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「授産施設会計基準」(案)に対する御意見の募集結果について

平成13年4月2日
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課

 「授産施設会計基準」につきましては、その案について、平成13年3月5日から3月19日までインターネットのホームページ等を通じて御意見、情報を募集したところ17件の御意見・情報をいただきました。お寄せいただいた御意見・情報とそれらに対する当省の考え方につきまして御報告いたします。なお、とりまとめの都合上、いただいた御意見・情報は、適宜集約させていただいておりますことをご了承下さい。
 御意見をお寄せいただいた方々の御協力に厚く御礼申し上げます。


○ 各科目に計上する経費の内容や区分科目の設定及び会計単位、経理区分又は収支区分に共通する経費の配分基準について、別途示す予定はあるか。

 授産施設会計基準は、授産施設を経営する社会福祉法人が授産施設に係る会計処理を行うに当たっての処理方法の標準的かつ統一的なルールを示すものです。したがって、特定の経費を特定の科目に計上するか否かや、共通経費の配分(按分)方法等について、別途基準等を示す予定は基本的にはありません。重要なのは、ある科目に計上した経費について、その科目に計上することについて、法人として対外的に合理的な説明できるものであるかということです。なお、中区分の科目については、適当な科目を適宜追加又は省略できることとしています。
 また、共通経費の配分については、合理的な基準により配分(第13条、第20条)することとしていますので、これについても、その配分方法について対外的に合理的な説明ができる配分方法を各法人において採用した上で処理を行っていただく必要があると考えます。


○ 授産施設と社会福祉法人会計基準を適用する施設とを経営している法人の場合の本部経理区分について、各々に計上すべき金額の根拠についてどのように考えればよいのか。

 授産施設と他の社会福祉施設を経営する法人の場合には、会計単位を分けることとしており、本部経理区分についても、会計単位ごとに分ける必要があります。これは、特に建物等、各施設に係る資産について、各々の会計単位で処理を行わないとすると、会計単位ごとに作成する貸借対照表の作成ができなくなることや、減価償却を行う際、同一会計単位内に資産がないと当該資産の償却ができなくなるなど、計算書類の作成上、不都合が生じることとなるからです。
 なお、その他の法人本部に係る経費については、原則としては各々の会計単位に帰属するものとして合理的な基準により配分する必要があると考えますが、経費が軽微なものであり、かつ計算書類の作成に当たって整合性が保てるのであれば、重要性の原則に基づき、主となる施設に集約して処理しても差し支えないものと考えます。


○ 「授産事業支出」の内訳は必要ないか。また、そこに含まれるものと含まれないものとの判断基準を示す予定はないか。

 資金収支計算書及び事業活動収支計算書における「授産事業支出」については、施設における授産事業活動に係る支出、具体的には利用者に支払う工賃や授産事業活動を行うための必要経費についての支出を記載する科目ですが、その内訳についての統一的な様式を示す必要があるのではないかと考え、別途、「授産事業支出明細表」をお示しすることとしました。これは授産施設会計基準を示す通知を発出する際に、同時に発出する予定である取扱通知の中でお示ししたいと考えています。
 ただし、そこに計上されるものについて、当省において統一的な計上基準や判断基準を示すことは考えていません。これは、授産事業活動に係る「必要経費」の範囲をどう考えるかということであり、会計基準とは別の問題です。したがって、実際の計上に当たっては、その科目において計上することや必要経費として支出することが妥当なものであるか否かによって、個別に判断するべきものであると考えます。


○ 社会福祉法人会計基準では、「会計単位間繰入金支出」を大区分の勘定科目として設け、資金収支計算書及び事業活動収支計算書に加えても差し支えない旨の取扱いをしているが、授産施設会計基準には「会計単位間繰入金支出」という概念はないのか。

 「会計単位間繰入金支出」については、『「社会福祉法人会計基準」及び「指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針」等の当面の運用について』(平成12年12月19日社援施第49号、老計第55号)により、ご指摘の取扱いができることとされていますが、授産施設会計基準は、共通する部分については社会福祉法人会計基準と同様の取扱いとすることを大原則としていますので、ご指摘の点についても、同様に取り扱って差し支えないものと考えます。ただし、措置費支弁対象施設である場合は、「社会福祉施設における運営費の運用及び指導について」(平成5年3月19日社援施第39号)の適用を受けている施設である場合、繰入れの制限等、措置費の取扱いは従前と変わらないということを念のため申し添えます。


