第18回政府管掌健康保険事業運営懇談会議事録 1 日時 平成16年12月13日(月)      15:01〜17:03 2 場所 厚生労働省 省議室(9階) 3 出席した委員・専門委員(敬称略)    稲上、青柳、城戸、遠藤、櫻井、花井、龍井、中西、吉田 4 議題 (1)政府管掌健康保険の財政運営 (2)政府管掌健康保険におけるレセプト開示について (3)全喪届に係る事務処理の適正化 (4)参考資料 5 議事内容 ○稲上座長  それでは、ただいまから第18回になりますが、政府管掌健康保険事業 運営懇談会を始めたいと思います。  お忙しい中、ご出席をいただきまして、まことにありがとうございま した。  最初に、委員の出欠状況についてご報告させていただきますが、紀陸 委員、高木委員、高野委員、山ア委員、佐野専門委員及び武舎専門委員 がご欠席でございます。  続きまして、欠席委員のかわりにご出席いただいております方々につ いてお諮りをしたいと思いますが、紀陸委員のかわりに遠藤参考人、ま た、高木委員のかわりに花井参考人のご出席につきましてご承認をいた だければありがたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。 ○各委員 異議なし。 ○稲上座長  それでは、そのようにさせていただきます。  それでは、本日の議題に入りたいと思いますが、今回の議事録につき ましても、前回と同様、後日事務局において作成をいたしまして、委員 の皆様にご確認をいただきました上で公開したいと考えておりますので、 ご協力をお願い申し上げます。  それでは、まず、資料の1につきまして、事務局よりご説明をお願い したいと思います。 ○医療保険課竹林補佐  それでは、お手元の資料1をご説明したいと思います。「政管健保 (医療分)の平成17年度〜21年度に係る収支見通しについて」という資 料でございます。  それで、まず1つ目、政管健保の5年収支の確認・公表の必要性につ いてということでございます。そこに書いてございますように、健康保 険法第160条第2項におきましては、政管健保の一般保険料率はおおむね 5年を通じ、財政の均衡を保つことができるものでなければならないと されてございます。加えまして、同条第3項において、少なくとも2年 ごとに一般保険料率がおおむね5年を通じ、財政の均衡を保つことがで きることを確認し、その結果を公表するということになっております。 条文そのものについては、3ページ目に参考までについてございます。  それで、現在、一般保険料率、これは82‰ということで、労使折半と いうことでございますけれども、これが平成15年の4月から適用されて ございます。したがいまして、少なくとも2年ごとにということでござ いますので、これまでの保険料率についてはここに書いてございません けれども、平成15年度から平成19年度の5年間について収支が均衡する ようにということで設定されておりますものですから、2年間ずらせま して、平成17年3月末までに、平成17年度から21年度の5年間について の収支見通しを確認し、公表する必要があるということになっていると ころでございます。それで今回、17年度の予算セット前にこの収支を確 認いたしまして公表するということが適切だろうということで、この時 期に運営懇談会を開催させていただきまして、17年度から21年度の収支 見通しについて確認・公表することといたしましたところでございます。  それで、2でございます。平成17年度〜21年度の収支見通しについて でございますが、今回の収支見通しにつきましては、平成17年度の概算 要求時点での基礎係数等をベースに試算をいたしましたものでございま して、その結果につきましては別紙のとおりでございますが、4ページ 目に結果がございます。  それで、4ページ目を見ていただく前に、試算の前提についてでござ いますが、被保険者数、医療費、賃金の伸びなどにつきましては、平成 16年の5月に公表されました「給付と負担の将来推計」と同様の前提と しておるということでございます。ちなみに、1人当たりの医療費の伸 び率につきましては、高齢者について3.2%、それ以外、いわゆる若人に ついては2.1%ということで試算をしておるところでございます。  それで、4ページ目を開いていただければと存じます。「政府管掌健康 保険の収支見通し(医療分)」というものがございます。これが今回の試 算の結果ということでございます。それで、先ほども申し上げましたけ れども、表の上の方に賃金の伸びについての前提が書いてございまして、 これはことしの5月の給付と負担と同じベースでございまして、そこに 書いておるような数字で試算を行っているところでございます。  それで、試算の状況でございますけれども、歳入面につきましては、 保険料収入は賃金の上昇率でございますとか被保険者数に応じてここに ございます数字のようなことで推移をしていくと。  国庫負担につきましても、これは政管健保の場合は法律で国庫補助の 率が決まってございますので、ある意味機械的にこのように伸びていく ということでございます。  その他、これは雑収入ということでございますが、これは一定額で推 移するという仮定を置きまして試算をしておるところでございます。  続きまして、歳出でございますが、まず、保険給付費につきましては、 これは先ほど申し上げました医療費の伸び率でございますとか、あるい は、被保険者数に応じてここに書いてございますような数字で推移をす るというふうに見込んでございます。  それから、その下の老人保健拠出金でございますけれども、老人保健 制度につきましては、今現在、対象者の年齢引き上げの途上にございま す。具体的には平成14年の改正で年齢引き上げということがなされてお りまして、平成14年の10月から平成19年の9月末まで、5年間かけて対 象年齢を引き上げていくということでございますので、そういったこと から、対象者が平成19年度の途中までは減少していくということがござ いまして、老人保健拠出金につきましては、平成19年度まではちょっと ずつ減額していくというような姿でございますが、平成19年度までで改 革の効果と申しますか、影響が途切れるものでございますから、平成20 年度以降につきましては反転いたしまして、今度は増額していくという ことになります。  次の退職拠出金につきましては、これは老人保健拠出金の対象者の年 齢が引き上がっていくということがございますので、逆に退職拠出金の 対象者は増えていくということになりますので、ここにございますよう なことでどんどん額が増えていくということでございます。  それから、その他につきましては、政管健保の生活習慣病の健診の費 用等でございまして、この金額については一定額で推移するという前提 で試算を行っておるところでございます。  それで、下から2行目に収支差とございますのが、これが単年度の収 支差でございます。今回の試算でいきますと、平成18年度までは単年度 収支差は黒字でございますけれども、平成19年度以降は赤字になるとい うことでございます。  それで、一番下の行でございます。事業運営安定資金でございますが、 これがいわゆる累積の数字ということでございまして、これがゼロ以下 になれば財政が均衡しないということになるわけでございますけれども、 現在の試算について申し上げますと、平成19年度までは何とか事業運営 安定資金の残高がプラスということでございまして、ただし、平成20年 度以降は、これは事業運営安定資金がマイナスになってしまうだろうと いう試算上の見込みということでございます。  注のところでございますけれども、あくまでこれは概算要求をベース とした見通しということでございまして、かつ予備費は計上していない ということでございます。  それで、ちょっと簡単に前回の、前回のというか、これは平成15年の 4月から適用されております保険料率を設定するときに試算をやってお りまして、それは平成15年度から平成19年度の財政試算だったわけなの でございますが、ちょっと今回資料を用意しておりませんけれども、簡 単にその当時の試算との比較を申し上げますと、現行の保険料率は、冒 頭申し上げましたように、平成15年4月にその後の5年間の財政が均衡 するというような率で設定されておりまして、当時の5年収支見込につ いては、平成19年度で事業運営安定資金がゼロになるという試算を行っ ておりました。単年度収支差についていきますと、最初の3年間、平成 15年度から17年度までは黒字、最後の2年間、18年度と19年度は赤字と いうことで、5年間でトータルで収支がとんとんということになってお りました。  今回の試算では、平成19年度で事業運営安定資金が約1,000億円残ると いう見込みになっておりますけれども、平成15年度から19年度の5年間 の収支がほぼとんとんとなるという意味では、前回の試算と大きく変わ るものではないというふうに考えております。  ただし、前回の試算に比べますと、平成19年度までについては、被保 険者数、賃金水準、それから医療費の伸び、それから老健拠出金等、す べて前回より今回の方が低くなっておりますので、収入、支出とも前回 の試算より規模が小さくなっておるということはございますけれども、 総じて前回の試算と大きくずれたような結果にはなっていないというこ とであろうと思っております。  以上が今回の5年収支の試算の結果でございますが、ただ、賃金の伸 びについて、冒頭申し上げましたような率で推移するということを前提 にしておりますが、これは政管健保の足元の賃金の伸び率が、まだそこ まで高い数字になっておりませんので、楽観的過ぎるのではないかとい う批判も予想されなくもないということがございまして、次のページに 参考までに、多少賃金の伸び率を落としてみたら試算がどうなるだろう かということで、参考試算という位置づけで、その試算も明らかにさせ ていただいておるということでございます。  上の方に下線を施してある部分でございますけれども、給付と負担ベ ースの賃金の伸び率から、毎年毎年の賃金の伸び率を0.3%少なくしてみ たらどうかということでやってみたのがこの参考試算でございます。な ぜ0.3%減少させてみたかといいますと、過去10年について見たところ、 政府管掌健康保険の被保険者の方の賃金上昇率と被用者全体の賃金上昇 率では、平均で政府管掌保険の被保険者の方々の賃金上昇率が約0.3%低 かったということがございます。これは、過去5年において見た場合も ほぼ同じようなことでございましたので、今回このような形で0.3%低く 見てやってみたらどうかということで参考試算をやってみたところでご ざいますけれども、その結果につきましては保険料収入が、もちろん賃 金の上昇率が低くなりますので、幾分減少しますけれども、それに応じ まして収支差も多少悪化するわけでございますが、平成19年度の事業運 営安定資金のところを見ていただきますと、この試算におきましても約 500億円程度プラスで残るということでございますので、大きな違いはな いというような結果が出たところでございます。  以上が参考試算でございます。  それで、2ページ目にお戻りいただきまして、今回の平成17年度から 21年度の収支見通しの評価についてということでございますが、ご覧い ただきましたとおり、今回の試算によりますと、平成19年度までは何と か財政が均衡するというような状況でございますので、直ちに保険料率 を引き上げなければならないという状況にはないものと考えております。  しかしながら、今の状況でございますけれども、今の保険料率のまま では、この先制度改正等による医療費適正化の措置が講じられないとす れば、平成20年度には事業運営安定資金が枯渇すると、そういう見込み になってございますので、今のままではいずれ保険料率を引き上げる必 要が生ずる状況になっているという見方ができるかと考えております。  いずれにしましても、繰り返しになりますけれども、この試算は概算 要求時の数字を前提としたものでございまして、経済状況等により今後 変動が生じ得るということにご留意をいただければと存じます。  資料の説明としては、以上のとおりでございます。 ○稲上座長   どうもありがとうございました。  