ワーク・ライフ・バランスを向上させる
働く方々の健康確保とワーク・ライフ・バランスの推進のために、「勤務間インターバル制度」を導入しましょう。
従業員の健康増進と働きやすい環境づくりのために
導入事例

株式会社ニトリホールディングス

小売業
  • ● 設 立: 1972年3月
  • ● 事業内容: グループ会社の経営管理、並びにそれに付帯する業務。事業会社の主要事業は、家具・インテリア用品(ホームファニシング商品)の企画・販売、新築住宅のコーディネート、 海外輸入品・海外開発商品の販売事業
  • ● 従業員数: 29,520名(2018年2月期)※従業員数は就業人員です。
  • ● 所在地: 北海道

株式会社ニトリホールディングス の勤務間インターバル制度

制度の開始時期
2017年8月21日
インターバル時間
10時間
対象範囲
パートタイム従業員を含む全非管理職
規定根拠
全従業員が閲覧可能な就業規則の補足資料(勤怠マニュアル)に明記

ご回答 - 人事労務部マネジャー 中井田誠 様

1.勤務間インターバル制度の実施状況

…導入前はどのような状況でしたか?

当社の場合、店舗と事業所によって勤務形態が少し異なります。店舗の場合は営業時間がありますので、従業員がシフトを組みながら交代制で勤務しています。本部機能の場合、基本の勤務時間が朝9時半から夜18時半までです。ただし、システム管理や商品発注など、店舗運営業務に関わる部署は、業務の繁閑にあわせて勤務シフトを選べるようになっています。

制度を導入する前から極端なインターバル時間の不足があったわけではありませんが、店舗では遅番と翌日の早番が連続したときに、インターバル時間が不足する状況がありました。制度の導入後はそうした勤務状況も改善され、インターバル時間の不足は導入前と比べて3分の1まで減少しています。

…導入された制度の内容について教えてください

勤務間インターバル制度は2017年8月21日から開始しています。管理監督者を除く全従業員に適用され、店舗のパート従業員も対象となります。インターバル時間は10時間としており、出退勤時のタイムカードのログデータで把握しています。就業規則の補足資料として全従業員が閲覧できる勤怠マニュアルを配置し、インターバル時間の確保を努力目標として明記しています。  

 

いまのところ努力目標という位置づけですが、進捗については各部と共有し、完全確保に向けた取組を行っています。

…インターバル時間が確保できない場合はどうしていますか?

当社の場合、すべての従業員の勤務シフトは各部署の上長が管理しており、勤務シフトを登録するときにインターバル時間が10時間未満だと警告が出るシステムに改修しました。これにより勤務シフト計画時に、インターバル時間が不足しているとシフト登録ができない仕組みとなっています。インターバル時間の不足が発生するケースとしては、システム障害対応や設備などの緊急対応が多い状況です。人事労務部としては、インターバル時間を確保できていない部署に対して、確保できなかった理由の報告を所属長に求めています。そうしたやり取りを積み重ね、各部署と連携し勤務間インターバル制度への意識を高めています。

2.勤務間インターバル制度の導入経緯

…勤務間インターバル制度を導入したきっかけを教えてください

2015年に従業員の健康増進を目的として、企業がボランティアベースで集い、各々の健康管理プログラム、ノウハウを共有し、新しいアイディアを出し合うなど、相互のベンチマーキングを通じてレベルアップを図るため「KENKO企業会」を民間企業14社の合同で設立しました。さらに、その翌年の2016年4月には、株式会社ニトリホールディングスとして従業員とその家族の健康を支援すべく「健康経営宣言」を制定しております。そうした健康への意識が高まっていた中で、2016年の春闘の際に、勤務間インターバル制度が従業員の健康増進に有効という話になり、この制度導入に向けた協議を始めることになりました。

…制度を導入されるにあたり、社内への働きかけで苦労されたことはありますか?

