パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

室内空気汚染に係るガイドライン(案)に対する意見の募集結果について

平成13年 7月27日
厚生労働省医薬局審査管理課
化学物質安全対策室
1.概要

 平成13年4月10日に開催された「第6回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」において検討された「室内空気汚染に係るガイドライン(案)」及び「室内空気中化学物質の測定マニュアル(案)」の内容につき、以下のとおり意見募集を行いました。

(1)期間:平成13年5月17日〜同年6月14日の約1ヶ月間
(2)告知方法:厚生労働省ホームページ、記者発表等
(3)意見送付方法:電子メール、FAX、郵送のいずれか
 このたび寄せられましたご意見につきましては、取りまとめの便宜上、案件ごとに適宜集約させていただきました。
 今回、ご意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。

2.受付意見件数

 合計 140件(意見提出者数)

<内訳>
・企業 80件
・団体 6件 (事業者団体 5件、NGO 1件)
・個人 50件
・官公庁  4件 (独立行政法人1件、大学1件)

 提出意見はほとんどが複数の項目について意見が述べられており、のべ意見数は306件となりました。

3.受付意見の概要

 意見(のべ意見数)の内訳は以下のとおりで、意見の詳細及び対応・回答については、別紙に記載します。

<内訳>
・指針値全般に対する意見 46件
・テトラデカンに対する意見 8件
・ノナナールに対する意見 9件
・フタル酸ジ-2-エチルヘキシルに対する意見  208件
・ダイアジノンに対する意見 5件
・測定マニュアル(案)に対する意見 9件
・その他 21件



