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資料5

社会保険庁の事務の実施準則に沿った取組


 中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号)第16条第6項第2号においては、府省の長は、実施庁の事務の実施基準その他当該事務の実施に必要な準則を定めて公表するものとされているところ。

(注)実施庁とは、主として政策の実施に関する機能を担う庁をいう。同法別表第3において、社会保険庁は、実施庁と位置付けられている。

○ これに基づき、厚生労働省においては、社会保険庁の事務の実施基準及び準則(別添1)を定めたところ。

○ これらを受けて、社会保険庁においては、

 (1) 適用事務
 (2) 保険料等収納事務
 (3) 保険給付事務
 (4) 保健事業及び福祉施設事業
 (5) 広報、情報公開、相談等

 を推進する方針。

○ このうち、政府管掌健康保険関係では、

 (1) 未適用事業所の適用促進(別添2
 (2) 出産費貸付事業の実施(別添3
 (3) レセプト点検調査の充実(別添4

 等に取り組んでいるところ。また、今後、

 (4) パソコンを利用したレセプト点検業務の効率化(別添5
 (5) 生活習慣病予防健診事業におけるC型肝炎ウイルス検査の実施(別添6

 等に取り組む予定。



別添1


「社会保険庁の事務の実施基準及び準則」
(平成13年3月30日厚生労働省発政第93号厚生労働事務次官通知)
<抄>


I 実施基準

 社会保険庁は、政府が管掌する健康保険事業、船員保険事業、厚生年金保険事業及び国民年金事業(以下 「社会保険事業」という。)の保険者として、適正かつ安定的に事業を運営するとともに、厚生労働省設置法等により、その任務とされた事務を適正に実施する。
 また、事業の運営に当たっては、常に国民の立場に立ち、透明性の確保を図るとともに、事務の効率化を進め、もって、社会保険事業に対する国民の理解と信頼を得る。


II 事務の実施準則

1 適用事務に関する事項

(1) 政府が管掌する健康保険事業、船員保険事業及び厚生年金保険事業に係る各種届書等の適正な届出及び早期提出について、事業主(船舶所有者を含む。以下同じ。)及び被保険者に的確に周知するとともに、励行を促進すること。

(2) 事業主に対し的確かつ効率的な調査を行うことにより、政府が管掌する健康保険事業、船員保険事業及び厚生年金保険事業に係る被保険者(被扶養者を含む。)に係る資格及び標準報酬等を適正に把握すること。

(3)〜(5) (略)

(6) その他被保険者等の適用については、関係法令に基づき適正に行うこと。

2 保険料等収納事務に関する事項

(1) 政府が管掌する健康保険事業、船員保険事業及び厚生年金保険事業に係る保険料並びに児童手当事業に係る拠出金(以下「保険料等」という。)の収納の確保については、事業主に対する制度啓発、口座振替の促進等により、保険料等の納期内の納入を促進すること。

(2) 保険料等を滞納する事業主に対する納付の督促及び国税滞納処分の例による処分を確実に実施すること。

(3) (略)

(4) 介護保険法に基づく介護保険料の徴収事務については、円滑な実施を図ること。

(5) その他の保険料等の収納については、関係法令に基づき適正に行うこと。

3 保険給付事務に関する事項

(1) 社会保険事業に係る保険給付については、正確に決定及び支払を行うこと。

(2) レセプトの点検調査、医療費通知等により、医療給付の適正化を図ること。

(3) (略)

(4) その他保険給付の事務については、関係法令に基づき適正に行うこと。

4 保健事業及び福祉施設事業に関する事項

(1) 被保険者等の健康管理意識の高揚及び健康の保持増進を図り、ひいては医療給付を適正なものとするため、生活習慣病予防検診、それに基づく事後指導等の事業を適切に実施すること。

(2) その他の保健事業及び福祉施設事業については、適切に実施すること。

5 広報、情報公開、相談等に関する事項

(1) 社会保険事業に対する国民の理解と信頼を確保するため、効果的な広報を行うこと。

(2) 相談体制を整備し、国民からの相談に対しては、懇切丁寧に対応すること。また、事業に関する意見は真摯に聞き、事業の改善に役立てること。

(3) 職務上知り得た個人情報については、厳正に保護すること。

(4) 国民に対する情報提供の充実を図るとともに、レセプトの開示等についても適切に対応すること。

(5) 職員の専門的な知識の習得及び資質の向上を図ること。


別添2


未適用事業所の適用促進


1 未適用事業所の実態

 健康保険及び厚生年金保険の適用については、法人事業所及び常時5人以上を使用する個人事業所は、一部適用除外の場合を除き、すべて制度に加入することとなっているが、小規模事業所を中心に保険料負担が困難であること等の理由により加入意識が低く、未適用事業所が存在している状況である。

2 現状の取組

 制度への加入に関する普及啓発を行うとともに、新規設立事業所を中心として、社会保険事務所職員や、社会保険労務士による未適用事業所の加入勧奨を行っている。

3 今後の取組

 社会保険労務士による説明と加入勧奨(巡回説明事業)の対象事業所数の拡大や、社会保険事務所職員等による事後指導の充実、労働保険の適用事業所情報の活用を始めとする労働保険サイドとの連携等により、未適用事業所の把握と加入促進に努力する。



