パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

指定居宅サービス事業者、指定居宅介護支援事業者及び介護保険施設の
指定基準等の一部改正に対して寄せられた御意見について

平成15年3月13日
厚生労働省老健局振興課

 標記について、平成15年2月14日から平成15年2月27日まで厚生労働省のホームページを通じて御意見を募集したところ、計150通の御意見をいただきました。
 お寄せいただいた御意見とそれらに対する当省の考え方について、以下のとおり取りまとめましたので御報告いたします。なお、取りまとめの都合上、いただいた御意見のうち同内容のものは適宜集約して掲載しております。また、いただいた御意見の中には今回のパブリック・コメントの対象外の事項に関するものもございましたが、今後の検討の際の参考とさせていただきます。
 今回御意見をお寄せいただきました方々の御協力に厚く御礼申し上げます。

1.指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準関係

(1)通所介護について

(御意見)
 看護職員の配置について、地方の町の小規模な通所介護事業者にとって確保が困難な状況であるため、何らかの緩和措置を設けること。
 看護職員の配置について、常勤・非常勤どちらの配置が必要なのか。
 看護職員の配置について、2単位実施している場合、今回の改正により1日2名の配置が必要となるのか。

(当省の考え方)
 今回の改正は、看護職員の配置基準を実態に即して緩和するものです。具体的には、「指定通所介護の単位ごとに、提供時間帯を通じて専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員が一以上確保されるために必要と認められる数」を「指定通所介護の単位ごとに、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員が一以上確保されるために必要な数」に緩和します。
 通所介護における看護職員の配置については、常勤・非常勤を問いません。ただし、利用定員が10人以下である場合には、生活相談員、看護職員又は介護職員のうち1人以上は常勤であることが必要です。
 2単位実施する場合には、単位ごとに人員基準を満たす必要がありますが、勤務表において、看護職員の勤務時間が単位ごとに明確に区分されていれば、両方勤務することを妨げるものではありません。

(2)通所リハビリテーションについて

(御意見)
 医師の配置について、ほとんどの指定通所リハビリテーション事業所(介護老人保健施設が事業者であるもの)は医師を増員することになるが、医師の報酬を確保することで他の職種の給与が削減されることになり、ひいてはサービスの質の低下や、職員の質の低下など悪影響を与えることにならないか。また、経過措置は設けないのか。
 医師の配置について、診療所で行う指定通所リハビリテーションにおいても常勤の医師が必要となるのか。

(当省の考え方)
 介護老人保健施設のサービスの提供に支障がない範囲で、介護老人保健施設における医師との兼務も認められます。また、職員を増員しなければならない事業所もあることから、半年間の経過措置を設けることとしています。
 診療所で行う指定通所リハビリテーションについても専任の医師が1人以上勤務している必要があります。ただし、診療所のサービスの提供に支障がない範囲で、診療所の医師との兼務も認められます。

(3)痴呆対応型共同生活介護について

(御意見)
 指定痴呆対応型共同生活介護事業所(以下「痴呆性高齢者グループホーム」という。)の共同生活住居(以下「ユニット」という。)の数を1又は2とすることに
ついては、以下の理由により反対。改正の基本的な考え方を教えてほしい。

