パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いについて」
に対して寄せられたご意見等について

平成13年3月26日
厚生労働省医薬局
監視指導・麻薬対策課

 食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いについては、平成12年8月11日から9月11日までホームページ等を通じてご意見を募集したところ、のべ54件のご意見、ご要望をいただき、ありがとうございました。
 お寄せいただいたご意見等とそれらに対する事務局の考え方について次のとおり取りまとめました。
 お寄せいただきましたご意見等につきましては、とりまとめの便宜上、案件ごとに適宜集約させていただいております。なお、食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いにかかるご意見の他にも、幅広いご意見をお寄せいただきましたが、今時の取りまとめに際しましては、関係分のみの掲載とさせていただいております。
 今回、ご意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。


「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いについて」
に対して寄せられたご意見等の募集結果について

1.専ら医薬品にかかる判断基準

1) リストの考え方

○ 「専ら医薬品としての使用実態のある物」のみを収載すべき。それ以外の物のリストは食品部局から出すべき。
○ 国内外で食品として飲食されている履歴、慣習のある物を除く、という条件を入れるべき。
○ 専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リストの考え方について、従来の「1−a」成分が自動的に医薬品になってしまわないようにしていただきたい。
○ 「通常の食生活」とは、どの範囲までを指すのか。
○ 経口で使用されている医薬部外品に使用されている物や食品添加物に使用されている物は除くべき。
○ 成分本質や作用そのものを食薬区分の判断基準にすることには賛成できない。
○ 食品としての可否は食品衛生面から検討されるべきものであり、医薬品の範囲基準とは別の物である。「医薬品的効能効果を標榜しない限り食品と認められる成分本質のリスト」は不要である。
○ 諸外国において医薬品として使用されているハーブ等については、薬理作用が明確であることから、医薬品として扱うべき。
○ 食品として流通している実態があれば、即リストから外すべき。

(ご意見等に対する考え方)
・ 成分本質(原材料)の判断基準については、我が国における医薬品による保健衛生上の危害を防止するため、専ら医薬品としての使用実態のある物、毒性、麻薬覚せい剤様作用をもつ物、医薬品に相当する成分を含む物等、医薬品として規制すべき成分本質を判断するために必要と考えております。
・ 寄せられたご意見として多かった食品との関係につきましても、全てを医薬品として規制しようとするものではなく、我が国において一般に食品として飲食に供されている物については食品として取り扱われるべき旨を判断基準上に明記しております。
・ 「医薬品的効能効果を標榜しない限り食品と認められる成分本質(原材料)リスト」については、先に報告されている「医薬品の範囲基準の見直しに関する検討会報告書」において、関係者等の利便を考え、参考として作成すべきとされているものであり、あくまで、医薬品の成分本質(原材料)に対する該当性の問い合わせがあった物のうち、その成分本質(原材料)からみて、医薬品に該当しないと判断した物の例であり、食品の範囲を定めているものではありません。
・ 従来の「1−a」成分が全て自動的に「専ら医薬品として使用される成分本質リスト」に移行するわけではなく、当該判断基準に照らし、改めて「専ら医薬品として使用される成分本質」に該当するか否かを判断するものです。
・ また、医薬部外品として経口摂取される物、食品添加物として使用される物、諸外国において医薬品として使用されている物についても同様に、全てが自動的にどちらかのリストに移行するものではなく、当該判断基準に照らし、「専ら医薬品として使用される成分本質」に該当するか否かを判断するものです。

2) 毒性

○ 毒性が強い等の理由のみで「専ら医薬品として使用される成分本質」と規定するのは行き過ぎである。食品としての使用の可否は食品衛生の見地から検討すべき。
○ 毒性・劇性成分がごく微量含まれる場合や、大量に摂取した場合に薬理作用を示す場合も該当してしまう。「通常摂取される量で」との条件をつけるべき。
○ 経口投与におけるものを基準に論じるべきである。静脈注射でのみ毒性が発現し、経口では毒性が確認されなかった場合には、問題ないと考えられる。
○ 毒性の強さの判断基準、有害物質の具体的例示、毒劇薬指定成分の判断基準について、内容の細則を設定してほしい。
○ 「臨床上蓄積作用が強い物」、「臨床上薬用量において薬理作用が激しい物」という表現は曖昧で、判断基準としては不適切である。

(ご意見等に対する考え方)
・ 毒性が強い物にあっては、その作用の強さから医薬品として使用されてきた物もあり、我が国における医薬品に該当する物による保健衛生上の危害を防止する観点から、判断基準の一つとしたものです。ただし、毒性が強い物であっても、一般的に食品衛生法で規制される食品に起因して中毒などを起こす物など、食品として規制されるべき物は除く旨明記しました。
・ 現在までに種々の毒性成分の含有が定性的に知られている原材料であっても、それぞれの毒性成分の含有量が定量的に明らかにされている場合は少なく、また、同じ原材料であっても含有量に差があるとの知見があることなどから、毒性成分の量に基づく基準化については困難であると考えています。ただし、毒性成分の含有量等について、科学的なデータが十分に得られ、摂取量等からみて安全性が担保できる場合には、「専ら医薬品として使用される成分本質」リストから移行させる場合もあり得ると考えます。
・ 毒性の判断は経口投与による毒性が基本となると考えています。なお、経口での毒性に関する資料が整備されておらず、静脈注射のみの毒性が判明している場合などにあっては、劇薬指定成分の判断基準を参考に当該成分本質の毒性を判断することとしております。

