第1回 厚生労働省統計調査の省内事業仕分け 議事録 1 日  時  平成22年11月5日(金) 12:58〜14:25 2 場  所  経済産業省別館10階 1020号会議室 3 出席者 (民間有識者(仕分け人)) ◎阿部正浩、田代雄倬、土屋了介、中山弘、廣松毅 (五十音順、敬称略、◎:座長) (事務局) 高原統計情報部長、岩崎企画課長、早川統計企画調整室長、 中島審査解析室長、小野人口動態・保健統計課長、 武田保健統計室長、青木社会統計課長、市川縦断調査室長、 上田国民生活基礎調査室長、南雇用統計課長、 木塚賃金福祉統計課長                4 議  題    (1)今後の進め方    (2)仕分けの論点について    (3)その他 5 議  事 ○事務局 皆様、本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。開 催に当たりまして事務局より諸連絡をさせていただきたいと思います。  まず資料の確認をさせていただきたいと思います。資料につきましては議事次第という ことで1枚ございます。 資料1「厚生労働省統計調査の省内事業仕分けの運営等について」。「厚生労働省統計調 査の省内事業仕分け民間有識者(仕分け人)」。「統計調査の省内事業仕分けスケジュー ル(予定)」。 資料2「統計調査の省内事業仕分けの論点について」。 資料3「統計調査業務の主な流れ図」。「統計調査の企画について」。 資料4「厚生労働統計調査一覧」となっております。 資料はおそろいでしょうか。よろしいでしょうか。  もう一つ、本日入館に当たりまして一時通行証をお渡ししているところですけれども、 退館の際には1階のゲートにおきまして専用の回収ボックスがございますので、返却して いただきますようよろしくお願いいたします。以上でございます。 ○早川統計企画調整室長 定刻になりましたので、ただいまから第1回「厚生労働統計調 査の省内事業仕分け」を開催させていただきます。仕分け人の皆様におかれましてはお忙 しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。座長が決まるまでの間、事務 局で司会を務めさせていただきます、統計企画調整室長の早川でございます。よろしくお 願いいたします。  まず当事業仕分けの開催に当たりまして一言ごあいさつを申し上げたいと思います。  本日はお忙しいところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。第1回統 計調査の省内事業仕分けの開催に当たりまして、皆様に本仕分けの委員を引き受けていた だきましたことに、厚く御礼を申し上げます。  統計調査に関しましては過去の省内事業仕分けにおきまして、これは6月でしたけれど も、毎月勤労調査について取り上げられたところでございますが、統計調査については専 門的、技術的な面があるということで、先月18日の省内事業仕分けにおきまして、統計調 査の事業仕分けにつきましては、実際に統計を利用する専門の方々にも仕分け人に入って いただきまして議論をし、整理をしていただいた方がよろしいのではないかという考えか ら、政務三役とも相談した結果、省内事業仕分けの一環ということではありますけれども、 プロジェクト方式という形で行うことにされました。  今後検討を行うに当たりまして委員の皆様方の御知見等をいただきまして、より質の高 い統計調査を目指してまいりたいと考えております。委員の皆様におかれましてはお忙し いことは十分承知しておりますけれども、厚生労働統計の発展のために御尽力いただけれ ばと存じております。  次に、本日の委員の出席状況でございますが、阿藤委員、岩田委員、津谷委員が所用に より御欠席でございます。  今日は第1回目ということでございますので、更に参加していただいている委員の先生 を御紹介したいと思います。あいうえお順で紹介させていただきます。  阿部正浩先生でございます。  田代雄倬先生でございます。  土屋了介先生でございます。  中山弘先生でございます。  廣松毅先生でございます。  よろしくお願いいたします。  後ほど詳しく御説明いたしますけれども、資料1「厚生労働省統計調査の省内事業仕分 けの運営等について」という中にございますが、座長と座長代理を置くこととしたいと思 います。従来の省内事業仕分けでは事務局から座長をお願いしていることもございますの で、本統計調査の省内事業仕分けにおきましても同様に事務局から座長をお願いしたいと 考えておりますけれども、よろしいでしょうか。座長には阿部先生にお願いしたいと思い ます。よろしくお願いいたします。  今回の事業仕分けにつきましては固定メンバーで数回議論をしていただきまして、最終 的には報告書をまとめるという形になっておりますので、座長不在ということも考えられ ますので、その職務を補佐するということで、座長代理には土屋先生と廣松先生にお願い をしたいと考えております。よろしゅうございますでしょうか。では土屋先生、廣松先生 もよろしくお願いいたします。  では、以後の進行につきましては座長の阿部先生にお願いをしたいと思います。 ○阿部座長 それでは、御指名ということでございますので、以後の議事進行を務めさせ ていただきたいと思います。  いろいろ不慣れな点もあるかと思いますが、是非委員の皆さんの御協力を得て、この事 業仕分けについて滞りなく進めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い いたします。  それでは、資料1「厚生労働省統計調査の省内事業仕分けの運営等について」、事務局 から説明をお願いいたします。 ○早川統計企画調整室長 資料1をお開き願いたいと思います。本事業仕分けはスタイル として研究会方式をとっておりますので、運営についての一応の取決めをさせていただい ております。具体的に資料を読み上げさせていただきますと「1.位置付け」でございま すが、厚生労働省省内事業仕分けの一環として開催いたしまして、事務局は大臣官房統計 情報部企画課統計企画調整室が行うとしております。  「2.運営について」でございますが、先ほど指名させていただきましたけれども、統 計調査の省内事業仕分け(以下「本会議」という。)に座長を置く。  本会議に座長代理を置くことができる。  座長代理は座長を補佐し、座長不在の場合にはその職務を行う。  本会議の議事は公開する。  座長は検討に必要な有識者等の参集を求めることができる。  その他、本会議の運営に関し必要な事項については、座長及び事務局において協議の上、 決定することとするということでございます。  開催期間は後の資料に具体的に出てまいりますけれども、年内に4回開催する予定とし ております。  本資料の説明は以上でございます。 ○阿部座長 ただいまの説明について御意見あるいは御質問等ありますでしょうか。  それでは、ただいま説明があったとおりに取り扱うこととさせていただきます。  早速ですが、議題1の今後の進め方についてということで、事務局から事務局案を説明 していただきたいと思います。 ○早川統計企画調整室長 統計調査の省内事業仕分けスケジュール(予定)というページ がありますので、そこをお開きいただきたいと思います。  今、申し上げたように年内に4回開催する予定にしておりまして、具体的な日時と場所 はここに書いてあるとおりでございます。実は12月13日月曜日に省内事業仕分けが予定さ れておりまして、そこで本統計調査の省内事業仕分けの報告書について紹介をしてほしい という要請が来ておりますので、12月8日には報告書をとりまとめるような形で議論を進 めていきたいと考えております。  対象になる統計が100ぐらいある中で、4回で報告書をまとめるという非常にタイトな スケジュールになっておりますけれども、よろしく対応をお願いしたいと考えているとこ ろでございます。 ○阿部座長 ただいまの説明について御意見等ありますでしょうか。  それでは、ないようですので議題2に進みたいと思います。仕分けの論点についてとい うことで、事務局から説明をお願いしたいと思います。 ○早川統計企画調整室長 資料2に「統計調査の省内事業仕分けの論点について」という ペーパーがございます。恐縮ですけれども、1枚めくっていただきまして資料3に「統計 調査業務の主な流れ図」がございますので、そちらをごらんいただきたいと思います。  政府が行っております統計調査は主に5つのステージに分けることができます。左の方 から企画、実査、審査、集計、分析・公表という形になっておりまして、企画の段階では どういった調査をするのかということや、省令等の法令の整備が必要な場合にはその整備 を行うという段階でございます。  次に、どの母集団から抽出するかという母集団を決定しまして、そこからサンプリング を行うということでございます。規模におきましてはポスター等を貼るような広報等も行 うような形でありまして、実際の準備が行われます。その後、調査票の配付、オンライン 調査の場合はパスワードの配付などをいたしまして、実際に記入者からの照会などの対応 も行うという段階があります。そして調査票を回収する。場合によっては督促を行うのが 実査の段階でございます。  調査票が集まってきた段階では次の審査の段階に入りまして、調査票の受付、次にデー タを磁気化いたしまして、それらのデータのチェックを行うということで記載ミス、記載 漏れなどに関しましてはここでチェックを行うということで、これが審査業務になります。 そういった中で疑義が生じたものに関しては問い合わせをするなり、機械的に処理をして しまうという形で疑義の処理を行う段階になります。  これを経た後に集計業務がございまして、統計表が作成される。これに関しまして一定 の分析などを行いまして調査の公表という形で、最終的には報告書を刊行し、政府のe-stat に登録するというのが一連の作業になっております。  更に企画の段階が次のページにございますけれども、細かい話で恐縮ですが、実際にこ の調査を行う段階におきましてはお金がかかるということで、予算要求を行う必要があり ます。政府の統計調査におきましては統計法という法律がございまして、その中では総務 大臣の承認を得た上で行わなければならないという手続がございまして、統計調査の承認 審査という段階がございます。基本的には予算要求の段階で省内または総務省におきまし てもヒアリングが行われまして、財務省の予算査定の前段階としても1回、予算額の審査 みたいなものがございます。それを経た上で予算の裏づけができたところで具体的に調査 票を設計し、その調査票を基に総務省に持ち込みまして承認を得るという形になっており ます。  総務省における審査は記入者負担の軽減、重複是正といった観点で行われることになっ ておりまして、一義的にはこの辺で重複整理等がされることになっております。統計の物 によりましては基幹統計といったものになりますと、統計委員会で審議を経ることになっ ております。こういったものが政府の統計調査の流れでございまして、大きな流れの中で 統計に関してどういった論点が考えられるかということで、事務局案として出させていた だいたのが資料2でございます。  幾つも考えられるんですけれども、まず施策のPDCAサイクルにおいて活用されるよ うな調査になっているかという論点が、1つ考えられると思います。  新統計法の発想としましては、統計は国民全部のものという考え方になっておりまして、 政府だけがにぎっているものではないということで、調査をより広く活用されるようにす る余地はないのかという観点もあろうかと思います。  これは重複是正の観点に似ているかと思いますけれども、省内に限らず他省庁の統計調 査との関連づけは可能になっているか。利用の観点から、海外の類似調査との対比は可能 になっているかどうか。時系列で傾向を把握できるかという論点があるかと思います。  統計調査の方法や精度が適切かという論点がございまして、これはかなり専門的になっ てまいりますが、まず調査対象者の選定に問題はないか。初っ端から偏った集団だけを対 象にしていないかという話でございます。 回収率は必ずしも100%になっているものはありませんので、回収率を向上させることは できないのかという論点。  それに関連しまして、オンライン調査の推進はできないのかという観点。 これは一番上とちょっと似ていますけれども、抽出した調査サンプル数は適当か。回収率 とも関係してくるかと思いますが、サンプル数が適切になっているかどうか。  設問は調査目的に合致しているかどうか。そごが生じていないかという観点です。 設問の形式は適切かということで、選択肢、記述内容、前提、順序などテクニカルな話で ございますが、こういった問題があろうかと思います。  このほかにも論点はあろうかと思いますけれども、一応考えられる論点は事務局の方で 提示させていただきましたが、対象になります調査が資料4にございますように、これは 毎年やっているものだけではなくて、数年に1回というものも入れますと全部で100本を 超える調査がございまして、これらすべての論点について議論できるかというと先ほどの スケジュール的には、かなり難しいのかなと事務局としては考えておりまして、できれば この論点の中で今回の仕分けの中では、幾つか絞ったところについて資料4に掲げており ます調査について、何らかの検証をしていただくような形のものが現実的ではないかと思っ ておりますけれども、その点も含めて委員の皆様方の御意見を伺えればと考えております。 私の方からは以上でございます。 ○阿部座長 ありがとうございました。冒頭の説明にもありましたように、統計調査の仕 分けはいわゆる省内事業仕分けとは切り離されて、この研究会でやることになっているわ けです。したがって、まだ実際にどういうことを論点に仕分けをしていくべきかというの は定まっていないところもありますので、このペーパーを基に委員の皆さんから御意見あ るいは御質問等をいただければと思いますが、いかがでございますでしょうか。 中山委員、どうぞ。 ○中山委員 この論点の前に、私は今回初めてここに参加させていただきまして、今回の 事業仕分けの調査目的、つまり何のために何をどこまで誰のためにこの仕分けをするのか というところを教えていただきたいのですけれども、それによって論点も変わってくるの ではないかと思うのです。