パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

保健師助産師看護師学校養成所指定規則の一部を改正する
省令案等に対して寄せられた御意見等について

平成15年3月4日
厚生労働省医政局看護課
文部科学省高等教育局医学教育課

 標記については、平成14年12月20日から平成15年1月21日までインターネットのホームページ等を通じて御意見を募集したところ、302通の御意見をいただき、ありがとうございました。
 お寄せいただいた御意見とそれらに対する両省の考え方につきまして以下のとおり御報告いたします。とりまとめの都合上、いただいた御意見は適宜要約し、パブリックコメントの対象となる事項についての考え方を示させて頂いておりますので御了承ください。

【いただいた御意見と両省の考え方】

1 教育内容、単位認定方法等に関すること

平成11年4月の「准看護婦の移行教育に関する検討会報告書」で示された、教育時間の凝縮、臨地実習の免除等を内容とする移行教育と同程度の教育内容にすること。
〈回答〉
 今回の2年課程(通信制)は、「准看護婦の移行教育に関する検討会報告書」において示された移行教育を実施するものではなく、別途、准看護師が看護師になるための途を拡大するために、保健師助産師看護師法で定められた2年課程のひとつとして、省令改正により創設するものであり、教育内容は他の2年課程のものと基本的に同等であるべきものと考えています。

10年以上の業務従事者を対象にしていることから、臨地実習は免除すること。
〈回答〉
 今回の2年課程(通信制)は、2年課程のひとつであることから、原則としてこれと同等の教育内容が必要です。2年課程において、臨地実習により、知識・技術を看護実践の場面に適用し、看護の理論と実践を結びつけて理解できる能力を養うことは不可欠であり、これを免除することはできません。ただし、2年課程(通信制)の対象者は、免許を得た後10年以上業務に従事している准看護師であり、実技能力は有していると考えられることから、臨地実習を紙上事例演習、病院見学実習及び面接授業により行えることとしています。

臨地実習については、2年課程と同様の内容で行うべきではないか。
〈回答〉
 2年課程において、臨地実習は知識・技術を看護実践の場面に適用し、看護の理論と実践を結びつけて理解できる能力を養うことを内容とするものです。2年課程(通信制)の対象者である10年以上業務に従事している准看護師は、その業務従事経験を通して看護実践としての実技能力は有していると考えられることから、紙上事例演習等を行い、看護知識・理論の定着を図ることにより、必要な能力を養うことができるものと考えています。

入学資格とされている10年の業務従事年数を短くしてもよいのではないか。
〈回答〉
 2年課程(通信制)においては、臨地実習について、紙上事例演習、病院見学実習及び面接授業により行うことができるとされています。これは、十分な業務従事経験により実技能力を有している准看護師については、紙上事例演習等により看護知識、理論の定着を図ることで、必要な能力を養うことができるとの考え方によるものであり、そのためには10年の業務従事年数が必要だと考えています。

10年といっても勤務先等によって業務経験は異なるため、一概に実技能力を評価するべきでないのではないか。
〈回答〉
 勤務先等によって従事する業務は異なることは事実ですが、10年間の実務従事経験があれば、実際の患者の方との関わりを通して、2年課程における臨地実習で習得するべき実技能力は有しているものと考えています。

基礎分野などの臨地実習以外についても思い切った弾力化を図り、レポートなどで単位を認定を行うこと。
〈回答〉
 今回の2年課程(通信制)は、2年課程のひとつであり、原則としてこれと同等の教育内容が必要です。したがって、通信教育により授業を行うことなく、レポートを提出することだけで単位認定すること等により、必要単位数を軽減することは適当でないと考えています。

1単位1レポートという要件は削除すること。
〈回答〉
 2年課程(通信制)における単位認定については、学習の到達度を評価するため、1単位ごとにレポート提出等を行うことを標準とすべきものと考えていますが、具体的な単位認定方法については、分野ごとの教科目設定のあり方等を勘案し、各学校養成所において定めることになっております。