別添3


出産費貸付事業の実施


1 趣旨

 出産に係る当座の費用に充てるため、出産育児一時金又は配偶者出産育児一時金(以下「出産育児一時金等」という。)の支給が行われるまでの間、被保険者又は被扶養者(以下「被保険者等」という。)の出産に関して無利子の貸付事業を行う。

2 貸付対象

 (1)又は(2)のいずれかの者の出産

(1) 出産予定日まで1ヶ月以内の被保険者等
(2) 妊娠4ヶ月以上の者で医療機関に一時的な支払いが必要となった被保険者等

3 貸付条件

4 返済方法

5 事業規模

6 実施時期

 平成13年7月

〈参考〉申請件数

平成13年7月 405件
8月 898件
9月 1,073件


別添4


レセプト点検調査の充実


 政府管掌健康保険においては、これまでに、次に掲げる施策を実施し、レセプト点検調査の充実を図ってきたところである。

<平成6年>

○レセプトのデータ化による資格点検業務等の効率化を実施

 従来、手作業で行っていたレセプト点検から、電子計算機を活用した効率的なレセプト点検へ移行した。

○「診療報酬明細書等の点検調査要綱」の策定

 従来、点検調査要綱は、社会保険事務所(又は都道府県)単位で策定されていたが、電子計算機を活用した点検の実施を期に、全国統一的な点検調査要綱を策定した。


<平成10年>

○レセプト点検事務センターの設置

 従来、社会保険事務所単位で行っていたレセプト点検業務を、より効率的かつ効果的に実施するため、都道府県単位にレセプト点検事務センターを設置し一括集中処理を行うこととした。[全国 56ヶ所]

○「診療報酬明細書等の点検調査要綱」の一部改定

 レセプト点検事務センターの設置により、効率的かつ効果的なレセプト点検の実施が可能となったことから、縦覧点検の実施を盛り込むとともに、内容点検における重点点検項目の追加を行った。

○レセプト点検調査員の増員

 レセプト点検事務センターの設置に伴い、レセプト点検の充実強化を図るため、レセプト点検調査員を増員した。[370名⇒744名]


<平成11年>

○保険給付審査医師等の設置

 レセプト点検における着眼点やレセプトの記載内容について、専門的な見地からの助言を得るため非常勤の医師(医師、歯科医師、薬剤師)を各レセプト点検事務センターに設置した。



別添5


パソコンを利用したレセプト点検業務の効率化
―レセプトの電子媒体(DVD)化―


1.目的

 現在、レセプト点検事務センターにおいて手作業で行われている点検対象レセプトの抽出・配列等業務の一部を機械処理化することにより、レセプト点検業務の効率化を図ることを目的とする。

2.効果

 業務処理の効率化により、点検対象医療機関の拡大等レセプト点検調査の拡充を図ることが可能となる。

3.システム導入後における業務処理の概要

 画像処理方式によるレセプト画像の電子媒体(DVD)への収録並びにレセプト基本情報の磁気媒体(DAT)への収録を外部委託により行い、これらの媒体を使用してレセプト点検事務センターに新たに設置する「レセプト情報管理システム」により、レセプトの抽出・配列、再審査等請求内訳票の作成等を機械的に行う。

業務処理の流れ(イメージ図)



別添6


生活習慣病予防健診事業におけるC型肝炎ウィルス検査の実施


1.趣旨

 C型肝炎については、100万〜200万の感染者が存在すると推計されており、国民の健康における極めて重大な課題となっている。

 このため、平成12年11月「肝炎対策に関する有識者会議」を設置され、本年3月報告書が公表されたところである。報告書には、現行の健康診査体制を活用したC型肝炎ウィルス検査の検討が盛り込まれている。

 厚生労働省は、報告書の具体化に最大限努力していく方針であり、社会保険庁としても、生活習慣病予防健診事業の中でC型肝炎ウィルス検査を実施しようとするものである。

 なお、老人保健法に基づく基本健康診査においても、C型肝炎ウィルス検査の実施が予定されているところである。


2.概要

(1) 対象者

 (1)から(4)までのいずれかに該当する者(過去にC型肝炎ウィルス検査を受けたことがある者を除く。)のうち、C型肝炎ウィルス検査を希望するもの。

(1) 一般健診を受診する35歳、40歳、45歳等の5歳刻みの者
(2) 日帰り人間ドックを受診する者
(3) 一般健診においてGPT値が36以上であった者
(4) 過去に肝機能異常の指摘を受けたことがある者

(注) (1)及び(2)については1次検査において、(3)及び(4)については2次検査において実施する予定。

(2) 平成14年度要求

1,786百万円 (837千人)

<参考> 「肝炎対策に関する有識者会議」報告書(抜粋)

II 対策の内容

1.国民一般への対応

 1) 具体的内容

(3) スクリーニング検査

 国民が、自身のC型肝炎ウイルス感染の状況を認識し、その結果に基づき必要な診療を受けることが重要であるが、健康診断等において実施されるスクリーニング検査はその重要なきっかけになると考えられる。なお、現時点ではC型肝炎の新規感染の可能性は極めて低いため、一般的には一回の検査で感染の状況を判断できるとされている。
 近年、診断、治療法が進歩していることから、診療の必要性が高いキャリアを効率よく発見し、適切な診療を受ける機会を確保できるような、スクリーニング検査の方法についても速やかに研究を進める必要がある。
 行政としては、こうした研究の成果も踏まえながら、地域や職域における現行の健康診断等の仕組みが活用できるかどうかについて引き続き検討していく必要がある。



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