03/07/31 第１５回政府管掌健康保険事業運営懇談会議事録


第１５回政府管掌健康保険事業運営懇談会議事録

１　日時　平成１５年７月３１日（木）
　　　　　１５：００～１６：４０
２　場所　厚生労働省専用第２２会議室（１８階）

３　出席した委員・専門委員（敬称略）
　　中西、青柳、城戸、紀陸、高野、村上、山﨑、吉田、佐野

４　議題
　(1)　政府管掌健康保険の平成１４年度単年度収支決算
　(2)　政府管掌健康保険における医療費の動向
　(3)　政府管掌健康保険の事業運営状況
　(4)　社会保険庁ホームページを活用した意見募集の状況
　(5)　医療保険制度体系及び診療報酬体系に関する基本方針

５　議事内容

○中西座長代理　
「政府管掌健康保険事業運営懇談会」を始めさせていただきます。本日は、大変お忙しい
中、懇談会にご出席いただき誠にありがとうございます。本日は、稲上座長が急遽どうし
ても外せない公務が入ったということでご欠席でございます。座長から、座長代理として
司会進行役を務めていただきたいということでございますので、私が座長代理としての司
会をさせていただきたいと思います。本日は、高木委員と武舎専門委員がご欠席です。
　まず最初に、委員の交替に関する報告をさせていただきます。高梨委員が日本経済団体
連合会を退職され、委員も退任されたことに伴い、新たに紀陸常務理事が懇談会の委員に
ご就任されました。また、事務局ですが、本年４月１日付で、社会保険庁運営部の企画課
施設管理室長の異動があり、新たに三枝寛さんが就任されましたので、御紹介いたします。
　それでは、本日の議題に入りたいと思います。なお、今回の議事録については、前回と
同様、後日事務局において作成し、委員の皆様方にご確認をいただいた上で公開いたした
いと考えておりますので、ご協力くださいますよう、お願い申し上げます。まず、事務局
より資料１及び資料２について、説明をお願いいたします。

○田中補佐　
資料１－１は、政府管掌健康保険の平成14年度単年度収支決算を取りまとめたものです。
１頁の上の四角囲みの部分がポイントですが、結論から申しますと、単年度収支決算は、
全体で5,588億円の赤字、その内訳は、医療分で6,169億円の赤字、介護分で581億円の黒
字となっています。これで、赤字決算は、平成５年度以降実質10年連続となっています。
赤字額は、過去最大となりました。これにより、昭和59年度以降に生じてきた剰余による
積立金というのがありましたが、これが19年ぶりになくなったということです。
　四角囲みの下の部分は、平成13年度（前年度）の決算と比較した分析です。
具体的な数字を見ていただきながらご説明いたしたいと思います。
まず医療分ですが、３頁を御覧下さい。収入に関しまして、「基礎計数」の中の被保険者
数、平均標準報酬月額（平均の月給）が、それぞれ約40万人、約2,000円減少しています。
これに伴い、保険料収入が前年度と比べて1,579億円の減少となり、収入計が前年度と比
較して1,536億円の減少となっています。
　支出面です。保険給付費については、被保険者数の減少、また、平成14年度には、診
療報酬の改定があり、前年度に比べて1,516億円の減少となっています。おおむね保険料
収入の約1,500億円の減少に見合う水準になっています。それ以外に、支出面では、老人
保健拠出金が全体で1,452億円の増加となっています。その要因として、その下に前々年
度精算分の数字をカッコで入れています。全体で1,452億円増加しているわけですが、
そのうち前々年度精算分の増加が1,135億円を占めています。
　老人保健拠出金については、毎年度、老人医療費や加入者数等の見込みを基に、各保険
者に賦課されます。この見込みと実績との乖離は、翌々年度に精算をする仕組みとなって
いますが、平成12年度は、介護保険制度が導入され、老人医療から介護保険に移る部分が
ありますが、この実績が見込みと比べて小さいものにとどまったということで、平成12年
度の拠出金の不足額を平成14年度に精算する額が1,669億円と大きくなったということに
よるものです。
　また、退職者給付拠出金も、723億円の増加になっています。その要因としては、平成
14年度の医療制度改革の中で、退職者に係る老人保健拠出金については、その全額を退職
者給付拠出金で賄うという制度改正を行っており、こういった要因により増えているもの
と考えられます。支出の「その他」の中に、今回、内訳を付けていますが、その１つ目に
「業務勘定への繰入れ」があります。これは、保健福祉事業費等を内容とするもので、
厳しい財政状況を踏まえて生活習慣病予防健診検査費、社会保険病院整備費等を削減し
たわけですが、259億円を削減したということです。こういったことにもかかわらず、支
出全体で401億円の増加になっています。その結果、単年度収支差については、1,937億円
の悪化となる6,169億円の赤字ということになっています。
　次に４頁、介護分の収支を御覧下さい。結論を申し上げますと、単年度収支差で、今年
に限れば、前年度と比較して1,060億円の改善となる581億円の黒字ということですが、平
成13年度末の事業運営安定資金（積立金）の残高がマイナス455億円であったため、この不
足分を平成14年度の黒字で補填しています。
　この理由については、資料１－２の４頁＜参考１＞を御覧いただきたいと思います。平
成12年度に介護保険制度を導入したわけですが、平成12年度に、介護保険料率を保険料率
の上限の対象外とするという健康保険法の改正を行っており、当初は平成12年７月からの
施行を予定していましたが、法案の成立が遅れ、平成13年１月からの施行になったわけで
す。保険料率の改定を７月から行う予定が１月からということで遅れたので、平成12年度
分の介護納付金のうち、911億円について、平成12年度に納付の猶予を受け、その全額を
平成13年度に納付することになりました。ただ、この911億円に相当する介護保険料につ
いては、平成13年度と平成14年度に半分ずつ分けて徴収するということになりましたので、
必然的に平成13年度は赤字、平成14年度は黒字になったということで、これはいずれも計
画的なものと言えるかと思います。以上が介護分です。
　資料１－１の２頁を御覧下さい。医療と介護を合わせた全体の収支です。単年度収支差
を見ると、5,588億円の赤字となっています。その結果、前年度末の事業運営安定資金残高
を取り崩すわけですが、これに及ばないということで、平成14年度末の事業運営安定資金
残高については、524億円の不足となっています。これをどう処理したかというと、１頁の
４の注２に記載したとおり、平成14年度の不足分については、平成15年度の収入で支払う
という形で処理をしています。
　最後に、資料１－１の５頁を御覧下さい。平成５年度以降、過去10年間の医療分の財政
収支の推移を示したものです。10年連続の赤字決算になっています。「基礎計数」欄に記
載したとおり、被保険者数は、平成10年度以降５年連続の減少、平均の月給である平均標
準報酬月額は、平成11年度以降４年連続の減少になっています。
　資料１－２の１～３頁は、いま説明した資料から主な事項を抜き出して、平成13年度決
算と平成14年度決算の比較を全体、医療分、介護分という形で、それぞれ分かりやすく示
したものですので、参考にしていただければと考えます。また、５～７頁は、昨年12月の
段階で収支を見込んだ平成15年度予算の数字について、全体、医療分、介護分を整理した
ものです。これは、前回の当懇談会で配付して説明したものですので、改めての説明は省
略いたしますが、併せて参考にしていただければと思います。今後、平成16年度予算編成
の過程で、平成14年度決算を前提とした平成15年度の収支を改めて見込んでいくことにな
ると考えています。
　資料１－３の１頁は、財政法、厚生保険特別会計法等の規定に基づき、毎年度、決算書
を作成していますが、これに添付される損益計算書、貸借対照表について、平成14年度の
政管健保の収支を経理する厚生保険特別会計健康勘定の部分を現時点での速報値というこ
とで取りまとめたものです。これは、正式には、次の通常国会に決算として報告される予
定ですので、今後、計数等に変動の可能性がありますが、参考にしていただければと思い
ます。
　また、２頁は、本年６月に、財務省にあります財政制度等審議会において、すべての特
別会計の財務内容を統一的に把握するという観点から、企業会計の考え方や手法を可能な
限り活用した新しい特別会計の財務諸表の作成基準を仮に策定し、それに基づいて、平成
11～13年度のすべての特別会計の財務書類を作成する、という作業をしたものです。この
うち、平成13年度の政管健保の収支を経理する厚生保険特別会計健康勘定の部分を取りま
とめたものです。この企業会計の考え方や手法を取り入れた新しい特別会計財務書類の作
成基準については、いわば現時点での試作品ということですので、今後、財政制度等審議
会における公会計全般にわたる見直しの検討等を踏まえ、その内容自体に見直しが行われ
る可能性もあります。これに伴い、今般作成した財務書類自体も、今後修正される可能性
がありますが、そういう前提で参考にしていただければと思います。

