ワーク・ライフ・バランスを向上させる
働く方々の健康確保とワーク・ライフ・バランスの推進のために、「勤務間インターバル制度」を導入しましょう。
どこまでも多様性のある柔軟な働き方を目指して
導入事例

株式会社東邦銀行

金融業
  • ● 設 立: 1941年11月4日
  • ● 事業内容: 銀行業
  • ● 従業員数: 2,167名<男性 1,401名、女性 766名>(2018年3月31日現在)

株式会社東邦銀行 の勤務間インターバル制度

制度の開始時期
2016年8月
インターバル時間
11時間
対象範囲
全従業員
規定根拠
就業規則のフレックスタイム制規程の中に「勤務間インターバル制度」を規定

ご回答 - ダイバーシティ推進課長兼パートナー支援課長 戸田満紀子 様 / 人事課長 邉見勝 様 / 人事課主任調査役 石川秀正 様

1.勤務間インターバル制度の実施状況

…制度を導入されたのはいつですか?

2016年8月です。働き方改革を実施し、多様で柔軟な働き方の仕組みを構築していく中で、フレックスタイム制、制度休暇の拡充、そして勤務間インターバル制度を同時に導入いたしました。

…導入前はどのような状況でしたか?

 当行には「人を大事にする」という経営方針があり、多様性のある人材戦略の一環として、従業員の育成・活躍促進・健康増進・福利厚生に力を入れてきました。また、2014年4月からは朝6時半から始業可能な「朝型勤務」を導入し、朝型勤務へのシフトを推進しております。2016年の制度導入前から、当行にはそうした業務の効率化と生産性の向上を図ってきた経緯があり、健康管理や長時間労働を抑制しようという意識は、すでに企業文化として広く浸透している状況にありました。  

 

  従来の働き方に不満や課題があったというわけではありませんが、安心して働ける環境が整備され、柔軟な働き方を推進する土壌が育ってきたこともあり、フレックスタイム制と勤務間インターバル制度を同時に導入することで、さらにワーク・ライフ・バランスを考慮した働き方を推進することとしました。

…導入された勤務間インターバル制度は、どういう内容なのでしょうか?

インターバル時間は11時間で、対象者は全社員です。当行の勤務間インターバル制度は、フレックスタイム制を補足するものとして位置づけていますので、インターバル時間が11時間に満たないから、上長の承認が必要などの特別ルールは設けておりません。勤務時間の調整に関しては、まずはフレックスタイム制の働き方が尊重され、インターバル間隔については従業員の自主性に委ねている状況です。

ただ、月間の所定労働時間が決まっていますので、各社員はそれを越えないように管理することが求められます。そのため、11時間のインターバルを取らないまま連続勤務をすることは、現実的には難しいと言えます。

…導入されたフレックスタイム制の内容についてもお聞かせください

当行のフレックスタイム制は、従業員が業務の繁閑等にあわせて始業時刻と終業時刻をフレキシブルに選択できるというものです。勤務時間はパソコンのログイン・ログアウトの時間で管理します。勤務可能時間は朝6時半から夜21時まで。2017年11月には、必ず勤務しなければならなかった「コアタイム」を廃止し、1日の勤務時間の長さも自由に決められるように改定いたしました。

2.勤務間インターバル制度の導入経緯

…フレックスタイム制だけではなく、なぜ勤務間インターバル制度を同時に導入されたのでしょうか?

フレックスタイム制を活用し自由に勤務時間が決められるからといって、長時間労働になってしまっては意味がありません。長時間労働を抑制するためにも、勤務間インターバル制度を導入することで、長時間労働にならないような風土、企業文化を組織全体に植えつけながら、健康管理への意識を高めてもらおうという狙いがあります。

…勤務間インターバル制度を導入するにあたって、どんな課題がありましたか?

先ほど触れたように、勤務間インターバル制度についてはフレックスタイム制を補完するものとして導入しております。制度導入の際に、インターバル時間をどう確保するかの前に、フレックスタイム制という働き方に対して、通常業務への支障を心配する意見や職場規律の乱れを懸念する声がありました。

ただ、あくまでフレックスタイム制というのは、従業員が自主的に目的を持って仕事と家庭を両立させるために、自分の仕事の都合にあわせて勤務時間を選択できる制度です。そういった制度導入の趣旨をしっかりと理解してもらうことで、懸念していたような混乱が起きることはありませんでした。もともと柔軟な働き方を積極的に推進してきた銀行でもありますので、勤務間インターバル制度も含め、そうした働き方の変化にはスムーズに対応できたように思います。

…導入の際にコストはかかりましたか?