それでは、ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問を伺いた いと思いますが、ご発言いただきますときには、お手元のマイクをお使 いくださいますようにお願いをいたします。  どなたからでもどうぞお願いを……はい、どうぞ。 ○龍井委員  最初に、試算の確認ということと公表ということがあるのですが、そ れとここの場との関連についてです。試算をされる、見通しを確定され るということは、これは多分社会保険庁の政管担当が独自にやる仕事だ ろうと思うのですが、今日のペーパーの1ページ目から2ページ目にか けていきますと、それの判断、評価となっています。結局これは判断に 類することになると思うのですが、こういう状況にはない、あるいはこ ういう状況になっているということが議題として出されているのは、こ の場での共通認識ということを求められているのか、あるいは、そうい うことを社会保険庁の担当事務局が思っていますよということについて の何がしかの対応を求めているのか、ちょっとそこを先に伺っておきた いのですが。 ○武田医療保険課長  この運営懇談会でございますが、政府管掌健康保険の運営につきまし て、関係の方々にご意見をいただく場ということでございますので、こ この場でご判断をということには必ずしも制度的にならないというふう に思っております。例えば、政府管掌健康保険の保険料率を変える場合 につきましては、社会保障審議会の方で諮問に応じて議論をするという ような手続になっております。私どもとしては、あくまで政管の運営に つきまして、この懇談会の場でその時々の最新の状況につきまして、予 算・決算、それから今回のような収支見通しについてご報告をさせてい ただき、ご意見をいただきまして、今後の運営に参考にさせていただき たいというふうに思っております。  そういう点で申しますと、評価のところに書きましたのは、事業運営 を行う私ども社会保険庁としての現時点での評価ということでご意見を 賜ればという趣旨で資料をお出ししております。 ○龍井委員  やはり今いみじくもおっしゃられた料率設定に当たってのあり方の問 題と、それから、この2ページ目にあります、これこれの措置を講じな ければいずれ料率にかかわってくるということと、多分レベルが2つあ ると思うのですね。つまり、いずれにしろここの場では、収支見通しと は別に、今後の施策のあり方、サービス内容のあり方、そして、多分予 算・決算ということが議論になっていくと思います。その場でこの政管 の事業そのものの、全体の収支ということは事業そのもののあり方がど うかということの点検とセットというか、むしろそのことが一番大事な わけで、その結果として料率がついてくる問題なわけですから、この判 断と言われても、単なるシミュレーションではなくて、どういう施策が 必要か、逆に言うと、こういう財政見通しの中でどういう問題点がある、 したがってどういう改善の余地がある、したがってその中で、料率の中 で受け持つべきものはこの範囲であるという、そういう判断が必要にな ってくると思うんですね。ですから、それはやはり私はこの場で、つま り政管の領というか、当事者がきちんとかかわっている場でその議論を きちんとしていただかないと、何か一方的に示されてどうですかと言わ れても、正直言ってどうお答えしていいかわからないというのが率直な ところです。  それから、2点目の今ご指摘があった料率設定、これも多分同じこと で、やはり当事者が参加している場が意見を聞く場というふうに今は位 置づけられていますけれども、そこの意見反映がないまままた別の場で 協議されるということについても、率直に言って腑に落ちない点があり ます。したがって、具体的な判断の問題から具体的な施策の検討、ある いは料率の見直しの場合には、ぜひこの場の位置づけを明確にしていた だく、あるいは、この場をある意味では格上げしていただくことも含め て、ぜひ社会保険庁全体改革の中で重要な議題として位置づけていただ きたい。これは要望です。 ○城戸委員  今のご要望と関連しておりますことが1つと、もう一つテクニカルで 基礎的な質問を1つさせていただきます。  まず、最初のテクニカルな方からいきますと、1ページ目の大きな2 の方の最初の○の中の平成17年度概算要求時点の基礎係数と書いてあり ますが、どんなものがあるかということです。  もう一つは、今のご要望と関連してですが、これまでずっと委員をし ておりまして、毎回問題になりますのが、この場で私たちが意見を述べ たことはどの程度反映され得るのかということです。現在、社会保険庁 改革がなされているわけですから、その中での政管健保の事業運営懇談 会のあり方をぜひ見直していただきたいと思っております。これは関連 意見として申し上げます。  今の点と関連しまして、終わりの方に表を2つ示していただきました けれども、平成19年度までの5年間の財政収支見通しがほぼ均衡してい ればいいという前提で料率を設定なさるというのですが、平成19年度と いうのはどういう年か考えて頂きたい。つまりこの年は、1947年生まれ の団塊の世代が60歳に達する年なのです。その後、1947、48、49の団塊 の世代がつづいて退職していきまして、年金の方にもはね返りがあると 思いますが、ここでも明らかに平成20年度、21年度のところで事業運営 安定資金が急激に悪化していくことがわかります。  これは楽観的な見通しの方でもそうなっておりますので、こういう点 について、19年度まででは財政収支が均衡するが、20年度、21年度は急 激に赤字が増えているのに、今料率を変えないでもいいのかという疑問 です。政管健保そのもののあり方を見直す。例えば都道府県ベースにす るというようなことが論議されておりますけれども、そういう点も絡め まして、果たして19年度までは何とかもつから料率変更なしで良いのだ と言い切れるのか。かといって、景気の腰折れを起こすような料率の引 き上げが果たして選択できるかということは、この場で何とも申し上げ られません。ただし、その点もお考えいただきたいと思います。  以上です。 ○医療保険課竹林補佐  私の方から、最初のテクニカルなということでご質問いただいた点に ついてお答えいたしますけれども、17年度の概算要求時点の基礎係数と 申し上げていますのは、被保険者数でございますとか、あるいは1人当 たりの報酬の水準、こういったことでございます。概算要求時点の数字 をスタート地点というか、それをスタートポイントにして、その後の伸 び率について先ほど申し上げましたように、ことしの5月に公表しまし た社会保障の将来推計と同じような伸び率等で推移するという前提で5 年間の試算をしたということでございます。 ○武田医療保険課長  ただいまお二人の委員からこの懇談会の位置づけ、その他についての ご意見がございました。ご指摘ありましたように、今社会保険庁改革の 真っただ中ということでございまして、別途社会保険庁のあり方の議論 をする場でございますとか、社会保険庁の運営全体についての適切性を チェックいたします運営評議会というのもできております。  そういう中で、この政府管掌健康保険に限ってご議論いただく場とし て、10年前からこの懇談会が発足しているわけでございますけれども、 私どもといたしましては、この場におきましては、この政府管掌健康保 険のさまざまな運営をめぐる問題点につきましてご意見を賜ればという ふうに思っておりますが、例えば保険料率について、より当事者として 関与するべきではないかというようなご意見でございますが、1つは制 度改正の中で、都道府県ごとに保険料率に差を設けていってはどうかと いうことが制度改正の絡みで議論されておりますけれども、その場合、 都道府県ごとに労使の方々を中心とするご意見をいただく場を設けては どうかということが1つ大きな議論の柱になっておりまして、これから 審議が進められていくということになっております。  現在はどういう形になっているかと申しますと、社会保険庁の方では、 このような財政試算を行い、保険料率の引き上げが必要と判断をされま すと、長官の方から申し出を行う。厚生労働大臣の方でそれを受けて、 社会保障審議会の方でその料率についての審議を行うというような形で、 社会保障審議会の方に審議の場が設けられているというのが現時点での 整理でございます。それが今後都道府県単位のようなことを議論してい く中で妥当なのかどうかというのがまさに来年以降、医療制度改革の中 で議論になってくるというふうに思いますので、そちらで私どもとして も十分審議を尽くしていただければということでございます。  本日の会議につきましては、そのような現状の制度を前提にご意見を 賜ればということで資料をお出しいたしました。ということでございま す。 ○花井参考人  質問ですが、2ページの3つ目の○ですが、この試算は概算要求時の 数字を前提としてその後に、経済状況等により変動が生じ得ることに留 意が必要とあるのですが、決算と数字が変わった場合、それから、経済 状況等によって変動が生じた場合、この収支見通しというのはもう一回 やり直すものなのか、これはあくまでも概算要求でこのままの数字でい くということなのか。  それから、この5年の収支見通しというのは、どこかの審議会に報告 義務がある収支見通しなのか、2つ目です。  それから、3つ目なのですが、今武田課長がおっしゃいましたように、 確かに医療保険部会の方で政管健保のあり方というのは今後の改革の中 で議論されるかと思うんですが、現段階のことについてちょっと確認い ただきたいのですが、社会保険庁長官が料率についての変更を厚生労働 大臣に申し出をすることができるとなっているのですが、社会保険庁長 官が判断する場というのは、通常、例えば審議会にかけて料率を変更す るかと思うのですが、社会保険庁長官が申し出をするときというのは一 体どこで確認されるものなのか。  それから、その後の社会保障審議会の議を経てとあるが、この審議会 というのは医療保険保険料率分科会のことを指しているのか、その辺の ご確認をお願いしたいと思います。 ○武田医療保険課長  ちょっと順次お答え申し上げたいと思いますが、ちょっと漏れていた ら申しわけございません。  まず1つ、概算要求の数字を前提したものなので、これを将来的に数 字を入れかえて見直す必要があるかどうか、また、予定があるかどうか ということでありますが、私ども、冒頭説明を申し上げましたように、 前回の試算が15年度からの5年間ということで、2年ごとに試算をとい うことであれば、17年をスタートとした5年間でやろうということで、 17年の予算編成の前に試算を行って公表ということで今回出させていた だいたわけでございますけれども、概算要求から予算セットまでの間に おきましては、さまざまな基礎係数を財政当局との間で精査をいたしま して、また、周辺の制度改正が仮にあればそれを反映させるということ で、具体的な数字のセットが行われることになります。それから、来年 の年初めになりますと、場合によっては経済見通しが政府全体として新 たな数字が出てくる可能性もございます。その他、拠出金の計算につき ましても、新しい数字が出てくる可能性がございますので、いずれにい たしましても、新しい数字に置きかえ作業というのは必要になってこよ うかと思います。  その場合に、具体的にどのタイミングでどのような数字の置きかえを ということは、今後の数字の状況を見ながら検討してまいりたいという ふうに思いますし、来年、医療制度改革の議論が進む中において、試算 を示す必要性が出てくる可能性もあるのではないかと思っておりますが、 いずれにしても、具体的スケジュールについては現段階では未定という ふうにご了解をいただきたいというふうに思います。  それから、公表の場について具体的なものがあるのか、それから、長 官が申し出をするかしないかについての判断の場があるのかというよう なご指摘につきましては、少なくとも、健康保険法の条文自体には、具 体的手続としての審議会の関与につきましては、厚生労働大臣の最終的 な告示の制定に審議会が関与するということが書いてあるだけでござい ますので、少なくとも法律的にどの場にこの5年収支をお示しをし、ま たは、長官が申し出をする前にどこに諮らなければならないという規定 は、現時点ではございません。したがって、私どもの行政判断といたし まして、予算・決算をお諮りをし、ご意見をいただいておりますこの場 にお出しをすることが最もふさわしいものというふうに考えて今回提出 をさせていただいたわけでございます。  