○安部企画課数理調査室長　
資料２についてご説明いたします。政管健保における医療費の動向です。１枚目が、加入
者１人当たり医療費及び給付費の伸び率のグラフです。実線が１人当たり医療費、点線が
１人当たり給付費の伸び率ですが、いずれも支払基金審査分のデータで、給付費は、いわ
ゆる現物給付分の数値です。この両者は、給付率に変更がない場合には、大体同じような
傾向を示しますが、平成15年４月、３割負担の導入が行われたことで、大きな乖離を示し
ています。
　まず平成14年度ですが、１人当たり医療費は、全般的にマイナスの伸び率です。平成14
年４月から15年３月の年間平均がマイナス1.9％程度の伸び率でした。月ごとに見ると、
７月が若干プラス、１月で大きくプラスということで、この２カ月分だけはプラスになっ
ていますが、７月は、稼働日数が1.5日多かった、おそらくこの影響であろうと考えられま
す。また、１月は、インフルエンザがさらにその１年前に比べて大きく流行し、その影響
が出ているものではないかと考えられます。15年４月のデータが右側にありますが、１人
当たり医療費ではマイナス1.4％、１人当たり給付費ではマイナス7.0％ということで、負
担給付率の変更に伴い、この両者に大きな乖離が出ています。
　２頁目は、１人当たりの医療費を入院と入院外に分けて伸び率を示したものです。点線
が入院外ですが、１月に入院外が大きく伸びている、これは、おそらく、インフルエンザ
の影響によるものと考えられます。以上です。

○中西座長代理
　これまでの事務局からの説明について、ご意見、ご質問等をお願いしたいと思います。

○青柳委員
　前回も私はお話しましたが、私ども民間医療機関は、中小企業ですから、ほとんどの従
業員が政管健保に被保険者として入っています。今日は、どちらかというと被保険者、あ
るいは保険料を半分負担している雇用主という立場で、少し質問をさせていただきたいと
思います。
　今回、この決算が例年になく早く出されたわけですが、今後ともこういう決算は、でき
るだけ早く出していただくことが必要だと思っています。今回は、相当大変だったという
話も聞いていますので、その点については評価をさせていただきたい、今後ともよろしく
お願いします、ということを申し上げておきます。
　本日、資料説明が行われましたが、平成14年度の見込みを基に、平成15年度の予算が作
成されているわけで、平成13年度決算、平成14年度決算というのは、確かにそれはそれな
りの意味はあるのですが、できれば資料として並列して平成14年の見込みを入れていただ
くと、より分かりやすいという気がいたします。以前いただいた資料と今回の平成14年度
決算の数値を比較すると、寸分違わないとは言いませんが、非常に精密な、ほぼ見込み数
値と決算数値が似通っています。政管健保を担当している事務局は、相当予知能力がある
ということでは、実は感心しております。できれば、他の委員も比較検討ができるように
しておいていただけるといいと思います。
　次の問題ですが、平成14年度決算を考えたときに、特別な年度であるという認識をすべ
きだと思います。もちろん、説明の中に、診療報酬引下げとか、被保険者数が減っている
という話がありましたが、これは毎年、何らかのそういう影響はあるわけです。今回の決
算の中で、やはりいちばん目につくのは、老人保健拠出金だと思うのです。老人保健拠出
金は、２年後負担部分が、平成14年度ですから、予定されていたほど介護へシフトしなか
った結果、例年になく今年度負担部分が今年は数字として多くなっている。それは、表で
見ても、1,100億円ぐらいが２年前の負担として計上されていると思います。したがって、
やはり特別な年度であるということを考えておかなければならない。
　もちろん、予定されていた医療から介護へのシフトがなかった部分は、当然のことなが
ら介護部分に残っているのだと思いますので、それもどのくらい残っているのか、もし数
字が分かれば教えていただきたい。特別な年度ということを認識するのであれば、ほかの
決算項目も、果たして例年と同じ決算の仕方でいいのかということを、あえて私としては
申し上げなければならないだろうと思います。
　私どもは、政管健保に限らず、保険財源が左から右へ、右からさらに右へどう動くかと
いうことで、医療費財源の連結を毎年行っています。政管健保の決算が出たときに、直接、
政管健保から事業所にお金が支払われるわけではありませんで、中間に支払基金がありま
すから、支払基金の14年度決算状況も把握しています。決算月が１か月ずれるということ
はありますが、いずれにしても支払基金の決算状況と見比べて、政管健保の決算をどう考
えるか、というところまで踏み込んで、過去３年間やっているわけです。
　今日の資料にはありませんが、私どもが入手した支払基金の決算状況から申し上げると、
支払基金は6,000億円にのぼる剰余金を計上しています。毎年、支払基金は剰余金を6,000
億円も計上しているかというと、過去十数年の間で、プラスでそれ相当額の剰余金を出し
ているのは、我々の資料では平成何年かの１年しかないのです。それ以外は、ほとんど
プラスマイナス０か、マイナス決算をしているわけです。その決算の6,000億円の中身を
政管健保との絡みで考えると、拠出金の中で、我々の数値計算でいくと、400～500億円ぐ
らいは、政管健保から拠出金という形で、実を言うと支払基金に支払われているのか、預
けられているのか、積立てされているのか分かりませんが、そういう数値が出てまいりま
す。もちろん、これから給付等々の決算が出てきて、その数値が必ずしも全額積立金にな
るとは、あるいは剰余金として政管健保に戻ってくるお金だとは思いません。しかし、
14年度が特別な年だともし考えるのであれば、そこら辺の融通性は持って決算をすべきで
はないかということを、あえて一言申し上げたいわけです。
　もう１つ、これからおそらく資料説明の中で、未収金の問題、徴収の問題が出てくると
思いますが、この表を見ますと、確かに被保険者が減って、保険料収入は500億円ぐらい
下がっている、少なくなっています。しかし、未収金だけで2,000億円もあるという状況
をどう考えるのか。確かに収入が減ったのは我々も分かります。経済状況も含めて分かり
ます。しかし、未収金を全くそれと同等に考えないで、ただ収入が減りましたということ
については、私ども被保険者を抱える中小の民間医療機関としては納得できかねる、とい
うことだけは申し上げておかなければならないと思います。

