性、こういった観点から、
いろいろと申請していただいているということでございます。
　それで、8ページ目でございますが、先ほど申し上げました１保険者で
47支部とするか、あるいは47に、都道府県ごとに保険の組織そのものを
分割するかということについて、財政運営の透明性あるいは事務の効率
性という観点からどう考えるかということで、メリット・デメリットを
示させていただいた資料でございます。
　９ページ目でございますが、今申し上げたいずれの形であっても、政
管健保の安定した運営をするためには、全国的な事務が必要になるので
はないかということで、例えば適用徴収事務でございますとか、あるい
は政管の年齢調整、所得調整を行うための財政調整事務、あるいは組織
管理の事務について、全国的にいずれにしてもやっていく必要があるの
ではないかということを説明した資料でございます。
　それから10ページ目でございますが、今との関連でございますけれど
も、政管健保、厚生年金について、これらを仮に別々に行うということ
になった場合にどういう問題が生じてくるかということで、事務の効率
性とか財政の安定性という観点からどう考えるかという資料でございま
す。
　それから、11ページ目と12ページでございますが、財政の安定性の確
保という観点から、都道府県単位の財政運営にした場合に、どういうこ
とが起こるか、どういうメリットがあるかというようなことが説明され
ていまして、11ページ目には現在、国として全国一本の財政運営をやっ
ているわけでございますが、画一的な運営になっているというようなこ
とで、保険者としての取り組みが必ずしも十分ではなかったという面、
それから国が運営しておりますので、制度と設計主体とが一致しておる
ということでございまして、保険料率の変更が、その制度設計主体とし
ての国の行うべき制度改正と一体として議論されることが多く、保険者
としては柔軟な対応が困難だと。
　こういった問題があるという認識のもとで、今後都道府県単位の財政
運営をした場合には、12ページでありますけれども、例えば地域におけ
る保険者機能の発揮を促すというようなこと、それから医療費適正化の
取り組みでございますとか、その後の医療費の動向等を踏まえまして、
保険者として適切に保険料率の変更を、各種事業の見直しにつなげてい
くことができるのではないか。こういった改善が考えられると。
　しかしながら、こういう自律的な財政運営によってもなお財政が悪化
した場合に、行政の関与の在り方を含めて、どういう財政安定化のため
の措置が考えられるかということについては、やはり検討が必要だろう
ということでございます。
　13ページ目は、「政管健保の保険者組織」というタイトルでございま
すが、内容としては、現在の社会保険庁、それから現行の都道府県に存
在するような法人の類型ごとに、具体的には独立行政法人と健康保険組
合でございますが、役員とか運営組織はどうなっているか、保険料率の
決定プロセス、それからどのような対応になっているかということを、
参考資料的につけさせていただいたということでございます。
　14ページ以降は、参考資料ということですので、説明は省略させてい
ただきます。
　以上でございます。

○中西座長代理
　ありがとうございました。予定の時間が過ぎておりますので、それぞ
れ別の場でいろいろ議論がされている途中のものでございますが、この
際、何か一言言っておきたいというようなことがございますれば……。
　よろしゅうございますか。
　それでは、本日の会合はこれをもちまして終了させていただきたいと
思います。
　本日はどうもありがとうございました。ご苦労さまでした。

 
 
 
 
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