パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令の
一部を改正する政令(案)」に対して寄せられた御意見等について

平成15年1月
厚生労働省健康局結核感染症課

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令の一部を改正することについて、平成14年11月21日から平成14年12月20日までにインターネットのホームページ等を通じて御意見を募集したところ、延べ41通の御意見をいただきました。
 お寄せ頂いた御意見とそれらに対する当省の考え方につきまして以下のとおり御報告いたします。とりまとめの都合上、いただいた御意見は適宜集約しています。

 今回、ご意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。

1 対象となるプレーリードッグについて

(ご意見)

対象となるプレーリードッグは5種類全てでしょうか。
(回答)
 プレーリードッグは全て対象となります。したがって、対象となるプレーリードッグは、オジロプレーリードッグ、オグロプレーリードッグ、ユタプレーリードッグ、ガニソンプレーリードッグ及びメキシコプレーリードッグの5種類です。

2 獣医師の届出規定の追加について(第13条関係)

(ご意見)

獣医師に届出義務を課す以上、改正後の政令等の適切な運用を確保するため、診療獣医師に対する初期診断・防疫技術の実地研修等を行うべきであり、臨床的にペストを疑う症例に遭遇した場合の確定診断受け入れ態勢整備を行って欲しい。
国内ではプレーリードッグは診療対象動物でなく、ペストに感染したプレーリードッグの臨床症状に関する知識を持ち合わせていないことから、適正に診断することは困難であり、ペストに感染したプレーリードッグへの適正接触方法に関する情報もないことから、臨床現場は混乱することが予想される。このように知識や診断技術・設備がほとんど備わっていない現状での施行には懸念を感じる。国立大学の附属病院に診療窓口を設けるべきではないだろうか。
ペストに感染した動物の診断は一般動物病院では生前・死後とも困難であることから、国レベルでの検査機関を設けて欲しい。
(回答)
 現在、国立感染症研究所において、臨床的特徴や診断の際の参考となるよう、標準的予防対策、診断方法や確定診断方法が記載されたガイドラインを作成しているところです。
 作成でき次第、各関係機関に配布し、周知に努めるとともに、プレーリードッグのペストについて引き続き普及啓発に努め、情報の充実を図ってまいりたいと考えております。

3 プレーリードッグの輸入禁止について(第54条関係)

(1) 輸入禁止措置について

(御意見)

プレーリードッグを飼育しているが、これまで病気をしたこともなく、国内での感染例も無いのに、輸入禁止措置を講じるのは安易ではないだろうか。
海外の僅かな感染例をもって輸入禁止にすることには納得できない。
(回答)
 1999年から開始された研究事業で、日本に輸入されるげっ歯類によりペストや野兎病等の感染症を侵入させるリスクに関する検討が行われた結果、輸出国におけるプレーリードッグの実態調査を実施し、疾病侵入防止対策のために輸入制限等を検討する必要性があることが2002年5月に指摘され、また、フランスが米国からのプレーリードッグの輸入禁止措置をとったことを把握いたしました。
 万が一、感染した個体が輸入されていた場合には、公衆衛生上の重大な危害が生じる恐れが高いことが改めて判明しました。なお、米国においては、1995〜97年に発生した人のペスト18症例のうち、5症例がプレーリードッグに関与しています。
 また、厚生科学審議会感染症分科会(平成14年10月18日)においてもペストの媒介動物であるプレーリードッグについて、ペストに罹患した動物の発見時の緊急措置の発動等の対策を確保すべきとの意見が出されたところであります。
 以上の点をふまえ、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第54条の規定に基づき、全ての国からプレーリードッグの輸入を禁止することにいたしました。

(2) 輸入検疫について

(御意見)

プレーリードッグはペストに関する感受性が高いため、感染個体は死亡してしまい、国内へ持ち込まれる可能性は非常に低い。検疫体制を整備し、安全なプレーリードッグについては輸入可能として欲しい。
輸出入業者の許可制導入等の措置を行い、検疫を実施して欲しい。
感染症については検査を行い、安全性が証明された個体を輸入するなど、禁止ではなく、規制にして欲しい。
輸入禁止ではなく、検疫を実施して欲しい。体制整備を行い、輸入動物に十分な検疫を実施して欲しい。
プレーリードッグだけを輸入禁止することには反対であり、本来であれば、げっ歯類全てを対象にすべきであり、ペストを媒介するノミ対策を実施し、健康証明が添付されたものは輸入可能にして欲しい。
輸入業者の中には、感染症対策を何も講じずに輸入しているところが主であったと思いますが、以前から対策を講じ、マイクロチップによる個体識別を可能にし、獣医師による健康証明書が添付されたものについては、差別化を図り、輸入禁止対象から除外、もしくは検疫対象動物にして欲しい。
これまでの検疫は十分なものなのだったのでしょうか。プレーリードッグだけを対象にしていますが、あらゆる動植物・食品に関する検疫を見直すべき。
海外で愛玩用として長年室内飼育しているプレーリードッグについては病原体を持っていないはずであるので、輸入可能にして欲しい。
プレーリードッグについては、他のペスト発生国から輸入されるげっ歯類に比べ、安全性が高いのではないでしょうか。また、輸入禁止ではなく、検疫強化により十分対応可能であると思われることから、検疫体制を強化して欲しい。全面輸入禁止にした場合、密輸されるものが増える可能性もあり、その場合、危険性が今までより高くなるのでは無いでしょうか。
今までのように検疫・検査もなくフリーの状態で輸入される状況は良くないけれども、輸入禁止することには反対です。十分な検疫を行い、安全なプレーリードッグだけ輸入できる体制を整備して欲しい。輸入業者を限定し、動物の輸入に責任を持つべきです。安易に野生動物が入手できる環境に憂慮しています。
危険を回避するため輸入規制が最優先されることには理解しますが、輸入禁止ではなく、検疫を実施するなどの条件を付け、輸入可能な規制にして欲しい。