 1又は2ユニットでは採算的にぎりぎりであり、将来的に経営が成り立つかどうか疑問。むしろ、2ユニットから6ユニットまでが適正ではないか。
 1又は2ユニットでは経営的に立ちゆかなくなるため、参入が排除され、競争原理が働かずにサービスの低下につながる可能性が高いのではないか。
 1又は2ユニットに制限することにより、地価の高い都市部における痴呆性高齢者グループホームの立地を制限することにならないか。
 ユニットの数が多いほど介護職員間の協力体制がとりやすいが、1又は2ユニットでは、夜間等に同時に複数の入居者の容態が急変した場合に、適正な対応ができないのではないか。
 1又は2ユニットでは規模が小さすぎて、入居者によりよいサービスを提供するための人員の加配等が難しくなってしまうのではないか。
 サービスの質の向上を図るためには、むしろ外部評価や情報公開の推進によるべきではないか。
(当省の考え方)
 痴呆性高齢者グループホームは、小規模で家庭的な環境と、少人数で安定した人間関係の下で、入居者一人一人の個性と生活のリズムを尊重したケアを行うものです。痴呆性高齢者グループホームの定員・規模は、ケアの質に大きく影響するものであり、1ヶ所に多くのユニットを設けることは、こうしたグループホームケアの特質を損なうこととなります。3つのユニットを設けた場合には、その規模は定員30人の特別養護老人ホームに近いものとなります。
 痴呆性高齢者グループホームは、痴呆性高齢者が入居前の生活や人間関係を維持しながら、住み慣れた地域で暮らし続けることができるように支援することを目的としているものです。1ヶ所に多くのユニットを設けることは、広い範囲から入居者を「集める」ことになり、必然的に入居者の生活や人間関係からかけ離れた形での入居が増え、痴呆性高齢者グループホームの特質を損なうこととなります。転居等によって生活環境、居住環境が変わることは、痴呆の症状悪化の大きな原因の一つとされ、痴呆性高齢者にとって最も良くないこと、避けなければならないことの一つとされており、「リロケーションショック」と言われています。痴呆性高齢者グループホームの運営が小規模であることを原則としているのは、このような視点があるからです。
 全国市長会、町村会等から、痴呆性高齢者グループホームにも住所地特例を適用するよう要望が出されていますが、これは、事業者が開設地の市町村以外から入居者を集めている実態があることの現れです。

(御意見)
 痴呆性高齢者グループホームのユニットの数を1又は2とすることに賛成。駆け込み協議や着工・計画の大幅な前倒しなどが殺到するおそれがあるため、経過措置はなるべく設けず、仮に設けるとしても、最小限とするべき。
 また、現に2を超えるユニットを有する事業所についても、今回同時に1〜2年程度の明確な経過措置を設けて、順次2ユニット上限へと変更していくべき。

(当省の考え方)
 平成15年4月1日より、1の事業所に複数のユニットを設ける場合には2つまでに限ることとしていますが、同日に現に2を超えるユニットを設けているもの(2を超えるユニットを建築中のものを含む。)については、当分の間、2を超えて当該ユニットを有することができることとすることを予定しています。
 なお、「当分の間」の経過措置としていますが、これは、当該義務が構造設備に関わるものであることにかんがみ、現に有している2を超えるユニットを取り壊してまでも基準を遵守することまでは求めないが、2を超えるユニットを有している状態を永久の既得権として認めるものではなく、本経過措置の適用を受ける場合にあっても、機会を捉えてユニットの数を2つまでとすることが望ましいという意味で、「当分の間」としているものです。

(御意見)
 痴呆性高齢者グループホームにおいては、宿直・夜勤における他のユニットとの兼務は、原則としてこれを認めないこととするべき。また、宿直扱いであっても実態としては夜勤であるという声も多いことから、基準上は夜勤を原則とするべき。

(当省の考え方)
 痴呆性高齢者グループホームにおいて宿直勤務又は夜間及び深夜の勤務を行う介護従業者は、利用者の処遇に支障がない場合は、併設されている他のユニットの職務に従事することができますが、同時に職務に従事することができるのは、最大でも2つのユニットに限ることを予定しています。
 また、平成15年4月1日に現に存する事業所(当該事業所の共同生活住居において宿直勤務を行う介護従業者が、同日において現に併設されている他のユニットの職務に従事しているものに限る。)のユニットにおいて宿直勤務を行う介護従業者については、平成18年3月31日までの間は、なお従前の例によることができることとすることを予定しています。なお、平成15年4月1日以降に開設される事業所にあっては、宿直勤務を行う介護従業者が同時に職務に従事することができるのは、最大でも2つのユニットに限られるものであることにかんがみれば、本経過措置の対象となる事業所にあっても、宿直勤務を行う介護従業者が同時に職務に従事するユニットは、可能な限り、2つまでとすることが望ましいと考えています。
 さらに、指定基準においては、宿直勤務又は夜間及び深夜の勤務の双方を可能としていますが、介護報酬の中で夜間ケア加算を新設しており、これは、指定基準における夜間及び深夜の時間帯における職員の配置に係る基準を踏まえた水準に設定されています。

(御意見)
 痴呆性高齢者グループホームの計画作成担当者のうち1以上の者は、介護支援専門員をもって充てなければならないこととする理由は何か。介護支援専門員だけでなく、実践的な痴呆介護実務者研修を受けた者や幅広い知識を有する社会福祉士などに拡げてもよいのではないか。
 痴呆性高齢者グループホームの計画作成担当者のうち1以上の者は介護支援専門員をもって充てなければならないこととするにとどまらず、ユニットごとに計画作成担当者は原則として介護支援専門員とするべき。