○中西座長代理
　医療保険課長、お願いします。

○神田医療保険課長
　何点か御質問がありましたので、お答えさせていただきます。まず、第１点の平成14年
度決算の特殊性として、平成12年度の老人医療費が非常に増えた、思ったほど減らなくて、
追加が非常に多くなった、介護保険では余っているのではないかということですが、御指
摘のとおり、見込み違いの最大の原因は、介護保険制度ができて、老人医療費から介護保
険に費用が移ると見込まれていたのが移らなかったということで、先ほどご説明したよう
に、足らずまえということで、平成14年度に1,669億円の追加の支払いをしたということ
です。　介護の決算でいくら浮いたかというのは、いま確認しておりませんが、私どもが
出している介護納付金では、資料１－１の４頁の介護分のところで、介護納付金というこ
とで、40～64歳の政管健保の加入者分を介護保険の費用に当てるということで、支払基金
に納付しています。それが前々年度精算分「（▲637）」とあります。３頁の追加で払わ
されたものと逆の関係になります。介護保険については、思ったほど介護保険に移らなか
った、２年後の精算ということで、637億差し引いてもらったということです。これがな
ければ、本来4,600億円の介護納付金を平成14年度に払わなければならなかったというこ
とで、政管健保との関係では、介護分が減っているという関係になっています。
　２点目は、老人保健の特別会計の剰余がたくさん出ているのではないか、その分、政管
健保に戻ってくるのではないかということですが、私どもで今、老人医療の担当部局に確
認しているところでは、政管の老人医療費も、当初の見込みより低くなると考えられます
ので、２年後の拠出金確定の際には、それが減少するということになります。何らかは精
算分ということで、２年後に戻ってくるであろうとは思われますが、最終的には、老人医
療費の確定とか、各保険者の加入者、老人数の確定を待って、確定額が出ますので、現時
点で具体的な額については、まだ積算できていないということです。おそらく、減る傾向
であることは、ご指摘のとおりであろうと思います。
　ただ、支払基金に6,000億円の利益が生じているように見えるということですが、実はこ
の最大の原因は、支払基金で２年前の医療費の精算を２年後にするということで、黒字に
なった最大の原因は、２年前に老人医療費で約7,400億円の足らずまえがあり、それを２年
後精算ということで、追加で7,400億円取り戻したということで、見掛け黒字に見えている
ということです。累積欠損、繰越の欠損が1兆2,000億円程度あるということですので、6,0
00億円、見かけ単年度収支では黒字に見えているようですが、まだ繰越欠損が5,800億円程
度あるということです。支払基金の14年度に黒字が生じているというのは、14年度そのも
のの医療費が減ったというよりも、むしろ、今申し上げたような２年前の精算額が一気に
入ってきたために、単年度収支が黒字に見えているということだと聞いています。
　３点目の保険料の未収金の状況についてですが、資料１－３に貸借対照表と損益計算書
に未収金が計上してあります。平成14年度の未収金は、貸借対照表の借方に未収保険料が
1,769億円となっています。平成13年度は2,267億円で、貸借対照表の未収保険料には2,267
億円とあります。確かに未収保険料が2,000億円近くあるというのはご指摘のとおりですが、
平成13年から14年にかけての未収保険料は減額になっているということです。これは過年
度分で400億円ぐらい徴収ができたということで、若干ずつ過年度分も現年度分も収納率は
上がっています。私どもとしては、引き続き収納努力をしていき、未収保険料は圧縮する
方向で努力をしている、ということをご理解いただきたいと思います。

○青柳委員
　支払基金の老人保健特別会計、事業費勘定の部分ですが、経常利益として計上されてい
る金額が、すべてとは申しませんが、例えば１年前は経常利益、支払基金の特別会計は、
マイナス66億円、その前はマイナス4,400億円、さらにその前は2,200億円のプラス、それ
以外はずっとマイナス計上です。いろいろ理屈はあると思いますが、私どもがこういうも
のを見た限りにおいては、すべて今の事務局の説明で「はい、分かりました」というわけ
にはいかない数字が、決算で出ているわけです。そこは十分説明責任を果たしていただけ
るよう、あるいは資料を提出すべきだろうと考えます。

○神田医療保険課長
　経年的に見ると、ご指摘のような点があります。先ほど申し上げた要因のほかに、平成
14年度について言えば、医療費が大きく伸びていないということももちろんあって剰余が
生じている、という側面も確かにあると思います。

○村上委員
　未収金というのは、何年間有効だったのですか。

○神田医療保険課長
　ここに計上してある資料１－３の未収保険料は、過年度分も入れた未収保険料です。こ
の1,769億円のうち、当年度に発生した未収金は623億円です。前年度から引き継いだ2,267
億円のうち、取れたものとか、そういうものを差し引いた部分が残りの部分ということです。

○村上委員
　どこかで債権放棄せざるを得ないわけでしょう。

○神田医療保険課長
　それは毎年度、過年度分で徴収されたもののほかに、不納欠損といって、徴収できなく
なった額があります。例えば平成14年度では、不納欠損の分が213億円生じているという
ことです。倒産をしたといった理由等で取れないものは不納欠損を立てるわけで、取れな
くなった分が平成14年度は213億円ということです。

○村上委員
　大体、毎年200億円ぐらいのものは損失処理をしているということですか。

○神田医療保険課長
　そういうことになります。

○村上委員
　未収金償却引当金が1,300億円ありますが、これは何ですか。

○神田医療保険課長
　貸借対照表で、平成14年度は未収保険料が1,769億円あるわけですが、このうち取り漏
れになる可能性がある額を、一定のルールに従って、そういう恐れがあるものを、引当金
として貸方に計上しているということです。保険料の徴収は、当該年度の年度末までに極
力払っていただくということで、年度末には徴収月間という形で、かなり力を入れていま
す。年度を超えるのは、かなり収支状況が財政的に苦しい事業主の方が多いということで、
過年度分については24％程度しか取れていないわけです。過年度になったものについては、
徴収できなくなる可能性があるものを引当金ということで貸方に計上しているということ
です。

○村上委員
　事前説明で聞いていたのは、平成15年度から取り崩したということですが、この引当
金を充てることもできたわけですね。24％しか取れないから処理しろとかいうことは、
法律で決まっているのですか。

○神田医療保険課長
　過去５年前の保険料が、ずっと過年度できたときに、２年目にいくら取れた、３年目に
はいくら、４年目にいくらという実績がすべてありますので、それを見ると、例えば５年
前の債権について、いくら取れるかという見込みが立つわけです。したがって、取れるで
あろうという額を差し引いた、取れないであろうという部分を引当金ということで計上す
るわけです。それを４年前、３年前、２年前の未収保険料債権について、同じような計算
をして、合計をこちらに計上しているということです。

○村上委員
　法律上、５年間で債権放棄ということになるのですか。

○神田医療保険課長
　保険料債権については、時効を中断する手続として、一般的には債務を承認していただ
くということで、事業主に納入計画の見直しをしていただくことになっています。滞納保
険料が非常に多いと、１か月では払えないわけですので、その年度に毎月いくら払えるか、
その年度の保険料も払わなければなりませんし、過年度でたまっている保険料も払ってい
ただくということですので、過年度のものを少しずつ、どういう形で払えるかということ
を相談するわけです。その相談をして納入計画を作ること自体が、法律で言うと「債務の
承認」ということになります。そこで時効が中断されますので、５年経てばすべて消える
ということではありません。５年前の債権も持っているということです。

○中西座長代理
　ほかにいかがですか。

○紀陸委員
　２つお願いです。当年度の決算が出ていますが、遡って予算、決算の対比のようなもの
を出していただけるとありがたいと思います。もう１点、資料のお願いですが、いずれに
せよ、これからの政管健保の組立てというのは、３月の基本方針で、都道府県を軸にとい
うことになっていますので、特に収支の状況について、都道府県別に出していただけると
ありがたいと思います。

