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資料5

平成14年度

社会保険事業計画
(抄)

社会保険庁



I 事業運営方針


I 社会保険事業を取り巻く状況変化への的確な対応


1〜3 (略)

4.社会保険料及び労働保険料徴収事務の一元化について

 社会保険料及び労働保険料徴収事務の一元化については、行政改革大綱や経済財政諮問会議の基本方針、さらには去る11月29日政府・与党社会保障改革協議会が取りまとめた「医療制度改革大綱」においてもその積極的な取り組みが求められているところである。
 社会保険庁としては、社会保険と労働保険の徴収事務の一元化について、早急に取り組むべきものと認識しており、現在、4制度の徴収事務に関し、事業主の負担軽減と事務運営の効率化を図るため、平成15年度の電子政府化に合わせ、インターネットによる届出の一元的な受付を実施出来るよう準備を進めているところである。
 また、保険料の収納等の実務について、一元的に行うための体制のあり方についても検討を行うこととしており、これに向けた取組みを行う。

5 (略)


II 医療保険制度及び年金保険制度の適正かつ安定的な事業運営

1.医療保険制度の事業運営

 我が国の国民医療費は年々増大し、現在では国民所得の8%程度の規模に達し、とりわけ、老人医療費は医療費全体の3分の1を占め国民医療費の伸びの最大の要因となっている。
 こうした医療費の増大は、経済の低迷による保険料収入の伸び悩みと相まって、各医療保険財政に多大な影響を及ぼしているところであり、政府管掌健康保険及び船員保険についてもその例外ではない。
 このため、昨年11月には、高齢者医療制度の見直しを始めとするこれまでの改革で残された課題への対応に加え、政府管掌健康保険については、中長期的な財政の均衡が図られるよう、保険収支の見直しを行うことなどを内容とする政府・与党社会保障改革協議会としての「医療制度改革大綱」が取りまとめられ、また、この大綱を踏まえ、医療制度改革案が昨年末に示されたところである。
 平成14年度予算案においては、診療報酬改定を含む医療制度改革による財政影響を取り込んだ上で、保健福祉事業費の見直しを始めとする保険者としての最大限の努力を盛り込むなどにより、収支の均衡を前提とした予算を計上したところであるが、単年度収支差は6千3百億円強の赤字と見込まれるなど、政府管掌健康保険の財政運営は極めて厳しい状況下にある。
 こうした厳しい財政状況を踏まえ、政府管掌健康保険及び船員保険の保険者たる社会保険庁としては、健全な財政運営のため確実な保険料の徴収と保険給付の適正化等に向けた最大限の保険者努力を行うこととしている。
 このため、全喪届受付時における事業実態の的確な把握をはじめとする適用の適正化対策を確実に実施するとともに、保険料収入の確保のため、保険料の納期内納入の励行指導、滞納事業所に対する納付指導の徹底など保険料収納対策を一層強化するほか、レセプト点検調査を中心とする医療費適正化対策をさらに強化することとしている。
 特に、レセプト点検調査については、保険者として取り組むべき医療費適正化対策における最重要課題として位置づけており、まさに保険者機能の発揮という観点から、内容点検の充実強化を図るとともに、レセプト点検調査に係る事務処理方法の一層の効率化を推進することとしている。
 また、厳しい財政状況を踏まえつつ、新たなC型肝炎ウイルス検査を含めた生活習慣病予防健診事業、健診をより有効なものとするための保健師を活用した健診後の生活習慣改善指導の実施等、健康管理事業の推進を図ることとしている。

2 (略)


II 社会保険庁の事務の実施基準及び準則並びに平成14年度において社会保険庁が達成すべき目標


社会保険庁の事務の実施基準及び準則について

[ 厚生労働省発政第93号
平成13年3月30日
(厚生労働事務次官依命通達)
]


I 実施基準

 社会保険庁は、政府が管掌する健康保険事業、船員保険事業、厚生年金保険事業及び国民年金事業(以下「社会保険事業」という。)の保険者として、適正かつ安定的に事業を運営するとともに、厚生労働省設置法等により、その任務とされた事務を適正に実施する。
 また、事業の運営に当たっては、常に国民の立場に立ち、透明性の確保を図るとともに、事務の効率化を進め、もって、社会保険事業に対する国民の理解と信頼を得る。


II 事務の実施準則

1 適用事務に関する事項

(1)政府が管掌する健康保険事業、船員保険事業及び厚生年金保険事業に係る各種届書等の適正な届出及び早期提出について、事業主(船舶所有者を含む。以下同じ。)及び被保険者に的確に周知するとともに、励行を促進すること。

