03/02/07 第14回政府管掌健康保険事業運営懇談会議事録     第14回政府管掌健康保険事業運営懇談会議事録 1 日時 平成15年2月7日(金)      10:00〜12:00 2 場所 厚生労働省専用第18会議室 3 出席した委員・専門委員(敬称略)   稲上、青柳、城戸、高木、高梨、中西、村上、山崎、吉田、武舎 4 議題  (1) 政府管掌健康保険の財政運営-平成15年度予算案-  (2) 政府管掌健康保険の財政運営-平成15年度介護保険料率-  (3) 政府管掌健康保険の財政運営-平成15年度保健福祉事業関係予算案-  (4) 平成13年度に社会保険庁が達成すべき目標についての評価  (5) 平成15年度社会保険事業計画 5 議事内容 ○稲上座長  ただ今から政府管掌健康保険事業運営懇談会を始めたいと思います。本日は高野委員 、佐野専門委員がご欠席ですが、他の委員の方はすべてご出席です。まずお手元の資料 1から資料3までについてご説明をいただきますが、本日の議事録についても、前回同 様、後日事務局において作成したものを委員の皆様にご確認いただいた上、公開させて いただきたいと考えていますので、ご協力をお願いいたします。それでは、資料1から 資料3までについて、事務局からご説明をいただきたいと思います。 ○田中医療保険課長補佐  まず資料1「政府管掌健康保険の財政運営−平成15年度予算案−」をご覧ください 。資料1は、政府管掌健康保険の平成15年度予算案の計数を整理したものです。1枚 目が全体、2枚目が医療分、3枚目が介護分となっています。  まず、医療分と介護分を分けてご説明したいと思います。2頁をご覧ください。医療 分については、平成15年度予算案では、結論としては、単年度収支差が594億円の黒 字となっています。右の備考欄の3番目にありますが、事業運営安定資金残高を年度末 で520億円という形で見込んでいます。 ただし、これは、支出の欄に予備費というのがありますが、不時の出費に備えるとい うことで、予備費として400億円を計上しています。したがって、特殊な事情がないと いうことで、予備費400億円を使用しないという場合を仮定すると、右の備考欄の※が ありますが、単年度収支差は994億円の黒字と、それから、年度末の事業運営安定資 金残高は920億円という形になるということです。これは、前回にご説明をした平成 15年度予算概算要求の際の計数と比較して、約700億円の悪化となっていまして、か なり厳しい財政状況であると言えます。  このうち、保険料収入についての推計の仕方をご説明いたします。平成15年度の保 険料収入については、まず、平均の被保険者数を前年度と比較して▲0.1%となる1,920 万人、平均の標準報酬月額を前年度と比較して▲0.0%となる28万8千円、平均の賞与 月数を前年度と比較して▲2.7%となる1.66か月分という形で見込んでいます。  また、右側の備考欄1、備考欄2のところになりますが、平成15年4月から月給と ボーナスに同一の保険料率を賦課する総報酬制が導入されます。これに伴って、政府管 掌健康保険の保険料率を月給の8.5%から月給、ボーナスそれぞれの8.2%という形へ 改定をすることになっています。従来より説明しているように、標準報酬ベースの85‰ というのは、総報酬ベースの75‰に相当します。そうすると、実質的には、総報酬ベー スで75‰から82‰へ、7‰分の引上げをすることに相当するわけです。 これによって約4,800億円の収入増を見込んでいます。 こういったことを勘案して、全体として6兆1,832億円ということで推計していると いうことです。  また、支出の欄の保険給付費についてですが、これは、平成14年度の保険給付費を見 込んだ上で、平成15年度の保険給付費を見込むという形で推計しています。平成14年 度に関しては、診療報酬の改定等もあって、実績として平成14年3月から8月までの 政府管掌健康保険での診療報酬をそれぞれの月の前年同月と比べたときの平均が▲4.1 %となっています。  このため、平成13年度決算の保険給付費の額から▲4.1%ということで、平成14年度 に関しては、4兆800億円と推計して、ここから更に、平成15年度に関しては、備考欄 の2にありますが、3割負担の導入、外来薬剤一部負担の廃止等を始めとする制度改正 全体で保険給付費が約2,100億円の支出減になると見込んでいます。  ただ、一方で、平成14年度と異なって、診療報酬の改定というものはありません。 このため、全体としては、平成14年度と比較して▲3.8%と見込んでいます。その結果、 3兆9,228億円と推計してます。  3頁の介護分をご覧ください。介護保険料率については、後程、別の資料でご説明い たします。全体の収支としては、平成15年度予算案においては、単年度収支差を63億 円の赤字、備考欄2にあるように、年度末の事業運営安定資金残高を37億円と見込んで います。  医療と介護を合計したものが1枚目の全体となります。全体では、単年度収支差が 531億円の黒字です。備考欄3の事業運営安定資金残高が年度末で557億円です。右下の ※ですが、同じように、予備費400億円を使用しない場合を想定すると、単年度収支差 は931億円、事業運営安定資金残高は957億円と見込んでいるということです。  資料2をご覧ください。これは、平成15年度の介護保険料率を整理したものです。 1枚目の上の点線囲みにあるように、健康保険法上、介護保険料率は、毎年度、介護納 付金の額から国庫補助の額を差し引いて、それをその年の報酬総額の見込額で除す ることによって算定する仕組みになっています。  ただ、今般の医療制度改革によって、平成15年4月から総報酬制が導入されます。 これに伴って、介護保険料率に関しても、従来標準報酬ベースで設定していましたが、 月給の他に賞与も含めて同じ保険料率が賦課されるという総報酬ベースで設定す るという形になります。  下の具体的な数字ですが、平成15年3月までは、標準報酬ベースで10.7‰ということ でしたが、平成15年4月からは、総報酬ベースで8.9‰という形になります。この標準 報酬ベースの10.7‰というのは、平成14年度予算編成時に設定しています。その際の 介護分の平均賞与年額が医療分の平均賞与年額と同じだったと仮定すると、標準報酬ベ ースの10.7‰というのは、総報酬ベースで9.4‰に相当するということです。全体とし ては、総報酬ベースの9.4‰から8.9‰へ、0.5‰相当の引下げとなります。  ただ、これには特殊要因があって、平成12年度に納付の猶予を受けた介護納付金があ ります。これに相当する介護納付金については、平成13年度と平成14年度とに平準化し て本来の介護納付金分に上乗せして徴収する形を取っています。平成14年度の介護保険 料率というのは、平成12年度に納付の猶予を受けた介護納付金の2分の1に相当する介 護保険料率、すなわち、標準報酬ベースで1.3‰分の保険料率も含んでいます。平成15 年度以降は、こういった納付猶予分がなくなって、基本的にその年度の介護納付金をそ の年度の介護保険料で賄うという本来の姿に戻るということです。  資料3をご覧ください。こちらは、平成15年度予算案の中での保健福祉事業関係予算 案の主なものを整理したものです。まず、1枚目は、生活習慣病予防健診事業です。こ れは、かねてからご説明しているとおり、平成14年度予算の中で厳しい財政状況を踏ま えて大幅な見直しを行っています。この中では、一般健診に重点化をして、従来の日帰 り人間ドックに代えて、40歳、50歳の被保険者等という方に限定して、従来の日帰り人 間ドックに相当する内容の付加健診を導入するということです。あわせて、C型肝炎対 策の重要性にかんがみて、C型肝炎ウイルス検査を導入しています。  平成15年度予算案の中においては、これとほぼ同様の枠組みを踏襲していて、ただ 、一般健診の実施者数を拡大し、全体としては、前年度予算と比べて11億円の増加と なる479億円の検査費を計上したということです。  2頁をご覧ください。高額医療費貸付事業については、平成15年4月からの3割負 担の導入に伴って、高額療養費の支給対象者の増加が見込まれるということで、平成15 年度予算案の中では、前年度予算と比べて10億円の増加となる16億円を計上していま す。  これに対して、出産費貸付事業については、平成13年7月から実施していますが、平 成13年度の実施状況を踏まえて、平成15年度予算案の中においては、前年度予算と比 べて2億円の減少となる3億円を計上しています。  3頁をご覧ください。社会保険病院の整備については、平成15年度も、平成14年度に 引き続いて、新たな建替等の工事に着手しないという考え方の下、既に着手した工事の 継続等に限定して、必要最少限の経費を計上しています。具体的には、平成15年度予算 案では、前年度予算と比べて50億円の減少となる184億円となっています。  以上、資料1から資料3までのご説明でした。 ○稲上座長  ただ今のご説明について、ご意見、ご質問をいただきたいと思います。 ○村上委員  私どもは4月から3割負担に反対していますので、3割負担がなくなった場合はどう なるのですか。 ○神田医療保険課長  3割負担導入の影響についてですが、お手元の資料1の2頁の医療分というところで 、保険給付費の変化をご覧いただくと、仮に3割負担が延期されると、保険給付費が膨 らみます。その部分がここにある保険給付費分で3,100億円膨らみます。また、退職者 給付拠出金のところで700億円増加すると見積っています。  あと、保険給付費が3,100億円膨らむことに伴って、国庫補助がその13%分、約400 億円、それに伴って増えるということになるので、差引すると、残り3,400億円分は、 保険料率引上げ等を行う必要が出て来ることになるかと思います。 ○村上委員  13%が常に前提となるのですが、本則は16.4%です。前回も言いましたが、本則に 戻す努力をしているのかどうか、当分の間ということになっているのに、当分の間がい つまでか、わからない。挙句の果てには、この間示された厚労省の試案では、国庫補助 をゼロにするような案を出しています。どういうお考えか全く分からないのですが、そ れを聞かせてください。 ○神田医療保険課長  確かに、保険給付費の国庫補助については、本則上16.4%となっているものを、現 在の財政状況等から、平成15年度については、13%ということで予算を計上していると いうことです。  制度体系の見直しに伴う国庫補助については、政府管掌健康保険の標準報酬月額が低 く、財政力が弱いということを勘案して、13%ということで試算が行われているところ です。委員がおっしゃるような議論があることは認識していますが、現在の状況からし て今の13%ということで試算をしているということです。 ○村上委員  現下の状況からしてというのがよくわからない。現下の状況からすると、当然16.4 %にならなければおかしいです。例えば、13%になぜ下がったかというと、保険料率が 92年に下がりました。そのときに国庫補助も下げたという経緯です。本来なら8.5% に上げたときに、国庫補助も16.4%に戻すべきことをやっていないだけなのです。  それをやらないでおいて、また今度保険料率引上げをやるのに国庫補助はそのままで す。現下の状況からいくと、そのままだとおかしいのではないですか。 ○神田医療保険課長  保険料率の引下げをしたときに国庫補助率を下げたという経緯からすると、委員がご 指摘のようなことかと思いますが、現下の状況と言ったのは、今の国の財政状況、一般 会計の状況等を含めて、予算折衝の段階で元に戻せるかどうかということから、財務省 等とも交渉するわけですが、その状況の中でこれを元に戻すというのは、現在の状況で 難しいということで、平成15年度予算案については、13%ということで組んでいるとい うことです。 ○村上委員  どういう交渉をしたのですか。本当に交渉をしたのですか。 ○神田医療保険課長  個別の国庫補助率という以前に、全体の予算枠の中で医療費についてどれだけ予算が 確保できるか、国庫補助についてどれだけ確保できるかといったこととか、年金とか、 全体の予算の枠組みの中で、この13%を元に戻す余地があるかどうかということを検討 して、財務省と最終的に予算をセットするわけです。その中で元に戻すというのが現実 的には難しいということになったということです。 ○村上委員  今の説明だと省内の予算のぶん取り合戦に負けたということですか。それをはっきり してくださいよ。どこが悪いのかをはっきりしておかないと対策の立てようがないので す。 ○神田医療保険課長  全体の枠組みの中で13%を16.4%に戻すことは、現在の状況でいうとゆとりがなか ったということで、全体の省内の仕切りという意味では、それを受け入れざるを得なか ったということと認識しています。 ○村上委員  そうすると、省内の仕切りというのは、この間の試案にあったごとく、政府管掌健康 保険の国庫補助はゼロにしていくというのが省内の傾向なのですか。 ○神田医療保険課長  それは決してそういうことではなくて、高齢者医療の扱いについてA案、B案の2案 が厚生労働省試案として示されているわけです。A案の方は、すべての保険者が同じ年 齢構成であるということで1度に財政調整をします。なおかつ、サラリーマンである被 用者グループの中で、仮に同じ収入だとしたらどうなるのかということで財政調整しま す。今後、それが受けられるかどうかという問題はあると思いますが、健康保険組合や 共済組合の方から財政支援をしていただけると、今の国庫補助を上回る財政支援がある ということで、被用者グループの中で所得部分について完全調整が行われるのであれば 、今所得が低い、財政力が弱いということを理由に入れている国庫補助については、こ れをそれに代わるものとして廃止してよいのではないかということで、試算上は国庫補 助が入っていないということです。  B案の方は、その部分について、高齢者独立保険制度をつくって、高齢者の方からも 保険料を頂く仕組みになっているので、若干政管の保険料負担が減る部分はあるわけで すが、被用者グループの中で所得の調整はしないとなっているので、ここはあくまでも 国庫補助を存置するという形で試算も行っているところです。そこは、財政力の調整が どこまで行われているのかを見極めた上で、頂くべき国庫補助はきちんと要求していく というのが私どもの基本的な立場です。 ○村上委員  基本的な立場でも、省内での予算ぶん取り合戦に負け続けて、本則がどこかに忘れら れているというのは、私に言わせれば本末転倒なのです。何回も言うのですが、まった く努力した形跡が見られない。本当に命掛けでやっているのか、何のための社会保険庁 だという話になるわけです。  もう1つ、これも平成15年度までということで、事務費の肩代り分があります。平成 16年度からはちゃんと元に戻してくれるのでしょうね。そして、今その金額がいくらあ るのか教えてください。 ○神田医療保険課長  財政構造改革特例法に基づいて、事務費のうちの物件費については、保険料で負担す るという特例が講じられています。その額は、平成15年度予算案では175億円を計上 していますが、その部分について財革法が平成15年度までの措置となっているので、 平成16年度の予算編成に向けて、この取扱いについて財務省との間で交渉していきたい と考えています。 ○村上委員  交渉ですか。また省内の予算ぶん取り合戦で負けるのではないですか。 ○神田医療保険課長  委員のご指摘も踏まえて交渉していきたいと思っています。 ○村上委員  16.4%に戻してもらうためには、厚生労働省のどこへ文句を言いに行けばいいので すか。 ○神田医療保険課長  医療費全体の枠組みということで言えば、保険局総務課のところで医療費の取りまと めをした上で、会計課と全体の枠組みをセットするということになろうかと思います。 ○村上委員  そうすると、保険局はそういう態度に出ているということですね。政管いじめに出て いるということですね、予算の中では。 ○神田医療保険課長  私どもの意見はよく申し上げていきたいと思っています。 ○村上委員  意見では困るのです。当然のものが全然やられないで、みんな付け回しばかりして、 こういうことを先送りにしてほしくないのです。当分の間というのは、あなたの理解だ と何年間になりますか。 ○神田医療保険課長  当分の間と書かれている法律でかなり長く行われているものもありますし、ごく短期 間で終わるものもありますので、当分の間というのが一律何年というのはなかなか難し いかと思います。 ○村上委員  だから、それが官僚の場合はよくわからないから、私は聞いているのです。我々が日 本語で使うのは、1年か2年というのが当分の間です。確かに、当分の間と書いて50 年続いているものもあります。それは、そもそもさぼっているだけの話であって、日本 語としてはおかしいのです。 ○高木委員  今のやり取りを聞いていて、社会保険庁は保険者で、被保険者のことを思い、いろい ろ制度のことを考えていただけるのが保険者ではないかと考えれば、制度全体の中での ポジションの問題があることは分かるにしても、先程の2割、3割の問題でも、保険料 が3,400億円増えるだけなのですというものの言い方があるかと思って私は聞いていま した。  そういう意味では、被保険者の立場で制度を考えていただくという立場は、どこへい ったのか。先程の13%と16.4%の本則の問題でも、その辺の負担の関係で整理したもの があったら、数字がいいように使われているような感じもします。そういうことも含め て、現在のような社会保険庁の対応を見て、我々被保険者の欲する保険の保険者機能と いうものをどう考えておられるのか。要は、被保険者の負担が増えるのは平気、負担を 少しでも軽減しようという努力はどこへいったのかという批判にどう答えられるのか。  だから、村上委員が言われた国庫補助の問題にしても、ずっと放ったらかして、将来 こうなったときはそうしますという空約束に乗っては駄目だということです。その辺は 、どんなものでしょうか。 ○神田医療保険課長  ご指摘の被保険者の意見がどう反映されているのかということですが、今ご指摘のあ った国庫補助の問題については、平成16年度に向けてきちんと交渉していきたいと考 えています。  それから、被保険者の方々のご意見ということでは、この場で被保険者を代表する労 働組合の代表の方からもご意見を伺わせていただく、また、経営者団体の代表の方から もご意見を伺わせていただくということで、労使の方のご意見を伺いながら運営させて いただきたいと思っています。保険者努力という点では、この後またご説明をさせてい ただきますが、収納等について非常に厳しい状況ではありますが、現年度でいうと、99 %弱の収納率を維持するように努力しておりますし、来年度も、同等かそれを上回るとい う目標を掲げて、収納対策の徹底を図っていきたいと思っています。また、レセプト点 検等についても、レセプト点検システムを入れて、従来のレセプト点検等で抜取作業に 非常に時間がかかっていましたが、そういうものを合理化して内容点検の充実を図るな どの保険者努力についても、十分私どもとしても努力していきたいと考えています。 ○城戸委員  2点あります。今の議論を聞いていると、この懇談会が1つの被保険者の意見を反映 する大事な場であることは、よく分かるのですが、他にも被保険者の声を反映させるよ うな工夫をしていただけないかということなのです。  実は、私は2回程欠席しましたが、その前の段階で保険者機能ということについてか なり議論がなされていたと思うのです。その結果、それがどうなったのかということを お伺いしたいと思います。 ○神田医療保険課長  被保険者の声を反映させる努力ということですが、1つは、この場が最も代表的な場 ということですが、この他に、新しくホームページ等で意見募集等の欄を設けてご意見 を伺い、対応する必要があるものについては対応し、そういったご意見についても、私 どももお伺いするような方策を講じていきたいと思っています。  これも、後程ご説明させていただきますが、健康づくり事業などについては、今も県 単位で健康管理対策委員会というものを設けて、保健事業の在り方等についてご意見を 伺っています。来年度に向けて、この委員会を改組して社会保険関係の健康づくり推進 協議会をつくって、その中には被保険者の代表の方にも入っていただいて、ご意見を伺 いながら進めていくこともしていきたいと考えています。 ○村上委員  城戸委員が言われた保険者機能というのは、前々回に私がだいぶ強く言ったと思うの ですが、このような懇談会では困るのだとこの懇談会で意見を言っても全然直らないし 、ちゃんと我々は金を出した者を理事者に入れて抜本的に保険者機能を変えてくれと言 っているわけです。今回の試案でも、県単位で運営だけはするけれども、保険者がどう やって機関を運営していくのかは、全然見えて来ないです。  だから、ここでいくら何を言っても、ただ聞き置くという懇談会です。皆さん方が聞 いて、今日終われば明日からは忘れて同じことをするだけの話では困るのです。それで は困るのだから、我々を理事者として入れてくれということをかねてから言っているの に、検討すらしないというのを、私は言っておきたい。今度の都道府県単位に運営を変 えていくならば、その位のことはちゃんとしてもらわなければ、これはおかしな話だと 私は思います。 ○神田医療保険課長  委員がご指摘の制度体系の見直しの中で、政府管掌健康保険については、都道府県単 位の財政運営が行われるということで、地域の医療費を反映させた、あるいは、保険者 努力、収納努力などを反映させた保険料率を設定するという方向で、試案が示されてい るので、そういうことになれば、県単位でなぜその保険料率になるのかということを地 域の被保険者の方々にも十分ご理解いただく必要があると思うので、どういう形で県単 位で労使の方のご意見を反映させていくのかということについても、当然その検討の俎 上に上がってくるものと考えています。 ○村上委員  意見反映では困るのです、運営に参加させろと言っているのです。そこは間違えない でください。皆さん方の共済は、いわゆる当局側と組合側と半々で理事者に入って運営 されているでしょ。同じことをしてくれと言っているのに、なぜできないのですか。 ○高木委員  城戸委員がおっしゃられたご趣旨は、10年間言い続けてきました。政管健保という 保険者形態ですが、この仕組みだったらそういうことが無理なら、仕組みの根本を議論 し直さなければいけないのではないかと思います。これだけいろいろな意味で参加とか 参画ということを言われている時代にですね、そういう意味では苛立ちみたいな表現で すが、言っても直らないようなものなら、そんな議論をさせる場をつくるなということ です。 ○稲上座長  他の委員の方で今出されている論点についてご意見はありますか。 ○高梨委員  今の保険者機能の問題というのは、政管に限らず、医療保険制度の基本的な問題です 。そういう保険者機能が発揮できるようなシステムづくりという視点から、どういう組 織形態がいいのか、組織規模がいいのか、負担形態がいいのか、そういう視点から判断 をしないといけない。  その問題と併せて、今の制度の中で、社会保険庁という保険者の立場で、どこまで発 言をしていくか、あるいは、現在の枠の中でもどこまでできるかという問題があるので 、高木委員がおっしゃるように、依然として今までどおりの発想での運営ということで は、我々、被保険者なり、保険料負担者としての事業主あるいは企業としては困るので 、その点は、ぜひ十分に議論を詰めていっていただきたいと思います。  