02/10/08 第13回政府管掌健康保険事業運営懇談会議事録     第13回政府管掌健康保険事業運営懇談会議事録 1 日時 平成14年10月8日(火)      15:00〜17:00 2 場所 厚生労働省専用第21会議室 3 出席した委員・専門委員(敬称略)   稲上、青柳、高梨、中西、村上、山崎、吉田、佐野、武舎 4 議題  (1) 政府管掌健康保険の平成13年度単年度収支決算  (2) 政府管掌健康保険における医療費の動向等  (3) 政府管掌健康保険の平成15年度予算概算要求  (4) 政府管掌健康保険の平成15年度保健福祉事業関係予算概算要求  (5) 政府管掌健康保険の適用  (6) 政府管掌健康保険の保険料の徴収  (7) 政府管掌健康保険における被保険者証のカード化及び資格確認システム(仮称) の導入  (8) 医療保険制度の運営効率化に関する検討 5 議事内容 ○稲上座長  本日は大変お忙しい中、政府管掌健康保険事業運営懇談会にご出席をいただき、誠に ありがとうございました。ただいまから懇談会を始めたいと思います。本日は高木委員 と高野委員がご欠席ですが、その他の委員の方々はすべてご出席です。  最初に3名の委員の交替がありましたので、ご報告申し上げます。日本医師会の申出 により、菅谷委員が委員を退任され、新たに青柳副会長が委員に就任されました。また 、末次委員が社会保険診療報酬支払基金を退職されて委員を退任されたことに伴い、新 たに中西新理事長が委員に就任されました。さらに、山本委員が全国中小企業団体中央 会を退職されて委員を退任されたことに伴い、新たに山ア新常務理事が委員に就任され ました。  次に、これまで座長代理をお願いしておりました末次委員がいまお話を申しましたよ うにこの度委員を退任されましたことに伴いまして、新たに座長代理をお願いしたいと 思っておりますが、私といたしましては、皆さまに特にご異存がなければ末次委員の後 任として委員に就任されました中西委員に座長代理をお願いしたいと思いますが、いか がでございましょうか。 (異議なし) ○稲上座長  それでは中西座長代理、こちらの席にお移りいただけますでしょうか。併せて、今般 事務局の異動が本年8月30日付でありましたのでご紹介いたします。運営部長磯部文雄 さん、医療保険課長神田裕二さん、それぞれご就任なさいましたのでご紹介申し上げま す。  それでは、本日の議題に入りたいと思います。今回の議事録についても、前回同様、 後日事務局において作成して、委員の皆様にご確認をいただきました上で、公開したい と考えておりますので、ご協力くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。それ では、お手元の資料に基づき、事務局から資料1及び資料2の説明をお願いしたいと思 います。 ○田中補佐  それでは、資料の説明をいたします。資料1−1は、政府管掌健康保険の平成13年度 決算に関する資料です。1頁目は今回の決算についての分析で、3頁目が医療分と介護 分を合わせた全体の計数の整理、4頁目が医療分の計数の整理、5頁目が介護分の計数 の整理です。  それでは、1頁目から説明いたします。政府管掌健康保険の平成13年度決算は、全体 で4,710億円の赤字です。その内訳は、医療分で4,231億円の赤字、介護分で479億円の 赤字です。これにより、赤字決算は、平成5年度以降、実質9年連続となりました。赤 字額を見ると、前年度の約3倍で過去最大となっております。  1番の医療分の収支は、収入面では、現下の厳しい経済情勢を背景として、被保険者 数が平成10年度以降4年連続、平均標準報酬月額(平均の月給)が平成11年度以降3年 連続で減少したことに伴い、保険料収入が減少しております。これに対し、支出面では 、保険給付費、これは、政府管掌健康保険の被保険者と被扶養者の給付ですが、対前年 度比で234億円の増加にとどまったのに対し、高齢化の進展などを背景として、老人保 健拠出金が対前年度比で1,268億円、退職者給付拠出金が対前年度比で730億円と、それ ぞれ大幅に増加しております。その結果、前年度と比べて2,662億円の悪化となる4,231 億円の赤字となっております。  2番の介護分の収支は、平成12年度に納付の猶予を受けた介護納付金の全額を平成13 年度に納付する一方、これに相当する介護保険料については、平成13年度と平成14年度 に分けて平準化して徴収したことにより、前年度と比べて503億円の悪化となる479億円 の赤字となっております。この仕組みは、資料1−2の4頁目をご覧ください。平成12 年度より介護保険制度が導入されましたが、これに伴い、平成12年の健康保険法の改正 で介護分の保険料率を医療分の保険料率と別枠にし、毎年度各医療保険者が介護納付金 を納付するために必要な介護保険料率を設定するという仕組みに移行しました。  この法改正については、当初、平成12年7月に施行を予定していましたが、法案の国 会審議との関係で、結局、平成13年1月に施行することとなりました。これに伴い、7 月から12月までに保険料の徴収不足が生じ、これを平成12年度中に徴収しようとします と、平成13年1月と2月の介護保険料率を非常に高い水準に設定しなければならないの で、平成12年度の徴収不足に相当する介護保険料は、平成13年度と平成14年度に折半し て徴収することとしました。それをこの図で示しております。  これに対し、介護納付金については、この徴収不足に相当する911億円に関し、平成 12年度に納付の猶予を受け、平成13年度に全額を納付してしまっているということにな りますので、平成13年度は、必然的に赤字になります。 他方、平成14年度は、逆に、介護納付金の納付猶予分を払い終わっていますが、保険料 率を上乗せして徴収するということになりますので、必然的に黒字になり、平成15年度 以降は、当年度の介護納付金を賄うための介護保険料を徴収する、という通常の取扱い に戻ります。 その結果、資料1−1に戻りますが、全体の単年度収支差が対前年度比で3,165億円の 悪化となる4,710億円の赤字になったわけです。  平成13年度末の事業運営安定資金残高は、全体で前年度と比較すると、1,654億円減 少し、5,071億円となっております。単年度収支の赤字額は、4,710億円ですが、これに 相当する分だけ事業運営安定資金が減少しない理由は、平成13年度において計2,885億 円の国庫補助繰延の残額の返済があり、これを事業運営安定資金残高に計上しているこ と等により、単年度収支差との違いが生じています。  資料1−2は、ただいま申し上げた資料1−1の決算の計数を抜き出して分かりやす く整理したものです。説明は省略しますが、参考にしていただければ幸いです。 ○安部数理調査室長  続いて、資料2の説明をします。1頁目は被保険者数、そして平均標準報酬月額の4 月から3月の平均数値及び伸び率です。被保険者数は、平成13年度比マイナス0.8%で 、12年度に比べ0.5ポイントほど低下しております。平均標準報酬月額は、平成13年度 比マイナス0.2%で、平成12年度はマイナス0.4%ですから、こちらは0.2ポイントほど 戻している状況です。  2頁目は、加入者1人当たりの医療費及び給付費の各月の伸び率をグラフ化したもの です。特に制度改正がない場合は、医療費と給付費がほとんど同じような伸びをしてお り、実線が医療費で点線が給付費となっております。医療費は、13年度は各月稼働日数 とかインフルエンザの流行状況などで凸凹がありますが、13年度を平均するとプラス 1.8%の伸び率となっています。14年度に入り4、5、6の3か月分を計上しておりま すが、4月がマイナス2.2%、5月がマイナス3.0%、6月がマイナス5.2%の伸びにな っております。月を追うごとに下がっているように思われますが、これは稼働日数の影 響があり、4月は稼働日数が1日多く、5月はプラス・マイナス・ゼロ、6月は1日少 ないという影響です。  一般の被用者保険の場合は、1日稼働日数が変化すると、大体2.8ポイントぐらい影 響があると言われており、それを考慮すると、4月が大体マイナス5%ぐらい、5月が マイナス3%でそのままです。6月がマイナス2.4%ぐらいの伸び率ではないかと考え られます。この3か月を平均すると、稼働日数はちょうどプラス・マイナス・ゼロにな りますが、3か月を平均すると、マイナス3.5%の伸び率になっています。  3頁は、入院、入院外別にグラフ化したものです。傾向的には同じで、入院外の方が 入院よりも低くなっている状況です。  4、5頁は、ご参考までに、医療保険の全体と政府管掌健康保険を並べてみたもので す。4頁が医療保険の総額、5頁が加入者数で割った1人当たりの医療費の伸び率です 。1人当たりの医療費は、政府管掌健康保険を本人、家族別に計上しておりますが、や はり4月、5月、6月と下がり幅が大きくなっていますが、これは、先ほど申し上げま した稼働日数の影響で、4〜6の3か月では、本人でマイナス4%、家族でマイナス 2.8%となっています。 ○稲上座長  ただいまのご説明について、ご質問なり、ご意見なりがございましたら、お願いした いと思います。 ○青柳委員  初めて出席いたしますので、様子も分からずにご質問させていただきます。1つお断 り申し上げておきますが、日本医師会医療担当者という立場もありますが、私どもは特 に民間医療機関、中小が多いわけでありますから、政府管掌健康保険の被保険者という 形で、私どもも実を言うと、保険料を事業主として納めているという立場でもあります 。この会では、ある意味では医療担当者だけではなく、被保険者という立場でも少しご 意見なり、ご質問をさせていただきます。  資料1−1の説明を受けましたが、国庫補助繰延返済が平成13年度にあったというこ とを追加で説明されておりました。これは私の読み違いでしょうか、たまたま予測外に 繰延が返済されたと考えるのか、予定どおりと考えるのか、それによって表現が相当変 わってくるのではないか。