○神田医療保険課長
　１点目の資料については、お送りすることとしたいと思います。２点目の都道府県単位
の収支ということですが、これは現状で言うと、例えば業務勘定のものとか、事務費等は、
全国で運営をしておりますので、かなり仮定を経て、割り切りをして収支を作らないとい
けないということがあります。
　今般、基本方針がまとまり、今後、法案の提出に向けて、制度についての検討をしてい
くということになっておりますので、その過程では、当然おっしゃるような形で、都道府
県ごとにどのような保険料率になるのかといったことが議論になってこようかと思います。
都道府県別の医療給付費なり、保険料収入を分けて、あるいは事務費等については、一定
の仮定を置いて、各県に割付けをして、どのような形になるのかということの作業は、今
後の制度の関係で出てくると思いますので、それと併せて作業はしていきたいと思います。

○中西座長代理
　ほかにございますか。ないようでしたら、引き続いて事務局から、資料３～５の説明を
お願いしたいと思います。

○田中補佐
　ご説明いたします。資料３は、最近の政府管掌健康保険の事業運営状況ということで整
理をしています。保険者として最も基本的な機能は、適用、徴収、給付等ということにな
りますので、そういった分類に沿って整理をしています。１頁の「適用」を御覧下さい。
適用事業所数、被保険者数は、いずれも年度末現在の数字ですが、適用事業所数に関して
は、平成10年度以降５年連続の減少、被保険者数に関しても、平成９年度以降６年連続の
減少という形になっています。適用の適正化のための対策としては、１頁から２頁にかけ
てですが、適用事業所としては加入している、そこでの個々の従業員レベルでの適用の適
正化ということで、事業所調査を重点的に行う、適用事業所に該当しなくなった場合の届
出を法定化する、受付時の調査確認方法を指導するといった取組みをしているということ
を示しています。
　２頁の（２）ですが、事業所レベルでの未適用事業所の適用促進としては、法人登記簿
を定期的に閲覧して巡回指導をすることや、雇用保険の適用事業所に関する情報との突合
を行い、これを活用して未適用事業所を把握するといった取組みをしているということで
す。
　３頁の「徴収」を御覧下さい。保険料の徴収については、各社会保険事務所において、
年度内に発生した保険料を年度内に徴収するという基本スタンスで厳格に臨んでいます。
その結果、保険料収納率、徴収決定額に対して実際に収納した額の割合のうち、現年度分
は、その年度に発生した保険料分ですが、平成13年度と平成14年度を比較すると、平成14
年度は99.0％、平成13年度が98.8％ということですので、0.2ポイントの上昇となります。
厳しい経済情勢の中で、事業主からの保険料の徴収に非常に困難を伴っているわけですが、
その中でも、現年度分に関しては、前年度を上回る収納率を達成したと考えています。
　４頁に記載したとおり、最近の保険料収納対策として、都道府県単位の各地方社会保険
事務局に保険料特別徴収専門官を設置して、各社会保険事務所を指導させること、滞納整
理の手法等に関して、マニュアル等を配付する、本庁から職員を派遣する等により指導す
るということを行っています。また、本庁が地方社会保険事務局等を監察するという中で、
こういった滞納整理の取組みに重点を置いて行う、といった取組みをしています。
　５頁の「給付」を御覧下さい。１つ目は、レセプト点検調査の関係ですが、レセプト点
検調査をした結果、保険給付費を返還してもらうという形で、効果を上げた額ですが、
「計」欄を参照願います。平成14年度は、全体では残念ながら平成13年度に比較して2.0％
減の1,034億円という形になっています。しかしながら、この中身を見ますと、「一般分」
は、老人以外の人で、資格点検、内容点検、外傷点検という形で分類をしています。資格
点検というのは、資格を喪失した後、受診したケースを見つけた場合等ですが、資格点検
の効果額が前年度比で7.3％減の496億円になっていること等によって、全体が下がってい
るということです。内容点検や外傷点検は、それぞれ47.1％増の125億円、1.6％増の125
億円ということで、成果を上げているということになります。
　６頁上段についてですが、支払基金においてレセプトの内容の審査をしているわけです
が、各保険者から再審査請求を受けた件数、そのうち容認をした件数、医科・歯科に限り
ますが、それをまとめたものです。政管健保と組合健保を比較しています。支払基金では、
現在、平成14～16年度の３年間で容認率の半減を目指す取組みを推進していると聞いてい
ますが、政管健保においては、組合健保との比較では、容認率がかなり高い数字になって
おり、容認率の減少も小幅にとどまっています。しかしながら、政管健保と組合健保を比
較しますと、再審査や容認の件数そのものが少なくなっているので、６頁の下段に記載し
ていますが、今後、内容点検の充実を図っていくため、被保険者ごと、医療機関ごとにレ
セプトを抽出、配列するといった作業を機械で処理することができるようにし、効率的に
行うという観点から、平成15年２月から、レセプト情報管理システムというものを導入し
ています。平成15年度には、これを本格的に活用することにより、最大限の成果を上げる
よう、努力をしていきたいと考えております。
　７頁は、「医療費通知」の関係です。上段は医療費通知の件数です。下段に記載してい
ますように、平成15年度からは、医療費通知の対象となるレセプトの範囲を拡大すること
を考えています。現行は、年間のレセプトのうち、おおむね２カ月分相当ということです
が、これをおおむねすべてのレセプトに拡大するという方針を示しています。
　８頁の「保健事業」を御覧下さい。まず、「（１）生活習慣病予防健診事業」です。
平成14年度には、今の厳しい財政状況を踏まえて、検査費が前年度に比べて19.5％減とな
る450億円となっています。この中身については、単価の引下げ等をしていますので、一
般健診の実施者数は、前年度に比べて1.1％増の323万人で、実施者数を維持しているとい
うことを示しています。
　次に、「（２）健康づくり事業」は、平成15年度以降、社会保険センター等を活用し、
生活習慣改善指導、運動指導等に取り組んでいるということです。
　９頁を御覧下さい。１つは、今年度、被保険者証の一人一枚化を実施するということで
す。「注」にありますように、新たに資格を取得する方に対しては、平成15年10月以降、
現行の被保険者証を更新する方には、平成16年１月～３月に実施するということを考えて
います。そのほか、平成15年10月からは、申請、届出等の手続の電子化、社会保険・労働
保険徴収事務センターの設置等を予定しています。
　次は「資料４」です。これは、以前の当懇談会でも説明いたしましたが、平成15年２月
から、社会保険庁ホームページの医療保険制度に関するコーナーをかなり充実いたしまし
た。その中の１つとして、政管健保の事業運営に関する意見募集を行うコーナーを設けて
います。この資料は、平成15年２月～６月のおおむね半年の間に寄せられた意見の内容、
それに対する回答等を整理しています。
　政管健保以外のものも混ざっていて、全体では166件ありますが、年金関係等も混ざっ
てきていますので、政管健保に関するものは84件になります。その中でいちばん多いのが、
適用・徴収関係で51件、そのほか、給付関係８件、保健事業関係２件等という形になって
います。この中には、発信者のメールアドレスの記入がなく、回答が不能であるものとか、
いくつか同じ趣旨の意見でそれに対する回答も同じようなものも含まれていますので、重
複するものを除外しており、２頁以降、回答した意見のうち主なものということで、どう
いう意見があって、どういう回答をしたかということを整理していますので、後ほどご参
照いただければと考えています。
　資料５は、今年３月28日に閣議決定された「医療保険体系及び診療報酬体系に関する基
本方針」に関する資料です。資料５－１はその概要、資料５－２は骨子、資料５－３が全
文という形になっています。資料５－３の政管健保の部分のみ、説明いたします。
　資料５－３の５頁の上段を御覧下さい。保険者の統合再編の中で、政管健保をどうする
かということが、「イ　政管健保」に書いてあります。政管健保については、事業運営の
効率性等を考慮して、保険者を国とする現行の形態を維持しつつ、その受益に応じた適切
な負担や保険者努力の促進を図るという観点から、財政運営を基本的に都道府県単位にす
るということを考えています。具体的には、都道府県単位での区分経理を行い、各都道府
県単位間では、年齢構成や所得水準の違いがありますので、それを調整した上で、都道府
県単位で医療サービスの状況や保険料収納率を始めとする保険者努力を保険料率に反映す
るということを想定しています。
　あわせて、被保険者等の意見を反映した自主性・自律性のある保険運営が図られるよう、
保険料率や保健事業等の内容について、法令等で規定する一定のルールに従い、都道府県
単位で、被保険者代表等の意見を反映しつつ、決定する仕組みや、都道府県単位での財政
運営ということになりますので、被保険者数の減少、給付費の大幅に変動等により、一時
的に収支が悪化した場合にどう対処するか、その方法等をこれから検討していく、という
ことを予定しています。
資料の説明は以上です。