あるいはその他の目的の前には現状認識として、こういうとこ ろに問題があるのではないかという、そういった認識もあってこういうことを始められて いると思うのですが、その辺のバックグラウンドをお話いただけますでしょうか。 ○早川統計企画調整室長 もともとどの程度まで仕分けするかということについては、か なりフリーハンド的なところがあったんですけれども、実際にはスケジュール的には本日 を入れて4回しか日程の関係でできなかったということで、現実的には行えるところはか なり限定されてしまっているかなという形です。初めからここまでしか対象にしないとか、 限度があるという話ではございませんで、その辺はかなり自由度が高いと御理解いただけ ればと思います。 ○中山委員 では何をどこまでというのは置いておきまして、何のために誰のためにやる のかを教えていただけますか。 ○早川統計企画調整室長 先ほど流れの中でも少し触れさせていただきましたけれども、 統計調査を実施するに当たりまして予算的な面では財務省の審査もありますし、統計その ものの調査の内容につきましては総務省の審査を受けているという形ですので、一定のむ だみたいなものが排除されているだろうというのが役職側の認識ではあるんですが、そこ に関して本当にそうなっているのかどうかというものについては、一度外部の方々の目か ら見て検証することが必要ではないか。  もともと省内事業仕分けの趣旨も、役所の中でだけでの価値基準で見ると無駄がないと されてきたものが多いと思うんですけれども、実際には離れた目から見ると必ずしもそう ではないというものが指摘されてきているわけですので、そういった意味で無駄なり重複 というのがある程度排除されているつもりでいるところに関して、検証の意味がかなり今 回は強いのではないかと思います。 ○中山委員 そうしますと先ほどの費用的な面とか重なりがないかとか、あるいは他の省 庁も含めてどうなのかという辺りは、言ってみれば効率面ですね。私は効果としてやって きた調査がどれだけ何に役立っていて、あるいは役立っていないのか。その中身が本当に 生かされているのか生かされていないのかというところが、効果がまず先に大事だと思っ ていて、そこで先ほどの誰のためにという話になるわけですけれども、これは省内の効率 アップのためのものなのか、国民全般に対する効果として本当に有益な情報を適宜タイム リーに提供できているのか、あるいは使いやすいのか、そういったところも含まれるのか 否かというと、そこはいかがでしょうか。 ○早川統計企画調整室長 その辺も十分議論の対象にしていただいてよろしいかと存じま す。もともと統計調査は非常に多いんですけれども、施策的な目的で行われているものが 多数ありまして、何々制度の実態がどうなっているかということで、実際にその制度の恩 恵を受けている方々の実態が、どうなっているかという形で調査されているものが非常に 多い。  一方で隣の業界がどんな状態になっているかを調べたいというときに、統計でわかるよ うになっているという一面もございますので、調査をするものにいろんな特色がございま して、行政だけが利活用するものもございますし、そうではなくて国民の皆様方に情報提 供をするというのがメインなものもございます。そこは調査の性格によっていろいろあり ますけれども、それが本当にそうなっているかどうかというのが一度いろいろ見てみて、 検証していただくというのがあるのかなと考えています。 ○阿部座長 よろしいですか。それでは、田代委員、どうぞ。 ○田代委員 田代です。2、3ちょっと今のお話とも関連するんですが、私は毎勤統計の ときの事業仕分けにも出ておりまして、いろんなやりとりがありました。その流れで今回 もと思うんですけれども、まず論点につきまして毎勤統計のときもそうだったんですが、 1つはこれは数字的に表わすのは難しいんだけれども、いわゆるBバイCです。何のため にというのがBです。それにどれだけお金、人、物がかかっているかというのがCです。  Bはなかなか定量化するのは難しいと思います。ただ、分母はわりかしはっきりわかる 可能性があります。今、予算で財務省が云々とありましたが、漏れ聞くところによります と地方自治体も国の統計のために、物すごい時間がかかっているという話をよく聞くんで す。今、言われました予算というのは多分国ベースの話だと思うんですが、例えば毎勤統 計を毎月やっておられます。これは非常に重要なあれだと私は思います。ただ、それをや るに際して国、地方公共団体その他関係するところが、トータルでどれぐらいコストをか けているんだろうか。コストがかかっているから意味がないということではないんですけ れども、我々の理解としてどれぐらいのお金をかけてこれをやっているのかがわからない と、意味がありますと言ったらそれはほとんど全部意味があるわけで、それで終わってし まう可能性がある。  ということで、実は事前に言えばよかったんですが、資料4でずらっと100近いあれが ありますけれども、これは全部細かいことはできないかもしれませんが、その中の主なも のぐらいは国、地方団体その他どれぐらいのマンアワーがかかり、それに関してどれぐら いのお金をかけているのかを示していただかないと、我々も考える基準が少し難しくなっ てくるなと思います。  100あるものを、今日は余り詳しいことはできないので、3回か2回ぐらいで最後は多 分とりまとめみたいなことになると思います。それで全部やるのは実際は無理だと思いま すし、絞るということは結構だと思うんですが、個別の論議が入る前に全体観みたいな議 論を是非しておかなければいけないと思うんです。  私なりに1960年以前から始まっているもの、すなわち50年間、若い人がまだ生まれてい ないときからやっているのが、数えたら100件の中で27件ありました。2000年以降、すな わちこの10年間で始めたのは16件ありました。この数字からは何もわからないんですが、 全体観として往々にしてこういうものを一旦やり出したらなかなかやめられないというか、 そういう傾向があると思います。今までに廃止した統計調査がどれぐらいあるのかという のは、今でなくてもいいですから後ほどちょっと教えていただきたい。というのは全体観 から見まして、ともすればこういうものはどんどん増える一方になってくるおそれがある ので、そういう面からもその辺のデータも是非教えていただきたいと思っています。 ○早川統計企画調整室長 用意するようにしたいと思います。 ○阿部座長 土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 土屋ですが、一部繰り返しになるかと思うんですけれども、百幾つも一個一 個というのは、この仕分けでは能力的に無理ですし、逆に言うとこれが日常的に今の統計 調査業務の主な流れ図の中で、これらのことについて報告書の刊行の後の評価、というこ とは一個一個の統計の評価もそうですけれども、たくさんある中での位置づけの評価、重 複のチェックを日常的にやるシステムが、どうも今の状況ではないというように受け取れ るんですが、的確にチェックされているかどうかとか、その辺がむしろ仕分けとしては大 事なのではないかと思うんです。  