ワーク・ライフ・バランスを向上させる
働く方々の健康確保とワーク・ライフ・バランスの推進のために、「勤務間インターバル制度」を導入しましょう。
ICT企業の健康経営の追及
導入事例

AGS株式会社

情報通信業
  • ● 設 立: 1971年7月
  • ● 事業内容: 情報処理サービス、ソフトウェア開発、その他情報サービス、システム機器販売
  • ● 従業員数: 930名 (2016年3月現在)

AGS株式会社 の勤務間インターバル制度

制度の開始時期
2017年1月
インターバル時間
一律で11時間
対象範囲
全社員
規定根拠
就業規則にインターバル時間を明記するとともに、労使協定で適用除外等に関する細かな規定を締結

ご回答 - 取締役 企画部・人事部担当 及川 和裕 様/ 人事部 部長 渡辺 益司 様 / 企画部 広報IR担当部長 小谷野 宣明 様

1.勤務間インターバル制度の実施状況

…貴社の勤務間インターバル制度の概要を教えてください。

当社では、インターバル時間の設定は11時間としています。制度導入前には他社の事例等も参考にし、これより短い時間の設定もあることは知っていましたが、最終的には、当社ではEUで設定されているのと同等の設定が可能だろうと判断するに至りました。制度の対象者は全社員です。

当社は、2017年度から始まる5か年の次期長期経営計画において「働き方改革」を主要施策の1つとして推進することとしています。この「働き方改革」におけるグループ基本方針および取組目標において、次期長期経営計画の最終年度である2021年度末までに実現を目指すこととしています。勤務間インターバル制度は、その3本の柱の中の1つと位置づけています。

…制度は、どのような形式で規定されているのでしょうか。

勤務間インターバル制度は、就業規則に明記するとともに、労使協定も結んでいます。就業規則に明記しているのは、インターバル時間として11時間を設定している点のみですが、労使協定の中で、細かな運用条件を定めています。

協定では、月3回までの適用除外を認めるとともに、年間6回を限度として、月5回までの適用除外を認めており、そのような適用除外を可能とする事由等についても協定で定めています。

当社の業務上、客先でシステム障害等が発生した場合等、どうしても11時間のインターバル時間が確保できないケースが生じる可能性があるので、このような適用除外の猶予を設けています。

…適用除外の事由以外でインターバル時間を確保できない場合などについては、何かペナルティがあるのでしょうか。

特にありませんが、就業規則にも明記し、労使協定にも記載している事項なので、ルールが守られるように対応していきたいと考えています。

…具体的な勤怠管理等はどのような形で行われているのでしょうか。

インターバル時間の管理にもつながる勤務実態の時間管理は、個々人の入力による申請で行っています。ただし、その入力が正当な時間に行われているかどうかについては、パソコンのログ時間で確認するようにしており、その時間の乖離が大きい場合は、その理由を本人に確認するようにしています。

また、勤務間インターバル制度を導入するに際して、勤怠管理システムを一部改修し、アラート表示機能や、実績確認ができるカウンター等も表示できるようにしています。これらのシステム改修はすべて社内で行いました。

…実際の現場での具体的な手続はどのようになるのでしょうか。

22時以降の残業を行う場合は、事前に深夜残業申請を行い、上長の了解を得る必要があります。なお、日々の勤怠については、随時業務計画を事前に登録するようにしており、それについても上長が確認するようになっています。当社の場合、9時始業となっているので、22時以降の残業をすると、11時間のインターバル時間を確保するためには始業時間をずらしていく必要が生じます。したがって、今では深夜残業申請と勤務間インターバル制度の申請が連動する形をとっています。そして、それらの処理はすべてグループ・ウェア上のワークフローで処理されるようになっています。

2.勤務間インターバル制度の導入経緯

…貴社で勤務間インターバル制度を導入するに至った経緯を教えてください。

AGSが本格的に勤務間インターバル制度を導入したのは、2017年の1月からのことです。それに先立って、2016年の7月には健康経営施策の一環として勤務間インターバル制度の導入が検討の俎上に載り、8月から12月の5ヶ月間、試用期間としての運用を行いました。この試用期間において、実際の勤務状況とこの制度がマッチするのかどうかの見極めを行ったのです。

