02/03/29 第12回政府管掌健康保険事業運営懇談会議事録     第12回政府管掌健康保険事業運営懇談会議事録 1 日時 平成14年3月29日(金)      14:00〜16:00 2 場所 厚生労働省共用第7会議室 3 出席した委員・専門委員(敬称略)   稲上、末次、高梨、村上、山本、吉田、佐野、武舎 4 議題  (1) 政府管掌健康保険の平成14年度予算  (2) 政府管掌健康保険の平成14年度介護保険料率  (3) 政府管掌健康保険の平成14年度保健福祉事業関係予算  (4) 政府管掌健康保険における医療費の動向等  (5) 平成14年度社会保険事業計画  (6) 政府管掌健康保険のレセプト点検調査  (7) 政府管掌健康保険の医療費通知  (8) インターネットホームページを活用した政府管掌健康保険の事業運営に関する    広報  (9) その他 5 議事内容 ○稲上座長  ただいまから「第12回政府管掌健康保険事業運営懇談会」を始めさせていただきたい と思います。年度末で大変お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうござ います。最初に本日ご出席いただいている委員の皆様をご紹介いたします。本日は末次 座長代理、村上委員、山本委員、吉田委員、佐野専門委員および武舎専門委員がご出席 です。高梨委員は遅れてご出席です。城戸委員、菅谷委員、高木委員、高野委員は欠席 の連絡をいただいています。なお、今回の議事録についても、前回と同じように後日事 務局において作成の上、皆様に確認いただいた上で公開したいと考えておりますので、 ご協力くださるようお願い申し上げます。  早速、本日の議事に入りたいと思います。お手元に分厚い資料があるかと思いますが 、事務局から順次ご説明をお願いします。 ○田中医療保険課長補佐  資料1から8までが本体資料となっていて、参考資料として参考1から6までとなっ ておりますので、ご確認いただきたいと思います。まず、資料1は、「政府管掌健康保 険の平成14年度予算」についての説明です。1枚目が「全体分」、2枚目が「医療分」 、3枚目が「介護分」の形になっておりまして、医療と介護に分けて説明したいと思い ます。  2頁の「医療分」ですが、中小企業のサラリーマンを対象とする政府管掌健康保険に おいては、平成12年度決算までの状況を見ると、高齢化の進展等に伴い、老人医療費を 賄うための老人保健拠出金等が着実に増大するほか、近年、3年連続で被保険者数が減 少するとか、2年連続で平均標準報酬月額が減少するなど、保険料収入が伸び悩んでい ることから、平成5年度以降、実質8年連続の赤字決算となっていることはご承知のと おりです。  しかし、これまでは、事業運営安定資金の受入れ、すなわち積立金の取り崩しで対応 してきたところですが、平成14年度には、いよいよ事業運営安定資金、すなわち積立金 が枯渇しかねない極めて厳しい財政状況に直面しようとしています。こういった状況を 踏まえて、平成14年度には、ぎりぎりの予算編成が迫られたということです。  具体的には、「医療分」については、今般の診療報酬改定その他の医療制度改革によ って、1,432億円ほど財政収支が改善するわけですが、これを取り込むだけでは、単年 度収支差の赤字を、前年度末までに残っている事業運営安定資金の受入れで穴埋めする ことができない状況でした。このため、右側の備考の4つ目に書いていますが、まず「 保健福祉事業費等の見直し」を行って、対前年度予算比で226億円を削減しております 。「予備費」については、予算を超える歳出が認められないということから、従来の予 算においては、当初の見込みを超えるような保険給付費の増大といった不時の状態に対 応することができるように、通例400億円の予備費を計上してきましたが、これも計上 すると単年度収支差が膨らんでしまうということで、予備費すら計上しないという異例 の措置を講じたということです。  これによって、左下ですが、単年度収支差が6,321億円の赤字という形に赤字幅を圧 縮して、これを先ほどの事業運営安定資金、いわゆる積立金の取り崩しで穴埋めをして 、備考の右下にありますが、平成14年度の事業運営安定資金残高をわずか5億円とする 予算を編成しています。  3頁です。「介護分」ですが、介護保険料率については、毎年度保険者が定める、と いう仕組みになっています。平成14年度については、介護保険料率を10.70/00、すなわ ち1.07%と設定した上で、左下にありますが、単年度収支差を546億円の黒字とし、右 下ですが、平成14年度末の事業運営安定資金残高を7億円とする予算を編成しています 。  単年度収支差が黒字となっていますが、これは(注)の所、平成12年の健康保険法等 の一部改正法においては、介護分の保険料率を医療分の保険料率と別枠で設定するとい う制度改正を行いましたが、この法改正の成立が遅れたということで、平成12年度に納 付が必要な介護納付金について、納付の猶予を受けた経緯があります。これについては 、平成13年度にその分を全額納付したということですが、これに対応する保険料収入の 方は、平成13年度と14年度に分けて徴収することにしたわけです。したがって、平成13 年度のときは、むしろ赤字でありましたが、それを平成14年度の黒字で、いわば穴埋め し、平成13年度、14年度の両年度で収支がトントンになる、そういう構造になっていま す。  この「介護保険料率」の部分について、資料2で詳細に整理しています。介護保険料 率は、平成13年度には10.90/00でしたが、平成14年度には10.70/00ということで、0.20/ 00の引下げとなります。2枚目ですが、先ほど申し上げたように、平成12年度に納付猶 予を受けた介護納付金の部分については、平成13年度と平成14年度に分割して保険料を 徴収する、という仕組みになっています。  1枚目に戻って、「本来分」「納付猶予分の1/2」とに分けて書いております。本 来分というのはその年の介護納付金を納めるために必要な保険料率ですが、こちらは9.7 0/00から9.40/00ということで、0.30/00の引下げになっています。介護納付金は、各医 療保険者に割り振られてくるわけですが、これは、その年に介護費用等の見込みがどう なるかということを基に賦課されて、見込みと実績との食い違いが生じた場合には、2 年後に精算される仕組みになっています。  平成12年度に介護保険が導入されて、平成12年度には、老人医療から介護保険へどれ ぐらい移行するだろうかを見込んだ上で計算しているわけですが、老人医療から介護保 険への移行は、実績が見込みを下回りまして、その結果、介護費用全体として実績が見 込みを下回ることになりましたので、平成12年度分のいわば剰余分が平成14年度に若干 戻ってくる形で、精算されることになります。したがって、本来分の保険料率が引き下 がった形になっています。  これに対して、下の「納付猶予分の1/2」は、平成12年度分の介護納付金の納付猶 予を受けた分について、これを賄うための保険料率ということです。平成13年度と平成1 4年度を比較すると、これは、保険料収入の総額の見込額が変わらないように設定する 形を取っています。しかしながら、平成13年度と平成14年度では、被保険者数や平均標 準報酬月額がむしろ減少しているということでして、それによって見かけ上1.20/00から 1.30/00ということで、0.10/00引き上がるといった形になっています。  資料3ですが、平成14年度予算のうち、特に「保健福祉事業」の部分を取り出して整 理したものです。先ほども申し上げましたとおり、保健福祉事業費等については、政府 管掌健康保険の財政状況が平成14年度中にもこの事業運営安定資金、いわば積立金が枯 渇しかねない厳しい状況にあることを踏まえて、見直しを行っております。  1つ目は、「生活習慣病予防健診事業の検査費」です。これについては、1頁目の下 に表で示していますが、平成13年度予算に比べて91億円を削減しております。その際の 削減の方法は、2つ目の○ですが、具体的には、こういった限られた財源を前提として 、これをどう使うかということで、ベーシックな健診を受診する機会をできるだけ広く 、いわば薄く広く行おうという考え方に立って、一般健診に重点化することを行ってい ます。