パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

生命維持装置である人工呼吸器に関する事故防止対策(案)に寄せられた意見について

平成13年3月27日
厚生労働省医薬局安全対策課
審査管理課


 生命維持装置である人工呼吸器に関する事故防止対策(案)について、平成13年1月9日から1月31日までインターネットのホームページ等を通じてご意見を募集したところ、13通のご意見をいただきました。お寄せいただいた御意見とそれらに対する当省の考え方につきまして以下のとおりご報告いたします。とりまとめの都合上、頂いたご意見は、適宜集約したものとしております。ご意見ありがとうございました。
 いただいたご意見については平成13年4月末まで厚生労働省行政相談室で閲覧することができます。
 なお、パブリックコメントの対象ではない事項に関するご意見も寄せられましたが、パブリックコメントの対象となる事項に限って考え方を示させて頂いております。

1.対策案全体への意見

(対象範囲)

麻酔用人工呼吸器及び蘇生器は今回の対象に含まれるのか。

●いずれの機器も人工的に呼吸を行わせ、生命維持を図るものであるため、今回の対象となります。

人工呼吸器には、長期型人工呼吸器から(自動)搬送用人工呼吸器等、幅広く含まれているため、(1)長期型人工呼吸器、(2)(自動)搬送用人工呼吸器(ガス駆動式)、(3)麻酔用人工呼吸器(ガス駆動式)の3つに少なくとも分類することが適切である。(2)については、災害停電時等の緊急時に使用でき、使用中は常に操作者が動作チェックを行っており、(3)についても麻酔中は常に操作者が動作チェックを行っていることから、動作異常が発生した場合でも対応できる。したがって、ユーザーのメリットを考えた場合、今回の対象は(1)に限定した方が好ましいと思われる。

●操作者が常に動作チェックを行って使用する人工呼吸器であっても、適切な設定、操作を行ったり、保守点検を適切に実施することは、生命維持装置であることから当然必要となります。したがって、ユーザーのメリットを考えた場合には、このような対策は(1)に限定せず、広い範囲で早急に実施すべきであり、これが患者への安全対策につながると考えます。

今回は「自発呼吸のない患者に使用される人工呼吸器に関する事故防止対策」としているが、「自発呼吸はあるが補助が必要な患者」は含まれないのか。

●本対策は、機能が損なわれると患者の生命が危険になってしまう人工呼吸器を対象としていますが、対象ではないものであっても本対策に準じた措置を講じていただくことにしております。

(対策案全般)

インターネット等での収集には参加者に限度があるので、実態調査やアンケートなどを用いて更に広く意見を収集してほしい。

●インターネットを用いたパブリックコメントの方法は、政府の閣議決定に基づく一般の方々への意見提出手続を踏まえたものであり、広く意見を聞く方法としては適切な方法です。
また、対策案の検討としては、医師、看護婦、薬剤師、臨床工学技士等の専門家を委員とした、「医薬品・医療用具等関連医療事故防止対策検討会」において公開で十分議論されたものであると認識しております。

医療機関内での人工呼吸器の適切な操作・点検及びその教育の管理責任体制が明記されていなく、医療機関と医療機器業者の双方の責務を冒頭に記述してほしい。

●人工呼吸器を取扱い説明書や使用上の注意に基づき適正に使用することは、使用者として当然のことであり、保守点検については、医療機関における業務であると医療法上で規定されております。また、医療機器の製造(輸入販売)業者に対しては、必要な安全対策を講じることについて、薬事法上で規定されているところです。今回は、これらを前提として、医療事故を防止する観点から、使用者にとって理解の助けとなり、より適切に人工呼吸器を使用できるための対策を検討したところです。各医療機関におかれましても、これらの対策を踏まえ、医療事故防止への取組を進めていただくようお願いします。

