社会保険事業運営評議会 第3回議事録         日時 平成16年11月26日(金)14時30分〜16時36分 場所 厚生労働省専用第18〜20会議室 出席された参集者(敬称略)  井戸美枝、稲上毅、遠賀庸達、紀陸孝、鈴木正一郎、龍井葉二、宮武剛 1.開会 ○宮武座長  定刻でございますので、第3回の運営評議会を開催いたします。本日も大変お忙 しい中をご参集いただきまして、ありがとうございました。なお、鈴木委員が少し 遅れるというご連絡が入っておりますので、先に始めたいと思います。  最初に村瀬長官からご挨拶をいただきます。 ○村瀬長官  本日はお忙しい中をお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。 現在、社会保険庁は、改革を進めておりますが、一方、報道でもご存じのように、 監修料問題等で、いろいろご批判も受けております。こうした中、国民の皆様方か ら、安心・信頼を受ける組織にどう生まれ変われるかということで、先般、11月 6日から12日までの1週間、年金週間として、初めて土曜・日曜の開庁、8月に 続いて1週間、平日の7時まで相談業務の延長をさせていただきました。資料にも 一部入れさせていただいていますが、お客様の皆様からは、大変ご好評をいただき ました。また、社会保険庁は少しずつ変わりつつあるなというご評価も承っており ます。  一方、国民年金の収納率は、平成19年度までに何とか8割までもっていきたい ということで、前回ご議論いただきましたように、社会保険庁としては初めて、事 務所単位の行動計画を作り、新たな取り組みをスタートしたところでございます。 11月の初めに国民年金対策本部を開いて、9月末の成績を公表いたしましたが、 今後も毎月、進捗状況について公表しながらフォローを強めていくという形を考え ております。  また、今日は、「社会保険庁変わります宣言」というものを、後ほど発表する予 定でおりますが、自らどういうふうに変わっていくかということを、国民の皆様方 に開示して、それを見ていただいて、本当に変わったのかどうか、変わろうとして いるのかどうか、厳しいご批判をいただきながら、新しい庁に生まれ変わっていく。 それが必ずや信頼の回復につながっていくのではなかろうかと、考えております。  本日、運営評議会は3回目になりますが、今日は年金の事務費の問題をご議論い ただくことになっております。  ご存じのように、この12月、予算編成時期になっておりまして、年金財源から 一般財源ということで、具体的にどういう項目で財務省との間で予算を詰めにいく かという、我々としては非常に大事な会議だと思っておりまして、我々が持ってい る資料をすべて開示して、委員の皆様方にご議論いただき、方向づけをしていただ けたらと、考えております。それではこれから、わずかな時間ですが、資料に基づ いて徹底的なご議論をお願い申し上げまして、ご挨拶に代えさせていただきます。 ○宮武座長  ありがとうございました。前回までご欠席でした稲上毅さんをご紹介いたします。 東京大学大学院人文社会系研究科長・文学部学部長をお務めでございます。 ○稲上氏  稲上でございます。よろしくお願いいたします。 2.議事 ○宮武座長  それでは、議事次第に沿って、本日の進行をしてまいります。資料は2部構成に なっておりまして、まず資料1の「年金事務費等について」のご説明をいただいて、 その後、ご意見なりご質問なりをいただいた後で、資料2の「社会保険業務に関す る指摘等」についてのご説明をお願いしたいと思います。  それでは事務局から、まず資料1からお願いいたします。 ○戸田経理課予算専門官  まず1頁をご覧ください。1頁については、厚生保険特別会計の沿革及び経過等 をお示しております。厚生保険特別会計については、昭和19年に設置されており ます。経緯を見ますと、昭和2年に施行された健康保険法、この特別会計、昭和 17年、いまの厚生年金保険の前身である、労働者年金保険、この特別会計、これ を行政事務の簡素化の一環として、昭和19年に統合させたものです。  その後、変遷の経緯を見ますと、昭和46年に、児童手当制度の創設に伴って、 児童手当勘定が追加されております。  特別会計としては、政府管掌健康保険、厚生年金等の、被用者保険の保険料、そ れと児童手当拠出金の徴収、この拠出金についても、同じ事業主さんに対する付加 であるということに着目して、同じ特別会計で経理をするというふうに整理された ものと考えております。  右下のボックスにあるように、現在、政府管掌健康保険の「健康勘定」、それか ら厚生年金の収支を行う「年金勘定」、「児童手当勘定」、「業務勘定」、この4 勘定に区分掲示されているところです。  次に2頁をお開きください。2頁については「厚生保険特別会計の仕組み」各勘 定間の繰入を示しております。いちばん上の「年金勘定」、これは厚生年金保険の 収支です。左のほうから、収入で入っております。事業主、被保険者から入ってい る保険料が19兆9,295億円、これに国庫負担、運用収入等々を併せて、厚生年金 給付費、これがいわゆるいまで言う、上乗せの分になりますが、21兆7,443億円 の給付をもらっております。当然、厚生年金加入のみの方についても、基礎年金が 出ておりますので、その基礎年金の財源に充てるための基礎年金拠出金、これを国 民年金特別会計の「基礎年金勘定」こちらのほうに拠出金として繰入をしておりま す。  続いて、いちばん下の「健康勘定」を見ていただきたいのですが、健康勘定につ いては、政府管掌健康保険の収支を行っております。保険料収入が6兆4,169億円。 国庫補助を収入として、保険給付が7兆116億円を賄っております。  この厚生年金、政府管掌健康保険の事業運営を真ん中の業務勘定、ここで適用・ 徴収・給付業務の収支を行っております。ここの業務勘定の収支で、右上に伸びて いる「支出」を見ていただきたいのですが、「人件費等」が971億円、「それ以外 の事務費」として579億円というふうに表示してあります。  この2つを合わせて1,550億円が、本来国庫負担で行われていた事務費になって おります。これが、いま特例措置が講じられておりますので、左のほうから、一般 会計が入っている、971億円の分しか国庫負担が入っておりません。これが、ちょ うど人件費等の971億円に該当しております。ですから、579億円の分が、特例措 置として保険料が充たっているというふうになっております。  それから、その下に2,514億円とありますが、これが年金の相談事業であるとか、 健診事業、福祉施設等の事業を行っております。この経費については、ちょうど年 金勘定から業務勘定のほうに矢印が伸びている、財源繰入としての2,003億円。そ れから健康勘定から伸びている1,093億円。この繰入額を財源として行っている事 業です。  続いて3頁については、国民年金特別会計の沿革を示しております。制度の設置 は昭和36年になっております。大きく変遷があったのは昭和61年、国民年金に、 全制度共通の基礎年金を導入しましたので、この経理を行うための基礎年金勘定と いうものが設置されております。現在、経理業務については、基礎年金勘定、国民 年金勘定、福祉年金勘定、業務勘定の4勘定で経理しております。  4頁をお開きください。ここでは「国民年金特別会計の仕組み」繰入を表してお ります。まず最初に、上から2つ目のボックスを見ていただきたいのですが、国民 年金勘定、これに左の被保険者のほうから伸びている、保険料収入が2兆2,271億 円あります。これに、国庫負担の、要は国民年金の国庫負担ですから、昨年までで いきますと、給付費の3分の1、この分が国庫負担1兆5,219億円、これと合わせ て、一旦基礎年金勘定のほうにまず入ります。3兆5,465億円、上のほうに伸びて いますが、これと被用者年金制度、先ほど申し上げた厚生保険特別会計とか、国共 済と地共済、そちらのほうからくる基礎年金拠出金、これと合わせて基礎年金給付 費として、12兆944億円の支払に充てております。  また、いま年金の受給者については、過去の61年前の旧法制度に基づいて受け ている方々がおりますので、その方の基礎年金相当の部分については、再度各被用 者年金制度へ基礎年金交付金として、さらに戻しております。  同様に旧法で受けている国民年金の方については、基礎勘定のほうから国民年金 勘定のほうに2兆93億円戻しておりまして、これが国民年金給付費、2兆1,738 億円の財源としております。この国民年金勘定から2兆1,738億円の国民年金給付 費というのは、昭和61年前にすでに受給権が発生した旧法制度による支払の人と、 あとは国民年金に付加保険料を払ってプラスの加算がございます。その独自部分の 支払に充てております。  いちばん下の「福祉年金勘定」ですが、この福祉年金については国民年金の制度 を設置したときに、すでに高齢の方で、それから加入期間を満了しても年金に結び 付かない方については、その無拠出の制度として福祉年金という制度がございます。 この収支を賄っております。これについては全額国庫負担ということで、236億円 の給付について国庫負担で賄っております。  これらの事務、適用、徴収、給付を行うのが、業務勘定で賄っております。  ここの業務勘定の右の下に伸びている数字を見ていただきたいのですが、人件費 等で517億円、上記以外の事務費として525億円ございます。先ほどの厚生保険特 別会計と同様に、この上の人件費等の517億円、これを国庫負担で賄っております。 上記以外の事務費の525億円、これにいま特例措置として保険料が充たっている部 分です。  国の一般会計からは738億円入っておりますが、これについては、国民年金につ いては一部事務を市町村で行っておりますので、その市町村で行っている事務費に ついて、その事務取扱交付金として379億円交付しております。この交付金の財源 について、従来は国庫負担であったところが、この中の一部について、保険料が入 ってきているという状況になっております。  「年金相談事業」とか「年金福祉施設事業」、これについては、従来より保険料 で行っている事業ということで181億円です。  続いて5頁です。5頁については、社会保険の運営事務について、おおまかに図 で示しております。左側に「事務費(国庫負担)」となっておりますが、こちらの 左側に書いてあるのが、その制度運営にかかる加入適用事務、保険料徴収事務、年 金給付事務であり、これらは法的には原則国庫負担としている部分です。  これに対して、右側の「サービス向上経費(保険料)」については、被保険者が 病院等にかかった場合に要した医療費の案内通知、年金制度の広報とか、来訪相談、 電話相談、あるいは迅速な支払を行うためのシステムの費用とか、これらを保険料 で行っている事業というふうに、これまでやってきております。  