(当省の考え方)
 これまでも、痴呆性高齢者グループホームの計画作成担当者は、介護支援専門員をもって充てることが望ましいこととしてきたところですが、痴呆性高齢者グループホームの質の向上の観点から、今回、これをさらに一歩推し進めて、計画作成担当者のうち1以上の者は介護支援専門員をもって充てなければならないこととするとともに、当該介護支援専門員は、介護支援専門員でない他の計画作成担当者の業務を監督することとしているものです。

(5)特定施設入所者生活介護について

(御意見)
 利用者への情報開示の観点から「利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならないこととすること」も不可欠な条件とすること。
 計画作成担当者について、
(1)  特定施設サービス計画の実施状況の把握及び解決すべき課題の把握に当たっては、特段の事情のない限り、次に定めるところにより行わなければならないこととすること。
少なくとも一月に一回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接すること。
少なくとも三月に一回、実施状況の把握を記録すること。
又は
定期的に入所者に面接すること。
定期的に実施状況の把握の結果を記録すること。
(2)  特定施設サービス計画の作成に関する業務のほか、利用者の退所に際し、居宅サービス計画の作成等の援助に資するため、居宅介護支援事業所に対して情報を提供する等の業務を行うものとすること。
とすべきではないか。

(当省の考え方)
 今回の改正において、指定居宅サービス事業者(指定痴呆対応型共同生活介護事業者及び指定特定施設入所者生活介護事業者を除く。)は、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならないこととしています。その趣旨は、利用者に対してサービスを提供する指定居宅サービス事業者が、例えば、利用者の用意した手帳等に提供した具体的なサービスの内容等を記載することにより、指定居宅サービス事業者間の密接な連携等を図ろうということです。したがって、包括的にサービスを提供する指定痴呆対応型共同生活介護事業者及び指定特定施設入所者生活介護事業者については義務づけていませんが、御指摘のとおり、利用者への情報開示の観点からは、提供した具体的なサービスの内容等の情報が利用者に対して適切に提供されることが望ましいと考えています。
 今回の改正において、計画作成担当者は、介護支援専門員とすることとし、3年間の経過措置を設けたところです。計画作成担当者が担うべき役割や業務については、特定施設入所者生活介護の質の向上の観点から、介護支援専門員の配置状況も踏まえつつ、検討してまいりたいと考えております。

(6)その他について

(御意見)
 事故について報告義務がないのは問題ではないか。
 第三者機関によるサービス評価を公平・公正に義務化した方がいいのではないか。

(当省の考え方)
 現行の基準において、指定居宅サービス事業者は、利用者に対するサービスの提供により事故が発生した際には、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならないこととされています。
 外部評価については、近年急増し、また小規模であるがゆえに密室性が懸念される痴呆性高齢者グループホームに義務づけたところです。他のサービスについても外部評価は重要であると考えていますが、そのためには、実施方法、評価手法等の確立が必要であり、十分検討してまいりたいと考えています。

2.指定居宅介護支援事等の事業の人員及び運営に関する基準関係

(1)居宅サービス計画の利用者の同意について

(御意見)
 居宅サービス計画の変更の都度、文書による同意が必要なのか。

(当省の考え方)
 居宅サービス計画の原案の内容について利用者の同意を義務づけている趣旨は、利用者によるサービスの選択やサービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものです。したがって、居宅サービス計画の変更の際にも文書による同意が必要となります。ただし、利用者の希望による軽微な変更(サービス提供日時の変更等)を行う場合には、その必要はないものとしています。

(2)居宅サービス計画の利用者への交付について

(御意見)
 居宅サービス計画が何を指すのかが不明確であり、明確に規定すべきである。
 居宅サービス計画の内容の変更がなくても、一律に交付しなくてはならないのか。
 末期がんや精神病等利用者に情報を伝達することが適切でないケースもあることから、「必要に応じて交付」に改めるべきである。
 特別な状況がある場合の交付や記入方法の検討及び研修が必要である。