○ 利用者への工賃の支払いについて「固定給」的な形で行っている場合、「工賃引当金」のような性質を持つ支払資金をプールしておくことはできないか。

 「引当金」とは、「将来において事業活動収支計算の支出に計上されるもので、その発生が当該会計年度以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつその金額を合理的に見積もることができるもの」(会計基準注解11)であり、御質問の件については、 「引当金」にはなじまないものであり、「積立金」の性質を有するものです。なお、会計基準注解14において、その他の積立金についての例示の中で「工賃平均積立金」をあげています。


○ 事業活動収支計算書の授産事業活動収支の部に「経理区分間繰入金支出」の勘定科目が設けてあるということは、本部又は他の施設へ繰入をしてもいいのか。

 「経理区分間繰入金収入」及び「経理区分間繰入金支出」は、複数の授産施設を経営する場合において、授産施設間で共同仕入れ等を行っているなど、経理区分間でのやりとりを想定して設定しています。授産施設は、いわゆる「工賃規定」がありますので、支出については「工賃」と「必要経費」において構成されるのが原則であり、その「必要経費」の範囲を超えるような本部経理区分又は他の経理区分への繰り入れはできないものであると考えます。


○ 授産事業活動でも雑収入(利息)の科目を設けてもいいか。

  授産事業収入に係る受取利息配当金については、「授産事業収入」に計上します。


○ 分場施設については、授産施設に含めた経理区分として処理するのか。それとも独立した会計単位として経理区分するべきなのか。また、経理上明確にするために分場施設専用の通帳をつくっても良いのか。

 分場については、本体の授産施設に付属するものであり、同一会計単位において処理を行うものと考えます。また、通帳を別にするのは差し支えないと考えます。


○ 相互利用制度などを行っている施設の場合は、措置ではなく利用形式により、利用者から「利用料」をいただいているが、「利用料収入」の科目は必要ないのか。また、これに係る補助金収入はどこで扱えばいいのか。

 「利用料収入」については、社会福祉法人会計基準では設定されているが、授産施設会計基準においては、当面必要ないものと想定していたことから除外していましたが、ご指摘のとおり、利用料収入についても想定されますので、資金収支計算書(及び資金収支内訳表)及び事業活動収支計算書(及び事業活動収支内訳表)の科目を下記のとおり修正することとしました。

[大区分] [中区分]
(修正前)  利用者負担金収入  利用者負担金収入 
(修正後) 利用料収入 利用料収入
利用者負担金収入

 なお、補助金収入については、「○○事業収入」として当該科目を設定して行うものです。


○ 身体障害者授産施設と精神障害者授産施設を経営する法人の場合、措置費体系と補助金体系という違いがあるなど、取扱いがまったく異なるものであり、それを合算して一つの会計単位で扱うことはできないと考えるがどうか。

 授産施設会計基準は、授産施設を経営する法人の授産施設に係る会計処理について適用する基準を定めるものであり、双方とも授産施設としての活動をしている訳ですから、一体的に処理できるものと考えます。措置費体系と補助金体系の違いは確かにありますが、その取扱いは、各々の経理区分において、各々の措置費又は補助金の取扱いや制限を遵守した上で適正に処理をすればよいものと考えます。


○ 資金収支計算書は、授産施設会計基準から外しても良いのではないか。

 資金収支計算書は、法人における毎会計年度の支払資金の収支の内容を明らかにし、法人の経営活動の状況を明らかにするために作成するものです。社会福祉法人については、資金収支計算による予算管理が必要不可欠なものとされていることから、この授産施設会計基準においても資金収支計算書は必要であると考えます。


