パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

「食品衛生法施行規則(昭和23年7月厚生省令第23号)」及び「食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号)」の一部改正(新規食品添加物・フェロシアン化物の指定)に対して寄せられたご意見等について

平成14年 8月
厚生労働省医薬局
食品保健部基準課

 食品添加物の指定及び使用基準改正につきまして、平成14年7月19日 から7月24日まで、ホームページ等を通じてご意見を募集しましたところ、一般個人の皆様等よりのべ25件、また、以下の13団体よりご意見、ご要望をいただきました注)
 お寄せいただいたご意見等つきましては、とりまとめの便宜上、案件ごとに適宜集約させていただいておりますが、それらに対する事務局の考え方について、次のとおりとりまとめました。
 なお、これらご意見等のうち、7月24日までにいただいたものとそれらに対する事務局の考え方につきましては、平成14年7月26日開催の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の場で事務局より説明し、フェロシアン化物の審議にあたってはその内容も含めてご検討いただいておりますことを申し添えます。
 今回、ご意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。

(注)募集期間中か否かに係わらず、8月18日までに、以下の団体から意見・要望等を受領
○日本消費者連盟
○社団法人日本塩工業会
○全国消費者団体連絡会
○山梨消費者団体連絡協議会
○日本生活協同組合連合会
○生活協同組合コープながの
○主婦連合会
○社団法人北海道消費者協会
○社団法人日本消費者生活アドバイザー・コンサルタント協会
○愛知県消費者団体連合会
○釧路消費者協会
○東京都地域消費者団体連絡会
○全大阪消費者団体連絡会


フェロシアン化物の食品添加物としての指定に関する主なご意見について

(日本消費者連盟)

1. この間、指定外の食品添加物使用が相次ぎ、大規模な回収が行われたが、食塩の指定外フェロシアン化物に限って、なぜ、回収の混乱を招くことが予測されることを理由に、このように早急に指定しようとするのか。
2. 食品安全行政は、業界優先であったことを反省し、消費者保護優先でなければならないという方向性が打ち出されたところである。今回の早急な安全性確認無視の官僚的手続き指定は、消費者として許すことのできない食品安全行政と受けとめる。今回の指定の決定は、誰の責任で行われたのか。

(ご意見に対する考え方)
1. フェロシアン化物については、
(1) JECFAの評価結果やEU報告書などから、「食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針」に示す必要な資料が確認され、審議会での安全性審議が十分可能と判断されたこと、
(2) また、国際的に安全性が確認されており、欧米等での使用実態からみて添加物としての必要性が高いと考えられること
(3) フェロシアン化物は、加工食品の原材料として広く使用される「塩」に使われる添加物であり、仮に、食品衛生法違反として、フェロシアン化物を含む食品に対して回収等の措置を講じた場合には、極めて多くの輸入加工食品の回収等が想定されたことから、
安全性の確保を前提とした上で、国民生活の混乱を最小限にとどめることが必要と考え、速やかに指定の手続きを進めることが適当と判断し、厚生労働大臣の責任の下、方針決定したものです。

2. なお、厚生労働省としては、これまでメーカー等からの要請を前提として指定を行ってきたところであるが、今後、「国際的に安全性が確認されており、かつ、汎用されている食品添加物の中で、各国での使用実態から指定の必要性の高いと思われるもの」については、指定要請を待つことなく、指定に向けての検討を進めることとしたところです。

3. 米国塩協会(Salt Institute)の機関誌に、SIが米国農務省を通じ日本の厚生労働省に働きかけて食用塩へのフェロシアン添加の承認を求めて了解を得たと取られる報告があるといいます。
 これは事実か、もし事実でなければ、SIへ厚生労働省として抗議されるべきだと考えるが見解をききたい。

(ご意見に対する考え方)
 今回の措置に至る過程において、在京各国大使館(米国、カナダ、欧州委員会、豪州、タイ)から、フェロシアン化物問題に関し、早急な解決を図るよう申し入れを受け、さらに、輸入加工食品へ予想される影響の大きさについて説明を受けたことは事実です。今回の措置の背景・考え方は前問でお答えしたとおりです。

4. 添加物指定に際し、従来通り急性毒性、慢性毒性、発ガン性、催奇形性の試験データによる安全性の確認を、消費者は求める。早急な指定手続きの中で、それは確認されたのか。

(ご意見に対する考え方)
1. 食塩の固結防止剤であるフェロシアン化物の指定の審議に際しては、
国際的な専門家会議であるJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)の評価結果に加え、EUの評価報告書、FDAの評価資料及びそれらの原著文献等を基に、
「食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針」において必要とされている資料、すなわち急性毒性、反復投与毒性、発がん性、変異原性、催奇形性等に関する試験結果について検討を行ったものです。

2. 7月18日及び7月26日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会及び同食品衛生分科会においては、これらの安全性データ等に基づき審議した結果、安全性に問題がないとの結論が得られています。

5. 「フェロシアン化物は早急(7月中)に薬事・食品衛生審議会の審議を経て、食品添加物として指定する」とあるが、審議会を開催する前に「指定する」と決めているのは、審議会は形式的な手続きということか。