○中西座長代理
　ただ今の説明について、ご意見、ご質問等お願いしたいと思います。

○城戸委員
　資料３からお願いします。適用事業所と未適用事業所を分けていますが、適用事業所の
中で、短時間労働者、派遣労働者、いわゆる非典型労働者の人たちの健康保険への加入率
はどのくらいでしょうか。例えば、雇用保険と年金については、大体25％ぐらいしか加入
していない。健康保険の場合は、組合管掌健康保険とかいろいろありますから、政管健保
だけでいうとどのくらいになるか、ということを伺いたいと思います。
　２番目は、未適用事業所ですが、今まで皆保険になってから、未適用事業所がどのくら
いあったか、というような統計資料はあるのでしょうか。現在、経済状況が悪くなってき
ているので、未適用事業所が増えているとか、そういうことがないのかどうか、というの
が２つ目の質問です。
　３つ目は、最後にご説明いただいた資料５－３の５頁の「イ　政管健保」のところで、
被保険者等の意見を反映した自主性・自律性のある保険運営というのは、どのような形の
ものを考えていらっしゃるのでしょうか。以上３点、お伺いしたいと思います。

○神田医療保険課長
　１点目のご指摘ですが、いま具体的に短時間とか派遣労働者等を母数にとってどの程度
の比率かということについて、手元に資料がありませんので、確認ができるかわかりませ
んが、統計的に年金のような加入状況調査はありませんが、そこはどういう形で実態に迫
られるのかどうか、多少研究する必要があると思います。

○城戸委員
　だんだん非正規労働者というのが増えてきておりますから、したがって、そういう人た
ちに対してどのように社会保険を適用していくかは難しいと思いますが、健康保険につい
ては数字を見たことがないものですから大変関心を持っております。

○神田医療保険課長
　２点目の「未適用事業所率」も、分母として適用すべき事業所数がいくつというものは
ないのですが、資料３で体系的に昨年度から取り組み始めていることとして、２頁の
「（２）②労働保険の適用事業所の情報の活用」をしております。これは労働保険のデー
タと厚生年金保険、政管と基本的にはベースが同じになりますので、社会保険関係の加入
の情報を郵便番号、名称、所在地、電話番号で突合して、一致しないものを取り出して、
その原因が何かを確認する作業を昨年度から始めております。そのデータによると、全部
情報が一致しないものが25万か所程度、一部情報が一致しないものが25万か所程度ありま
す。これがすべて未適用という誤解が生じると困るのですが、もともと制度的に雇用保険
と社会保険では適用の範囲が異なる面があります。例えば、社会保険の場合、飲食や宿泊
等の一定の事業については、従業員５人以上の事業所であっても、任意適用になっていま
す。また、厚生年金の一括適用をしているような指定事業所以外の事業所は、制度的にそ
の適用事業所になっていないという制度的にもともと外れるべき部分があります。今、私
どもがやっているのは、その情報と不突合の情報についてどういう理由で不突合なのか、
それをつぶすという取組みを社会保険事務所で行っております。
　被保険者等の意見を反映した自主性・自律性のある保険運営ということですが、運営に
当たりまして被保険者や事業主の方々の意見を反映させていくとか、一定の保健事業につ
いてはある程度裁量的な要素を多くして、その地域のご意見によって運営に弾力的な取組
みをできるだけ取り込めるようにすることなどを念頭に置いて、自主性や自律性のある保
険運営を基本方針として書いています。

○城戸委員
　被保険者等の意見を反映させる仕組み、それ自体に関心があるということです。

○神田医療保険課長
　現状で具体的に審議会のような形にするのか、どういう形にするのかまだ決まっている
わけではありません。今後、具体的にどういう形の仕組みで反映させていくのかも、検討
していきたいと思います。

○城戸委員
　資料３の８頁に「生活習慣病予防健診事業」がありますが、これは、実施者数は増えて
いますが、検査費が減っていることは、検査項目が変わったとか、そういうことですか。

○神田医療保険課長
　実は、平成14年度に財政が非常に厳しいということで、従来、人間ドックを実施してい
たわけですが、すべての年齢層に人間ドックをするというやり方を変えて、通常の場合は
一般健診ということで、節目の40歳や50歳という時には人間ドック相当の健診が受けられ
るように、健診項目の見直しをしたということで、実施者数は減っていないが、検査費が
減っているのは、いま申し上げた理由です。

○城戸委員　
平成14年度からの改正ですね。

○村上委員
　資料３の「レセプト点検」は何ですか。もっと真面目に点検してもらわなければ困りま
す。健保組合で644万件再審査しているのです。政管で150万件。被保険者は政管が若干多
かったと思いますが、そういう中でこれだけしかできないというのは何なのか。容認率を
上げるために安全運転だけをやっているのではないですか。青柳委員がいないので言いが
いがないのですが、いればもっと厳しく言いますが、やるべきことをちゃんとやってくだ
さい。しかも1,000億円上がりましたと言いますが、資格点検というのはおそらく社会保険
庁ではなくて、支払基金の段階でこれが上がってくるのではないですか。こんな再審査件
数では困りますから、組合健保が無茶苦茶しているのでしたら、無茶苦茶していると言っ
てもらえばいいわけです。どちらが審査の姿勢として正しいのか、はっきり言ってくださ
い。　それから、生活習慣病の関係で言うと、資料４の５頁に、６月の申入れをしたらキ
ャンセル待ちだと。そんなことでしたら誰でも怒ります。また回答がふざけています。６
月５日でキャンセル待ちの方に対して「一生懸命やっていますから勘弁してください」と。
なぜ６月５日でキャンセル待ちなのか全然回答していないではないですか。普通でしたら、
その年にやるのに６月に申し込むのは早いほうだと思いますが、それがこんなところでキ
ャンセル待ちなのはどういうことですか。
　次の頁がもっとふざけているのです。役所仕事のいちばん典型例が出ています。「窓口
・電話での対応」です。「社会保険事務所に電話しても１日中話し中で全く繋がらない」。
こういう事は役所に電話するとよくあるのです。社会保険だけではないです。意見等の例
に対して回答はないのです。これは回答したのかどうか。「申し訳ありません」というぐ
らいが当たり前ではないですか。
　その下で、「電話で問い合わせをしたら、不親切な態度をとられた」とあります。これ
も役所仕事の典型です。役所関係に電話していちばん不愉快なのは傲慢な態度をとられた
というのが多いのです。「不親切」という言い方はまだやさしいです。これに対する回答
もない。これはいかがですか。