一般健診について、単価の引下げを行いつつ、実施者数を拡大するという形をと っています。その中で、特に40歳及び50歳の被保険者等に対しては、一般健診の枠組み の中で、いわば、従来あった日帰り人間ドックの検査に相当する内容の付加健診も、希 望によって受診できる形にしたということです。併せて、これは前回の事業運営懇談会 の中でも説明しておりますが、C型肝炎対策の重要性ということにかんがみて、一般健 診を受診する35歳、40歳、45歳など5歳刻みの被保険者等のうち希望する方を対象とし て、C型肝炎ウイルス検査を導入することにしております。  2頁目ですが、「社会保険病院の整備費」については、これも厳しい財政状況を踏ま えて、既に着手した工事を継続するなどの必要最小限度の経費に限定して、下の四角囲 みの表にありますが、平成13年度予算と比べて、100億円も削減した形になっています 。さらに、上の2つ目の○ですが、今般の医療制度改革法案の附則において、健康保険 の保険者である政府が設置する病院の在り方の見直しということについて、「おおむね 2年を目途にその具体的内容、手順及び年次計画を明らかにし、所要の措置を講ずる」 ものとされました。  これを受けて、今後、それぞれの社会保険病院が地域医療提供体制の中で果たしてい る役割、経営の状況といったものをそれぞれ精査した上で、今後の社会保険病院の在り 方について更に取りまとめていく、というような予定となっています。  3頁、その他の保健福祉事業ですが、まず「高額医療費貸付事業」は、ご承知のとお り自己負担額が一定の限度額を超えた場合に支給する高額医療費について、これが被保 険者の申請に応じて支給されるということですので、実際に支給されるまでの間、被保 険者に対してその80%相当額の貸付けを無利子で行う制度です。これは、平成14年度も 引き続き所要の経費を計上する形をとっています。  2つ目ですが、「出産費貸付事業」というものです。これは、子供が産まれたときに 1人当たり30万円を支給する「出産育児一時金」というものですが申請に応じて支給す る形をとっておりますので、実際に支給されるまでの間、被保険者に対してその80%相 当額を24万円を限度として、無利子で貸し付けております。これは、平成13年7月から 新たに実施したというものでして、下の予算を見ていただくと、平成13年度予算の額が 、かなり大きくなっています。これは、平成13年度から開始しているので、平成13年度 には、貸付けの原資を積む必要があるということでして、平成14年度にも、当然、所要 の経費は計上しているわけですが、見かけ上、17億円の減少の形になっています。  3点目ですが、「在宅介護支援事業」は、在宅介護を必要とする被保険者等に対して 、介護機器のレンタル料等を助成するものです。しかしながら、この事業については、 平成12年度に介護保険制度が導入されまして、それに合わせて「要介護」とか「要支援 」の認定を受けた方については、この在宅介護支援事業の対象から除外する、というこ とを行っています。これに伴って、平成12年度以降、利用者が大幅に減少する、という 状況に至っています。このため、基本的には、平成13年度をもって廃止するものとし、 ただ、現在、現に利用している方がいらっしゃいますので、平成14年度には、現に利用 している者を対象として、経過的に継続する取扱いとしたいということで、結果的に、 対前年度予算額で4億円を削減する形になっています。 ○安部企画課数理調査室長  資料4を説明します。まず1頁目は、4月から3月の年度平均の適用状況です。平成1 2年度、いちばん下ですが、被保険者数▲0.3%、平均標準報酬月額が▲0.4%という実 績になっています。2頁目以降は医療費の動向です。2頁目は支払基金審査分の1人当 たり医療費・給付費で、これも各月の対前年同月の伸び率をグラフ化したものです。最 近は制度の変更がありませんので、医療費と給付費の伸び率はほとんど重なっているわ けですが、最近の動向をご覧いただくと、平成13年に入って1月、2月は伸び率が非常 に低く、3月、4月は高い形になっていますが、これはインフルエンザの流行状況のパ ターンが平成13年は12年と比べてちょっと違っていて、1月、2月は流行がなかったの ですが、3月、4月に流行したことの反映であろうと考えられます。7月、8月、9月 をご覧いただくと、大体1%を中心として±1から2%ぐらいの伸び率になっています 。  3頁は、「入院」と「入院外」に分けて示したものです。点線の「入院外」は1月、 2月は非常に下がって、3月、4月は上がっています。おそらくここはインフルエンザ の影響ではないかと考えられます。4頁、5頁は参考までに保険局のほうで出している MEDIASから医療保険全体の制度別医療費の動向です。4頁目は医療費総額、5頁 目は1人当り医療費ですが、それと政管とを並べて示しておりますので、参考にしてい ただければと思います。以上です。 ○中澤医療保険課長補佐  資料5、「平成14年度社会保険事業計画」について説明いたします。そもそもこの社 会保険事業計画については、政府管掌健康保険の保険者として社会保険庁本庁、地方庁 が同じ現状認識の下で事業を一体的に行うということで、毎年度社会保険庁が定め、全 国社会保険事務局長会議等においてお示しし、確認をしているものです。  まず1頁以降に「事業運営方針」ということですが、その中で、大変恐縮ですが、当 資料においては健康保険、医療保険事業に対してということで抜粋版で示しております 。ご案内のとおり、今般の医療保険制度改正法案の中の附則にも盛り込まれていますが 、1つは、「社会保険料及び労働保険料徴収事務の一元化」ということについて、平成1 4年度以降に本格的な取組みを始めるということを明記しております。  2頁、「医療保険制度の事業運営」ということで、この事業運営方針の中において、 先ほど平成14年度予算について説明しましたが、大変厳しい財政状況を踏まえて、政府 管掌健康保険の保険者たる社会保険庁として、こうした厳しい財政状況の中で健全な財 政運営のために、ここにも提起しておりますが、確実な保険料徴収、あるいは保険給付 の適正化等に向けて、いままで以上に最大限の保険者努力を払うことを確認したところ です。  9頁に飛びますが、具体的には、IIIの「平成14年度事業計画」の中で医療保険制度 の重点事項ということで、いくつかの項目を掲げております。1つには、2項目に掲げ てある「適用の適正化」という点です。3番目に「保険料収入の確保」、4番目に「保 険給付の適正化」ということ。さらに具体的な実施事項として10頁、11頁にかけて、「 適用の適正化」に関しては、適用事業所に対する適切な指導、あるいは適用対象事業所 の的確な把握及び適用促進、いわゆる未適用対策というものですが、その実施について 具体的な取組事項を掲げています。  また、「保険料収入の確保」の部分の取組みについては、(1)(2)で掲げていま すが、保険料の納期内納入の励行指導、滞納事業所に対する納付指導の徹底及び滞納処 分の適正な実施ということを、具体的な項目を掲げて取組みを示したところです。  3点目としては、これは前回にも申し上げた部分ですが、1つは「医療費の適正化対 策」とりわけ「レセプト点検調査の実施」について、ア、イ、ウというようなことで個 々具体的な取組事項を掲げています。以降、「現金給付の適正化」、11頁には「健康管 理事業の実施」、あるいは、事業主あるいは被保険者等に対する「広報活動の推進」と いったようなことを提起しています。こういった具体的な事項を基に、平成14年度にお いては本庁、地方庁がこれまで以上に一体となって、事業に取り組んでいく所存でござ います。  3頁に戻って、「社会保険庁の事務の実施基準及び準則並びに平成14年度において社 会保険庁が達成すべき目標」ということで、この実施基準及び準則については、前回説 明したものと同様です。  5頁ですが、「平成14年度において社会保険庁が達成すべき目標」ということで、実 施基準等に基づく事業目標が、本年2月4日厚生労働事務次官依命通達、具体的には別 表6頁以降になりますが、個々具体的に事項別に、私どもに目標として掲げられた項目 が示されています。