指針値全般について
  意見の概要 対応及び考え方
・ガイドライン化の今後のスケジュールはどのようになっているのか(5) 個別物質の指針値策定は、WHO空気質ガイドラインに掲載されている物質数である、50物質程度を目標に、年間8物質程度づつ、整備していく予定です。また暫定目標値を定めたTVOCについても、その間、指針値策定に向け、調査研究と検討を継続することとしています。
・VOCリストに載っている化学物質はすべて早急にガイドライン化すべきではないか(8)
・指針値策定の目的と位置づけを再度明らかにして欲しい(2) 指針値の策定は、室内空気環境汚染の改善又は健康で快適な空気質の確保が目的です。指針値は、現時点で入手可能な毒性に係る科学的知見から、その濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても健康への悪影響は起きないであろうと推測される値を算出したものです。一方、シックハウス症候群と呼ばれる病態で苦しんでいる方の中には、空気中の微量の物質に過敏に反応してしまうことがあると報告されているように、この指針値を満たしている室内空気質であれば絶対に安全であるとは言えない場合もあります。しかし、指針値を定め、普及啓発することで、住宅や建物の環境の改善が進み、それによって、多くのシックハウス症候群予備軍の人たちが今後健康悪化を来たさないようにすることができると考えています。従って、指針値を満足するような建材等の使用、住宅や建物の提供もしくはそのような住まい方を期待するところです。
・指針値以下なら使用してもよいのか(2)
・使用総量によっては低含有剤でも指針値を超えないか
・以前のパブリックコメントで「指針値が設定された物質の使用は自主的に控えることが望ましい」という記載があったが、ガイドラインの趣旨から逸脱しているのではないか。また、結果的にはその物質の排除につながり関連する業界に打撃を与えないか。
・指針値設定に伴う損失は補償することを保証していただきたい(2)
・指針値が設定された物質について、現状におけるリスクを考慮してさらに区分けできないか
・明確なリスクを開示して欲しい
室内空気中化学物質濃度の実態調査による暴露量の把握と健康影響との因果関係について、現在も引き続き調査研究を進めているところです。その成果をふまえて検討したいと思います。
・今回対象の4物質による被害報告事例はあるのか(3) 現在のところ、特定された報告事例はありません。
10 ・存在量が多くWHOにもあるα-ピネンを優先して設定すべきではないか 室内空気環境中に存在する可能性のある物質は、基本的には全て指針値策定の対象となり得ますので、α−ピネンも今後の指針値策定の対象となります。他にもたくさんの対象物質がありますので、α−ピネンについても、できるだけ早く指針値を検討できるようにしたいと思います。
11 ・動物実験で発がん性が認められているのに、人には適用されないと評価されるのはどのような場合か 例えば、epigenetic(後成的)な機序によって、ある動物種において特異的に誘発されたものと判断される場合、言い換えると、非遺伝子障害性機序によるもので、且つその発がんメカニズムが人に外挿できないと判断される場合等が該当します。このような結果は、ヒトのリスク評価に反映させることは困難な場合があります。
12 ・安全係数が様々あるが基準を明らかにされたい 動物実験から一般のヒトへ外挿する場合、通常はヒトは実験動物よりも感受性が高いと仮定した種差10、ヒト集団における感受性の個体差10から、その積である100を用います。さらに、毒性反応を起こさない最大投与量の根拠となった毒性が重篤な場合、採用した毒性試験の質が不十分な場合、毒性反応を起こす最低投与量しか得られていない場合、短期間の毒性試験データから長期毒性を推定する場合、生殖発生毒性試験等の重要な毒性試験のデータがない場合には、最大10を追加します。その他、個別の毒性発現や暴露経路の違い、対象集団の種類等も考慮して、適当な値が決定されます。詳しくは、「化学物質のリスクアセスメント−現状と問題点」(国立医薬品食品衛生研究所「化学物質のリスクアセスメント」編集委員会編集。平成9年9月)を参照してください。
13 ・TDIとADIの違いは何か ダイオキシン類に代表される非意図的に生成する物質や建材等から室内空気中に放出される物質等については、本来存在すべきものでない物質が非意図的に摂取されるものであるため、耐容一日摂取量(TDI)という言い方を用います。一方、食品添加物や食品中に残留する農薬等については、その利便性のために意図的に使用した物質を食品から摂取するものであるため、許容一日摂取量(ADI)という言い方を用いますが、その意味するところは概ね同じです。
14 ・最終的に室内に存在している物質だけでなく、それの起源となるものも規制すべきではないか 発生源対策もシックハウス総合対策の重要課題であり、建材からのホルムアルデヒド放散量の規格化などの取組が進められているところです。また家庭用品からの化学物質放散量等についても今後検討が必要になるものと考えております。
15 ・食品への二次汚染を考慮すべきではないか 室内空気以外からの暴露も考慮することは、化学物質の健康影響を評価する上で重要なことです。本検討会で定める指針値では、対象となる物質を全て室内空気から摂取したと仮定して、空気中濃度に換算した値を設定しています。
16 ・対象物質の選定基準を明確にしていただきたい(3) 指針値策定の対象物質は、平成12年6月の本検討会中間報告に述べた、対象物質を選定する際に考慮すべき6つの事項に従って、選定をしています。国際機関や海外で空気質ガイドラインの対象になっている物質も考慮する事項のひとつですが、それ以外にも考慮すべき事項があるため、違いが生じるものと思います。
17 ・EPAのランクと対象物質が違いすぎないか(8)
18 ・「パブリックコメントで要望が多かったもの」と言う選定理由は非科学的で削除すべき(2) 健康で快適な空気質を享受することは一般国民の権利であると考えますので、対象物質の選定理由のひとつとして重要であると思います。
19 ・指針値決定物質について吸入毒性試験はしないのか 吸入毒性試験のデータは、指針値策定の際に考慮する重要なデータのひとつです。一方、吸入毒性試験のデータが入手できない場合でも、あるいは入手できる場合であっても、経口毒性試験等のデータを吸入した場合に置き換えて評価することができるのであれば、それを採用することもできると考えています。