単年度収支ということですから、4,710億円の赤字と四角の枠 の中で表現をされているのでしょうが、受け止められ方というのは、そういう意味では この部分が非常に強調されて受け止められる可能性がある、ということをまず1つ申し 上げておきたいと思います。  3頁目の一覧表ですが、全体の収支決算の状況の中で「その他」という項目が収入に も支出にもあります。収入のほうは170億プラスアルファぐらいで、支出の項目は1,500 億強だという。これは、平成2年度からずっと経過を見ますと、大体毎年このぐらいの 規模の支出「その他」項目が出ています。もし事務局のほうで差し支えなければ、この 中身の明細を後日でも結構ですから、お示ししていただけるものであればありがたいと 考えておりますので、その点をよろしくお願い申し上げます。  もう1つは、介護財源について、1頁の中で「赤字」と表現されております。これは 、保険料徴収の仕組みが当初赤字を見越した上で設定している、と説明の中でありまし たが、これを赤字と言ってしまうのが正しいのか、そうではなくて、当初の設計通りに 進んでいるが、単年度で見るとそういう状況であるということを後で追加で説明するの ではなくて、私は、本来的に言うと、1枚目で説明しておくのが筋ではないかという気 がいたします。これも、受け止める側がその部分だけの受け止めということになります と、往々にして誤解を生ずる可能性があるのではないか。その点だけを申し上げておき たいと思います。 ○神田医療保険課長  何点かご質問もありましたのでご説明をさせていただきます。まず1点目、3頁の所 で国庫補助繰延の返済は、当初の予定どおりであるのか、予想外であるのか、また、こ れを単年度収支の外に出していることによって赤字が大きく見えているのではないか、 というご指摘ですが、実は、国庫補助繰延返済欄を今回の決算発表から設けたのは、全 体としてそういう要素があるということを知っていただくという意味で、国庫補助繰延 の返済という欄を今回から設けました。この2,885億円という部分については、補正予 算によってかなりの部分が返済されましたので、そういう意味で言いますと、13年度当 初から予定されていたというよりは、補正予算の段階で返済されたということでありま す。  3頁の「その他」の収入と支出ということですが、まず、収入は、この内訳について は、特に細かいものですので、書いてありませんが、雑入が136億円です。これは、第 三者行為求償等による収入です。また、26億円は、返納金で、保険給付の過誤払いで 返納されて戻って来るお金です。支出の1,499億円の内訳は、業務勘定繰入れが1,457億 円、諸支出金が42億円です。業務勘定繰入れというのは、業務勘定に繰り入れた事務費 の中の、物件費です。事務費の中の物件費部分については、財政構造改革特別措置法の 中で、一定の年限の間、保険料財源を充当するということになっておりますので、その 部分です。また保健事業費として、まさにこのあと説明させていただきますが、健診費 、福祉施設事業費ということで社会保険病院の整備費などが1,457億円の内訳です。諸 支出金というのは、過誤調整といって取り過ぎた保険料を返す金額で、これが42億円と なっております。若干細かいものですが、いま申し上げたのが内訳です。  3点目の介護についての赤字ですが、これは、突発的に赤字になったということでは なくて、先ほどの資料1−2の4頁にありますように、911億円は、12年度分の介護納 付金を納付猶予していただき、それを2年度間に分けて保険料として収納することにし ていた。そういう意味では、予定どおり13年度は赤字になっていて、14年度末の段階で は、ほぼトントンになろうかと思います。 ○青柳委員  いまの1,500億円弱は健康勘定から業務勘定に繰り出されたというお話で、その中身 についても概略教えていただきます。もし差し支えなければ、いま細かいと言われる数 値を後で資料として、私どものほうにいただければ非常に幸いだと思います。 ○神田医療保険課長  それは後ほどお渡しいたします。 ○村上委員  老人保健拠出金と退職者の拠出金の関係で、その分をわかるように資料を出してほし い、と言ったのですが、間に合わなかったようですが、いま手書きの資料を見ますと、 精算の分は13年と14年と減ってきていて、その減ってきている原因は何なのか。よく言 われていたのは、シーリングとの関係があって、どうしても医療費の分を抑えられるか ら、精算分が大きくなるのだという話があったわけです。介護保険が入ったことによっ て、シーリングの枠が緩和されて、最初からちゃんとした予算を組めるようになったの か、その辺は違う要因で精算のほうが減ってきたのか。その辺のところを教えてくださ い。  これは後でもいのですが、平成15年度予算概算要求との関係で、残念ながらこの前の 医療保険制度の改革によって相当我々の負担が増えてくるだろうと、退職者も、いわゆ る老人保健拠出金も、この辺はどうなってくるのか。どうも老健拠出金の算定に係る老 人加入率の上限はなくなりましたという話だけで、その影響を示してほしいと言っても 全然示してくれない。概算要求を出しているわけですから、影響が分からないで概算要 求はできないと思いますから、そこを是非お聞かせいただきたい。  もう1つは、先ほどの青柳委員からの質問にもありましたが、国庫補助繰延は全額返 済されたのですか。 ○神田医療保険課長  はい。 ○村上委員  残っていないですね。 ○神田医療保険課長  はい。 ○村上委員  ただ、本則に戻せば残っているのですよね。いつまで本則に戻さないのか疑問ですが 、いま一時的にやっている13%ということでの繰延分ですね。本則は16.4%だと思いま すが、国庫補助の問題は。  それと、事務費の別途負担の問題は、平成15年で切れると私は思っているのです。 来年のことを言うと鬼が笑うかもしれませんが、放って置くと切り下げられたままにな るのではないかと思っていますので。先ほど申し上げた国庫補助は問題であって、保険 料率が1000分の85から1000分の82に下がったときに、当分の間ということで下げた。 それで、今度は85に戻った前々回の改正のときに戻さないままきている。そして、今回 の3割負担導入だ、保険料アップだというときでも全く本則に戻さない。踏んだり蹴っ たりになっていますから、あらかじめ釘を差しておかないと間に合いませんので、申し 上げておきます。 ○神田医療保険課長  ご質問の点について、何点かお答えさせていただきます。確かに、老人保健拠出金の 精算分は、12年から13年にかけて減っております。介護保険の導入は、12年度からの導 入ですので、その精算は、14年度になります。この段階で言いますと、まだ介護保険の 影響があったからその精算分が減ったということではなく、まさに、これは、予算段階 での見込み違いと思います。  国庫補助繰延については、先ほど申しましたように、13年度補正で返していただいた もので、運用収入分も含め全額返済になりました。国庫補助率については、給付費分は 、16.4%が本則で、それが13%になっているということですが、現在の国庫状況からす ると、元に戻せる状況ではなかった、平成15年度についても、同じような状況になって いる、ということです。また、事務費の国庫負担ですが、言われるように、「平成15年 度まで」ということで、この事務費のうちの物件費に保険料財源を充当し、人件費につ いては、従来同様、一般会計から繰り入れられているわけですが、平成16年度以降、 これをどうするかということについては、今後よく財政当局と調整をしていく必要があ ると考えております。 ○村上委員  法律でやられているのですから、法律を変えない限り切れてしまうのですから、法律 を変えなければいいわけですよ。 ○神田医療保険課長  ご指摘の点も含めて、よく調整をさせていただきたいと思います。 ○稲上座長  ほかに何かございますか。ないようですので、次は、資料3から資料7までの説明を 事務局からお願いいたします。 ○田中補佐  資料3は、政府管掌健康保険の平成15年度予算概算要求の計数を整理したものです。 1頁は全体、2頁は医療分、3頁は介護分です。このうち、2頁の医療分では、平成14 年度医療制度改革により、総報酬制の導入に伴う保険料率の見直し、給付率の統一、外 来薬剤一部負担の廃止といった制度改正が平成15年4月から施行されることを前提とし 、単年度収支差を1,337億円の黒字、平成15年度末の事業運営安定資金残高を1,369億円 と見込んでおります。これは、支出の中に400億円の予備費を計上していますが、それ を支出として使用するということを前提とした単年度収支差、事業運営安定資金残高で す。仮に予備費を使用しないという仮定をしますと、単年度収支差が1,737億円の黒字 、平成15年末の事業運営安定資金残高は1,769億円となります。  3頁の介護分は、単年度収支差を5億円の黒字、平成15年度末の事業運営安定資金残 高を19億円と見込んでおります。平成15年度からは、先ほど申し上げましたとおり、そ の年度の介護納付金をその年度の介護保険料で賄う、という通常の取扱いに戻ります。 その結果、1頁ですが、全体では、単年度収支差が1,342億円の黒字、平成15年度末の 事業運営安定資金残高が1,388億円となっており、こちらも、仮に予備費400億円を使用 しないという前提に立てば、さらにそれぞれ400億円ずつ改善するということです。  資料4は、政府管掌健康保険の平成15年度予算概算要求に盛り込んだ事項のうち、主 要な保健福祉事業に関する事項を整理したものです。 1頁の生活習慣病予防健診事業については、平成14年度予算においてかなり大きな見直 しを行っております。平成14年度から、限られた財源で基本的な健診をいわば広く薄く 受診する機会を公平に確保するという観点から、従来の日帰り人間ドック等に代えて一 般健診に重点化し、ただし、40歳及び50歳の被保険者等に対しては、一般健診という枠 組みの中で、従来の日帰り人間ドックに相当する内容の付加健診を実施する仕組みを導 入しております。あわせて、C型肝炎対策の重要性にかんがみ、C型肝炎ウイルス検査 を導入したところです。平成15年度予算概算要求でも、基本的には、平成14年度と同様 の枠組みを踏襲しております。