5頁に戻って、その通達においては、ちょっと読みますと、「平成1 4年度において云々、なお、この目標に対する実績の評価に当たっては、国への事務移 管等の制度変更及び社会経済情勢の変化による影響等を考慮するものとする。また、平 成15年度以降に係る目標については、社会保険庁の自律性を高める観点から、平成13年 度以降の社会保険庁の実績に係る評価の結果も踏まえつつ、可能な限り具体的かつ客観 的な基準となるよう引き続き検討を進め、逐次改善を図るものとする。」というふうに なっております。個々具体的な内容については、また後ほどご覧いただければと思いま す。  資料6ですが、「レセプト点検調査」について少し説明いたします。1頁目の「レセ プトの電子媒体化(DVD)化」と記述しておりますが、これについては前回レセプト 点検事務の効率化あるいは効果的な実施のために現在の紙のレセプトを電子媒体化する ということで概要を説明しておりますが、この電子媒体化、あるいは、この中ほど、○ の1つ目ですが、後半になりますが、これを活用するためのレセプト情報管理システム の導入については、平成14年度にこの導入・実施を図るということをまず報告いたしま す。  2枚目の所は、前回も示したDVD化以降の「事務処理の流れのイメージ」を書いた ものです。  3頁目は平成9年度以降の「レセプト点検調査の実施状況」について、経年的に数字 を示した資料です。ちなみに備考欄にそれぞれ私どもがこのレセプト点検調査の充実強 化ということで取り組んだ項目を付記していますが、平成9年度、この下のほうの真ん 中、「再審査容認等」の欄で、「一般分」「老人分」「計」ということで記しています 。「計欄」ですが、平成9年度481万7,000件、金額にして1,015億7,500万円、平成10年 度は件数で516万4,000件、7.2%の増、金額では985億6,700万円、平成11年度においては 553万7,000件、対前年度で見ると7.2%の増、金額では1,062億2,700万円、直近平成12 年度の実績においては566万2,000件、2.3%増、金額にして1,072億6,700万円というの が、これまでの点検結果による、言ってみれば効果額ということで、紹介させていただ きます。  資料7ですが、私どもは「政府管掌健康保険の医療費通知の実施状況」の資料を示し ております。平成8年度以降の実施件数について記述しておりますが、真ん中の欄です が、平成8年度実通知件数1,947万3,000件余、平成9年度が1,792万5,000件、平成10年 度が1,543万7,000件、平成11年度が1,697万件、平成12年度が1,481万3,000件という実 績です。(注)にもありますが、いま申し上げた件数については、「一般分のレセプト に係るもの」ということで、「老人分のレセプト」については、市町村において実施し ているということで、この件数の中には入れておりません。  また、この年度によって通知件数に、多少ばらつきがありますが、とりわけ平成10年 度、12年度については、他の年に比べると多少といいますか、件数が減少した実績とな っています。備考欄に一部付記していますが、平成10年度においては、いままでは受診 医療機関名を医療費通知の上では印字しておりませんでしたが、平成10年度の通知分か ら、いままでの受診月あるいは診療点数のほかに、併せて、その受診医療機関名を印字 することを開始したわけです。  あるいは、平成12年度においては、それまではデータ化するために、全数パンチ処理 方式によってデータの情報化をしていたわけですが、それを機械印字で請求されたレセ プトについては、その事務の効率化を図るという観点からOCR方式に変更しておりま すが、いずれの年度においても、実施当初に際して、一定の準備期間、あるいは、その 確認といったようなことで、端的に申し上げると実務上多少混乱があったこともあって 、当年度の実施件数が他の年度に比べて少し減少してきているということです。以上で す。 ○田中医療保険課長補佐  資料8ですが、政府管掌健康保険の事業運営について、被保険者、事業主に対する情 報提供の充実を図っていきたいということで、現在、インターネットホームページを活 用した広報というものに力を入れていこうと考えております。これまで、平成13年10月 以降、平成12年度決算や前回の当懇談会の議事資料や議事録といったものについて、厚 生労働省のホームページに掲載しておりますので、皆様におかれましても、ご覧いただ ければ幸いです。  社会保険庁ホームページにおいては、現在でも、年金などの情報が非常に多くなって いますが、健康保険についても、制度の仕組み等かなり幅広く紹介する形をとっており ます。さらに、今後、リンク集をより拡充するといったようなことを考えて、より充実 した情報提供に努めていきたいと考えています。併せて、被保険者等の方々から広く意 見を募集するようなコーナーも作ってみてはどうかということで、現在、そのやり方を 検討している状況ですので、ご紹介いたします。  本体の資料は、ここまでですが、3月26日の「社会保障審議会医療保険部会」で、医 療制度改革法案の報告がなされた際に資料として出されました参考1から6までをお手 元に配付しております。それを簡単にかいつまんで説明いたします。  まず参考1ですが、「平成14年度の医療制度改革の経緯」については、平成13年9月 に厚生労働省として「医療制度改革試案」というものを公表しました。それ以来、関係 方面で議論が積み重ねられまして、昨年11月には、政府・与党社会保障改革協議会の場 で「医療制度改革大綱」を取りまとめることに至りました。それを受けて、昨年12月に は、平成14年度の診療報酬改定率や制度改正の内容を決めて、それを織り込んだ予算案 を閣議で政府案として決定し、これを含んだ予算がつい先日国会で成立したということ です。  年が明けてからですが、平成14年2月11日、2月18日において、医療制度改革に関す る政府・与党合意というものが取りまとめられました。その中では、平成15年4月から 給付率を7割に、すなわち、自己負担の割合を3割に一元化するということと、政府管 掌健康保険の保険料率を総報酬制の導入に合わせて平成15年4月から8.2%とすること 、今後の課題として、平成14年度中に医療保険制度の体系の在り方等に関する基本方針 を策定すること等が盛り込まれました。これを受けて、3月1日に今般の医療制度改革 法案の閣議決定、国会提出に至った次第です。2頁、3頁は、その間の制度改正の内容 の変遷を整理したものですが、4頁を見ていただくと、今般の医療制度改革法案の附則 においては、先ほど申し上げた政府・与党の合意を受けて、今後の医療保険制度改革に 関する基本方針の策定などの事項が盛り込まれています。  特に政府管掌健康保険に強く関係することをかいつまんで申しますと、まず上から3 つ目の四角ですが、「健康保険の保険者である政府が設置する病院の在り方の見直し」 、これは先ほどの社会保険病院のことです。それから、「社会保険庁の業務運営の効率 化及び合理化」といったようなことについて、「おおむね2年を目途に、その具体的内 容等を明らかにし、所要の措置を講ずる」とされています。  上から4つ目の四角ですが、「政府が保険者である社会保険」、これには政府管掌健 康保険が含まれますが、「政府が保険者である社会保険及び労働保険に係る徴収事務の 一元化」については、「おおむね3年を目途に、その具体的内容等を明らかにし、所要 の措置を講ずる」といったことが盛り込まれています。下から2つ目の四角ですが、「 政府管掌健康保険事業及び当該事業の組織形態の在り方の見直し」ということについて 、「おおむね5年を目途に検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずる」とい ったことなどが盛り込まれたところです。  参考2ですが、今回の医療制度改革法案の国会提出に際して、政府・与党間で合意さ れた医療制度改革に関する諸課題に対処する観点から、厚生労働大臣を本部長とする「 医療制度改革推進本部」というものを設置しております。