注意喚起シールやチェックリスト中心で、本来の安全を考慮した標準的操作手順が欠如している。特に排痰作業手順や操作者に関する記述がない。

●今回の対策は、医療行為自体である排痰作業の標準的な操作手順を示すことを目的としているものではなく、人工呼吸器を取り扱う際に発生しうる医療事故を防止するために、製品の観点から最低限の事項について規定したものです。もちろん、人工呼吸器を操作する場合には、取扱説明書や使用上の注意などに基づいて適切に行うべきものと考えています。

すべての記述の中で、人工呼吸器関連業者への対応を促しており、操作を担当する医師、臨床工学技士、看護婦への実質的な安全対策には不十分と思われる。

●医療事故を防止するためには人及び物の両方の側面から対策を講ずることが必要であり、本対策のみの実施で人工呼吸器に関連するすべての医療事故が防止できるとは考えられません。使用者に間違いを誘発しないようにする製品の改良に加え、使用者に適正に使用してもらうことも重要であると考えております。今回は、製品に関連する対策として、「医薬品・医療用具等関連医療事故防止対策検討会」における検討を踏まえたものであり、製品の改良に加え、使用者に対しても人工呼吸器の安全使用のための普及・啓発活動を実施することとしております。

排痰を「介護」という用語で記載し、その用語の注として「気道ケア」としているが、排痰は人工呼吸器の操作に付帯する重要な医療補助行為であり、「介護」「気道ケア」と言う表現は不適切な用語使用と思われる。また同一文章中に「看護・介護」と言う表現もあり、医療機関内と在宅医療を別項目立てが望ましい。

●用語の使い方は様々あるかもしれませんが、本対策を説明する上では具体的な行為がより明確にわかりやすい「気道ケア」という言葉を機軸として便宜上使用させていただきました。なお、排痰行為については「介護」ではなく、「看護」という表現に統一させていただきました。
また、医療機関と在宅医療の区別化については、患者の保護という観点から安全対策の基本理念は共通であると考えておりますが、医療従事者、患者の家族等、人工呼吸器を用いる周囲の環境の違いもありますので、在宅医療で用いることが想定されるものについては、患者の家族等であっても十分わかるような簡易取扱説明書の作成などの配慮を行う旨の記載を明記することにいたしました。

機器自体に対する直接の安全対策のほか、機器の管理面での課題として、使用者側の管理体制の整備も必要である。安全機構があっても使用者側の管理者がいないとうまく機能しない。

●ご指摘のように、人工呼吸器に関する医療事故を防止するためには、今回の機器自体に対する安全対策を踏まえ、各医療機関においても機器の適正な使用を行うための取組みを行っていただきたいと考えております。


2.機器の構造、機能に関する事項への意見

薬事法第42条第2項に基づく基準に適合しないものは、製造、輸入、販売等が禁止されるとしているが、「使用」は含まれないのか。

●薬事法上、当該基準に適合しないものであっても、既に販売済みで医療機関等で使用されている製品については使用を禁止されません。対策案にもありましたように、既に販売済みの製品については、製造(輸入販売)業者が改造方針を検討し、医療機関へ改造の必要性を説明することとしております。

「2分以内の自動復帰機能を備えた警報一時消音機能を有すること」とは、警報音量を消音できない機能があれば、この機能がなくても問題なしと判断できるのか。

●実際に発生している医療事故の原因を分析した結果、気道ケアを行う際に警報の音を消したいという思考回路が働くことから、警報機能を停止させてしまう事例が報告されており、警報音量が消音できない場合であっても、自動復帰機能がなければ、警報機能を停止させたり、電源を切って作業してしまったことにより事故を引き起こすことも起こり得るので、この機能は必要です。

電源プラグは引っ張っても抜けない構造とすること。

●本対策では、電源プラグが抜けてしまった時には必ず警報が作動するよう基準で制定する予定です。基準化されると、今後、このような警報機能を有していない製品は、製造、輸入、販売等が禁止されます。既に販売済みの製品は、製造(輸入販売)業者が改造方針を検討し、医療機関に改造の必要性を説明することとしております。