その結果、実際にインターバル時間が確保できない事例も散見されましたが、内実を見ると、改善可能な範囲内に収まっていると考えられたので、本格始動に踏み切ることにしました。

…最初に勤務間インターバル制度に着目されたのは、どのような点からだったのでしょうか。

健康経営の施策をどうするかといった点で、様々な他社事例等を調べていた中で、勤務間インターバル制度が検討の視野に入ってきました。実際に当社での適用を検討するに際しては、トップダウンで進めていく意向を経営トップも示されました。

…勤務間インターバル制度導入の目的としては、どのようなことを考えられていたのでしょうか。

制度導入の目的としては、社員の健康増進と、長時間労働を是正したいという点が大きかったと思います。社員がいきいきと活力をもって業務を進めることで、生産性が向上することも期待できます。また、人材確保にもつながるなど、導入による効果は複合的なものであると考えています。

…本格導入されてからはまだ間もない状況ですが、運用状況はいかがでしょうか。

必ずしも100%守られている状況にはなっていません。これについては、事前の告知、啓蒙活動が足りなかったと反省しているところです。ただし、本格導入以降守れなかった社員は外部に常駐している者で、情報がうまく伝わっていなかったため、うっかり忘れていたということでした。当社の場合、業務上外部に常駐する社員も少なくないので、そういった社員への告知には、もう少し留意すべきだったと考えています。

3.勤務間インターバル制度の導入により期待される効果

…制度導入後の社員の皆さんからの反応はいかがですか。

総論的には圧倒的多数の社員が賛成している状況です。今回の勤務間インターバル制度の導入や次期長期経営計画における働き方改革の取組について、その主眼は社員のためにという点にアクセントを置いています。ルールだから守れというよりも、社員皆のためになることだから皆でそこを目指そうという共働的な目標である点が重要だと考えています。

…お客様からの反応はどうですか。

インターバル制度導入に際して一番苦慮したのがその点です。当社の場合、お客様ありきでやっている仕事が多く、お客様の都合でインターバル時間が確保できない場合にどう対処するかという問題があります。特に難しいのが、お客様の業務が終わってからしか行えない本番の適用作業等です。こちらの都合でスケジュールを調整できるものではないので、どうしてもインターバル時間を確保することが難しくなってしまいます。そこで、当社だけでは対応が難しいことから、お客様に向けた勤務間インターバル制度導入を説明するペーパーを作成し、お客様にも協力をお願いする形をとりました。今のところ、お客様からは、表立って不満を表明されたことはなく、むしろお褒めの言葉を頂くことの方が多いです。

…まだ導入されて間もないので難しいかもしれませんが、生産性への影響が見えてきたようなことがありますか。

そこは、これからの運用状況を見ていかなければ、何ともいえないところです。当社の働き方改革が本格始動するのは4月以降でして、4月に「働き方改革推進室」と「働き方改革推進委員会」を設置することとしています。「働き方改革推進室」では、働きやすい環境の整備( 在宅勤務制度、テレワーク、フレックスタイム制度の拡充)の企画立案・推進や、生産性向上に資する業務改善(多能化推進、仕事量の平準化、無駄の排除)の企画立案・推進を行い、「働き方改革推進委員会」では、働き方改革の施策検討、働き方改革実施状況のモニタリング、働き方改革の評価・改善を行っていくことになります。

具体的な生産性向上の効果については、そのような活動を通して徐々に明らかになってくるのではないかと考えています。

4.勤務間インターバル制度の普及に向けて

…勤務間インターバル制度が定着するためには、どのようなことが必要だとお考えですか。

長時間労働のデメリットが認識されることが必要だと思います。長時間労働の弊害として、メンタルヘルスへの悪影響が挙げられます。メンタルヘルスに支障をきたすと、回復までに時間を要するとともに、回復後の個々人のパフォーマンスがそれ以前の状態に復帰するのに、更に多くの時間を要するようです。そのような観点から、社員個々の健康維持こそが、会社の生産性を高めるという認識を高めていくことが求められるのだと思います。

しかし、労働問題として考える際には、インターバル時間の確保というよりは、時間外勤務の抑制、長時間労働の削減という形で追及していく方が本筋なのだと思います。業務計画を立てる際に、時間外作業を前提とした計画を立てるべきではないし、そうすることによって、必然的にインターバル時間は確保されていくことになるのだと思います。