それから……大体以上だったかと思いますが、よろしいでしょうか。 ○医療保険課竹林補佐  おっしゃるとおり、料率を引き上げるべきという申し出をした後にそ の議論を行うところは、今おっしゃった料率分科会というところで議論 することになります。 ○遠藤参考人  少し基礎的なことを教えていただきたい。推計に当たって平成16年5 月の将来推計を前提としているとのことなのですが、こちらの数値と、 政管健保の実態の数値とが食い違うというようなことはないのかを確認 したいと思います。  先ほど医療費の伸び率については、高齢者が3.2%と若人が2.1%だっ たと思うのですが、それは政管健保でもきちんと実績数値として当ては まっているのかどうかという話であります。あるいは、被保険者数につ いては最近減少傾向だったと思うのですけれども、やはりそのようなこ とで織り込んでいるのかどうかということを、政管健保の実績としてど の程度確からしいかについての評価をお伺いしたいと思います。  それから、収支の表の中で歳出のその他という項目があって、先ほど 1,100億円で固定しているというご説明があったのですが、これは合理化 する余地は今後ないのかどうか。もし見通し等を持っていらっしゃるの であれば、教えていただければありがたいと思います。  少し基礎的な点について確認させていただきたいと思います。  以上です。 ○医療保険課竹林補佐  ちょっと、すべて完全にお答えできるかどうかはあれなのですけれど も、まず給付と負担における試算の仕方との対比ということでございま すけれども、まず医療費の伸びにつきましては、給付と負担と全く同じ やり方で、先ほど申し上げました一般医療2.1%、高齢者3.2%というも のをそのまま用いておるところでございます。  それから被保険者数につきましては、これも基本的に給付と負担のや り方と全く同じやり方でやっているわけなのでございますが、試算を行 うスタートポイントが、平成16年5月の給付と負担のときよりも、今回 は17年度の概算要求時点のものに合わせているということで、試算の発 射台の部分が変わっているという点は、細かく言えばちょっと違うとい うことになりますけれども、基本的なやり方としては同じということで ございます。  試算のやり方については以上でございます。 ○武田医療保険課長  今ご指摘のありましたその他という経費でございますが、その他で、 今回の試算で申し上げますと、1,100億で横ばいというような前提になっ ておりますが、このその他の内訳がどうなっているかということでござ いますけれども、一番大きなウエートを占めますのが、いわゆる保健事 業費でございます。健診事業のようなものがございます。それから、運 営に当たるための事務費もここの中に含まれてございます。また、福祉 施設費のようなものも含まれてまいりました。したがって、合理化の余 地がないのかというご指摘でございますけれども、私ども事務費につき ましては、可能な限り合理化、効率化ということを図ってきております し、福祉施設経費につきましてもかなりの縮減を図ってきております。 一方で保健事業費につきましては、健診に関して、保険者として積極的 に取り組むべきだというようなご指摘も最近は出されておりますので、 そういったことを反映して今後の中期見通しを考えていかなければなら ないというふうに思っております。  ちなみに、前回の5年収支を出しましたときには、このその他のとこ ろは1,300億円で横ばい5年間というような前提を置いておりましたので、 一定の縮減が図られた結果の数字を将来に投影しているということでご ざいます。  それから、先ほどの質問でちょっとお答え漏れでございますが、1つ は、概算要求ベースというような形でやっているけれども、これまでの 決算は反映されているのかというようなご指摘もありましたが、例えば 私ども、17年度予算を概算要求するときには、15年度決算、16年の実績 見込みを踏まえて数字を精査しておりますので、そういう意味では、可 能な限り実績を踏まえた予算をつくるようにしておりますので、そうい う形で決算は取り込まれております。  それから、20年以降急激に財政が悪化する姿について、現時点で対応 する必要がないのかというような城戸先生のご指摘もございましたが、 平成20年以降につきましては、19年度までの老人保健制度の改革効果が 切れるということで、老人の医療費の伸びが各保険者に分担金としてか かってくるということで、財政状況が悪化する見通しを今回出させてい ただいたわけでありますが、まさにこの20年度以降の高齢者医療制度の あり方について、医療保険部会の方で議論が続行中と、来年度から審議 本格化ということでございますので、非常に制度改正によってここの姿 は変わってき得るものかなということで認識をしているところございま す。  私からは以上です。 ○稲上座長  ほかにございますでしょうか。 ○櫻井委員  今、今後の見通しの問題についていろいろなご意見が出ました。確か にいろいろな問題点があるのですが、この資料1の最後のところに過去 の推移が出ているわけで、今のいろいろご議論は、17年から先の見通し を何とかというのでいろいろあったのですが、この過去については事実 なのだろうと思います。16年度というのは終わってないので予想かと思 いますけれども、どっちにしても過去10年分ぐらい載っています。単年 度赤字がずっと続いてきて、実際には15年、去年の4月から保険料率の 総報酬制というのが導入されて、率は下がったけれども実質的には保険 料の値上げが行われてプラスになったというのが過去の事実なのだと思 うのです。  それで、実は今日この会議で財政運営の報告があるというので、後ろ の方にカラーでコピーしてもらったものを資料として出させてもらった のがあるのですけれども、これも事実として書いただけです。健康保険 料率と厚生年金保険料率の率の推移で、政管ベース、千分率で表示して います。1976年というと昭和51年になるのでしょうか、そのときに健康 保険料率と厚生年金保険率は、政管ベースで1,000分の76で一緒だったの です。この10何年、このグラフは事実を書いただけですけれども、保険 料率を厚生年金についてはずっと上げてきたのです。さっき申し上げま したように、去年、平成15年のところで総報酬制が導入され、白い線の ところで段差ができてしまったわけです。率は下がったけれども、実際 の対象の報酬額を上げましたから、やや値上げをしたわけです。  それで、厚生年金については、段階的に上げていくこと、自動的に上 げることを決めましたから、2018年の1,000分の183までは上げるという ことを決めております。  厚生年金の議論はまた別として、健康保険料率だけ見ますと、見てい ただくとおり、1,000分の76で一緒だった昭和50年から約30年近くこれし か上げなかったわけです。1,000分の76を1,000分の85まで上げたという、 1,000分の9ですから0.9%、厚生年金と比べてもしかたがないでしょう けれども、厚生年金の方は約10%上げたわけです。  それで、さっきの資料1の6ページを見ますと、これだけずっと赤字 を重ねてきたわけで、今後のことも大問題だけれども、過去を振り返っ てみると、これでは政管健保は赤字になるの当たり前ではないかという 気がするのです。こういうことが過去において、この懇談会等がいつで きたか忘れてしまいましたけれども、いろいろなところでもずっと言わ れていたにもかかわらず、それに対応してきていなかったのではないか なと思います。もちろん対応は保険料率だけではないのでして、いろい ろな意味で、はっきり言えば、医療費の抑制政策が行われたわけですけ れども、政管健保についていえば、これを見ていただいても保健料率は ほとんど動いていないというか、抑えられてきたために医療費が足りな くなっていると思います。  ついでに、これはここで言う問題ではないですが、次のもう一枚の資 料は、よくいう国民負担率で、今言われている潜在的という、赤字国債 を加えたのではなくて、もともと臨調が言った国民負担率、租税と厚生 年金、健康保険料率等を加えた社会保障負担率を足したものの推移とい うのを見ていただくとわかるように、1988年ですから、昭和……要する に、16年か17年前ですね、そこら辺のときに37%という数字がでて、途 中で38%というのがありますけれども、今のところ36%とか、全然増え ていないのです。見てわかるように、確かに租税負担率、つまり減税を 行ってきたために足し算すると変わっていないということで、社会保障 費の負担率が上がっていることは事実で、それはさっき申し上げたよう に、厚生年金の負担率を上げてきたためのものであって、いずれにしろ 過去の客観的事実としては、何でこの政府管掌ベースの健康保険料率を もう少し考えてこなかったのかというのは、ここで議論することではな さそうなのですけれども、資料として出させていただきました。  以上です。 ○龍井委員  やはり幾ら確認、報告とはいっても、今後の検討を考えると、この場 だけですべてはできないのかもしれませんけれども、まさにこれはほっ ておくと大変なことになりますよということです。当然料率の話にすぐ 行きがちなのですが、今のご提起の中にもありましたように、破綻に導 かないために何の施策が必要なのかという議論がやはりそもそも行われ るべきです。そのときに、先ほどのその他経費も含めて、やはり予防措 置にどれだけ力を入れることが医療経費を抑えられるかというのも、こ れは政管に限らずそういう議論に一方ではなっているわけなので、どう してもやはり数字の帳尻合わせのところをどこにもっていくかという議 論になりがちなのを、むしろ政管という、事業運営としてどうあるべき かという議論をきちんとした上で見通しを論じないと、幾ら前提条件の 数字を入れてシミュレーションA、B、Cをつくられても、結局それは 示された方も判断できないし、あるいは、いい数字が出たからといって 安心はできない。変わるかもしれないし、その事業が保障されるかどう かもわからない。  という意味では、現行のスキルの中で工夫できることはあると思いま すので、これがいきなりこの法律条文に沿った料率に結びつくのではな い、施策、事業のあり方にどれだけ結びつけていくかという今後の運営 をぜひお願いをしておきたいと思うんですが。 ○稲上座長  ほかにご意見ございますか。 ○遠藤参考人  先ほど櫻井先生から厚生年金と政管健保の対比表が出されました。こ うした料率自体の問題も含めて、社会保障制度の一体的改革ということ で、いろいろなところで議論が行われています。政管健保もその一体と 私どもは認識しております。厚生年金保険料率が、毎年0.354%ずつ引き 上げられていくと、労使で約1兆円ずつぐらい保険料負担がふえていく わけです。こうしたことと重ね合わせて考えますと、政管健保でもやは り医療給付や拠出金などの合理化に取り組むことは、今後避け得ないと 思います。その中身は今後、医療保険部会等で検討されていくのだろう と思いますが、その検討の場に参考にするために、今回の政府管掌健康 保険の収支見通しが出されたと認識したいと思っております。  以上でございます。 ○稲上座長  ほかにご意見、ご質問ございますでしょうか。 ○城戸委員  細かい点ですが、社会保険病院の廃止というようなことが行われてい たと思うのですが、それはどのように進捗しており、どのくらい経費が 節減されているかということをお伺いしたい。 ○中野企画課長  社会保険病院の見直しにつきましては、平成14年の医療保険改革の際 に議論になりまして、厚生労働省の方針として、平成14年の12月に見直 し方針を立てております。平成15年、16年、17年、この3カ年の改善計 画を社会保険病院の方に立てていただきまして、現在それに沿って実施 をしているという状況でございます。平成18年にその実績を見まして整 理合理化計画を策定するということで、現在見直しの途上という状況で ございます。 ○三枝施設管理室長  補足させていただきます。  どのくらい経費が削減されているかということでございますが、16年 度予算、病院も含めた整備費関係でございますが、100億円の予算額でご ざいましたけれども、17年度予算では16億円、額にしまして84億円の減 額で予算要求させていただいているところでございます。 ○稲上座長  ほかにご質問、あるいはご意見がございますでしょうか。 ○龍井委員  今でなくてもいいのですが、先ほどの内訳ですね、2年前の推計から、 先ほどのその他経費の1,300と1,100の差もそうなのですが、やはりでき る限り具体的な中身でお示しをいただいた方がいいと思いますので、今 日は全方が一切出ていないので、細目ができる限り対比できるような資 料をお願いしたいと思います。 ○稲上座長  それはよろしゅうございますでしょうか。 ○武田医療保険課長  わかりやすい形に整理をいたしましてお出しをしたいというふうに思 います。本日用意できておりませんで、申しわけございません。 ○稲上座長  よろしくお願いいたします。 ○城戸委員  やはり、社会保障審議会の医療保険部会の意見とこちらの意見とがど のように組み合わされていくかということを私たちは理解したいと思い ます。例えば、表の方を見ていただきたい。医療分、楽観的な見通しの 方で結構ですが、老人保健拠出金は17年から21年にかけてそれほど増え ていない。それは、老人保健制度適用対象年齢を引き上げていくからで しょう。それが19年度で終わると先ほどご説明がありました。他方、退 職者医療制度への拠出金がかなり増えます。17年から21年にかけて。要 するにこれはこちらのお金をあちらに回したというだけの話ではないか と思います。こういう点について、社会保障審議会医療保険部会はどの ように判断しているのか知りたいと思います。それもただ、私たちが 個々に医療保険部会の議事録を見て個人個人で考えているというのでは 良くないと思いますが、いかがでしょうか。 ○武田医療保険課長  先ほども申し上げましたように、社会保険庁改革だけでも幾つかの議 論の場になっておりまして、それぞれの議論をお願いしている場、先生 方に大変、こちらではこういう議論の整理ですとか、こちらでこういう 議論の整理になっていますというのは、私どもも時々大変心苦しい思い をするときもございますけれども、可能な限り、ある場での意見がそれ を議論すべき場にきちんとつなげるという努力を我々事務局としてはし ていかなければならないというふうに思っております。  そういう点からいたしまして、本日の試算につきましても、今日議論 がありましたように、制度改正と非常に深く関係する部分がございます ので、医療保険部会にもお出しをしてご説明しなければならないという ふうに思っております。具体的スケジュールは立てておりませんが、そ ういう必要性があるというふうに思っておりますし、ぜひ意見を言いた いということがもし仮にございましたら、それを医療保険部会の場につ なぐということもあろうかと思います。また、医療保険部会で来年の早 い時期に政管の議論がされることになっておりますので、そちらでの議 論をまたこの場にご紹介をするということも考えてまいりたいというふ うに思います。  それから、ちょっと次の議題の先取りで恐縮ですが、次の議題でもほ かの場で出た議論をご紹介させていただく予定にしておりまして、こう いう形で可能な限り有機的連携が保たれるような運営に心がけたいとい うふうに思いますので、その点何分よろしくお願いしたいと思います。 ○稲上座長  よろしゅうございますでしょうか。  それでは、資料の2につきまして、引き続き事務局からご説明をいた だきたいと思います。 ○医療保険課竹林補佐  それでは、資料の2−1から2−7につきまして、資料の説明をさせ ていただきたいと思います。  まず、お手元の資料の2−1と右肩にふってある「政府管掌健康保険 におけるレセプト開示について」という資料を中心にご説明申し上げた いと思います。  今回、政府管掌健康保険における今後のレセプト開示についての取り 扱い、手続等について、社会保険庁としての案を提示するというところ まではいきませんで、ご議論をいただきまして、ご意見をちょうだいい たしまして、今後の検討の参考にさせていただきたいということでござ いますが、まずはこういった資料を出すことになった背景でございます。 1の背景とございます@番でございますが、来年の4月1日から行政機 関の保有する個人情報の保護に関する法律というものが施行されるとい うことで、今後開示の手続等について見直しが必要かどうかということ を検討する必要があるということになります。  それで、具体的に法の施行によって何が変わるかということを説明し てあるのがAのところでございます。まず、1つ目の「・」のところで ございますけれども、これは、条文を資料2−4という番号の資料とし て用意しておりますけれども、ここの3ページ目を見ていただきますと、 第14条という条文がございまして、この14条によりますと、行政機関の 長は開示請求があったときは、不開示情報のいずれかが含まれている場 合を除いて、当該保有個人情報を開示しなければならないということで、 行政機関として開示することが原則としては義務になるということでご ざいます。これまでレセプトの開示というのは、ある意味行政サービス として行われてきたわけでございますが、今後は義務になるということ でございます。  それから、同じ、今申し上げました14条におきまして、今不開示情報 ということを申し上げましたけれども、これは行政機関の保有個人情報 に共通するのでございますけれども、不開示情報というのがございまし て、法律の14条の第1号から第7号まで列記されておりますけれども、 このように開示請求された場合に不開示、あるいは部分開示という取り 扱いにできるのは、ある一定の場合に限られるということになります。  具体的にレセプトについて問題になりますのは、14条の第1号にござ います開示請求者の生命、健康、生活または財産を害するおそれがある 情報ということになってこようかと思います。例えで申し上げますと、 がんのような生命を脅かすような病気の患者さんから開示請求があった ような場合に、難しい判断を迫られることになるという場面が出てこよ うかということでございます。  それから、この条文でいきますと18条という条文がございまして、先 ほどの資料2−4の5ページ目でございますけれども、開示請求に対す る措置ということで18条という条文がございます。この条文によります と、行政機関の長は、全部または一部を開示するときは、その旨の決定 をし、開示請求者に対して書面によって通知しなければならないという こと。それから、第2項でございますけれども、開示しないという場合 にも、その旨の決定をして、書面によって通知しなければならないとい うことでございまして、要するに、開示する、しないという決定が行政 処分ということになるわけでございますが、したがいまして、この決定 に対しては、その請求者は不服申し立てができるようになるという点で これまでとは異なるということでございます。  それから、最後に、条文の資料2−4の6ページ目でございますけれ ども、最後に第42条という条項がございますけれども、先ほど申し上げ ました不服申し立てがあった場合には、原則として情報公開個人情報保 護審査会、こういうところに諮問をしなければならないと。諮問した上 で取り扱うということになるということでございます。  こうした点が法律の施行によって変更となる主なポイントということ でございます。  それで、資料の2−1の2ページ目でございますが、そうしたことを 踏まえまして、さまざま検討すべき事項はございますが、その中で主な 事項として、今回は2つの論点を掲げさせていただいております。  1つ目でございますけれども、レセプト開示における主治医の関与に ついてということでございます。それで、現在の取り扱いについて1つ 目の「・」に書いてございますけれども、現在、ご本人から開示請求が された場合には、主治医に診療上支障がないか確認の上、開示であると か部分開示、あるいは不開示の決定を行うということとされてございま す。これにつきましては、資料の2−3という資料に、現在の政管健保 におけます取り扱いについての資料を準備してございます。  それで、参考までに、その資料の5ページ目をご覧いただきたいと思 いますけれども、資料の5ページ目の(4)番、保険医療機関等への照 会というところがございまして、下線が引いてあるところでございます けれども、当該レセプトを発行した保険医療機関等に対し、レセプト開 示の適否について照会することというようになっておりまして、それで、 回答としては、開示、部分開示、不開示といった区分について医療機関 の方から回答を書いてくるということになりますけれども、今現在の回 答がどのような形で帰ってくるかというのが、同じ資料2−3でござい ますけれども、14ページ目に医療機関からの回答の様式がございます。 この様式の下の方に開示の適否の区分ということで、開示、部分開示、 不開示ということで、この3つのうちのどれかに○をして返していただ くということになっております。  したがいまして、今の取り扱いでいきますと、開示していいか悪いか ということ、ある意味結論だけご回答いただくということで、なぜそう なのかということについては確認するようなことになっていないという ことがございます。  それで法施行後は、資料の2−1に戻っていただきまして、2の@の 2つ目の「・」でございますけれども、法律の施行後は、部分開示、不 開示決定に対しまして不服申し立てが行われるようになるということが ございますので、主治医、医療機関等に対する具体的な確認のとり方に ついて検討する必要があるのではないかというふうに考えてございます。 今回、私どもとしての案をこの場で提示するということではございませ んけれども、不服申し立てへの対応というところまで考えますと、単に 開示、不開示という結論だけではなくて、なぜそうなのかという理由は 少なくとも確認することにせざるを得ないのじゃないかというあたりの ところまでは内々考えておるということでございます。  それで、今後の取り扱いについて考えるための参考として幾つか資料 を用意させていただいておりまして、まず、資料の2−5というものが ございます。これは、「健康保険組合等における個人情報の適切な取り 扱いのためのガイドライン案」というものでございまして、これはまだ 案でございますけれども、現在、いわゆるパブリックコメントというも のを求めるために、世の中に公表はされておるということでございます。  その抜粋の資料でございますけれども、この主治医の関与に関してい いますと、3ページ目をご覧いただきたいと思います。ここにございま すように、健康保険組合等についてのガイドラインについては、下線が 引いてあるところでございますが、開示することで本人または第三者の 権利、利益を害するおそれがあるかどうかの判断は、健保組合等におい ては容易でないため、別に定めるガイドラインに基づきまして、開示に 当たって担当医判断を要するものとするということで、健康保険組合等 のガイドラインについては、担当医の判断が必要だということが書いて あるということでございます。  ちなみに、健康保険組合等は行政機関ではございませんので、個人情 報保護に関していいますと、社会保険庁に適用されます先ほど紹介しま した法律とは別な民間の事業者用の個人情報保護法というのがございま して、適用される法律が実は違うという点はご留意いただければと思い ますが、根底に流れる考え方自体はそう変わるものではございません。  以上が資料2−5でございます。  続きまして、資料2−6というもの、1枚紙の資料でございます。  社会保険庁のあり方に関する有識者会議というものが現在社会保険庁 の改革の議論をいただくものとして、官邸の方で会議を開催していただ いておるところでございますが、その中でレセプト開示、特に政管健保 のレセプト開示ということについて何度かご発言があったということが ございます。それで、第2回、第3回、第4回、第5回と、毎回のよう に、これは大熊委員という方からいつもそのご意見をいただくわけでご ざいますけれども、大熊先生の方から、政管の方が率先して医療機関の 同意なしにレセプトを無条件に開示すべきだというご意見を何度かいた だいておるということでございます。  