テトラデカン
  意見の概要 対応及び考え方
・テトラデカンではなく、ある範囲の脂肪族炭化水素として評価すべきではないか(2) これまで「『シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会』中間報告書−第1回〜第3回のまとめ」に従って、個別のVOCについて指針値策定を進めてきたところでありますが、今回指針値の設定に際して用いた米国の産・学・官の専門家で構成されるTotal Petroleum Hydrocarbon Criteria Working Group(TPHCWG)が勧告した経口暴露に関するRfDは、炭素数8〜16の脂肪族炭化水素から構成される混合物についての評価結果ですが、炭素数の異なる成分からなる混合物において算出される経口暴露に関するRfDが概ね等しいという知見を用いて今回の指針値を決定したものです。また、今回の検討に際して用いた知見は、テトラデカン(炭素数14)を念頭に集積したものであることから、他の炭素数(8〜13、1及び16)について、今後引き続き新たな知見の集積及び検討を行った上で、脂肪族飽和直鎖炭化水素(炭素数8〜16)に対して指針値を設定できるかについて検討する予定です。
・何故テトラデカンだけなのか。他のパラフィンは安全なのか。(4)
・汚染実態を考慮して指針値を下げるべき 得られた毒性に係る知見から、科学的に説明できる範囲で、最も厳しい数値を算出しています。なお、指針値の策定によって、住宅施工者による自主的な取組みによる室内空気汚染の低減化の促進が図られることが期待されるところです。
・TVOC400μg/m3との整合性はどうなのか 今回提示したテトラデカンに係る指針値はリスク評価に基づいた健康指針値です。一方、TVOC400μg/m3という数値は、実態調査の結果に基づいて達成可能な限り低い範囲で決定した空気質の目安としての暫定目標値であり、毒性学的見地から求めた値ではなく、現時点では個別VOC指針値とTVOC暫定目標値はそれぞれ独立して扱われるべきものです。なお、今後きちんとしたTVOCと健康影響の実態調査を実施し、健康影響の起こりうるTVOC濃度域とリスク評価に基づいた指針値設定を目指すこととしており、その検討に際しては、御指摘の点についても考慮する予定です。


ノナナール
  意見の概要 対応及び考え方
・情報量が不十分であると認める状況下であえて指針値を設定するのは何故か。今回は見送るべきではないか。(3) 御指摘のとおりノナナールの毒性研究報告等の情報は少ないものの、米国環境保護庁が提示しているラットを用いた12週間経口投与試験におけるNOAELが得られていることから、本結果を基に、指針値としてではなく暫定値を設けることについては特段の問題はないものと考えております。なお、今後、暫定値として継続して検討する予定です。また、他の炭素数(8及び10〜12)について、今後引き続き新たな知見の集積及び検討を行った上で、脂肪族飽和直鎖アルデヒド(炭素数8〜12)に対して指針値を設定できるかについて検討する予定です。なお、指針値については、今後新たな科学的知見の集積に伴い、将来、変更され得るものと考えています。
・ノナナール単独の吸入毒性に関する文献が少なく、現時点で評価することは困難であると考えます
・当初案では230であったのが41とされたが、この間の経緯を明らかにされたい 前回検討会の終了後、先に述べた米国環境保護庁が行った新たな知見が得られたため、当該知見を用いて新たに指針値案を設定し、今回改めて意見を募集したものです。
・ノナナールは恐らく人の性フェロモンであろうとの報告があるが、これはどのように評価されるか 御指摘の「人の性フェロモン」という概念は、未だ科学的に確証されたものではないと認識していることから、今回の指針値案の検討に当たっては評価はしておりません。
・指針値は炭素数8〜12のアルデヒドの合計とすべき これまで「『シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会』中間報告書−第1回〜第3回のまとめ」(平成12年6月26日公表)に従って、個別のVOCについて指針値策定を進めてきたところでありますが、指針値(暫定値)の設定に際して用いた米国環境保護庁による試験は炭素数8〜12のアルデヒド混合物を用いています。今回の検討に際して用いた知見は、ノナナール(炭素数9)を念頭に集積したものであることから、他の炭素数(8及び10〜12)について、今後引き続き新たな知見の集積及び検討を行った上で、脂肪族飽和直鎖アルデヒド(炭素数8〜12)に対して指針値を設定することについて検討する予定です。
・ノナナールの由来は元来果実や野菜に含まれており、食品の保管やそれらの加熱調理によって発生すると考えられることから、指値の設定は時期尚早と考えます(2) 本検討会で定める指針値の適用範囲については、昨年12月15日に「室内空気質指針値の適用範囲の在り方について」を公表しており、その中で「生産的な生活に必須な特殊な発生源」に食品は該当すると考えておりますが、指針値の適用範囲は食品などを取り扱うことのないあらゆる室内空間を対象としていますので、そのような室内空間における生活の質を保証するため指針値を設定するものです。


フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
  意見の概要 対応及び考え方
・DEHPがシックハウスの原因であると事実はないが、指針値を設ける必要があったのは何故か(18) 指針値を作成する際、どの物質を選定するかについては、「『シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会』中間報告書−第1回〜第3回のまとめ」(平成12年6月26日公表)の指針値策定の今後の方針において対象物質を選定する際に考慮すべき6つの事項に述べてあるとおりですが、DEHPは「パブリックコメントから特に要望があったもの」、「主要な用途からみて、偏りがないこと」及び「主要な構造分類からみて、偏りがないこと」の3つに該当することから、健康で快適な空気質を確保するために指針値を策定する必要があると判断したものです。なお、前述の中間報告書においては、指針値策定の対象としてフタル酸エステルを掲げており、平成12年12月15日には「フタル酸ジ-n-ブチル」について指針値を設定したところです。また、今後、リスク評価に基づいたTVOC指針値を設定するために必要な物質群毎の寄与評価について検討する上でもDEHPについて指針値を策定することは必要なものであると考えています。
なお、我が国で世界に先駆けてDEHPを対象に指針値を設定することになるとすれば、この結果を他国においても参考としてもらいたいと考えます。
・WHOでも海外でも対象になっていないものを日本だけが対象とするのは何故か(19)
・DEHPの指針値の算出に用いたデータはアメリカのCERHRによれば「信頼度は中程度ないし低位」と評価しているがガイドライン指針値の決定にこのデータを採用した理由は何故か(30) CERHRの報告書において、御指摘の点に係る記載はなされているものの、結論としては精巣毒性及び生殖発生毒性に関する評価に基づき、当該化学物質のNOAELを求めていることから、その結果を採用したものです。
・CERHRで評価されている霊長類(サル)のデータ(サルでは精巣毒性はない)を参考文献から除外した理由は何故か(18)
・DEHPは、物理的化学的性質からみて常温付近ではガイドライン指針値よりに達することはない。このような指針に意味はあるのか(37) 対象物質の選定に関しては先に述べたとおり平成12年6月に公表した中間報告のクライテリアによって判断しているものです。また、実際の空気質濃度が指針値より低い場合(指針値に達しない場合を含む)は、そのことにより居住者の安心が得られるものと考えます。また、今後室内空気質の評価を進めていく上で、物質群毎や用途群毎の寄与評価を行うことが必要と考えています。これらを踏まえ、DEHPの指針値を設定しました。なお、本指針値については、全てのDEHPを室内空気中から摂取すると考えて室内空気中濃度に換算した値で示しているものです。また、指針値の策定とあわせて、物理化学的性状(飽和蒸気圧)を基にした濃度理論値について情報提供を行う予定です。
・DEHPについては現状の値が指針値より遙かに小さいことを明確に示す措置をとって欲しい。
・東京都の発表によれば、濃度測定結果(平均値)は、指針値の500から600分の1程度の濃度である。このことから判断すると今回のガイドライン設定は何の意味があるのか(12)
・飽和蒸気圧を併記すべき
・DEHPは50年以上も使われており、健康被害の報告例も聞かない。代替物への移行が起こればかえって危険ではないか(16) 指針値設定は、その物質が「いかなる条件においても人に有害な影響を与える」ことを意味するものではなく、健康被害の未然防止の観点から行っているのものです。この点について一般消費者はじめ、関係業界、建物の管理者等の当事者には正しく御理解いただききたいと考えており、その旨情報提供していきたいと考えています。