それが今、田代委員が言われたどれだけの予算がかかってやっているのかということに も結び付くと思いますので、次回で結構なんですけれども、資料に統計情報部の体制とい うか組織図、そしてそこにどれだけの人用が割かれているか。決して私は仕分けというの は無駄を省いて人数を減らせということではなくて、足りないことも多分出てくると思う んです。  国の基幹統計で、これがいろんな施策の基にわるわけですから、不十分な体制だとすれ ばそれを見直すという意見も当然出るのが、この仕分け作業だと思うんです。過去に幾つ かの仕分けで、特に検証は現地視察までやりますと、これは余りにも第三者から見てひど いのではないか。早く立て直して人を見つけなければいけないのではないかという意見も かなり強く出ましたので、恐らく今回統計調査の仕分けということから言うと、今、早川 さんがおっしゃったように財務省、総務省でチェックしているからいいんだということで はなくて、国民目線というか、国益上本当にこれでいいのかどうかという目線が大変大事 だと思います。  そういう意味で田代委員の言われたお金がどれだけかかっているか、人手がどれだけか かっているか、委託しているのはどういうことなのかがわかるようなものをお見せていた だくと、いわゆる国民目線で仕分け作業ができるのではないかという気がいたします。 ○阿部座長 廣松委員、どうぞ。 ○廣松委員 もう委員の方々が御発言なさったことと重なる部分は省きまして、資料2で 提示いただいたものを見ていますと、先ほどの説明にもありましたとおり濃淡と言いましょ うか、かなり違うものが入っているように思います。 細かいところから言いますと、統計調査の調査方法や調査の精度のところで、1つ付け加 えていただいた方がいいと思いますが、統計法に基づく基本計画の中で統計調査を行うに 当たって、利用可能な行政記録情報があるかないか。もしあるとすると、それをどのよう な形で使えるかということを検討することが求められています。その意味で行政記録情報 の使い方の点を1つ加えていただければと思います。  その上で、大変数が多いということは事実で、当然すべてを検討することは不可能だろ うと思います。そうした場合例えば3番目の「他省庁の統計調査との関連づけは可能か」 以降の点は、どちらかというとかなり技術的な問題という側面があって、勿論これら自体 は大変重要な仕分けの論点だろうと思いますけれども、こういう技術的な検討をするよう な場を別途設けるとか、あるいは既にある組織で議論をするとか、別途考える必要がある と思います。そういう役割分担というか何かを考える必要があるのではないかという気が いたします。  その意味で、1番目と2番目の施策のPDCAサイクルにおいて活用されているか、調 査をより広く活用するにはどうすればいいかという点が、この仕分けにおける重要な論点 ではないかと思います。  もう一つ、資料4で現在厚生労働省が行っている調査がまとめられているわけですが、 これを見ますと太字になっているのが基幹統計と呼ばれるもので、それ以外は一般統計と いう位置づけになると思います。基幹統計に関しては先ほど毎勤の例が出ましたが、これ まで厚生労働省内の仕分けでも議論になりましたし、総務省の政策統括官統計基準担当の ところでも事前に審査をしています。勿論統計委員会でも諮問に基づいて審議をしていま す。 その意味でかなり外部の評価も行われているわけですが、一般統計の方が数が圧倒的に多 いわけですけれども、それらのかなりの部分は現局で行われています。それらは確かに開 始したときには政策的なニーズも含めて必要性は高かったんだろうと思いますが、それか ら期間が経過しているものについては、果たして当初の目的がそのまま通用するのかどう か。そういう意味での見直しという点を重要視すべきではないかと考えます。  また細かい点ですが、資料の3ページの雇用労働関係の労使関係総合調査とか労働安全 衛生特別調査等は、それぞれのテーマに従ってローテーションでやっているわけで、これ を別々の調査と考えるか1つの調査と考えるかということも検討の余地があると思います。  今回、論点としてまとめていただいた資料2の中で、かなり技術的なものに関してはこ こで立ち入るのは時間的な制約もあり、かなり難しい。したがって何らかの形で別の組織 というか、別の研究会か何かで検討するようなことも考えられるのではないかということ を申し上げたいと思います。  以上です。 ○阿部座長 ありがとうございました。事務局から何かコメントなど特にありますか。 ○早川統計企画調整室長 1点目の行政記録情報についてなんですけれども、時間をかけ ればいろいろ聞けると思うんですが、具体的に100本すべてについて使えるものがありま すかどうかというのは、調べるのに時間がかかりそうなので一覧で出すのは時間的制約上、 今回はちょっと難しいかなと考えております。  技術的な論点の話でございますけれども、今、統計全体を議論するような審議会とか研 究会というのは省内にございませんで、今回この事業仕分けで初めて省内の統計情報部以 外も含めて全部見ようという初めての試みになっております。現在ある組織としましては 社会保障制度審議会の下に統計分科会というものがございまして、いかにも全部の統計を やるようなイメージなんですが、社会保障制度の審議会の下にありますので、こちらは労 働統計が対象になっていないところがございます。  統計情報に厚生労働統計の整備に関する検討会というものを設けておりますけれども、 これがどちらかというと部内だけの統計を焦点に当てているような形になっておりまして、 全体的な議論をするような場が現在のところない状況でございます。 ○岩崎企画課長 若干補足いたしますと、現状は今、申し上げたように厚生労働省の全統 計を扱う分科会あるいは検討会というのはないところでございますが、ただ、廣松委員が 御指摘のように各統計について、技術的にしっかりチェックする場をつくるべきではない かという御指摘がございましたならば、今ある既存の組織を活用して、私ども内部の省内 のコンセンサスさえ得られれば、既存の検討会に審議事項を追加して、しっかりと技術的 にフォローしていくことも可能でございますので、その点は検討をしてまいりたいと思い ます。 ○阿部座長 皆さんの御意見をお伺いしていますと、まず1つここで議論すべきことは各 統計調査の成果あるいは効果、アウトカムといったものをしっかりと把握した上で、その 費用対効果、そこまで厳密にできるかどうかはわかりませんが、その辺りをここで真剣に 議論したらどうか。そして廣松先生の御意見ではあるんですけれども、私も同感でして、 技術的な面ではここではなくて、もっと別のところで慎重に議論をしていただくというの が、大体ここでの論点の整理ということでまとめられるのではないかと思います。  廣松先生の意見で、基幹統計は外部で十分評価を受けている面もあるけれども、一般統 計は余りそういうことがないので、重点的にやっていくというのは確かにそのとおりだと 思います。勿論基幹統計をここでやらないというわけではなくて、重点的にやるのが一般 統計の方にいこうということでありますが、委員の皆さんそういうまとめをさせていただ いてよろしいでしょうか。