ただし、全体の被保険者数は減少しているわけですが、 高齢化に伴い、40歳以上の被保険者数の増加を見込んで、一般健診等の実施者数を拡大 する措置を採っております。具体的には、下の表にありますが、対前年度予算比で14億 円の増加となる481億円を計上しております  2頁は、高額医療費貸付事業と出産費貸付事業について整理しております。まず、高 額医療費貸付事業については、平成14年度医療制度改革による給付率の統一が平成15年 度から実施されることに伴い、高額療養費の支給対象者の増加が予想されるということ で、増額をしております。具体的には、対前年度予算比で12億円の増加となる18億円を 計上しております。次に、出産費貸付事業については、平成13年7月から実施してまだ 間もない事業で、平成13年度の実施状況を見ますと、当初予定したほどの実績が出てい ないということを踏まえ、減額をしております。具体的には、対前年度予算比で2億円 の減少となる3億円を計上しております。  3頁は、社会保険病院の整備費です。ご承知のとおり、社会保険病院の見直しが検討 の途上にあり、平成14年度と同様に新たに立替え等の工事には着手しないという考え方 の下、既に着手した工事の継続、国有財産の維持管理のために必要最小限の施設整備費 に限定して計上しております。具体的には、対前年度予算比で50億円の減少となる184 億円を計上しております。  資料5及び資料6は、政府管掌健康保険の適用、保険料徴収に関する取組みを整理し たものです。適用と保険料の徴収と申しますのは、保険者が果たすべき機能として最も 基本的でかつ重要なものと認識しております。このため、社会保険庁では、毎年度、社 会保険庁の事業運営方針を定めて各地方社会保険事務局に提示する「社会保険事業計画」 の中でも、この適用の適正化、保険料収入の確保を重点事項として位置付けております。 しかしながら、そのいずれに関しても、現下の厳しい経済情勢を背景として、現場では 非常に日々苦労しているというような状況です。  資料5に戻って、1頁の適用の状況については、近年、厳しい経済情勢を背景として 、適用事業所数や被保険者数が減少する傾向にあります。平成13年度末には、適用事業 所数が152万カ所、被保険者数が1,912万人となっております。適用の適正化に当たって の基本的な考え方は、その適用基準については、政府管掌健康保険の被保険者というの は、厚生年金保険と一体的に適用しており、具体的には、法人の事業所で常時従業員を 使用するもの、一定の事業、これは製造とか建設といった法律上限定列挙されている所 定の事業を行う個人の事業所で、常時5人以上の従業員を使用するものと、常用的使用 関係にあるかどうか、ということで被保険者資格を判断しております。  先ほども申し上げましたとおり、事業所数が152万カ所、被保険者数が1,912万人とい う非常に大規模なものを限られた人員で運営するということですので、従業員を使用す る事業主において、従業員が必要な医療や年金を受けることができるよう、社会保険に 加入し、保険料を納付するということは、法律上要請される事業主の義務と考えており ます。したがって、まずは、事業主において適正な適用を励行していただくことがやは り基本にならざるを得ないと考えております。  しかしながら、現実には、厳しい経済情勢などを背景として、社会保険制度に対する 理解に乏しい事業主が見受けられることも事実です。このため、各社会保険事務所にお いては、就労の実態を個別具体的に見る必要がありますが、こういったものに照らし、 社会保険の被保険者とすべきであるにもかかわらず、そのための手続が採られていない 者を把握する都度、事業主を指導して適正な届出をしていただくため、日々努力をして いるということです。  このような基本的なスタンスに加え、具体的取組みを3、4頁に整理しております。 3頁は、現に事業所として適用されている適用事業所で、その中の従業員に社会保険が 適用されているかどうか、これを適正化する施策です。これに対し、4頁は、実態を見 る必要がありますが、本来適用すべきなのに適用されていないという事業所に対して、 適用を促進していく施策を整理しております  まず、3頁は、適用事業所における適用の適正化を図る観点から、例えば、適用事業 所の事業主に使用される短時間労働者、外国人労働者等について適正な届出が行われな いケースが見受けられますので、そういった届出をきちんと励行するように、事業主説 明会を開催する、外国人については、7カ国語のパンフレットを作成しておりますが、 こういったものを配布することで、事業主に適正な届出を指導する、というものです。 2番目は、それだけではなく、短時間労働者など、一般的に適用漏れが多いのではない かと見込まれる適用事業所を優先して事業所調査を行う、というものです。3番目は、 解散や休業を理由とする全喪届を受け付けるに際し、これを単に漫然と受け付けるとい うことではなく、このやり方は正直難しいところがありますが、何らかの形で事業の実 態を的確に把握するよう、努力している、ないしは、これから努力していくことにして おります。  最近の取組みとして特徴的なことを申し上げますと、平成13年8月に、外国人労働者 に対する適用の適正化を図るという観点から、社会保険庁において「財団法人国際研修 協力機構」で取りまとめた「外国人実習生の受入事業所のリスト」を入手し、これを社 会保険庁から各社会保険事務所に提供し、事業所に対する調査等に活用する材料として 使っていただいております。  4頁は、未適用事業所の適用促進を図る観点から、まず第一に、関係機関にお願いを し、労働基準監督署、公共職業安定所、税務署等の窓口で社会保険の適用基準などを整 理したリーフレットを置いてもらって配布する、商工会議所等を通じてその傘下の事業 主にリーフレットを配布していただく、といったことに取り組んでおります。また、未 適用事業所を把握して加入と指導するという観点から、法人登記簿を定期的に閲覧し、 法人登記はされているが、その実態を見て適用してもいいのではないかという事業主を 見つけます。この見つけるのが非常に難しいところですが、見つけた場合には、4〜5 番目の所に書いてありますが、まずは、都道府県ごとにあります社会保険労務士協会に 協力をお願いし、未適用事業所に対する巡回説明を行っていただき、それでも加入しな いということがありましたら、社会保険事務所の職員が直接未適用事業所に対する巡回 指導を行い、理解と協力を得るように取り組んでいる、ということです。  最近の取組みとしては、平成14年9月に、社会保険と労働保険との連携を図るという 観点から、社会保険庁で、労働部局と協力をして、各社会保険事務所に対し労働保険の 適用事業所に関する情報提供をし、未適用事業所などの把握に活用していただき、必要 に応じて事業所調査をしていただく、という新しい取組みを始めております。資料には 、「社会保険」と書いてありますが、具体的には、厚生年金保険の適用事業所に関する データと雇用保険の適用事業所に関するデータを機械的に突合し、郵便番号、名称、所 在地、電話番号の4項目に着目し、全部又は一部が一致しない事業所のリストを作成し 、これを社会保険事務所に送付する、ということをしています。これは、あくまでこれ を基に実際の事業所の実態を見ていただくということであって、雇用保険との間では、 適用基準が違いますし、4項目に着目していますので、住所の表記の仕方が違うといっ たものも含まれてしまうという難しさがあるのですが、こういった取組みを始めていま す。  資料6は、我々としては、適用と保険料の徴収を一体と考えており、適用の適正化を 図るばかりでなく、保険料を確実に徴収しないと、保険料をきちんと納付する事業主の 方々との不公平を招く恐れがありますので、適用の適正を図った上で、保険料を確実に 徴収することが重要と認識しております。  1頁は、現状ですが、保険料収納率は、平成2年度には、99.3%と相当の高水準に達 しましたが、その後、厳しい経済情勢を背景として、低下する傾向にあり、平成13年度 には、96.9%となっています。ただし、その年に徴収決定をしてそれが取れたか取れな いかという現年度分と、前年度以前に徴収決定をしてそれが取れているか取れていない かという過年度分に分けて、分析をしますと、現年度分に関しては、つまり、新しく発 生するものについては、過年度分と比較すると、落ち込みが小さく、ほぼ横這いとなっ ております。現下の非常に厳しい経済情勢の中で、社会保険事務所の現場において最大 限に努力した成果と考えております。  その上で、現在の保険料収納の対策を2頁目に整理しております。1点目、2点目は 、従来からですが、口座振替を促進するなど、事業主に対して納付期限内の納付の励行 を指導します。滞納が始まったときには、勿論これは個々にいろいろ相談を受けて納付 計画を出してくれるかどうかなど、事業主の方々の対応にもよるわけですが、滞納が長 期にわたることにより、保険料納付が一層困難にならないよう、督促や差押といった滞 納処分を適正に実施することに取り組みまして、滞納の長期化にならないように努めて いるところです。  そのほか、基本的に徴収事務は社会保険事務所の仕事ですが、都道府県単位の地方社 会保険事務局で社会保険事務所をバックアップする体制をとり、この連携により徴収体 制の充実を図るよう取り組んでいるところです。  資料7は、先般公表し、本日の懇談会でも参考資料として配付しております、社会保 険庁の業務効率化、事務合理化に関する厚生労働省案の中にも織り込まれた事項の1つ で、最も話題になった事項の1つですので、ここでご紹介をしております。こちらは、 被保険者証のカード化、資格確認システムの導入に関して現時点での考え方を整理した ものです。  1頁目の被保険者証のカード化については、健康保険等の被保険者証に関しては、全 体として、被保険者の利便性などを図る観点から、平成12年12月に中央社会保険医療協 議会の了承を得て、平成13年4月から健康保険法施行規則等の一部改正を施行し、従来 の被保険者のみに世帯単位で交付する紙の様式に代えて、被扶養者も含めて個人単位で 交付するカードの様式を導入しております。