それで、その趣旨ということでございますけれども、端的にあらわれ ておりますのは第4回のところのご意見かと思いますけれども、今、請 求すれば事前に医療機関にその旨が伝達されるということでございます けれども、下線にございますように、請求したことが医療機関、主治医 に知れることを恐れて請求しない人もいるということ、こういうことが 開示請求の促進にとってのバリアになっているというようなお考えに基 づいてこういったご意見を何度かいただいておるということを参考まで に資料として用意させていただいたということでございます。  なお、資料2−7といたしまして、これまでの社会保険庁としてのレ セプト開示の実績を示させていただいております。平成15年度に関して いいますと、レセプトの請求枚数ということでいきますと4,000枚を超え るということでございますけれども、請求者数でいきますと400人ぐらい ということで、お1人当たり平均して10枚ぐらいレセプトを請求されて いるというようなことでございます。  その中で、不開示という取り扱いになっておりますものは、そこにご ざいますように29枚と、部分開示を含めての30枚ということで、請求が 上がってくるものに対して、開示がなされない取り扱いになるもの自体 はそれほど多くはないという実績にはなってございます。  以上が検討すべき主な事項の論点の@でございます。  次に、A、遺族からの開示請求についてということでございます。そ れで、現状について言いますと、これも先ほど用意させていただいた資 料の2−3というところにございますが、ちょっと細かくは申し上げま せんけれども、現状でいいますと、亡くなった被保険者等の遺族、具体 的に申し上げますと父母、配偶者または子供、こういった方々からの開 示請求があった場合には、基本的には遺族であることが確認できれば開 示しておるということでございます。  ただ、今後のことについて申し上げますと、まず、ここで保護と書い てありますのは行政機関の個人情報保護法でございますけれども、条文 については、先ほど申し上げましたように資料2−4というものがござ いまして、それの2ページ目でございますけれども、第2条第2項とい う条文がございます。ここではっきり書いてございますように、この法 律でいうところの個人情報とは、生存する個人に関する情報であるとい うことが明記されておるというわけでございます。ただ、そうはいいま しても、亡くなった方の個人情報の取り扱いについては、さまざま慎重 な取り扱いが求められているという部分もあろうということで、今後慎 重な検討をする必要があるというふうに考えてございます。  ちなみに、この遺族からの開示請求について申し上げますと、資料2 −5の健康保険組合等のガイドラインでございますけれども、幾つか関 連する記述がございます。まず、1ページ目の中ほど、「8.遺族への個 人情報の提供の取扱い」という部分がございまして、3行目の右のあた り以降でございますが、「しかし」というところから始まる部分でござ いますけれども、被保険者等が死亡した際に、遺族から診療報酬明細書 等の個人情報について照会が行われた場合、健保組合等は被保険者等本 人の生前の意思、名誉等を十分に尊重しつつ、特段の配慮が求められる。 このため、被保険者等が死亡した際の遺族に対する診療報酬明細書等の 個人情報の提供については、「診療報酬明細書等の被保険者への開示に ついて」、これは現行の通知でございますけれども─において取り扱 いが定められていることを踏まえ、健保組合等は、同通知の内容により 遺族に対して診療報酬明細書等の個人情報の提供を行うものとするとい うことで、ここでも特段の配慮が求められるというようなことが書かれ てございます。  それから、その次のページでございますけれども、2ページ目、これ も下線を施してあるところでございますが、「なお」で始まるパラグラ フでございますけれども、死者に関する情報が、同時に、遺族等の生存 する個人に関する情報でもある場合には、当該生存する個人に関する情 報となるということでございます。  こういったことを参考にいたしまして、今後その取り扱いについては、 法律の施行にあわせて検討していきたいというふうに考えてございます。  いずれにしても、今回は社会保険庁としての案を提示ということでは なくて、主要な論点を紹介させていただくというところまででございま して、この懇談会でいただきましたご意見を今後の検討に参考にさせて いただければと考えております。  資料の説明は以上のとおりでございます。 ○稲上座長  どうもありがとうございました。  それでは、ご質問、あるいはご意見を伺いたいと思います。 ○龍井委員  ちょっと意見を申し上げる前に、今日ここで出されたことで、この中 の項目についてこの後どういうタイミングでどういう場で検討されて、 結論が出されるのかという、そのプロセスと場をちょっとお伺いしてお きたいのですが。 ○武田医療保険課長  来年の4月の施行ということでございますので、年度内に検討してま いりたいと思いますけれども、行政機関の保有するレセプト情報という 観点になりますと、実は国民健康保険も市町村保有の情報ということで 関係が出てまいります。したがって、保険局ほかとも連携をとりながら 検討してまいりたいと思いますが、いずれにせよ、年度内に結論を得る べくやってまいりたいと思いますが、具体的手順、方法につきましても 現段階では検討中ということでございます。 ○龍井委員  またいずれ具体的な考えを示された段階でご意見を申し上げる場面も あるかと思うのですが、今日の提案の2ページ目に、@の主治医の関与 の項について、確認のとり方という項目が示されています。先ほどご説 明あったように、保険者として不服申し立ての対象になるということを 考えていくと、私どもは基本的にはこれは無条件開示すべきだという考 え方を持っているのですが、少なくともこの段取りに即して考えた場合 は、その理由が、先ほど条文もありましたけれども、妥当であるかとい う判断、あるいは根拠ですね、それがないと恐らく不服申し立てという スキームには耐えられないのではないかと思いますね。理由だけが書い てあって、それで不服申し立てがあったと言ってみても、それが妥当か どうかという判断は別のレベルになってきますので、そういう意味では、 確認のとり方だけではなくて、それが妥当かどうかということも含めた 検討が必要ではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。 ○武田医療保険課長  理由が妥当かどうかといいますか、私どもとして主治医の先生方に診 療上の支障が生ずるかどうかを確認させていただいた上で、現在の考え 方、平成9年の保険局長通知によりますと、最終的には保険者判断で開 示、不開示決定ということでございますので、そういう意味では、さま ざまなものを保険者としての判断ということになってくると思いますけ れども、具体的な手続その他につきましては、十分関係する方々と協議 させていただきたいというふうに思います。 ○龍井委員  中身については私から意見を申し上げるつもりはないのですが、つま り、そういうことを想定すると、保険者判断が妥当かどうかというのが 法律上のスキーム上対象になってしまうわけですよ。だから、主治医と の関係の確認のとり方だけじゃなくて、その判断の妥当性ということも 自動的に検討項目として入るのじゃないかという、そういう質問なので す。 ○武田医療保険課長  ご趣旨を踏まえて十分検討させていただきたいと思います。 ○稲上座長  ほかにございますでしょうか。 ○吉田委員  資料2−7ですけれども、要求されたレセプトに対して「不開示」の 枚数というのは非常に少ないのでなるほどと思って拝見しているのです が、その他というところで1,153とか1,013という数字が入っていて、そ の内容は年度末の時点で照会中のものまたは不存在のものということで すが、例えば平成13年度の「その他」がその後どうなったか、今平成16 年度でもまだ「その他」に分類されているのか、或いは分類されていな ければいけないのか、もう少しクラリファイできないのでしょうか。 ○医療保険課竹林補佐  その他というものでございますけれども、主に数字をとった時点で取 り扱いが保留になっていたというものだということなのでございますが、 例えば平成13年度、その時点で保留になっていたものについても、その 後の結果というのがその次の年度以降に反映されておるということでご ざいますので、その他がその他のままということではないということで ございます。 ○吉田委員  この表では平成13年度「不開示」29に対して、「その他」が2桁も大き い1,153という数字になっており、その内容が「照会中」乃至「不存在」 ということは、1,153の中に「不開示」が含まれている訳であり、「不開 示」29という数字が参考にならなくなります。せめて翌14年度には前 13年度の1,153の内訳が明確にされれば「不開示」のおよその実態が?め す。つまり、「その他」の1,153の中「不存在」がいくつあったか、「照 会中」がいくつあったか、また「照会中」の中に「不開示」がいくつあ ったか、そういう内訳が判るようにならないかということであります。 今の表ではこの辺のところが全く?めません。若しそれが判っているな ら何故ここに今の表とは違った形で出てこないのですか。坂口さんが先 程おっしゃっておられましたが、最終的に「不開示」がどれだけだった かということに私は関心をもっている訳です。  というのは「不開示」がなるべく少ない方がよいと思っているからで す。これからも「不開示」が出てくるでしょうが、出来るだけ真実に近 い数字を出して頂き年々の傾向が判るようにして頂きたいと思っていま す。そのためには毎年度の「その他」の分析を出来るだけ細かくやって 頂きたいと思います。  今の様に請求枚数の1/4に近いものが「その他」に括られて表に出てく るのは如何かと思います。 ○医療保険課竹林補佐  いずれにしても、資料のつくり方というか、こういったものの結果の 示し方については、ご意見を参考にいたしまして検討させていただきた いと思います。 ○吉田委員  将来出ませんか、例えば平成13年度のものが。「その他」の1,153が最 後にどうなったかということは。もう何年もたっているのですから。 ○武田医療保険課長  資料のつくり方が不十分で申しわけございません。精査をして、また 次回までにはきちんとお出しをしますが、基本的に、年度末の時点で切 っていますので、ドクターに照会をして返事が返ってくるまでの間にど うしても時間がかかっているので、年度末の一時点で見ると照会中とい うことになりますが、もちろん翌年度に開示決定すれば開示の方に入り ますし、不開示だったら不開示の方に入りますので、恐らくこれまでの 不開示枚数というのはここに書いてあるだけですので、例えば年度末で 1,000件進行中のものがあっても、翌年度に開示か不開示に必ずなって、 不開示で残ったのが結局この数字しかないと。2年も3年も保留という ことはないはずですので、そういう意味では、不開示枚数はここにある のがこれまでの実績ということでご理解いただければと思います。  いずれにしても、ちょっと表のつくり方について、もう一遍勉強させ ていただきます。 ○吉田委員  お願いいたします。 ○花井参考人  今日、別紙の資料でお配りしていただいておりますが、社会保険庁の あり方に関する有識者会議のときに、連合の草野事務局長の方から政管 健保の運営に関する意見というものを出させていただきました。その中 の3ページのところに、レセプトの無条件開示と開示の推進をというこ とで記載してございますので、ぜひご覧いただきたいと思います。  そして、これは要望でございますが、医療費通知が従来2カ月分だっ たものが、今年から全月分医療費について通知されるということになり ました。私も政管健保の被保険者なのですが、ただ名前が書いてあるだ けで、スペースがもったいないと思いますので、ぜひとも無条件開示に なるまでの間は、レセプト開示ができるのだということを医療費通知な どを使いまして宣伝していただきたい。  それから、先ほどの資料の2−3の14ページですが、ここの回答とい うところに、先ほどご説明でもありましたが、不開示の場合、理由を書 く欄が全くないので、ぜひともこの様式のあり方も検討いただきたい。 また、書類の種類が大変多いという印象を受けております。