ワーク・ライフ・バランスを向上させる
働く方々の健康確保とワーク・ライフ・バランスの推進のために、「勤務間インターバル制度」を導入しましょう。
一人ひとりが健康でいきいきと活躍できる会社をめざして
導入事例

ユニ・チャーム株式会社

卸売業,小売業
  • ● 設 立: 1961年2月10日
  • ● 事業内容: ベビーケア関連製品、フェミニンケア関連製品、ヘルスケア関連製品、化粧パフ、ハウスホールド製品
  • ● 従業員数: 1,297名[グループ合計15,500名](2015年12月)

ユニ・チャーム株式会社 の勤務間インターバル制度

制度の開始時期
2017年1月
インターバル時間
最低8時間以上、努力義務として10時間
対象範囲
全社員
規定根拠
就業規則により規定

ご回答 -グローバル人事総務本部 人事グループ シニアマネージャー 渡辺 幸成 様
企画本部 広報室 企業広報グループ 桐野 佐知子 様

1.勤務間インターバル制度の実施状況

…貴社で導入されている勤務間インターバル制度の概要を教えてください。

ユニ・チャームで勤務間インターバル制度を導入したのは、2017年の1月からであり、まさに生まれたての制度といえます。導入に当たっては、半年から1年近くの時間をかけて労使間で協議を重ねてきました。就業規則の中に、勤務間インターバル制度の規定を設け、社内に周知徹底を図っています。最低8時間以上、努力義務として10時間というインターバル時間を規定しています。制度の対象者は、ユニ・チャーム株式会社の全社員です。なお、子会社に出向しているユニ・チャーム籍の社員は対象外となっています。

…具体的にはどのような管理方法となるのでしょうか。

勤務表におけるアラーム機能を新たに導入し、時間を意識した働き方を促していきます。また、パソコン画面上に、ポップアップで、「定時になりました」というメッセージを表示し、時間経過にしたがって「22時を過ぎました、健康のために早く帰りましょう」といった警告メッセージが表れるようにします。まずは今年の2月から試験的に導入し、当初1カ月間は5分おきに表示させようと考えています。

…5分おきとはかなりの頻度ですね。

試行錯誤ですが、まずはこうすることで、会社として本気の姿勢を示したいと考えています。時間管理そのものはwebの勤怠管理で行うことになります。現時点ではインターバル時間が守れない場合の具体的なペナルティ等は定めていませんが、このインターバル時間の規定は就業規則に記載されているので、守られない場合は、就業規則違反に該当することになります。したがって、就業規則を守るという観点から上長の管理責任が問われてくることになるので、その点からの指導を強化していきたいと考えています。

…なるほど、管理職の管理責任を問う形でインターバル時間が確保できるようにしようということですね。

そうです。場合によっては、上長が管理していない中で部下が長時間労働をしているケースも考えられますが、少なくともある時間を超えて働いているような場合、なぜ働いているのか、その理由を確認したうえで、承認をするしないを決定していくよう、指導していきたいと考えています。

…しかし、繁忙期やお客様の都合等で、どうしてもその日のうちに何とかしなければいけない業務等もあるのではないかと思いますが、そのような場合の対処はどのようにされているのでしょうか。

確かに当社でも繁忙期や発表会等で十分なインターバル時間が確保できない可能性がないとは断言できません。そのような場合の扱いについては特に規則上明記していませんが、運用上、どうしても翌日にまたがるような勤務が発生した場合は、その週のうちに有給休暇をとる等の処置をほどこすようにしています。インターバル時間を守れない人がどの程度いるかは、これからの実績をみてみないと何ともいえないのですが、仮に例外状態の対応を明記してしまうと、それに抵触する罰則対象者を増やしてしまうという本末転倒にもなりかねないので、規則上はインターバル時間のみ明記し、状況を見ながら対応していこうと考えています。

2.勤務間インターバル制度の導入経緯

…勤務間インターバル制度を知ったきっかけは何だったのですか。

EUで導入されていることは承知していました。また、日本でも2%くらいの導入率があるといった情報もあったので、どのような企業で導入されているのかといった、ベンチマーク調査は行ってきました。

…どのようにして自社で導入しようと考えるに至ったのですか。

まずは、仮に自社で勤務間インターバル制度を導入するとしたら、どのような目的で導入するのかが重要であると考え、制度を導入することで、どのような価値を提供できるのかをしっかりと考えることが大切だろうという点から労使協議を始めました。そして、今回制度を導入するに際しては、働き方の改革及び人事制度の改定を2018年度に実施する予定であり、その際のテーマが、社員一人ひとりが健康でいきいきと活躍できる会社を創るということであることも背景にありました。