呼吸回路が外れても、空気漏れ部分が布団等で塞がっていて一定の抵抗がある場合、送気に圧力がかかるので警報が作動しないことがある。呼吸回路が外れれば必ず警報が作動するようにし、回路を復帰し正常な圧力がかかるまで警報は停止・消音できないようにすべきである。

●本対策では、安全装置については、完全と言うことはありません。そのため、より安全性を高めるために、人工呼吸器の警報装置だけでなく、パルスオキシメータやカプノメータのような生体モニターの併用を規定することとしたところです。
なお、換気量として患者から戻る呼気のガス流を検知し、低換気を知らせる警報機能を備えることについては、「医薬品・医療用具等関連医療事故防止対策検討会」において今後の検討課題とされており、現在、検討が進められているところです。

気道ケアなどで回路を外したとき、アラーム音がうるさいとのことでアラーム音を出さないことが検討されているがこれは危険である。アラーム音には患者の命がかかっている。

●ご指摘のように、これまでの検討においても、何らかの理由で警報音量を消してしまったり、警報自体を停止させてしまったことにより事故を引き起こす可能性があることから、気道ケアで警報音量を消音しても一定時間内に必ず警報機能が自動的に復帰し、警報が作動するように基準を制定する予定です。


3.機器の適正使用に関する事項への意見

(生体情報モニターの併用)

居宅時、外出時において機器が突然故障したときなどのためにアンビューバックを携帯必需品とすべきである。また、突然のトラブルに遭遇したとき、適切に対応可能なように外出携帯品のリストが必要である。

●本対策に、「人工呼吸器を使用する際には、非常の事態を想定し、何らかの原因により人工呼吸器が機能しなくなった場合に備え、手動式人工呼吸器を備えておくこと」を明記いたしました。

(警報設定に関する注意喚起シールの貼付)

注意喚起シールに関して、貼ってある状態が常態となればその効果はかなり 疑わしい。シールを「呼吸器の前面等、見やすい位置に貼付する」ことは、 ダイアルや目盛りを隠してしまう危険が大きい。定期点検済みシールについ ても同様である。

●ご指摘のとおりですので、警報設定に関する注意喚起シール及び定期点検済みシールの貼付にあたっては、「シールにより操作パネルの記載事項が不明瞭になるような場所に貼付しないこと」を明記いたしました。

シールの貼付場所について、「警報設定ダイアル」は機種によりボタンのものもあるため、「警報設定ダイアル(又はボタン)」とした方がよい。

●ご指摘のとおり修正いたします。

(簡易取扱説明書の添付)

在宅使用の人工呼吸器についての簡易取扱説明書は、医療スタッフたけではなく、患者や介護者にわかるようにする必要がある。

●在宅医療で用いることが想定されるものについては、患者の家族等であっても十分わかるような簡易取扱説明書の作成などの配慮を行う旨の記載を明記することにいたしました。

メーカー・販売者は、取扱いに当たる者に十分な説明をすること。医療機関 は、看護婦・家族等に取扱説明書を渡し、説明することを義務付けること。 医師・看護婦・家族等が人工呼吸器の取扱いを知らず、特に、看護婦や家族 に取扱説明書が渡されていない例が往々にしてある。

●薬事法では、医療用具の製造(輸入販売)業者、販売業者等は、医療用具の適正な使用のための情報を医師等の医薬関係者に対して提供することが規定されているほか、医療用具には、使用方法その他使用及び取扱い上の必要な注意を添付文書等に記載することとしております。したがって、製造業者、販売業者等が、取扱いに当たる者に十分な説明をするのは当然の義務ですし、使用にあたっては、使用方法等を記載した取扱説明書をいつでも参照できるようにしておくことが必要です。
 本対策では、特に重要な点をわかりやすく記載した簡易取扱説明書を作成することといたしましたが、この意見を踏まえ、簡易取扱説明書は人工呼吸器の使用者が容易に確認できるところに備えるように規定したところです。

(普及・啓発活動の実施)