　事務費の関係で申し上げますと、橋本財革法に基づく年限は平成15年度で切れるはずです。
来年度は社会保険の事務費はちゃんと元に戻すのですか。明日、概算要求が閣議決定される
そうですが、その中で事務費の扱いはどうなったのですか。また法律改正をして事務費を削
ることはあるのですか。それに絡んで言うと、「赤字、赤字」とおっしゃいますが、ちゃん
と本則どおりやっていけば、今年もお金は残ったのです。「16.4に戻してください」と何度
も言っても、「保険局の責任だ」とこの前言われたから、保険局に掛け合いますが、ちゃん
と本則に戻して、削り飛ばされているのは政管健保だけでしょう。他にどこか、国庫補助率
をこんなに削り飛ばしたまま、財革に基づいて、ずっと財革で凍結するにもかかわらずその
まま置いているということは、あり得ないと私は思っています。しかし、その刻限も切れる。
まさか今のままで居座ろうということではないでしょうね、ということを申し上げておきた
いのです。
　保険者の再編統合の問題ですが、例えば基本方針を厚生労働省が決めるときに、私たちの
労使の代表や日本経団連を呼んでいただきました。しかし、政管健保の保険者代表は実は呼
ばれていないのです。この基本方針に基づいて、医療保険部会で再編統合の問題と高齢者保
険の問題の２つの議論が始まりましたが、組合健保の代表、国保の代表が入っているのです。
政管健保の代表は運営部長が委員としてではなく出ておられますが、やはりきちんと委員と
していちばん大きい保険の代表が全然出られない。しかも、こういう制度の再編統合という
根幹にかかる問題で、政管健保としてものが言えないというのは、普通なのですか。例えば
私たちは私たちなりに政管健保に対して、うちはあります。日本経団連もおありになるよう
です。しかし、それは政管健保を代表しての意見にはならないのです。しかも、その政管健
保というのは、中小企業の人たちが多いわけです。ですから、日本経団連の会員には残念な
がら中小企業はあまりいません。私たちは700万のうち500万近くが中小企業です。しかし、
それでも組織率が低いのです。やはりここに対して委員をなぜ出せていないのか。さらにこ
ういうことをやるときに、政管健保をどうやるのか、当事者がかかわってやらなければおか
しいではないですか。国保は公費が５割も入っているのです。13％しか入っていないのに入
れてもらえないのです。しかも、この場でこれを１回も議論したことがないのです。やはり
政管健保を担っている人たちが全然議論したことがないまま、全く関係のない所で物事が決
まっていくとすれば、それはおかしな話だと私は思います。それは政管健保の代表として委
員に入るのかぐらいのことは決めてもらわなければ、全然関係がない所でスイスイ動くので
は、払う側としてはたまったものではないです。取りあえずそれだけです。

○中西座長代理
　村上委員のご質問に対して事務局からよろしくお願いします。

○神田医療保険課長
　まず１点目のレセプト点検の関係ですが、別に言い訳をするつもりはございません。先
ほどの説明でも申したように、政府管掌健康保険というのは資格点検の件数が多いことは
確かです。この資格点検部分は、保険者にレセプトが届いて突合して初めてわかることで
すので、支払基金の段階ではチェックが難しいということです。資格点検部分についてそ
れが多くなっている理由は、１つは、政府管掌健康保険については、中小企業の割合が非
常に高いということで被保険者の移動が多いことも関係していると思います。
　ご指摘のように、内容の点検そのものについて充実を図るべきだということはおっしゃ
るとおりです。確かに再審査件数そのものは４分の１程度ですが、容認率等の関係で実際
に容認された件数で言うと、４倍のものが２倍程度に政管と健保組合の差は縮まっており
ますが、なぜ不十分かということで申しますと、従来、内容点検をするのに特定の人のレ
セプトを並べて見る必要があるとか、特定の医療機関についてのレセプトを並べて見る必
要があるときに、紙のレセプトを抜き取って並べてやっていたわけです。６頁にあるよう
に、画像でそれを収録した形で抜き取りが可能になるというシステムを導入したので、ま
さに平成15年度以降、特に内容点検に力を入れていきたいと思っています。
　健診のキャンセルのお話ですが、実は、健診については、予算でいただいた枠を、都道
府県ごとにどの程度の希望者数があるか等を見まして、予算枠を都道府県の事務局に内示
する形にしております。県によってその申込みの締切りが早かったり遅かったりすること
がありますが、最近希望者が増えてきたこともあると思いますが、前の年度に途中で締め
切られたということで、さらにその年度は申込みを早くするということで、だんだん申込
みが早まっていることがあることは確かです。今後の話としては、予算枠を大幅に増やす
ことはなかなか難しいと思いますが、単価その他の点で工夫して、できるだけ受診機会が
確保できるように努力していく必要があると思っております。
　資料４の関係でご指摘があったのは、こういうものが寄せられていることを正直にお出
ししているということで、特に具体的に特定されているようなものについては、社会保険
事務局なり、社会保険事務所にフィードバックするような形で、窓口の対応の改善等に反
映させていきたいと考えております。具体的に特定されているものについてはフィードバ
ックしていく形で、今後その取組みをしていきたいと思っております。
　事務費の関係については、財革法の関係で平成10年から15年までは事務費の一部に保険
料財源を当てることになっています。臨時特例措置が平成15年度で切れますので、そのま
ま放っておけば事務費については保険料財源を当てないことになると思います。ただ、全
体の状況で申しますと、一般会計も非常に厳しい状況になっているわけです。今後の取扱
いについては、国庫負担を念頭に置きまして、政府全体の経済財政方針や年金関係の物価
スライド、基礎年金の国庫負担の取扱い等と併せて、具体的には今後調整されていくこと
になると思います。私どもとしては、社会保険事務費を全額国庫負担とする本則に立ち返
る必要があというふうには考えておりますので、そういう姿勢で、関係の所には、私ども
としての要望、要求はきちんと伝えていきたいと思います。　再編統合の関係については、
確かに社会保障審議会の医療保険部会に政府管掌健康保険の直接の代表の人としてどうい
う委員が出ているのかについては、連合からは委員が出ておられるということと、日本経
団連からも出ていただいているということで、それなりには意見が反映されていると思い
ます。私どもも実施庁の立場で言うべきことがあれば、それは運営の観点からこういう問
題があるということは言っていく必要があると思います。ただ、本質論として言いますと、
企画立案そのものを実施庁の立場ですることは、役割としては重複することがあります。
むしろこの場でご意見をいただければ、まさにいま政管健保の被保険者や事業主の方の意
見を直接伺う場として申しますと、この場が唯一の場になると思います。この場でいただ
いた意見については、きちんと企画立案をする保険局なり、そういった所にきちんと伝え
ていきたいと思います。

○村上委員
　私が聞いたレセプト審査は、健保組合は640万件やっていますよと。片方は150万件です
よと。どちらが正しいのですか。正しければ正しいほうに近づけるしかないと思いますが、
私から見ると、健保組合がやり過ぎとは思えない。とすれば社会保険庁にもう少しやって
もらわなければ困る、ということを申し上げているのですが、それに対する答えはないと
いうことです。　再編統合の問題について私が言ったのは、健保組合の代表、国保の代表
は委員として出ていますが、政管健保の代表は出ていませんよと。私も紀陸委員も、政管
健保の代表としては、ものは言えません。労使の代表としてしか、ものは言えません。政
管健保の代表というのは、いまのところ運営部長が陪席されているだけで、政管健保内部
で政管健保をどうしようという議論をされたことがないのです。政管健保は政府が管掌し
ているだけなのです。これは政管健保に加入している人のためのものなのです。それをこ
れだけ大きく変えようというのですから、やはりその関係者ときちんと議論してやってい
くことがなければ、健保組合は健保組合でいろいろ相談して、代表が出て話すわけです。
国保は国保で相談をして話す。しかし、政管だけはその人がいないのです。私が全部政管
代表で誰かお墨付きをくれるのでしたら代わってもいいですが、そういう訳にはいかない
でしょう。政管の中の当事者間で意見調整がされていないのです。そこが、いままで私が
こんな懇談会では駄目だと言ってきた根幹なのです。さらにもっとひどいのは、被用者の
意見を取り入れられるようにしますという城戸委員が言われたことに対してのお答えが
「審議会等」とはどういう意味ですか。当然、理事者として入ってやっていくのが、国保
でも健保組合でも共済でもそうでしょう。保険者、被保険者、使用者の代表が全然入って
いないのは、唯一、政管健保だけなのです。それをこういうふうに変えるのでしたら、ち
ゃんと理事者として入れることは当たり前のことだと思います。それが審議会等でご意見
を聞くというのは、このどこが変わっていくのですか。それはおかしな話だと思います。
ちゃんと答えてください。

