「遺伝子組換え食品の安全性審査の手続を経た旨の公表について」に対して寄せられたご意見等について
○ ニューリーフ・プラス・ジャガイモについていただいたご意見
意見1 |
・ 今後作付けされる見込みのない作物をなぜ承認するのですか。 |
米国・カナダにおけるニューリーフ・プラス・ジャガイモの作付け面積は減少傾向にあると聞いていますが、今後しばらくの間は原材料や加工食品として市場で流通することが見込まれます。このため、厚生労働省としては、ニューリーフ・プラス・ジャガイモの安全性について、科学的知見からの審査を行い、人の健康に影響を与えるおそれは認められないと判断したものです。
○ ラウンドアップ・レディ・カノーラRT200についていただいたご意見
意見1 |
・ 食用油としてのみでなく、おひたし等で食べたときのことも考慮して摂取量を算出すべきではないか。 |
カノーラは、なたねの品種の1つですが、なたね油の製造にのみ用いられる種類のもので、おひたし等にするなたねとは別の種類です。このため、食用油として摂取する場合として算出しています。
○ その他安全性審査全般についていただいたご意見等
意見1 |
・ 遺伝子組換え作物の自然界に与える影響について安全性を示してください。 |
遺伝子組換え作物が環境に与える影響については、農林水産省がその安全性を確認しています。
意見2 |
・ 遺伝子組換え食品には全面的に表示を義務づけてほしい。 |
遺伝子組換え食品の表示については、食品衛生法及びJAS法により、平成13年4月から義務化しているところですが、今後とも技術的に可能な範囲で進めていきたいと考えています。
意見3 |
・ 遺伝子組換え食品の長期的な安全性について試験(慢性毒性試験等)を行ってください。 |
遺伝子組換え食品の安全性審査においては、一律に毒性試験を不要としているものではなく、慢性毒性試験等は必要に応じて実施されるべきとされています。これまでに安全性審査のなされた遺伝子組換え食品は、急性毒性に関する試験を実施しているものもありますが、慢性毒性等に関する試験を実施しなくても安全性に問題はないと判断されています。
また他方、国際的にも遺伝子組換え食品のような丸ごとの食品の毒性試験については、農薬や医薬品等の化学物質とは異なり、伝統的な毒性試験を適用することに関して難しい点があると言われていますが、現在厚生科学研究事業において慢性毒性試験の研究を行っているところです。
意見4 |
・ 遺伝子組換え食品についての全ての情報を開示してください。 |
遺伝子組換え食品の安全性審査については、薬事・食品衛生審議会食品衛生バイオテクノロジー部会の報告書等の情報を、厚生労働省の遺伝子組換え食品ホームページ上に随時掲載しています。また、安全性審査に用いた申請資料についても、開示することにより申請者の不利益となる資料を除き公開されています。
意見5 |
・ 企業の提出する資料だけでなく、国としての確認試験を行うべき。 |
食品衛生法においては、食品の安全性確保は一義的にはそれを取り扱う事業者が責任をもって行うべきであり、遺伝子組換え食品についても同様です。このため、
厚生労働大臣による安全性審査においては、事業者等に当該食品の安全性評価の詳細な資料を提出させ、その資料の信頼性も含め、これが科学的に妥当なものであるか否かについて、薬事・食品衛生審議会の専門家による検討を行っており、この適切な審査を経て、厚生労働大臣が個別にその安全性を判断しています。こうした審査の方法は、食品中の農薬残留基準の設定や食品添加物の指定における審査においても同様に行われています。
意見6 |
・ 安全性が確立するまでEUのように一切の承認を停止してください。 |
EUにおける遺伝子組換え食品の承認については、現行の指令(90/220/EEC)が多くの加盟国のニーズに対応できないため、この指令が改正されるまでの間、事実上承認が停止しているものと聞いています。また、EUは本年7月に新たな指令の改正案を示しており、今後検討されるものと考えています。
なお、わが国においては、遺伝子組換え食品の安全性審査基準に基づき、最新の科学的知見に基づく審査を実施しており、今後とも、遺伝子組換え食品の安全性確保に努めてまいります。