本対策について、関係業界や関係学会による協力のほか、医療関係職能団体なども含めるべきではないか。

●本対策の普及・啓発については、「医薬品・医療用具等安全性情報」等への掲載等を通じて関係業界だけでなく関係学会等広く周知することとしています。

(保守点検)

「定期点検済みシール」により医療関係者以外の人(患者家族等)に不必要 な不安感を与える可能性はないか。また、シールを貼れば点検済みと思い、 過剰な安心感をもって機器に対する医療関係者の配慮がなくなるのではないか。

●「定期点検済みシール」は、その人工呼吸器は適切な点検を受けたものであることを容易に確認できるように規定したものであり、定期点検を適切に実施しているのであれば、医療関係者以外の人に不安感を与えることはないはずです。また、シールは、定期点検が適切に実施できていることを示しているだけであって、使用にあたっての点検、機器の適正使用等の安全面の配慮は、人工呼吸器を使用する者にとって当然のことであると考えております。

臨床工学技士により保守点検が確実に実施できれば「定期点検済みシール」の貼付は必要なくなるのではないか。

●人工呼吸器のような耐久性の医療用具は部品ごとに耐用年数が異なることから、臨床工学技師による通常の保守点検に加え、製造業者等による部品交換やオーバーホールの実施が大切であると考えられます。

定期点検を病院内で行った場合の記述がなく、「定期点検済みシール」に点検実施者の記載場所がない。

●シールには「定期点検実施者も記載することとしております。

人工呼吸器の現在の設定項目・数値を記入するための記入用紙を置くべきで ある。何らかの事情で設定値が変わっても、記入用紙があれば人工呼吸器の設定を元の状況に復元できる。

●使用中のチェックリストのうち、換気条件や警報条件のチェック項目として、「医師から指示された設定条件が維持されていること。」がありますので、設定条件を容易に確認するためには記入用紙等への記載等何らかの手段により設定条件の確認ができることが必要であると考えます。

人工呼吸器の安全基準を設け、医療機器メーカー及び医療機関等が人工呼吸 器の保守点検を適切に実施させるよう指導することが必要である。(安全基準に満たない機器は医療機器メーカーが回収又は一部改良するよう行政指導を行う)

●医療法において、人工呼吸器など医療機器の保守点検は、医療機関の業務であり、一定の条件の者に対してのみ委託できることと規定しております。したがって、医療機関(又は保守点検を委託された医療機器メーカー等)が保守点検を適切に実施することは、現在でも当然の責務となっております。

(チェックリスト全般)

チェックリストの作成とその定期的確認は大切だし必須なので作成が急がれるが、何頁にもわたるのは現実的ではない。せめてB4(またはA4)1頁 に収まるようにしてほしい。併せて、チェック実施者署名と実施日時記載を必須項目にする必要を感じる。

●具体的に医療機関で行われる安全管理においては、医療機関の組織や体制等を加味して適正に行われることが必要であり、今回の対策においてはその基本となチェックリストを製品ごとに作成することとしました。製造業者等から提供されるチェックリストをもとにして、医療機関ごとに最適化したチェックマニュアルを作成いただければ幸いであると考えている。なお、チェックリストの原案にはチェック実施者と実施日時が記入できることが望ましいことといたしました。

用語が統一されていないところがある。

●ご指摘を踏まえ、可能な限り用語を統一しましたが、使用する用語につきましては製品ごとに異なるものと思われます。

チェックリストに以下の項目を追加すべきである。
・内蔵バッテリのチェック
・外部バッテリ及びケーブル(ヒューズ及びプラグを含む)のチェック
・空気取り込み口フィルターの点検

●例示したチェックリストは共通したものであり、製品ごとのチェックリストはこれを踏まえて作成いたしますので、ご指摘の項目については、必要があれば追加されるものと思われます。

(使用前チェックリスト)