私は、今回の平成15年度予算案を見て、政管の財政について大変な危機感を持ってい るのですが、まず単純な質問をさせていただきます。 先程資料1で説明がいくつかありました。私が伺いたいのは、支出の中で老人保健拠出 金と退職者給付拠出金が、それぞれ2兆1,581億円、約7千億円となっているのですが 、これは、平成14年度見込みと比べて拠出金の額はどういうところでどれくらい増え てきているのかを要因別に教えてもらいたいと思います。  それから、介護の説明は、サッとしかなかったのですが、介護納付金の関係は、先に 方向性として決まった介護報酬の改定、▲2.3%ですが、それが織り込まれているのか どうなのかです。  3点目に、これは基本的な問題になるのですが、今度の平成15年度予算案の単年度 収支は、約600億円となっているわけです。昨年の初めかもう少し前だったかと思いま すが、去年7月に成立した健康保険法改正の議論のときに、今回の改正が行われ、政管 の保険料率が総報酬制で8.2%になるとすれば、平成15年度から平成19年度までの財 政収支はこうなるという試算が出ているわけです。その試算によれば、平成15年度の 単年度収支は、1,800億円の黒字になるとなっていたわけです。  ところが、今回の資料を見ると、予備費をどう見るかという問題がありますが、それ を込みにしたところで、900億円くらいの事業運営安定資金の残にしかならないという ことなのです。この状態が続くとすれば、先の厚生労働省の試算でいけば、平成19年度 までは保険料率の引上げがなくても財政は運営できるという形だったのですが、これく らいの事業運営安定資金の残ということであれば、5年間もたない可能性も十分にある のではないかと思うのです。そういう意味で、先程の予算案の説明で、収入のところで 、被保険者も減っている、標準報酬月額も減っている、ボーナスの月数も減っていると 見ているわけですが、中期の平成15年度から平成19年度の見込みを出したときの前提と 、平成15年度の前提状況が大幅に変わってきているのです。  そうだとすれば、この際、去年の1月頃に出した推計をもう1度やり直して、政管の 5年間の収支はこういう見込みだというものを出すべきだと思うのですが、その辺につ いての考え方と資料のお願いをしておきたいと思います。  最後は、若干意見にもなりますが、先に出した厚生労働省の医療改革試案によれば、 政管の国庫補助をなくすという考え方、また、政管については、組織形態は現状の形態 のままにして、都道府県単位の運営ということなのですが、果たして都道府県単位の運 営ということで、先程冒頭に申し上げた保険者機能の発揮がどこまでできるのかどうな のか。保険者というのは、自主、自律、自己責任で行っていくということによって、保 険者機能の発揮ができるのだと思うのです。  都道府県単位で保険料率を変えるということだけをしたところで保険者機能発揮がど こまでできるかどうかという問題があると思います。ましてや、高齢者医療のところの A案のように、政管のグループの国庫補助をなくすというのは、とんでもない話で、自 立した政管が自立した保険者機能を発揮できるようになったところで、国庫補助は必要 なのです。ただし、保険者に財政力の格差があるでしょうから、その財政力の格差を国 庫補助によって調整しながら入れていくというやり方があるのだと思うのです。基本論 の問題もありますが、冒頭の質問について、あるいは、資料要求についての考え方をお 答えいただきたいと思います。 ○神田医療保険課長  第1点目の老人保健拠出金、退職者給付拠出金の変化がどのようになっているのかと いうことですが、平成14年度の見込みから平成15年度にかけて、老人保健拠出金に ついては、1,700億円の減と見込んでいます。  その内訳としては、一番大きなものは、老人保健拠出金について、平成12年度から 介護保険制度が施行されまして、介護保険制度に老人医療がかなり移るのではないかと 見込まれていたわけですが、それの移行が少なかったということです。平成14年度に は追加で1,700億円弱の拠出金があったということで、平成14年度の老人保健拠出金 というものがかなり大きくなっています。  それが、平成15年度の方は、平成13年度の介護保険の見込違いということで、かなり 小さくなって550億円程度に縮まったので、追加で出さなければいけない老人保健拠出 金分として精算額が約1,100億円減ったというのが最大の要因です。  それから、老人保健制度の対象年齢の引上げということで、1歳ずつ上がっていくと いうような制度改正効果等を含めて、1,700億円減少すると見ているということです。  退職者給付拠出金についてですが、約400億円の増と見込んでいます。これは、老人 保健制度の対象者が誕生月ごとに1歳ずつ毎年上がっていくということになるので、逆 に退職者に残る方は増えていくということになり、そういう要因に伴って約400億円の 増を見込んでいるということです。  2点目の介護保険料率についてですが、資料2でご覧いただくと、実質の部分で言う と、本来分の9.4‰というのを総報酬ベースに直すと8.2‰ということなので、実質で は約0.7‰増ということになっています。この中には、当然、委員がご指摘になった介 護報酬のマイナス改定はありますが、それを見込んだ上で、なおかつサービス量が増え 、高齢者の方が増えているということから、2号被保険者一人当たりの納付金額という のは、3万5千円から3万6,500円ということで、約1,500円引き上がっています。そ ういった要因等で、今申し上げたような介護保険料の実質的な部分での増になるという ことです。  平成14年度の予算編成のときに、5年間の制度改革を行った場合の財政見通しを出 したわけですが、当時は1,800億円の黒字と見ていたのではないかということですが、 これは、委員がご指摘のとおり、当時、初年度は1,800億円の単年度収支の黒字になる と見込んでいたわけです。これは、単年度収支でいうと約1千億円、資金残でいうと900 億円ということに縮んでいるということです。  このままいくと、5年間もたないのではないか、また試算をやり直すべきではないか ということですが、少なくとも2年ごとに政府管掌健康保険の中期財政に関する財政の 状況について確認を行って保険料率が5年を通して収支を均衡できるものかチェックを することが昨年の改正で法律上義務づけられており、今後、これに基づき検証も必要か と考えております。  その中では、平成15年4月からの3割負担の導入による影響がどの程度出るのかとか 、現下の経済情勢で被保険者の数とか賞与等も落ちているわけですが、ギリギリのとこ ろの経済情勢も含めて、財政的なチェックを行う必要があると考えているので、それを 見極めた上で、今申し上げたような5年間の収支見通しについても、チェックをしてい く必要があると考えています。  国庫補助の見直しで、A案で国庫補助をなくすのはとんでもないというご指摘ですが 、自主自立というお話がありましたが、政府管掌健康保険は健康保険組合に所属しない 被保険者の方を受け止めるということが明確に書いてあるので、そういう意味では、ま ったく自主自立ということではなくて、最後の被用者保険の受け皿という役割を担って います。そういったことで、どうしても中小の事業所が多いということもあります。そ ういった点で、財政力の格差といった問題が当然あるので、その問題は、私どもも十分 に自覚をした上で、どの案であったとしても、そういうことに対する配慮は求めていく 必要があると考えているわけです。  これは、先程も少し申し上げたわけですが、どちらでも廃止するということではなく て、B案のように被用者保険の中で財政調整が行われないということであれば、そこは 当然国庫補助は存置していただかなければならないということで、当然、財政力の格差 があって政府管掌健康保険が財政力が弱いという点については、形がどういうふうにな るのかはともかくとして、何らかの措置が必要だということは基本認識としてあるので 、それは確保するようにしていきたいと考えています。  保険者機能の発揮ということで意見がありましたが、今回の都道府県単位財政運営と いうのは、1つには保険者努力というのがなかなか今の運営の中で反映されにくいので はないかというご指摘もあります。また、その地域の医療費との関係が薄いのではない かというのが指摘されております。そういう意味で、都道府県単位に保険料率を設定す ることによって、地域の医療費の高低といった受益との関係をはっきりさせるというこ とと合わせて、先程も言ったような収納率、医療費適正化の努力も保険料率に反映され るということによって、保険者としての努力を十分に発揮できるようにしていきたいと 思っています。  片方でこの問題について申しますと、厚生年金保険との一体的な事業所の適用とか保 険料の収納ということを行っているわけですので、そういう意味で言うと、相対的には 事務費が健康保険組合や国保と比べると安く済んでいるということもあるので、そうい った効率的な面を維持しながら、先程からご批判のあるようなところについて、十分に 収納とか医療費適正化の努力をする、また、県単位で保険料率の設定等について、地域 の労使の方々のご意見も伺いながら、保健事業等を運用していくというようなきめ細か い保険サービスの実現ということも考え合わせて、今の厚生労働省試案を提案させてい ただいたということで認識しています。 ○青柳委員  私は今日で2回目ですので、過去の経緯をよく知りません。しかし、今日委員の方々 から過去の経緯を聞かされました。いろいろな出たくない会がありますが、これも出た くない会かという印象をまず申し上げます。  前回も申し上げましたが、医療機関は、国公立、公的医療を除くと、ほとんど中小企 業、つまり、医療担当というだけではなくて、被保険者を抱える、これが民間の医療機 関ですから、ある意味では、保険料負担もしなければならない事業主もいるし、実際に 被保険者であります。今日は、どちらかというとそういう立場でお話を伺いたいと思い ます。  第1点は、資料1の2頁の医療費の問題の部分です。このご説明を受けたときに、い ろいろと設定条件を加えていただきながら説明を受けました。書き留めているのですが 、説明責任を果たすのであれば、言葉だけではなくて、設定条件をちゃんと文書化した り文字化して記録として残しておくべきだと思います。それがなければ、例えば、この 資料だけを見て分かれと言われても、なかなか無理です。それは努力すればできること ですから、まずそれを第1点としてお願いをします。  医療費の保険給付費として4兆円弱です。いろいろ制度改正等々があって、他にもい くつか項目があるのだと思います。ここでは(1)(2)(3)と簡単に書いています。 実際問題、平成15年度は前年度比で医療費の自然増分をどのくらい中に組み込んでい るのか、それをお聞きしたいと思います。  第2点目は、平成13年度決算を基にして、昨年3月から8月まで▲4.1%の医療費減 ということを勘案してというお話だったと思います。ある意味では、診療報酬改定、制 度改正というのは、10月から非常にドラスティックな部分が入ったので、当然ながら 出発点になる数値自体が変わる可能性があることも考えておいていいのだと思います。 それも実を言うとどこかに書き込みがあって然るべきだと思います。医療費関係につい ては、2つのポイントだけです。  資料3で、生活習慣病予防健診事業というのは、非常に私どもも重要視しています。 少し増えることもこれでいいのだと思います。ただ、私どもがこの事業をウォッチする というか、健診事業ということですが、こういう予防健診事業というのは、その後のフ ォローアップがどうされるかというところまでいかなければ不十分だと思います。