勤務間インターバル制度のためだけに、何かコストをかけたということはありません。制度の運営については、従業員が自主的に休息時間をコントロールする方法を取っています。フレックスタイム制を始めるときに、勤務時間を登録するシステムを新しく導入しましたので、従業員はそのシステムを利用することで各自の勤務状況や休息時間を把握できるようになっています。

3.勤務間インターバル制度の導入による効果

…現在、制度の遵守状況はいかがですか?

営業店については、ほぼ守られている状況です。一部の管理監督者や本部で働く従業員については、その時々の施策や案件の状況によって、どうしてもインターバル時間が短くなってしまうことはあります。ただ、インターバル制度を導入してからは、そういった状況もかなり改善しています。

もともと長時間労働を良しとしない社風があり、あらためて制度として導入したことで、「休息時間はきちんと確保しよう」という意識がより強まったように思います。

…勤務間インターバル制度を導入することで、具体的にどのような効果がありましたか?

2016年8月の働き方改革以降、時間外・休日労働時間は確実に減少しています。2014年上半期と2017年上半期の時間外・休日労働時間を比較してみますと、52%も減少していることが分かりました。勤務時間が減ったことで、余った時間を自己啓発や勉強に活用する従業員も増えています。そうした流れを会社側もサポートしようと、銀行業務に必要な専門知識習得や自己啓発につながるような勉強会を定期的に開催しております。参加は自由で、本部からテレビ会議システムを使って開催することもあれば、各支店が独自の勉強会を開くこともあります。

また、当行の多様性を尊重した柔軟な働き方そのものが、就活生に対するアピールポイントにもなっています。学生の皆さんのアンケートを拝見しますと、当行を志願した動機の一つに、両立支援制度や多様な働き方の充実度を挙げる方がたくさんおりますので、人材確保にも大きな効果があるように感じております。

…会社全体の勤務時間が減少していく中で、営業成績や業務の質への影響はありませんでしたか?

当行では働き方改革を推進すると同時に、以前から業務改革への取組も続けております。社内のペーパレス化、グループウェアの活用、事務のシステム化など、業務にITを取り入れることで無駄な工程を省き、従業員の作業負担を減らす努力を続けてきました。

そうした事務の効率化に加え、働き方をより柔軟にしたことで、結果的に労働時間の余力が生まれています。そうした余力はお客様との相談業務や営業など、本当に時間を費やすべき仕事にあてられるため、業務の質は下がるどころか、むしろ以前より向上している印象があります。働き方改革と業務改革を両輪で進められているからこそ、従業員に負担を強いることなく、組織として上手く機能しているのだと思います。

4.今後の課題

…今後の課題について教えてください

さらに多様性のある柔軟な働き方を目指すために、今後は「場所」に縛られない働き方を導入したいと考えています。すでに「在宅勤務」や「テレワーク」といった働き方についての検討も始めています。それらを実現することができれば、育児で長期休業中の行員でも、自宅にいながらキャリアを継続できますし、長期休暇から復帰する際には、仕事をする感覚を自宅で徐々に取り戻すことができます。フレックスタイム制とテレワークを併用することができれば、いま以上に仕事と生活の調和を図りながら、より効率的に働ける環境を実現できるのではないかと考えています。

5.勤務間インターバル制度の普及に向けて

…制度をさらに広く普及させていくには、どんなことが必要だと思いますか?

ポイントは2つあると思います。ひとつは、時間をかけて浸透させること。当行の場合も、急に働き方改革を掲げたわけではなく、これまでの企業方針の流れの中でひとつずつ段階を上るように実行してきました。ゆるやかな流れの中で従業員にストレスをかけることなく一歩ずつ進めることで、働き方改革に対する行員の理解度や浸透度も深くなっていくのだと思います。

そして2つ目のポイントは、会社側から行員に対して、繰り返しメッセージを発信し続けることです。当行の場合は、頭取が全社員向けメッセージの中や支店長会議の中で、働き方改革の必要性を何度も繰り返し伝え続けています。本当の趣旨を理解してもらうため、まずは管理監督者の意識を変える必要があります。休息時間をしっかりと取ることは健康増進だけでなく、効率的な業務運営につながるということも理解してもらう。そういうメリットの部分を何度も繰り返し伝えながら、長時間労働に対する認識をあらためてもらう必要があるように思います。