パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

「障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための医師法等の関係法令改正試案」
に寄せられた意見について

平成13年3月16日
厚生労働省
医政局・健康局
医薬局・同食品保健部
労働基準局安全衛生部

 「障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための医師法等の関係法令改正試案」について、平成13年2月14日から平成13年3月2日までインターネットのホームページ等を通じて御意見を募集したところ、60通の御意見をいただきました。
 お寄せいただいた御意見等とそれらに対する当省の考え方につきまして以下のとおりご報告いたします。とりまとめの都合上、いただいた御意見等は適宜集約しております。
 いただいた御意見については平成13年4月末まで厚生労働省行政相談室(中央合同庁舎第5号館2F)で閲覧することができます。
 なお、パブリックコメントの対象ではない事項に関する御意見等も寄せられましたが、パブリックコメントの対象となる事項に限って考え方を示させて頂いております。

【頂いた御意見等と当省の考え方】

1. 絶対的欠格事由から相対的欠格事由への改正について

<御意見>
 心身の障害により」という文言は削除すべきではないか。

<回答>

 試案のような表現としましたのは、対象となる者を明確に規定すべきという法制上の観点に鑑み、「心身の障害により」という規定を設けなければ、どのような人を対象とした欠格事由であるかが不明確な規定となり、その結果、省令で定めることができる者の範囲が、現在の範囲に比べても無限定に広がりすぎてしまいます。このため、「心身の障害により」として、相対的欠格事由に該当しうる者の範囲を明確にする必要があると考えます。「心身の障害により」という文言を入れない規定とした場合、心身の障害を原因とするもの以外まで含まれることになり、対象が広がり、かえって不明確になりかねないものと考えております。

2.相対的欠格事由の的確な運用について

(1) 「厚生労働省令で定める者」の具体的な内容について

<御意見>
 臨床工学技士及び視能訓練士については、相対的欠格事由として聴覚、音声又は言語障害を加えるべきではないか。

<回答>

 臨床工学技士及び視能訓練士の相対的欠格事由の範囲に関する原案は、それぞれの業務の本質的部分の遂行に必要不可欠な身体又は精神の機能であるかどうかという観点から決めているものでありますが、それぞれの業務の実態も踏まえ、その範囲については、省令策定までの間において引き続き検討してまいりたい。

(2)相対的欠格事由に該当する場合の資格等の取得について

<御意見>
 障害を補う手段等の評価については、柔軟に行っていくべきではないか。また、現に利用しているものに限定すべきではない。

<回答>

 障害を補う手段に関しては、業務の適正性を確保するため、現に用いている補助手段を前提として判断する必要があると考えておりますが、具体的な運用については、社会一般における障害を補う手段に関する実態、技術の進展状況も踏まえながら、柔軟に運用してまいりたいと考えております。

3. 相対的欠格事由に該当する者に係る具体的な判断方法について

(1)医師の診断書を基に障害の有無等を把握することについて

<御意見>
 医師の診断書の提出は不要なのではないか。

<回答>

 免許申請に当たって提出を求める医師の診断書には、相対的欠格事由に該当する障害の有無のみならず、治療や投薬等により障害の程度が軽減されている状況についても記載することとしていることから、医師の診断書の提出は必要であると考えております。

(2)各資格等ごとの判断方法について

<御意見>
 認知、判断及び意志疎通を適切に行うことができるかどうかに関する具体的な判断基準を明確化すべきではないか。

<回答>

 身体の機能の障害がある方については、医師等の医療関係の資格免許については、臨床実習を受けたか否か、また、その際にどのような項目をどのような補助的手段を活用して受けたかなどを勘案して決定することとしており、その際、用いた補助的手段が、現在の科学技術水準、一般的な医療水準に鑑み、普遍的かつ実用的な範囲にあるか否かを基準とすることとしております。
 また、精神の機能の障害がある方についての判断基準については、あらかじめ具体的に規定することは、現時点での医学的な知見等から困難であると考えております。
 なお、免許が取得できるかどうかの判断に当たっては、当該障害について十分な理解がある医師等の専門家の意見を聞いて判断することとし、さらに、免許を与えないこととする場合には、法律上、求めに応じて本人からの意見聴取を行い、当該障害について十分な理解のある医師等の専門家を同席させることにより、本人からの意見及び本人の状況を的確に把握し、適切な判断ができる仕組みとしたいと考えております。
 いずれにしても、判断方法については、判断事例の積み重ねも踏まえつつ、できるだけ明確にしてまいりたいと考えております。

<御意見>
 資格付与の具体的判断に携わる者の人選に配慮すべきではないか。

<回答>

 具体的判断に当たっては、当該障害について十分な理解がある医師等の専門家の意見を聞いて判断することとし、また、免許を与えないこととする場合に、求めに応じて行う意見聴取の際にも、当該障害について十分な理解がある医師等の専門家を同席させることといたします。こうした手続を経ることにより、本人からの意見及び本人の状況を的確に把握し、適切な判断ができる仕組みといたします。

4. 意見聴取手続の整備について

<御意見>
 免許を与えないとする決定がなされた場合の不服申立制度を法に規定するとともに、不服申立のための第三者機関を設置すべきではないか。

<回答>

 欠格を理由とする免許拒否処分には、行政不服審査法が適用され、免許権者に対して不服申立できることとなっています。
 また、行政機関から独立した第三者機関を設置することについては、免許を与えないこととする場合の意見聴取において、資格分野についての専門的知識を持つ者だけでなく、当該障害について十分な理解のある医師等の専門家を同席させることとしており、こうした手続を経ることにより、第三者機関による判断と同様の判断の客観性を担保したいと考えております。

5. その他

<御意見>
 教育、就業環境の整備、補助手段等に対する公的補助の拡充等社会的条件の整備を図るべきではないか。

<回答>

 障害者に係る欠格条項の見直しを実効あるものとするという観点から、障害を補う機器の開発、事業主への助成など就業環境の整備等に努めるとともに、関係行政機関等に対して、教育機関での障害者に配慮した修学環境の改善など、障害者の資格取得支援のための条件整備について働きかけてまいります。

<御意見>
 一定期間後の見直し規定を設けるべきではないか。

<回答>

 今回の見直しは、障害者の社会参加を進めるためにできる限りの内容としており、一定期間経過後の法律の見直しについて規定することは困難ですが、障害者に係る欠格条項の運用に当たっては、医学・医療の水準や障害の機能を補完する機器の発達等の科学技術の水準等に応じて柔軟に対応してまいりたいと考えております。

以上


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