ほかに何か御意見はございますか。 ○田代委員 今の件につきまして一番初めの前提にまた戻るようなんですが、今年12月末 で4回で一応のけじめをつける。それが終わってしまったら何もしないということになっ てしまうと、非常に消化不良のままで終わってしまう感じがするんです。  厚生労働省の場合は事業仕分け室というのが去年4月にできて、事業仕分けというのは 言ってみればずっとやるんだ、常にやるんだというふうになったと私は理解をしておるん です。  ですから、ある一定の期限をつけないとだらだらなってしまう。それはわかりますけれ ども、やはりこれだけのことをやるなら、今の技術的なことは勿論技術的な専門分野でやっ た方がいいと思うんですが、それもやはり1か月、2か月でやらなければいけないという 話ではないのではないか。息長く徹底的にやっていくという方向でいいのではないかと思 うんですけれども、12月というのは特に絶対それまでに終わってしまえという何かがある んでしょうか。 ○早川統計企画調整室長 どういった報告書をまとめるかというところもあるんですけれ ども、とりあえず12月13日にまとめた報告書を1回報告してくれということになっており ますので、その内容で終わりですとするのか、まだ続きがあるとするのかというのは、そ の辺はまだフリーハンドという理解でよろしいかと思います。 ○阿部座長 その点なんですけれども、毎年この統計の見直しをしても余りいいことはな いような気がするんです。例えば5年とか3年とか、そのぐらいの期間を置いて見直すと いうことであれば、もしかしたら意義がありそうだなという気がするんです。  例えばイギリスでは3年に一遍ぐらいは統計を見直すことをやっているそうなので、毎 年かどうかは別としても、今後こういう形で統計を見ることは大事ではないかと思うんで すけれども、それも皆さんの御意見を最後報告書にまとめるときに、頻度辺りも含めて議 論をさせていただければいいのではないかと思います。 ○廣松委員 先ほどからの御説明で12月13日に省内全体の仕分けの委員会があって、そこ でこの研究会の報告を出すということですが、12月13日の省内全体の仕分けの結果は、当 然のことながら、来年度の概算要求はすでに出ているわけですから反映されない。再来年 度ということになるんでしょうか。 ○早川統計企画調整室長 予算関連のものはちょうど夏の概算要求で終わってしまってい ますので、最速で24年予算という形になります。 ○阿部座長 ほかには何かございますか。 ○廣松委員 先ほど座長がおっしゃった、今回1回限りではなくて定期的に見直すという ことに関して、御参考までに申し上げますと統計法に基づいて基本計画が昨年策定されま して、今まさにオンゴーイングなわけですが、その計画は一応5年程度を目途に更新して いくとされています。それとのタイミングもありますので、もし継続的にこういう形での 検討を行うとするならば、それも1つ考えるべき要素ではないかと思います。 ○岩崎企画課長 少し補足させていただきますと、今回12月に出していただく検討結果と いうのは省内全体でそういうとりまとめを行うということなので、一区切りとして12月に おまとめをしていただくということでございますが、それはそれで終わりということでは なくて、そもそも何故今回このような統計事業仕分けを行っていただくかというと、厚生 労働行政全体にとって統計というのは根拠ある行政を進めていく上でも大変大事であって、 定期的に検証する必要があるということで、この仕分けの対象にしていただいたわけでご ざいまして、そういう観点で御意見を賜りたいと思います。  年内にまとめていただいた結果については、それを踏まえて今後対応してまいりますし、 その中身が短期的な問題であれば24年度の予算要求に反映していきますし、中期的問題で あれば次期基本計画に対応する。あるいは今期基本計画への対応というのも当然出てくる と思います。そういう多様な問題について、統計というのが大変厚生労働行政全体にとっ て大事なものでありますから、この会議で提言をいただきまして、しっかりと対応してい くというのが私どもの考え方でございます。 ○阿部座長 ほかに何かございますか。田代委員、どうぞ。 ○田代委員 ちょっと細かい話ですが、実は統計の方法云々の中にオンライン調査という ものが入っています。これは毎勤統計でも大分議論になったんですが、今もって書類を持っ て行って書いてもらって回収して、それを地方から本省に送ってコンピュータにインプッ トしてというのがかなり多いと聞きました。パソコンを今、持っていない事業所というの はあるのという話になりまして、それはあるかもしれませんとか余り意味のない議論があっ たんですけれども、今時そんなのは考えられないんです。そんなに難しいソフトかと言っ たら、それほど大したソフトでもない。  ですから、これはいろんな中ですべての統計になるかもしれませんが、細かいことを言 うとパソコンではとても無理だというのがあるかもしれませんけれども、ある程度のとこ ろだったらできると思いますので、オンラインは是非時間的にも早くなりますし、いろん な意味で手間も減りますので、その辺が正確度とスピードをどちらを優先するかという議 論になるかもしれませんが、そういうことも余り細かい一々の統計について議論するとい うよりも、この場では少しは議題にしていきたいと思っております。 ○阿部座長 オンラインのことだったら、今お答えいただけますか。だめなら次回に回し ますけれども。では廣松委員、どうぞ。 ○廣松委員 済みません、先ほどの私の発言は言葉足らずでした。統計法に基づく基本計 画のことに触れましたが、その対象は主として基幹統計です。一般統計に関する記述も幾 つかありますが、原則基幹統計が対象となっております。  オンラインの件ですが、御存じのとおり今、総務省の方で政府統計共同利用システムを 開発・運用しておりまして、現在1期目で平成25年ぐらいから2期目に入ります。一応、 原則としてオンラインを導入する調査に関してはそのシステムを使うことになっているん ですが、そこが大変難しくて、統計調査一般に使えるようなシステムを開発するというと、 大変重くなります。もう皆さんも御存じのことだろうと思いますが、したがいまして今回 の平成22年国勢調査も結局は政府統計共同利用システムではなくて、別個システムをつくっ て運用しました。  一方でそれとは別に御存じのとおり、政府のIT戦略本部がもっと大胆な提案をしている わけですが、ただ、それを実際に個別の統計調査のオンライン化に結び付けようとすると、 また別の難しいところがあります。前例という意味で言いますと、経済産業省が生産動態 統計調査で最初に、たしか2000年ぐらいからオンライン化を始めたわけですが、なかなか 利用率が上がらず、初期大体5%ぐらいから出発して、現在やっと50%を超えて60%近く まで来た状況になっているようです。  その意味でオンライン調査をするとたしかに効率化され、時間の短縮というのも可能に なると思いますが、それを立ち上げてから軌道にのるまでにはかなり時間がかかるという のが、過去の経験から言って現状のようでございます。 ○阿部座長 事務局の方で付け加えることはありますか。 ○高原統計情報部長 田代先生に毎勤の仕分けのときにお世話になりまして、あそこで取 り上げられたオンライン化という御提言につきましては、これは別に毎勤だけのものでは ないと受け止めておりまして、それはできるだけオンライン化できるようにしていきたい と考えております。ただ、オンライン化するにもコストがかかることもございますし、例 えば高齢者を対象としたような構成要素のものがあるわけですが、そういったところは無 理かなという感じがしております。できるだけオンライン化についてもしていきたい。事 業仕分けの結果を踏まえてそういうものの普及をしていきたいと考えております。 ○阿部座長 ほかにございますか。土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 ちょっと場外になってしまうかと思うんですが、ここには特に社会保険、社 会保障等のところで調査研究とか調査の統計がずっと出ているんですけれども、いわゆる 社会保険、社会保障関係では調査しなくてもいっぱいデータはあります。例えばレセプト のデータ、DPC、研修医、医師のこととか、その辺をこの場で扱うか。重複がないかと か関連性でリンクできるかどうかというときに、実際に業務上集まってくるデータという のも非常に貴重だと思うんです。これ自体が統計としての役割を果たしていく。  ですから、その辺を議論していくと、いつも行き着くのは重複のときにはやはり個票を 共通化するとなると、社会保障番号の話が避けて通れない。その辺もせっかく事業仕分け で見直すのであれば、それを深くやる必要はないと思うんですけれども、そこを大上段に 構えておいて、そこへ向かうという方向で議論をするか、それを全く無視するかで随分違っ てくる気がするんです。 ○阿部座長 事務局いかがですか。 ○早川統計企画調整室長 社会保障番号が導入されて共通のキーを持つという形になれば、 かなりの情報が得られるような状況になると思いますけれども、ただ、例えば今、調査票 を個人に送ったときに、調査票に社会保障番号を書いてくださいというやり方を取らざる を得なくなりますので、個人が特定されるような感じの調査になるということが、回収の 段階で何か影響を与えないかという心配もあるのではないかという気がいたします。 ○土屋委員 場外のことで申し訳ないんですけれども、確かに個人情報保護法を盾にする と何もできなくなってしまうんです。個人情報を保護することは大変大事なんですけれど も、それと個別にきちんと把握ができるということと併せて考えないと、保護するのは保 護するで徹底してやらなければいけないですが、集めるところはきちんと突合ができるよ うに集めるという姿勢は必要ではないか。  それと関連して公表、報告というところで止まっているんですけれども、その先という か同時に個別の素データの公開、おそらくこれほどの研究家はそれを自分なりの解釈なり 分析をしたいという思いが強いと思うんです。そこまでいかないと役に立つかという項目 がたしかあったと思うんですが、調査をより広く活用されるようにする余地はないか。こ このところはかなり大きな問題ではないかと思うんです。  当然個人情報は保護しないといけないけれども、多くの研究者がそれを基に活用すると いうことは、税金を無駄に使わないことにつながると思いますので、是非その辺も論点に していただきたい。 ○阿部座長 事務局からお答えはありますか。 ○高原統計情報部長 現在の仕組みでございますけれども、統計を私どもが実施する際に は統計法という法律の制約の下でつくれということになっております。その統計法という のは本来皆さんが普段ごらんになるような集計表をつくることを目標として、こういう調 査、情報を収集していいということになっているわけでございます。集まった個別のデー タをどうするかというのは統計本来の目的ではなくて、目的外の利用という形で認められ てきておりまして、それにつきましては国として統一した方針でどうするかということが かなり決まっております。法律でも決まっておりますし、閣議決定などでも決まっており まして、その範囲で厚生労働省としても積極的に進めていきたいと考えているところでご ざいます。 ○阿部座長 先ほど土屋先生も廣松先生もおっしゃったと思うんですけれども、統計調査 の範囲をどこまでにしておくか。つまり行政記録、業務統計だとか、そういうところまで 含めてやっていくのかどうかという御質問があったと思うんですが、その点は我々で決め るべきなのかどうなのかわかりませんけれども、どうしましょうか。 ○早川統計企画調整室長 一般論として取り上げることは十分あると思いますので、今後 業務上のデータなり行政記録情報は十分活用すべしという、方向的なお話は全然構わない んですけれども、この調査でこれが使えるはずだという話は時間的な制約が多いのではな いかと考えております。 ○土屋委員 むしろ今、最初に言われたような方向性を出すと、逆に言うと田代委員が心 配されていたようなこれっきりというのがなくなって、次への宿題になっていくと思うん です。そういう意味では方向性は、この研究会の報告書としては含むべきではないかとい う気がします。  先ほど部長がおっしゃったように、確かに法律で縛られているんですけれども、逆に研 究者あるいは国民の声が強ければ法律を変えていただいて、もっと簡便にそれが利用でき ることも必要ではないか。特に私ども医療関係ではDPCのデータは遅過ぎるんです。結 論が出てしまってから公開される。しかも切歯扼腕というか細かなデータが見られないと いうことがありますし、レセプトデータなんかもいろんな活用の仕方があると思うんです けれども、生かされていない。ですからその辺の方向性はつかんでおかなければいけない のではないかという気がいたします。 ○阿部座長 そういう意味では統計調査の成果や効果の部分で、成果や効果をどうやって つくると言ったら変ですけれども、効果的にするためにどうするかという議論の1つでは あると思うんです。その点はいかがですか。 ○廣松委員 まず1点目の行政記録情報あるいは業務統計に関してですが、資料4で例え ば保健衛生の衛生行政報告例の開始年が1886年になっていますけれども、これは1986年で すか。それと福祉行政報告例、病院報告もそうかもしれませんが、まさに行政報告を統計 化した、成功例だと思います。先ほど土屋委員もおっしゃったとおり、これ以外にさまざ まな行政記録情報がある。それらを今後どういう形で統計化していくかということは大き な論点であり、単に現在あるものを仕分けるということだけではなくて、統計調査に限ら ず、統計をつくるためにどういう効率的な方法というか、現存する情報をうまく利用する かということも考えるべきではないかと思います。  2番目の点として先ほど部長からも御紹介がありましたとおり、現在確かに統計法の最 終的な目的は統計表をつくることですが、それ以外の利用に関して新しい統計法の下では 二次利用といっていますが、個票レベルのデータを1つは匿名データという形で提供する、 もう一つは直接ユーザーが個票に接するわけではありませんけれども、オーダーメードと いう形で提供することができるようになり、実際に今、進んでおります。