食品添加物の指定及び使用基準改正につきまして、平成13年11月22日 から12月21日まで、ホームページ等を通じてご意見を募集しましたところ、「次亜塩素酸水」(審議会での審議を経て「酸性電解水」から名称が変更)に関し、のべ6件のご意見、ご要望をいただきありがとうございました。なお、ステアロイル乳酸カルシウムに関しては特段のご意見等はございませんでした。
お寄せいただいたご意見等つきましては、とりまとめの便宜上、案件ごとに適宜集約させていただいておりますが、それらに対する事務局の考え方について、次のとおりとりまとめました。
これらご意見等とそれらに対する事務局の考え方につきましては、平成14年3月27日の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の場で説明され、ご検討頂いております。また、前述のように「酸性電解水」に関しましては、同日付けの薬事・食品衛生審議会の答申において、名称を「次亜塩素酸水」とすることが適当とされましたことも申し添えます。
今回、ご意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。
次亜塩素酸水の食品添加物としての指定に関するご意見について
(ご意見募集時は「酸性電解水」と称していたものですが、答申に従い、当方の回答においては名称は「次亜塩素酸水」として記載しています)
1.次亜塩素酸ナトリウム水溶液の殺菌効果は生成する次亜塩素酸の殺菌力に依存しており、実質的には次亜塩素酸は食品の殺菌に既に使用されているものである。従って、次亜塩素酸ナトリウムが食品添加物として指定されていることをもって、次亜塩素酸も指定されているとみなせるのではないか。
2.次亜塩素酸を主成分とする水溶液の生成は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に食品添加物の酸を加えてpH調整する等の方法によっても可能であるので、酸性電解水のみを食品添加物として指定することは、公平性を欠くことにならないか。製法にかかわらず、次亜塩素酸として指定するか、これらについても同様に食品添加物として扱うべきではないか。 3.pHや有効塩素濃度等が規格から外れる酸性の電解水については、食品添加物として使用は認められないのか。成分規格における定義は電解水の内容を示すものであることから、隔膜の有無や起原物質等を特定する必要はないのではないか。これらを限定する理由は何か。 |
(当方の考え方)
添加物指定にあたっては、基本的に流通形態に即して「物」を特定しており、今回も活性の本質ではなく「次亜塩素酸水」という液体そのものを指定することとしております。
さらに、添加物の指定にあたっては、データに基づきその有効性及び安全性が実証される必要がありますが、その他の製法によるもの、成分規格外のもの等については、現在のところデータが確認されておりません。製法の相違も含め、成分規格外のものを添加物として使用しようとする場合には、規格外部分の有効性、安全性等のデータに基づき、規格の改正を申し出て頂く必要があります。
なお、「次亜塩素酸水」については、添加物そのものではなく生成装置が主として流通することになることから、成分規格に適合する次亜塩素酸水が生成されることを担保するため、基原物質や隔膜の有無等についても成分規格内で特定しようとするものです。
4.使用基準案の「酸性電解水は、最終食品の完成前に除去しなければならない。」とは、次亜塩素酸を除去することを意味するのか、あるいは残留塩素を除去することを意味するのか。 |
(当方の考え方)
有効塩素が最終食品に残留しないよう、水洗等により除去するという主旨ですが、水道水等にも有効塩素が含まれているため、除去処理後も最終食品中に有効塩素が検出される可能性があるなどの問題点が考えられることから、実際の検査上の問題点を考慮した上で、当該使用基準案の運用の仕方についてさらに検討を行う予定としています。
5.酸性電解水の有効塩素濃度の範囲は、殺菌効力と安全性の関係から決められるべきであり、強酸性電解水の方が微酸性電解水よりも高く設定する必要はないのではないか。強酸性電解水の現行の有効塩素濃度範囲では塩素ガスが発生する危険性がある。 |
(当方の考え方)
強酸性次亜塩素酸水と微酸性次亜塩素酸水間の有効塩素濃度範囲の相違は示されたデータにおける濃度範囲の相違によるものであり、それぞれの有効塩素濃度範囲の設定にあたっては、有効性及び安全性を勘案した上で、データの範囲内で設定しています。なお、ご指摘の通り、強酸性次亜塩素酸水では微量の塩素ガスや水素ガスが発生する可能性がありますが、換気の実施等により対応可能な範囲と考えられますので、その旨を通知等で注意喚起することを検討しております。
6.次亜塩素酸ナトリウムも酸性電解水と殺菌本体は同じであるので、使用基準として「最終食品の完成前に除去しなければならない。」を設定する必要があるのではないか。 |
(当方の考え方)
「次亜塩素酸水」について当該使用基準が設定された場合には、次亜塩素酸ナトリウムについても同様の基準を策定する必要性につき検討を行う予定としています。