この考え方を示したのは次の6頁です。事務費については、制度運営のための基 幹部分、適用、徴収、給付ということで国庫負担。それからサービス向上経費とし ては、被保険者や年金受給者のサービス向上に直接寄与する事業ということで、保 険料によって賄っております。  業務システムについても両方の部分というのはあります。基本的な整理として、 この適用、徴収、給付にかかる基幹部分については、事務費として国庫負担。年金 相談のための端末機の増設とか、あるいは記録照会とか、年金の見込額の計算とか、 そういう部分はサービス向上経費として、保険料財源というふうに整理しておりま す。  続いて7頁については、事務費の具体的な内容について、いくつか挙げておりま す。いちばん上の「人件費等」、これが職員の給与等にかかる部分で、これについ ては国庫負担としております。これ以外の部分が特例措置法を受けて、特例的に保 険料が充たっている部分になっております。  この中に年金手帳の印刷とか郵送、徴収対策員の雇い上げとか、あとは事務所の 庁舎、宿舎等がございます。  このアンダーラインを引いてある所が、これまでマスコミ等でいろいろ指摘、批 判のあった経費を記載しております。  この7頁と同様なものが8頁です。8頁と7頁の違いについては、7頁のほうが 年金だけの事務費として計上してあります。社会保険庁では先ほどの厚生保険特別 会計で述べさせていただいたとおりに、政府管掌健康保険の事業も行っております ので、政府管掌健康保険の事務費まで含めたものが8頁の表のとおりです。1,263 億円ということになっております。その違いが大体185億円くらいになりますが、 この部分は政府管掌健康保険のみの独自事業ということになります。  9頁をご覧ください。9頁についてはサービス向上経費の主な内容を示しており ます。年金相談、年金制度の周知、年金システム、年金相談センター等の設置です。 これについては年金事業に係るものです。それからレセプトの点検調査、医療費通 知の印刷発送、レセプト点検事務センターの借料、これは政府管掌健康保険の事業 ということになっております。  ここでいいますと年金の事業の部分は年金の保険料を使わせていただいて、健康 保険の事業については健康保険の保険料を使わせていただくということで整理して おります。  次に10頁については、福祉施設事業の内容について列記してございます。まず 病院、会館などの福祉施設の整備、それぞれ年金のほうが122億円、政府管掌健康 保険のほうが93億円で、これについては今後施設を整理するということで、平成 17年度以降はだいぶ圧縮されてきますし、年金の122億円については平成16年度 の執行段階から、すでに極力執行しないということで整理しております。病院に併 設する看護師養成所の委託費、障害年金受給者などに対する義肢・装具の支給、こ れは現物支給になりますが、これにかかる費用を出しております。  それから、国民年金の市町村職員研修事業、年金資金運用基金への交付金、これ は住宅融資事業とかグリーンピア事業ですが、これが年金の事業ということになり ます。その年金事業については先ほど申し上げたように、三党合意も受けて今後廃 止していく方向で検討しております。  途中の500億円ございますが生活習慣病予防健診費等、これは政府管掌健康保険 の被保険者に対して、健康診断の費用を給付している費用です。  それから、一次予防等健康づくり事業の経費、高額療養費にかかる貸付事業等、 要は高額療養費とか出産一時金については償還払いとして、現物給付ではなくて、 実際にお金を払った後に償還として現金で支給されるものですから、一旦その病院 に支払うための立替財源について、貸付をする事業を行っております。これらの経 費は政府管掌健康保険の事業として行っております。  次に11頁の年金事務費の規定ですが、いま厚生労働省、社会保険庁として整理 している考え方です。国民年金等は国が保険者として運営して、その加入について 国民に加入を義務づけているということで、法律上、この事務費については国庫負 担を原則としております。ただその中でも、下の☆のボックスを見ていただきたい のですが、昭和54年の社会保険審議会厚生年金保険部会において、制度の成熟化 により年金受給者の増加に比例して激増する事務について、その年金相談の充実と か電子計算機組織を活用した効率的な事務処理体制の整備など、行政サービスの向 上に対する国民の要請に応えることが重要であるため、「被保険者や年金受給者に 対するサービスに直接寄与する事項については、保険料の負担もやむを得ない」と いうご意見もいただいております。  昭和56年には臨時行政調査会から医療・年金の事務費国庫負担について、「保 険料財源への切換えを図ること」という答申をいただいておりまして、これに対処 するために、これまで被保険者等に対する福祉の向上に資する経費については、保 険料財源により行うということで整理してきております。  現在の規模としては右のボックスにありますとおりに、社会保険庁の、先ほどの 福祉施設を除いたというふうに考えていただきたいのですが、事業運営費4,305億 円規模ですが、この中身は、職員人件費や年金事務費などの2,972億円が国庫負担 の部分と、これまで行っているサービス向上のための事務費、1,333億円、こうい う形で構成されているということです。  次に12頁で、平成10年度以降の特例措置が講じられている背景です。平成9年 の財政構造改革会議により、「社会保険の事務について一層の節減・合理化等を行 うなど、その在り方について見直す」という意見が出されております。当時、国の 財政状況が厳しいことから国の財政負担を軽減するために、この真ん中のボックス にあるように、量的縮減目標を達成するために年金事務の費用に国の負担以外の財 源を充てるものとし、国の負担を抑制するというような構成になっております。こ れにより、平成10年から平成15年までの特例措置期間において、その特例措置が 講じられております。  平成16年度においても引き続き国の状況が厳しいものですから、特例措置を継 続ということで現在に至っております。  次に13頁は、特例措置が講じられている期間における年金財政の負担を表して おります。いちばん上の「人件費以外の事務費」となっている部分が、本来国庫負 担のところを、特例措置として保険料を充てているという部分です。太い線より下 の「被保険者等へのサービス向上経費」「義肢・装具の修理」「交付金」「福祉施 設の整備」これが従来から保険料により行っている事業です。  これまで特例措置を講ずるに当たっても、下の数字に示してあるように、保険料 繰入総額が年金財政負担に影響を与えないよう経費の見直しを行いながら、これま で保険料で行ってきたということです。14頁は、このグラフについての実際の計 数を示したものです。  続いて15頁ですが、平成17年度の予算概算要求の状況です。年金事務費の財源 については、7月30日の閣議了解に基づいて、年末の予算編成過程で検討するこ ととしております。具体的な要求規模は、左下のボックスの真ん中にある事務費 (特例措置が講じられていた部分)というふうになっておりますが、1,368億円の 要求をしております。この部分が年末の予算編成過程で折衝、検討ということにな っておりますが、現在事務折衝をしてはおりますものの、右のボックスの「年末予 算編成時の課題」にあるとおり、国庫負担に戻すということになる場合に、1,000 億円を超えるような国庫財源の確保が可能かどうかということが大きな問題ですし、 また、国の財政が引き続き厳しいということで、特例措置を継続しなければいけな いということになる場合については、逆に法律上、何らかの手当が必要だというこ とになっております。  16頁は、先の国会において指摘のあった年金事務費について掲載しております。 「職員宿舎、公用車、健康診断費、福利厚生費などは、保険料を充当すべきでない、 縮減を図るべき」という指摘をいただいております。社会保険庁としても平成16 年度の執行の段階から職員宿舎の建替えは行わない、公用車の更新は極力行わない、 その他経費の節減に努めているところでございます。また、平成17年度の要求に おいても、同様の要求方針としております。  17頁については、年金事務費の財源についてさまざまな指摘を受けているとこ ろですが、事務費財源の在り方を考えるとしたら、このような事項の整理が必要で はないかということを記載しております。国庫(税)負担とする視点としては、保 険者としての国の責任、他の公的制度との整合性、給付費国庫負担との関係、国民 (納税者)の理解などの視点から検討が必要ではないか。また、保険料負担とする 場合は、「自立自助、相互扶助」としての保険制度の在り方、他の保険制度との整 合性、経費の性格や使途の内容、保険料を負担していただいておりますのでその受 益との関係、それから被保険者への理解という視点から検討が必要ではないかとい うふうに考えております。  そのほか、社会保険庁の見直しも言われておりますが、制度運営、組織の在り方 なども関係するのではないかということで掲げさせていただいております。  次の18頁については、検討に当たっての参考として付けさせていただいており ます。他に国が行っている保険事業特別会計における事務費の負担についての状況 です。いちばん上の船員保険については、同じく社会保険庁が行っているのですが、 21億円の事務費のうち国庫負担が11億円、約6割の国庫負担になっております。 この6割にしている考え方としては厚生年金、国民年金というのが、業務外に起因 する保険制度であるというのに対して、船員保険については、職務上の部分、業務 上に係る保険事故も行う総合保険ということから業務上と業務外の業務量を見ると、 大体6割が業務外ではないかというような考え方で、6割というふうに予算措置を しております。  2つ目の同じ厚生労働省で行っている労災制度、雇用保険制度。労災については、 国庫負担の規定もありませんし国庫負担も入っていません。雇用保険については国 庫負担の規定がございますが、事務費総額のうちの8億5,000万円ほどが国庫負担 として入っているという状況です。  他省庁の例でいきますと漁船の再保険については全額国庫負担、続いて19頁に ありますが、農業共済再保険についても、全額国庫負担ということになっておりま す。森林とか貿易については国庫負担は入っておりません。  地震保険については、規定上は国庫負担というふうに書かれておりますが予算の 実態を見ると、預託金利子収入で賄っているというのが実態のようでございます。  20頁は諸外国の医療・年金制度における事務負担の状況を掲載いたしました。 