その中に設けられた検討チー ムのメンバー等についての資料ですので、後ほどご覧いただければと思います。  参考3は、今回の医療制度改革法案自体の概要となっています。1つひとつの説明は 省略しますが、参考としてご覧いただければと考えております。  参考4ですが、今回の医療制度改革法案と一体で国会に提出されている「健康増進法 案の概要」というものを示しています。1枚めくると、「第2章基本方針等」の中の( 3)ですが、健康増進法案の中においては、生涯にわたる国民の健康の増進に向けた自 主的な努力を促進するという観点から、厚生労働大臣が健康診査の実施及びその結果の 通知、健康手帳の交付といった措置に関して、医療保険の保険者を始めとする健康増進 事業の実施者に対して、健康診査、簡単に言えば健診ですが、「健康診査等の実施等に 関する指針を定める」とされているところです。  したがって、今後、この法案が成立すると、これに基づいて指針が作られることにな ります。その内容を踏まえて、政府管掌健康保険で行っている生活習慣病予防健診事業 の在り方についても、必要に応じて見直しを行っていくことになるのではないか、と認 識している次第です。  参考5です。これは、前半18頁ぐらいまでは、今回の診療報酬改定も含めた医療制度 改革全体についての説明資料となっています。個々の説明は省略しますが、ご覧いただ ければと思います。そして、19頁以降は、今回の医療制度改革に関する「財政試算」と いうことで、保険局の方で整理したものです。19頁、この財政試算は、今回の医療制度 改革の中で、老人保健制度の対象年齢、公費負担割合を段階的に引き上げるということ が盛り込まれていますが、これが完了するのが平成19年度ということで、基本的には、 平成19年度までの試算となっています。  その間の財政見込みについては、ここにもいくつか書いておりますが、例えば、医療 費の自然増が高齢者以外の方に関しては毎年1人当たり2.1%、老人医療費に関しては 毎年1人当たり3.2%ずつ従来の傾向に従って伸びていくとか、賃金の伸びが1%程度 であるとか、今回の診療報酬改定を含む医療制度改革は織り込みますが、もちろんこれ からも医療制度改革は行われていくわけでして、将来の診療報酬改定や制度改正は織り 込みようがないので織り込んでいないとか、そういった諸々の前提、仮定というものを 置いて試算したというものである、ということを了解いただきたいと思います。  このうち、「政管健保収支の見通し」の所だけ紹介しますが、29頁をご覧ください。 現行制度のまま推移すると、平成15年度以降19年度まで、毎年度、単年度収支差が拡大 していく形になるわけですが、これに対して、下の制度改正を実施した場合になると、 年によって単年度収支が黒字になったり赤字になったりしています。これは、考え方と しては、平成19年度までの歳入の累計と歳出の累計を比べるとおおむね均衡する形にな るように、今回の保険料率の見直しを設定しています。したがって、平成19年度までの 累計で歳入と歳出が均衡し、先ほどのいろいろな前提に立てば、平成19年度末に事業運 営安定資金、すなわち積立金の不足を生じないだろう、という姿にしたということです 。  ただし、今般の医療制度改革においては、併せて、政府管掌健康保険の保険料率につ いても、少なくとも2年ごとに、その先おおむね5年を通じ財政の均衡を保ち得るかど うかについて、定期的に見直しを行っていく仕組みを導入する形をとっているので、当 然、これは今後少なくとも2年ごとに見直しをしていく形になるわけです。  こういうことで、制度改正を行った場合は、現行制度のまま推移する場合に比べて、 単年度収支差が改善するというわけですが、それが一体どういった要因に基づいて生じ るか、というのを示したのが30頁です。これを見ていただくと、財政収支を改善する要 素としては、やはり保険料率の見直しや、給付率の一元化、すなわち、3割負担の導入 といったところがかなり大きい、ということが見て取れるかと思います。  31頁です。31頁の下半分ですが、今般の医療制度改革においては、ご承知のとおり平 成15年4月からこの政府管掌健康保険を含む被用者保険の全般について、月給のほかボ ーナスにも同一の保険料率を賦課する「総報酬制」というものを導入することになりま す。政府管掌健康保険の保険料率は、現行では、月給ベースの料率が設定されていて、 これは8.5%です。これは、総報酬ベースに置き換えると、7.5%の保険料率に相当しま す。これを平成15年4月の総報酬制の導入に合わせて総報酬ベースで8.2%という形に 改定することになります。総報酬ベースでは、7.5%から8.2%に改定する案になってい ます。  これによって、下に表がありますが、政府管掌健康保険の被保険者として平均的な月 給や賞与をもらっている人を例にとって試算をしてみると、被保険者負担分と事業主負 担分は折半となりますが、この両方を合わせると、年間で負担する保険料額は3万円程 度増加することになります。  参考6は、「平成14年度の診療報酬改定」の内容について説明した資料です。1頁目 ですが、ご承知かと思いますが、狭い意味の診療報酬改定については、今回1.3%の引 下げ、薬価、材料価格の改定については1.4%の引下げで、両者を合計すると全体で2.7 %の引下げとなっています。その具体的内容については、2頁以下にずっと説明されて いますが、その説明は省略いたします。以上です。 ○稲上座長  どうもありがとうございました。大変たくさんの資料を併せて説明していただきまし たが、特に順序を決めてはいませんが、いろいろご質問、ご意見があろうかと思います 。どなたからでもご発言いただきたいと思います。 ○村上委員  今回の医療保険制度改正については、我々は反対の立場です。「改革なき負担増」と いうのは容認できないのが、終始一貫した連合の立場です。これが変わっていないこと を前提に、いくつか質問をいたします。  資料1からいきますが、先ほどの説明の予算の部分ですが、「予備費(400億円)不 計上」と、超えた場合は出せないから予備費を計上していたという話でしたが、もし思 いもかけない医療費を払って超えた場合は、どういう処理になるのですか、ということ が1つ。  2点目は、予防の観点から見ると、特にいろいろな健康診断は減らすべきではないと 私たちは思っているのですが、これを減らしている。  もう1つ手があったはずです。92年でしたか、政管健保の財政が回復して84/1,00 0を82/1,000に、保険料を引き下げたときに、いわゆる国庫の負担分を16.4%から当分 の間ということで13%に引き下げたままになっています。本来ですと85/1,000に戻し たときに、これを本則の16.4%に戻すべきなのです。  ところが、それを戻していないばかりか、1割にも及ぶ保険料引上げ案を含んだよう な法案を出しながら、国庫負担を本則に戻すこともしないで、削ってはならない健康・ 予防という健康づくりの部分を削ると。こういう全くおかしな話はあり得ない。特に1 割に及ぶ保険料率の引き上げというのは、初めてのことなのです。こんな引き上げはや ったことがない。さらに、本人3割、家族の入院を3割負担とここまでやることは、踏 んだり蹴ったりだと思っています。本則に戻す努力の跡が全然見られません。では、な ぜそういう努力をされないのか、ということをご返事いただいたことがないので、是非 、ご回答いただきたい。  資料2で、いわゆる医療からの移行部分が少なかったから、2年後精算の、平成14年 度に、保険料率が下がった、というような説明がありました。医療からの移行部分が少 なかったのかもしれませんが、私に言わせると、介護保険不慣れということもあって、 利用率が思ったようにいかなかった。いろいろな介護保険の実施状況を見ると、要支援 とか、要介護1から5までがほとんどですが、大体介護認定を受け、なおかつサービス を利用しているのは、いまだに大体4割ぐらいしかいない。そこが山でして、あと8、 9割の所が多いようですが、やはり、そういういろいろなことも絡んでいるのではない かと思うのです。  移行部分も少なかったということを言うから、医療のほうからポカッと訳のわからな いと言ったら変ですが、私たちは、無理矢理向こう側から追い出しをかけて、介護に押 し付けてくるようなことが行われているのではないかと思ったりしています。