10 ・より安全な代替物が見つかるまで設定は延期すべき
11 ・実測値に見合ったレベルに指針値を引き下げるべきである 指針値の策定に当たっては、ごく最近までのDEHPに係る毒性研究報告、具体的には既存の学術文献や、NTPなどが毒性学的な見地から作成した評価レポートなど、各種の毒性試験報告について調査を行った結果得られた毒性に係る知見から、科学的に説明できる範囲で厳しい基準を設定しているものであり、実測値に見合ったレベルで策定しているものではありません。なお、本指針値については、全てのDEHPを室内空気中から摂取すると考えて室内空気中濃度に換算した値で示しているものです。
12 ・新たなデータが出れば指針値は見直されるのか(8) 本指針値は、今後新たな科学的知見の集積に伴い、将来、変更され得るものと考えています。
13 ・DEHPがシックハウスに直接関与すると考えているのか
・従事者や運転手と言う高暴露群でさえもDEHPによる健康影響があったのは聞いたことがない
対象物質の選定に関しては、先に述べたとおり平成12年6月に公表した中間報告のクライテリアに基づき、健康で快適な空気質を確保するためにDEHPの指針値を策定する必要があると判断したものです。また、指針値設定はその物質が「いかなる条件においても人に有害な影響を与える」ことを意味するものではない、と考えており、健康被害疑いのある物質についても未然防止の観点に立って指針値を決めています。この点について一般消費者はじめ、関係業界、建物の管理者等の当事者には正しく御理解頂きたいと考えており、その旨情報提供していきたいと考えています。
14 ・DEHPの安全性はこれまでの使用の歴史で証明されている(36)
15 ・内分泌かく乱物質とシックハウス発症はイコールではない。指針値策定は時期尚早ではないか DEHPの内分泌かく乱作用については、発生機序の明確化や因果関係の究明等を指向した研究が、現在もなお精力的に行われており、科学的知見の集積を図っているところであり、明確な結論が得られていないため、指針値の策定に当たっては、現時点で明確に得られた毒性に係る知見から、科学的に説明できる範囲で基準を設定しているものです。
16 ・内分泌かく乱性を加味して指針値設定すべき
17 ・分解物やその他の可塑剤も含め、吸入だけでなく全ての経路を総合的に調査して、予防原則の観点から規制すべき 現実的に全ての経路からの暴露等について総合的に調査を行うために費やされる時間等を考慮に入れ、現時点で明確に得られた毒性に係る知見から、指針値を設定したものです。なお、本指針値については、全てのDEHPを室内空気中から摂取すると考えて室内空気中濃度に換算した値で示しているものです。
18 ・フタル酸エステル類の合計の指針値を検討すべき 今後、実態調査を行い、その結果を用いて物質群毎や用途群毎の寄与評価を行うことが必要と考えており、御指摘の点についてもこの評価の過程で検討することとしています。
19 ・フタル酸の実態調査をするべき
20 ・毒性はいずれも高くなく、分析も難しい現状でもあり、指針値設定は時期尚早ではないか 毒性に関しての議論は上述のとおりです。なお、測定方法については室内空気中化学物質の測定方法マニュアル別添に記載されているフタル酸ジ-n-ブチルの測定法を参照下さい。
21 ・環境測定法が公表されていない状態で指針値が決定されるのは矛盾ではないか
22 ・「指針値以下であれば一般の人には安全であるが、化学物質過敏症や特に体力のない人のことを考えれば絶対安全はあり得ず、そのような特別な人々のために、わずかでも可能性を除くことが望ましい」と言う理解でよいか 御指摘のとおりと思います。