この フォローアップをどうしているのか。この表を見る限りでは健診ということでの予算化 された金額ですが、実を挙げるためにはその辺までをどうしようとしているのか、ある いは、それに対する裏付けはあるのかどうか。これがなければなかなか私は効果が挙が らないのではないかと思います。  それから、資料3の2頁の貸付事業ですが、平成14年度の6億5千万円ですが、これ が大幅に平成15年度は10億円伸びるだろうというご説明がありました。例えば、平成9 年は1割が2割になりました。そのときもやはりこういう伸びをしているのでしょうか 。見込まれる根拠がもしあるのであれば示していただきたいと思います。  3点目に、社会保険病院の整備ということです。これは社会保険病院であって老人保 健施設は関係ないのですね。老人保健施設も含めた施設整備費と理解してよろしいです か。おそらく平成16年度になるとこれはゼロになるのだろうと期待していますが、平成 15年度だけに終わらず、限りなくゼロにするような方向に持って行っていただきたい と思います。以上です。 ○神田医療保険課長  まず、平成15年度の保険給付費の伸びの▲3.8%という中で、医療費の伸びをどの程 度見込んでいるのか、自然増分をどの程度見込んでいるのかということですが、先程ご 説明させていただいたように、3割負担の導入のほか、薬剤一部負担の廃止に伴う支出 の増があって、差し引きで、平成15年度制度改正によって平成14年度との比較で約 2,100億円保険給付費が減ると見ています。これが保険給付費の対前年度比で▲5.1% ということですので、あとは被保険者数が▲0.1%ということです。そういう意味で言 うと、被保険者数の減とか制度改正でない伸びとしては、1.4%程度を見込んで、差引 きで▲3.8%という減少を見込んでいるということです。  2点目の▲4.1%という減少についてですが、これは、先程説明したように、実際の 診療報酬の支払い実績の3月から8月までの対前年同月比の平均値を基に、▲4.1%程 度、平成14年度中は保険給付費が下がるであろうと見込んでいるわけです。確かに、 10月から高齢者の1割負担の導入等があるわけですが、これは、現時点ではまだ10月 の影響が完全に整理できていないので、それを見た上で改めて老人医療費の動向等につ いて発表されることになろうかと思います。制度的に言いますと、老人保健拠出金の減 少は、2年後の精算になっているので、仮に10月の影響で若干減ったとしても、ただち には財政影響が出て来ないということかと思います。  制度改正影響ということで、政府管掌健康保険で平成14年度に関して高齢者でない 部分本体の保険給付費で言いますと、10月から、高齢者の方で誕生月が来るごとに、 従来は老人保健制度に移っていた方が政府管掌健康保険に残ることになるというプラス の要因であるとか、乳幼児の給付率が3割に上がるという要因があるので、差し引きす ると、政管の保険給付費そのものについては、ほとんどイーブンという影響です。  3点目の健診事業については、健診の結果、5段階に評価して、要治療、要経過観察 、軽度異常といった異常値が出た方については、保健師による事後指導を行っています 。その経費としては、平成15年度予算案では、49億円を計上しています。中小の事業者 の方なので、集まってこちらに出て来てくださいという訳にはいかないので、通常は、 事業所に保健師が携帯のパソコンに健診データを入れて持って行き、その事業所の中で 、空いている時間に順次異常値のあった方に来ていただいて、その場で過去のデータな どを見せながら、データの数値がこのように変わっているから、こういう点を改善され た方がいいというフォローアップを今はしています。これと併せて、来年度から、社会 保険センターといったスポーツ施設の役割を見直して、今申したような健診の結果で軽 度異常とか要経過観察といった生活習慣病の予備群に当たる方について、そこにいます 健康運動指導士、保健師による運動処方あるいは喫煙・飲酒といった生活習慣の指導も 、更に行っていきたいと考えています。  貸付事業についてですが、平成9年度の見直しの時も、当然増はあったかと思います が、今の段階で貸付件数について申しますと、平成14年度に6万3千件程度と見込ん でいますが、3割負担になるので、今の医療費分布を前提に、どの程度高額医療費の支 給条件に当たる方が出てくるかを推計しますと、約5割増しの9万5千件程度に増加す ると見込んでいます。したがって、先程申し上げたように、高額医療費の貸付事業の中 で、原資を約12億5千万円積み増しするという予算案にしています。 ○十菱企画課長  社会保険病院の整備についてですが、これも後程説明する予定でしたが、社会保険病 院の在り方の見直しに関して、昨年の12月25日に厚生労働省としての方針を公表しま した。その方針の中では、一定の経過期間を経た後は、基本的には保険料財源による施 設整備は行わないという方向を打ち出しています。平成15年度予算案については、資 料にありますように、既に着手した工事の継続と国有財産の維持管理のために必要最小 限の施設整備ということで計上させていただいているところです。  ご質問のありました老健施設に関しては、現在継続工事中のものは、平成15年度以降 はありませんので、そういう意味においては、入っていないということです。 ○青柳委員  財政運営の資料1のところで、2点お聞きしたいと思います。今、医療保険課長から は、制度改正についてだけ、昨年の10月以降、あまり変化がないだろうということでし たが、実際問題、10月から診療報酬改定も実施されている部分がありまして、それは実 を言いますと私どもとしては大きな動きをしていると思っていますので、単に制度改正 のプラスマイナスゼロだよということだけで物事を済ませていただきたくないと私は思 います。   もう一つは、7割給付という形がこの制度改正の中であるわけですが、この7割給付と いう実質的な部分での影響のものと、長瀬効果をどの程度組み込んで実際に数値を出し ているのか、組み込んでいるのかいないのか、組み込んでいるのであればどの程度、例 えば、実質の財源効果の何%を後追いして計算したのか、それを教えていただきたいと 思います。 ○神田医療保険課長  1点目については、いずれ実績が出て来ると思いますので、財政運営に当たって当然 よく見極めていきたいと思っています。2点目の3割負担導入による削減、保険給付費 の減効果の中で、長瀬効果、いわゆる受診抑制等による減がどの程度かということです が、先程申し上げたように、保険給付費の▲3,100億円のうち、経験則的に一般に患者 負担の割合が上がると受診率が下がるといったことがあるわけです。平成9年度に1割 から2割に患者負担が上がった時に、どの程度医療費が縮少したかということに基づい て、一定の計算式を基に推計をしている額ですが、3,100億円のうちの1,700億円がい わゆる長瀬効果による減ということで見込んでいます。そういう意味では、先程申し上 げた▲3,100億円というのは、受診抑制も含めた効果です。 ○高木委員  私も同じことをお聞きしようと思ったのです。長瀬効果ですか、1,700億円、これは 、1割から2割負担に上がったときの経験的なデータを基に試算ということでしたが、 その時よりは、今の勤労家計のセンチメントというのは、下に向かっている部分という 感じがしてならないので、平成9年度だかのデータで試算されて1,700億円だというこ とであれば、これは、現在の家計切り盛り心理からしますと、もっと大きく見込まない と間違うのではないか。こんなことを言うと、日本医師会は余計イライラされるのです 。医師会がどう思うかは別にして、実際の予測として1,700億円というのは、これは当 たらなかったらごめんなさいという例が過去にもたくさんありますから、あくまで予測 は予測なのでしょうが、その辺どうでしょうか。 ○神田医療保険課長  これは、あくまでも実際に縮んだ医療費を基に、一定の算定式を基に推計しています 。その結果として、平成9年9月から1割負担から2割負担になったかと思いますが、 前後で6%強の医療費が下がったことがあるということなので、その実績を見て今回の 給付率の下げをその当時の影響を見極めた算定式に当てはめて、今回の医療費の減を見 ているということです。ここはいろいろご議論はあろうかと思いますが、あくまでも過 去の実績でどの程度落ちたかということを基に計算しています。 ○高梨委員  質問はやめて要望だけしておきますが、先程の中期5年の試算によれば、平成15年度 に1,800億円の黒字というのが、今回の平成15年度予算案で見れば、大雑把に言えば1 千億円弱ぐらいということで、非常に厳しい状況なのです。平成16年度にチェックをす るということについては、是非やってほしいのですが、その時に保険料率の引上げという ことで解決するようなことにならないように、是非、適正な運営をやってもらいたい。  もう1点は、昨年7月の法改正で、老人医療費の適正化指針をつくるとなっています。 依然としてそれがまだ出来ていないのですが、いずれ策定するのだと思います。その出 来た指針に基づいて、政管健保においても、着実にその適正化に向けての努力をしても らいたいと思います。  3点目は、こういうふうに政管健保の状況が非常に厳しいということも踏まえながら 、この3月中に決める、いわゆる基本方針づくり、保険者の再編、診療報酬、高齢者医 療という指針づくりに当たっても、こういう厳しい状況を踏まえつつ、適正な基本方針 をつくってもらいたい、社会保険庁としてもそういうことで努力していただきたいとい うことを要望しておきたいと思います。 ○高木委員  質問ですが、例の生活習慣病予防健診事業、トータルで478億円、2.4%、これは、 対象人数は何人で積算されているのか、教えてください。 ○神田医療保険課長  お手元の478億円という予算案で予定している健診者数は、合計で376万5千人を予 算案積算上見込んでいます。 ○稲上座長  議論を先に進めたいと思いますが、ひとつだけ感想を申し上げたいと思います。先程 、村上委員、高木委員、城戸委員がお話になりましたことに関連して、政管健保の財政 を含めた管理運営の在り方、社会保険庁のそれに関わる役割、更にこの懇談会の在り方 について、これまでいく度かご指摘のあったそういう基本的な問題について、今日もま たご指摘があったということを座長として確認させていただきたいと思います。  先程、青柳委員から、いろいろ説明を頂く場合の算定の基礎になることを口頭でお話 をいただくだけではなく、差し支えないものについて、もう少し文字にして残してほし いというご希望が表明されましたが、それについても、ご努力をお願いしたいと思いま す。  次の議題にまいりまして、資料4及び資料5について、引き続き事務局から説明をお 願いしたいと思います。 ○高野医療保険課長補佐  資料4−1、4−2、資料5について説明させていただきます。まず資料の1と2で すが、社会保険庁が達成すべき目標についての実績評価ですが、平成10年度に施行され ました中央省庁改革基本法で、事業を行う実施庁については、事務の実施基準と達成す べき目標を定めて、目標に対する実績を評価して公表するとされたところです。  平成13年12月に政策評価に関する基本方針が閣議決定をされて、この基本方針に基 づき厚生労働省として、政策評価実施要領に基づき、平成13年度から実績評価を行うこ ととなったところです。昨年の11月8日に初めて平成13年度の目標に対する実績の評 価を厚生労働事務次官から受けたところで、お手元の資料の4−1については、平成13 年度達成すべき目標に対する取組状況に対する評価の抜粋ということになっています。  資料の2については、事務次官通知の健康保険に関する部分をピックアップして取り まとめたものです。