具体的にこれをいつ切り替えるかについて は、各保険者において被保険者証の更新時期、財政状況がありますので、それらを考慮 して順次実施することになっております。  2頁目は、カードの様式です。これは、省令で定められておりますが、参考に添付し ましたので、ご覧ください。左側が被保険者用、右側が被扶養者用です。  1頁目に戻りますが、これを受けて、政府管掌健康保険においては、平成15年10月以 降を目途に順次実施することを予定しております被保険者証の更新に合わせて、被保険 者証のカード化を実施する予定です。その媒体は、磁気ストライプカードとし、後で説 明する資格確認システムに対するアクセスキーとなる情報、例えば、被保険者証の記号 番号、保険者の番号といった情報を収録する予定です。  3頁をご覧ください。資格確認システムの導入です。1つ目の○は、現在、レセプト 点検調査の中で、被保険者資格を喪失した後に受診したという事実が分かったことを理 由に、多数のレセプトを保険医療機関に返戻している、という現状があります。これを 抜本的に改善し、効率化を図るという観点から、平成16年度を目途に、保険医療機関の 窓口で患者の受診資格の有無を即時に確認することができるようなシステムということ で、資格確認システムを導入する予定です。  2つ目の○は、資格確認システムの導入については、各保険医療機関の任意とします が、いくつかのアクセス方法を用意する予定です。磁気ストライプに収録されたデータ を読取機で読み取るという方法のほか、券面に記載されたデータを既存のシステム、パ ソコンのキーボードで入力するといった方法も可能にする予定です。  4頁は、概念図を示したものです。右側ですが、社会保険庁で「社会保険オンライン システム」を稼働しております。ここには、被保険者資格等に関する記録を全国一元的 に管理しており、このうち、受診資格の確認に必要な情報を取り出し、別途、「資格確 認システム」を構築して、情報を入れ、そこに保険医療機関からのアクセスを可能にし て、瞬時に受診資格を確認することができるようにする、というシステムになっており ます。 ○稲上座長  どうもありがとうございました。資料3から7まで一括してご説明をいただきました が、ただいまのご説明について、ご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。 ○青柳委員  資料3の説明ですが、おそらく前年度に「平成14年度の予算」ということで出ていた から、それを頭に入れれば分かるのだろうと思いますが、残念ながら今日は「平成13年 度の決算」と「平成15年度の概算要求」の部分しか出ていませんので、ちょっと確認を させていただきたいと思います。平成13年度の決算で、事業運営安定資金残高が5,526 億という数値が出ています。それで、資料3の医療分を見ますと、平成15年度末の事業 運営安定資金残高は1,369億円の見込みですという数値が出ています。そうしますと、 平成14年度の中で拠出金等で4,200億の事業運営安定資金が使われるというそういう単 純な計算でよろしいのでしょうか。この辺、平成14年度部分の説明資料が欠落している ので、数値を合わせるだけしか私としては言いようがないのでありますけれども。  資料3の2頁目に、全体でもいいですし、医療分でもいいですけれども、平成15年度 末の事業運営安定資金残高がそれぞれ「1,300億円台」というふうに書かれてあります が、今日ご説明いただいた平成13年度末の決算では5,000億を超えているわけです。 それはどういうふうに考えればいいのでしょうか。 ○田中補佐  お答えさせていただきます。まず、平成14年度としては、これは平成13年12月に平成 14年度予算を編成しているわけですが、この予算の段階では、医療分で単年度収支差を 6,321億円の赤字、平成14年度末の事業運営安定資金残高を5億円と見込んでおります。 ただし、この時には、まだ13年決算が出ていない段階です。平成15年度予算概算要求を する段階では、これは例年やっていることなのですが、事業運営安定資金残高の推移を 直近まで見ることになります。それで、平成15年度予算概算要求をするに当たっては、 平成14年度末の事業運営安定資金残高が医療分で32億円になると見込んだ上で、平成15 年度の予算概算要求をしているということです。 ○青柳委員  そうであれば、あなたの今までの説明は、説明責任を果たしていないということにな るわけですから、我々に分かってもらおうということで説明するのであれば、その部分 を我々に説明してくれないと、頭の中がこんがらがってきますので、そういう意味です。  もう1つ質問をさせていただきたいと思います。資料6の政府管掌健康保険の保険料 徴収の問題ですが、おそらく非常にご苦労されているのだろうと思います。一方では、 市町村国保の未収金という問題が非常にクローズアップされてきていますし、この政府 管掌健康保険においても、単純に計算しますと、平成13年度、例えば未収金のパーセン トが3%としますと、1,900億円弱になるのですね、保険料収入の総額に計算をします と。もちろん毎年度でありませんから、そういう計算は必ずしも当たっていないと思う し、また、いま説明がありましたように、現年度分で言いますと、1.2%でありますか ら、毎年度とすると、800億円。私どもの考えとしては、そんなに小さな額ではないの ですね、結構な額になるわけです。  例えば、平成13年度決算書の中には、これはどこに表現されているのでしょうか。 表現はされていないのでしょうか。 ○神田医療保険課長  決算との関係でありますが、決算の保険料収入の決算額というのは、あくまでも収納 率の結果として収納できた保険料収入が計上してあるということです。収納できなかっ た分ということで計上してあるということではありませんで、あくまでも、この収納率 の結果を前提に決算として収納できた部分が計上してあるということです。 ○青柳委員  そうすると、我々としては、全額の保険料収入の数値を見たときに、必ず説明資料を 参考にしなければ、実際予想された総収入といいますか、保険料収入額は出てこないと いうことになるのですね。各年度によって少しずつ数値が違う部分もありますし、やは り説明資料としてそれで十分かというと、我々には分かりづらい部分なのですけれど。  ほかの保険財政といいますか、保険者の決算、例えば市町村国保の決算方法論と全く 同じ方法論をとっているのでしょうか。私どもは、市町村国保に関してはある程度明確 に、しかも未収金額まで捉えられるような財務諸表になっているという理解はしていま すが、その辺をお聞きしたいと思います。 ○神田医療保険課長  国保の状況は、ちょっと確認をしてお答えをさせていただきます。予算段階との差は 、当然あろうかと思います。当然予算の段階でも、100%収納ということではありません。 一定の収納率を前提にして予算を組んでおりますので、要は、予算段階で見込んだ収納 率との格差分、確かに100%収納できたことを前提にしますと、言われるような額が足 りないということになるわけですが、予算段階で見込んだ収納率との差ということでい えば、いまご指摘のあったほどの額になるということではないと思います。 ○青柳委員  これはどういうふうに読み取るかによって相当違いがあると思いますが、政府管掌健 康保険の被保険者になって保険料をきちっと納めている側にとっては、何ともはや、そ こら辺は大ざっぱすぎて理解できない部分だと言わざるを得ないのです。確かに、予算 との見合いという説明は分かりますが、その辺は、やはり明確にしておかないと、私は 駄目だと思います。 ○田中補佐  実は、この単年度収支決算以外に、毎年通常国会に提出される決算書というのがあり ます。その中には、ご承知のとおり、健康勘定の損益計算書、貸借対照表、これは、企 業会計ではなく公会計ですので、独自のルールですが、全省庁横並びに作っている中で 、損益計算書、貸借対照表があります。平成13年度分は、いま作成中です。ちなみに、 平成12年度の健康勘定の貸借対照表(平成13年3月31日現在)の中では、未収保険料と して約2,600億円が計上されております。 ○稲上座長  ほかには、いかがでしょうか。 ○高梨委員  資料3で平成15年度の予算要求概要について説明がありましたが、3頁の所で介護関 係の概算要求が出ていて、保険料収入が3,872億円となっています。介護の保険料率で すが、先ほどの資料で説明があったように、平成14年度分は10.7となっています。平成 15年度の概算要求に当たっては、平成15年度の介護の保険料率はどういうふうに考えて 計算をしていたのか、というのが第1点の質問です。  もう1点は、先ほどの保険料収納の関係です。納めない所があるのは、いろいろな事 情があって納めないということですが、中には悪質なものもあるのだろうと思います。 拠ん所ない事情、倒産というようなケースは、もちろんあるのだろうと思います。 資料6の2頁目の所に「督促、差押えを早期に着手するなど、滞納処分を適正に実施す る」と書いてありますが、どの程度やっているのかどうかお伺いします。  これは別に医療のことだけではなくて、国民年金の保険料を納めていないというよう な人が相当いるわけです。やはり納めるべきは納めるということだし、法律できちっと した強制処分をやるとなっているわけです。お伺いしたいのは、差押えを実績としてど のぐらいやっているのか。平成13年度の実績が分からなければ、平成12年度でもいいの ですが、どのぐらいの件数、あるいは、どのぐらいの金額なのか、過去の状況を教えて いただきたいと思います。 ○神田医療保険課長  ご質問の1点目の介護保険料率の点ですけれども、資料3の3頁のところで、「介護 納付金」というのが出ておりますが、推計の方法としては、老人保健福祉局で、各市町 村から推計値を出していただき、それを全国集計し、全国の給付費を積み上げ、1人当 たりの保険料額を計算し、それに政府管掌健康保険の被保険者数、40歳から64歳までの 介護保険の被保険者数を乗じて出しています。  