○ 減価償却費の実施は、補助金も含め会計理論に基づいて実施すべきものと考るがどうか。

 減価償却費は、一般的な会計理論に基づいて行うこととしています。ただし、補助金により取得した資産に相当する部分については、補助金を受けた時点においてその投下資金の回収はなされていることとなるので、これに加えて減価償却を行うと、二重償却のような形になってしまうことから、補助金相当分について、「国庫補助金等特別積立金」に積み立て(第33条)、毎会計年度、減価償却費に相当する額を取り崩す(第34条)という取扱いをしています。


○ 事業活動収支計算書の支出の「たな卸資産増減額」の科目があるが必要か。

 原材料や製品・仕掛品等のたな卸資産については、別途通知する予定である「授産事業支出内訳表」において、当期仕入高のみを計上することとしているので、毎会計年度における増減額を記載しないと全体の資産が把握できないことから、この科目については必要であると考えます。


○ 本部会計は、福祉事業活動収支の部に記入してよいか。

 従来の本部会計に相当するものは、本部経理区分で処理することになりますが、福祉事業活動収支の部に帰属するものであれば、当然、福祉事業活動収支の部に記入することとなりますし、その他の収支区分に帰属するものであれば、それぞれの収支区分において計上すべきものと考えます。


○ 授産施設会計基準は、社会福祉法人会計基準と同様の形態であり、社会福祉法人の自主経営を尊重するならば、授産施設会計基準における資金収支、事業活動収支、貸借対照表の各種計算書をベースとして、法人を一本化することが可能であると考えるがどうか。

 授産施設は、授産事業活動にかかる収支という、独特の会計処理を必要としていることから、社会福祉法人会計基準と別に独自の会計基準を策定するものですが、この授産施設会計基準は、今後の社会福祉事業や社会福祉法人会計基準の動向等を踏まえて、適宜見直しをしていくこととしており、ご指摘の点についても今後の検討課題であると考えます。


○ 平成15年に支援費支給方式に移行することに伴い、現在の措置費として行っているものの性質も異なってくると考えられるが、現在の措置費の取扱いを含めてこの会計基準を見直す予定はあるのか。

 支援費制度の仕組み等については、現在検討中であり明確なことは申し上げる段階にありませんが、授産施設会計基準は、授産施設を経営する社会福祉法人が、授産施設に係る会計処理を行うに当たっての処理方法の標準的かつ統一的なルールを示すものであり、措置費の取扱いなど、経費の性質の違いによる取扱い方法をどうするかということとは別の問題であると考えます。


○ 授産施設は、授産事業において必要経費を控除した額に相当する額を工賃として支払わなければならないとあるが、今回の基準は、単年度の収支差額の把握はできても、累計額となった場合の授産事業における収支差額、または赤字額の把握は困難ではないか。授産事業で多くの収益をあげ、翌年度以降他の事業で使うというようなことはおきないか

 授産事業活動において収支差額が生じた場合には、授産事業活動に係るものとして、特定目的を付した積立金による処理を行うこととします。


○ これまで施設会計で授産設備を購入したことがあったが、この基準での会計処理はどうなるのか。

 授産事業活動収支の部において取り扱うことを想定していますが、福祉事業活動収支の部において取り扱うことを妨げるものではありません。これは措置費の使途制限の範囲や、授産事業活動における工賃水準及び必要経費の範囲などを勘案した上で、法人全体としてどうバランスをとるかという考えの中で考慮されるべきものであると考えます。


○ 授産施設と他の社会福祉施設を経営している法人の場合、授産施設の施設会計部分を経理区分として他の会計と連結し、授産事業部分を特別会計として会計単位を起こしたほうが、福祉事業全体を把握することができ、実態に即していると考えるがどうか。

 授産施設会計基準は、授産事業活動により得た収入から必要経費を控除した金額を工賃として利用者に支払うという、授産施設特有の会計処理も含めて一体的に処理し、授産施設の経営状況が判読できるように、このような形式にしています。


○ 小規模通所授産施設への適用はどうするのか。

 授産施設会計基準は、授産施設を経営するすべての社会福祉法人に適用するものであり、小規模通所授産施設も身体障害者福祉法等の各法の規定に基づく授産施設であることから、小規模通所授産施設を経営する社会福祉法人についても適用することとしています。


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