パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令、施行規則の
一部改正に関する御意見の募集結果について

平成14年10月7日
厚生労働省健康局生活衛生課

 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)施行令及び施行規則の一部改正については、以下のとおり御意見を募集いたしました。

(1)期間:平成14年7月8日から平成14年8月7日まで
(2)告知方法:厚生労働省ホームページ
(3)意見募集方法:電子メール、郵便、FAXのいずれか
(4)受付意見件数:33件(意見提出者数)
 このたび寄せられた御意見につきましては、とりまとめの都合上、適宜集約させていただきました。今回御意見をお寄せいただきました方々の御協力に厚く御礼申し上げます。



*建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令及び施行規則の一部改正に関するパブリックコメントへの回答

特定建築物の要件に関すること
  御意見の概要 考え方
10%除外規定を見直すとしているが、特定用途以外の用途部分をどの程度まで考慮するのか。 10%除外規定の見直しの目的は、近年、建築物の大型化・複合用途化が進み、特定用途部分の延べ床面積が非常に大きいにもかかわらず、特定建築物に該当しない建築物が増加しており、当該建築物の衛生管理が必ずしも良好とは言えない状況にあることから、除外規定の削除により、特定用途部分の延べ床面積が一定基準を超えるものをすべて対象とするものである。なお、今回の改正により、特定用途以外の用途部分の面積如何に関わらず、特定用途部分の面積が3,000m2を超える建築物を対象とする予定である。
規制対象を特定用途の面積が3,000m2を超える建築物とすれば良いと考える。
10%除外規定を見直すことにより、延べ面積3,100m2で事務所1,500m2、駐車場1,600m2の場合は特定建築物に該当するが、延べ面積2,900m2の事務所は対象外となり、不自然さを感じる。現行の判断基準で良いと考える。
学校についても3,000m2以上を対象とすべきである。また、特定建築物に社会福祉施設や病院、共同住宅等を加えてほしい。 社会福祉施設、病院等の管理に関しては、保健衛生面を含め、施設の特性や利用者の状況に応じた対応が必要であることから、一般のビルなどを対象とする建築物衛生法の対象となっておらず、それぞれの施設に関する基準に従い管理されているところであり、今回の改正での対応は予定していない。
中央管理方式の限定の削除に関すること
店舗等の個別空調部分や管理室・清掃員控室等の個別空調部分に対しての環境測定実施エリアの対象区分が不明瞭になるため、「中央管理室で監視調整可能な空調設備について」と条件を追加願いたい。 中央管理方式の限定を削除する目的は、近年の技術改良により、比較的大規模な建築物に、これまで家庭用ルームクーラーとして専ら利用されてきた中央管理方式以外の空気調和設備が導入され、これら設備を設けている建築物の室内空気汚染等の問題が指摘されているため、当該限定を削除するものである。
なお、限定の削除により、中央管理室を設けているものに限らず、空気調和設備又は機械換気設備を設けている特定建築物については、建築物環境衛生管理基準の適用を予定している。
中央管理方式の限定を削除することにより、分散空調方式を含む特定建築物の物件全部を規制することになるが、コスト負担が過大になると思われるので規制は適切ではないと考える。
中央管理方式の限定の削除により、ビルマルチ個別空調+全熱交換機による個別換気方式の場合、空気調和設備と機械換気設備のどちらに該当するのか。 建築物衛生法に規定する空気調和設備とは、空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給することができる設備であり、同じく機械換気設備とは、空気を浄化し、その流量を調節して供給することができる設備である。
ホルムアルデヒドの測定に関すること
測定装置を安易に貸し出し、測定できる体制を整えて欲しい。 今回の意見募集で提示した測定機器以外にも、一定の要件を満たす測定機器の使用を検討しているところである。