どっちに 行こうが、私たちの懐は1つです。皆さん方はいろいろな懐をお持ちなのかもしれませ んが、私たちの懐は1つなのですから、そういうことでは困る。その辺のところを本当 にそういうことでいいのかどうか、ご返事をいただきたい。  資料3ですが、生活習慣病予防健診事業で、この文章はどういう意味なのか。「限ら れた財源で基本的な健診を受診する機会を公平に確保する観点から、一般健診に重点化 し、単価の引下げを行いつつ、実施者数を拡大」、これはよく分からないですね。「公 平を確保する観点」と、確かにいろいろな人が受けることが公平ということなのかもし れませんが、単価の引下げはどうやってやるのか。「一般健診に重点化する」というこ とは、反対にこの予防事業が進んだと見るのか、遅れたと見るべきなのか、この辺の用 語が全く分かりません。これは何をどうするのか、ということをお聞きしたい。  資料6、「レセプト点検調査」、これを強化するのは構いません。レセプトの電子媒 体化というのですが、これをやることは私も賛成なのですが、このお金はどこから出る のですか。まさか、よもや保険料から出るということではないでしょうね。事務費です から、基本的には一般財源から出すのが社会保険として当たり前ではないかと思ってい ますが、そういう受け止め方でいいのか、ということをまずお聞きしたい。  私は医療保険部会に出ていてそこでだいぶ言いましたから、ここではあまり言いたく ありませんが、皆さん方、誤解するような言い方は、やめていただきたいと思います。 例えば、参考5の29頁、30頁の説明の仕方ですが、「政管健保の収支見通し」は、前提 的にある意味で老人の医療費は、年間7.2%ぐらいの伸びを見込んでいるのです。全体 の伸びが4%近くで、1人頭が3.2%程度伸びて、現役は2.1%ぐらい伸びるという前提 なのです。  先ほどの説明からいくと、推進本部を作って、2年とかいろいろな限定付きでやると いうことが全然、これはそういうことが出来てからの見込み、という返事は分かってい るのです。返事は分かっているのですが、「そういうことをやりますが、とりあえずこ ういう計算をしています」というのが親切な説明だと思います。例えば、ここに出てい る平成15年から19年までの推計が示されています。いわゆる診療報酬改定というのは、 2年に1回改定されているのです。改定を織り込んだ数字に全然なっていない。そうい うことは皆さん方、誤解のないようにきちっと説明しておかないと、みんなは平成19年 まで財政はもつのだと。私は社会保険庁が担保してくれるなら、それはそれで結構なの です。ただ、私どもは本当かねと思っていますから、そこはそうだと思います。  現行制度の見方というのは、先ほど言ったように、いままでの伸び率を平成11年まで の5年間をそのままの伸びで見るのが正しいのかどうか、ということを私は疑問に思う のです。それをそのまま伸ばしておいて、現行よりこれだけ減りますよというのは、数 字のまやかしではないのかと思います。例えば、いろいろな趨勢というのは変化してき ているわけです。その辺のところは、やはり、限定的でこういうバンドもあるよぐらい のことは親切に言っておかないと、どうせ皆さん方は、あとで困ったときにそういうこ とを言うに決まっているのですから、資料の出し方、言い方もひとつ丁寧にしてほしい 、ということを申し上げておきます。  それともう1つ、平成13年度の、いわゆる予算とこれまでの政管の収支傾向は、どん なことになっているのか。もう4月ですから、ちょっと教えていただきたいのです。 ○田中医療保険課長補佐  順次お答え申し上げたいと思います。まず1点目の予備費の処理ですが、これは歳出 全体として、もし予算で計上した額を超えることになりますと、それ以上の歳出は、補 正予算で処理することが必要になります。  第2点目の国庫補助率については、制度改正の中で検討されたということです。ご指 摘のとおり、平成4年改正においては、保険料率を8.4%から8.2%に引き下げました。 これに伴って、保険給付費に対する国庫補助率というものを、16.4%から13.0%に引き 下げたということです。  平成9年改正におきましても、これは保険料率の引上げを8.2%から8.5%への引上げ ということで行いましたが、こうした中でも、当時の財政状況、これは一般会計の財政 状況となると思いますが、当時の財政状況というものを踏まえまして、保険給付費に対 する国庫補助率を13.0%に据え置いた、という経緯があります。今般の医療制度改革に おきましては、確かに、総報酬制の導入に伴いまして保険料率の見直しを行う、という ことを盛り込んでいるわけです。しかしながら、一般会計を見ますと、非常に財政状況 が厳しく、そして、厚生労働省全体としてみれば、医療関係の予算をいくらまでに圧縮 しなければならないということで、これは内閣全体としてシーリングというものが設定 されているわけです。こういった枠内で考えなければならない立場としましては、一体 どこに重点的にその公費を投入していくのかという判断をした、ということだと受け止 めております。  この中で、厚生労働省全体といたしましては、今後急速な増加が見込まれる後期高齢 者に対して重点的に公費を投入するということが妥当だということで、老人保健制度の 公費負担の割合の引上げというところにまさにその枠を使った、ということなのではな いかということです。これに伴いまして、政府管掌健康保険におきましては、保険給付 費に対する国庫補助率の据置きという形になったものと承知をしております。  3点目です。先ほどの介護保険料率の説明の中で、当年度に納付すべき介護納付金を 賄うための料率が平成14年度が平成13年度に比べて下がった理由の分析です。我々は、 介護納付金を割り振る部局からそういうふうにお伺いしておりますが、おっしゃるとお り、確かに、介護費用全体が思ったほど伸びなかったということにつきましては、様々 な要因があるのではないかということは、容易に推測されるわけです。これにつきまし ては、我々としても、委員のご指摘も踏まえてより分析をしてみたいと考えております 。  4点目、健診の検査費についてです。文章が分かりにくいというご指摘で、それは率 直に受け止めたいと思います。これにつきましては、一般健診というものがいちばんベ ーシックな健診だということで、いままでは、人間ドックといったものも別にあったと いうことです。この一般健診と人間ドックの差というものは、いわば健診項目の差とい うことになるわけです。保険料の一部を使ってこういった健診事業をやっておりますの で、財源が限られているということを前提としますと、一体それをどうやって配分して いくのが適切か、ということを考えたということです。  その際に、むしろ一般健診の枠で対応するということがより広い範囲の人が少しずつ 恩典を受けるようにすることができるという観点から、一般健診に重点化をするという ことです。しかも、一般健診の中でも、その単価の引下げを行いながら実施者数を拡大 するということによって、その人間ドックの実施分が減った分を補うような形で対応で きるようにしたということになります。  ただ、一方で、その一般健診のやり方の工夫としまして、従来の人間ドックの代わり にそれに相当するような検査内容を含めた健診を40歳、50歳の方に限って受けられるよ うにするという工夫をしたということです。レセプトのDVDの話は、ちょっと飛ばし まして、後ほどお答えいたします。  それから6点目です。「財政試算」のご説明の所で、誤解を受けるような言い方はし ないように、というご指摘です。委員の問題意識は、医療保険部会でも聞かせていただ きましたので、今日の説明では、諸々前提、仮定を置いたということをかなり強調して 申し上げたつもりでしたが、舌足らずの点は、今後の反省材料とさせていただきたいと 思います。当然、委員のご指摘のとおり、今回の制度改正だけを盛り込んでいるとか、 そういったいろいろな諸々の前提を置いたものということで、改めてこの場を借りてご 説明をしたいと考えております。 ○中澤医療保険課長補佐  先ほど、この電子媒体化に関わる予算措置についてご質問をいただきました。