使用前の点検に外観点検又は目視点検を追加すべきである。

●使用前の点検では、破損のチェック等の必要最低限の外観点検、目視点検内容が含まれております。

電圧低下についてどのようにチェックするかの記述がない。

●電源低下は、供給電源の警報を確認するための例示なので、製品ごとに適切な方法で実施して下さい。

電源コンセントは非常電源(赤色コンセント)を使用するよう推奨すべき。

●非常電源が装備されている場合には、非常電源を用いることが望ましい旨、追加することといたします。

供給ガス警報の確認は、空気及び酸素両方の警報が鳴ることを確認する必要がある。また、ガス圧低下の確認はどのようにするのか。

●具体的な警報については、製品ごとに異なると思われるので、製品ごとに適切な方法で実施して下さい。

加温加湿器の状態について、具体的記述がない。また、どのように測定するのか。

●加温加湿器の状態については、製品ごとに一定の設定温度を示すのではなく、医師の指導によるものであるため、このような記載にしております。

使用前点検では、下記の項目は現場で実施不可能ではないか。

・供給電圧低下に対する警報の確認
・医療ガスの供給圧の異常に対する警報の確認
・酸素濃度計を用いて行う酸素濃度の確認
・換気量計を用いて行う換気量の確認
・気道内圧計を用いて行う気道内圧の確認
・電源投入の点検内容の「電源ブレーカの作動」と「ヒューズ遮断」

●人工呼吸器を使用する上では、確認が必要な項目と考えます。

「呼吸回路の気密度の確認」は、通常行われるリークテストでよいのではないか。

●ご指摘のとおりであり、その旨がわかるように修正いたしました。

以下の事項は定期点検で行った方がいいのではないか。
・酸素濃度の確認
・換気量の確認
・気道内圧の確認

●定期点検以外であっても、人工呼吸器を使用する上では、確認が必要な項目と考えます。

(使用中チェックリスト)

最初に「患者への装着と条件設定」のチェック項目が必要である。

●患者への条件設定については、患者の記録として別途作成しているものと考えます。

酸素濃度の確認、換気量の確認、気道内圧の確認、手動換気の確認について は、呼吸回路の取り外しや再接続を伴う場合があるので、点検時に二次的にミスを誘発する可能性がある。設定値と測定値の確認でよいのではないか。

●確認の方法は製品によって様々であるため、チェックリストには「呼吸回路を外して行う場合もある」旨の記載にしております。

(使用後チェックリスト)

「メンテナンス記録」は誰が管理するのか。

●このような記録を作成する場合には、医療機関において管理していただくものと考えます。

定期点検時期の確認に「速やかに製造元や業者に連絡する」とあるが、保守点検は医療法上、医療機関自らの業務であり、行えない場合に委託することができる旨の規定と矛盾する。

●ご指摘のとおりであり、「速やかに定期点検を実施する」と修正いたします。

呼吸回路の取り外しの項で「消毒と滅菌を行う」となっているが、「消毒又 は滅菌を行う」が正しいのではないか。

●ご指摘のとおり修正いたします。


4.その他

接続部の外れを防止するために、ストッパーを付けたり、接続部が少ない構造にしたり、確実に接続するための注意喚起をすべきである。

●呼吸回路の接続部に関して、呼気と吸気の接続間違いや接続部の外れを防止するための対策を行うことについては、「医薬品・医療用具関連医療事故防止対策検討会」において今後の検討課題としたところです。いただいたご意見につきましては今後の検討の参考とさせていただきます。
なお、接続部の確認については、使用前のリークチェックが点検項目として設定されております。

内蔵バッテリーの設置するとともに、使用可能時間の表示を義務付けるべき である(内蔵バッテリーは最低3時間は機能することが必要)。さらに、業者による定期的なバッテリーチェックの義務化や容量チェック方法の使用者への説明も行うべきである。また、外用バッテリーの必要性についても周知すべきである。

●内蔵バッテリーに関して、バッテリーが機能しなくなってもスーパーコンデンサ等により電源抜け時の警報が機能できる機構を設けることについて、「医薬品・医療用具関連医療事故防止対策検討会」において今後の検討課題としたところです。いただいたご意見につきましては今後の検討の参考とさせていただきます。

