パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

医療用具安全性情報の収集等の徹底方策(医療用具GPMSP)(案)に寄せられた意見について

平成13年3月30日
厚生労働省医薬局安全対策課
審査管理課



 医療用具安全性情報の収集等の徹底(医療用具GPMSP)(案)について、平成13年2月21日から3月21日までインターネットのホームページ等を通じてご意見を募集したところ、10通のご意見をいただきました。お寄せいただいた御意見とそれらに対する当省の考え方につきまして以下のとおりご報告いたします。とりまとめの都合上、頂いたご意見は、適宜集約したものとしております。ご意見ありがとうございました。
  いただいたご意見については平成13年4月末まで厚生労働省行政相談室で閲覧することができます。
 なお、パブリックコメントの対象ではない事項に関するご意見も寄せられましたが、パブリックコメントの対象となる事項に限って考え方を示させて頂いております。



1.対策案全体への意見

 本来、不具合報告に関する社内体制の不備を可及的速やかに是正するという行政指導的内容と、再審査・再評価に係り行政当局と業界との間で十分な検討が必要と考えられる医療用具GPMSPの実施とは、別途検討されるべき内容であると考えます。
 したがって、不具合報告の不備に端を発した今回の通知案が、あたかも医療用具市販後調査全体について行政指導を行うかのような内容となっていること、さらに医療用具GPMSPについて詳細に検討されることなく医薬品とほぼ同一の通知案が発出された経緯について抗議するとともに、本実施要綱案の再考を要望いたします。
(在日米国商工会議所医療機器小委員会)

● 医療用具は、疾病の予防、診断及び治療に用いられるものであり、当該製品を製造及び輸入等を行う企業は、その製品の有効性、安全性及び品質について常に最善の努力を行い、安全性の確保を行うことが求められています。
 このため、これまで関係企業に対して情報の収集・評価・提供・報告体制の整備を行うよう再三指導を行ってきたものです。今回の通知案はこれまで行ってきた指導をよりわかりやすく一本化したものであり、市販後安全対策業務を行う上で至極当然な規定を設けたものです。
当該通知案については、当省において十分検討を行ってきたものであり、また、当該通知の発出に先立ち、業界関係者との意見交換を実施し、政府の閣議決定に基づくパブリックコメントにより一般の方々への意見提出機会を設ける等、適切に手続きを行ってきたと考えています。

2.用語に関する意見

実施要項の第2定義の4に記載されている「用法、用量、効能及び効果」を医療用具に適した表現にしていただきたい。

医療用具では不適当と思われる用語(用法、用量)があります。ご検討下さい。
第2の4:用法、用量、効能及び効果に従い行う試験
     →操作方法又は使用方法、効能及び効果に従い行う試験

● 御指摘のように様式第10(2)の医療用具製造(輸入)承認申請書に使用されている「性能、使用目的、効能及び効果」に改めます。

本実施要綱では、「医薬品GPMSPとは異なり独立した市販後調査部門の設置まで求めているものではないが、市販後調査業務の管理に係る部門を販売部門と独立して設置し業務の遂行に十分な人員を置くことが望ましいこと。」とあるが、ここでいう管理部門とは、具体的にどのような業務をする部門として記載しているのか明示していただきたい。

● 本実施要綱では、市販後調査部門が十分に機能することを目的としているが、通常、市販後安全対策の機能が発揮するためにはこのような部門の設置が適当であると考えています。この主旨を十分考慮に入れ、管理部門のあり方については各社で対応していただきたい。

市販後調査業務管理部門の中には、医療用具情報担当者は入るのか明確に示していただきたい。

● 前項と同様の主旨により、御指摘の医療用具情報担当者が、市販後に発生する不具合や当該医療用具に係る海外の規制当局及び企業が行う安全性確保のための措置情報等を速やかに収集し、分析、評価する業務に従事していれば、その部門に属する仕事をしているものと考えられます。

市販後調査業務管理部門の中に医療用具情報担当者が入らないとすれば、医療用具情報担当者を販売部門の中に置いても構わないと理解して良いか。その場合、その旨を実施要綱に記載していただきたい。医療機関によっては、情報担当者が販売部門であることを認めないところがある。しかしながら、医薬品と異なり医療用具を取り扱う業者においては、このようにせざるを得ない体質をもっていることから、現実的な実施要綱にするためにも記載を追加していただきたい。

● 前項参照。

市販後臨床試験については医療用具GCPに準じて実施することとあるが、使用成績調査をひとまとめにして考えているところがあり、使用成績調査および特別調査の実施に支障を来す場合がある。
その場合、それを実施要綱に明記していただきたい。医療機関によっては、市販後調査をひとまとめに考えているところがあり、使用成績調査及び特別調査の実施に支障をきたす場合がある。
● 具体的にどのような支障を来すのか不明ですが、市販後臨床試験と使用成績調査は別物であり、ひとまとめにして考えていること自体が誤りであるので、市販後臨床試験についての正しい認識を持つようお願いしたい。