それに ついてお答えをさせていただきたいと思います。  この電子媒体化にかかります予算措置についてその保険料財源云々というご質問があ りました。私どもとしましては、先ほども1つの点検結果ということで、1,000億円、 毎年度、この点検調査によりまして財政効果額を上げております、というような状況を 説明を申し上げました。この電子媒体化としての予算措置につきましては、保健事業費 というようなことで、保険料財源を用いた予算措置ということにさせていただいており ます。 ○田中医療保険課長補佐  最後に、平成13年度の見込みです。これにつきましては、最初に前提で申し上げます と、平成13年度予算の段階では、単年度収支差を5,612億円の赤字、事業運営安定資金 残高を872億円と見込んでいたわけですが、その後、ご承知のとおり、例えば、補正予 算で国庫補助繰延べの残額が返済されたとか、諸々あります。  ただ、いまはまだ3月でして、このあと出納整理期間等もありまして、現段階ではこ ういう数字になるということは分からないということですので、これはまた、分かり次 第分析をしたいと思っております。 ○村上委員  平成13年度の収支は、いま何月までわかっているのですか。 ○岡田医療保険課長  医療費は2月分で、保険料収入は年度を超えて4月に相当収入があるものですから、 ちょっと単純にあと1月分ということではないものです。収支の計算がなかなか難しい ものですので、お時間をいただいて整理をしてご報告をさせていただきたいと思います 。 ○村上委員  わかりました。いくつか言われた中で、なぜそのDVDが保険料でやらなければいけ ないのか。何の法律を根拠にそういうことをおっしゃっているのか。私は、これは大変 な事務費の問題だと思っているものですから。やることは賛成ですが、事務費で行うべ き性格のものだろうと思います。それをなぜその保険料から出すのか。相当大きな金額 になると思います。  それから勝手な判断で、例えば本則に戻さないまま、他所に金を回して、私たちの所 の付け残し分は13%でそのまま据え置くのか。それは誰が判断したのですか。内閣の判 断だと言うのですが、予算が決まるのは厚生労働省内部でしょうから、これは厚生労働 省としての判断なのでしょう。いちばん貧乏な政管健保にそのまま据え置いて、金を持 っていくのは正しい姿なのかどうか。その辺がどういう考え方で他所へ金を持っていっ たんですかと。予算が厳しいというのはわかっています。厳しいけれども、それでは貧 乏な所から剥がして持っていくのがいいことなのかどうか。  例えば、私に言わせれば、国保組合は3,000億からの補助が出ているわけです。そこ に裕福な人たちがいっぱい入っている部分があるわけです。例えば医師会とか薬剤師会 とか歯科医師会に、年間300億に近い国庫補助が行っているわけでしょう。そこはそう 減らさないで、我々の所だけが暫定措置の13%というのを、保険料を1割も上げようと いうときに据え置いて、それが財革法の意思ですと。意思はわかったけれども、どうい う考え方の意思なのかを教えてください。 ○田中医療保険課長補佐  まず、第1点のレセプトのDVD化の費用を保険料収入で賄うことの根拠です。  この費用は、保健事業費と位置付けておりますが、事務費についても、健康保険法上 は、予算の範囲内で国庫負担をするということになっていまして、事務費の定義もあり ません。これは、ある程度、解釈の幅というのがあり得るのではないか、と考えていま す。  もう1つ、法律上は、厚生保険特別会計法というものがあります。この中で健康勘定 というものを作りまして、ここで政府管掌健康保険の収支を経理をしている、という形 になっています。そのほか、事務的な経費、それから保健福祉事業の経費といったもの につきましては、若干技術的になりますが、業務勘定というものを設けておりまして、 健康勘定からここに繰り入れをして支出をするということになっております。この規定 を見ますと、健康勘定、業務勘定のそれぞれ歳入、歳出の所で、保健事業費、業務取扱 費について、健康勘定の歳出とし、業務勘定の歳入とすることができるという形になっ ており、こういったものに基づきましてこの費用の負担をしている、ということです。  第2点目の国庫補助率です。まず第1点です。この老人保健制度の公費負担割合の引 上げと申しますのは、結果としましては、その公費負担以外のものは各医療保険制度の 老人保健拠出金ということで賄われていますので、これは決して他の制度ということで はなくて、これは政府管掌健康保険も、もちろん国保などもそうですが、そういった各 制度にいわばそれぞれ恩典がいくということですので、決して政管健保にとって全くメ リットがないということではないということを、まずご理解いただきたいと思います。  健康保険の国庫補助につきましては、制度としては、保険局の所管ということになっ ております。そういった中で、厚生労働省として判断をしたということですが、この考 え方と申しますのは、先ほど申し上げましたとおり、シーリングという制約がある中で 、一体どこを優先するかという判断であったかと思います。そのときに、これは、各医 療保険制度にも老人保健拠出金の抑制ということでそれぞれに恩典があり、しかも、こ の高齢化の進展の中で特に必要性が高いというところがこの後期高齢者の医療費という ふうに判断をして、こちらのほうを優先して対処する、というふうになったものと理解 しております。 ○村上委員  初めからいくと、できるというだけで、やらなければいけないと書いてあるわけでは ないのです。それはせめてこの懇談会で、そういう所を使わせてもらえますか、ぐらい はしなければおかしな話ではないですか。できるから勝手に何でもかんでも保険料から やりたい放題、金を使うなどというのはおかしな話です。  それから、ついでに言っておきます。いわゆるこの財革法によってここの厚生年金の ところの事務費のところが、平成15年度一杯だったわけです。そこまで暫定的に出すこ とができる。16年以降それを戻してくれと。あのとき、年金で450億円ぐらい、政管 から百数十億円削られているわけです。あなた方は、それを全然戻すような感じになっ ていないでしょう、今度のこの予算の見通しを見ると。だからそこはいま言ったような 問題と併せて事務費の問題というのはきちっとしてもらわなければ。それは、「できる 」という項目を使ってどんどん持っていかれるのではたまったものではない。  もう1つ、老人保健拠出金というのは、余禄がくるなどとは思っていません。何か今 度の改正でただちに、なんで我々の所に余禄がくるんですか。我々の拠出金というのは 、老人保健拠出金もあれば、退職者の拠出金もある。  それから、前から、老人保健拠出金の算定方法を変えてくれと。いわゆるゼロ歳児ま で、子供の数まで頭割りで出すというのはおかしいではないかと。せめてそれぐらい変 えろ、とこっちは言ってきたのに、変えないまま、今度は頭打ちの所も突っ外して、全 部から取るようにするわけでしょう。何か知らないけど、わけのわからない、現行がお かしいのに、現行はこんなに削られるんだと。しかしその効果は14年度ほとんどないわ けです。そういうことをちゃんと考えて返事をしてもらわなければ。それでは、今年か ら国庫負担13%が16.4%ともなれば財政効果は予算がなんぼあるんですか。それと老人 保健の拠出金との関わり合い、退職者と拠出金との関わり合い、差っ引いてどうなるん ですか。平成14年はほとんど返ってこないですよ、平成15年は若干響いてくるけれども 。だから、そういうことをあなたの答弁からいくとおかしな話になるよと。 ○ 岡田医療保険課長  DVDの費用を保険料で負担していることにつきましては、法律上できるという規定 ですので、そこの判断はあると思います。この費用によってDVD化することによって 医療費のレセプト点検の効果は上がって給付を削減することになれば、保険料の引上げ の抑制だとか、そういうことにつながってきます。また、高額療養費の支給の場合、レ セプトまで遡ってそれをチェックした上で支払いをするということになっています。