厚生労働省でも 今匿名データの提供の準備をしていただいています。オーダーメード集計の体制も整えて いただきつつあると思います。  ただ、確かにこれは基本計画の中でも指摘されていることですが、統計法が新しくなり、 それに基づいて可能になった制度で、まだ出発したばかりなものですから、一般のユーザ ーの方々の広いニーズに応えられているわけではありません。21年度の施行状況のフォロ ーアップをしましたときに、やはり二次的利用に関してはもっと推進すべきであると、統 計委員会の中でも確認されました。この仕分けの中でも先ほどおっしゃいましたように、 公表した後の利用をより促進するという意味で、二次的利用のより一層の推進も1つの論 点として、あるいは考え方として入れていただければと思います。  それと関係してもう一つ大きな議論というか、ひょっとするとこれは法改正を要するの かもしれませんが、実は特に医療関係の研究者の方から大変大きなクレームが来ておりま す。それは統計法第33条2項に関することなんですが、旧法の下では調査の母集団名簿に 関して目的外利用という形で利用可能でした。ところが、新法の下では母集団名簿を二次 的に利用するということは、あくまで統計を作成するためであって、もとの母集団から例 えば研究者の方が自分の直接の研究目的に沿って、そこから新たに調査用の名簿をつくっ て調査をすることは、認められなくなりました。その意味で旧法でできていたことが新法 ではできなくなったという例の1つになっていまして、それはやはり早急に改めるべきだ ろうと思っています。確かに今回の仕分けに関して基本に統計法があることは事実ですが、 ただ、運用を始めて改善すべき点については当然主張してもいいのではないかと思います。 ただ、1つ大変気になりますというか、調査実施担当の方々の大きな御心配は、もし仕分 けの結果としていろいろポジティブなというか、前向きなことを言ったときに、そのリソ ースはどうなるのか。予算もそうですが、人員もこれ以上新たな負荷が増えた場合に本当 に立ち行かなくなるおそれはないか。その点も考えるべき大きな論点ではないかと思いま す。 ○阿部座長 中山委員、どうぞ。 ○中山委員 先ほど二次利用のお話が出ましたけれども、私は統計法とか全く素人でわかっ ていないのですが、例えばデータをとるときの母集団の個々のデータまで入り込んで、ク ロス分析などはできるようになったのですか。それともそれはできなくて、あくまでもま とまったものしか使えなくなっているのですか。その辺はいかがなのですか。 ○廣松委員 2つありまして、先ほど申しましたオーダーメードというのは研究者が公表 されている統計表とは違う分類に基づいて、こういう表がほしいということを調査実施者 にオーダーするわけです。そうすると、そのオーダーに応じて調査実施者側が表をつくっ て提供をするという形です。それはあくまで統計表の形です。  それに対してもう一つ、匿名データと言いましたのは個票レベルです。ただし、大原則 として当然調査対象者が特定化されてはならないということがありますので、いろいろな 技術的な処理を行います。まずリサンプリングをやります。すべては当然公表できません ので、何%かを取り出す。さらに例えば年齢、家族員数について極めて高齢の方、極めて 家族人員が多いために特定化される危険性が高い調査対象者に関しては、それを伏せるよ うな形で提供します。その上で、匿名データの場合には個票レベルで提供して、その使い 方はユーザーに任されます。ただ、匿名データを公表するときに調査対象者は必ずしも個 人、世帯だけではなくて、事業所についても、特定化されないような形の提供の仕方をす ることになっております。 ○中山委員 それは当然でしょうね。 ○廣松委員 ただ今の段階では事業所とか企業レベルのデータは、幾らそういう匿名化を したとしても、公表するとほかのサイド情報とか、特に問題なのは地域区分なんですが、 多分県単位ぐらいで出してもわかってしまうことがありまして、事業所レベルのものに関 してはきわめて難しい。だからと言ってそれを全く出さないというと、特に公的な機関に 関して特定化されるからと言って出さないというのは、公的機関の社会的な役割という意 味から言うと、それでいいのかという議論もありまして、そこのところはまだ決着がつい ておりません。 具体的に厚生労働関係でいくと病院なんかはそうだと思うんですが、あるいは別の分野で いくと文部科学省の教育機関関係の統計がそうですけれども、県単位のデータを公表した だけで個別の機関がわかってしまう。もっとも、多くの学校は今いろんな形で情報公開を しています。既に学校自身が公開していて表に出ているにもかかわらず、統計として取っ たからそれは公表できませんというのも変な話になってしまいます。だからその辺につい ては新しい統計法の下で、もう少し整理をしていかなければいけない課題ではないかと思っ ています。 ○阿部座長 事務局からは何かありますか。特によろしいですか。  そうしますと論点ですが、行政情報についても議論をすべきだということかなと思いま すけれども、それでよろしいですか。  二次利用とそれに伴うリソースの問題、つまり成果を出すためにどれだけコストを払う かという、コストの部分になろうかと思うんですけれども、その辺りのあんばいをどう考 えるかというのも多分論点になると思いますので、これから行政情報と二次利用、統計そ のものの費用対効果の話ということで、今後議論していくことになろうかと思います。  先ほど各委員から、例えば田代委員からはこれまでに厚生労働省で廃止した統計はどれ ぐらいあるのかという宿題もありましたし、土屋委員からは組織図や体制、費用、コスト、 委託状況といったことはどうなっているかという御質問もありましたので、その辺りも含 めて今日はお答えにはなれないと思いますので、次回以降その辺りも含めてお話いただけ ればと思います。  オンライン化も先ほど廣松先生からいろいろと情報をいただきましたけれども、厚生労 働省の中で今どのようになっているのかというのを、もう少し詳しくお話をいただければ いいかなと。例えばオンラインに今後していくとしても、どのような問題があるかとか、 その辺りも多分お話いただいた方がいいのかなという気がいたしました。政府共同統計シ ステムについてももし言及があればいいかなと思います。  今回この今年度の研究会では難しいという可能性もありますが、行政情報については少 しお調べいただいた方がいいのかなと思います。それは今回12月までには膨大でしょうか ら難しいとしても、何らかそういう言及があってもいいのかなという気がしますので、そ の辺りを含めて今後やらせていただければと思います。  私はこれでまとめたつもりになっているんですけれども、ほかに何かまだ足りないとい う部分がございましたら委員から御意見をお願いします。 ○中山委員 質問になりますが、今ある100ぐらいの項目のうち、どれをやろうかという のは次回決めるのでございましょうか。つまり何を言っているかというと、全体論も去る こと、個別にティピカルなものでこれはどうなんだというところの議論を深めないと、具 体性がありません。