パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則の一部改正」、「社会福祉士介護福祉士学校職業能力開発校等養成施設指定規則の一部改正」に対して寄せられたご意見等について

平成13年6月29日
厚生労働省社会・援護局福祉基盤課


 「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則の一部改正」、「社会福祉士介護福祉士学校職業能力開発校等養成施設指定規則の一部改正」について、平成13年4月25日から平成13年5月15日まで、厚生労働省ホームページに掲載してご意見を募集したところ、延べ19件のご意見等をいただきました。
 お寄せいただいたご意見等とそれらに対する当課の考え方について次のとおり取りまとめましたので、ご報告いたします。
 なお、お寄せしていただいたご意見等につきましては、取りまとめの便宜上、案件ごとに適宜集約させていただいております。
 今回、ご意見等をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。


1 介護福祉士試験について

<ご意見>

 一次試験の内容と関連性を持たせて二次試験の内容を設定するとともに、二次試験において問われる内容の一部を一次試験の筆記試験で問うこととするなど、筆記試験と実技試験に関連性を持たせ、知識・技能の両面について総合的な評価を行うことができるようにすべきではないか。

<考え方>

 平成14年に実施される第14回試験において筆記試験及び実技試験について見直しを行い、介護技術に含まれる基本的知識については、できる限り筆記試験において評価することとする一方、実技試験については、筆記試験では評価できない部分である安全・安楽等に配慮した介護技術の提供過程等中心に評価することができるよう、採点基準を見直すこととしております。

<ご意見>

 社会福祉士と介護福祉士が共通して持つべき知識の基準を定めるとともに、それぞれの特性に合わせたより専門的な領域の知識・技能を問う形式の試験を行うこととしてはどうか。
 具体的には、一次試験は共通化し、二次試験については、社会福祉士にあっては専門的なソーシャルワークとしての知識・技能を問い、介護福祉士にあっては介護技術を中心とした内容で行うこととしてはどうか。

<考え方>

 社会福祉士は、専門的知識及び技能をもって、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業とする者です。
 一方、介護福祉士は、専門的知識及び技能をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障があるものにつき入浴、食事、排泄、食事その他の介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者であり、社会福祉士と介護福祉士とでは求められる知識及び技能が異なることから、困難であると考えます。

2 介護教員養成講習会について

<ご意見>

 今後、他の科目の教員や非常勤教員の講習も考えるべきである。

<考え方>

 講習会の受講対象者については、当面は、まず、介護福祉士養成施設における教育内容の中心である介護に係る科目を教授する専任教員の資質の確保を図ることが先決であるとの考えから、「介護概論」、「介護技術」、「形態別介護技術」、「介護実習」、「介護実習指導」、「社会福祉援助技術」又は「社会福祉援助技術演習」を教授する専任教員及び専任教員になろうとする者といたしました。
 他の科目の教員や非常勤教員を受講対象者とすることについては、講習会の実施状況等を踏まえながら、検討してまいりたいと考えております。
 なお、他の科目の教員や非常勤教員であっても、希望すれば講習会を受講して差し支えないものとしております。

<ご意見>

 教員採用後も教員対象の研修などを継続的に実施していくことが重要。

<考え方>

 採用後の研修については、社団法人日本介護福祉士養成施設協会において、段階別の研修を実施することとしております。

<ご意見>

 介護教員として必要な基礎知識を養う授業の履修単位が少ない。基礎分野の内容を充実させ、履修単位を増やすべきである。

<考え方>

 講習会の実施状況を踏まえながら、その必要性について検討してまいりたいと考えております。

<ご意見>

 専門基礎分野の教育方法と専門分野の介護教育方法が重複している。教育方法か介護教育方法のいずれかの選択にするか、あるいは介護教育方法を履修すれば、教育方法は履修しなてくてもよいとするべきではないか。

<考え方>

 専門基礎分野の「教育方法」は、あらゆる科目に共通する一般的な教育方法について教授するものです。
 一方、専門分野の「介護教育方法」は、介護教育に係る独自の教育方法について教授するものであり、両者は重複していないと考えます。

<ご意見>

 採用前に様々な養成施設の授業を見学し、教育実習をする必要がある。

<考え方>

 講習会の実施状況を踏まえながら、その必要性について検討してまいりたいと考えております。

<ご意見>

 養成施設の教員が出席しやすいように、講習会の実施主体を幅広く認定してはどうか。

<考え方>

 講習会の実施主体については、当面は、全国社会福祉協議会中央福祉学院において実施することとしておりますが、厚生労働大臣が定める講習会の基準を満たす者であれば、大学及び大学の附属機関等も含め、幅広く講習会を実施できることとしております。
 厚生労働省といたしましては、養成施設の教員等、現に就労している者も講習会を受講することができるよう、各地方厚生局の管轄区域内の少なくとも1か所以上で講習会が開催されることを目指して努力してまいりたいと考えております。