放送大学等、他での既習単位の認定を大幅に増やすこと。
〈回答〉
 放送大学や他の大学、専修学校等で既に履修した単位及びこれから履修する単位については、当該学校養成所における教育内容に相当すると認められる場合には、総取得単位数の2分の1を超えない範囲で当該学校養成所における履修に替えることができることとしています。総取得単位数の2分の1を超えて認定することは、当該学校養成所の教育課程を修了したと認め難くなるため、適当でないと考えています。

2年以上という修業年限要件を削除し、必要な単位を取得した時点で卒業できる柔軟な制度とすること。
〈回答〉
 保健師助産師看護師法上、准看護師の資格を有する者の看護師国家試験の受験資格は、3年以上の業務に従事している者又は高等学校等を卒業している者について、学校養成所で2年以上修業したことが要件とされています。したがって、2年課程(通信制)についても、他の2年課程と同様に、2年以上という修業年限の要件を削除することはできないと考えています。

通信制では学習の大部分を一人で行わなければならないため、教育内容を吟味することが必要ではないか。
〈回答〉
 通信学習の実施については、学生の学習ペースを配慮しながら、教育内容に連続性を持たせるよう各学校養成所における教材開発の工夫が必要であると考えています。また、印刷教材、ビデオ教材を送るだけでなく、授業の双方向性を担保するために定期的に添削等による指導を行うべきものとされています。

2 2年課程(通信制)を設置する学校養成所の施設整備等に関すること

学校、養成所の必要人員等を緩和すること。
〈回答〉
 今回の2年課程(通信制)は、原則として既存の2年課程と同等の教育内容を確保することを前提に、通信制という特性にかんがみ、添削指導員を配置しつつ、学生数に対する専任教員の設置基準は既存の2年課程より緩和されたものとなっています。また、教室、実習室等の施設・設備については、面接授業の実施に必要なものを確保するなどし、また、既存の課程に併設する場合は兼用することができることとしています。

国の責任を明確化して、充実した支援措置を具体化して、一定期間で希望者全員の受講を保障し、地域によって受講できないなどの不公平を生まないようにするべきではないか。
〈回答〉
 2年課程(通信制)を設置する学校養成所に対して、円滑な開校に向けた助言指導を行うこと及び実習施設の確保に対する支援を行うこと等により、希望者が受講しやすい環境を整備するよう取り組んでいくこととしております。厚生労働省においては、2年課程(通信制)設置に対する支援策として、通信制開校に向けた準備に必要な専任教員の配置経費等に対する支援、開校予定者に対する円滑な開校に向けた助言指導等の実施に必要な経費について、平成15年度予算案に計上しております。

3 その他

学費の補助制度、奨学金制度等の整備が必要なのではないか。
〈回答〉
 2年課程(通信制)においても、現行の修学資金や奨学金などを活用できます。また、養成所の運営費の補助も、他の養成所と同様に行うこととしております。

勤務をしている学生が受講しやすいように、実習期間中の人件費の助成等を勤務施設に対して行うべきではないか。
〈回答〉
 2年課程(通信制)においては、勤務を継続しながら学習することができるよう、臨地実習のため実習施設等に通う日数を必要最小限にしています。また、実習施設及び実習時期について、学生の意向に配慮した上で各学校養成所で決定するよう指導することとしており、事前に勤務施設長と相談するなど、勤務に支障がない実習日程を組むことができると考えています

通信制の学校養成所及び教育内容等に関する詳細がわからないので、情報の周知を図ること。
〈回答〉
 今回、省令改正に合わせて、「看護師等養成所の運営に関する指導要領」、「看護師等養成所の運営に関する手引き」等の関係通知を改正し、この中で2年課程(通信制)における教育内容、単位の計算方法、養成所の施設設備、実習施設などについて具体的に定めることとしており、これらの法令通知の施行にあたっては、都道府県、関係団体等を通じ、各医療機関にも周知を図ることとしています。


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