大まかにいいますと、社会保険方式をとっている国においては、保険料での運営に 公費負担を一部入れているということで、どちらかというと保険料を中心に賄って いるということのようです。  21頁は、これまで事務費財源に係る歴史的な要点をまとめました。1つポイン トとしては21頁の右にある対応状況の中にありますが、ちょうど戦後の苦しい時 期において、昭和23年から26年まで政府管掌健康保険の事務費について、一部保 険料が充てられた時期があるという事実があります。この間においても、年金のほ うについては保険料を充てることなく、全額国庫負担できているというのが実態で す。それでずっと経緯を掲載してあります。  25頁からが、参考までにこれまでの被保険者数、受給者数の推移を表しており ます。25頁は厚生年金の被保険者数等、26頁が国民年金の被保険者数。27、28頁 が厚生年金・国民年金の保険料収入と年金給付費の推移になっております。  28頁については、ちょっと参考までに、年金給付費、年金の保険料収入に対す る事務費の割合を示してみました。28頁については、厚生年金ですが、厚生年金 の場合平成15年度で申しますと、対保険料・対給付費とも、大体約0.7%程度で、 これにサービス向上経費を入れて約1%程度というのが、厚生年金のほうの実態に なっております。  また29頁は、国民年金の事務費を同様に対比してみると、対保険料のほうが約 7%、対給付費のほうは約1%ということで、事務費だけと、サービス向上経費を 含めても、大体同じ程度となっております。  大変駆け足で申しわけございませんでしたが、私のほうからは以上でございます。 ○稼農企画課長補佐  引き続きまして、30頁でございます。前回の運営評議会において、井戸委員か ら宿題がありまして、保険料の徴収コストについて資料が出ないだろうかというこ とでしたので、それについて試算をしたものです。簡潔にご説明します。この表は 前段の頭に書いておりますが、事務費などについて、「平成15年度の予算の経費 から、人数按分などを用いて、徴収に関連する経費を試算する」という形で、人数 按分などの前提を置いて試算して作成したものです。  ボックス側の国民年金と政府管掌健康保険・厚生年金全体という形になっており まして、まず@の徴収額ですが、これは平成15年度の決算額の保険料徴収額です。 保険料徴収額には、当年度分と過年度分を合わせて計上しております。  真ん中のAはそれに対する事務費です。これについては平成15年度の予算額か ら、事務費を計上しております。  この考え方ですが、(注3)をご覧ください。まず「人件費等」の部分ですが、 これは平成15年度末の時点の定員を基にして、社会保険事務所の徴収業務職員の 配置割合によって、本庁、この霞が関にある社会保険庁本庁と、地方社会保険事務 局、ある意味県単位の管理組織ですが、その職員も含めて徴収業務に関連する職員 として、人数按分で出しております。それに加えて業務取扱費のうち、非常勤職員、 国民年金推進員等の非常勤職員に係る手当なども含んだものとしております。  (注4)ですが、その他の事務費については徴収事務費のみを、共通的な部分も ありますので、明確に区分するということはなかなか難しいものですので業務取扱 費のうち、徴収事務に関連すると考えられる経費をまず積み上げていきました。そ れと、業務取扱費に計上しているシステム経費については、大きくいって、高井戸 庁舎にある年金給付システムと三鷹庁舎の記録管理システムがありますが、徴収関 連業務ということですので、記録管理システムに係る業務取扱費を計上しておりま す。  そのほか社会保険事務所の徴収職員の配置の割合をもって、庁舎の維持管理費等、 光熱費等を按分して、経費を出しております。その結果が真ん中の表で、国民年金 については徴収額が1兆9,627億円に対して、Bのいちばん右のボックスですが、 100円当たりの事務費としては3.17円という試算です。政府管掌健康保険、厚生 年金については0.13円ということ、この双方を合わせた全体の徴収コストの試算 では、0.34円という結果になっております。  次の頁をご覧ください。社会保険の特に国民年金保険料の徴収のコストについて は、これまで新聞報道等で公表されてきた数字があります。これが、31頁の上の 段になっておりますが、それとの違いを若干ご説明いたします。これまで公表され ていた内容は、いちばん左にある平成14年度予算の数字を基に試算されたもので す。これについては、いちばん上の太字がありますが、1万円当たりで863円とい う数字が出ております。この経費については、事務費を1,591億円というふうに見 て試算されておりますが、この事務費の中には、業務取扱費全体と施設整備に係る 費用、また予備費を含めた総トータルの経費が出ております。上の段の※にあるよ うに1,591億円の中には、保険料徴収事務だけではなくて、適用や記録管理、給付 に要する経費全体を含んだ数字であったということです。  今回、改めて試算した内容は先ほどご説明しましたが、業務取扱経費等の事務的 な経費の中から細分化して、徴収事務に関連する経費を人数按分や費目ごとに積み 上げて試算した結果、徴収事務に関連する経費が621億円ということで1万円当た り317円となった結果をご報告させていただきました。  32頁は先ほどの国民年金のほうの試算のところです。政府管掌健康保険・厚生 年金保険料の徴収コストについても同じように、これまでの公表の内容としては平 成14年度予算で事務経費を1,526億円ということで、保険料徴収事務以外の事務 費、あるいは施設整備費を含んだ経費を基に試算されていたものが、今回は徴収事 務に関連する経費ということで試算して、細分化して、1万円当たり13円という 結果が出ております。 ○宮武座長  ありがとうございました。それではいま事務局からご説明いただいた資料1全体 について、皆様からのご質問なりご意見を賜りたいと思います。何でも結構ですの で、ご自由に発言していただければと思います。 ○龍井氏  何点かあるので、少し分けて質問させていただきます。1つは14頁の表で質問 したほうがわかりやすいと思うのですが、この特例措置が入った経緯、細かいこと はいいのですが、1つ単純なことで教えていただきたいのは財政上の特例といった 場合に、単年度とか、非常に短い期間で、まさに緊急避難的な措置をして、それは 恒常化しないことにしなくてはいけないというのは、鉄則だと思うのです。導入の 時点で、これは6年ですよね。6年間という措置がとられた経緯というか根拠とい うか、それを教えていただきたいのが1点目です。  2点目は、この表でいうと平成10年度の初年度が608という数字になっている のですが、もちろんそれ以前から財務省との関連で予算要求をし、削られてという 経過がいろいろあったとは思うのですが、その科目ごとの交渉というか、折衝とい うか、そういうものの積上げの結果としてこの数字が出てきたのか。あるいはもっ と別の根拠から出てきているものなのか。というのは後ほどの質問にかかわってく るのですが、後で増えてきますね。その経緯も、後でご質問しようと思っているも のですから、まずその出発時のタイムスパンの問題と金額がどういう経緯だったか ということを、教えていただきたいと思います。 ○宮武座長  2点ご質問が出ていますが、どなたかお願いします。 ○山田経理課長  最初の「財政上の特例措置」の経緯ですが、財政構造改革ということで、最初に 平成10年度から、12頁をご覧いただくとおわかりいただけると思うのですが、財 政上の特例措置期間が、平成10年度から平成15年度までの間ということでして、 そういうことで平成10年度から平成15年度までは、財政構造改革の推進に関する 特別措置法というものを受けて、特例措置が講じられたということです。  それが切れて平成16年度はどうするかということについては、財務当局との厳 しい折衝をして、平成16年度、単年度ですが、1年限りの特例措置を継続するこ とはやむを得ないであろうというのが、昨年末のギリギリの予算折衝での結果でし た。  平成17年度についてどうするかについては先ほどご説明申し上げましたが、夏 の段階で決着がつかなかったものですから、シーリングの段階で、これもまた年末 までに検討して結論を得るということになっております。  私どもも国庫に戻したいという気持も強いのですが、先ほどご説明申し上げたよ うに、1,000億円を超える国庫財源なものですから、そういう観点でいまも折衝し ておりますが、なかなか厳しい折衝をしているというのが現状です。  それから608億円の関係の数字についてですが、14頁で、「608億円、事務費 (特例措置分)」と書いてあるのが、増えているのはどういう要素かということで す。基本的には平成12年度に適用関係の事務について、市町村のほうから国に事 務が移管されましたので、それに伴う経費、人件費というよりは物件費的な経費な ものですから、人件費的なものは国庫で見てもらっておりますが、特例措置の額が 増えています。  平成14年度については、ご承知のように徴収関係のほうも、国のほうに事務が 移管されておりますので、その関係で国の関係の経費、特例措置関係の事務費が伸 びている。それがいちばん大きな要因ということです。 ○宮武座長  先ほどの龍井委員のご質問は、最初に財政特例措置をとるのは単年度なのに、な ぜ6年という形になったのか、経過が知りたいというご質問だったのですが。 ○山田経理課長  最初の10年度が11年度、12年度と続いたということでしょうか。 ○宮武座長  当初、特例措置をとる場合財政的な緊急措置であるから、本来なら単年度とか短 い期間であるべきなのに、なぜ6年という長期になったのか、経緯を教えてほしい ということです。 ○山田経理課長  失礼しました。政府全体の話として財政構造改革を推進するという観点で、財政 構造改革期間とでも申しましょうか、平成10年度から平成15年度まで財政上の特 例措置を講ずるということで、そういう意味では、その期間の間特例措置を講ずる という形で、特別会計法などの改正もなされましたので、この措置がそういう法律 に基づいて継続されているということです。 ○龍井氏  2点目は、増えた理由の前に聞きたかったのがこの数字の根拠です。つまり、さ っき言った費目ごとの積上げと財政との折衝の結果なのか、予め大枠が決められて いるのかということです。 ○山田経理課長  ある程度ご説明をさせていただきますと、例えば具体的な事務の経費としては、 年金手帳とか、3号の資格の該当通知書を国のほうが直接送付する。あるいは保険 料の免除申請の承認通知を直接送付する。