(2)事業主に対し的確かつ効率的な調査を行うことにより、政府が管掌する健康保険事業、船員保険事業及び厚生年金保険事業に係る被保険者(被扶養者を含む。)に係る資格及び標準報酬等を適正に把握すること。

(3)〜(5) (略)

(6)その他被保険者等の適用については、関係法令に基づき適正に行うこと。

2 保険料等収納事務に関する事項

(1)政府が管掌する健康保険事業、船員保険事業及び厚生年金保険事業に係る保険料並びに児童手当事業に係る拠出金(以下「保険料等」という。)の収納の確保については、事業主に対する制度啓発、口座振替の促進等により、保険料等の納期内の納入を促進すること。

(2)保険料等を滞納する事業主に対する納付の督促及び国税滞納処分の例による処分を確実に実施すること。

(3)〜(5) (略)

3 保険給付事務に関する事項

(1)社会保険事業に係る保険給付については、正確に決定及び支払を行うこと。

(2)レセプトの点検調査、医療費通知等により、医療給付の適正化を図ること。

(3) (略)

(4)その他保険給付の事務については、関係法令に基づき適正に行うこと。

4 保健事業及び福祉施設事業に関する事項

(1)被保険者等の健康管理意識の高揚及び健康の保持増進を図り、ひいては医療給付を適正なものとするため、生活習慣病予防健診、それに基づく事後指導等の事業を適切に実施すること。

(2)その他の保健事業及び福祉施設事業については、適切に実施すること。

5 広報、情報公開、相談等に関する事項

(1)社会保険事業に対する国民の理解と信頼を確保するため、効果的な広報を行うこと。

(2)相談体制を整備し、国民からの相談に対しては、懇切丁寧に対応すること。
また、事業に関する意見は真摯に聞き、事業の改善に役立てること。

(3)職務上知り得た個人情報については、厳正に保護すること。

(4)国民に対する情報提供の充実を図るとともに、レセプトの開示等についても適切に対応すること。

(5)職員の専門的な知識の習得及び資質の向上を図ること。


平成14年度において社会保険庁が達成すべき目標について

[ 厚生労働省発政第0204002号
平成14年2月4日
(厚生労働事務次官依命通達)
]


 平成14年度において、厚生労働大臣が社会保険庁長官に権限を委任した事務に係る社会保険庁が達成すべき目標は、別表のとおりとする。
 なお、この目標に対する実績の評価に当たっては、国への事務移管等の制度変更及び社会経済情勢の変化による影響等を考慮するものとする。
 また、平成15年度以降に係る目標については、社会保険庁の自律性を高める観点から、平成13年度以降の社会保険庁の実績に係る評価の結果も踏まえつつ、可能な限り具体的かつ客観的な基準となるよう引き続き検討を進め、逐次改善を図るものとする。



(別表)

平成14年度において社会保険庁が達成すべき目標

達成すべき目標 指標 (参考指標データ)

1 適用事務に関する事項

(1) 政府管掌健康保険事業・船員保険事業・厚生年金保険事業の適用対象事業所(船舶所有者を含む。)の適正な把握に努め、適用を促進すること。

・新規適用事業所数 政府管掌健康保険・厚生年金保険
61,287事業所
船員保険
144事業所
(平成12年度)
・全被保険者資格喪失事業所数 政府管掌健康保険・厚生年金保険
76,723事業所
船員保険
439事業所
(平成12年度)
・適用事業所数 政府管掌健康保険
1,541,989事業所
船員保険
7,100事業所
厚生年金保険
1,674,165事業所
(平成12年度末現在)
・巡回説明事業所数 30,115事業所
(平成12年度)
(2) 政府管掌健康保険事業・船員保険事業・厚生年金保険事業の事業主(船舶所有者を含む。)等に対し、適正な届出の励行を促進すること。 ・説明会開催数  
・調査官総合調査件数 361,049事業所
(平成12年度)
(3) 政府管掌健康保険事業・船員保険事業・厚生年金保険事業の事業主(船舶所有者を含む。)に対する調査を効果的に実施し、被保険者及び被扶養者の資格、標準報酬を適正に把握すること。 ・被保険者数
(資格取得分)
政府管掌健康保険・厚生年金保険
6,387,672人
船員保険
26,766人
(平成12年度)
・被保険者数
(資格喪失分)
政府管掌健康保険・厚生年金保険
6,787,711人
船員保険
31,998人
(平成12年度)
・被保険者数
(年度末現在)
政府管掌健康保険
19,450,872人
船員保険
83,691人
厚生年金保険
32,192,494人
(平成12年度)
・被扶養者数 政府管掌健康保険
17,306,965人
船員保険
144,575人
(平成12年度)
・定時決定時調査件数 721,480事業所
(平成12年度)
・調査官総合調査件数 361,049事業所
(平成12年度)
(4)〜(6) (略)    