本体部分と精算分と両方ありますが、当該年度分でいいますと、4%程度の伸びにな っています。介護保険の保険料率は、正式には、年末の予算編成段階でセットすること にしておりますが、現状でいうと、先ほどおっしゃった10.7‰というのは、標準報酬ベ ースですので、総報酬ベースでいうと、概算要求段階では9.2‰という保険料率を前提 にしておりますが、年末に向けて精査をし、最終的にセットしたいと考えております。  2点目の収納の関係で、滞納処分をどれぐらいやっているのかということですが、 いま手元にあります平成12年度で申しますと、約1万8,000件の差押えを行っておりま して、それによる金額が約1,700億円です。ここ何年かでいいますと、件数としては増 えてきている状況ではないかと思っています。 ○村上委員  青柳委員の質問で、私も数字がないのでわからないのですけれども、先ほどの答えだ と、平成14年度予算で、医療費のほうは6,000億円余りの赤字の予定と言ったのですか。 6,000億円余りの赤字で予算を単年度は組んだという話だったですね。 ○神田医療保険課長  はい。 ○村上委員  これを見ると、お金の残り方でいくと、1,000億円余り予定が違っています。政府管 掌健康保険は、平成14年度予算では、予備費は組んでなかったはずですから、予備費で 埋めようもない。その1,000億円違ったというのは、どういうことでなのか。6,000億円 赤字でも、5億円か何億円か残る予定だったと思うのです。平成13年度は、赤字が予定 より相当大きくなったのですか、その原因は何なのか、数字の関係がわからないので、 教えてください。  拠出金関係で私が言ったことにあまりお答えをいただけていないのです。私が言った のは、平成15年から老人保健拠出金の上限がなくなりますと。それから、退職者のほう が年々1歳ずつ上がっていきますから、それも増えていきますと。それは、制度改正に よってどのぐらい違うのですか、という質問をしたけれども、全然答えがないので、答 えてください。  我々の所に来ている労働相談や実態調査でも明らかなのですが、事業主が保険料を取 りながら払っていないケースがどんどん増えています。我々の所に相談があったときに 、保険証を集めたときがいちばん危ないですから、保険証を集めたときにちゃんと確認 してください、という指導はしています。保険証の切り換えと言われると、わからない まま渡してしまうわけです。そのまま返ってこないので行ったら、それは切れていまし たという話がいっぱいあります。その辺のところは、これまでもお願いしてあったのだ けれども、そこは、きちっと現場の社会保険事務所が巡回したときに、労働者側にも指 導していただかないと、我々では手が届かない部分があります。保険料を払いながら、 保険証がなくなってしまって、病院へ行ったら保険が切れていた、というケースが相当 出てきています。  適用事業所でありながら、未適用事業所になっている事業所が相当増えている、とい う声も聞こえてきています。それは、政府の経済無策からそういうことが起きているの かもしれませんが、それはルールとしてきちっとしないと、社会保障制度はもたないで す。経営が苦しい場合は、猶予制度をやってほしいと思っていますが、やはりやるべき ことはきちっとやっていただかなければいけないだろうと思っています。  国民年金のところで未加入者が増えている。未加入者が増えている半分近くは私的保 険に入っていて、公的保険には入らないという人が半分ぐらいだという統計もあります。 そこは、社会保険は強制保険だというならば、社会保険庁がどれだけ社会保険は強制保 険として保険を成り立たせるのか、これは社会保険庁にかかっているのですが、どんど んおかしくなってきている。  モラルハザードという話は、言いたくないのですけれども、本当にひどい話になって きているものですから、その辺のことについて、今後どうやってやっていくのか、ここ に書いてあることが本当にやられているのかどうなのか。1回やって全部書くのでは困 るわけです。そういうところを、今度は事務の一元化等で、いろいろ効率化もできると 思いますから、そこは是非やっていただかなければいけないと思います。  ここの場所かどうかわからないのですが、私は途中で抜けなければいけないので、言 っておきます。本日、ある所で年金のパート労働者への適用問題等の話が出ました。 そのときに、年金については年金部会で、この適用問題についていろいろな議論が行わ れています。ところが、社会保険と書いてあるものですから、高梨委員が言ったわけで すけれども、医療保険はどうするのという話が出ました。  そのときは、保険局に聞きましたが、当然適用になりますという話がありました。 適用になるという話は、反対ではないのですけれども、そういうことを議論する審議会 がなくなってしまっているわけです。いろいろな意見を聞きながらやるべきだと思って います。  特に、政府管掌健康保険に加入する労働者が多いと思うのです。組合健保もあると思 いますが、加入するとすれば政府管掌健康保険のほうが多いのではないかと思ったりし ているものですから、そこは所管としてやるのならやるで結構ですから、ちゃんとでき るように仕組みを考えなければいけないと思いますので、その辺を要請しておきます。 ○神田医療保険課長  お尋ねの点についてお答えいたします。平成13年度の決算で、当初見込んだよりも 1,000億円程度悪化しているその原因は何か、ということでした。基本的には、被保険 者数の減少、標準報酬月額の減少に伴い、平成14年度の制度改正時と比べると、保険料 収入で約500億円減少しております。  一方で、平成13年度は、インフルエンザが通常1月、2月に流行するものが、平成13 年は2月、3月に流行したということで、平成13年度の年初にもインフルエンザの影響 が出たということで、平成13年度の医療費は、平成12年度に比べると、1人当たり給付 費が3,500円ぐらい高くなっています。そういう影響もあり、また500億円近くと、そう いう意味で当初見込んでいたものと比べて、1,000億円程度悪化しているということです。  未加入のお話ですが、おっしゃることは、私どももきちっとやっていく必要があると 思っております。特に、未適用については、今年度、雇用保険との事業所の突合をする ことにしておりますので、先ほど申し上げましたような情報が一致しない所については、 個別に潰していって、適用をきちっとしていきたいと思っております。  年金の議論の中で、パート労働の問題が議論されているということですが、これにつ いては、その議論を踏まえ、医療保険でも同じような扱いを検討する必要があると考え ています。審議会についてですが、医療保険については、社会保障審議会の中に部会を 設けて議論していたわけですが、制度改正も終わって一応閉じられています。また必要 があれば、当然立ち上げて議論していただくことかと認識しております。 ○村上委員  平成14年度当初から1,000億円減るということで、黒字幅は全然変わっていないのです。 要は、何億円かしか残らなかったはずです。それがなぜ平成14年度は当初予算より1,000 億円減るのですか。 ○神田医療保険課長  そもそも、平成13年度の決算が、平成14年度の予算編成時の見込みと比べると、平成 13年度が非常に悪かったということで、発射台が既に相当落ちているということです。 ○村上委員  収入は予算より500億円減って、支出が500億円多くて、予定より1,000億円赤字が増 えましたと。だから、平成14年度は赤字が6,000億円になる予定が5,000億円になったと いうのは何なのですか。要は、予算のときに6,000億円ぐらい赤字になる、というふう に組んでいたはずです。 ○神田医療保険課長  平成14年度の予算ベースでいうと、赤字は5,770億円ということで見込んでおります。 ○村上委員  それで何億円しか残らないはずでしょう。 ○神田医療保険課長  それは、おっしゃるとおりです。 ○村上委員  平成13年度は、予定よりも1,000億円赤字が増えたわけです。そうしたら、平成14年 度の赤字は1,000億円ぐらい減らなければ、何億円しか残らないわけでしょう。 なぜそれがそういう手品になるのですか。 ○神田医療保険課長  平成14年度の予算編成の段階では、5,770億円程度の赤字と組んでいるわけですが、 平成14年度予算を組んだときには、そういうふうになっているということです。 それがどのようになるのかというのは、先ほども説明がありましたように、医療費は給 付費ベースでも4.4%落ちている。そういう影響と、片方で被保険者数や標準報酬が落 ちている影響と両方ありますので、それをよく見極めて、実際どうなるのかというのは、 今年度末に向けて精査をしていく必要があると考えております。 ○村上委員  精査しないで、平成14年度の見通しはエイヤッでやったのですか。 ○神田医療保険課長  平成14年度予算編成の段階では、まだ平成13年度の決算がまだ出ていない段階です。 ○村上委員  そんなことを言ったら、マイナス予算を組まなければおかしいのではないですか。 数字があちこちでコロコロ説明が動くものだから、わからなくなるのです。 ○神田医療保険課長  平成14年度予算を組んだ段階では、まだ平成13年度の決算は当然出ていないわけです ので、その段階のギリギリの実績まで見て組んだということであって、平成14年度がど うなるのかというのは、先ほど発表しております医療費の動向や、今後の被保険者数、 標準報酬月額の動向を見ていかないと、実際その予算との乖離がどうなるのかというの は、現時点で直ちに結論付けるのは、まだ難しいと思っております。 ○村上委員  この1年は、袋詰めで予算が概算で来ていました。だから、この段階では、本当の姿 の数字は見えなかった。ところが、今年は袋詰めではやっていないから、こっちもきち っと聞いておかないと、この間の国会での医療保険制度改革は、嘘の数字でやっていた のですか、という話になるわけです。それは、ここで見通しがコロッと1,000億円違う のです。