(回答)

 現在、プレーリードッグによる我が国へのペスト侵入のリスクを最小限にするための要件、安全性を確保のための要件について検討しております。今後、安全性を担保できうる要件をまとめた後、改めて規制のあり方を検討してまいりたいと考えております。
 また、安全性を担保しうる要件として、個体毎の安全証明ができることが重要であることから、有効な個体識別方法についても検討しております。

4 その他

(1)他の動物への規制導入等について

(ご意見)

輸入禁止に賛成します。それ以外の海外からの移入動物に対しても同様の規制を検討して欲しい。
海外からの感染症対策のため、未然に防ぐ施策が必要です。愛玩用として輸入される動物から多数の人間が犠牲になる可能性にさらされるのは納得がいきません。
ペストという恐ろしい病気が蔓延する可能性が指摘されているのであれば、パブリックコメントを求めるまでもなく、直ちに輸入禁止すべきです。
輸入動物はどのような感染症を持っているか不明であることから、全ての輸入動物を禁止対象にして欲しい。
他のげっ歯類も一律に規制対象とすべきです。アジアのマーモットやジリスなども輸入禁止すべき。
動物の輸入は実質的に野放しの状態であり、輸入動物の売買、飼育に関する規制もほとんどなされていません。国民の利益のため、汎用性の高い、かつ実効性のある規制を設けるべきです。省庁を横断した組織・制度の充実を望みます。
原則として、野生動物の全面輸入禁止を行い、適切な条件を満たしたもののみ輸入許可する制度にすべき。
ペット目的での野生動物の輸入はすべきではない。生体もよく知られていない動物の感染症を把握することは困難であり、事前にリスク評価を実施することはほとんど不可能である。
(回答)
 厚生科学審議会感染症分科会の意見を受けて、その他の野生げっ歯類の輸入についても、危険性の評価の進捗を踏まえ、必要な対策の検討を開始しております。
 検討結果がまとまり次第、危険度に応じた必要な対策を導入することとしております。また、げっ歯類以外の輸入動物のうち、感染症に関する危険性が指摘されているものについては、早急に検討し、その危険度に応じた対策を講じてまいりたいと考えております。

(2)その他の措置について

(ご意見)

四類感染症として、真菌感染症であるヒストプラズマ症を加えて欲しい。
人と動物の共通感染症が国民生活の安全確保を図る上において重要な課題となっており、飼育動物の保健衛生確保を任務とする獣医師による疾病の摘発をはじめ、国民に対する正しい知識の普及啓発等を行うことが必要であるため、獣医師の役割を明確に位置づけるとともに、厚生労働省として獣医師に対する技術研修の実施等の支援策を講じ、特にペット動物の共通感染症の診断体制については、農林水産省と連携を図っていただきたい。
1類感染症であるペストを診療した病院は消毒等が実施され、風評被害が生じることも想定されることから、風評被害回避や救済制度を設けて欲しい。
国内繁殖規制についても同様に検討して欲しい。輸入される動物は人間の所有欲のための犠牲者であり、業者は売れるものは手当たり次第買い、売っています。これらの輸入動物が野生化し、移入種としての問題が起きています。在来種でない動物を日本に持ち込んだ人間側の責任を問うべきです。
安易な野生動物の輸入は、飼育放棄や、移入種問題につながり、健康や生物生態環境の悪化に結びつきます。
動物業者に対し、動物個体の登録や衛生管理を義務化し、それを怠った場合には、罰則規定を設けるべき。無秩序で専門的な知識を持たない輸入業者を法的に規制して頂きたい。
本来、日本にいない動物を輸入することは、単なるエゴであり、真にそれらの動物を愛するのであれば、その生息域を保全するなどの活動をすべきです。生き物は本来の生息地で仲間と暮らすことが最適です。

(回答)

 今回の政令改正の内容とは関係の無いものでございますが、ご意見を参考にして、適切な動物由来感染症対策について検討してまいりたいと考えております。

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