各市販後調査の担当する者について、以下に統一して欲しい。
「市販後調査責任者又は市販後調査を担当する部門に属する者のうち市販後調査責任者が指定する者
(この場合、市販後調査責任者は指定する者の中から当該業務の責任者として担当責任者を任命することができる。)」
<理由>
第6条 適正使用情報の検討及びその結果に基づく措置では、「市販後調査責任者」
第7条 使用成績調査及び特別調査では、「市販後調査責任者又は市販後調査を担当する部門に属する者のうち責任者が指定する者」
第8条 市販後臨床試験では、「市販後調査責任者又は市販後調査を担当する部門に属する者のうち市販後調査責任者が指定する者
と異なっている。これらの市販後調査業務は複数の部門が担当することがほとんどであることより、上記の表現に統一願いたい。
(日本医療器材工業会/安全性情報委員会)

第2項の1行目 製造業者等は、次に掲げる業務を市販後調査責任者又は市販後調査を担当する部門に属する者のうち市販後調査責任者が指定する者に行わせなければならない。市販後調査を追加する。
理由;他の条文と合わせるため、単なる編集上の問題です。

より具体的な表現がよいと思われます。ご検討下さい。
第7の2:市販後調査を担当する部門に属する者のうち責任者が指定する者
→・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・市販後調査責任者が指定する者
●御指摘の通り修正します。
●第6条に規定する業務は、担当者ではなく、責任者自らの職責で行うべきものと考えます。
 第7条及び第8条における「責任者が指定する者」及び「市販後調査責任者が指定する者」は同義なので、御指摘の通り修正します。

3.第2についての意見

 「医療用具情報担当者」の業務定義で「・・・提供することを業務として行う者をいう。」を「・・・提供することを業務あるいは業務の一つとして行う者をいう。」に改訂して欲しい。
<理由>
医療用具業界では医薬品業界と異なり、いわゆる営業活動と学術・情報活動を同じ部署が行っている状況であります。従って、医薬品情報担当者(いわゆるMR)は実質的に存在しているところは少なく、本5項のように「医療用具情報担当者」を定義されましても、実質機能しないという状況が起こってしまいます。
(日本医療器材工業会/安全性情報委員会)

●どのような部署の担当者が行っているかが問題ではなく、どのような業務を行う者が医療用具情報担当者と位置づけられるかが重要であると考えられるため、医療用具情報担当者の業務としては、適切な定義であると考えられます。

4.第4についての意見

 市販後調査責任者については、例えば事業部毎又は事業所(工場)毎に、複数の市販後調査責任者を設定することもできるようにしていただきたい。
<理由>
医療用具では事業部、事業所により、医療分野毎に分類されて製品の設計から製造、営業迄行っている事が多く、一人の市販後調査責任者では適正使用等の確保措置のための適切な判断・決定が困難なことが想定されるため。
(日本医療器材工業会/安全性情報委員会)

第5に記載されている「製造業者等が指定する者」の所属部署制限はないと理解してよいでしょうか?
 例えば「市販後調査を担当する部門」に属する者でも、「販売部門」に属する者でも、あるいは「製造部門」、「開発部門」、「その他の部門」等、また場合によれば委託業者まで含め、特に所属は限定されないと理解していいのでしょうか

●責任者が複数いることは極めて責任が不明確になると考えられます。もちろん、責任者のもとに、責任者を補佐する複数の担当者が存在することは可能です。
 責任者を事業部又は事業所(工場)毎に設定した場合、当該製品に係る市販後の安全性情報がどこに集積されるのか不明確になるおそれがあります。

5.第5についての意見

適正使用情報のうち、(4)と(5)について定義が曖昧である。
(4) 当該品目の製造、輸入又は販売に関し他の業者が有する情報:この定義では曖昧であり、このままでは業務内容を複数の法人間で特定できず、実施不可能である。
FDAの品質システムCFR803、820の規定や、欧州MDDやMEDDEVが規定を基に「Manufacturer」「Distributor」「Importer」を特定し「経営者の義務」として果たすのであれば、従来の「不具合・感染症症例報告」として実施は妥当である。
(5) 当該品目の外国における製造業者が有する情報(輸入販売業者及び国内管理人に限る):
上記(4)の理由と同様に、FDAの品質システムCFR803、820の規定や、欧州MDDやMEDDEVが規定する「Manufacturer」「Distributor」「Importer」を特定し「経営者の義務」として果たすのであれば、従来の「不具合・感染症症例報告」としての実施は妥当である。
(日本医療器材工業会/安全性情報委員会)