これまでは勤務シフトを計画する際、終業時間と翌日の始業時間の間のインターバル時間を確保することへの意識が不足していたため、ワーク・ライフ・バランスの観点からもその部分の重要性を周知することに少し時間がかかりました。店舗の場合、スキルや経験値の高い人ほど遅番や早番を任されがちであり、繁忙期などでは意図せずにインターバル時間が短くなってしまうこともあったようです。今では勤務間インターバル制度の趣旨が浸透してきているので、そういった問題はほとんど聞かれなくなりました。

一方、本部では時間外労働削減の観点からも、月曜日、火曜日は夜20時半、他の曜日は夜20時にオフィスを一斉消灯しています。もともと夜遅くまで毎日残業するような状況ではなく、制度の導入前からインターバル時間はある程度確保できており、そこまで大きな苦労はありませんでした。

…制度を導入する際に、どんなコストがかかりましたか?

先ほど触れたように、勤務シフトを登録する際に、インターバル時間が10時間未満の場合に警告が出るシステムを新たに導入し、さらに、実際にインターバル時間が短い従業員が発生した場合は、その部署の上長宛に警告メールを自動配信するシステムを追加するコストが発生しました。

3.勤務間インターバル制度の導入による効果

…現在、制度の遵守状況はいかがですか?

ほぼ守られている状況だと思います。当社の場合、インターバル時間が適切に確保できていないときは、本人責任ではなく、所属長の管理責任と捉えて制度を運営しています。違反することで罰則があるわけではありませんが、各店舗、各事業所の所属長に理由を明確にしてもらい、人事労務部からの改善策やフィードバックを行うことで、同じ理由での違反が続かないように会社全体で改善を図っています。

こうした地道な取組を続けることで、制度の目的が正しく浸透するだけでなく、これまで現場に埋もれがちだったシフト計画段階の問題に先回りして手を打つことができるため、人事労務部と各部署とのコミュケーションは以前より活発化しているように思います。

…制度の導入前と比べて、具体的にどのような効果を実感されますか?

制度の導入により、定時で仕事を切り上げる意識が非常に高くなりました。無駄な時間外労働がなくなったという声や、店舗の従業員からは勤務間インターバル制度があることで、終業時間を意識した働き方に変化していると聞いています。その日の業務量を終業時間から逆算して決めるといったように、いい意味で業務の計画性が生まれているのだと思います。

また、社内アンケートを取ってみると、入社5年未満の若い社員は特に、会社に勤務間インターバル制度ができて良かったと回答しています。仕事の区切り方、目標設定が明確になることで働きやすくなったという声もあります。社会全体の流れとしてもワーク・ライフ・バランスを重視する方向になっていますので、会社としてこういう制度を導入したことは、就職を希望する学生たちに向けたプラスポイントの一つになっているのではないでしょうか。

4.今後の課題

…今後の課題について教えてください

勤務間インターバル制度の根幹にあるのは、適切な休息時間を確保しようというものです。会社としては当然それを推進して、従業員の健康増進につなげていきたいと考えています。健全に働くためには適切な休息時間が不可欠という意識をより浸透させ、いずれは警告数もゼロにしていきたいと思います。

将来的にはインターバル時間を、いまの10時間から11時間にすることを目標にしています。世界的にも11時間がスタンダードですので、会社としてもそこへ近づける努力を続けていきます。店舗で働くパート従業員の中には高齢の方もおりますので、健康的・体力的な配慮という観点からも、さらに働きやすい環境や制度をつくっていきたいと考えています。

5.勤務間インターバル制度の普及に向けて

…制度をさらに広く普及されるには、どんなことが必要だと思いますか?

社内における勤務間インターバル制度の認知度はかなり上がってきていますので、今後企業文化としてどこまで定着させられるかが重要だと思っています。定着のためには根本となる普段の働き方をもっと見直す必要があります。業務の割り振りや稼働計画など、仕事の見直しを図り、無駄な仕事はカットしていくなど、当たり前のことばかりですが、そうした業務改善とセットで考えることが大切だと思っています。

当社の場合、IT技術を使って組織全体のオペレーションを効率化させ、作業時間を短縮させる取組をすでに始めています。店舗の従業員に対しても店舗に配備したスマートフォンを活用し、商品在庫の確認をスムーズにすることで、お客様への応対時間を短くするような取組も始めました。ただ単に制度を導入して、「休息時間を取りましょう」「早く帰りましょう」と呼び掛けるだけではなく、会社全体の業務改善を進めながら制度を定着させていきたいです。