給付関係ですと、年金証書を直接送付す るという関係の事務経費が平成12年度、国のほうで必要になってまいりましたの で、そういうものが増えているということでございます。 ○龍井氏  増えているのではなくて初年度の根拠です。 ○山田経理課長  初年度ですか、失礼しました。初年度については13頁に、平成9年度の予算、 全体で保険料を充当した金額2,934億円、いちばん左の下ですが繰入しておりまし た。それで上に出ている部分が608億円ということで、これが新たに保険料を充当 するということになった経費でございます。  平成10年度の予算の額を決めるときに、何とか平成10年度予算で保険料のほう の負担が増えないように、平成9年度の保険料の繰入額の範囲内で何とかおさめる。 そういう意味では財政当局との折衝があったのではないかという点については、お っしゃるとおり折衝しながらということですが、2,926億円におさまる形にしてあ るということでございます。 ○龍井氏  ということはその後も、その翌年も同じような折衝の結果の積上げで、平成11 年度も決まったということになるわけですか。  先ほど質問する前にお答えいただいたように、平成13年度で手続が変わったと いうことで増えたというのは、どうしてもよくわからないのは、そもそも制度上増 えたものであるならある程度やむを得ないことであって、とすればこの部分でやる のではなく、本体部分でそれを見ていくということが本来の姿であるわけです。先 ほど申し上げたように緊急避難ということは、どう考えてもいずれ戻すことは前提 なわけです。  それをここで積増しをしていって、いまこんなになってしまいましたと言われて も、私どもとしてはどうしてそういうことになってしまったのかなということで、 ストンと落ちないわけです。  ですから、その財政当局との積上げの結果でということがあったとしても平成 13年度で伸びる理由、積上げの説明にはなっているかもしれないけれども、それ をここで充てなくてはいけないという説明には、私はなっていないと思うのです。 ○山田経理課長  お答えになっているかどうかわかりませんが、平成12年度から平成14年度まで は、そういう地方分権の動きがありましたので、そういう意味では増えている部分 がありますが、その後また絞って、平成16年度ですと2,867億円ということで、 できるだけ保険料に充てる総額が増えないような形で予算を組んでいるということ で、努力はしているつもりであります。 ○宮武座長  ほかにご自由に、ご質問なりご意見なりお願いします。 ○井戸氏  収入は、保険料収入と一般財源といわれる税金の2種類だと思うのですが、一般 財源でも支出目的が、名称が異なっているためにいろいろな収入のように見えてき て、基本は税金だと思うのですが支出のほうは大きく分けると、保険給付に関する 支出と、運営に関する事務費とその他になると思うのですが、その他は小さなもの なので、基本は保険の事業と運営の経費だと思うのです。  その運営の経費の人件費と物件費に分かれていて、いろいろ考えてみたのですが、 収入に対して、運営の経費がどのくらいかかっているかということを実際に見ない と、事務費に対しての評価というのがすごく難しいように思うのです。  この28頁に、いちばん近い数字でご説明いただいたのが、厚生年金の保険料の 収入に対して厚生年金事務費とサービス向上経費が1%というふうにお聞きしたの ですが、この収入に対する運営事務経費というのが、どういうふうに問われている のかというのと、あと、これが変動するかもしれないのですが、例えば1%という のが適正であるかどうかというところの議論がなければ、国民の方はすごく理解し づらいものではないかと思います。  それでこの1%の内訳で、人件費がいくらで、システムの開発や維持費がいくら で、庁舎の借上げがいくらでというふうになってくるのではないかと思うのですが。 ○宮武座長  拾っていくとある程度わかるような気もしますが、経理課長のほうからお願いし ます。 ○山田経理課長  1%というのは最初からあったわけではありませんで、いまご指摘いただいたよ うに、社会保険事業を運営する上での人件費もかかりますし物件費もかかります。 そういうものを積上げて、私どもは数字を精査してきたつもりですが、28頁で申 し上げますと、保険料収入なり給付費なりが年金成熟化に伴って増えてきて、相対 的に事務のコストというのは下がってきたということだろうとは思うのです。それ をどう評価するかということについては、むしろご意見を聞かせていただければと 思っております。  経費の内訳については、ザクッとしたもので恐縮ですが、先ほどご説明申し上げ た7頁なり以降に事業運営経費の年金関係の事務費、それからサービス関係の事務 的経費、さらには保健・福祉施設事業ということで実施している経費もありますの で、大体そういうような中身の経費です。 ○宮武座長  井戸委員よろしいですか。どうぞご遠慮なく。 ○井戸氏  どうしても営利事業だったら、収入に対して経費を圧縮したら、それだけ利益に なるので残って、それが利益を得るような動機づけのモチベーションになると思う のですが、その辺が欠落しているところが、この社会保険の難しいところだなと思 いますが。 ○龍井氏  関連して事務費に対する評価と言われたのですが、やはり、今日の資料で決定的 に落ちているのは実績だと思うのです。だから、これは予算主義で使ってしまえと いうのもないわけではないけれども、来年度に向けてやはり実効性がどうなのかと いうことが1つの評価の指標になるわけですから、その辺は今日間に合わなければ 次回でも、わかる範囲での実績を出していただきたいと思います。 ○山田経理課長  そのようにいたしますが一言だけ。平成16年度については、繰り返しの説明に なりますが、公用車の更新、交際費、あるいは職員宿舎といった、ご批判のありま した経費については極力執行を抑制するということでやっておりますし、その他の 経費についてもできる限り節約に努め、適正な執行、節約した執行に努めていると いうことではございます。 ○龍井氏  15頁の先ほど説明のあった歳出のほうの要求状況1,368億円というのは、16頁 で、「平成16年度予算執行における対応」ということを見込んだ上で、要求して おられるということになるのですか。つまり、これが平成16年度要求からいえば 増えているわけですよね。それはどういうふうに解釈すればいいのですか。 ○山田経理課長  15頁の1,368億円という数字が、国庫財源になるか保険料財源になるかについ ては、これからの折衝でございます。数字そのものが平成16年度より増えたのは、 いちばん大きな要因としては年金制度改正があって、そのためのシステムの開発経 費、100億円強かかります。平成17年度の予算の要求に当たっては、ギリギリ精 査したつもりですが、どうしても年金制度改正に伴うシステムの経費、その分の増 額が大きかったものですから、平成16年度に比べると、その部分が増額要求にな っているということでございます。 ○龍井氏  それは5年毎の改正が来れば、大体毎回そうなっているということですか。 ○山田経理課長  はい、年金改正のあった年は、具体的に100億円かどうかはちょっと不明ですが、 かなりの額をシステム開発ということで、経費を要求してきていると思います。 ○宮武座長  逆に言えば、それはどこかに明記しておいたほうがいいですね。私もなぜ増えて いるのかと思いました。  ご質問が途絶えていますので私のほうからお聞きしたいのですが、最後のほうの 30頁あたりで、保険料の徴収コストの試算をしておられますね。これは井戸委員 の要求でもあったわけですが、国税庁との対比みたいなことを意識されてというこ とですね。ちなみに国税庁は、徴収コストをいくらくらいと言っているわけですか。 ご存じですか。 ○中野企画課長  国税庁で公表されている類似の資料によると、ほぼ同様の考え方で計算した結果 として、1.78円というふうに公表されております。 ○宮武座長  国税庁のほうは、徴収をして給付するといっても確定申告の還付くらいしかない という、要するに片流れの事務ですね。こちらは徴収をして給付をするという、両 側で大きくやっていらっしゃいますね。国税庁を意図されたから、徴収だけに絞ら れたわけですね。そういうことですね。 ○中野企画課長  保険料の徴収コストということで、従来からご議論がございましたので、徴収部 分に限定した形で試算をしたらどうなるだろうかということで、今回試算をしてみ たということです。  国税、税の徴収の関係ですと、給付や記録管理といった部分はありませんので、 ご指摘のとおりです。 ○宮武座長  民間経営の立場からご覧になると鈴木委員、どのように見ればよろしいでしょう か。教えていただけますか。 ○鈴木氏  大変複雑なことをしておられるなと思うのですが、先ほどの13頁で保険料から 出ている部分が、範囲を広げても何とかおさまるように努力してこられたんだなと いうことは、よくわかると思います。そういう意味では、勝手にどんどん膨張して 行ってということではなくて、節約の中で運営をしてこられたのかなあという気は します。しかし、今いろいろな所からいろいろな指摘を受けている。そういうこと になりますと、過去のいろいろなことをこのように分析していますが、その中から 本来ならば「もっとここまでできるはずである」という案を作るというのが普通我 々のやることです。確かに「今までのやり方だとこのようになっていますね。それ を引き続いて行なうと、こうですね」というだけでは本当は改革にはなりません。 ですから、今までこういうふうにお金を使ってきたが、やり方をこう変えると、い まの数字も国税庁よりもいいというので大したものだと思うのですが、なおこれが 半分になるとか、そういう案を出してほしい。改革委員会の中で今までやってきた 経験、いろいろな所からいろいろな指摘を受けている中からすると、もっとこうい うふうになるのだというものが欲しいというのが率直な意見です。 ○宮武座長  その辺のところで、何か目標のようなものはありますか。 ○村瀬長官  では簡単に説明いたします。先般も調達委員会の話をしたと思うのですが、この 10月から調達委員会を立ち上げて月に2回、一定規模以上のものはすべて、必要 の可否とコストを見直しております。その中での1つの目標は、印刷物等について、 その可否も含めて、何とか昨年度実績の3割減ぐらいにできないかと。すでに10 月までに立ち上げているものがありますので、本年度は10月以降の部分です。し かしそれが、来年4月以降になると1年分になりますから、年間の印刷物経費等に ついてはそういう目標で動いております。  また先般国会でも家賃の問題が出ましたが、家賃の問題についても、ちょうど平 成12、13年ごろ地方から社会保険庁に変わった関係で、事務局がすべて県庁から 外に出たわけですが、そのコスト等についても全県調査を終わっております。