ワーク・ライフ・バランスを向上させる
働く方々の健康確保とワーク・ライフ・バランスの推進のために、「勤務間インターバル制度」を導入しましょう。
勤務間インターバル制度で、業務の「見える化」が進む。
導入事例

株式会社スリーハイ

製造業
  • ● 設 立: 1990年
  • ● 事業内容: 工業用・産業用ヒーター製造
  • ● 従業員数: 31名(2018年6月現在)
  • ● 所在地: 神奈川県

株式会社スリーハイ の勤務間インターバル制度

制度の開始時期
2018年3月
インターバル時間
9時間
対象範囲
全員
規定根拠
就業規則に記載

ご回答 - 代表取締役 男澤誠様

1.勤務間インターバル制度の実施状況

…いつから導入しましたか?

当社が勤務間インターバル制度を導入したのは、2018年3月からです。

…導入前はどのような状況でしたか?

今までは、残業については事実上「野放し」の状態でした。一応作業場の掲示板にあらかじめ退社時間を記載してもらい、残業については事前把握ができるように努めていますし、また休日出勤の際は金曜日までに申告が必要なのですが、忙しくなってきたりすると、だんだん残業や休日出勤が「当たり前」になってきて、申告しないようになってくるのです。

そうは言っても、この状態をそのままにしておくだけの潤沢な原資があるわけでもありません。ですので、2017年の秋に社員に集まってもらい、「会社全体で、年間にこれだけ残業時間が発生しているよ」と提示したうえで、何らかのルールを作って労働改善しなければいけないと、問題提起をしました。さらに社会保険労務士さんに来ていただき、コンサルティングと同時に研修を受ける中で、この制度を導入することにしたのです。

…導入した制度はどんな内容でしょうか?

インターバル時間は9時間。対象は全員です。当社は8時半始業です。また、業務の性質上、朝礼には原則全員に参加してもらう必要があります。30分から、長くて1時間ほどの朝礼は、その日の作業内容を、パートタイムを含む全従業員で共有する、非常に重要な時間です。そこで社会保険労務士さんと相談をし、8時半から逆算して、前日の23時くらいまでには退社してもらえるように、9時間という時間を設定し、深夜残業の抑制等を図りました。

…制度が守れない場合はどうしていますか?

今のところ、制度が守れなかったとしても特に罰則は設けておりません。まだ制度を導入してから日が浅いので、守れなかったということはありません。ただ、これから、納期が迫っていたり、繁忙期になると、どうしても制度を守れないときがあるかもしれません。その時は、あらかじめ私(代表取締役)に伝えてほしいとお願いしてあります。しかしそうしたアナログ的なやり方では把握しきれないこともあるのではないかと考えています。ですので、今後はクラウド型の勤怠管理システムを導入することを考えています。

2.勤務間インターバル制度の導入経緯

…導入のきっかけ、検討開始のきっかけは何でしょうか?

実は、勤務間インターバル制度導入からさかのぼること5年ほど前、2013年ごろから、当社では、社員の働き方を変えていこうと、さまざまな取組をしてきました。

…かなり早い時期から、働き方改革に取り組んでいらっしゃったのですね

私どもは「ものづくり」の会社です。しかも、作っているものは、工業用・産業用ヒーターという、非常にニッチで、お客様一人ひとりのニーズにお応えしてゼロから作るオーダーメイドの製品です。ものづくりのクオリティを維持し、あるいは高めていくためには、私は、従業員の満足度を高め、モチベーションを上げていくことが不可欠だと考えたのです。そこでまず、ES(従業員満足度)の向上に取り組むことにしました。勤務間インターバル制度は、こうした当社のES向上の取組の流れの中にあるのです。

…導入にあたって課題はありましたか?

2017年の末くらいから社員にアンケートをとり、みんなどういう気持ちで残業に取り組んでいるのかを聞きました。「本当はやりたくないけど仕方がない」、「冬は忙しいから仕方がない」、「残業時間を減らすのは無理だ」、「勤務間インターバル制度を導入したら、お客さんが逃げてしまうのではないか」など、ネガティブな意見がたくさん出てきました。結局、納期最優先で動いている社員からしたら、使命感で残業をしているのに、こういうのは逆効果じゃないか、という思いがあったのだと思います。とはいえ、働き方改革が進む状況の中で、先ほど申し上げた、社員のES向上のためにも、取り組んでいく必要がありました。その意味では、社員の意識をどう変えていくのか、が最大の課題だったかもしれません。

3.勤務間インターバル制度の導入による効果

…導入後、どのような効果がありましたか?

勤務間インターバル制度導入後、社員の意識も大きく変わり、残業も少なくなりました。同時期にES向上の一環として、勤務時間内や終業後に、ヨガや英会話などのさまざまな活動を企画し、社員やパートに参加してもらえるようにしたのですが、「今日はがんばって、仕事を早く終わらせてヨガをやろう」というように、こうした変化をポジティブに受け止めてもらえていると思います。

また、業務の「見える化」が進みました。製品製造を担う製造部では、それまでは部門会議は行っていなかったのですが、勤務間インターバル制度導入後は、月一回の部門会議を通じて誰がどれくらいの仕事を持っているかを可視化するようになりました。各人の仕事を調整し、稼働をならしていくと、意外に「そんなに残業しなくていいんじゃないか」という気づきがありましたし、またお互いが助け合う気運が醸成されました。  

さらにこの部門会議に、社員だけでなくパートリーダーにも入ってもらいました。そうすると社員が稼働の調整で困っているときに、パートリーダーが、一部の工程を回してくれ、と申し出てくれたりするのです。パートの方が積極的に手を挙げ、会社の運営に貢献してくれるようになったのも収穫でした。

こうした取組が、会社の知名度やイメージの向上に寄与することがあるのではないかと思っていますし、また雇用維持の観点から言っても効果があると思います。「長く働ける職場」であることが、これからの中小企業にはとても大切なことだと思っています。

4.今後の課題

…今後の課題について教えてください

勤務間インターバル制度の導入により、業務の「見える化」が進みました。これを皮切りに、さらなる「働き方改革」に取り組んでいきたいと思っています。次は給与体系や残業時間の見直しをおこない、さらに、作業環境の整備やフレックスタイム制度など就労環境の見直しへとつなげていきたいですね。これまで、なかなか手を付けられなかった「働き方改革」ですが、この、勤務間インターバル制度をきっかけにすることで、従業員にも説明しやすく、みんなで制度を考えることができる、いい「入り口」になるのではないかと感じました。

5.勤務間インターバル制度の普及に向けて

…制度の普及・定着に向けて必要であると考えられることは何でしょうか?

私も最初は、勤務間インターバル制度の存在自体を知りませんでした。働き方改革を進めなければいけないという状況に追い込まれたときに、社会保険労務士に教わったことで「じゃあ、やってみよう」と、エンジンがかかりました。ですからまずは、制度の存在自体をもっとPRしていただけるといいのではないでしょうか。例えば他社ではどうなっているのか、インターネットだけでなく講演会や事例紹介などリアルなイベントでご紹介いただけるといいのではないでしょうか。またその中で、制度導入のやり方や、どのように社内でステップを踏んでいくとスムーズに導入できるのか、といった実践的な情報を、特に中小企業向けに提供していただけるといいのではないかと思います。