○神田医療保険課長
　まず１点目のレセプト点検については、内容点検が不十分であることについては、私
どももそういうふうに思っておりますので、改善して努力していきたいと思います。ど
ちらが正しい姿勢かということで言えば、できるだけ再審査の件数を増やす努力はして
いく必要があると思います。私どもの容認率が若干高くなっているというのは、点検を
する方について言えば、請求事務に経験がある方等をレセプト点検調査員ということで
雇い入れて点検している点があると思いますが、決して容認率が高いことをもってよし
とするということではなくて、件数については引き上げる姿勢でやっていく必要がある
と思います。　２点目については、確かに政管健保の代表という形になっていないわけ
です。そういう意味で言いますと、市町村、都道府県の代表の方も出ておられますが、
それは新しく作る高齢者の医療保険制度、国保の両方にかかわる点もあって、そういう
形で選出されていることから、政府管掌健康保険についても、基本的には、労使の方々、
費用負担をされる方々のご意見等を伺いながら運営していくことが基本だと思います。
そういう意味で言いますと、労使の方々が医療保険部会にお入りいただいている点で、
意見として反映できる部分はもちろんあると思いますが、いまのご指摘も踏まえて、
この場で政府管掌健康保険固有のご意見として、まさに特化したご意見については、
できるだけこの場でいただいて、それをお伝えしていく姿勢でやっていきたいと思い
ます。

○村上委員
　まずこの場でと言っても、年に２回しかないのですから間に合わないではないですか。
さらに私が言っているのは、この場がふさわしいかどうかわかりません。政管を構成し
ている当事者の間で検討する場を作るべきではないですか。そうしないと、健保組合は
健保組合、国保は国保で相談してくる。高齢者保険に関係あるかと言ったら関係あるで
はないですか。２兆円もちゃんとお金を出しているわけです。それが国保は関係あるが、
あなたは関係ないみたいな言い方で、そんなおかしな話はないでしょう。さらにどうし
てそんなに政管の問題をきちんと当事者間で議論することを嫌がるのですか。私が前か
ら言っているのは、そういうことをちゃんとやってくれと言ってきたのにかかわらずや
らないで、既成事実だけ走られたら、たまったものではありません。まだ遅くないのだ
から、これがふさわしいかどうかわかりませんが、ふさわしい場を作って、そこできち
んとした議論をして合意したものを持ち上げていくしかないではないですか。そんなも
のは政管を代表してとは言えません。政管の方針は何もないのですから。政管としての
方針はありますか。政管に対して我々や経団連は、方針があります。しかし、それは政
管の方針ではないのです。我々が言うことを政管の方針だとみんな認めてくれればい
いですが、そういうわけにはいかないでしょう。全然議論されていないのですから。

○磯部運営部長
　村上委員がおっしゃっているのは、要するに制度の建て方について議論しろというお話
で、厚生労働省の中の事務分担としては、保険局がそういった制度の建て方について責任
を持っているということだと思います。社会保障審議会の医療保険部会が先月から立ち上
がったということで、そこで基本的には議論すべきではないかというのが我々の考え方で
す。　先ほどから国保の代表が出ている、とおっしゃいますが、その意味ではまさに国保
で言うと、保険者の代表の形で市町村会の会長さんと国保連の理事長さんが出ておられま
す。その意味では、私が委員ではないですが保険者代表的な立場で出席しております。
　組合健保はどうかというと、たぶん保険者の代表という趣旨で健保連の副会長が出てお
られ、それに加えて被保険者としては経団連と連合の村上さんが出ておられるということ
で、おそらく保険局の委員の選定としては、政管の被保険者としては連合の村上さんなり、
支払い側として経団連が入って、保険者は私が出ているという割り切りでそういうことに
なっていると思います。基本的にはそこの場でやるべきだと思いますが、その委員構成と
してそれでいいのかというご意見に対しては、保険局にも十分伝えたいと考えております。

○村上委員
　私が言いたいのは、委員構成もおかしいし、さらに政管をどうするかという政管の当事
者間での議論がされたことがなく、再編統合に対しても政管としてどういう方針を持つか
ということがないのです。運営部長は陪席されているのはわかっています。しかし、政管
の当事者間でどうするかという議論がどこでもされていないわけですから、それをどうい
うふうな方針でものを言うのですか。社会保険庁として「こう言う」というのがあったら、
それで議論すればいいではないですか。ところが、我々にはそれが全然見えてこないので
す。

○磯部運営部長
　それはまさに基本方針で示した部分までは、我々もそういう意見について出しています。
それはこの運営懇が始められたときから随分議論しているようですが、基本的には政府の
責任でやるべきだという審議会との関係の整理があって、そういうことで意見を伺いなが
らどういうふうにするかについては進めていこうではないかという理解です。

○村上委員
　基本方針を決める場合、経団連も健保連も国保も、代表が呼ばれてヒアリングを受けて
いるのです。発言する場があったのです。政管は誰も行っていないのです。しかも、委員
構成に全然入っていない。しかも、政管自身が、運営部長はこの方針でいいかもしれませ
んが、この方針では駄目だという人がいるかもしれません。私に言わせれば87％は労使で
出しているのですから、いくら「政府管掌」と言っても、社会保険というのは健保組合で
も何でも公的なものなのです。政府管掌だから特別というのは、私はおかしいと思うので
す。そうしたら共済はどうなるのですか。そういうものをちゃんとここで議論しましょう
よと。そういうことをやってくれないからこういうことになってしまったのです。しかし、
このままで、政管をどうするかという当事者が議論しないまま、政府が決めればいいとい
うのでは、他の保険との扱いがあまりに不公平ではないですか。

○吉田委員
　村上委員がおっしゃった点で、再審査をお願いした件数が、政府管掌は極めて少ないの
で、これをもっと増やすべきという意見に、私が賛成だということを申し上げたいのです。
通知レセプト、医療費通知の対象となる範囲の拡大ということで１か月相当分をさらにお
おむねすべてに拡大する予定という方針ということですから、ぜひこれを実行していただ
きたいと思います。確かに村上委員がおっしゃることも十分わかります。あなた様のお立
場は労働組合の代表ということで、あるいは組合の立場で発言される。紀陸委員は経団連
ということで経営の立場とおっしゃいましたが、経団連はいまや大企業だけではありませ
んので、私も小さな企業の代表としてこの懇談会に入れていただいていますが、私も政府
管掌健康保険の被保険者で、私個人もそうですし、このメンバーにあるわけで、そのため
に私はここへ呼ばれているのだと思います。したがいまして、紀陸委員はもちろん経団連
の立場でいろいろございますが、私たちもそのメンバーとして、紀陸委員を通じてどの程
度の声になるかは別として、意見を申し上げる機会があることだけを申し上げたいと思い
ます。　非常に小さいことですが、資料５の１の都道府県を単位とした保険ということで、
こういうもので説明されていますが、政管健保が約3,600万人の加入者を有する全国一本の
保険者と言っていますが、この3,600万人というのはどこからきているのですか。資料３で
被保険者数は1,881万人とおっしゃっているのに、3,600万人というのは、介護保険の数字
を加えてもあれだと思いますので、どこで3,600万人という数字が出てくるのですか。