それから、私が言った拠出金の話は、どうなりましたか。 ○田中補佐  村上委員のご質問は、退職者に係る老人保健拠出金の見直しによる財政効果というこ とでしたか。 ○村上委員  老人保健拠出金と、退職者給付拠出金が、この制度改正でどうなりますか。いままで あった老人保健拠出金が1歳分なくなったでしょう。それから、退職者のほうは、1歳 上がって71歳になるわけですから、制度改正によって1歳分増えるわけでしょう、それ がどれだけ影響が出ているのですか、ということを聞かせてほしいということです。 ○田中補佐  平成14年10月施行のものがありますが、平成14年予算では・・・。 ○村上委員  そんなので言われるとわからないのです。なぜわからないかといったら、2年前の精 算部分の変化があるから、2年前の予算だけで言われたら、その精算分が入った数字で すからわからないでしょう。 ○田中補佐  制度改正効果の部分に対してだけ申し上げますと、平成14年度は、諸々の高齢者医療 制度改革等がありますが、老人保健拠出金は、制度改正により、政府管掌健康保険に対 しては、約300億円減少する、という効果です。これに対し、退職者給付拠出金につい ては、約300億円増加する、という見込みの下に、予算編成をしているということです。  平成15年度については、この制度改正が織り込まれていまして、政府管掌健康保険分 の老人保健拠出金については、我々の分でも、仮に平成15年度を現行制度のままで行っ た場合との比較について、保険局にも質問していたのですが、一回制度改正を行うと、 そこをベースに伸ばすようで、仮になかったらという数字を出すのはなかなか難しいと いうことで、平成15年度については、回答を得ていません。 ○村上委員  やってみなければわからないでしょう。 ○田中補佐  つまり、制度改正を織り込んだ上で、拠出金を見込んでいるということです。 ○村上委員  ちょっと、それはおかしいよ。国会では、そういうところの数字は、どんな数字かよ くわからないけれども、まるまった数字で出てきているわけです。それが分解できない 数字などという話は、初めて聞いたよ。後でもいいから、それはちゃんとした答えをく ださい。納得できないです。 ○田中補佐  1点補足させていただきたいのですが、先ほど高梨委員から、差押件数、差押金額に 関するご質問がありました。約1万8,000件で約1,700億円と申し上げました。我々は、 政府管掌健康保険と厚生年金保険の保険料を一体で徴収しておりますので、何件分が政 府管掌健康保険分、何件分が厚生年金保険分という形で切り分けていない、という事情 があります。  多くの事業所が政府管掌健康保険と厚生年金保険の両方で滞納していて差押えをする ケースもありますので、そこの切り分けは、しておりません。先ほど申し上げましたの は、政府管掌健康保険又は厚生年金保険で何件でいくらだという形でご理解いただきた いと思います。 ○村上委員  なぜ切り分けてないの。懐勘定が違うのに、切り分けられなかったら、分配のしよう がないではないですか。 ○高梨委員  医療と年金の分を一体で納めるのは結構です。完全に納めていれば、それはそれでい いですよね。でも、部分的に納めるケースはあるのですか。要するに、納入告知書が医 療分と年金分と合わせて20万円納めろというふうになっています。そのときの料率とい うのは決まっていて、いま現在であれば17.35%が年金分で、8.5%が医療分ということ で、その2つを合わせた分の料率ということで納入告知書を切っているわけでしょう。  滞納処分するというわけですから、納めていないわけですけれども、20万円払うべき ところを10万円ということで、その10万円分は、医療なのか年金なのかわからないなど というそんな取扱いをするはずがないと思うのです。だって、受け入れる方は、厚年勘 定と医療勘定と別になっているわけでしょう。いますぐ答えてもらう必要はないけれど も、切り分けはできると思います。 ○神田医療保険課長  当然、受ける段階では、統計上仕分けはできているわけですが、滞納処分の統計とい うことで取っている業務統計の中の内訳が分かれていないということです。 ○高梨委員  統計上なら、それはあり得るかもしりませんね。 ○村上委員  収納状況ですが、先ほどもあったけれども、いろいろな事情があって納めてない、取 れてないということですが、そこを要因別に資料をください。 ○神田医療保険課長  実態を聞いてご報告したいと思いますが、要因別ということでいうと、経営状況の問 題だとか、どういった問題で払えないのか、という理由で明確に分類できるかどうかは 、ちょっと難しいかもしれませんが、実態を聞いた上でご報告させていただきます。 ○山ア委員  村上委員からもありましたが、適用資格事業所がなかなか届を出していないというこ とのようですが、末端の中小企業は、かなり多いと思います。そこは、規模的にはどの ぐらいの所が出ていないというようなことは、わかりますか。  もう一つ、ここに適用促進でリーフレットや巡回指導と書いてありますが、いままで もずっとやられてきてはいるのですけれども、その測定効果は、数字的に出るのですか。 巡回指導、巡回説明といっても、行動計画みたいなものは、個別の所でそれぞれ作りな がらきちんとやられているのですか。目標値を立てながらやられているのです か。パンフレットも、1つの普及で100万単位だと思うのですが、本当に末端まで行き 届くような形の予算計上をされて、末端の業者が見て理解するまでのことをやられてい るのかどうか。事業所も悪いのですけれども、厚生労働省もかなり泣かされているケー スが多いのではないかと思うので、この辺は、非常に大事なところだと思います。  前からやっていれば、数字的なところを聞きたいのですけれども、これからというこ とになれば、これは本当に大事なことなので、きちっとやっていただきたいと思います。 末端の中小企業まで、いろいろなリーフレットやパンフレットが来ないのが実情です。 私どもは、中小企業の団体ですけれども、見たことがないというのが結構多いのです。 もし私のほうにいただければ、末端まで行くような形のことをさせていただきたいと思 います。 ○神田医療保険課長  適用の効果測定ということですが、未適用事業所の中で、法人登記簿に載っていて適 用になっていない、そういう事業所数は分かるかと思います。結果としてどこが漏れて いるのか、ということ自体は、結果として150万事業所ぐらいになっているということ ですと、どこが漏れているのかということがこれまではなかなかわからなかったわけで す。  今度は、雇用保険と突合をいたしますので、雇用保険に届出をしていて、こちらの方 に届出がされていない所を潰していくことによって、具体的な母数が分かってくるので はないかと思っております。 ○稲上座長  ほかにないようでしたら、事務局から参考資料が出されておりますので、ご説明をお 願いします。 ○渡辺補佐  参考資料「医療保険制度の運営効率化に関する検討について」についてご説明いたし ます。こちらの検討については、本年3月に厚生労働大臣を本部長とする医療制度改革 推進本部の中に、医療保険制度の運営効率化に関する検討チーム、こちらは社会保険庁 次長を主査としているものを設け、1点目として「社会保険と労働保険の徴収事務の一 元化に関する検討」、2点目として「社会保険庁の業務運営効率化・事務の合理化に関 する検討」、3点目として「社会保険病院の在り方の見直し」について検討を行ってき たところです。それぞれの事項につき、本年9月6日の段階における厚生労働省の考え 方を取りまとめましたので、それについて本日ご報告させていただきます。  資料1は「社会保険と労働保険の徴収事務一元化」に関する資料です。社会保険及び 労働保険にかかる事業主の負担の軽減と利便性の向上を図り、併せて届出を処理する機 関の省力化を図るために、社会保険と労働保険の徴収事務の一元化について検討したも のです。  具体的な中身ですが、1番として、インターネットを利用して事業主が保険料徴収関 係の届出を含め、両保険の関係各種届出を一括して行うことができるようにすることを 計画しております。  2点目ですが、保険料収納事務を一元的に処理するために、全国の社会保険事務所に 、平成15年10月を目途に、社会保険・労働保険徴収事務センターを設置することを考え ております。  このセンターにおきましては、まず保険料算定の基礎となる賃金や保険料額の届出の 受付、2番目に賃金・保険料額に関する事業所調査の実施、3番目に滞納整理の実施、 4番目に事業所説明会の開催などを行うことを予定しております。このセンターの設置 により、事業主の負担が軽減されることに加え、徴収や調査に係る事務などもより効率 的に行うことができるようになるものと考えているところです。  資料2は「社会保険庁の業務運営効率化・事務合理化」です。厳しい経済状況下にお いて、産業構造や雇用形態の変化が進みつつあり、社会保険の適用や、保険料の徴収に 関し、効率的で重点的な業務処理体制を整備する必要があります。そのために、政府管 掌健康保険の保険者として、給付の適正化を効率的に進めていく必要がありますことか ら、保険者機能の強化というものが要請されているところです。  また、人口の高齢化、年金受給権者の増加に伴い、効果的な年金裁定や相談処理を進 め、サービスの質の向上を図っていく必要があると考えられているところです。このよ うな課題に業務を重点化し、対処していくために、次のような措置を講じたいと考えて おります。  まず、情報処理技術を活用、又は定型的業務のアウトソーシングや一括共同処理など により、徹底した事務の効率化・合理化を図ることとしております。このような合理化 を図ることにより、職員を、対人サービスの業務にできるだけシフトさせ、このような 課題に取り組むこととしております。具体的には次のとおりです。  2頁ですが、「的確な適用と保険料収納の確保」に関してです。申請届出の簡素・合 理化ですが、労働保険と合わせてインターネットによる申請届出を可能とするなど、IT の活用により効率化を進めます。