こ のようにDVD化によってその事務が非常に効率化することになるということで、結果 としては被保険者のサービスの向上につながるというような考え方で、従来からレセプ ト点検調査の仕事全体について保険料財源を用いてやってきた、というような現状です 。  先ほど、財革法で平成15年まで事務費の一部を国庫補助から保険料負担ということで されていますので、平成15年で切れますので、平成16年以降どうするかということはま た別途、検討する必要があるだろうと考えております。  それから国庫負担の問題につきましては、ご指摘のとおり国庫補助率を戻した場合に かなり大きな効果が出ますので、老人医療の拠出金のそれと差し引いてどっちかと言わ れれば、それは国庫補助の引上げのほうが効果としては大きいというのが現実です。  ただ、現実問題として、今回、予算編成に当たりましてシーリングがかけられた中で どこに国庫補助を行うかという医療保険全体の中でどういうような取扱いをするのかと いうことの検討の中で、政管のこの国庫補助については13%の据置きというような形で 結論が出ているということですので、そういう形でご理解いただければと思います。 ○ 田中医療保険課長補佐  1点だけ補足です。この老人保健拠出金の問題につきましては、参考5の資料で、確 かに、平成14年度はそのような効果が少ないというのは委員ご指摘のとおりかと思いま すが、参考5の25頁を見ていただきますと、保険料で政管健保の所を見ていただきたい と思います。制度改正の影響は、平成19年度では累積しますので、全体で4,800億円の 制度改正効果があるということです。そのうち、下から3つ目ですが、「高齢者医療制 度関係」の「対象年齢引上げ・公費重点化」につきましても、これはだんだん効果は大 きくなってきますので、この時点では、政管健保にとっても1,400億円の改善になると いうことです。  それから退職者給付拠出金についても言及をいただきましたが、これの関係では、い ちばん下に、「一般制度関係」の「総報酬制の導入」とあります。この▲800億円とい うのは、総報酬制を導入いたしますと、退職者拠出金が各制度の報酬額に応じて割り振 られるという仕組みがありますので、政管健保の場合、健保組合と比べますと、相対的 に給与水準が低いということで、こういった点で退職者拠出金をいわば改善するような 効果もあるということですので、付け加えさせていただきます。 ○ 村上委員  今回はそれは、そういう効果があると言いますが、例えばその25頁を見て下さい。「 退職者に係る老人保健拠出金算定方法の見直し」で、1,100億円が余計に出ていくこと になるわけです。退職者自身が、いままで69歳だったところが74歳に伸びていくわけで しょう。そこは全部、その退職者自身も老人保健拠出金を出す形になるわけです。だか ら拠出金は、平成19年になったら見直しで1,100億円増えます。それから「老人加入率 上限撤廃」で800億増える。減るほうは、「対象年齢引上げ・公費重点化」で、たったの 1,400億円じゃないですか。そうしたら全然、あなたの言っていることと違うことです 、平成19年でも。拠出金関係はトータルで、平成19年だって500億円増えるということ です、差っ引けば、制度改正は。その上のほうは負担の関係だから。いま言った高齢者 拠出金制度の老人保健拠出金制度の関係からいけば、平成19年になったら500億円増え るわけでしょ、現行制度で言えば。わかっていますか。だから私は、それは違うではな いかと。  それから、事務費の考え方を本当にはっきりさせてください。できるということで何 もかもやられたら、たまったものではない。私は、効果があるから大いにやりなさいと 言っているわけです。しかし、効果があるものは全部保険料から出せばいいのかと。そ れは、社会保険というのは何なのかと。社会保険というのは、社会保険庁の職員を養う ためのものではないわけでしょう。まさに社会の人たちのための保険なのでしょう。だ から社会保険は基本的には、学校で教えているのは、稲上座長の所でも教えていると思 うけれども、事務費は公費から出ると、それが社会保険の定義だというふうに学校で教 えてきているわけです。  ところが皆さん方が勝手にそれができるという条項を盾にとって、苦しいからという ので全部を保険で回してきたと。これがどんどん膨らんできているから。だいぶ前に破 ったから、私などがタッチしていないときに破ってしまったから、いまさら言ってもし ょうがないんだけど、このごろそれが目に余るから。だから、その使い方にはきちっと 歯止めをかけてくださいと。  しかも、増やすときにはできると言うのだったら、これは何のための政管懇談会なの ですか。使い方を増やすのだったら、せめてここで相談して了解を取ってからやるべき ではないですか。それはきちっとしてもらわなければ困る。  ついでに言いますと。政管の「5年を目途に見直す」と言うのだけども、これは当初 、民営化という話が出ましたね。この民営化ということは消えていないのですか、消え ているのですか。そこを併せてお答え願いたい。 ○ 岡田医療保険課長  その政管健保の在り方については、参考2の資料、1頁のいちばん下の所に、今回の 推進本部の中で検討組織が4つのグループに分かれて設けられるのですが、政管健保の その5年後の見直しにつきましては、いちばん最初の、「医療保険制度の体系の見直し 検討チームの中で検討される」ということになっていまして、2頁の一番上に項目とし て掲げられているところです。  ですから政管健保の在り方独自というよりも、医療保険制度全体の見直しの中で政管 健保はどうあるべきかと、それからその組織形態はどうあるべきかということで見直し が行われるものと承知しております。  民営化については、出てきた経過なども必ずしも十分に承知しておりませんが、当初 は民営化ということは明示されていますが、現在ではこういう形でなっております。全 くなくなったかどうかというか、そういうことも含めて在り方がこの医療保険全体の中 で検討されると承知しております。  保険料財源を使ってどこまでやるかということにつきましては、ご指摘の点も踏まえ て財革法で取り扱われているものを含めて、これは鋭意検討していく必要があるだろう と考えています。  ただ、現実問題としては、国庫補助にいろいろとシーリングという形でかかっている ということも現実ですので、そういう中でどういうふうなやり繰りをしていくかという ことは、考えていかざるを得ないというようなのが現状ではないかと認識しております 。 ○ 村上委員  シーリング、シーリングって、シーリングで頑張らないからこっちに付けが回るじゃ ない。シーリングのところで頑張らないから。これ以上私が言っても皆さん方にご迷惑 をするから、言いませんが。 ○ 稲上座長  ほかのご意見なりご質問はいかがですか。どうぞ。 ○山本委員  先ほどからお話の出ている中で、「レセプトの点検調査事業」というのがありますが 、暦年と言うのでしょうか、ここ4年間のものが出ています。お話の中に、これを行う ことによって給付の削減と言うのでしょうか、そういうことに資するということなので すが、具体的には、毎年やっていらっしゃって成果として何か数値化できるものは出て いるものなのですか。これをやることによってこれだけ成果が、こういうふうな効果が ありましたと。 ○田中医療保険課長補佐  委員ご指摘の趣旨がこのDVD化による効果ということでしたら、そこの試算を示す のはいまからちょっと難しいかなと思っておりますが、レセプト点検調査自体の全体の 効果としましては、同じ資料6の3頁目です。平成12年度でいきますと、いちばん下を 見ていただきますと、約1,073億円となっています。これはまさに、レセプト点検をし た結果、払っていた医療費を取り返すという形でいわば医療費の節減をしたという効果 が1,073億円である、という趣旨のデータです。 ○山本委員  この「再審査容認等」の合計欄ですか。 ○岡田医療保険課長  その上の「保険給付費」というのは、平成12年度に「一般分」「老人分」としてお支 払いした金額です。そのうち、「再審査容認等」ということで、レセプト点検調査によ って挙げられた成果を下の形で数字として掲げているということです。 ○山本委員  我々、中小企業関係は、いまこのデフレ現象の中、大変さまざまなコスト低減努力を しているわけです。