具体的な取組状況については、資料1の抜粋の方で説明をさせてい ただきます。達成すべき目標については、2の実績に対する評価として、できる限り政 策効果を定量的に把握することができる手法を用いることとされているところです。 平成13年度の社会保険庁として達成すべき目標の内容については、ここに示してありま すとおり、すべて定量的な目標が設定されています。実績に対する評価ですが、全体的 な評価としては、おおむね適正に実施されているとの一定の評価を得ているところです 。健康保険、厚生年金保険、国民年金の適用徴収ならびに保健福祉施設事業の実施につ いては、引き続き効果的な措置の検討が必要とのご指摘も行われているところです。健 康保険制度の運営責任者として、国民に信頼されるよう、公平公正で透明性のある事業 運営に努めていくことが重要かと考えています。  資料5の平成15年度の社会保険事業計画について説明いたします。本年1月31日に 厚生労働事務次官から依命通達によりまして、平成15年度に社会保険庁が達成すべき目 標が示されまして、この目標に対しての取組として社会保険事業計画を策定したところ です。社会保険事業の保険者として、適正かつ安定的に事業を運営することはもとより 、その任務とされた事務を適正に実施し、社会保険庁が達成すべき目標を達成するため の取組みとして、この社会保険事業計画を基本として、各都道府県にあります地方社会 保険事務局では、地域の実情を踏まえた目標を定めて事業計画を策定するということで す。その策定した事業計画について、更に取組みを実施していくというふうにしている ところです。  まず事業運営の方針については、社会保険事業を取り巻く状況変化への的確な対応と して、1の社会保険庁の業務運営の効率化・事務の合理化、2に示してあります社会保 険と労働保険の徴収事務の一元化について、昨年成立した健康保険法等一部を改正する 法律の附則に規定された、医療保険制度に関する諸課題を検討するために、厚生労働省 に医療保険改革推進本部が設置されたところです。その推進本部の下に、医療保険制度 の運営効率化に関する検討チームを社会保険庁で設けて、社会保険庁の業務運営に関す る諸課題を検討して、これも昨年12月25日に厚生労働省としての方針を取りまとめて 、公表させていただいたところです。  2頁ですが、医療保険制度の事業運営については、ご案内のとおり健康保険財政が平 成5年度以降、単年度収支決算において、9年連続で赤字となっているところで、平成 14年度末においても、医療制度改革が行われたところではありますが、年度末には事業 運営安定資金が枯渇することが見込まれるなど、極めて厳しい財政運営を余儀なくされ る状況にあります。事業の健全運営をしていくために、適用の適正化や保険料収入の確 保などの基本的な取組みを着実に実施していくことが大切と考えていまして、施策の進 め方に関して、所要の見直しを行い、諸課題が円滑、着実にその成果が上げられるよう に努めるものとして、信頼される保険者を目指して、事業運営方針を定めたところです。  3頁からは「平成15年度に社会保険庁が達成すべき目標」ということで、これは平成 13年3月の実施基準と準則を示していますが、これをご覧下さい。この実施基準に基づ き5頁にある、平成15年度厚生労働大臣が社会保険庁長官に権限を委任した事務に係る 社会保険庁が達成すべき目標が具体的に示されています。その具体的に示されている目標 については、6頁の別表で具体的に個々の目標が示されています。新しく達成すべき目標 としては、7頁に「保険料の収納に関する事項」で、左枠の一番下ですが、口座振替の実 施率に関して、前年度を上回る口座振替実施率となることが追加されています。  指標については、6頁(2)の届出に関して総報酬制が平成15年度から導入されると いうことになっていまして、この総報酬制に係る指標として、賞与支払事業所数が1つ の指標として示されています。  7頁の3、「保険給付事務に関する事項」です。この事項の中でレセプトの内容点検 の件数が指標として追加になっています。各事項については、時間の都合上、後程ご高 覧いただきたいと思います。  9頁、平成15年度の事業計画として、事業運営方針に基づく具体的な取組みについ て示しています。1つ目は重点事項ということで、制度共通を9頁に示しています。10 頁は医療保険関係の重点事項の施策を示しています。11頁以降は重点事項に基づく実 施事項を示しており、まず重点事項の10頁の4の「保険給付の適正化」についてです 。本年度内にレセプトを画像処理をして管理をする「レセプト情報管理システム」を導 入することとなっており、このレセプト情報管理システムを活用して、レセプト点検、 調査に係る、特に縦覧点検を中心とした内容点検、それから外傷性の点検の充実を図る こととしています。  10頁の5の被保険者証の更新及びカードによる1人1枚化については、新規事項で す。平成15年度が被保険者証の更新時期となっており、更新に際してこれまでの世帯 単位の紙の被保険者証から、被保険者等の利便性の向上を図る観点から、プラスチック カードとして1人1枚化を図ることとしています。  11頁以降については、実施事項となっていますが、まず適用の適正化です。(1)@ の イです。先程申しました総報酬制の導入に伴い、賞与に係る適正な届出の指導を追加し ているところです。また、保険料収入の確保については、(2)の滞納処分の適正な実 施のCで保険料滞納の事業所に対する財産調査の徹底を追加しています。  12頁の医療給付の適正化の(1)のAですが、医療費通知については、これまで2 か月相当分を通知していましたが、被保険者に対する情報提供の拡充を図ることを目的 として、全月分、12か月分を対象とした医療費通知を実施することとしています。以上 、簡単ではございますが説明にかえさせていただきます。 ○田中医療保険課長補佐  続きまして、別添1から5までの資料を説明いたします。ただ今の社会保険事業計画 に基づき、社会保険事業を運営していくわけですが、新たな取組みのうち主なものとい うことで、5点紹介させていただきたいと思います。  別添1は、全喪の適正な処理ですが、全喪届というものがありまして、これは、適用 事業所となっているものについて解散、休業、合併などによって適用事業所ではなくな った場合に事業主が提出するものです。参考を見ますと、全喪届の処理件数は、平成13 年度で約8万7千件にものぼっています。  問題点の2つ目のマルですが、平成12年度決算検査報告の中において、休業を理由と して全喪届が提出された事業所の中で、全喪届が処理された後も引き続き事業を継続し ていた、ないしは、全喪処理後、確かに事業を止めているのですが、短期間で事業を再 開し、その時に新規適用の手続を採っていないケースがある、ということを指摘されて います。  こうした状況も踏まえ、2頁目ですが、新たに次のような対策を講じたいと考えてい ます。解散や休業を理由とする全喪については、(1)のとおり、昨年10月の全国社会 保険事務所長会議において、解散や休業を理由とする全喪届を社会保険事務所の窓口で 受け付けるに際しての調査確認方法を提示しています。具体的には、まず全喪の事由に ついて詳細に事情を聞く、書類上も他の手続、例えば、雇用保険適用事業所廃止届の写 しなどを添付させることによって、事業が継続していないことをきちんと確認するとい うことです。この事業所が保険料を滞納している場合には、要注意ということで、保険 料の収納状況を確認します。こういったことにより、事業を継続しているのではないか と疑われる事業所に対しては、実地調査を行うよう指導しています。これは、先日の社 会保険事務局長会議においても、再度徹底したということです。(2)について、現在 、平成15年4月の総報酬制の導入に向けて、省令改正作業を進めているということで すが、この中で、保険局にお願いをして、適用事業所に該当しなくなった場合の届出、 今まで全喪届と呼んでいたものですが、これを省令の中できちんと規定する方向で検討 しているということです。  別添2は、医療費通知の拡充です。これは、先程も若干申し上げたとおり、内容のと ころの1つ目のマルの対象のところですが、これまで年間のレセプトのうちおおむね2 か月相当分を対象として医療費通知を実施していましたが、平成15年度からおおむね すべてのレセプトを対象に実施することとします。実施時期は、若干システムの開発等 がありますので、平成15年9月以降に順次実施することとし、6か月ごとに年2回の 形で医療費通知を送付したいと考えています。 別添3は、被保険者証のカード化です。これは、前回のこの懇談会でも説明させていた だきましたが、当面の対応のところの2つ目のマルにあるとおり、1人1枚化を行うこ とにするということです。平成15年10月以降に順次実施する被保険者証の更新に合 わせてカード化を実施します。ただし、前回の運営懇では、その媒体として磁気ストラ イプカードを採用すると申し上げましたが、その後の事情により、プラスチックカード を採用する方針に変更しています。  2頁目には、磁気ストライプカードの採用を取り止めた理由を整理していますが、1 つは、被保険者証の媒体として磁気ストライプカードを政府管掌健康保険で採用するこ とになりますと、医療保険の被保険者証について、磁気ストライプカードに固定化する ということで、政府として推進するICカードの普及を阻害するおそれがあるのではな いか、という指摘があったということです。もう1点は、市町村国民健康保険では、被 保険者証のカード化を進めるに当たりましては、市町村という主体なので、住民基本台 帳カードの活用、そうでなけれは、単独でICカードを発行するかどうかといったこと について、運用上の問題点を整理することが必要ということです。これについては、住 民基本台帳カードの動向等を見極める必要があるということで、この方向を決定するた めには、一定の時間が必要だということです。将来、仮に国民健康保険において被保険 者証の媒体としてICカードを採用するところが大勢を占めることになりますと、こち らでそれに先立って磁気ストライプカードを採用していると、保険医療機関で磁気カー ドとICカードの双方の読取装置を設置するなど、二重投資を生じかねないということ で、今回は、磁気ストライプカードを採用しないことにいたました。  2番目の「将来に向けた検討」ですが、社会保険庁の事業運営効率化・事務合理化の 中でも、被保険者証の高機能化を図ることを位置付けているので、これについては、I Cカードの価格の推移、公的分野におけるICカードの普及状況、市町村国民健康保険 の動向などを踏まえて、平成18年度以降ということでICカードの採用を検討するこ とにしています。あわせて、前回説明した資格確認システムについても、平成16年度の 導入は、見送りますが、平成17年度以降の導入ということで更に検討を進めていきた いと考えています。 ○高野医療保険課長補佐  別添4、健康保険法等の改正法附則に規定された、社会保険庁の業務運営の効率化、 事務の合理化を踏まえて、委託費が議論されたことに端を発して、一律に交付していた 委託費を廃止して、社会保険センターを新たな健康づくり事業の場として、事業実績に 応じた委託費を払うこととしたところですが、新たな事業の背景としては、厚生労働省 で健康日本21を推進していまして、昨年、健康増進法が制定されました。これを受け て、従来のカルチャー、あるいはスポーツ施設という位置付けから、生活習慣病の発病 を予防する一次予防、発病した人に対する指導の場という新たな目的をもつ施設として 位置付けて、来年度より新しい保健事業を実施するとしたところです。  