<ご意見>

 講習会の開催場所については、就労している者も出席しやすいように、通学などの利便性を配慮した場所を選ぶべきである。
 また、開催スケジュールについても、就労者に配慮し、夜間コースや土日の休日開講、夏期休暇などを利用した集中講義の実施等について検討すべきである。

<考え方>

 ご指摘のとおり、講習会の開催場所、開催スケジュール等については、受講者の就労の継続を前提とする様々な工夫が必要であると考えております。

<ご意見>

 講習会の受講に係る経過措置については納得のいくものであると思うが、受講対象者にはできるだけ早く講習会を受させることが、より充実した教育を提供するために必要ではないか。

<考え方>

 社団法人日本介護福祉士養成施設協会等を通じ、早期の講習会受講を促進してまいりたいと考えております。
 なお、就労している方の受講や新設校に配慮し、平成18年3月31日までに新たに専任教員になる者についても、平成20年3月31日までに受講すれば足りるものとし、既に専任教員である者との均衡を図るための修正を行いました。

<ご意見>

 講習会の内容については、現場の声を聞きながら、定期的に見直していくことが大切である。

<考え方>

 ご指摘のとおりであり、厚生労働省といたしましては、現場の声を聞きながら、講習会の内容について適宜見直していきたいと考えております。

<ご意見>

 基礎分野としての「生活学」は、どのような内容か。「生活学」と「生活科学」は異なる科目なのか。
 また、放送大学に置かれている科目のうち、どの科目が「生活学」に該当するのか。

<考え方>

 放送大学に置かれている科目のうち「生活学入門」が「生活学」に該当します。
 参考までに、放送大学の平成13年度授業科目案内の講義概要の抜粋をお示しします。

○「生活学入門」に係る講義概要(「平成13年度放送大学授業科目案内」より抜粋)

 日常というものを客観的かつ新鮮な目でとらえること。そのためには、(1)日常生活の自明性を疑ってかかること、(2)日常生活を記述・分析するのに必要な単語(専門用語)と文法(理論)を学習すること、(3)全体社会と個人生活との間の関係について常に考えることが大切である。

<ご意見>

 介護福祉士教育は、福祉・介護・家政の3つの柱から構成されているが、講習会の内容に家政学が入っていない。「家政学」はどのような位置づけになるのか。

<考え方>

 講習会の受講対象者については、当面は、まず、介護福祉士養成施設における教育内容の中心である介護に係る科目を教授する専任教員の資質の確保を図ることが先決であると考えております。このため、講習会の内容には「家政学」が入っておりません。
 家政学等、他の科目の教員や非常勤教員を受講対象者とすることについては、講習会の実施状況等を踏まえながら、検討してまいりたいと考えております。

<ご意見>

 「生活学」はどのような者が担当するのか。

<考え方>

 講習会の講師については、詳細な要件を定める予定はなく、当該科目を教授するために必要な学識経験を有する者であればよいと考えております。

<ご意見>

 今後、シラバスを公開する予定はあるのか。

<考え方>

 専門分野のうちシラバスを作成することが適当な科目については、シラバスを作成し、公開することとしたいと考えております。

3 その他

<ご意見>

 介護福祉士養成施設卒業生について、同じ資格を有する者でも学校ごとのレベルにより資質に差が生じている。この点も一体的に改善していかなければ、国家試験受験者とのバランスもとりにくくなっているのではないか。

<考え方>

 厚生労働省においては、各養成施設における教育や卒業生の質に格差が生じないにようにする観点から、従来より、養成施設が共同で実施している卒業時の共通試験の実施を支援しているところです。
 さらに、平成12年度には、質の高い介護福祉士を養成する観点から、養成施設の教育課程の充実・強化を図ったところです。
 厚生労働省といたしましては、今後とも、今回のパブリックコメントにおいて案をお示しさせていただいた介護教員養成講習会の実施や、資格取得後のOJT、生涯研修の充実等によって、養成施設卒業生の質の向上に努めてまいりたいと考えております。

<ご意見>

 社会福祉士や介護福祉士の上位資格としての、「社会福祉教員資格」のようなものを創設して、教員資格取得のための講座を受講し、認定試験に合格することを条件に、後進の指導にあたらせることを目指すべきではないか。

<考え方>

 社会福祉士及び介護福祉士の養成に係る教育内容は、多岐にわたっており、養成に携わる教員の要件についても、担当する科目に応じて区々であることから、ご提案のような「社会福祉教員資格」の創設等は、困難であると考えます。


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