ホルムアルデヒドの測定器については、精度の良い検知管も増えていることから、検知管を認めていただきたい。
10 2,4-ジニトロフェニルヒドラジンフィルタ−定電位電解法による測定器を認めていただきたい。
11 パッシブサンプラーを使用する場合は、明記すべきである。
12 測定の頻度及び測定時に基準を上回った場合のその後の測定について、どのように考えているのか。また、使用開始の制限等の対応はするのか。 測定時期、測定条件、測定方法等については、ご意見等を踏まえ、省令等で具体的に規定したいと考えている。
13 ホルムアルデヒドの濃度は室温等の影響を受けるため、測定に際しては一定条件下での測定、或いは補正等の検討をお願いしたい。
14 測定の基準値については、防錆剤のように特例の基準を設けた方がいいのではないか。
15 基準値の0.08ppmの条件として、25℃の場合と付記すべきと思われる。
16 ホルムアルデヒドの測定位置について、具体的に記載すべき。
17 新築物件等に限らず、一律にホルムアルデヒド等の測定を実施するよう規定していただきたい。
18 「ホルムアルデヒドの含有率」を基準に追加することとあるが、含有率ではなく、空気濃度又は気中濃度と表現する方が望ましいと考える。 政令では「ホルムアルデヒドの量」と規定したいと考えている。
浮遊粉じんの量及び一酸化炭素の含有率の測定回数に関すること
19 現行の分煙は、空気清浄機等を用いた不完全な分煙がほとんどであり、そのレベルにもばらつきが見られるので、分煙による緩和措置は実施すべきではない。また、「分煙は空気清浄機を使わず排気装置を用いること」と明記されたい。 ご意見等を踏まえ、禁煙及び分煙の実施による測定回数の緩和については、実施を見送ることとし、他の測定項目も含め、今後の検討とさせていただきたい。
20 一酸化炭素については、喫煙由来のものより、燃焼器具や自動車排ガス等の影響が大きく、中毒の恐れもあるため、禁煙や分煙の実施による緩和措置は実施すべきではない。また、気流については不適になることがほとんど無いので「4月以内ごとに1回」で良いと考える。
21 一酸化炭素の測定回数については、二酸化炭素の測定結果と建築物の特性を考慮しながら、もっと回数を減らしてもいいと考える。
22 測定回数の緩和については賛成であるが、分煙のレベル、各特定建築物における判断等、実際の運用は困難であると考える。
微生物汚染対策に関すること
23 レジオネラ属菌の検出率の高い冷却塔水については、規則で水質検査を明記すべき。また、循環式給湯、修景水、加温水、浴槽水については、必要に応じて水質検査を実施すべき。 一般環境中や空気調和設備システム内における微生物等の存在状況と疾病との定量的な関係が必ずしも明確ではないため、現時点における細菌数や真菌数の測定の義務づけは予定していないが、調査研究を引き続き実施しつつ、検討してまいりたい。
24 施行令、施行規則においてレジオネラ属菌に対する水質検査の実施を義務づけ、通知等で「新版レジオネラ症防止指針」で示されている感染因子の点数化を参考に、冷却塔、加湿装置等、それぞれの設備に応じた検査回数基準を示していただきたい。
25 雑用水は、適正な管理を実施しないとレジオネラや大腸菌などが検出されることがあり、健康影響が懸念されることから、水質検査や点検、清掃等の措置を規則に明記してほしい。 雑用水については、残留塩素や大腸菌郡数などについて定期検査を実施する等、人の健康に係る被害が生ずることを防止するための措置等を政省令に規定する予定である。
26 冷却塔、加湿装置だけではなく、噴水、池、給湯水等に対してもレジオネラ対策をお願いしたい。対策はわかりやすい管理基準を示していただきたい。 今回の改正により、これまでの飲料水に加え、給湯水、雑用水等についても、衛生上必要な措置を講じる予定である。
ねずみ・昆虫等の防除に関すること
27 生息状況の調査は日常的に行うものであり、調査方法はトラップや目視の他に管理者の負担が少ない「聞き取り」でも可能なため「1月以内に1回」で良いのではないか。 生息調査については、その調査方法等により、負担の大小が異なるため、いただいたご意見等を踏まえ、省令等でその方法を明示したいと考えている。また、ご指摘の薬剤散布偏重の防止についても、併せて、周知徹底に努めてまいりたい。