また、事業主が同一である複数の事業所においては、 人事管理が一体として行われているなどの場合においては、1事業所として一括適用す ることを計画しております。  的確な適用に関しては、適用状況調査につき、その対象を全事業所からパート労働者 が多い事業所などに重点化することを考えております。  3頁ですが、雇用保険担当部局との間で、事業所情報を交換することにより、社会保 険の未適用事業所及び事業所偽装倒産の把握を容易にするとともに、その解消を推進し ます。  「内部事務処理の効率化」については、入力業務の外注化を進めることとしておりま す。また、社会保険事務所で行っております納入告知書などの作成・送付事務を、都道 府県単位に集約化し、事務の効率化を図ることを予定しております。  「収納確保の推進」については、先ほどご説明いたしましたが、社会保険・労働保険 徴収事務センターを設置します。また、国民年金保険料については、新たにコンビニエ ンスストアにおいても保険料を納付できるようにすることとします。  4頁は「医療給付の適正化」です。被保険者証のカード化を進めるとともに、受診時 点で医療機関が被保険者資格の有無を確認できるシステムを導入することにより、受診 時の被保険者資格確認による事務の効率化を図ることしております。  「医療費通知の充実」に関しては、医療費にかかる情報の提供を推進するために、い ままで対象月を現行2か月分であったものを、1年分に確大し、医療費通知の拡充を図 ることとしております。  5頁は「年金相談の効率的実施及び裁定事務の迅速化」です。社会保険事務所におけ る年金相談に際し、具体的な年金見込額に関し、情報提供を行う対象者の範囲を、58歳 以上から50歳以上に引き下げることを予定しているところです。  また、年金相談事務に関しては、電話相談について、社会保険事務所単位から都道府 県といった広域単位に相談体制を集約することにより、効率化を図ることとしておりま す。これらの施策により相談を受ける体系を多様化し、相談機会を広げることにより、 サービスの充実を図ることとしております。  6頁は「年金裁定時の事務の簡素化」です。年金の受給を間近に控えた者に対し、あ らかじめ基本事項を印字した年金裁定請求用紙を本人宛に送付します。また、住民基本 台帳ネットワークシステムを活用することにより、届出書の添付書類のうち、住民票等 を不要とするなど、年金裁定時の事務の簡素化を図ることとしております。  資料3は「社会保険病院の在り方の見直しについて」です。1点目は「検討の視点」 ですが、社会保険病院は、民間病院が通常有していない公的機能を発揮し、健全な経営 の下に、地域医療の中で不可欠な役割を果たしていく必要があると考えられます。  社会保険病院が、地域医療において公的機能を十分発揮していないと考えられる場合 や、病院経営が不調で、その改善が期待できない場合などにおいては、当該病院につい て統合・移譲などを進める必要があると考えております。  さらに、健康保険財政の現状から見て、社会保険病院は、民間病院と同様の相当の経 営努力を行い、保険者の負担を軽減していく必要があると考えております。このため、 当面の対策として次のようなものを考えております。  1点目は「公的機能の検証について」です。社会保険病院として、次のような公的機 能を各病院がどの程度備えているかを検証し、あわせて機能の明確化とその充実を促す こととしております。公的機能としては、(1)から(3)にあるようなものが考えら れることです。  2頁ですが、病院の経営状況を改善していくために、外部の経営診断も活用しつつ、 各病院に収支改善計画を作成させるとともに、積極的な情報公開を促すこととしており ます。病院の経営受託団体である社団法人全国社会保険協会連合会については、各病院 の自律性をより高めていく観点から、本部事務につき合理化を促すこととしております。  また、公務員準拠の現行給与体系の見直しを求めることとしております。各病院は、 物品の共同調達などにより、運営費の縮減に努めることとしております。  「統合・移譲等」については、公的機能の検証結果や経営実態とともに、立地条件や 、所在する二次医療圏の状況などを精査の上、統合移譲などを進めるべき病院につき検 討を進め、おおむね2年を目途に、具体的内容などを取りまとめることとしております。  特に、経営改善の見込みが立たないと認められる病院につきましては、廃止も視野に 入れて対処することといたします。また、二次医療圏の病床数の状況などを踏まえ、病 床数の削減の検討を進めることとしております。  「施設整備費の縮減」については、病院施設の老朽化に伴い、今後新たに建替えなど の施設整備を行う場合にあっては、病院にも事業収入から応分の負担を求めることとし ております。また、各病院においては、今後の施設整備に備え、減価償却費に相当する 額の一部を積み立てることとしております。  さらに、今後の施設整備については、PFI方式も検討することとしております。 また、今後の医療機器整備については、原則病院の負担といたしますし、設置者による 運営費の負担については、いままでも負担しておりませんでしたが、今後も引き続きこ れは行わないこととしております。以上、医療保険制度の運営効率化についてご説明さ せていただきました。 ○稲上座長  ただいまの説明につき、ご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。 ○青柳委員  これは、どういう目的で本日の懇談会に出てきたのかわかりませんけれども、これは 案ということで、厚生労働省としての、あるいは社会保険庁としての考え方ということ なのですか。それを、どういう所で正式な形で議論をしてこれを詰めていくのか、ある いは間違っているものを正していくのか、その辺はどういう段取りになっているのです か。 ○十菱企画課長  これは、ご案内のように今度の健保法改正の附則の中に、宿題事項という形で規定さ れているものです。厚生労働省としては、厚生労働大臣のイニシアティブの下にこの3 課題についてできるだけ早く基本的な方向を出そう、ということで事務当局も指示を受 けました。それで、社会保険庁マターが中心ですので、社会保険庁が中心になり、この 3つの課題についての基本的な方向を取りまとめ、それを明らかにしたということです。  手続的には、1つは与党との関係があります。9月6日にこれを公表する形として、 与党関連のワーキンググループでご説明をさせていただいた上で公表するという段取り をとっています。これは、現時点での厚生労働省の考え方を取りまとめたものですので 、関係各方面のご意見をいただきながら、より良いものに持っていこうということです。  与党のワーキンググループは、年内を目途にこの3つのテーマについて方向を出すと お伺いしておりますので、私どもも次の段階はこの年末に向けて、さらに改めるべき点 があれば改めていくことになるのではないかと思っております。 ○青柳委員  9月6日に参考資料としてこういう案を説明したということですと、今後はこの案を 基に、与党のワーキンググループの中で詰めていく、ということになるのでしょうか。 ○十菱企画課長  対与党との関係ではそういうことだろうと思います。今回私どもが運営懇の場にご報 告いたしましたのは、そもそもが建保法改正の議論の中で宿題になった事項であるとい うことで、大きな関連があるだろうということです。それから、社会保険病院に関して は、施設整備費が、保険料財源の中から出ているということで、政府管掌健康保険の財 政運営そのものにかかわる事項であろう、ということでお示しをしたものであります。 また、この場を通じてのご意見を頂戴したいと思っております。 ○高梨委員  1つの方向を出したものでしょうが、企業・事業主の立場からすると、事務の合理化 に資するという点もいくつかあるということで、その点については私個人としては評価 できる部分もあるとは思います。資料1の社会保険・労働保険徴収事務センターを設置 することについては、いまの保険制度が別々の保険制度で、第一線の窓口も別々の機関 が担当しているということの中で、こういう事務センターを設けるということ自体は一 歩前進だと思います。それは、あくまでも事務センターをつくるということであって、 徴収そのものの一元化ではないのです。  どういうシステムがいいのかという点は、そんな簡単な問題ではないのですが、労働 保険のほうは、賃金の総額に保険料率を掛けるという方式ですし、医療や年金のほうは 標準報酬月額個々人について料率を掛けて徴収する、というのがいまの制度ですから、 徴収の一元化自身は技術的にも相当難しいのですが、基本は徴収そのものの一元化に向 けて検討していくということだろうと思いますので、これはこれで検討を進め、精緻な 設計をしていただくことは結構だと思います。私たちからすれば、本来的な徴収そのも のの一元化という問題の検討は是非やっていただきたいということをお願いしておきま す。  質問ですが、1頁に「10月からセンターを設置する」と書いてあります。センターの 事務を行う人間がはり付きますから、その部分については増員が行われる可能性があり ます。実質的に見て、増員ということになるのか、その辺はどういう考え方なのかを教 えてください。  資料2の中で、年金の説明がありました。本日の場にふさわしいかどうかということ はありますが、5頁で年金の相談について、いままでは58歳以上からの相談を受け付け ていたのを、50歳以上まで引き下げる、というのは大変結構なことだと思います。「平 成15年度から段階的に実施する」と書いてあるのですが、これは何カ年間で50歳までに なるのか。1、2年でなるのか、相当年数がかかるのか、国民の立場、年金受給者に近 付いている人からすれば、早目に金額を知りたいという気持が強いし、年金制度に対す る信頼もあったりしますから、こういうことは早くやったほうがいいと思うのですが、 その辺はどんな段取りになっているのですか。 ○十菱企画課長  徴収事務の一元化の関係ですが、委員がおっしゃるように、徴収の一元化ということ であるならば、制度を揃え、組織も一緒になるということだろうと思います。