地方社会保険事務局には、学識経験者、被保険者、事業主等の代表で構成する健康づ くり推進協議会(仮称)を設置して、健康づくり事業に関する意見をいただき、健康日 本21、都道府県健康増進計画などを踏まえて、地域の実状に応じた健康づくりの実施 計画を地方社会保険事務局で策定することとしています。この実施計画の1つの取組み として、生活習慣病の予備群及びその治療を行っている者を対象に、保健師、健康運動 指導士が、運動、喫煙、飲酒、栄養などの生活改善のためのプログラムを提供して、社 会保険センターでプログラムの実践を継続的に支援することになります。また、必要に 応じて運動療法に関しては、知見を有します健康スポーツ医の助言を得られるように、 医療機関との提携を行うこととしています。  2枚目は、この事業の流れで、右が生活習慣病を発病した人を対象とした事業の流れ です。この対象者は既に医師による治療と指導管理を受けていることから、医師より療 養計画書を出していただいて、その療養計画書に基づき、社会保険センターで保健師、 健康運動指導士が運動指導等のメニューを作成して、健康指導や運動指導を行うとし ています。左側の事業は健康診断結果に基づき、軽度異常あるいは要経過観察と判定さ れた生活習慣病予備群に対する事業の流れとなっています。この事業により社会保険セ ンターで行う事業について委託費を交付するということです。以上でございます。 ○田中医療保険課長補佐  別添5は、前々回の当懇談会において、社会保険庁ホームページを活用した政府管 掌健康保険に関する広報を充実させたいということを申し上げましたが、この2月1 日から、社会保険庁ホームページの中で、医療保険制度に関するコーナーを大幅に充 実して整備し、一般の方々がご覧になれるようにしています。  内容ですが、トピックスということで、最新の決算、事業計画等を公表するほか、 保険者として被保険者や事業主に制度の内容を周知するということで、基礎知識コー ナーを設けて保険給付の内容等についての解説を掲載しています。そのほか、各種パ ンフレットとして、事業主への加入勧奨、外国人向けの加入勧奨、貸付事業の概要と いった可能なものをすべてホームページに載せて、見ることができる形にしています。 それから、届出・申請の手続に関して、届書・申請書の様式を掲載するほか、統計情報 に関しても、充実を図ったところです。それから、この懇談会の委員名簿、議事資料、 議事録等についても、厚生労働省ホームページにリンクを貼る形にしています。先程申 し上げましたとおり、新たに意見募集のコーナーを設けましたが、我々としてこういっ たことで直接に被保険者や事業主に働き掛ける場として貴重だと考えているので、今後 、更に活用してまいりたいと考えています。以上です。 ○稲上座長  ありがとうございました。ただ今のご説明につきましてご意見、ご質問がありました らお願いいたします。 ○高梨委員  適用事務の関係で、適正な把握に努めて適用促進は引き続きやっていかなくてはなら ないのですが、現在、本来適用すべき強制適用になっている所で、適用になっていない 所、すなわち未適用になっている所がどれぐらいあるのか。実態を出すのはなかなか難 しいのでしょうけれども、少なくとも推計ぐらいは出るのではないかと思うので、どれ ぐらいの数が政管であるのか、あるいは、厚生年金であるのかという点について教えて ほしいと思います。  新聞の投書欄を見ていたら、ある企業を設立して社会保険事務所に持って行ったら、 要件が該当しないから、あなたの所は国保だということではねられたという投書が昨日 か一昨日、載っていました。その対応の問題は別として、そもそも適用すべきであるの に適用されていない所、雇用保険の関係では適用されている所があるのではないかと思 うのですが、その辺の実態がどうなっているのかというのが1つです。  もう1点は社会保険センターについてのご説明がありましたが、全国で何か所あるの か、また、職員数はどれぐらいなのか、委託費の総額はどれぐらいかという点について 、15年度予算案で結構ですので、教えてもらいたいと思います。 ○神田医療保険課長  1点目の適用の関係で、本来、強制適用でありながら、未適用になっている所がどれ だけあるのかということですが、正確な数はなかなか把握できないわけです。ご指摘が ありました労働保険との事業所データとの突合を今年度から行っています。その結果、 簡単な住居表示の違いとか、事業所の表記違いということでも、不一致になるので、そ れがすべて本来適用すべきであるにもかかわらず未適用とは言えないわけですが、労働 保険とのデータを突合したときに、データが全部不一致になっているものは、25万事 業所あります。そのうちで、被保険者数が5人以上、個人であっても強制適用になると ころが約10万事業所あるので、私どもとしては、まずこの10万の事業所について、 今年度中に本来適用すべきであるのに適用が漏れているのではないかということをチェ ックしていただくように、地方社会保険事務局長会議や社会保険事務所長会議で繰り返 し指導しているところです。  通常はどうやって把握するかといいますと、法務局に行って商業登記等を定期的に閲 覧し、新規に登録されたものを写し取って来て、それについて本来適用すべきであるか どうかというリストを作り、その中から、通常、そういう事業所に入っていただくよう に、まず勧奨状を出して、それで入っていただけないような所については、労務士会に お願いをして、労務士会で巡回説明をしていただきます。その上で、これは適用対象に なるという所については、また職員が出掛けて行って、適用を促すという取組みをやっ ています。対象としては、今申し上げたようなやり方で、把握しているということと併 せて、今年度からは、今申し上げたような労働保険との突合を始めたということです。 ○高梨委員  チェックをするのは、本年度ということですが、労働保険関係で適用されている所で 健康保険の未適用になっている所を、何年計画で解消するのでしょうか。 ○神田医療保険課長  未適用事業所の不一致リストについては、平成14年度から行っている訳ですが、平 成 15年度以降も、新たに不一致のリストを年度ごとに提供して、未適用事業所の解消に 向けて努力をしていきたいと考えています。特に、先程言ったように、かなりの数があ りますので、強制適用になる5人以上の所を優先的にまず確認してくれということで、 指導しています。それ以外の所についても、計画を作って確認作業を具体化するように 指導して、進捗管理をしてくれということで、指導しているところです。 ○高梨委員  いつまで経っても本来適用すべき所の適用が完了しないのではいけないのです。資料 5の6頁で、新規適用事業所が5万7千か所となっているわけですが、5人以上で10万 事業所の差がある訳です。5人未満でも適用すべき所があるはずですね。それらを合わ せた中で、新規の適用事業所が5万7千か所ということであれば、依然として未適にな っている部分が相当いることになります。一気にはできないというのは、やむを得ない ですが、何か年計画で解消に向けて努力するという計画をきちんと打ち立てていかない と、問題だと私は思うのです。 ○神田医療保険課長  今のご指摘ですが、事務所の体制その他ということがありますので、計画を作って順 番に潰していくようにということでは指導していますが、一律、1年、2年という形で 区切る形にはしていません。計画を作って進捗管理をさせるようにしていきたいと考え ています。  10万事業所と申しましたのは、あくまでも不一致になっている所の母数として10万 事業所ということなので、これは、例えば、労働保険と同じ所であっても、片方に番地 が書いてあって、片方に番地が書いてないとか、あるいは、事業所の表記の漢字が違っ ていることでも、不一致と出てまいりますので、10万事業所がすべて労働保険が適用 されていて社会保険が未適用とは必ずしも限らないわけですが、少なくとも、母数とし てそれだけのことが考えられるので、これは、例えば、住所表記が違うとか、名称が違 うということなのか、それとも、実際に行って見て、本来適用すべきなのかどうかとい うことを順番に潰していくように指導しているということです。ご指摘の点を踏まえて 計画的に順番に解消していくように努力していきたいと思います。 ○十菱企画課長  社会保険センターについてのお尋ねですが、社会保険センターは、大体各県に1か所 ありまして全国に49か所です。職員は、多い所で10人ぐらい、少ない所で5〜6人で す。従来の社会保険センターに対する委託費は、健康づくり事業、生きがいづくり事業 ということで、一律に2千万円の委託費を出していました。これが平成14年度までの姿 です。平成15年度予算案では、これを廃止して、健康づくり事業の方に振り替えたとい う経緯です。 ○村上委員  私は、事業を起こし、申請をすれば、政管に入れると思っていたのです。強制が5人 以上であることは、分かっています。また、形態でも若干違うのは、分かっています。 でも、申請しても何故入れないのか。  それと、もう1つは、悠長に言ってもらったら困るのです。倒産をした時は、高木委 員はいつも怒るのですが、税金と社会保険をごっそりきれいに持って行って、賃金も残 らないというわけです。普段からちゃんとやっておいてもらわないと困るわけです。倒 産の時だけしっかり持っていくのでは困る。しかも、未適用というのは、働く者にとっ ては相当負担が重いのです。いつ終わるか分かりませんが、計画も作りませんでは、と てもじゃないけど保険者機能も発揮していないし、ちゃんと法律に基づいた徴収ができ ていない。それでは、社会保険は成り立たないわけでしょう。どんどん減っていますと 言うだけでは困る。そこは、是非お願いします。  ついでに聞きますが、社会保険庁の業務効率化・事務合理化、これで私は今日ものを 言いますよと言ったのは、この業務効率化によって費用と人員が減るとか、その人員は こういう所に使いたいということがあるはずです。それを出してくれと言っているのに 全然出て来ない。今日全部聞いたら面倒ですから、後で資料を全部ください。何のため に効率化をやるのか、効率化の効果が分からないではないですか。これは、ちゃんと数 字で出してくれなければ、日本語だけでは何をやっているのか分からない。 ○高木委員  全体に感覚的なものかもしれませんが、この事業計画なるものを拝見していて、社会 保険料の徴収権、それぞれ法律でちゃんとそういう権能が得られているのかもしれない が、最近、この徴収権とは、そもそもどういう類の権利だということについて、いろい ろな議論があるのです。  今出たように、例えば、未払い賃金があるにもかかわらず、租税公課のような次元で 未払い賃金の前に社会保険料を社会保険事務所が引き上げていく。それで未払い賃金が 支払われないというポジションに社会保険料なるものはあります。これは、税の源泉徴 収制度との関わりに、今、便乗している仕組みだろうと思うけれども、人様の財布から 物を抜いていくわけだから、お金をとっていくわけだから、それを代行して企業が徴収 をして社会保険事務所に納めておられる。  経営者にも言っているのですが、あなたも手数料ぐらいもらってこいと、私たちはち ょっとしたことを言っても全部手数料を払っているよと、口座振替ひとつだけで今105 円の手数料を取られているよと。そういう意味では、徴税コストとの兼ね合いとか、集 金コスト、収納コストとの関係はあるけれども、そういうことも含めてこの書き方を見 ていると、失業の懸念のない公務員の人たちがお上意識で金集めをやろうという、そう いう発想で作るとこういうものが出来るのではないかという感じがしてならないわけで す。  そういう意味では、社会保険料の徴収権というのは、そもそもどういう権能、あるい は、どういう哲学を背景に権利形成がされているのかと、その辺のところまで一度遡っ て議論をしてみる必要があるのではないかと、最近はそのようなことも感じることが非 常に多いのです。