レセプト開 示請求をして、それから本人に回答が来るまでの手続をもう少し簡素化 できることも、あわせて、不開示の理由を書く欄も追加していただくこ とを強くお願いしたいと思います。   ○武田医療保険課長。  ご意見ありがとうございました。ぜひ検討させていただきたいと思い ますが、1つだけ私から追加的なコメントでございますが、この医療費 通知を使ったレセプト開示の手続の周知ということにつきましては、議 題に社会保険庁改革プログラムに盛り込ませていただいているところご ざいますので、後ほどご紹介をさせていただきたいと思います。  それから、もう一つだけつけ加えますと、開示・不開示の理由欄がな いということで、この見直しについて検討させていただきたいというふ うに先ほど申し上げましたが、また、大熊委員のご発言もちょっと紹介 させていただきましたけれども、念のためつけ加えますと、私ども、開 示・不開示のみの様式ではございますが、実際には医療機関の方々に理 由について確認をしておりますし、医療機関の側から大変その意味では、 様式にはございませんが、実際にはご協力をいただいて、不開示の理由 についても教えていただいている。それをもとに、先ほど見ていただき ましたように、非常に不開示、実際には少なくて、開示に至っている例 が非常に多いということを念のため申し沿えておきたいというふうに思 います。 ○花井参考人  少ない不開示というのは確かにそのとおりだと思いますが、その不開 示の理由、個別例ではなくて、どういうケースが多かったのか、保険者 として情報としてお持ちかと思うのですが、その辺は公表することはあ り得ないのでしょうか。その辺はどのようなことになっているのでしょ うか。 ○武田医療保険課長  個別不開示理由について、まだ私どもとして把握する形になっており ませんので、どのような形でお示しが可能か、少し考えさせていただき たいというふうに思います。 ○遠藤参考人  レセプト開示の件ですが、情報公開法の議論の過程に詳しくないので 教えてほしいことがあります。患者さんが医療機関側の開示・不開示の 意思にかかわらず開示してほしいという考えをあらかじめ表明している 場合には、医療機関に確認することなく開示すべきであるというような 議論があったのか、なかったのか。仮にあったのであれば、その考え方 は否定されていると思うのですけれども、その理由を教えてほしいとい うことが1つでございます。  それから、資料の2−7の開示請求者の数なのですけれども、遺族の 方々からの分もこの中に含んでいると理解してよろしいのでしょうか。  最後は意見なのですが、先ほど花井委員もおっしゃられましたけれど も、不開示、あるいは部分開示とした場合につきましては、その理由を 書面で明示するということにつきましては、私ども必要であると思って おります。  以上でございます。 ○医療保険課竹林補佐  まず、1点目でございますけれども、今手元に、情報公開法の議論を しているときにおっしゃったような議論がなされていたかというのは確 認できませんので、またちょっと別の機会にでも調べてご回答したいと 思います。  それから、開示件数につきましては、ご遺族からの開示請求について も含まれておるということでございます。  以上でございます。 ○櫻井委員  これも恐らくここで議論することではないだろうと思うのですが、原 則開示で主治医というか医療機関への問い合わせが要らないということ も1つのご意見であることは十分に承知していますけれども、レセプト というのは何かというと、恐らくレセプトというこの紙の所有権は保険 者にあるのだろうと思うのですが、そこに載っている情報は何かという と、患者情報が載っているのですが、同時に医療機関情報でもあるので す。その医療機関がどういう治療をしてどういう判断をして何をしたと いうことですから、簡単に患者さんから、本人から請求があるから何の 連絡もしないですぐに見せてしまっていいということにはならないので、 医療機関の情報は、医師にとっても自分の大事な情報なわけですから、 そこの個人情報は保護されるべきだというのが我々の考えなのです。こ こでそれを議論し始めるとまた大変なのだけれども、レセプトというの はそういうことだろうと思います。所有物としては保険者だけれども、 情報は患者さんと医療機関の両方の情報が載っていると、そういうこと だと思います。 ○稲上座長  ほかにご意見ございますでしょうか。 ○中西座長代理  何を開示し、何を不開示にするかという議論を行うつもりはございま せんが、レセプトというのは基本的にはカルテを基本としてつくられて いるわけでありまして、そういう観点から、レセプトの開示・不開示と いう話と、カルテの開示・不開示という話というのは、恐らく密接に関 連しているのであろうと。その取り扱いに差をつけるとすれば、どうし て差がつくのか、差をつけないとすれば、こういう理由で差はつかない のだという説明が必要なのではないか。  それから、レセプトは政管健保のレセプトのほか、さっき課長からお 話があったように、国保のレセプトもありますし、健保組合のレセプト もある、共済組合のレセプトもある。だから、国民の立場からすれば、 法のカバーする範囲は別として、基本的には整合性がとれていないとお かしいのではないかという気がいたしますので、難しい問題ではありま すが、全体の整合性をよくとっていただいて、どこまで開示でき、どこ からはどうしても不開示なのかというところを、整合性のとれた形で示 していく必要があるのではないか。  それから、これは質問でありますが、国が関連する医療機関でありま すが、ナショナルセンターであるとか、あるいは国立病院といった独立 行政法人、こういった機関については、個人情報保護法は適用されない と思うんですが、その取り扱いはどうなっているのでしょうか。 ○医療保険課竹林補佐  今のご質問は、独立行政法人の個人情報ということかと思いますけれ ども、実は個人情報保護法に3種類ございまして、全くの民間の事業者 を対象にするものと、国の行政機関を対象にするものと、あと、独法を 対象にするもの、3つございますので、その独法の個人情報保護法とい うものが適用されるということになります。ちょっと中身を詳細に承知 しておりませんのでご説明できませんけれども、そういったものがある ということでございます。 ○中西座長代理  なぜお尋ねしたかというと、そちらの方で同じような法規制がなされ るとすれば、要するにカルテの問題も出てくるわけですね。だから、そ れとの間のやはり整合性というか、そこもよく考えて対応しなければな らないのではないかということを申し上げたわけです。 ○武田医療保険課長  私も詳細、全部承知しているわけではないのですが、医政局の方でカ ルテといいますか、診療情報に関するこの個人情報保護の扱いにつきま しては、検討会をつくって随分議論しているようでございまして、そち らの議論を参考にして保険局の方でレセプト情報の扱いを議論して、健 保組合のガイドラインが今パブリックコメントで出て、我々もややおく れぎみかなと思いながら今日初めて議論させていただいたということで ございまして、やはりカルテの扱いとレセプトの扱いと、医療では2つ 大きな問題があろうと思いますし、なるべく整合性をとるような議論の 進め方ということは十分念頭に置いているということだろうと思います。 ○稲上座長   ほかにございますでしょうか。 ○龍井委員  先ほどご提起があった中で、レセプトの中にいわゆる患者側と、それ から診療側というか医師、あるいは医療機関側の情報が入っている、そ れはよくわかります。ただし、ここで対象としている個人情報保護とい う場合の対象にその両方が入るということで議論を進めるのか、ちょっ とそこは確認しておきたいのですが。 ○武田医療保険課長  今日の資料で申し上げますと、資料の2−5、健保組合のガイドライ ンがありますが、その3ページ目をご覧いただきますと、その3ページ 目の真ん中辺に法の規定により遵守すべき事項等というのがありまして、 「・」の2番目なのですが、例えばレセプトの情報の中には、被保険者 等の保有個人データであって、診察した医師の保有個人データでもある という二面性を持つ部分が含まれるというようなことがここにも書いて ございます。ただ、レセプト全体が被保険者等の保有個人データである ことから、被保険者本人から求めがあれば、その二面性であることを理 由に開示しないこととはできないというようなことがここでは整理をさ れているということでございます。 ○稲上座長  よろしゅうございますでしょうか。 ○花井参考人  1つだけ教えていただきたいのですが、資料の2−1の2ページの@ のところなのですが、主治医に診療上支障がないか確認の上、その診療 上支障がある場合というのが多分不開示の理由になると思うのですが、 それは主によく言われるがんであるとか、そういうことなのでしょうか。 典型的な例というのはどういうことを指すのかちょっと教えていただき たいと思います。 ○稲上座長  おわかりでしょうか。 ○武田医療保険課長  これは、カルテの方の診療情報の提供等に関する指針というのが示さ れておりまして、そこの中で実は幾つか列挙されておりますが、診療情 報の提供を拒める場合として、診療情報の提供が第三者の利益を害する おそれがあるとき、診療情報の提供が患者本人の心身の状況を著しく損 なうおそれがあるとき、この患者本人の心身の状況を著しく損なうおそ れがあるときとは、例えば患者の状況について家族から聞いて、これを カルテに書いている場合ですが、その家族がこんなことを言っていたと いうのが本人に知られて、患者と家族の人間関係が悪化するような場合 というのが1つの例として挙がっております。  それから、例えば症状、予後、治療経過について患者に対して十分な 説明をしたとしても、患者本人に重大な心理的影響を与え、その後の治 療効果等に悪影響を及ばす場合と書いてございまして、これは本人にま だ病名告知がなされていない場合のようなことが想定されているのでは ないかと思います。  その他、病名告知がなされない場合に加えて、精神疾患の場合につき ましても非常に扱いが困難だということは、これまで言われている例と してはそのようなことがあろうかと思います。  いずれにしても、ちょっと今これ、カルテ側の指針の一部抜粋で申し 上げましたが、そのような例がレセプト開示の場合でも同じように問題 になるのではないかと思います。 ○花井参考人  すみません、お願いなのですけれども、そうしますと、先ほど不開示 の理由につきまして資料の整理をお願いしたいということを述べたので すが、今挙げられました例とあわせてどうなのかという、そんな形での 整理をしていただけたらということを要望しておきたいと思います。 ○稲上座長  ほかにございますでしょうか。  少し時間が押しておりますので、今までいただきましたご意見、これ から事務局でご検討いただけますでしょうから、いろいろ参考にして生 かしていっていただきたいというふうに思います。  次の議題にまいりまして、全喪届に係る事務処理の適正化につきまし て、事務局からご説明をお願いしたいと思います。 ○医療保険課杉山補佐  お手元の資料3でございます。社会保険庁といたしまして適用の適正 化につきまして幾つかの取り組みをしておりますが、本日ご報告させて いただきますのは、全喪届に係る事務処理の適正化でございます。  資料の下の段にこれまでの取り組みということが参考にございますけ れども、全喪届と申しますのは、平たく申しますと、いわゆる脱退届と いうことでございますが、事業を継続しながら脱退届を違法に提出して いる事業所が多く見受けられるのではないかといったような議論がござ いまして、さまざま検討した結果、昨年4月省令改正をいたしまして、 適用事業所に該当しなくなった場合の届け出を規定いたしました。そし て、その届け出に際しまして、その解散や休業をした証拠書類を添付書 類としてつけて提出をしていただくという取り扱いを昨年の11月に通知 を発出いたしまして、以後そのような取り扱いで事務を行っているとこ ろでございます。  しかしながら、本年夏ごろに、これらの添付書類がつけられて提出さ れているにもかかわらず、実際には事業が継続されているのではないか といったような情報がございまして、事実確認をしたところ、添付書類 は確かについておりますけれども、十分な確認がなされなかったために、 事業が継続されていると見込まれるような状況がございました。  