そういう意味で例えば事業仕分けの場合も法人によって、ある基準を 持って幾つかに仕分けてきたわけです。  そうすると同じようにこれも例えば費用がかなりかかっているとか、PDCAとありま すけれども、政策のPDCAの影響を及ぼすものが広範にわたるとか、もしくはほかの省 庁も含めて影響が大きいとか、国民の関心が例えば最近なんかでは少子化とかいろんなこ とがあって高いとか、そういったことでプライオリティをつけて、この辺をまずというの があっていいと思うのですけれども、その辺はいかがでございましょうか。 ○早川統計企画調整室長 イメージとしていろんな切り口があるかと思うんです。例えば 先生がおっしゃいましたようにコストの面でどうかとか、コストも規模によって当然大規 模な調査であれば、費用がかかってくるのは当然だと思うんですけれども、相対的に高止 まりしているものがあるかどうかという観点とか、政策的な意味合いが濃いのか薄いのか という観点などいろいろあろうかと思うんですが、一応今の私どもの方では100本につい て、そういった情報をすべてお示ししようかなとは思っていたんですけれども、その中で 先生方の方で取り上げたいというものがあれば、そこは掘り下げていただく方がよろしい のではないか。うちが都合のいいものだけやっていると言われないようにという部分があ ると思うんです。 ○中山委員 例えば次回100本のこういう膨大な2〜3mのデータが出てくるわけですか。 ○早川統計企画調整室長 今、大体話題になっているのが政策的な意味合いとか利用の状 況、それに関するコスト、どれだけの人がかかっているか、オンライン調査の状況という ようなものは、大体収れんされているのかなという感じですので、そういったところにス ポットを当てた形でいかがでしょうかと考えているんですけれども、よろしゅうございま すでしょうか。 ○中山委員 わかりました。 ○阿部座長 多分100本全部やるのは無理なので。 ○中山委員 まさしく、どれをやるかピックアップすると何本かになるのでしょうけれど も、その観点が基幹統計のようなかなり大きくやっているものから、そうではなくて多分 規模の大中小みたいなものと、政策の影響度とか、今のティピカルな話題として重要性が 高いとか、幾つかの切り口があると思うのです。 ○早川統計企画調整室長 やりやすいように工夫するようにいたします。一番わかりやす いのは予算規模がどれぐらいかというもので分類すると、かなり集団が分かれてくると思 いますので、そういった中で例えば大きいところとか、政策的な意味合いとか、幾つか整 理した形で出したいと思います。 ○阿部座長 そうすると次回一覧が出て、そこで我々で少し議論をして何本か取り上げる ということですか。 ○田代委員 事前にメールか何かでもらえませんか。 ○早川統計企画調整室長 それは会議以前にごらんいただけるようにいたします。 ○中山委員 一覧表もいただいて、あとはサンプルがあるなら部屋の横にでも積んでおい ていただければ。 ○田代委員 4回しかなくて今日1回終わったわけですから、2回目にまたそんなことを やっていたら時間がなくなってしまうので、事前にメールで送ってもらえればありがたい です。 ○早川統計企画調整室長 そのようにいたします。 ○中山委員 質問ですけれども、インターネットを見るとここに書いてある調査のうち、 どのくらいが厚労省のホームページに掲載されているのでしょうか。ほとんど載っている のでしょうか。 ○早川統計企画調整室長 厚生労働省のホームページの中に調査・統計というページがご ざいまして、分野別調査一覧というのがございます。そうするとこのような名前のものが ずらっと出てまいりまして、そこから結果表とか調査の概要のページにリンクされるよう に多くのものはなっているんですけれども、私もかなり時間をかけて見てみたんですが、 めりはりがあります。これだけしか出ていないのというものから、びっちり出ているもの もありまして、その辺は省内で部局によって出し方がばらばらになっている現状でござい まして、大体何かしらはヒットしますけれども、どこまで詳しく出ているかは各調査でか なり差が出ているのが現状でございます。 ○中山委員 私なんかも民間が何か調べようと思って一生懸命データを見るのですが、ちょ うどこれがほしいというところが意外となくて、あっても例えば年度が古かったりとか、 時系列がとらえにくかったりとか、結構そういうものがありますので、民間利用者として ピックアップしてみます。  この議論とは少し離れているかもしれませんが、例えばイギリスなんかの場合ですと持 続可能な社会インデックスというものがあって、200ページぐらいのいろんな項目があっ て、そこで時系列で何がどうなっているかということを一望できるのです。国民生活がど う変化しているか一望できるんですけれども、どうも日本にはそういう一目でわかるもの は余りなくて、ここの白書にはばらばらとあるのですが、なかなかそこも一望できるもの がない。しかも、多分データのとり方も毎年とっていないものがあるものだから、結局白 書を見ても2007年版にあるのですが、そこから先がなくて、どうなっているのだろうと思っ ても答えが見つからないことが結構ありました。  それはこの議論とは別だと思うのですが、国全体として我々の生活がどうよくなってい るのか悪くなっているのかといったことがわかるような、一望できるものを考えていただ けるといいと思っています。イギリスのインデックスは結構よくできていますので、ネッ トでも手に入るし、このくらいの本もあるんですけれども。 ○阿部座長 事務局からよろしいですか。 ○早川統計企画調整室長 先ほど廣松先生から御指摘がございました衛生行政報告例の調 査開始年なんですけれども、これは1886年で、旧内務省の時代から行われていまして、名 前はちょっと違っています。 ○廣松委員 では福祉行政報告例は。 ○早川統計企画調整室長 一緒でございます。明治19年とか、そういう時代からある古い 調査でございます。 ○廣松委員 そうですか。失礼しました。 ○阿部座長 それでは、この辺りで議題2の仕分けの論点についての議論を終えたいと思 いますが、最後にその他ということで、もし何か全体を通して御意見、御質問、多分出尽 くしたような気もしないでもないんですが、何かあれば。よろしいですか。  それでは、事務局から連絡事項等がありましたらお願いします。 ○早川統計企画調整室長 先ほどの今後の進め方にも書いてございますけれども、次回は 今日と同じこの会場で11月15日10時から会議を予定しておりますので、参加の方をお願い したいと思います。正式に開催通知で後ほど御連絡をいたしたいと思います。 ○阿部座長 予定していた時間よりも30分ぐらい早く終えることになりました。先生方に はお忙しい中お集まりをいただきまして、本日は熱心な御議論をいただきましてありがと うございました。また今後ともよろしくお願いいたしたいと思っております。これで終わ ります。 照会先 厚生労働省 大臣官房 統計情報部 企画課 統計企画調整室 統計企画係 電話  03-5253-1111(内線7373)