これ についても、専門官をこの3月まで2人配置して、徹底的に家賃交渉で値下げを図 るとか、具体的な行動をこれから起こそうとしている最中です。予算要求案は12 月のものではなく、最終的には前回、9月に出したものをそのまま使っていますの で、今後財務省との予算折衝案の中では、当然下げるところは出てくるのだろうと 思います。  一方、国民年金の収納率を8割まで高めるということになりますと、当然のこと ながら、市町村との税情報の交換を含めて、いろいろな意味でのシステムコストが かかってくるわけで、そういう部分については逆にお金を出していただかないと収 納率が上がらないということで、そこら辺の中身の入替えが若干出てくることにな ります。これが12月の予算の攻防の1つになるのではないかと考えております。 したがって、そこらがきちんと見えた段階であれば、ここまで節減できるというの は提示するのですが、まだ途中経過であるということで、姿勢を見ていただきたい と思います。  先ほど龍井委員から指摘がありましたが、私も民間から来て、予算という観点で 特別会計からの流れを見ているのですが、ご存じのように、民間企業ですと、どう いう費目にどういうお金をどこで使っているかというものの集体系が最終的な実績 なり予算のベースになるわけです。ところが国の場合には、残念ながら、そういう 形になっていません。一応、財務省との予算要求上の項目に合わせた上で、支出関 係がどうなっているかということで、なかなか中身が見えない。これは先般鈴木委 員から、管理会計的な要素をもっと入れたらいいのではないかというお話があった 所だと思うのですが、これについては、残念ながら、いまの段階では全部捉え切れ ていません。来年度以降、その部分についても、できるだけ早い機会に捉える仕組 みを作りたい。国の会計とまた違う部分について、社会保険庁として見られる仕組 みをどこまで作り切れるのかというのが大きな課題であろうと思っています。より 具体的な事業運営のコストと今後の、どこへお金を投入し、どこでもう少し節減す るのかというのが見えてくるのだろうと考えております。  今日のご議論の中でシステムの話が出ましたが、システムには大変なコストを投 入しております。システム自体は現在レガシーシステムで、この問題を解決しない 限りは、本当にコスト削減はできないのだろうと思っております。システムについ ては今、刷新可能性調査ということで見直しをしております。来年度以降それが計 画に移るわけですが、ここが完璧に完成しないと、システムコストの削減というの はそんなに簡単ではないと考えています。これからどういうところを節約しながら、 あと何年後にはどれだけの運営コストでできるのかというのを見られるようにしな ければいけないだろうと考えております。いまの段階で、具体的な答えまでは出せ ないのですが、姿勢だけはそういう方向に動いているということでご理解を賜われ ばと思います。 ○稲上氏  15頁に「年末予算編成時の課題」とあります。先ほど来のお話を伺っておりま すと、保険料を財源とする場合というような議論があり、相当考えておかなければ いけないのかなと感じるのです。法律上の措置が必要という中身、とりわけ先ほど お話があった財政構造改革の期間、それはそれとして理解できなくはないのですが、 事実上、法律上の措置の内容によっては、こういう状態が構造化し、常態化してい くことが大いにあり得る。それがいいかどうかというのは、もちろん議論されるべ きことですし、本則に触れるような側面も、やがては持つ可能性があるのかもしれ ないのです。いまいろいろ詰めているのでしょうから、法律上の措置の、特にこれ からどうなるかという期間です。特例措置という議論の組立て方だとすると、どの くらいそれがこれからも続いていくのか。もしそういう見通しなりお考えがあれば 伺いたいと思います。 ○青柳運営部長  なかなか難しいお尋ねですので、確たるお答えはできない部分があるのですが、 ご存じのように、年金給付の本体の所についても、2分の1に向けて基礎年金の国 庫負担をどうやって上げていくかについては暗黙のうちに、消費税あるいは税制全 体の問題をどう考えるかということを少しにらみながら議論が展開されています。 したがって、日本の財政の問題全体を、当面は三位一体の問題、その他適正化、見 直しをしながらということは当然のスケジュールになっているわけですが、そう遠 くない将来において、消費税問題を含む税全体の見直しの議論をする中で、財政問 題を考えていかないといけないということです。総理もはっきり口に出しておらず、 私の任期中にはやらないということしかおっしゃらないのですが、これが多くの方 々の共通認識になりつつあるのではないかと私は受け止めております。したがって、 そういう時期を外れて事務費の問題だけを何か特別に手当するといっても、現在、 経理課を中心に社会保険庁と財務省で、当面17年度をどうするかというような議 論の中で、シャクトリムシのように一歩一歩整理をしていくことが限度です。いま 委員から提起があったように、場合によっては法律も変えて国庫負担と保険料の役 割全体をきちんと見直す。国全体の財政を見直す時期というものを意識して、そこ を横目でにらみながらでないと、抜本的には手がつけられないのかなというような 漠たる見通ししか現時点では示せないのかなと思っております。 ○鈴木氏  いまの件に関する話ですが、このように予算が曖昧な状況で、国庫負担なのか、 保険料から出すのかが曖昧で予算がいつも審議されるという状態を延々と続けてい る。これは明らかにモラルの低下を招くので、そういうことはきっちりすべきであ ると思います。法律でこういった経費は国庫負担と決めてあり、臨時措置法が終わ ったならば、直ちにそれに戻すということがまず原則だと思います。  国の財政も厳しい、もちろん保険の財政も厳しい。どちらも厳しいわけですが、 このものをあっちへやる、こっちへやるとキャッチボールするというのでは全く能 がない。極端な言い方をしますと、キャッチボールしなければいけない部分をゼロ にしてしまおう。それを5年でやろうとか、10年でやろうとかという議論の中で キャッチボールを議論すれば、多少建設的な議論になるのかなと思っています。  いま宙ぶらりんになっている1,368億円というのは大変大きな金額であることは わかります。先ほど長官から、内々には3割削減というような発言がありましたが、 3割とか何とか、この程度の金額は民間ではわりとやっている話です。ですから、 全部と言わないまでも、かなりの部分を減らしてしまう。その中には福祉施設云々 の話もある。こんなものは全くやめてしまうとか、これは全部切ってしまおうとい うようなものも含めて、こういった宙ぶらりんの費用をゼロにするような努力と、 制度は制度でしっかりするのとを組み合わせると大変いい話になるのではないかと、 こんなふうに感じます。 ○龍井氏  私もいまの意見にかなり近いのです。昨年1年限りの延長というのが決定的なミ スだったと思いますね。そこで問題を整理することをしなかったということが問題 を引きずっている。しかも、これは品のない言い方になってしまうかもしれません が、結局財務省からすれば、自分の分は減る、社会保険庁のほうからすれば、その 部分自分たちで外から言われずに使えるというようなものがこういう金額になって しまった、そういうことが率直なところだと思うのです。ですから私は、長官の決 意なども含めると、無理しても1年でやめる。そしてその間に、これはまさに法律 改正事項も含むわけですから、あるべき論の議論をきちんとやって、法改正を準備 する。そこで若干の赤字は出るかもしれないけれど、それをバックアップする措置 はいろいろ知恵があると思うので、とにかくけじめを一遍つけて、保険の財源でや るものについての在り方を、諸外国の例なども出されているように、きちんと議論 する。そういう道筋を曖昧にしないでやっていただくことが改革の大きなメッセー ジの1つだと私は思いますので、是非今回はそういう方向でご努力をお願いできた らと思います。 ○遠賀氏  先ほど長官が言われた印刷物の経費の3割削減のことですが、案内書、督促状、 催告状をただ一方的に送りつけても効果がないと思います。委員の方も、ダイレク トメール等が1日に20通、30通来ても、そんなものはあまり見ないで捨ててしま うでしょう。しかし印刷費や郵送費を考えるとこれにかかる経費は莫大なものにな ります。3割削減は当然のこととして、それを見るような工夫をすることも大切な ことだと考えます。案内状の文章の中に法律用語を見ることがあります。しかし一 般の人にとってはやはり法律用語はなじみが薄く、たとえば「資格取得」「資格喪 失」という言葉を「加入」「脱会」などという言葉に置き換えてみてはどうでしょ うか。わかりやすい言葉を使えば、誰にでも親しみやすい案内状になると思います。 ○紀陸氏  私は、2頁とか4頁の業務勘定という経理の区分や仕組みがよくわからないので す。確かに適用・徴収・給付を別扱いにするというような趣旨なのでしょうけれど、 この中にいろいろなものが入っているわけで、この組立ては、普通の人が見てもよ くわからないでしょう。これは別勘定にしないと具合の悪いものなのですか。 ○山田経理課長  2頁に年金勘定、業務勘定、健康勘定とあります。年金勘定というのは、年金の 給付をするために保険料、国庫負担、運用収入などが歳入として入ってきて、その 一方で給付をしている。つまり負担と給付のバランスを見るという意味で、年金勘 定という形で歳入、歳出をおさえるというのがいちばん分かりやすいものですから、 そういう形で1つの勘定になっております。  業務勘定ですが、業務の中には適用・徴収・給付の関係の事務的な業務もあるし、 保健・福祉施設事業ということでやっている事業もあります。そういう事業や業務 について、どういう財源でどういう事業をやっているかを見るということです。  健康勘定は、同じく政府管掌健康保険の収入と給付関係のバランスを見るという 意味からも、分けた勘定にしてあるのです。 ○紀陸氏  児童手当の拠出金がこれを経由して児童手当勘定に入ってきます。こういうこと もよくわからないのですが。 ○山田経理課長  事業主から厚生年金等と一緒に児童手当の拠出金を頂いているので、業務勘定で 頂いたお金を児童手当勘定に拠出資金として繰入しており、一方で業務取扱費財源 繰入というのは、社会保険庁のほうで厚生年金などと一緒に児童手当の拠出金の徴 収をしておりますので、その業務に必要な経費部分については児童手当勘定から繰 入をしている。少し見にくいのですが、そんな構造です。 ○紀陸氏  先ほど、システムの見直しがこれから重要になるということでした。