3) 麻薬等の構造類似物

○ 化学構造上の類似物を全て医薬品の範疇とすることには問題があり、麻薬、覚せい剤様作用があるかないかで判断すべき。

(ご意見等に対する考え方)
・ 化学構造上の類似物については、同様の作用が合理的に予測される物について規制すべきと考えており、その旨を判断基準上に明記することとしました。

4) 薬理作用等用語の定義

○ 薬理作用と生理作用の区別が曖昧であるため、薬理作用によって食品と医薬品を区別することは適切ではない。
○ 同一性の範囲が不明確であり、類似の物まで食品としての使用が禁じられるおそれがある。
○ 「劇性」なる用語は、定義が不明確である。

(ご意見等に対する考え方)
・ 「薬理作用が明確である物」、「同一性」及び「劇性」については定義が不明確であるため、「指定医薬品又は要指示医薬品に相当する成分を含む物」及び「毒劇薬指定成分に相当する成分を含む」と基準の明確化を図りました。

5) 抽出物の取扱い

○ 超臨界流体(炭酸ガス等)、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、食品添加物公定書に収載されている有機溶媒等を用いた方法の場合は認めてほしい。

(ご意見等に対する考え方)
・ 抽出物の取扱いについては、水、エタノール以外による抽出物が全て食品に使用できないとする趣旨ではなく、成分本質(原材料)が「医薬品的効能効果を標榜しない限り食品と認められる成分本質(原材料)リスト」に収載されていたとしても、水、エタノール以外で抽出を行った場合には、その抽出物については、毒性等の観点から改めて判断を行うとする趣旨であるため、その旨を明記することとしました。
2.新規成分を判断する際の手続き

1) 手続き全般

○ 「医薬品」の新規成分の申請には、この様な手続きがとられるべきであるが、食品として使用する原材料に適用する必要はない。
○ 業者の任意の届出によってではなく、市場の状況などを踏まえ、随時新規成分の判断を行っていくべき。
○ 栄養補助食品としての使用の可否はまず第一に食品部局にその判断を求めるべき。
○ 国内外で食品として飲食されている履歴、慣習のない物については、製造、販売業者が安全性に関する充分な検討を前提として、製造物責任に基づく自己責任の下で販売が許されるべき。
○ 判断にかかる時間は一体どの程度のスピードを目指しているのか。
○ 1−a成分であると判定された場合、その理由を公表してほしい。

(ご意見等に対する考え方)
・ 経口で摂取される物にかかる安全性等の確認については、薬事及び食品衛生双方の観点から行われるべきと考えます。しかしながら、我が国で輸入販売又は製造しようとする成分本質が、医薬品に該当する物であるか否かを事前に確認・判断し、必要なものについては医薬品として規制することは、我が国における保健衛生上の危害を未然に防止するために必要不可欠なことであると考えております。
・ 行政における作業の効率化、透明化を図ることは当然のことと認識しており、定められた手続きに従い、これを適切に運用してゆく必要があると考えています。なお、必要な資料等が提出されれば、速やかに判断を行うよう努めることとします。

2) 用語の定義

○ 医薬品として確定していない物の作用であるから、薬理作用ではなく生理作用とすべきである。

(ご意見等に対する考え方)
・ 医薬品として確定していない物の作用であるため、「薬理作用又は生理作用」との表現に改めました。

3.リストの整備

1) リストの更新

○ リストは常時公開されていなければならず、内容を変更する際には、変更案を事前に公表して意見公募を行うべき。
○ 安全性の問題について、どのように判断するかについての判断基準を明確にしておく必要がある。
○ 安全性に問題が生じた場合は、食品部局の責任で措置を講じるべきであり、医薬品のリストに移行させるのは一方的で、正確さを欠く。
○ 「医薬品的効能効果の発現が期待できない事が確認された場合等」は、「食品としての安全性に問題がない限り」に変えるべき。

(ご意見等に対する考え方)
・ リストは定期的に見直しを行うとともに、通知の一部として公表いたします。なお、通知については、厚生労働省のホームページ上でご覧いただけます。
・ 既に判断を行った物について、新たな安全性に関する知見等により、判断を変える可能性があり得ることを明記したものです。また、この場合は、食品部局とも連携して、リストの変更について十分検討すべきものと考えております。

2) リスト移行時の取扱い

○ 移行による市場の混乱を抑えるため、経過期間、回収方法、一般消費者への周知等についての取扱いを明確にする必要がある。

(ご意見等に対する考え方)
・ 消費者の保健衛生の確保の観点から、必要な情報提供や措置は行われるべきと考えます。また、移行による市場の混乱を抑える配慮も十分に検討されるべきと認識しています。

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