この全喪届の適正化に取り組んだ趣旨から申しますと、添付書類がつ けられていたとしても、いわゆる偽装脱退がそのまま行われているとい う事態をそのまま放置することはできないということで、今回、本年1 月から9月末までに届け出られました全喪の届け出につきまして、もう 一度総点検を実施すると。その上で、添付書類があったものであっても、 例えば第三者の確認がない等々、その添付書類についての信憑性が確認 できないものについては、改めて実態調査を実施するといったような指 示を出して調査を実施したものでございます。  資料3ページ目に、今回その全体像をまとめて報告したものをつけて ございます。しかしながら、これはこれまで出された、9月までに出さ れました約4万件でございましたけれども、その内容をとりあえず報告 させたものでございまして、最終的に今後実態調査等をして事業の継続 または廃業の事実があったかどうか、今の段階では添付書類等々で十分 に確認できない、また、改めて確認する必要があるものというのが、一 番下の6,160事業所ございますので、これらの最終的な実態調査を踏まえ て、中には事業等を継続されていて、いわゆる偽装脱退といったような ものがどのぐらいあるのかといったものがわかってくるかと思います。 それは改めましてまた報告をさせていただきます。  今回のご報告は、そういう意味では、約4万件の全喪の届け出の内訳 が一体どういったようなものであるのかといったことをまとめたもので ございます。ポイントだけご説明をしたいと思います。  一番上が、約4万件の中でどういった全喪の原因、つまり脱退の原因 が何だったのか、また、それにどのような添付書類がつけられて提出を されていたのかを拾ったものでございます。全体として4万件のうち、 その他の原因というのが一番多うございますけれども、ここは実は、そ の他の中には、郵政公社に郵便局がなったことに伴いまして、従来郵便 局ごとに非常勤職員の管理がなされて、そこが健康保険、厚生年金の適 用事業所になっていたものが、郵政公社化に伴いましてブロックごとに 一括をして非常勤職員の管理をするようになったといったような官公庁 の関係の全喪届が半数以上ございました。  そのほか、その他で添付書類の規定をしていなかったものの中で、例 えば、破産決定通知書であるとか、合併関係書類とか、個人事業主の死 亡といったような添付書類もその他の中では相当含まれてございました。  全体としては、本来の添付を義務づけました雇用保険の事業所廃止届 と解散登記が全体の約半分近くで多うございますが、その他のものも相 当ございます。雇用保険の適用事業所の廃止届はすべての事業所がつけ られるのではないかといったご意見もございますけれども、実際上には、 既に雇用保険の方は、過去に事業を廃止していて、厚生年金、健康保険 だけが残ったケース等相当ございます。  といいますのも、2番目に全喪時の被保険者数という数字を出してご ざいますけれども、これは、届け出が出されたときに被保険者がどのぐ らい居たのかという分布でございますが、実は1人というケースが全体 の半分ございました。このほとんどが事業主だけになった事業所という ことでございますが、これらの事業所につきましては、過去雇用保険に 加入していたけれども、事業主だけになった段階で、半年前、1年前、 または2年前と、過去でございますが、既にその時点で雇用保険の事業 所の廃止届は出されていたと。この時点では、健康保険、厚生年金の全 喪届け出の段階では健康保険、厚生年金だけだったということから控え がつけられないとか、さまざまな事由からつけられないケースがござい ます。  また、解散登記につきましては、実際には解散はしたけれども、解散 登記そのものにも費用がかかります。解散をしなければならないような 事業所でございますので、なかなかそうした資金面でも準備ができない ということで、登記はそのままというケースも相当ございます。  そんなようなことから、全体の半分しか本来の添付の基本とした2つ のものはついてございませんけれども、その他の中にも先ほど申し上げ たようなもともと添付が困難な公的機関等々、また、破産等、合併等で 規定をしていないけれどもきちっとした届け出が多くつけられているも のもございました。  議事録が6,000件ございましたけれども、議事録の中で第三者の確認が できないような議事録につきましては、今後の実態、実地調査で6,000件 の中にほとんど含まれておりまして、現在、実際の事業の実施状況等の 確認をしているところでございます。  また、1番の一番下に保険料関係とございますけれども、この4万件 提出をされました全喪届の事業所のうち、その脱退をした時点で滞納の 保険料があったかなかったかの分布を見たものでございますが、滞納が あった事業所は全体の約2割という数字でございました。  そのほか、4番目に実地調査、これまでに、1月から9月までの期間 に実地調査をした4,581件につきまして、その内容を見たものでございま すが、その中に47件、事業を継続または再開がされている事実が確認を されて、全喪の取り消し、届け出をされたところにさかのぼって取り消 しをして、引き続き適用事業所としたもの、また、事業の再開が確認を されて、新規適用になったもの8件、また、未対応と申しますのは、現 在調査を継続中またはどの時点で新規適用すべきかといった調整がなさ れているといった47件がございました。  この中では、いわゆる違法な故意による悪質な偽装脱退というのは、 現在のところは見受けられておりませんけれども、受けとめ方等、届け 出のおくれといったものでございますが、今後実施調査をしております 6,000件の中にさまざまな事例が出てくるかと思います。それらの整理が できましたら、改めてご報告をさせていただきたいというふうに考えて おります。  以上でございます。 ○稲上座長  どうもありがとうございました。  それでは、ご質問、あるいはご意見ございましたらどうぞお願いいた します。 ○花井参考人  すみません、先ほどのご説明で、全喪時の被保険者数1人というのが 半数近くというお話でしたが、全喪に至る前に従業員を、今標準報酬月 額、一番低いところが9万8,000円かと思うんですが、全員パートにして 9万8,000円以下にして、そして本人の脱退届を出して事業主1人にして 脱退する例ですとか、それから、強制適用が5人以上ですので、それ以 下の人数にして、そしていずれ被保険者数1人にして脱退していくとか、 そういう話を結構聞くのですが、標準報酬月額算定時のところと、1人 になっていずれ脱退していくという、その辺の経過的な追い方というの はされているのでしょうか、どうなのでしょうか。 ○医療保険課杉山補佐  ご質問ございましたケースでございますけれども、具体的に人数が減 っていく段階での個々の事例についての統計的な数字はございませんが、 実際に事業所に対する立入調査等によって、従来正規職員だった方々が パートに変わっていく、または派遣労働者に変わっていくといったケー スが増えてきている事象は、それぞれ担当の職員は見ております。しか しながら、それぞれのケースごとの数字は現在までとっておりませんけ れども、今後、この全喪届の調査ということではございませんけれども、 定期的に行います事業所調査、また、まだ加入をしていない事業所に対 する適用促進の事業調査の中で、そうした実態についてはできるだけ詳 細に把握をしてまいりたいというふうに考えております。 ○花井参考人  すみません、これも要望なのですが、私どものところに来る話なので すが、実際の賃金を低く算定して標準届けを出しているという例が相当 あるというふうに聞いております。ぜひとも、全喪の話とはまた違う話 なのですが、標準報酬月額の算定と、それから実際の賃金の、そこのと ころも、なかなか事業所に立入に行かなければわからない点が多いかと 思いますが、ぜひともそういう事例が多いということをご認識いただい た上で全喪届の調査、あるいは対応に当たっていただきたいというふう に強く要望しておきたいと思います。   ○稲上座長  ほかにございますでしょうか。 ○龍井委員  質問です。以前のものに対する事務処理の報告はよいのですが、現状 の全喪届受付の基準ないし手続というのはどういう改善がされているの でしょうか。 ○医療保険課杉山補佐  これまでと同様に、受付時の聞き取り、疑いがあるものに対する実地 の調査という方法については同じでございますが、議事録等、先ほど申 し上げましたような第三者の確認のない添付書類につきましては、従来、 実地調査を行う対象としておりませんでした。しかしながら、今回のこ とを踏まえまして、これらの第三者の確認のないものについても、すべ て実態確認をして処理をするというふうに取り扱いを改めたところでご ざいます。 ○稲上座長  ほかにございますでしょうか。  それでは、時間が余りございませんけれども、参考資料の方のご説明 をお願いしたいと思います。社会保険庁改革関係につきまして、お願い をいたします。 ○庁改革推進本部事務局吉岡次長  社会保険庁改革推進本部事務局次長の吉岡でございます。  今進めております社会保険庁改革の全体像につきまして、本日お時間 をちょうだいいたしましてご報告を申し上げます。  さきの年金制度改正の法案審議、それからその後のマスコミ報道等に おきまして、さまざまなご批判をいただいてきたところでございます。 その1つ1つをしっかりと受けとめまして、速やかに変えるべく、民間 から迎えました長官のもとで今、社会保険庁の改革に着手をしていると ころでございます。  お手元の参考資料の1−1が、その改革の全体像をお示ししているも のでございます。この紙の上段部分がいわば内からの改革でありますが、 まず、庁内に長官を本部長とします改革推進本部というものを設置いた しまして、6つの課題ごとに改革プロジェクトチームなどを設置してお ります。改革に当たりましては、民間の発想、感覚を大胆に導入すると いうことで、長官に加えまして最高顧問お二人の方をお迎えする、ある いは、課題ごとにプロジェクトリーダーなどを日本経団連のご協力を得 まして配置をさせていただいております。都合、長官を含めますと12名 の民間スタッフが今参画をしているという状況にございます。  それからまた、その下、運営評議会でございますが、社会保険庁の 個々の事業運営の適切さ、効率性というものをチェックしていただく機 関として現在のところ毎月開催させていただいております。  その下の部分がいわば外からの改革でございます。社会保険庁のあり 方について、基本に立ち返った議論を行う場として、官房長官のもとに 設置をされたわけでございます。8月以来5回にわたり今日までご議論 いただいております。  この有識者会議のご意見を踏まえまして、まず私どもとしましては、 当面どのような業務の改革をやっていくのかということに関しまして、 80項目の業務改革メニューを掲げました緊急対応プログラムというもの をまとめさせていただきました。また、第5回目の会議では、これまで の議論が中間的に取りまとめられたところでもございます。今後この有 識者会議におきましては、組織のあり方を中心としてご議論いただきま して、来年の夏、あるいは夏前を目途に最終的な取りまとめを行ってい ただく予定でございます。  資料の2枚目に有識者会議の工程表、それから3枚目にその名簿を添 付させていただいておりますので、ご参考にしていただければと思いま す。  次に、お手元の参考資料の1−2でございます。これが先般まとめら れました有識者会議の中間取りまとめでございます。  1ページ目には社会保険庁を取り巻く状況、あるいはこの有識者会議 の設置の背景というものが掲げられております。  1枚おめくりをいただきまして、2といたしまして、これまでの議論 の状況等ということでございます。これまで5回の会議では、主に緊急 に対応すべき方策ということについてご議論が行われてきたところでご ざいまして、5回の会議の議論を経まして、後ほど申し上げます最終的 な緊急対応プログラムというものも取りまとめたところでございます。  