●(4)は、当該製造業者等が取り扱っている医療用具と同一の製品について、国内の他社が安全対策等の措置を講ずるなど適正使用に係るに措置がとられた場合に、そのような情報を収集することを目的としたものです。
 (5)は、輸入製品について、輸入販売業者及び国内管理人が当該製品の製造元が把握している適正使用に係る情報を速やかに収集することを目的としたものです。

6.第7についての意見

市販後調査を担当する部門は複数設定できるとの解釈でよろしいでしょうか。
<理由>
市販後調査を担当する部門として、例えば、臨床開発部、各支店、工場の品質管理部門等があり、それらを複数設定することができると考えてよろしいでしょうか。
(日本医療器材工業会/安全性情報委員会)

医療用具情報担当者の所属部署に制限はないと理解してよいでしょうか?

●部門は一つであると考えています。しかし、この部門を構成する構成員が複数の地理的隔絶した場所に配置されることはあり得るものであると考えます。

7.第8についての意見

実施要綱の「第8 市販後臨床試験」の全文削除。
<理由>
「市販後臨床試験」は、これまで再審査申請のためその実施が行政指導されたり、条件付けされた例はないと聞いています。また、日医機協サイドで調査した限り(平成11年)実施した企業はありませんでした。なお、将来このような試験の必要性が発生する可能性は考えられますが、留意点2に明記されている「当面の対策としてまとめたもの」に盛り込む必要性は低いと考える次第です。むしろ同項後段の「今後、必要に応じて見直し、強化を行うもの」の一つと考えます。
仮に将来、遅れている再審査が進行し、このような試験の必要性が出てきた時、その際には本案のような単一のルールが適当か、医薬品ルールのような再審査・再評価申請資料の場合とこれ以外の場合に分けた2種ルール(1項及び2項と、1項のみの義務化)とするかGCPでも準用不要な項目の明示などご検討をお願い申し上げます。
(日医機協GCP委員会委員長)

市販後臨床試験について、削除して欲しい。
医療用具に関しては、市販後に「当該用具の品質、有効性、安全性」につき検証が必要になるケースが想定できません。医薬品の市販後臨床試験の概念と一律横並びの項目設定が理解できませんので、この項削除を提案します。
(日本医療器材工業会/安全性情報委員会)

第8市販後臨床試験の2については削除を希望します。

●市販後臨床試験の実績の有無にかかわらず、医療用具の高度化にともない、今後、医療用具の市販後臨床試験を実施すべき事例が発生すると考えられることから、当該事項は必要であると考えています。

8.その他の意見

本制度の導入にあたって、社内体制の整備等を再度見直す必要があることから、十分な猶予期間をいただきたい。(6ヶ月以上)

実施までの猶予期間(通知の日から最低6ケ月)を設定いただきたい。
<理由>
GPMSP対応のための人員の確保、社内体制整備、市販後調査を行なうための必要な事項の文書化のための時間が必要なため。
(日本医療器材工業会/安全性情報委員会)

● 本通知の公布後、各社の準備期間として猶予期間を6ヶ月としました。

本制度の導入にあたっては、Q&Aの作成、解釈を含めた説明会を開催していただきたい。  

全国の医療用具業者に対する講習会等の実施の後に施行されるよう要望します。

● Q&Aの作成及び説明会の実施については機会をとらえて実施していきたいと考えています。

第8 市販後臨床試験 2において、「市販後臨床試験は、「医療用具の実施に関する基準(平成4年7月1日発薬第615号)」(医療用具GCP)に準じて実施しなければならない。」と書かれています。市販後臨床試験については、第2定義の4における説明だけでは、どのような場合を市販後臨床試験と理解すればよいのか、条件、判断基準が不明確と思われます。定義の明確化、具体例を示していただければ幸いです。たとえば、「検証」、「収集」するべき内容(臨床試験内容)、費用、医療機関への依頼方法などについて、この定義に該当するのがどのような場合、示していただくようお願いいたします。

● 医薬品の市販後調査の基準に関する省令(平成九年厚生省令第十号)第二条第四項の規定を御参照下さい。

Q1 本制度は、例え、製品の発売中止があっても流通されることが予測できる状況であれば、調査を実施しなければならないか。
Q2 (Q1に関連して)製品の使用期限が過ぎた時点で調査を終了してもよいか。
Q3 医療用具感染症症例報告制度との関連性を明確にしてほしい。

●Q1について、御指摘のとおり。
 Q2について、実際に販売した製品が使用されない状態となったことが確認されることが必要。
 Q3について、情報収集、評価、分析体制を整備した上で、当該医療用具による不具合であると認知した場合には、規定された期限内に厚生労働省に報告していただくことになります。


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