5頁に事務 費とサービス向上経費の区分が出ていて、一応こういう区分になるのでしょうけれ ど、システム経費などというのは事務費とサービス向上費などと区分けができ得る ものなのでしょうか。6頁にはシステム経費ということで上段と下段に分かれて記 入はされているのです。ここを変えると、金額も変わってきますが。 ○山田経理課長  システム経費で、事務費に充てているのは適用・徴収・給付に係る基本的なシス テムの経費です。適用関係で新たなシステムを開発するとか、収納や裁定関係のシ ステムを開発するものです。サービス向上の関係でいちばん大きなものは年金相談 の関係です。年金相談関係のシステムで、加入記録の照会、受給者記録の照会、年 金見込額の試算等の経費があります。また、相談のためにいろいろ端末機を設置す る経費も含んでおります。 ○鈴木氏  このように分けてありますが、予算項目としてこうしてあるだけで、システムを 作るときに分けてあるわけではないのですね。ですから、やり方を変えたらシステ ムの経費が安くなるという話ではなくて、このようなことで按分しているというよ うに理解したらいいのですか。 ○山田経理課長  基本的にはおっしゃるとおりです。例えば年金制度改正でシステムを開発すると いうことが明確で、それが適用・徴収・給付の関係の事務経費ということであれば、 事務費で全部みていますので、その経費は事務費になります。しかし、システムの 全体について、どちらの財源がどちらにというのは、そのときの予算でセットして 切り分けておりますので、全体として見れば委員がご指摘のような形になろうかと 思います。 ○鈴木氏  システムには金がかかるのですよ。しょっちゅう変わると誠に厄介なのですが、 しょうがないですね。これがないと安くならないはずですね。 ○宮武座長  この点の質疑はここまでにして、資料2に進みたいと思います。説明をお願いい たします。 ○稼農企画課長補佐  前回の運営評議会以降、社会保険業務に関する指摘をいくつか受けており、資料 2はその概要をまとめたものです。  1頁が行政監察の結果です。平成16年10月8日に総務省から「年金に関する行 政評価・監視」ということで国民年金業務を中心とする勧告を、第1次勧告という 形で受けておりますが、その中身の概要が2頁に載っています。経緯としては2頁 の左の上にあるように、社会保険庁の年金業務について問題が顕在化している中で、 厳しい批判があり、監視、評価をするということです。  下の箱にあるように、第1次勧告の柱は、1つ目が適用業務の的確な実施、2つ 目が保険料徴収業務の的確かつ効果的な実施、3つ目が社会保険事務局等の定員配 置の見直し。大きくこの3つの柱で勧告を受けております。それぞれ次頁のような 個表になっております。  3頁の1つ目の○は適用業務等の的確な実施です。現状・実態ですが、会社に勤 務していない20歳到達者は国民年金の第1号被保険者ということで、住基ネット (住民基本台帳ネットワークシステム)を活用して情報をもらって加入勧奨をする、 それでも届出がなければ手帳を送付するという適用をしておりますが、それ以外の 第1号未加入者の把握についても、住基ネットを活用したらどうかということです。  2つ目の○ですが、年金受給権者には基本的に年に1回、誕生月に受給権者の方 の生存状況等の現況届を葉書で出していただいておりますが、氏名、住所変更につ いては住基ネットシステムを利用できるとされていることから、それを活用すれば その廃止が可能ではないかというのが実態の部分です。  勧告の要旨ですが、住基ネットシステムを活用することにより、@第1号未加入 者の把握、A年金受給権者の現況届の廃止、B年金受給権者の氏名及び住所変更届 の廃止、これらを検討すること、という指摘がされております。  Aの年金受給権者の現況届の廃止については、平成18年度中の実施を目指して、 現在住基ネットシステムの活用を検討しているところです。現在はすべての年金受 給権者から現況届を提出してもらっており、年間約30億円程度の印刷経費と発送 経費がかかっております。一方で住基ネットシステムを活用するということになる と、1件当たりいくらということでその経費もかかります。システム開発経費や住 基ネットの利用手数料等が必要となりますので、介護保険の保険料徴収の情報など を活用して、効率的な実施方法をいま検討しているところです。@とBについても 今後、同様に業務の効率化あるいは費用面の観点、双方から検討を進めたいと考え ております。4頁はイメージ図なので省略いたします。  5頁は「保険料徴収業務の的確かつ効果的な実施」で、国民年金の保険料収納対 策の強化の部分です。現状・実態の所はこれまでも説明してきましたが、平成19 年度までの80%目標があったが、年度別の具体的目標は当時未設定であったとい うことです。  勧告の要旨は、社会保険庁に対しては下の○にあるように、納付督励等の実施に 当たって毎年度それぞれの業務ごとに目標値を設定し、これに基づいて社会保険事 務局等の業務管理を行うこととなっています。これについては、先ほど長官からも お話がありましたし、前回の運営評議会でも報告したように、事務局、事務所単位 での行動計画を作り、月単位で報告をもらって管理をしていくという形ですでに進 んでいます。  6頁ですが、もう1点として「社会保険事務局等の定員配置の見直し」について 指摘がされております。現状・実態の所ですが、職員1人当たりの被保険者数、基 礎年金受給権者数、事業所数を単純合計して比較すると、総じて都市部を抱える社 会保険事務局等が地方の社会保険事務局等より数値が高く、社会保険事務局等間で かなりの格差があるという指摘です。  勧告については、業務量に応じて均衡のとれたものとなるよう社会保険事務局等 の定員配置を見直すことを検討することというご指摘をいただいております。  社会保険事務局については、先ほどもお話がありましたが、地方分権一括法が施 行された平成12年4月以前は、都道府県の保険課、国民年金課として位置づけら れており、職員の身分は地方事務官ということでした。そして、知事の指揮監督下 にあったことから現実的に、人事異動についても県内を基本としていたという実態 があります。そして、地方事務局間で定員1人当たりの業務量に格差が生じている ということがありましたので、どのような指標を用いて業務量を見ていくかという のは難しい面もあろうかと思いますが、ご指摘も踏まえて検討する方向で進んでお ります。  7頁は「その他の勧告事項」です。1つは、納付率の向上の費用対効果について、 分析結果を踏まえて有効な対策を打つようにということです。また、基礎年金番号 という制度を平成9年1月からスタートしておりますが、まだ複数の年金手帳記号 番号を有している方がおり、それを1つの基礎年金番号に収録するということで統 合作業を進めておりますが、それを的確に進めるよう注意喚起を実施してほしいと いうこと。それと広報的な部分、あるいはお知らせ等、改革の動きも含めて、社会 保険庁ホームページの積極的な活用ということが言われております。  8頁は、我々社会保険庁が「平成15年度に立てた目標についての厚生労働省か らの評価」ですが、その概要を説明いたします。左欄が平成15年度に達成すべき 目標ということで厚生労働省のほうから我々実施庁に与えられた目標、真ん中がそ れに対する社会保険庁の平成15年度の実績の概要、右が厚生労働省のそれに対す る評価の概要という形になっています。  1の「適用事務に関する事項」については、最初の○で政管健保や船員保険、厚 生年金など被用者保険の事業所の適切な把握に努めて適用を促進することが目標で した。これに対する社会保険庁の実績としては、商業登記申請や法人登記等の閲覧、 あるいは厚生年金保険と労働保険の適用事業所に関するデータの突合等を利用して、 未適用事業所の適正な把握に努めたということが実績です。これに対する評価とし て、取組については一定の評価をいただいております。そして、今後更に職権適用 や重点的な加入指導等、適用対策の強化を更に図っていきなさいというような評価 をいただいております。  2つ目の○は国民年金の20歳到達者の把握等については、完全適用が目標とな っています。これについては先ほどお話しましたが、入口の所で住基ネットの活用 をしております。評価の部分ですが、住基ネットの活用等により体制が整えられた という評価をいただいております。そして、引き続きその活用を図るとともに、適 用後の保険料の適切な納付を進めるために、効果的な広報や加入勧奨等を通じてご 理解をいただいて、届出による適用を促進することが必要ではないかという指摘を いただいています。  大きなくくりの2は「保険料の収納業務」です。これに関する目標は、適正な納 入を促進すること。厚生労働省の評価は、特に口座振替について、「前年度を上回 る口座振替実施率となること」という目標達成には、残念ながら、至っていないと いうことを言われております。  次の頁でそれを受けて、今後各保険料の確実な収納に向けて、適正な滞納事業所 の管理、滞納処分の実施によって収納実績を上回るための取組が必要であるという 指摘をいただいております。  次の段が、保険料を滞納する事業主に対する納付督促及び滞納処分を確実に実施 することという目標に対しての評価です。これについての評価は、保険料について は保険料納付の推進の上で、一定の進展があったという評価をいただいております。 一方で差押えの事業所数については、前年度と比較して若干減少しているという状 況があるので、今後とも滞納者への処分等に積極的に取り組むことが必要であると いう指摘があります。  いちばん下の箱は、国民年金被保険者に対する保険料納付督励等保険料の確実な 収納対策です。これについては前回報告したとおりですが、厚生労働省の評価とし ては、平成15年については、10年来下がっていた保険料収納率に一定の歯止めが かかったということは評価いただいております。しかし、平成19年度の80%目標 の達成に向けては、まだまだ足りないと言わざるを得ないという指摘です。今後 「緊急対応プログラム」に基づいて中長期的目標を着実に実施すること、行動計画 の策定を図ることが必要ということで、事務局・事務所ごとのアクションプログラ ムを策定して取り組んでいるという状況です。  続いて3、「保険給付事務に関する事項」給付業務です。最初の○は医療費適正 化の推進です。ここにはレセプト点検調査等について書いてあります。厚生労働省 の評価ですが、1人当たりのレセプト点検効果額について総合的に見ると、前年度 の被保険者1人当たりの点検効果額を上回るという目標が達成されたとは言えない ということで、点検の充実を図る上でレセプト情報管理システムを十分に活用し、 点検調査件数の十分な確保に努める等、質と量に留意した取組の強化が必要である という指摘を受けております。  