…働き方全般に及ぶ改革を検討していたところに、勤務間インターバルという解決策が見えてきたということでしょうか。

会社として、創業以来脈々と受け継がれているDNAを大切にしながらも、時代に合った形に進化させるため、改革を行なおうと考えていました。また、労働組合側からの働きかけとして、残業の多い部署等から、より働き甲斐のある会社にしていってほしいという要望等も出ていました。良い意味で、ユニ・チャームの社員には頑張り屋が多く、目標達成に向けてあきらめないところがあります。しかし、近年の労働環境や社会環境の変化の中で、働いた時間が成果を生むという時代が変わりつつあり、価値=時間という等式が成り立たなくなってきていると認識しています。加えて、これまでの制度設計には全員に制約がないという前提で作られていたきらいがあります。育児や介護をはじめとして、働く人、個々に様々な制約を抱える方への配慮が求められる時代になってきたと感じています。そういった制約を抱えた人が活躍できる制度を整えていかないと、競争に負けるだけではなく、市場に残っていけないのではないかという危機感もあり、勤務間インターバル制度導入の検討を進めました。

…社内の要請とともに、社会全体の変化を強く感じられて改革を検討されてきたということでしょうか。

そうですね。仕事は最後までやり抜くことが大切で、やり抜くことで達成感を得て人は成長します。しかし、変えていかなければならないのは、仕事のプロセスそのものなのだと思います。ただがむしゃらに目標に向かって進むのではなく、これまで以上に仕事の流れを上手にコントロールし、業務の山が一旦終了したら、有給休暇を取り、体と心を休めてエネルギーを確保・充電して働くメリハリが大切だということです。ここが今回の働き方改革の最大のポイントだと考えています。

…勤務間インターバル制度を導入されるに際して、どのようなコストが生じましたか。

制度導入に際してのコストという点については、定量的なものと定性的なものがあると考えられますが、定量的な部分でいうと、勤務表のインフラの改定というところで、一つコストがかかっています。また、今回制度を改めるに際して、その説明をグローバル人事総務本部と組合が直接会ってする、説明会を開くという手法をとってきたので、その説明会の開催費用や交通費、それを開くための社員一人ひとりの時間的なコストもかかっています。さらに、e-ラーニングの形での情報発信も行っており、これは社員全員に受講してもらうようにしています。未受講者にはリマインドが入るようになっています。e-ラーニングの1回の所要時間は10〜15分、必ず1回は受講してもらうようにしています。

3.勤務間インターバル制度の導入により期待される効果

…勤務間インターバル制度を導入することで、どのような効果が生じると期待されていますか。

最終的な目標としては、一人ひとりが健康でいきいきと働くことができる環境をつくることです。なぜなら、そういった環境を整えることで、一人ひとりの生産性が高まるだろうと考えています。

長年の習慣を変えるというのは、思っている以上に大変で、働き方を変えろといわれても、すぐに変えられるものではないとは思います。また、働き方改革といっても、本当に理解し、納得したうえで実行しているのではなく、単純に周りがやっているからやっているという方が多いのではないかと思うことがあります。勤務間インターバル制度のみならず、働き方の改革については、短期的な視点から考えるのではなく、中長期の観点で考えるべきでしょう。労働人口も減少過程に入っているわけですから、より多様な制約を抱えた人々が活躍できる環境を整えていった方が、より優秀な人材も集まりやすい態勢をとれるのではないかと考えています。

…目標を達成するために乗り越えていかなければならない課題は何だと思いますか。

一番難しいのは、顧客とのやりとりであり、どうしても今日中にといわれている場合等にどうするかといった点にあろうかと思います。しかし、本当にシビアな納期が毎日あるわけではなく、本当に守らなければならない納期を限定し、それに向けて計画的に業務を遂行するために、上司を交えて時間調節をすることが大切だと考えています。なかなか難しい部分はありますが、冷静に考えてみて調節できる部分は必ずあるはずです。重要なのは、自助努力で解決できる部分とそうでない部分をしっかり把握して混同しないことです。そのためには、上司が業務の内容、計画等をしっかり把握し、マネジメントできるようにしていかなければならない、その点はしっかり教育していかなければならないと考えています。また、改善要請への対応がしっかりと実施されているかどうかについても、本人と上司の両方からしっかりと確認をとっていくことが大切だと考えています。

…社員の皆さんからはどのような反応がありますか。

導入して間もないので、社員の反応もまだこれからといった状態です。われわれも、これが正しい解決方法かどうかもわからない。ひとまず導入して、反応をみて変化させていくことも大切ではないかと考えています。