(当省の考え方)
 いわゆる居宅サービス計画書の第1表から第3表まで、第7表及び第8表に相当するものすべてを指すものです。
 居宅サービス計画を作成・変更した際には、当該居宅サービス計画を利用者に交付しなければならないこととしています。少なくとも居宅サービス計画書の第7表及び第8表については、毎月変更されるものと考えられます。
 利用者に情報を伝達することが適切でないケースについては、居宅サービス計画書第6表を活用するなどの方法により対応していただきたいと考えています。
 介護支援専門員実務研修及び現任研修において対応したいと考えています。

(3)利用者の居宅の訪問について

(御意見)
 利用者によっては、訪問を拒絶する場合や訪問することで利用者が混乱する場合もあり、また、画一的に少なくとも一月に一回としてしまうと、月に何度も訪問しサービス調整を行うケースへの関わりが少なくなり、サービスの低下が心配される。
 利用者の居宅を訪問することとあるが居宅に限定するのはいかがなものか。他の事業所の業務との兼務をしているような場合には、利用者の心身の状況を直接把握しているような場合もある。
 介護支援専門員の業務が過大となるものであり、個々の担当ケース数を削減しなければならず、この結果、介護支援専門員が不足することとなるのではないか。
 風邪、冠婚葬祭等の居宅介護支援専門員の事情で実施できない場合も「特段の事情」に含まれるのか。

(当省の考え方)
 今回の改正において利用者の居宅を訪問することを義務づけた趣旨は、指定居宅サービス事業者等の担当者との連携により、モニタリングが行われている場合においても、利用者の居宅において利用者に面接することにより、利用者の日常生活における解決すべき課題の変化を把握していただきたいということです。少なくとも1月に1回としたのは、1月に1回は居宅サービス計画の原案の内容について、文書により利用者の同意を得なければならないことによるものです。
 したがって、他の事業所の業務と兼務している場合においても、居宅において利用者に面接する必要があると考えています。
 都道府県知事が作成する介護支援専門員名簿に登録されている者の数は、平成13年度末において、約23万人となっています。指定居宅介護支援事業所においては、介護支援専門員は、利用者50人に対して1人を標準として配置することとされ、これを踏まえれば、全体として介護支援専門員の数は充足しているものと考えています。
 「特段の事情」とは、利用者の事情により、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接することができない場合を主として指すものであり、介護支援専門員に起因する事情は含まれません。

(4)モニタリングの結果の記録について

(御意見)
 少なくとも3月に1回のモニタリングの結果の記録について、モニタリングの方法や記録の標準化について検討、研究するとともに、研修を行うことが必要である。
 福祉用具貸与などすべてのサービスに共通させるのはいかがなものか。

(当省の考え方)
 介護支援専門員実務研修及び現任研修において対応したいと考えています。
 モニタリングの目的は、利用者についての継続的なアセスメントを行い、利用者の解決すべき課題の変化に留意することが主眼であることから、居宅サービス計画に位置付けたサービスのいかんにかかわらず行うことが基本であると考えています。

(5)その他について

(御意見)
 介護支援専門員として職務に専念することができるように兼務の範囲は2つ、多くても3つまでとすること。

(当省の考え方)
 介護支援専門員については、他の業務との兼務を認めているところですが、これは、居宅介護支援の事業が、指定居宅サービス等の実態を知悉する者により併せて行われることが効果的とされる場合もあることに配慮したものです。したがって、他の業務を兼務する場合であっても介護支援専門員としての業務を適切に行わなければならないことはいうまでもありません。

3.指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準
介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準
指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準関係
(御意見)
 指定介護老人福祉施設における介護支援専門員の役割が不明確である。また、介護支援専門員の配置が義務付けられたことにより、生活相談員との業務分担が不明確となった。

(当省の考え方)
 指定介護老人福祉施設における介護支援専門員は、施設サービス計画の作成に関する業務のほか、次に掲げる業務を行うものとしています。

入所申込者の入所に際し、その者の心身の状況、生活歴、病歴、指定居宅サービス等の利用状況等を把握すること。
入所者が居宅において日常生活を営むことができるかどうかについて定期的に検討すること。
入所者の円滑な退所のために必要な援助を行うこと
入所者の退所に際し、居宅介護支援事業者に対して情報を提供するほか、保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者と密接に連携すること。
身体的拘束等の態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録すること。
苦情の内容等を記録すること。
事故の状況及び事故に際して採った処置について記録すること。
 一方、生活相談員は、入所者の生活の向上を図るため適切な相談、援助等を行うものとしています。