この事業運営方針等におきましても、この事業主の負担軽減という ふうなことが謳われておりますが、これまでの検討、あるいはこれからの取り組みにお きまして、この事業主の負担軽減ということはどういうふうな方向で取り組まれ、ある いは議論されてきているのかを教えていただきたいのです。 ○岡田医療保険課長  負担軽減というのは、具体的にどういうことなのですか。 ○山本委員  今回、保険料の引上げなどがあるわけです。そういう中で中小企業事業主がこういっ た事業主の負担軽減ということをご当局、あるいはその審議会等においてどんなふうに 議論されたのかと、こういうことです。特にそういうことについては、議論は特にされ ていないわけですか。 ○岡田医療保険課長  現状では、平成14年度予算で数千億の赤字という形になっているわけです。いままで は積立金があったのでそれを食いつぶす形で何とかつないできたわけですが、平成14年 度ではそれがほぼ枯渇するというような状況ですので、このままいけば毎年それだけの 赤字で、いずれはやっていけなくなってしまうというような状況です。そういう点を踏 まえて今回、医療保険制度改正というものが考えられて、いろいろと議論はされてきた ということではないかと思います。  その中で、保険制度というものは基本的には保険料を集めてそれを給付するわけです ので、保険料をどのような水準に設定して給付をどのような形にするのかというような ことでご議論がされたと。それから診療報酬の改定とか、そういうことの全体を通じて どういうふうな形で負担をしていただいて給付をしていくのか、ということが整理され ているということだと思います。  結果としては、保険料率は総報酬制で82/1,000ということで、給付のほうは3割負担 という形になりました。診療報酬改定が△2.7%ということで、それは、保険の財政に とっては非常に支出の減につながっています。  それから3割負担についてはいろいろとご議論がありますが、3割負担を導入するこ とによりまして保険料の引上げを相当抑制することができたというのは事実です。ベー スとしては負担と給付の間に大きな格差があって赤字傾向ですので、それを埋めるとい う形にさせていただくのはご理解いただきたいと思うのです。その中でも給付の見直し とか診療報酬の引下げというような形で、保険料負担ができるだけ抑制できるような形 で取り組まれている、と考えております。 ○稲上座長  よろしいですか。ほかにご意見、ご質問がありましたら、どうぞ。 ○高梨委員  遅れてきての発言で申しわけありません。いま山本委員が発言したこととも関連する のですが、政管の保険料率がいま標準報酬ベースで85です。総報酬ベースでいくと75で す。それが今度の法律案によれば、82にするということになっているわけです。配付さ れた参考5に今後5年間の収支というものが出ているのです。82にしますので、平成15 年度は収支差が1,800億円になりますよと。要するに事業運営安定資金と言いますか、 それが1,800億円積み上がると、こういうことになるわけです。  いま小泉内閣の下で構造改革が進められて、何とかプラス成長にしないといけないと いうことなのですが、なかなか進展していない。要するに、経済活動がなかなか活力あ るものになっていない。そういう経営環境の中で1,800億円いわば貯金する、積立金と して取られていくというのは、中小企業を中心とする政管の事業主、もちろん従業員に とっても大変辛いことなのです。いろいろな対応をしないといけないのでしょうが、こ の法案でいけば82ということで5年間引っ張るということで、5年間は一応大丈夫だと 、こういうことではあるのでしょう。  平成15年度なりに1,800億円、要するに政府に預けてしまうわけです。そういうのは 企業あるいは勤労者にとって大変辛いことなので、何か工夫してもっと穏やかな形でこ の保険料率を上げていくというような、そういう方法というのは取れないのですか。要 するに82という約1割上げて5年間引っ張ると、こういうことではなくて、緩やかに上 げていく。法案によれば、企業にしても従業員にしても、政府に納めてしまうわけです 。納めるのではなくて自分の手元に置いて、それで投資もするし、あるいは消費もする ということの中で日本経済を早く立ち直らせて行くという、そういう発想があってもよ さそうな気がするのです。  いまの厳しい経済環境からすると、果たして従来的な考え方がいいのかどうかという 点があるような気がするのですが、その辺をどんなふうにお考えになるのでしょうか。 ○岡田医療保険課長  今回の医療保険制度改革をどういう形で検討して、どういう形で取りまとめたかとい うことに関わっていると思うのです。今回の医療保険制度改革では、一応ある程度中期 的、5年ぐらいの間医療保険財政を安定させるという意味で5年間、一旦上げれば大体 5年間はもつというような形で制度全体の検討が行われているというようなことで、い ま申し上げましたような5年間で同じ料率というような形で制度の見直しをし、段階的 に上げるということでなくて、平成15年に上げて、それでほぼ5年間は維持しようとい うような形で整理されてきている、というように承知しております。 ○高梨委員  私はべつに、中期的に、5年なら5年間を展望しながら料率を考えていくということ を否定しているわけではないのです。要するに、1割上げてずっとそのままいくという やり方もあるのでしょうが、穏やかに上げて5年間もつというやり方だってあり得るの だろうと思って、いま質問をさせていただいたのです。 ○岡田医療保険課長  基本的には5年間安定というような形で全体の医療保険制度改革がそういう形で整理 されていると思うのです。当初、例えば平成15年、平成16年は財政がいいから料率を下 げたとしても、これはいずれにしろ赤字のときはまたそれで上げなければいけないとい うことで、毎年料率を変えていくようなことがいいのかどうか。そういうようなことも 全体を含めて一応5年間同じような料率でやったほうがいいのではないか、というよう な判断がされたということではないかと思っております。 ○高梨委員  納得しませんが。 ○村上委員  最後に1つ要望をしたいのです。私ども見るに、厳しい経済環境のせいもあるのだろ うと思いますが、事業主側がおそらく自分たちの負担を逃れるためだと思うのですが、 政管健保から脱落して国保に行っている労働者の例が我々の所にもいくつか上がってき ています。これはやはり経営の完全なるモラルハザードです。  企業というものは社会的に存在するわけですから、社会的コストは必要以上に払えと は言いませんが、決められた分は払うということがなければ、これは政管ももたないし 、そうやって来られたら国保側だって迷惑するわけです。そこは是非社会保険庁はきっ ちりした対応をしていただいて、変なモラルハザードに拍車がかからないようにやって いただきたい、ということを要望しておきます。 ○稲上座長  いまのことで何かありますか。 ○岡田医療保険課長  いまの適用対策について、これは非常に重要な課題だと認識しております。これは、 強化しなければいけない課題だと思っています。具体的には事業主から、事業をやめる から被保険者をもう全部喪失したいという形で全喪届というような形で出されることが あるのです。そういうようなことが出された場合、その事業の実態とかを現状よりさら に詳細にチェックして、そういう偽装がないような形にチェックできるような体制をも う少し強化したいと思っております。  もう一方で、本来加入すべき事業主であるのに、そこについてまだ十分加入できてい ないのではないか、というようなご指摘もあります。それについてはいま、法人登記簿 のデータ等を参考にして適用の拡大を図っているわけですが、それについてもさらに一 層、適用拡大について努力をしたいと考えています。 ○稲上座長  この際ほかに何かご発言はありますか。それではご発言がないようですので、まだ少 し時間が早いのですが、今日はこれでお開きにさせていただきます。どうもありがとう ございました。 (問い合わせ先)   社会保険庁運営部医療保険課健康保険管理係    電話(代表)03-5253-1111     (内線)3597