一般病棟等において人工呼吸器を使用しているとき、警報が作動したことが 病室の外からわかるように、ナースコールへの出力端子や警報音を拾うマイクの設置等の対策が必要である。

●ナースコール用出力機能を設けることについては、「医薬品・医療用具関連医療事故防止対策検討会」において今後の検討課題としたところです。いただいたご意見につきましては今後の検討の参考とさせていただきます。

電源スイッチが「切」になったら警報が出るようにすること。警報音は少な くとも十秒間鳴り続け、消音できないようにすること。

●電源スイッチが「切」になったときの警報については、「医薬品・医療用具関連医療事故防止対策検討会」において今後の検討課題としたところです。いただいたご意見につきましては今後の検討の参考とさせていただきます。
 なお、警報音については、警報機能に係る安全対策として、警報音量が消音できないこととのの基準を制定する予定です。

主電源の「入」「切」がはっきりわかるように表示ランプをつけること。

●警報ランプ、消音ボタン等の色を機能別に統一することについては、「医薬品・医療用具関連医療事故防止対策検討会」において今後の検討課題としたところです。いただいたご意見につきましては今後の検討の参考とさせていただきます。

人工呼吸器で実測の換気量をモニターできない機種が出回っていることも問題である。

●換気量をモニターできる機器は既に市販されており、相当数普及しているものです。一方、換気量モニター機能が備わっていない機器については、低圧警報を有しており、患者への換気の異常を察知できる機能を具備しています。今回の対策では、人工呼吸器の警報機能に加え、パルスオキシメータやカプノメータ等の生体モニターの併用を規定しており、安全性を高めることととしています。さらに、低換気を知らせる警報機能を備えることについては、「医薬品・医療用具関連医療事故防止対策検討会」において今後の検討課題としたところです。いただいたご意見につきましては今後の検討の参考とさせていただきます。

医薬品における副作用報告制度と同様に、器械の欠陥や苦情を受け付ける部 署を局内に設けてほしい。また、呼吸器メーカー、医療機関、呼吸器利用者からの情報を集め、トラブルシューティングとしてまとめてほしい。

●医療用具においても、医薬品と同様の不具合報告制度があり、製造(輸入販売)業者からの不具合報告を薬事法で義務付けているほか、医療機関からの報告は「医薬品等安全性情報報告制度」において協力をお願いしているところです。
 また、製造(輸入販売)業者に対しては、医療用具の製造(輸入販売)管理及び品質管理規則において、医療用具の品質等に関して苦情があったときは、原因究明、改善措置等を適切に行い、その記録を保存するよう規定しているところです。

看護婦が見てすぐわかるように、輸入製品の英語表示を日本語表示に改めるよう指導してほしい。

●薬事法で規定している医療用具(又は直接の容器等)に記載すべき事項、添付文書等に記載すべき事項については、邦文表示としていますが、その他については、適切使用の観点から、医療用具そのものへの表示を邦文にしたり、取扱説明書等でわかりやすく記載するなどの対策を各製造(輸入販売)業者において検討していただきたい事項と考えます。

安全上、絶対にしてはいけないことをリストアップして明記すべきである。

●薬事法において、添付文書等への記載事項に「使用方法その他使用及び取扱い上の必要な注意」を規定しており、してはいけない禁忌事項等については、現在でも明記されているところです。

人工呼吸器の回路及びその部品の耐用年数、限界合計使用時間などを制定してほしい。

●人工呼吸器は耐久性の機器であり、保守点検を効果的に実施していただく観点から、部品の耐用年数等については製造(輸入販売)業者において科学的判断をもとに定め、使用者に対しても周知していただくべきものと考えます。

医療機関では、厚生労働省における医療事故防止対策に準拠し、院内のリスクマネジメント委員会が人工呼吸器の運用体制を検討し、事故防止対策を行う必要がある。

●ご指摘のとおり、厚生労働省における取組を踏まえ、各医療機関で事故防止のための取組を積極的に行っていただきたいと思います。


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