(御意見)
 指定介護老人福祉施設は、入所者の外出の機会を確保するよう努めなければならないこととすることについては、優先入所指針により重度対応を求めておきながら、軽度の自立者を想定しており、あまりにも矛盾している。いたずらに現場を混乱させるだけである。

(当省の考え方)
 重度の要介護者であっても可能な限り普通の生活に近い生活を保障していく、というのは介護サービスの基本であり、外出の機会の確保についても、多くの施設現場において様々な取組・工夫が行われてきているものです。この規定は、まさにそのような現場の取組について評価し、記述しているものです。

(御意見)
 小規模生活単位型指定介護老人福祉施設は「自律的な日常生活を営むことを支援する」とあるが、特別養護老人ホームにおけるアクティビティをどう評価するのか。また、小規模生活単位型指定介護老人福祉施設は、「入居者の日常生活における家事を、入居者が、その心身の状況等に応じて、それぞれの役割を持って行うよう適切に支援しなければならない」とあるが、特別養護老人ホームへの入所を余儀なくされる利用者の状態像、心身の障害の程度をどのように考えているのか。

(当省の考え方)
 小規模生活単位型指定介護老人福祉施設は、入居者へのサービスの提供に当たっては、入居前の居宅における生活と入居後の生活が連続したものとなるよう配慮することが必要であり、このため職員は、一人一人の入居者について、個性、心身の状況、入居に至るまでの生活歴とその中で培われてきた生活様式や生活習慣を具体的に把握した上で、その日常生活上の活動を適切に支援しなければならないと考えています。なお、こうしたことから明らかなように、例えば、入居者の意向に関わりなく集団で行うゲームや、日常生活動作にはない動作を通じた機能訓練など、家庭の中では通常行われないことを一律に行うのは、サービスとして適当でないと考えています。
 また、小規模生活単位型指定介護老人福祉施設は、入居者の日常生活における家事を、入居者が、その心身の状況等に応じて、それぞれの役割を持って行うよう適切に支援しなければならないこととしていますが、「日常生活における家事」には、食事の簡単な下準備や配膳、後片付け、清掃やゴミ出しなど、多様なものが考えられます。
 小規模生活単位型指定介護老人福祉施設においては、できる限り家庭における生活、普通の生活を保障し、その中で必要なケアを提供していく、ということがケアの基本となるものと理解しています。その意味で、「日課を作らない」「一律の起床時間・就寝時間を決めない」といった実践が現場で行われているものと理解しています。
 「自律的な日常生活を営むことを支援する」との記述は、このような実践を踏まえて、規定しているものです。

(御意見)
 小規模生活単位型指定介護老人福祉施設の人員配置基準は3:1のままであるが、実際にユニットケアを導入している施設では2:1に近い配置をしているところが多いことを踏まえ、2.5:1以上を義務付けるべき。

(当省の考え方)
 小規模生活単位型指定介護老人福祉施設の人員配置基準について、従来型の施設と異なる特別の基準を設けることは、今回の改正においては予定していません。
 しかし、小規模生活単位型指定介護老人福祉施設においては、従業者が、一人一人の入居者の個性、心身の状況、生活歴などを具体的に把握し、いわゆる「馴染みの関係」を構築することが求められています。したがって、従業者の勤務体制を定めるに当たっては、継続性を重視したサービスの提供に配慮しなければなりません。
 このため、小規模生活単位型指定介護老人福祉施設の勤務体制については、(1)日中については、ユニットごとに常時1人以上の介護・看護職員を配置すること、(2)夜間及び深夜については、2ユニットごとに1人以上の介護・看護職員を夜間及び深夜の勤務に従事する職員として配置することが望ましいと考えており、介護報酬についても、こうした勤務体制を踏まえた水準に設定されています。

(御意見)
 「地域の住民による自発的な活動によるサービス等」とは、一般的にボランティアを想定したものか、また、このサービスには介護サービスを含むものか。資格を有しないボランティアによる利用者へのサービス提供は、危険性を伴うことから解釈を明確にしていただきたい。

(当省の考え方)
 現行の基準において、入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務を除いて、施設サービスは当該施設の従業者によって提供しなければならないこととされており、「地域の住民による自発的な活動によるサービス等」には介護サービスは含まれません。具体的には、例えば、地域の住民による入所者の話し相手、会食などの自発的なサービス等を想定しています。



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