○神田医療保険課長
　3,600万人というのは、被扶養者の方を加えますと、3,600万人ということです。

○山崎委員
　例年、未適用事業所の適用促進ということで、だいぶ事務局もご苦労なさっているよう
ですが、職員の巡回指導なり、あるいは社会保険労務士会での巡回説明の成果といいますか、
先ほど未納保険料が徐々になくなってきたという説明がありましたが、そういうものにど
のぐらい寄与しているかという数字的なものが出ていますか。あるいは説明に行った事業
所が「ああ、そうか」と言って、その後そこが入ったかどうかの追跡までやられているか
どうか。
　例年ですと、パンフレット、リーフレットでＰＲされているということですが、国民年
金もだいぶ未納が多いということで、健康保険だけではなくて、それと一緒になってもう
少し納入意識の醸成を社会保険全体で取り組む必要があるのではないかという気もするの
ですが、その辺のお考えはどうですか。

○神田医療保険課長
　未適用事業所の適用についての成果ということですが、例えば平成13年で言いますと、
雇用保険の突合と別途に、社会保険事務所で法人登記簿等を調べて、新しく法人になった
事業所を把握するようなことをしております。それが平成13年ですと６万7,000程度の事
業所があります。そのうち、加入勧奨状ということで、入ってくださいという勧奨状を送
っただけで入る所もあります。入っていただいた所、あるいは送ったが到達しなかったと
か、事業所の実態がなかったという所もありまして、そういうものを除いて社会保険労務
士が巡回説明に回った所が約３万6,000あります。その上でさらに社会保険事務所から巡
回指導しているわけですが、適用事業所ということで把握できた所は約１万5,000程度あ
ります。そういう所に繰り返し指導するという取組みをしております。

○紀陸委員
　いまの点と違ってお願いですが、本人負担分が増えたことによって、傾向的にトータル
の医療費が常識で考えると減ってくるのではないかという感じがするのです。そういうも
のを過去に遡って数字的に立証ができるかどうか、いろいろ条件を付けて考えなければい
けないのでしょうが、そういうようなものがあるかどうか。いますぐでなくてもいいですが。

○安部企画課数理調査室長
　いま出ているのは、平成15年４月１か月分だけです。いまおっしゃったのは、自己負担
が増えたときに医療費がどう変化するか。今回、医療費はマイナスになっておりまして、
それを要因分解すると、単価と１人当たりの受診延べ日数を分解すると、確かに受診延べ
日数が減少している状況はあります。ただ、最近の傾向を見てもマイナスで、マイナスは
若干増えております。もともとマイナスの所が増えているという状況です。１か月のデー
タだけでは何とも判断がしがたいところで、しばらく医療費の動向を注視していきたいと
思います。なかなか影響というのは難しく、結局負担をいじらなかった場合といじった場
合で比較できればいちばんいいのですが、そういうわけにもいきませんので、なかなか分
析は難しいのです。今後医療費のデータ、動向を注視して、それをなるべく見ていきたい
と思います。

○城戸委員
　繰り返しになりますが、私がこの委員会の委員になって以来、被保険者の意見をどのよ
うに反映させた政管健保の運営懇談会、あるいは保険運営を行っていくかということは、
引き続き討論されてきたことです。しかし、繰り返し言われることは、審議会方式かイン
ターネットで被保険者の意見を聞くという返事しか返ってこないのです。社会保険という
のは、もともと経営者側と労働者側との契約から出発している。それに国が国庫補助を付
けたり付けなかったり、制度によって違いますが、そういうことから考えますと、中小企
業の代表が入っていないのは、もちろん経団連の中にも中小企業が入っているとか、ある
いは連合の中にもそういうものは入っているということはあり得ると思いますが、しかし、
一般的なイメージとして、全体的な傾向として、経団連は大きな企業を代表している、あ
るいは連合はどちらかというと大きな企業の組合を代表していることは、否定できないの
ではないかと思うのです。　中小企業の代表が入っている、あるいは被保険者自身が幸い
都道府県別に再編成されるときにそこの運営に自らタッチするという方向にどうして考え
ていただけないのか。政府が管理運営するという健康保険制度であることは確かなのです
が、お金を出すのは誰かということになると、やはり圧倒的な部分を出しているのは経営
者と労働者ですから、被保険者の代表を出すことがどうして受け止められないのかは、い
つまでも「しこり」として残るのではないかという気がいたします。

○神田医療保険課長
　いまのご指摘は、この懇談会についてのご意見ということですか。それとも制度論に関
する医療保険部会の構成についてのご意見ですか。

○城戸委員
　あらゆる所に中小企業の代表がいないということです。

○神田医療保険課長
　この場で申しますと、山崎委員は全国中小企業団体中央会の常務理事というお立場で入
っているわけで、まさに中小企業の事業主を代表して入っていただいております。吉田委
員のお立場も先ほどのお話の中でおっしゃっていらっしゃいました。村上委員も構成員の
中には中小企業の方が非常に多いということですので、私どもの意識としては、中小企業
のご意見、労使の方のご意見を十分お聞きしてやっていきたいと思います。少なくともこ
のメンバーの中で中小企業の意見が反映されていないことはないと思うのです。

○城戸委員
　それでは、他の委員会、審議会の場合はどうなのですか。社会保障審議会の健康保険部
会、医療保険部会、あるいは今度都道府県別に再編成されるときに被保険者等の意見を反
映するということにこだわった理由は、私はこの委員会に出席するようになってから毎回
出てくる話なので、解決されているとは思えないのです。

○磯部運営部長
　この運営懇については、我々としては、構成員を網羅していると思っております。まさ
に制度の企画について議論する場である社会保障審議会の医療保険部会については、国保
の代表や健保組合の代表の方が入っておられる他に、相当数の大学の先生が委員になって
おられまして、その方々が国民といいましょうか、被保険者、国保にしろ、政管にしろ、
組合にしろ、おそらくそういう立場でご発言する前提に立っているのではないかと思いま
す。

○村上委員
　城戸委員がおっしゃっているのは、いままでのような運営懇では困りますと。ちゃんと
理事者として私のことを入れなさいよと言ってきたのに、20数年、運営懇のままでおかし
いのではないか、どうして労使の代表、その他公益をひっくるめてちゃんと運営にタッチ
できるようにしてくれないのですか、ということについて、毎回意見が出ていたわけです。
　もう１つ城戸委員が言ったのは、それで都道府県単位で再編になったときは被保険者の
意見を聞くようにしますと言ったら、課長が「審議会に入れるようにします」と言いまし
たので、「それはおかしいではないか」と。今度こそ理事者として入れるべきではないか
と言ったら、全然返事しないから、また城戸委員が言ったわけですが、それは審議会だけ
の話ではないのです。そもそもここで毎回こんな懇談会では困ると労使代表、公益をひっ
くるめて言ってきたわけですが、20数年、全然直してくれないのです。

○神田医療保険課長　いまご指摘のようなご意見も踏まえて、今後の保険制度の見直しを
まとめた基本方針の中には、被保険者等の意見を反映した自主性・自律性のある保険運営
が行われるような仕組みということが、まさに今後の見直しの方針として記入されている
ことだと理解しております。

○村上委員
　ところが、それはあなたが理解しているのは審議会ですよね。

○神田医療保険課長
　私が申し上げたのは、どういう形でやるのかは決まっていないので、今後の検討という
ことで、審議会で決まっているということではありませんので、どういう形でやるかはこ
れから検討されていくと思います。

○中西座長代理
　村上委員、城戸委員からのご意見につきましては、改めて事務局から保険局に伝えると
ともに、保険局との間できちんと協議して考え方を整理していただければと思います。
時間も迫っておりますので、他になければこれをもちまして運営懇談会を終了いたします。
それでは長時間にわたりましてどうもありがとうございました。