3がこのプログラムに基づく取り組みについてということでございま して、プログラムでは、国民サービスの向上、予算執行の透明性の確保、 個人情報保護等の徹底、保険料徴収の徹底、組織の改革といった各分野 にわたる取り組みを掲げさせていただいているところでございます。  このプログラムに基づく取り組みに対する要請というものが次の2つ目 の○から幾つか書いてございます。1つ目が、まず、今後社会保険庁に おいては、プログラムに掲げられた取り組み事項のうち、緊急に実施す べきものとされているものについては、今年度中に確実に実施をされた い。そして、来年度に実施すべき事項についても、予算に向けて必要な 措置を講じた上で円滑な実施に努められたいということ。それからまた、 3つ目の○のところですが、実施に当たっては、ただ単にやるというこ とではなくて、調達コスト削減目標の設定などを通じて予算の効果的・ 効率的な執行を徹底すべきということ。さらには、具体的な取り組み内 容等について国民にわかりやすい形で情報提供すべきといった特に留意 すべき点についてご指摘をいただいているところでございます。  次のページに、4といたしまして今後の検討方針ということでありま す。今後、この組織のあり方を中心としてご議論いただくわけでありま すけれども、その際の検討方針ということでございます。3つ目の○を ご覧いただきますと、まずは運営主体がどのように変わろうとも、国民 のニーズに十分に応えることを徹底することとあわせて、組織の効率化 を徹底していくことが不可欠だとされているわけであります。  この組織の効率化の中身といたしましては、業務そのものの効率化を 図っていく、外部委託等を図っていく、広域的な集約化を図る、人員配 置の地域格差を是正するといったことについて具体的方策を検討すると されているところであります。  それから、4つ目の○でありますけれども、また、運営主体のあり方 についての検討に際しては、社会保険事業の運営主体に求められる基本 的要素というものを十分踏まえることが必要であるとされております。  具体的な基本的要素といたしましては、@にあります将来にわたる持 続可能性の確保、あるいは、Aの全国民による支え合いの仕組みの確保、 それから、Dでは、政管健保における被用者の受け皿としての機能の確 保といった8点が掲げられているところであります。  こうしたことを前提として、独立行政法人化等公法人化すべきではな いか、民間にゆだねてはどうか、徴収業務を他の機関に移管してはどう かという議論をも含め、あらゆる議論を例外とせず、幅広い検討を進め ていくとされているところでございます。  今後、この有識者会議の検討結果に沿って、社会保険庁として対応し ていきたいと考えております。  次のページからが、最終的に取りまとめられました緊急対応プログラ ムでございます。7月末に新長官就任以降、私どもが取り組んできたこ との中心がこのプログラムの策定・実施ということでございます。  若干ポイントだけご説明をさせていただきますと、1枚おめくりいた だきますと、最初の柱が国民サービスの向上ということであります。左 側に現状ということで書いておりますけれども、国民ニーズや利用者の 意見を聞き、反映させる仕組みがないのではないか、あるいは、国民が 利用しやすいサービスとなっていないのではないかといった指摘がなさ れているわけでございます。  それに沿いまして、対応の方向性として、国民のニーズをしっかりと 把握し、ニーズに対応したサービスを提供する。そして、必要なサービ スを提供するためには、体制等の見直しも行っていくということを対応 の方向性として3点掲げており、次のページからそれぞれの柱ごとに具 体的な方策というものを掲げております。  例えば@では、社会保険庁の業務、サービスについて、国民から広く 意見、アイデアを募集する「長官への手紙・長官へのメール」というも のも実施をいたしました。既に約1,900件余りのメールなどもちょうだい をいたしているわけでございます。また、来年度以降、事務所の来訪者 に対しまして、窓口サービスの満足度調査というものも継続的に実施し ていきたいと考えております。  それから、イのBにございますのは、いろいろとご指摘いただいてお りました年金相談でありますが、一番下にございますように、毎週月曜 の相談時間の延長というものをこの12月6日から開始いたしました。ま た、土日の相談のモデル実施も今年度中に5回これから行うことにして おりまして、これらの実施結果を踏まえて来年度から本格的な対応を図 っていきたいと考えております。  それから、次のページでございますが、Cの申請書類の関係につきま しては、記入しにくい、わかりにくいといったご指摘をいただいており ますので、総点検を行いまして、計画的な見直しを進めることにしてお ります。  それから、来年度以降におきましても、保険料納付記録などにつきま して、積極的にこちらから情報提供をしていくという取り組みなどとあ わせまして、D、Eでは、政管健保の関係につきましても、身近な場所 で健診を受けられるよう、健診実施機関の拡大を図っていく、あるいは、 医療費通知にあわせて、個人情報保護の考え方にのっとってレセプトの 開示請求が可能である旨及びその手続などについて情報提供するという 取り組みも行うことにいたしております。  次のページのウの@、A、Bというところでは、年金相談センター、 あるいは電話相談センター、総合相談室というものを今年度中にそれぞ れ拡充をするということなどを掲げているところであります。  次の5ページ目が2つ目の柱の予算執行の透明性の確保であります。 対応の方向性としては、不適切な予算執行を徹底的に排除する、透明性 の確保を図っていくと。また、新たなチェックシステムを導入するとい うことを挙げており、これらの方向性に沿って次の6ページから具体的 な方策を掲げております。  まず、調達の関係でありますけれども、イの@にありますように、調 達コストの効率化を図るという観点から、競争入札、企画競争の原則化 ということを開始いたしました。また、ウの@にありますように、調達 案件の審査等を厳格に実施するということで、調達委員会というものも 設置をしたところであります。  また、今後でありますけれども、アのBにありますように、調達コス トの削減目標数値というものを本年度中に設定しまして、事務費の徹底 した経費削減を実施したいと考えておりますし、また来年度以降におき ましては、レガシーシステムであります社会保険オンラインシステムの 最適化計画というものを策定する。また先ほどご質問もございましたけ れども、厚生年金会館、厚生年金病院などの保健福祉施設の売却という ものも進めていくことにしているところでございます。  それから、次のページが3つ目の個人情報保護等の徹底であります。 左側の現状にございますように、個人情報漏洩防止のためのシステムが 整っていない、あるいは規定の整備が不十分、監視のための体制が整備 されていないという、ある意味で当然のことができていなかったという 状況にあったわけでございますけれども、次のページに具体的方策とい うことで掲げておりますが、既にアの@にあります担当職員ごとにカー ド番号を固定化する、あるいはAにあります本人識別のパスワードを登 録する仕組みとするということを完了したところでございます。今年度 中にウの@にあります仮に業務目的外の閲覧があった場合にも、だれが アクセスをしたのかということを監視できるシステムというものを整備 をしまして、絶対に個人情報の漏洩は起こらない、そういう仕組みをつ くっていきたいと考えているところであります。  それから、次のページが4つ目の柱、保険料徴収の徹底でございます。 右側の対応の方向性にありますように、要因別の収納対策というものを しっかりと進めていく、それから、社会全体の取り組みの推進というこ とでは、この10月から市町村の税務課から所得情報を取得できるように なったところでございます。そうしたものも活用しての強制徴収なども 実施していく、あるいは、各事務所ごとに年度別の行動計画を策定する ということもこの10月から開始をしたところでございます。  具体的な方策についての詳細な説明は省略いたしますけれども、そう した保険料徴収の徹底のためのさまざまな取り組みも進めることにいた しているところであります。  資料飛びまして12ページをご覧いただきますと、5つ目の組織の改革 ということであります。左側の現状にございますように、組織の一体性、 内部統制がとれていない、あるいは地域によって人員配置、事業成績が 大きく異なるという問題が指摘されているところでございます。  1枚めくっていただきますと、そのための具体的方策として、アの来 年度以降の部分でありますが、社会保険事業計画の全面的な見直しとい うことも行うことにしております。また、イの組織・人員の配置の見直 しということでは、人員配置の地域間格差を是正しようということで今 年度中に人員配置の見直し計画というものを策定いたしまして、来年度 からその下、Aにありますように、本庁と地方庁の人事交流の大幅な拡 大ということも実施することにしております。その他、Cでございます が、業務効率化の観点から外部委託の拡大等を推進するということでご ざいます。  この点に関しましては、別途、規制改革・民間開放推進会議の方で市 場化テストの導入ということが課題になってきたところでございますが、 社会保険庁といたしましても、国民年金保険料の収納業務、年金電話相 談センターの業務、未適用事業所の適用促進業務という3本柱の業務に つきまして、そうした市場化テストも活用しながら外部委託を進めてい こうと考えているところでございます。  それからまた、次のページが職員の意識改革でございますが、既に内 部改善提案制度、あるいは職員行動規範の策定ということに取り組んで いるところでございます。また、来年度以降、各事務局、事務所ごとの 事業実績を公表した競争の促進といったことの取り組みも開始する予定 でございます。  まずはこうした80の事項につきまして、スピード感を持って逐次実施 をしていきたいと考えているところでございます。  それから、もう一つ、参考資料の1−3をお配りをしております。こ れから有識者会議の方で、組織のあり方について本格的にご議論いただ くわけでございまして、いわばこの組織のあり方についての論点の全体 像を示した資料として、さきの有識者会議に提出をさせていただいたも のでございます。本日は時間の都合もございますので、説明は省略させ ていただきますが、今後とも適宜ご相談、ご報告を申し上げることがで きればと考えているところでございます。  以上でございます。 ○稲上座長  大急ぎでご説明いただきまして、どうもありがとうございました。  時間がなくなっておりますけれども、ぜひご発言、あるいはご質問と いう方がございましたらお受けしたいと思いますが。 ○龍井委員  社会保険庁組織のあり方も含めて、全体のスケジュールというのはま だ固まっているわけではないのですけれども、先ほど私が冒頭に申し上 げた論点も含めて、この政管の場で議論していくということを、相互に フィードバックする意味でやるご予定がおありかということと、その時 期的な見通しですね、次回というか次々回なのか、もしあればお聞きし たいのですが。 ○武田医療保険課長  政管に関する今後の議論のスケジュール、またはその場でございます けれども、医療保険部会で制度改正論議をやっておりますが、医療保険 部会に示されたスケジュールによりますと、来年1月から3月の間に健 保組合の再編統合及び政管健保のあり方について審議を行うという予定 が示されております。  それから、この政管の懇談会でございますけれども、予算の状況につ きまして例年ご報告を年明けにしておりますので、2月ぐらいになるか と思いますが、また開催をさせていただければというふうに思っている 次第でございます。  また一方、組織論も踏まえた社会保険庁のあり方ということであれば、 来年5月、6月までの間に議論をやっていくというようなことがありま すので、相互の関係に十分配慮いたしまして、適時適切な情報提供に努 めてまいりたいと思います。 ○稲上座長  ほかにございますでしょうか。  それでは、熱心にいろいろ議論していただきましてまことにありがと うございました。時間が来ておりますので、本日の会合はこれで終わら せていただきたいと思います。まことにありがとうございました。 −5−