ダイアジノン
  意見の概要 対応及び考え方
・居住環境中における室内濃度及び個人暴露測定事例等があればお教えいただきたい 米国の論文で人への実験的投与や別荘における暴露被害事例の報告があります。
・アメリカにならって日本でも室内・非農耕地での使用を禁止すべき 本検討会にて扱える事項であれば尊重したいと思いますが、まずは策定した指針値の実効性を確認したいと思います。なお、有機リン剤について総量規制が望まれるという事項については、物質群毎の寄与評価の際に検討する事項と考えています。
・農薬空中散布の指針値、水道監視項目、農産物残留基準を低くすべきではないか
・有機リン剤について総量規制が望まれる
・外部からの持ち込みしか考えられないのではないか 御指摘の可能性についてはわかりませんが、室内空気質中に存在する可能性がある物質は基本的には全て指針値策定の対象となり得ます。

測定マニュアルについて
  意見の概要 対応及び考え方
・芳香剤の使用状況(数、位置)についても記入欄を設けた方がよい。 ご意見を受けて記入欄に注を追加します。
・国土交通省の評価法とは方法や考え方が異なる印象があるが、整合性はどうか。 まだ検討中ではありますが、基本的な考え方は共通しています。
・20℃を越えた場合の補正についても参考値でもよいので提示して欲しい。 計算自体は同様の式で可能です。
・検量線の作成は3測定法では必ずしも同じようには行えないので実情にあった提示が欲しい。 現状の測定マニュアルでは初めにありますように、ホルムアルデヒドとVOCを対象としておりますので、その他のものについては別添の個別法を参照下さい。
・24時間採取において精度よく流量コントロールできる流量計やポンプは手軽に入手できるのか。 費用面で手軽といえるかはわかりませんが、入手は可能です。
・暴露開始時点を確認するためにも、引き渡し年月日は入居年月日にしたほうがよい。 ご意見を受けて併記するようにいたします。
・中長期の暴露を考慮するために、平均在室時間の記載を追加して欲しい。 ご意見を受けて追加いたします。
・室内2カ所、外気1カ所2回ずつ採取では費用が高すぎる。 標準的測定法では精度面を考慮してこのようにしておりますが、目的と精度面を考慮して減らすことも可能です。但しこの場合はその旨の明確な記載が必要となります。
・換気量が不明であると濃度が評価できない。換気量を測定しながら濃度を測定すべき。たとえば換気量を1に統一すれば、閉鎖時間は理論上3時間で済み、さらに効率的である。 室内濃度測定値に換気量を同時に測定するのが最も望ましいことではありますが、現段階では技術面、費用面で必ずしも測定ができない場合があります。換気量の測定は可能なら望ましい項目として設けています。換気量を一定値にしていないのは、住宅の換気方法、システムを含めて評価を行っているためです。
10 ・現在主流の現場採取−実験室分析には分解、外部からの汚染、容器への吸着等の問題があり、測定機器を現場に運搬し、その場で結果を得ることが望ましい。これについて新しい分析機器が開発されており、検討に値すると思う。 昨今のこの分野における機器の進歩はめざましいものがありますので、機器リストの充実等を通じて情報提供できればと考えております。

その他
  意見の概要 対応及び考え方
・現在シックハウス症候群の人はどれぐらいいるのか、また、化学物質が原因であることが確認されているのか(7)
・シックハウス症候群の定義は何か
・シックハウス症候群は人体にどのような影響があるのか
現状の認識は中間報告書1〜3回のまとめをご参照下さい。症状も原因も様々であるため正確な人数、原因の確認は今後の研究課題です。
・シックハウスは、ホルムアルデヒドが主原因で、それ以外はほとんど問題がないといわれているが厚生労働省ではどのように考えているのか(9) 現段階では、ホルムアルデヒドも含め、空気中に存在している物質が原因となる可能性を除外することはできません。
・発ガン性や催奇性の次の段階として化学物質過敏症や不定愁訴の解明が必要 これらについては指針値とは別の研究課題で、厚生科学研究など、一部研究が開始されています。
・たばこ、野焼き、ディーゼルガスは規制しないのか 指針値策定物質の選定方針については中間報告書をご覧下さい。
・TVOC400μg/m3は低すぎる TVOCの指針化はこれからの検討課題です。


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