これは、返事は要りませんが、そういう議論についても一度勉強をし てほしいなと思います。よろしくお願いをしたいと思います。  労務債権より先に持って行かれるのは、どうかなという気がしてなりません。明日の 生活の糧がない、要するに、未払い賃金の状態を解消できない。賃金の支払い確保に関 する法律で、立替払いをしてもらう手続をする前に、社会保険事務所が持っていくもの だから、どうしようもない。そういうルールになっているから持って行くのだといいま す。今、村上氏もちゃんと取るところはちゃんと取れと言ったような側面もあるけれど も、倒産して社会保険事務所に払わなければいけないから、あなた方に払うものはない と言われた失業労働者は、どんな思いで社会保険を見ているかということをもう少し考 えてくれないとたまりません。公的サービスとの兼ね合いだろうと思います。  もう1点、社会保険労務士法では、社会保険労務士にこういう仕事をしてもらうのは 、法律上問題はないのですか。 ○神田医療保険課長  お答には必ずしもならないかとは思いますが、労働の対価の債権と、税とか、社会保 険料の強制徴収権との関係について、今、法務省で賃金債権を一定の範囲で税や保険料 との関係で保護することができないかという観点から、検討が行われているものと承知 しています。その中で、今、委員のご指摘のあったような一定の範囲では、やはり賃金 債権に優先順位を与えるべきだ、という議論がされていると承知しています。 ○村上委員  企業をつくって、自分の所から申請にいったら、何ではねられるのですか。 ○神田医療保険課長  私どもとしては、新規の事業所等については、個別に説明をしたり、法務局等に社会 保険についての説明用のパンフレットを置いたり、今、申し上げた説明会等で周知をさ せていただいているつもりですが、こちらの方で受け付けないということはないと思い ますので、もし個別案件であれば、そこはきちんと対応します。 ○村上委員  投書が出ていたと高梨さんは言っているではないですか。 ○神田医療保険課長  個別にあれば、きちんと指導させていただきたいと思います。 ○村上委員  あるから投書が出たのでしょう。ないところに投書が出るわけはないでしょう。わざ わざ金を払いたいと言って行ったのに、はねられたという話ですから。 ○神田医療保険課長  事実関係を詳細に把握しないといけないと思います。問題があるものについては、き ちんと対応していきたいと思っています。 ○村上委員  一般論としては、人数が満たなくても、企業をつくって、申請をすれば、受け付ける のでしょうね、と私は質問をしているのです。 ○神田医療保険課長  当然のこととして、個人事業所であっても任意適用されるわけです。 ○村上委員  出先が変なことばかりやっているから、私はあちこちから文句を言われているのです から、しっかりしてください。医療保険制度の運営効率化のいろいろなお金の関係、人 の関係、これは後でくれますね。返事がないのですが。 ○十菱企画課長  効率化の効果ということで、人目、金目でどれだけかというご指摘だろうと思います。 このようなご指摘は受けるわけですし、また、何とか定量化したいと試みていますが、 なかなか説明するようなものにまとまらないというのが現状でして、また別途ご相談さ せていただきたいと思います。 ○村上委員  民間だとこれをやったらいくらというのはすぐ出るのですが、なぜ出ないのですか。 ○十菱企画課長  例えば、電子申請、電子政府を今年の10月から実施するという事例をとりあげれば、 電子申請をすることによって、これが100%実施された場合に、例えば、入力業務がこ れだけ減るから、この分が効率化されるというような、限られた前提での仮定計算にな ってしまうわけです。電子申請が最初からどれ位進むだろうかというのは、前提の立て 方によりまして、それは大きく変わってきてしまいますし、計算できる部分、できない 部分といろいろありますので、なかなか難しいということです。 ○村上委員  それでは分からない。計量できないなんて信じられない。 ○吉田委員  いろいろご意見が出ていますが、今、村上委員が言われたような数字で検証するとい うことは、非常に大事なことだと思いますので、是非お願いしたいと思います。まず、 この懇談会をやらせていただいて、ずっと同じ議論の中で、いくつかのことはやはり皆 さんが思っていた方向にいきました。例えば、社会保険病院についても、そもそもその 病院が生まれた時の考え方から、医療過疎地みたいなところでそういうものを作ってと いうようなところから、だいぶ離れた方向になって、非常にたくさん病院が出来ました 。それを増強とは言いませんが、そういう時期があったということです。  頂いた資料を読ませていただきましたが、今度のご意見のとおり、また1つ新しく品 川の病院が、新聞で読んでいるだけでそのバックのことはわかりませんが、ああいう方 向で進んでいる。大変これも社会保険庁さんがご努力されているのではないかと思いま す。  あと、非常に難しいと思われていた医療費の通知をほぼ100%、これから行うという ことも、医師会の関係とかいろいろなことで大変だったと思いますが、実施できるとい うことで、ご努力されていると私は思います。  あと、社会保険と労働保険の徴収事務の一元化で進んでいっていただけるということ も書いてあるのですが、是非そういう方向で進めていただきたいのです。今、村上さん もおっしゃったように、やはりそういうものは数字で検証できる。例えば、こういうこ とをやることによって人員がいくら減る、そういうことで組織をこうして、新しい電子 云々でこういう設備を作って、こういうシステムを作るのには、これだけの人間がこれ だけの年数がかかる、そういう具体的な計画というのは、民間であれば当然あるわけで すから、是非お示しいただきたい。何年か経って、そのとおりじゃないではないかと言 われることもありますが、やはり1つの目標を具体的な数字で管理していただくことを ご検討いただけたらと思います。  生活習慣病予防健診が社会保険庁の事業の中で非常に大きな位置を占めており、今後 ますます重要になるということはわかりますし、予算が増えていくことについても、異 存はありませんが、その効果の検証について、前にも議論したことがありますが、なか なか難しいことはよくわかりますが、十分に効果を検証していただきたい。これだけの 費用をかけてこういう結果だということを検証して発表していただきたいと思います。  いろいろご意見がありますが、私どもとしては、3割負担についても、国の財政全体 が大変な時期で、少子高齢化の時代ですから、あらゆる人たちがあらゆる努力をして、 忍び難きことも忍びながらやらなければ、譲り合いながらやるしかないのではないかと 思います。私どもは、3割負担はやむを得ない、そして、この予算案のとおり、皆の健 康確保のためにご努力願いたいということです。以上です。 ○稲上座長  予定している時間が過ぎかねないので、もう1つお手元の参考資料について簡潔にご 説明いただきます。 ○渡辺企画課長補佐  参考資料について説明させていただきます。前回の運営懇の際に、医療保険制度の運 営効率化については、昨年9月段階における厚生労働省としての考え方をまとめたもの を説明いたしました。昨年12月25日に厚生労働省としての方針がとりまとめられたと ころですので、それについて簡単に説明いたします。  2頁、まず社会保険病院の在り方の見直しについてです。社会保険病院は、健康保険 法に基づく保健福祉事業の一環として整備され、一定の役割を果たしてきたところです が、今般、政府管掌健康保険の厳しい財政状況等を踏まえ、その在り方について抜本的 な見直しを行うこととしたものです。基本的な考え方としては、今後社会保険病院の施 設整備について、基本的には保険料財源を投入しないことを前提として、それぞれの病 院の経営状況を評価し、その改善を促す措置を講じるとともに、合わせて経営方式の見 直しを行うことなどを進めます。  次に、施設整備の在り方です。保険料財源による施設整備は、現在工事中のものが終 了した時点で、基本的には行わない。ただし、新方式への円滑な移行を図る観点から、 一定期間の経過措置をとることとしています。保険料財源による施設整備を行わなくな ることから、今後施設整備はそれぞれの事業収益により実施することを基本とし、その ための資金調達の方策や、収益性は劣るが地域医療に重要な役割を果たしている病院へ の支援策の在り方を検討することとしています。  経営方式の在り方について、現行の社団法人全国社会保険協会連合会への一括委託方 式は、経過措置期間の平成15年度から17年度までを経て終了し、それぞれの病院の経 営改善状況を評価した上で、新しい効率的な経営方式に移行することとしています。4 頁、なお経過措置期間中であっても、新しい経営方式への移行等が適切な病院について は、迅速に対処することとしています。今後の経営方式としては、民法法人等公益性の 高い法人への経営委託を中心に検討を進めることとしています。  新しい経営方式への移行への手順についてです。まず、それぞれの病院に平成15年度 を初年度とする3か年計画の「経営改善計画」を策定させることとしています。全社連 の改革については、経過措置期間において全社連の業務及び組織について、ここに書い てあるような見直しを求めることとしています。5頁、社会保険病院の整理・合理化計 画の策定についてです。各病院の経営実績を評価し、単独で経営自立ができる病院、単 独での経営自立が困難であるが、地域医療にとって重要な病院、その他の病院に分類し ます。その上で@及びAの病院については、基本的にはそれぞれの経営状況等に応じた 新しい経営形態への移行等、Bの病院については統合・移譲等を検討し、平成18年度に おいて整理合理化計画としてとりまとめることとしています。  6頁、社会保険庁の業務運営の効率化・事務の合理化についてです。厳しい経済状況 のもとにおいて的確な適用と保険料収納の確保、医療保険者機能の強化、年金相談の効 率的実施と裁定事務の迅速化が求められているところです。7頁、そのため業務の運営 方法を見直し、情報処理技術の活用などにより徹底した事務の効率化・合理化を図り、 職員を対人サービスの業務にシフトさせ、これらの課題に取り組むこととしています。 具体的な内容は、以下7頁〜10頁にあるとおりです。後程ご覧いただければと思いま す。  最後に11頁、社会保険と労働保険の徴収事務一元化についてです。社会保険と労働 保険の徴収事務一元化については、インターネットを利用し、事業主が保険料徴収関係 の届出を含め、社会保険と労働保険の各種届出を一括して行うことができるようにする こと、また社会保険、労働保険徴収事務センターの設置などを、今後進めていくことと しています。こちらも具体的内容については、以下11、12頁にあるとおりですので、 後程ご覧いただければと思います。簡単ですが、以上です。 ○稲上座長  あまり時間がありませんが、ご質問、ご意見がございましたら、いただきたいと思い ます。 ○村上委員  これも、先程言いましたように、数字を出してください。 ○城戸委員  参考資料の6頁(2)の保険者機能の強化というのは、そちらではどのように考えて いらっしゃるかということです。  もう1つ要望があるのですが、これは、確かに政管健保の運営懇談会ですが、他の健 康保険制度との入ったり出たりがありますね。そのことによって被保険者数などが変わ りますから、組合管掌健康保険が政管に変わるとか、それから、政管のところが国保に 移るとか、そういうことがありますので、健康保険制度全体の中での位置付けについて 最初に説明していただけると、大変助かるのですが。 ○神田医療保険課長  保険者機能の強化についてですが、先程あったように、効率化した部分を対人的なサ ービス、年金相談等や保険者機能の強化の方に重点化をするということです。具体的に は、医療給付の適正化ということで、8、9頁のように、レセプトの内容点検の充実と か、医療費通知や被保険者証のカード化、資格確認システムの導入とここにあるような ことを進めます。例えば、資格確認システムを入れることによって無資格の受診を減ら すといったことで医療費の適正化を図る、内容点検、レセプトの内容について縦覧点検 をし、請求をチェックするといったようなことなどに重点を置いていきたいと考えてい ます。 ○城戸委員  その内容点検というのは、誰がするのでしょうか。 ○神田医療保険課長  全国56か所にレセプト点検事務センターというものがありまして、そこにレセプト 点検調査員ということで、通常は、レセプトの内容に精通している、請求事務等の経験 のある方を嘱託で雇い上げていまして、その方々がチェックをします。今回、ここにあ るのは、従来は紙ですので、特定の医療機関とか特定の被保険者の方のレセプトの抜き 取りに非常に手間がかかっていたのですが、画像として電子媒体で保存することによっ て、特定の方のレセプトや特定の医療機関のレセプトの抜き取りが非常に容易になりま す。そういったところにかけていた労力というものを、中身の点検の方に重点的に振り 向けるようにして、その実質、先程の目標にもありましたが、被保険者1人当たりの点 検効果額を前年度より大きく上回るような形で伸ばしていきたいと考えています。 ○城戸委員  そうすると、そのときのレセプト点検の内容というのは、新しく書かれている保険者 機能の強化のところのどこに反映するわけですか。 ○神田医療保険課長  保険者機能ということでいいますと、適用して保険料を収納するというのが、保険者 機能の1つの基本的な役割かと思います。それから、支出面で言いますと、今申し上げ たような不正な医療費の支払いがされないように、診療報酬のルールに則って支払いが されているかどうかをチェックするというのが、保険者として最も基本的な役割かと思 っています。今申し上げたような内容点検の結果、不正な医療費の支払いがありますと 、審査支払機関である支払基金の方にレセプトを返戻するわけです。そこで再審査が行 われ、私どもの指摘している点が正当であれば、医療費の削減が行われるという形で、 保険給付費の減に結びついていく、ひいては、それが被保険者の方々の保険料負担の軽 減にもつながっていくということになろうかと思います。 ○城戸委員  全国1本でやり続けるということですね。 ○神田医療保険課長  レセプト点検事務センターというのは、既に各県ごとにやっています。 ○城戸委員  それは結構です。最終的には、支払基金に戻してそこで。 ○神田医療保険課長  支払基金も各県に支部がありますので、全国1か所でやっているということではなく 、各県に審査のための委員会があります。基本的には、県単位で審査が行われていると いうことです。 ○城戸委員  今度、都道府県単位になるとすると、保険者というのは、都道府県と促えてよろしい ですか。 ○神田医療保険課長  先程申し上げたように、都道府県単位での財政運営ということは、保険者としては一 本ですが、今、お示している試案は、保険者努力として、レセプト点検をして医療費を 減らす、あるいは、一生懸命保険料の収納率を上げるということがあれば、それが地域 の医療費の反映と相まって、その地域の保険料率が下がり、都道府県別の保険料率に反 映されることによって、今申し上げたような地域別の努力というものを十分引き出すよ うな形にしていきたいということで、ご提案申し上げています。  都道府県に分割移譲するということでは必ずしもありません。都道府県に分割移譲す れば、当然のことながら、今、厚生年金と一体的な事務処理をしているわけですが、国 と県というふうに保険者が異なってくれば、一体的な適用とか収納をしているところを 別々に事務負担しなければならないという問題が出て来ます。会計も、今は国で1本で すが、県別に出納や予算、決算を全部すれば、会計職員の負担というものも出て来ます 。今、全国一本のオンラインシステムで社会保険事務所から入力をすることによって事 務処理しているわけですが、都道府県に分割すれば、当然個別にシステムを組むという ような費用負担の問題が出て来ます。その点は、今後3月に向け議論していく中で、よ くご議論いただきたい。良い面、悪い面が当然あると思いますので、私どもも実情を申 し上げ、ご意見はご意見として承りながら、基本方針が取りまとめられてくると認識し ています。 ○村上委員  今のことに関係し、最後に言おうと思ったのですが、私は、大変不満に思っているの です。私ども理事者側に入る労使の代表が政管について意見を言う場は、ここしかない のです。にもかかわらず、厚生労働省試案なるものが示されて、私どもは、別途大臣か ら簡単に、まさにちゃんとした意見を言う暇もないぐらいの時間しか与えられませんで したが、簡単な意見を言う場がありました。しかし、なぜ今日ここに出て来ないのです か。政管の将来の姿もかかわってきますし、いろいろな医療保険制度が変われば、政管 にもいろいろな影響があるわけです。こういう場があるのに、あれを出して来て、皆さ ん方の意見はないのでしょうか。政管自身の大改革の案も出ているわけです。ここは、 皆さん方が決まったことを単に報告を受けて、それに意見を言って、また同じことが毎 回繰り返される、こういう場なのです。 ○神田医療保険課長委員  ご指摘のように、この場で制度改革案を説明して、ご意見を伺うということも検討し たわけですが、実は、今回、3月に向けて意見取りまとめをするということで、時間が 非常に短い中で、大臣が直接その関係団体の代表の方々と意見交換をして、与党等と調 整して取りまとめをしていくということで、主要な関係団体の方と直接大臣が意見交換 をされたという経緯があります。厚生労働省として言うと、既にそれぞれの団体のトッ プの方と意見交換をされている状況の中で、そういう意味では、その意見は大臣に直接 伝わっています。今、ご意見はたくさん頂きましたが、ここで改めて議題として説明す るということではなく、今回の意見集約を進めていく方法との関連で、ここであえて取 り上げることにはしなかったという経緯です。 ○村上委員  経営者団体は、日本経団連だけだったでしょう。日本経団連の会員さんも、確かに中 小企業もおられます。しかし、中小企業の方々は、ほかの所にたくさんおられるのです 。ここには、中小企業団体の代表の方もおられるわけです。勝手に大臣が決めて、それ でいいと言うものではないでしょう。何のためにこの場があるのですかと私は言ってい る。理事者が入れるのは、ここしかないのですから。関係者の意見をきちっと聞く、大 臣に伝える、この場でこれがありましたと伝える。問題については、まだ言いたいこと があるのですが、近日中にそれについてここで議論する場を作ってください。 ○高木委員  だから、政管の被保険者の意見を誰が代弁して、それをどういう場で議論に通してい くか。その問題が常について回るわけだから、今の村上さんの議論は、そこに根っこが あるのだろうと思います。  ですから、今、私も社会保障審議会委員を仰せつかっているけれど、審議会は大分変 わってしまったが、今の都道府県単位の財政運営とか、場合によっては、料率のそれな りの議論は、どこでどの程度突っ込んで今されている話なのか。  どこか被保険者が全然関係ないところで決まって、ある日紙切1枚が来て、これだけ の保険料を払ってくださいと、今度からボーナスからも保険料取られますよと、そうい うことの繰り返しで、社会保険事務所と関わりがあるなら、この前ちょっと申し上げた けれど、代表が野球大会のくじ引きに行く位です。そんなことで、いわゆる政管健保に ついても、私たちのものだという意識もないし、そういう意味で、私など知らない所で 、誰かが決めて回しているものだということに、受け止め方がなってしまうのではない か。同じことばかり言っていますので、もう疲れました。  ただ、吉田さんのさっきの話に一言だけご注意申し上げておきたいのです。さっきの 3割結構です、決まったから、今更ひっくり返らんから結構ですとおっしゃっておられ るのか。それはともかくとして、横に高梨さんもおられますが、最近、経営者の皆さん は、会社の懐が痛むのは何でも嫌だと言います。それは分からないでもない。会社が1 人ひとりの労働者に渡した後の本人たちの口座なり財布から抜いていくのは、どうぞご 自由にと、そんな傾向がちょっとあるように思えてなりません。もしそんなアプローチ なら、もう一歩事業主負担と個人負担の配分比率を変えてもらう要求を出します。昔そ ういうことがいろいろありましたし、現にすごい会社、今だに会社側が6割、7割出し ておられて、本人は3割、4割でいいという所もあります。中小企業は、そんなことあ りますか。そういう意味では、大企業で成熟の良い会社にいる人は、ハッピーな面がい ろいろあります。渡した後の懐から抜くのは自由だなんていう発想は、ありませんよね。 ○吉田委員  全くありませんから。 ○中西座長代理  保険制度の在り方というような大きな話ではないのですが、被保険者証のカード化に 絡んで、カード化自体は非常に結構な話だと思います。 政府管掌健康保険の被保険者というのは、資格の得喪、あるいは、資格の変更が非常に 頻繁に起こるわけです。  実は、それに伴って、資格を有していないにもかかわらず、手持ちの保険証、要する に、保険者に返却していない保険証を使用して、あるいは被扶養者のまま受診するとい う事例が相当数あるのです。その結果、医療機関としては、請求をしても、保険者から 門前払いをくらって、その収入が入って来ない。その人は本当はどこの被保険者なのか ということを探さなければならない。審査支払機関も同様です。その結果、大変な労力 と手間がかかっているということです。 できるだけ早く、資格確認システムの導入について、これはカードリーダーがあろうが なかろうが、今の医療機関は皆手元にコンピュータが入っていますので、うまくネット ワーク化すれば、チェックできる仕掛けが築き得るだろうと思います。  他方、各人1枚ずつカードを渡すということになりますと、これは、カードの回収漏 れがかなり出てくる可能性もあると思います。ますます資格外受診が増えるのではない かという心配をしています。 ひとつ、ICカードはICカードとして、資格確認システムの導入について急いでいた だきたい。これは要望です。 ○磯部運営部長  最後に、御礼を申し上げたいと思います。いろいろと貴重な、また、大変厳しいご意 見を頂きました。政管自身は、私としては、諸外国の制度とか国内の他の制度と比べて も、相当効率的に運営している部分が多いのではないかと思っておりますが、いろいろ なご批判もあり、今後なお一層努力していくべき部分もあろうかと考えています。  ご意見の中で、社会保障経費全体の持ち方というようなお話も伺いましたが、国会の ご審議に委ねられる部分もあろうかという点と、それから、審議会の在り方自身もここ 数年相当変わって来ていますので、その意味でどういう対応をしたらいいかというのは 、今後十分検討させていただきます。特に、医療保険制度については、今保険局を中心 に制度の基本方針を固めつつありますので、今日のご意見については、十分保険局の方 に伝えたいと考えております。どうもありがとうございました。 ○稲上座長  まだご意見はおありになるかもしれませんが、時間を大分過ぎております。ご熱心に 討議をしていただきまして、どうもありがとうございました。本日の会合は、これで閉 じさせていただきます。どうもありがとうございました。 (問い合わせ先)  社会保険庁運営部医療保険課健康保険管理係   電話(代表)03−5253−1111     (内線)3597