看護職を支える管理者

看護職が自分のライフスタイルと折り合いをつけながらキャリアを積み上げていくために、管理者はこのようなサポートを考えています。

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私たちを支える管理者からのアドバイス

① 新卒訪問看護師のキャリアと働き方を支える管理者

 「訪問看護」は、病院での経験を経てから進む道といった認識が未だにあります。しかし、看護学生は実習等を通し、一人ひとりの患者さんとゆっくり関わることのできる「訪問看護」に魅力を感じており、約2割の学生は卒後に「訪問看護」の道に進みたいと答えています。また、超高齢社会が進む中で、地域で活躍する訪問看護師の育成は急務となっており、今後、新卒訪問看護師の育成は今以上に必要とされると考えられます。

 教育コストや指導人材不足などの課題はありますが、地域によっては新任訪問看護師に対する補助金制度等もあり、それらを活用することで多少なりとも課題が解決できると考えます。また、3年程度の長期的スパンでみれば新卒訪問看護師の育成は将来的にメリットばかり生じます。
 新卒訪問看護師の育成は、経験のある先輩看護師との同行訪問を繰り返し行い、技術演習をより多く、そして教育過程をゆっくり時間をかけて行えば、将来的には多くのメリットがあります。今後、看護学生のキャリア選択の中に「新卒で訪問看護師」が当たり前になることを望んでおります。

② ブランクのある看護職のキャリアと働き方を支える管理者

 看護職の皆さんの中には、妊娠、出産、育児、介護などを理由に臨床現場を一度離れた方々が多くいらっしゃると思います。その働いていない期間をブランクと呼びますが、ブランクの長さは、臨床現場に戻ることを躊躇させる「心のハードル(不安)」となって立ちはだかると思います。しかし、そのブランクは皆さんの人生経験を豊かにするものであり、様々な背景を持つ人々を対象とする「看護」の場においては、大いにその経験が活かせるのではないかと考えております。
 私は、訪問看護ステーションの管理者としてブランクのある看護職の方々を採用しておりますが、基本的な看護技術や知識を忘れている方も中にはいらっしゃいます。しかし、「訪問看護をやりたい」という、“やる気”や人に対する“思いやり”があれば、看護職として復帰することは可能だと考えております。皆さんが不安に感じている看護技術や知識は先輩看護師の指導や勉強会などを通して少しずつ身に付きます。
 一方で管理者は「訪問看護をやりたい」という思いを実現するため、スタッフ一人ひとりが自らの将来像を見据えて働けるよう、ラダーなどを用いた人材育成等に取り組む必要があります。
 当事者だけでなく管理者もブランクのある看護職に対して不安を感じると思いますが、是非、互いに「心のハードル(不安)」を飛び越え、看護の楽しさを再び感じることができたらと思います。

③ 介護施設で働く看護職のキャリアと働き方を支える管理者

 介護施設で働く魅力は、数ヶ月から数年かけて利用者さんと関わることで、ケアの効果が最後までみることができること、そして多職種連携によりケアの効果をよりダイナミックに表出できることです。
 介護施設で働く職種は多岐にわたりますが、その多くが介護職です。他に看護職、リハビリ職、ケアマネージャー、社会福祉士、栄養士、医師などが働いていますが、各々が占める割合は非常に少ないです。しかしながら、その中でも看護職の担う役割は非常に大きいのです。
 近年、介護施設に入所される利用者の医療依存度は年々高まり、看護職は感染管理や「看取り」を含めたケアの中心的担い手となっています。ときには他職種に対して指導的立場として関わることもあり、他職種とのコミュニケーション能力が必須となります。
 “医療”ではなく“生活”を中心とした介護施設は、その人らしさを大いに発揮できる空間です。病院では決して経験できないことばかりです。是非、介護施設を一つのキャリア選択として捉えてもらえたらと思います。

④ 看護師等養成所で働く看護職のキャリアと働き方を支える管理者

 患者さんにケアを行い、即座にそのケアの反応が見られる臨床現場とは違いますが、看護学生への教育を通して患者さんのケアに影響を与えることができるのが看護教員です。看護師等養成所で働く魅力は、学生10人と関われば100人の患者のケアに影響を与えることができること、そして入学から卒業まで学生と密接に関わりながら、その人を丸ごと看護師に育てることができることです。
 入学当初には未熟であった看護学生が、学年を上がるごとに援助者として成長していく過程は、看護教員として何よりも嬉しいものです。
 臨床現場での経験を基に、後輩を育成すること、教育することも看護職としての視野を広げ、キャリアを構築することができます。看護職の一つのキャリア選択として看護師等養成所で働くことも視野に入れていただきたいです。