2 保険料等収納事務に関する事項

(1) 政府管掌健康保険事業・船員保険事業・厚生年金保険事業の保険料の納期内納入の励行指導、口座振替の促進等により、保険料及び児童手当の拠出金の適正な納入を促進すること。

・前年度と同じ、又は上回る保険料収納率となること。
   
(2) 政府管掌健康保険事業・船員保険事業・厚生年金保険事業の保険料の納期内納入の励行指導において、保険料等を滞納する事業主(船舶所有者を含む。)に対する納付の督促及び滞納処分を確実に実施すること。 ・保険料収納額
政府管掌健康保険
 保険料収納額 6兆1,169億円
船員保険
 保険料収納額 719億円
厚生年金保険
 保険料収納額 20兆512億円
児童手当
 拠出金収納額 1,359億円
(平成12年度)
・保険料調定額  
(3)、(4) (略)    

3 保険給付事務に関する事項

(1) 政府管掌健康保険事業・船員保険事業におけるレセプト点検調査、第三者に対する損害賠償請求権の行使等を通じて、医療費適正化を推進すること。

・前年度の被保険者1人当たり点検効果額を上回ること。
・医療費通知件数 政府管掌健康保険
14,813,172件
船員保険
78,947件
(平成12年度)
(2) 政府管掌健康保険事業・船員保険事業において、傷病手当金等の現金給付の適正化を図ること。 ・現金給付費 政府管掌健康保険
5,049億円
船員保険
76億円
(平成12年度)
・被保険者1人当たり支給日数
 (傷病手当金)
政府管掌健康保険
1.64日
船員保険
7.89日
(平成12年度)
(3)〜(5) (略)    

4 保健事業及び福祉施設事業に関する事項

(1) 政府管掌健康保険事業・船員保険事業において、生活習慣病予防健診事業を効果的に実施するとともに、それに基づく事後指導等の事業を適切かつ効率的に実施すること。

・健診実施者数 政府管掌健康保険
3,165,777人
船員保険
22,199人
(平成12年度)
・事後指導実施者数 政府管掌健康保険
407,446人
(平成12年度)
(2) 社会保険事業に係る保健・福祉施設事業は、適切かつ効率的に実施すること。 ・利用者数  

5 広報、情報公開、相談等に関する事項

(1) 社会保険事業に関する効果的な広報を行うこと。

・年金教育の実施校数 延5,241校
(平成12年度)
・年金研修の実施事業所数 6,073事業所
(平成12年度)
(2) (略)    
(3) 国民からの相談に対しては、懇切丁寧に対応すること。また、事業に対する意見は真摯に聞き、事業の改善に役立てること。 ・ホームページ掲載の相談項目数 年金相談項目数
180項目
(平成13年3月末現在)
(4) 国民に対する情報提供の充実を図るとともに、レセプトの開示等についても適切に対応すること。 ・ホームページアクセス数 796,136件
(平成13年3月末現在)
・情報公開法に基づく開示請求の開示件数  
・レセプト開示件数 2,231件
(平成12年度)


III.平成14年度事業計画


1.重点事項

【医療保険】

1 制度改正の施行に伴う事務の円滑な実施

 医療保険制度の安定的な事業運営を確保する観点から、制度改正の施行事務については、改正法等の成立後、速やかに事業主、船舶所有者及び被保険者等に対する改正内容の周知広報を行い、もってその円滑な実施を図る。

2 適用の適正化

 医療保険事業の適正な運営及び費用負担の公平化を図る観点から、特に適用漏れが多いと見込まれる適用事業所に対する適正な届出指導を行うほか、各種周知広報、説明会の開催及び効果的な事業所調査を実施し、これにより適用の適正化を図る。
 また、適用対象事業所を的確に把握した上で、社会保険労務士を活用した巡回説明を実施するなど適用対象事業所に対する適用の促進を行い、もって適用の適正化を図る。

3 保険料収入の確保

 医療保険の健全な財政運営を確保する観点から、保険料の納期内納入の励行指導、滞納事業所に対する納付指導及び滞納処分等の早期着手等の的確な実施により、保険料収入の確保を図る。