その下の○が厚生年金保険と国民年金の年金給付の適正化についてです。これに ついては、現況届の活用により、一定の取組促進が図られたということです。  右側の下の○で最近、年金の給付誤りという事案が出てきております。これにつ いては速やかな公表をするということで対応しておりますが、これについて、今後 の対応に全力をあげ、改善策の迅速かつ確実な実施を推進するとともに、年金給付 システム及び事務処理の総点検を進めて適正な決定・支給を推進していくように、 という指摘がなされており、ただ今、年金給付システムの総点検作業を行っている ところです。  4の項目は「保健事業及び福祉施設事業に関する事項」です。最初の○は、保健 ・福祉施設事業は的確かつ効率的に実施することという目標です。これについては、 福祉施設については、行政改革大綱等の内容を踏まえた整理合理化を推進するとい うことで進めております。そして、それを進めるとともに、社会保険病院について も経営改善計画を着実に推進していくことが必要であるという指摘があります。  5は「広報、情報公開、相談等」です。これは年金個人情報の提供の充実等、あ るいは年金相談体制の充実についての動きです。厚生労働省の評価として、相談窓 口の充実、インターネットによる年金見込額試算の受付が開始されたことなど強化 が行われた、という評価をいただいております。そして、今後とも急速に伸びると いうことですので「緊急対応プログラム」に基づき、年金相談センターの充実、あ るいは年金電話相談の拡充をはじめ、さまざまな角度からの充実をしていくことが 必要であるという指摘を受けております。  国民からの相談については、年金相談への対応で待ち時間を短縮すべきであるこ となどが指摘されており、8月と11月の年金週間に、モデル的に時間の延長を行 い、その他ハード的にも年金相談センターの充実を図っております。また、利用者 である国民のニーズの把握という場面では「緊急対応プログラム」に基づき、「長 官への手紙・長官へのメール」等の取組を推進することが必要ということです。現 在「長官へのメール」ということで一般の方々からの要望等を受け付けることを開 始したところです。  最後の○の情報提供の推進では、レセプトの開示や年金個人情報の提供について 取組を推進するということが言われております。以上が厚生労働省の評価の部分で す。  最近の新聞報道等でもご案内のことかと思いますが、会計検査院から「平成15 年度検査報告」があり、これに掲載されている社会保険庁関連の不当事項の概要を 13頁にまとめました。これは平成16年11月9日に会計検査院から内閣に送付さ れております。  1番目は、国民年金推進員が個別訪問等を行う際に年金記録等が入っている金銭 登録機について、その購入契約が会計法令の趣旨に反して適切でなかったという指 摘を受けております。(1)にあるように、事前に特定の業者だけに仕様等の説明 を行って随意契約を締結していたのは、契約における公平性、透明性、競争性等が 確保されておらず、適切とは認められない。また(2)として、本庁で一括して調 達することができたと思料される。したがって、社会保険事務局等で個々に契約し、 合理的理由もなく小口に分割して随意契約を締結しているのは、契約における競争 性、経済性等が確保されておらず、適切とは認められない、という指摘をいただい ております。金銭登録機については、下の矢印にあるように、平成16年度におい ては競争入札により調達を実施しております。  2番目の項目は届出用紙等印刷システム「パピアート」という機械の役務契約に ついてです。(1)は社会保険事務所等に設置したパピアートの印刷システムの平 成15年度における出力枚数で、921システム中254のシステムにおいて全く使わ れていなかったという指摘です。一方、印刷システムを設置してない市区町村にお いては届出書等のコピーで対応したり、社会保険事務局等から届出書等を入手した りすることで十分足りている状況であったという指摘もいただいております。  (2)で、このような使用の実績などを考慮すると、印刷システム導入に当たっ ての検討が十分であったとは認められない。届出書等のコピー等で十分対応ができ たのではないかということで、導入したことが適切ではないという指摘をいただい ております。これについては、平成16年7月末で届出用紙等印刷システムの役務 契約を終了したところです。  3番目は健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収について、徴収額が不足して いたものが25億円ほどという指摘です。これについては、指摘のあった徴収不足 額についてすでに徴収決定を完了し、収納に鋭意努力しているところです。  4番目は老齢厚生年金の支給が適正でなかったものです。特別支給の老齢厚生年 金の受給権者が被保険者として厚生年金の適用事業所に使用されていて、本来年金 を支給停止すべきであったのに支給がされていたという案件です。これについても、 指摘のあったものについてはすでに返還措置を講じているところです。  次に14頁以降を見ていただきながら、11月6日からの「年金週間における年金 相談の実施状況」について説明いたします。1.土日の実施状況で、11月6日 (土)と7日(日)の実施については、土日の開庁を行って、社会保険オンライン システムを稼働した上での年金相談を行ったのは初めてでした。全国286の社会保 険事務所と12の年金相談センターで相談を実施し、その他イベント会場等におい ても行っております。11月6日の来訪相談者数の合計が5,801人、1カ所平均で 18.9人でした。11月7日も5,506人で、1カ所平均が18人程度でした。見ていた だきますと、6日午前中の来訪者が56.2%、7日の午前中が56.7%で、午前中に 1つの山がありました。それとお昼の後すぐぐらい、13〜14時にかけてぐらいに また13%、12%程度の山が出来ているというような状況でした。1日で最も多か ったのが川越の社会保険事務所で、11月6日に103人でした。その他東京の八重 洲地下街や博多・小倉の伊勢丹のイベント会場など、事務所以外の場所でもコーナ ーを設置して相談を行いました。  次の頁は2.「平日の時間延長」です。平日は11月8日(月)〜12日(金)、 通常は午後5時まで受付をしておりますが、午後7時まで延長して、全国で312の 社会保険事務所と10カ所の年金相談センター、及び東京にある社会保険業務セン ターの中央年金相談室で年金相談を実施しております。午後5時以降、平日の延長 時間帯の来訪者総数が、全国で3,795人でした。参考ですが、11月8日〜12日午 後5時までの来訪相談者の総数は16万6,000人程度でした。日別の来訪者を見ま すと、10日(水)が最も多くて816人。8日〜12日まで、大体600の後半から 800人に利用していただいております。延長時間帯別の来訪者数を見ますと、午後 5時台が最も多くて59.7%という結果です。  最後の頁3.「年金週間中の来訪相談者の属性と満足度」です。この年金週間中 の11月6日〜8日に、社会保険事務所においてアンケート調査を実施しており、 その結果の概要です。(1)が来訪者がどんな方かということですが、土曜日と日 曜日の来訪者及び平日午後5時以降の来訪者は、59歳以下の方が過半数を占めて おりました。特に、土曜日の午後と日曜日は、59歳以下の来訪者が6割を超える という状況でした。  (2)は年金相談に対する満足度ですが、「満足」と「まあ満足」という両方を 合わせて8割を超えております。特に、土曜日と日曜日に限ってみると9割を超え るという状況でした。  (3)は年金相談時間に対する要望ですが、今後年金相談を実施してほしい曜日 を来訪者に尋ねたところ、最も希望する人が多かったのは土曜日、次いで日曜日で した。また、今後相談を希望する時間帯について、そのパーセンテージを下の表で 掲載しておりますので参照していただきたいと思います。 ○宮武座長  ありがとうございました。資料2について質問や意見を是非お願いいたします。 ○龍井氏  まとめて2点伺います。1つは資料8頁以降の、厚生労働省からの評価ですが、 おそらく目標も厚生労働省から一方的に下りてくるものですね。目標設定や評価を する段階で果たしてどの程度、社会保険庁の報告だけではなくて、ヒアリングをす るとか、目標自身が妥当かどうかということも検証する必要があるわけです。これ を拝見する限り、これを10年繰り返したら何か次の姿が浮かぶかというと、ちょ っと見えてこない。ですから、運営評議会をもっと拡大していただいてもいいと思 うのですが、あまりこういうものにエネルギーを注ぐよりは、現状やニーズから見 て政策がどう評価されるかというものを片方でもっと充実していくことを是非お考 えいただきたいというのが1点目です。  今日は会計検査院の方がお見えではないかもしれないのですが、13頁の1と2 がマスコミ等々で問題になったから出てきたものなのか、あるいは今のシステムの 中でこういうこともチェックできるようになっているのか。たぶん対象の競争入札 によりというのも、この文面から見る限り、金銭登録機に関してはということで、 ほかのものについてどうなっているのかがどのように体制としてつくられ、またチ ェックできるのか。ちょっとその辺は、たまたま発覚したものなのか、もしわかっ たら教えていただきたいと思います。 ○山田経理課長  会計検査院の関係で、1の金銭登録機と2のパピアートの関係はいずれも随意契 約ですが、今後はできる限り随意契約でなく競争入札、広報などについては企画競 争を導入して競争性、透明性を確保することで対応しております。必ずしも金銭登 録機やパピアートだけではありませんで、全庁的な方針として今後はきちっとやっ ていこうということで長官以下取り組んでおります。  具体的にそれをチェックする仕組みとして、先ほど長官が述べた、調達委員会で 契約をするときに随意契約であれば、本当に随意契約でないと駄目なのか、競争入 札でできないのか、企画競争をする余地はないのかと、相当ぎりぎりまで意見を出 し、議論をしております。委員ご指摘の点については、全体についてそういう方向 でやっているということです。 ○鈴木氏  いまの意見と一部ダブる所がありますが、外部の評価とか監視というのは本当に 外部なのかどうかということ、それは1つ申し上げておく必要があると思います。 しかし、その中でも大変いい指摘をいただいているわけで、特に総務省の勧告の中 に、社会保険事務局等の定員配置の見直し。1対3とか、1対3.5。これが本当に そのまま適正な評価かどうかわかりませんが、こういったものにどう取り組んでい くのかをきっちり決める。