それにつ いては、なお中長期的な検討課題ということで関係部局は認識を持っているということ です。ただ現状では、まずはここから事務の一元化を始めたい、ということで今回取り まとめたということでご理解をいただきたいと思います。  ご質問が2つありましたが、徴収事務センターで人の増員はどうなのかという点につ いては、基本的には社会保険事務所に徴収事務センターの看板を掲げ、対事業所との関 係でワンストップの窓口をつくるということであり、必要に応じて、労働局から徴収事 務センターにやってくるということです。したがって現時点において、そのための増員 は想定しておりません。そもそも効率化が求められているわけですから、現在の体制の 中でプラスアルファーの事業をやろうではないか、というのが私どもの考え方です。  2点目は、年金の関係ですが、資料2の5頁で50歳以上ということで、だんだんと引 き下げていくというのはどんなスケジュールになっているのかということです。現時点 で決めておりますのは、平成15年度に第1段階の引き下げをしたいということです。 これは、おそらく55歳ならば55歳という形で設定をすることになると思います。  こういった、年金の個人加入記録に基づく相談をする場合に、それは相談だけで終わ りませんで、いろいろ記録の整備という事務に結び付いていくわけです。その記録の整 備の事務というのが、実際にどれぐらいの現場の負荷になるのかというのは、やってみ ないとわからない話であります。記録整備事務というのは、かなり手間暇がかかる仕事 でして、私ども現場を抱えておりますので、その現場を混乱させるような形では、新し い事業を始められません。  まずは、平成15年度に第1段階の引き下げ、これは55歳ぐらいというイメージを持っ ております。その次はどうするのかということですが、おそらくこの次は次回の年金制 度改正が平成16年に入ってまいりますので、これをにらむ必要があるだろう。この制度 改正の大きさがどのぐらいになるか、ということにもよるわけですが、そういった全体 の社会保険庁の現場の業務量を勘案しながら、第2段階ということです。  こういった話は、国民に向けてのわかりやすさが重要であろうかと思いますので、あ まり小出しにするつもりはありません。次回は年金制度改正が落ち着いた段階で、55歳 から50歳という感じで進むのではないかということです。まだ、最終的に決定はされて おりませんが、そういうことで内部では議論をしております。 ○青柳委員  資料3の社会保険病院のあり方の見直しの中で、「公的機能」という言葉が出てきて います。あえて「公的機能」というのは、例えば政策的な医療だとか、不採算医療とい う言葉を使わなかった理由があるのでしょうか、それを教えていただきたいのです。 例えば、公的機能の検証ということで、(1)(2)(3)とありますが、これは別に 公的機能に特化した項目ではないように私には感じられます。この程度のものを「公的 機能」と称するのかということが1つあります。  いろいろな情報によると、一歩踏み込み二歩踏み込んだ社会保険病院のあり方につい ての案が、どうも巷を行き交っているような情報も得ております。9月6日以降にいく つか具体的にした案があるのであれば、そういうものも含めてお出しいただかないと、 なかなか正確な議論はできないのではないかというのが2つ目です。  2頁の「施設整備費の縮減について」という項目の(3)「PFI方式」というのが 検討の対象になっています。これは、単純に理解すると「公設民営」ということなのだ ろうと思うのです。間違ったPFI方式の導入をされている所もあるように思いますが 、少なくともそうなのだろうと思います。  現在の社会保険病院は、国の土地で、国の建物を使って、そして運営しているという ことから考えると、大して変わりないのではないかという気もしないでもないのです。 この程度の案の内容だと、私が質問する内容としてはその程度になります。本来的に言 いますと、もう少し詳しいものを出していただきますと、こちらとしてもそのつもりで 意見を述べることができるのではないかと考えております。  どうも、アリバイ的にこの資料を出されているような印象がありますので、そういう 意味においては、あまり身のある議論がこの場でできないような気もしないでもないと 思います。 ○十菱企画課長  青柳委員のご質問は3点ありましたが、1つは「公的機能」という言葉をどうしてこ こで使っているのかということです。国立病院であれば、政策医療という形で、その国 立病院が担うべき医療の範囲がある。労災病院であれば勤労者医療という形で、調査・ 研究すべき範囲がある。そういったものに見合う形で、この社会保険病院が何か担うべ き分野を盾に持っているのかというと、必ずしもそれはそういうことではないだろうと いうことです。  社会保険病院は、そのルーツからいって、地域の医療を担ってきたという歴史があり ます。地域医療において、いわゆる公的病院として担っている機能というような意味合 いで使わせていただいております。したがって、それはここにありますように、救急や 災害医療というようなことになるわけです。それは別に公的病院でなくても、一般病院 が担っている部分ではないか、というご指摘の点はあろうかとは思います。ただ、社会 保険病院は、保険料財源という公的な財源が入ることによって、こういった部分の採算 性ということだけを考えずに、必要な部分を積極的に受け止めてきた病院であるという ことです。そういう意味合いにおいて「公的機能」、あるいは「公的病院の一つである」 という位置付けをさせていただいているということです。  2点目ですが、こういうことで私どもは検討の報告をしたわけですが、青柳委員ご指 摘のように、9月6日の与党のワーキンググループでの報告の後のご意見というものは 、基本的にこれでは認められないというのが大勢でした。  それでは、何が認められないのかということです。大きく2つありまして、1つは保 険料財源をいつまでも注ぎ込むというスキームはまずいのではないか。保険料財源に頼 らない病院を考えてもらわないと困るのだということです。2つ目は、運営形態のあり 方についてもメスを入れるべきであるということです。現在ある運営の形を前提にする ような改革案ではいけないのではないかということです。  それが宿題になっておりますので、私どもも9月6日以降、こういった大きな宿題に 答えるべく検討に着手していますが、まだ1か月が経ったばかりですので、成案という 形で取りまとまったものにはなっておりません。与党において、あるいは関係者におい て、いくつかアイディアがあるということは私どもも聞いておりますけれども、コンク リートになった案というのは現時点においてはない、というのが私どもの認識です。 これは、先ほど申し上げましたように、12月の年末に向けて、再度検討を深めていきた いということです。  3点目の「PFI方式」についてですが、これは公設民営方式であるから、あまり変 わりはないのではないかというのは、ある意味ではそのとおりだろうと思います。現在 の私どもの社会保険病院の持ち方というのは、本来保険者がやるべきものをやっている わけですので、土地・建物は国有財産であります。そうしますと、何かそこで施設整備 について効率化を図ろうとしても、国有財産法その他の縛りがいろいろあって、難しい 制約が多々あります。いろいろなことを考え、検討したわけですが、国有財産だからで きない、というようなことになってしまうケースが随分あります。  PFI方式というのは何かというと、これは国有財産法に穴をあけて、その穴をあけ た限りにおいて自由度を許そうという法律ですので、PFI法を活用することにより、 従来できなかったような施設整備の効率化ができるのではないか。そうすることにより 、施設整備費を減らす、あるいは大幅に減らすことも可能になるのではないかというこ とで事項立てをしたものです。  ただ、現実にPFIのスキームを使って計画が進んでいる病院はまだあまり多くはあ りません。私どもが検討するとすれば、ある意味ではパイオニアになるわけですので、 なかなか具体的な議論が深まっていないというのが現状です。 ○青柳委員  内容については、これ以上深入りはしません。私どもは地域医療体制、あるいは医療 提供体制という観点から、どうしてもいろいろご意見を申し上げていかなければならな い課題なのだろうと思います。私が心配しておりますのは、たまたま本日こういう懇談 会があって、こういう資料で案の説明を受けたと。それで終わるのか終わらないのか。 その辺は、どういうスケジュールにこの懇談会としてはなるのでしょうか。その辺を最 後にお聞きします。 ○十菱企画課長  この懇談会は、定例ですと年に2回開催されますので、適宜、必要に応じてご報告を いたしたいと思います。 ○磯部運営部長  本日は、いろいろと厳しいご指摘、あるいは有益なご示唆をいただきまして大変あり がとうございました。特に健康保険の適用、あるいは保険料の徴収について複数の委員 からいろいろご意見をいただきました。特に山ア委員からパンフレットの配布等につい てのご協力のお話がありました。是非、我々も積極的に対応させていただきたいと思い ます。  それも含めまして、非常に厳しい経済情勢の中で、なかなか払っていただけない事業 主も増えてきているというのも事実です。保険料倒産ということにも我々は直面してい ますが、外形標準課税のように、利益にかかわらず徴収しているのは、いまのところ社 会保険の分野だけです。その意味では、非常に現場は苦しい中で徴収をやっております。  片や、いくつかお話がありましたように、徴収をすり抜けるといいますか、潜脱する ような行為はやはり社会保障制度の根幹を揺るがすものと認識しておりますので、最大 限の努力をして、これからも適用、あるいは徴収をやっていきたいと思っております。 本日はどうもありがとうございました。 ○稲上座長  特にほかにないようでしたら、本日の懇談会はこれで終わらせていただきます。どう もありがとうございました。 (問い合わせ先)   社会保険庁運営部医療保険課健康保険管理係    電話(代表)03-5253-1111     (内線)3597