4 保険給付の適正化

 保険者機能の強化を図る観点から、保険給付の適正化のため、特にレセプト点検調査に係る縦覧点検及び外傷性点検を中心とする内容点検の充実強化を図るとともに、事務処理の一層の効率化を推進する。

【年金保険】(略)

【制度共通】

社会保険料及び労働保険料徴収事務の一元化に向けた取組み

 社会保険料及び労働保険料徴収事務の一元化については、事業主の負担の軽減と事務運営の効率化を図るため、平成15年度の電子政府化に合わせ、インターネットによる届出の一元的な受付を実施できるよう準備を進めるとともに、保険料の徴収事務を一元的に行うための体制のあり方について具体的な検討を行うこととしており、これに向けた取組みを行う。


2.実施事項

【政府管掌健康保険】

1 適用の適正化

(1) 適用事業所に対する指導

(1) 事業主に対する適正な届出の指導並びに事業所調査の効果的な実施

ア 派遣労働者、高齢就労者、短時間就労者、外国人就労者、在宅就労者及び国民健康保険組合加入者等に係る適正な届出の指導

イ 上記就労者が多いと見込まれる事業所を優先した調査の実施

ウ 解散や休業を理由とする全喪届受付時における事業実態の的確な把握

エ 老齢厚生年金受給者の現況届を活用した届出勧奨

(2) 被保険者資格、被扶養者及び標準報酬の適正把握

(2) 適用対象事業所の的確な把握及び適用促進

(1) 法人登記簿等の活用
(2) 労働保険の適用事業所情報の活用
(3) 社会保険労務士を活用した巡回説明の実施

2 保険料収入の確保

(1) 保険料の納期内納入の励行指導

(1) 口座振替の促進
(2) 口座振替不能事業所に対する再発防止の指導

(2) 滞納事業所に対する納付指導の徹底及び滞納処分の適正な実施

(1) 納入督励の早期着手による滞納保険料の徴収
(2) 倒産・不渡情報の早期把握
(3) 滞納処分等の早期着手
(4) 長期・大口滞納事業所等に対する滞納整理

3 保険給付の適正化

(1) 医療費適正化対策

(1) レセプト点検調査の実施

ア 効果的かつ効率的なレセプト点検調査の実施

  •  縦覧点検及び外傷性点検の重点的かつ的確な実施
  •  レセプトの電子媒体(DVD)化による効率的な事務処理の実施

イ レセプト点検調査結果等の活用

  •  事業主、被保険者等に対する重複受診防止等の指導
  •  保険医療機関等の指導監査担当部署との連携

ウ 第三者行為保険事故に係る損害賠償請求権の迅速な行使

  •  事業主及び被保険者に対する第三者行為傷病届の適正な届出の指導、啓発
  •  損害賠償請求権の時効の中断措置を講じる等的確な債権管理の実施

(2) 医療費通知の実施

(3) 高医療費地域対策

ア レセプト参考情報を活用した事業所毎の医療費特性等の分析
イ 分析に基づく内容点検、被保険者及び事業所に対する保健師等を活用した指導の実施

(2) 現金給付の適正化

(1) 傷病手当金の支給の適正化
(2) 柔道整復師の施術に係る療養費の支給の適正化

4 健康管理事業の実施

(1) 健康づくり事業の実施

(1) 健康づくり指導講習会の開催等
(2) 心の健康(メンタルヘルス)の保持増進事業の実施

(2) 生活習慣病予防健診事業の実施

一般健診(C型肝炎ウィルス検査を含む)等の実施

(3) 生活習慣改善指導事業の実施

 健診結果が「軽度異常」「要経過観察」と判定された者に対する保健師を活用した事後指導の実施

(4) 社会保険総合健康管理推進事業の実施

 生活習慣病予防健診を通じ、生活習慣に起因する糖尿病等の危険因子を有する者に対する保健師、栄養士、健康運動指導士等による助言・指導の実施

5 広報活動の推進

(1) 制度改正に伴う施行事務の円滑な実施のため、事業主及び被保険者等に対する改正内容の周知広報を実施

(2) 適用の適正化及び適正な保険料収入の確保並びに保険給付の適正化のため、被保険者資格、被扶養者及び報酬月額の適正な届出、保険料の納期内納入、適正受診等について、事業主及び被保険者等に対する周知広報を実施

【船員保険】 (略)

【厚生年金保険】 (略)

【国民年金】 (略)



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