しかし、人を減らすわけですから簡単にはできないわけ です。1年2年でやれというわけではないわけですから、例えば10年かけて、こ ういう方法で、こうしますということをしっかり作っていただくようなことが必要 なのかなという気がします。  いまもいみじくもご指摘がありましたが、厚生労働省からの目標であるとか評価 であるとか。厚生労働省の中に社会保険庁を監督するような職場があって、そこが 何か監督してものを言って、それに対して評価をするというシステムが成功するこ とはないということを申し上げたと思います。この内容を見ていると「こんなこと 言われなくてもいい。こんなこと真面目に勧告してくるなよ」というような感じが するので、こういう無駄はあっさり排除するほうへ持っていけないものかなという 気がしました。  会計監査の指摘、これも大変深刻な問題のような気がします。会計検査院の人が 来て調べてこの4件が出てきたということですが、社会保険庁の中に改革推進本部 というものがあるわけで、そこで検討すれば、この4件どころではなくて、100件 とか200件出てくる内容なのだろうと思います。この4件だけが問題ということで はあり得ないわけで、もっとたくさんのものが本当は出てきて、その中でもっとた くさんの予算の削減が図られるのではないか。改革推進本部の中から検討、調査し て、人間はこのくらい減りますよ、このぐらい機能は強化しますよ、予算はこれだ け減りますよ、方法はこうですよというようなものが出て議論をしていただけると 大変ありがたいという気がします。  前回も、保険料徴収の強化という所で積極的、前向きな目標をきっちり決めてや っておられるわけで、あそこまでお作りいただけるわけですから、ほかの点に関し てもそういうふうにお作りいただいたらどうかということを申し上げておきます。 ○宮武座長  龍井委員とダブりましたのが、もっと自主的な目標を立てるような形にできない かということ。鈴木委員のほうは、人員配置について、もう少し具体的な長期計画 を作って着実にやるように。あるいは、改革推進本部で無駄なところをちゃんとチ ェックするように。たくさんあるだろうという、大変厳しいご指摘ですが、どなた かお答えいただけますか。 ○青柳運営部長  政策評価についてお二人からお尋ねがあったのですが、実をいうと、この政策評 価というのが平成13年度以降、いわば中央省庁改革の目玉の1つとして導入され たシステムだという経緯があります。それがまだ模索中で、試行錯誤のところがあ るのです。  庁と厚生労働省との関係だけではなくて、厚生労働省の各局の仕事も、一応政策 目標というものを立てて、政策統括官の下に評価機関が置かれ、そこが統一的に政 策評価をするというやり方になっているのです。実は、これは霞が関全体の共通ル ールなのですが、私も別の局の総務課のときに、こんな目標、立てようがないでは ないかということで、担当の人間には随分文句を言った記憶があるのです。まず方 法論として、内部の人間がやるには限界があるというさっきのご指摘も、ある意味 ではご尤もだと思います。この運営評議会は、なにせ40年分の話を1つずつ全部 報告しながらやっているので、前に向けての政策評価の所までまだつながり切れて ないというところは、私どもも一生懸命汗をかかなければいけないと思っておりま す。幸いにして、こういう運営評議会を作っていただいた以上、ここでやった議論 が反映されるような政策目標なり政策の運営でなければいけない。これは私どもも 全く同じ思いを持っております。  システムとしても、そういう内部のやり方が必ずしもうまく機能しないというご 指摘はご尤もと思うのですが、霞が関全体が政策評価という形で試行錯誤をやって いる最中だということでその中から、場合によっては、今後社会保険庁が霞が関全 体の模範になるような良いやり方を生み出していけるかもしれないという点もあろ うかと思います。いきなり庁だけ飛びはねて別のこともできないという事情もご賢 察の上、その枠の中でより良い仕組みというものを私どもとして、今回のいろいろ な流れを契機にして提起していけたら、より良い形になるのではないかと、現時点 では思っております。 ○宮武座長  人員配置の問題、あるいは改革推進本部で無駄をチェックしていくということに ついて、お答えをお願いします。 ○小林次長  定員配置の問題についてのご指摘がありました。いろいろな指標をもとにして、 実際の定員配置と業務量が合っているかという辺りの検証は、本当にしていかなけ ればいけないと思っております。これまでの都道府県での地方事務官時代は県の中 での採用というシステムで動いておりましたが、平成12年度以降国家公務員にな ったということを受けて、実態と定員配置というものを我々としてもしっかり検証 していかないといけないだろうという思いは持っております。  ただ、これまで、どうもうまく出来ていなかったという指摘もありますので、私 どもも、まずは業務量の把握というものを、どういう指標でこれをやるかというの は結構難しい面はあるのですが、業務量の把握をした上で、それをもとにして検証 作業をする。それで、いま都道府県単位に配置している定員の状況というのがどの ぐらい乖離があるのかという辺りを検証する。こういう作業をいましようというこ とで今年度、業務量を把握するための作業を急遽しております。それを受けて平成 17年度から、一遍にというわけにはいきませんので、段階的な定員配置の見直し ということに結びつけていく。そういう意味では着手を平成17年度からできれば ということで今、中での作業をしています。  もう1つは、長官をトップとして、庁内に改革推進本部を置き、総力をあげて取 り組んでいます。そのもとに、いくつかの重要なテーマごとに改革班を設置し、民 間から来ていただいたプロジェクトリーダーの下に取組を進めるということで、そ れぞれについて、ご指摘のような目標なり業務執行に当たっての目安なりを置きな がら取り組んでいくというのは、我々が基本としなければいけない点だろうと思っ ております。収納率の向上に関しては、平成19年度に向けて、いろいろな形で80 %に向けての取組をしていくことを目標として設定しております。それ以外の改革 班においても、目標管理ということも含めて、どのような目標設定をすればいいか ということで至急議論しているところです。それを受けて、それぞれの改革班や改 革チームごとに、できるだけの改革の実を上げられるような取組を進めてまいりた いと思っております。 ○遠賀氏  ネットワークシステムですが、これによって未納者が減れば良いと思います。  16頁に59歳以下の来訪者が6割とありますが、20代、30代の方もいらっしゃっ たのでしょうか。  ところで、20歳で1カ月1万3,300円という保険料はかなり高額だと思います。 学生免除とか、その他いろいろな免除はありますが、この対象にならない人たちに はかなりの負担になるかと思います。支払いやすいシステムを早急に考える必要が あります。たとえばスライド方式をとり、20歳代は1万円を切る保険料、30代、 40代になるともう少しずつ上げていくという形式です。安いときに10年間払えば、 後は今更やめてもしょうがない、多少高くなってもここまで払ったのだから続けて 払っておこうという考えの方が増えてくるのではないかと思います。こういったシ ステムをつくることはできないのでしょうか。 ○宮武座長  今回の年金改正でいくつかの改正点がありますので、かい摘んでどなたかに説明 していただければと思うのですが。 ○中野企画課長  来訪者についてお答えを申し上げます。年金週間の間の来訪者は、大部分が年金 受給を控えた方、あるいは年金受給中の方でした。20代の方は1%、30代の方が 3%という結果になっておりました。 ○青柳運営部長  もう1つの話は私がお答えするのもどうかと思いますが、私は年金局に在籍した ことがあり、そういうことを考えなければいけなかった立場だという意味でお話い たします。実は、最初に国民年金の拠出制をつくったときには、35歳でしたか、 段階制を敷きました。若い人が保険料100円で、それより上の人が150円でしたか、 数字はうろ覚えですが、そういう2段階にしました。結局、その時点で高年齢の人 は比較的短い期間で年金受給権に結びつきやすくする優遇措置をとったものですか ら、それの見返りで「あんたは少し高い保険料でも我慢してよ」というようなニュ アンスがあったように記憶しております。  被用者年金、厚生年金は所得比例で保険料を頂きます。最近は少し崩れているか もしれません。これまでのように、年功賃金制の下だと結果的に、若い人は給料も 低いので、同じ料率でも比較的低い保険料で済み、年齢の高い方は給料が高いので、 高い保険料を払っているという仕組みになっているものですから、被用者年金に比 べてみても、国民年金の定額保険料というのはどうかなという意見は当然あるだろ うと思います。  保険料がある程度上がり切った所、つまり最終的な保険料まで行ってしまった所 で比べるならば、ひょっとしたら、若いときに安くして、年をとってから高くする というのはあるかもしれませんが、当面は段階的に保険料を上げていかなければい けないという仕組みになっているものですから、若いときの「安い」というのと年 をとってからの「高い」というのをどういうふうに評価したらいいかなというのが、 制度的にはなかなか整理のしにくい、難しいところもあるのではないかと思います。  これは私のやや個人的な意見になるかもしれませんが、最終保険料まで行きつい た世界の中で、例えば若いときに多少安くして、年をとってから高くしてもらうと いうやり方もありましょう。もっと大胆に言えば、自営業者についても所得比例保 険料というものが何らかの形で将来導入できれば、負担能力の低いときに低い保険 料で、高いときに高い保険料を払っていただくということも、結果的には可能にな るということもあると思います。言ってみれば、制度の具合を見ながらでないと。 保険料の集めやすさということだけでお願いはできない話なのかなと考えておりま す。 3.閉会 ○宮武座長  この問題はこれからの会議の中で何度も議論をする機会があるかと思います。時 間がまいりましたので、次回の日程等について事務局から連絡をお願いいたします。 ○中野企画課長  貴重なご意見を頂き大変ありがとうございました。次回につきましては、年金相 談をはじめ、被保険者・受給者サービスなどをテーマにして、平成17年1月21日 (金)午後3時からを予定しておりますのでよろしくお願いいたします。場所は追 ってご連絡いたします。 ○宮武座長  ご多忙の中、長時間ご議論いただき、どうもありがとうございました。今日はこ れで終わります。 1 - -