28 2月以内に1回の建築物の全域調査は大きな負担であり、防除対象区域が厨房等の重点区域に限定されてしまう恐れもある。チカイエカやチョウバエ、ネズミ等は2月以内に1回の調査では少ないと考えるので、「建築物全域に対し6月以内ごとに1回、飲食取扱い区域、雑排・湧水槽など常時発生の恐れのある区域については1月以内ごとに1回。定期に、統一的に調査を行い、必要に応じて対策を講じること」としていただきたい。
29 「必要に応じて防除する」との記述では、しっかりとした防除基準が設定されておらず、従来の薬剤散布偏重と変わらない恐れがある。よって「2月以内ごとに1回、生息状況の調査を行い、IPMの防除体系に基づき、必要に応じて行うこと」と改めていただきたい。
30 生息状況の調査の基準を示すとともに、施設等の利用者の感覚に符合しない生息状況調査を漠然と継続しないよう促す規定を加えるべき。
31 新制度の悪用により、2月ごとの生息状況の調査結果ごとに過剰な薬剤散布が行われるのではないか。
32 現在、認可され、ビルにおいて使用できる殺鼠剤は非常に少なく、クマネズミに効果のある薬剤はありません。対策をお願いしたい。 今回の改正での対応は予定していないが今後の検討とさせていただきたい。
33 生息状況の調査については、どのような昆虫をどのような方法で行うのか。 通知等で明示していくことを考えている。
空調ダクトの清掃に関すること
34 今回の改正で空調ダクトの清掃頻度の設定はなされるのか。 今回の改正での対応は予定していないが、ダクト清掃については、客観的な評価法の確立等も含め、検討してまいりたい。
その他に関すること
35 国又は地方公共団体の用に供する特定建築物に対する特例は必要ないのではないか。 国又は地方公共団体の用いている建築物については、その環境衛生上の維持管理をそれぞれの自主性に任せても十分良好に維持されることが期待できることや、維持管理状況が悪化した場合でも改善命令等を出さずに行政機関相互間の調整によって十分改善されることが考えられることから、立ち入り及び改善命令の措置に限り、特例を設けており、今回の改正による変更は考えていない。
36 浮遊粉じん等の測定は、勤務時間中(11時、15時等)とし、基準値を0.08mg/m3としていただきたい。 今回の改正での対応は予定していないが、今後も室内の浮遊粉じんの形状、粒径、化学組成等の性状や挙動の把握を行い、また、有害性等についての科学的知見を踏まえ、基準値や測定方法について検討してまいりたい。
37 浮遊粉じんの量の測定について、相対濃度計の換算係数、測定時間等を見直すべきである。
38 空気環境の測定項目に放射、着衣量、活動量の指標を取り入れ、温熱的な快適性をPMV指標として評価していただきたい。また、生物指標の一つとしてダニアレルゲンの活用をお願いしたい。 今回の改正での対応は予定していないが今後の検討とさせていただきたい。
39 「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」の運用については、今回の改正を期に全国レベルの統一された指導要綱に基づく指導をお願いしたい。 今回の政省令改正に伴う変更点等、当該法律の着実な施行に向け、都道府県等の担当部局に対する通知の発出や説明会の開催等により、周知徹底・情報提供に努めてまいりたい。
40 給排水等の管理について、「健康を害することを防ぐための措置等」との記述はより具体的な記述を明示されたい。 政省令、通知等で対応したいと考えている。
41 保健所等の立入検査等の結果、労働安全衛生法などの違反が発見されたときは、当該事実を労働保護官署に通報するように制度を組んでははどうか。 建築物衛生法第十一条に規定する報告、検査等については、本法律の施行に関し必要があると認めるときに限り、同法第三条に規定する保健所の業務の範囲で実施していただくことが適当であると考えている。


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