(ご意見に対する考え方)
1. フェロシアン化物については、
(1) JECFAの評価結果やEU報告書などから、「食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針」に示す必要な資料が確認され、審議会での安全性審議が十分可能と判断されたこと、
(2) また、国際的に安全性が確認されており、欧米等での使用実態からみて添加物としての必要性が高いと考えられること
(3) フェロシアン化物は、加工食品の原材料として広く使用される「塩」に使われる添加物であり、仮に、食品衛生法違反として、フェロシアン化物を含む食品に対して回収等の措置を講じた場合には、極めて多くの輸入加工食品の回収等が想定されたことから、安全性の確保を前提とした上で、国民生活の混乱を最小限にとどめることが必要と考え、
厚生労働省としては、指定の要件は満たしていると判断し、速やかに指定の手続きを進めることが適当と判断し、薬事・食品衛生審議会へ諮問することとしたものです。

2. 7月18日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会において、急性毒性、反復投与毒性、発がん性、変異原性、催奇形性等に関する試験結果等をもとに、専門家の立場から安全性等につき御審議いただき、さらに7月26日開催の同食品衛生分科会においてご審議いただいた結果、食品添加物として指定して差し支えないとの結論が得られたところです。

6. 1972年、国会における「食品衛生法」改正の付帯決議には「食品添加物の使用 は極力制限する」「最高の科学的水準により常時点検を強化する」とある。国会におけるこの決議をどのように把握されているか。

(ご意見に対する考え方)
1. 昭和47年の食品衛生法改正案に対する衆・参両院での附帯決議においては、「食品添加物の安全性について、その時点における最高の科学的水準により常時点検を強化するとともに、食品添加物の使用は極力制限する方向で措置する」ことが求められています。

2. 今回の取扱い方針は、
安全性に関しては、今日の科学的水準により、問題がないことが確認されたものに限って検討していくものであって、取扱いに変わりはないが、
食品添加物としての必要性については、今日の国際的な食品流通の実態を考え、要請がなければ検討を行ってこなかったこれまでの取扱いを見直し、国際的に安全性が確認されており、かつ、使用実態からみて必要性が高いと考えられるものについては、要請を待たずに指定の検討を進めようとするものであり、
安全性と必要性に関しては十分な検討を行っていくことから、むやみに食品添加物の指定を増やしていくことを考えているものではありません。


(社団法人日本塩工業会)

1. フェロシアン化物については、慢性毒性、発がん性、遺伝上の影響に関するデータがない。

 (日本消費者連盟の問4と同様意見につき、省略。)

2. 世界的に食用塩に対するフェロシアン化物添加の反対運動がある。
3. 国内でフェロシアン化物を添加する必要性がない。
4. 加工品へのフェロシアン化物無添加の塩は使用できる。

(ご意見に対する考え方)
 世界的に食用塩に対するフェロシアン化物の反対運動があるとのご指摘及び海外において加工品へのフェロシアン化物無添加の塩の使用には支障がないとのご指摘については、在京各国大使館等を通じて得た当方の認識では、フェロシアン化物の使用は海外において広く定着しているものと理解しております。
 さらに、国内でのフェロシアン化物の必要性がないとのご指摘については、我が国において輸入食品が6割を占めるという昨今の食糧事情の中で、国際的な観点も無視できないものと考えております。
 特に、フェロシアン化物については、加工食品中に広く含まれている可能性が想定され、製品回収等による国民生活への影響を最小限にするとの配慮の下、安全性等のデータを早急に収集し厚生労働省としては指定可能と考えましたので、早急に指定の方向で薬事・食品衛生審議会での審議をお願いしたものです。


(全国消費者団体連合会)(山梨消費者団体連絡協議会)(愛知県消費者団体連絡会)

1. 食品添加物を新たに指定する際は、海外で安全性が認められた結果をそのまま認めるのではなく、詳細なデータに基づき慎重に検討すること、
 また、国内基準にそって評価した上で、指定すること。

(ご意見に対する考え方)
 新たに食品添加物を指定する場合には、従来より、海外における評価等も参考にしていますが、その評価をそのまま受け入れるのではなく、科学的なデータに基づき、我が国における食文化等も勘案した上で、我が国のガイドラインに照らし、薬事・食品衛生審議会において、安全性と必要性につき評価を行ってきているところであり、今後も同様の方針で対処することとしております。

2. 新たに指定しようとする食品添加物について、安全性の情報、審議会の審議状況など、国民にオープンにすること、また、「食品添加物の使用は極力制限する」という国会決議について厳守すること。

(ご意見に対する考え方)
 新たな食品添加物の審議状況等については、従来より、厚生労働省ホームページに、審議会での議事録等の情報を掲載してきているところです。また、毒性・添加物合同部会での審議資料及び食品衛生分科会での審議資料については、行政相談室に登録しております。今後とも、より透明かつ分かりやすい情報提供に努めて参りたいと考えております。
 (国会決議については、日本消費者連盟の問6と同様意見につき、省略。)


(日本生活協同組合連合会)(生活協同組合コープながの)

1. フェロシアン化物の安全性審査は、安全性データを公開するとともに、慎重な検討を行うこと。

(ご意見に対する考え方)

 審議会は公開で審議しており、今回のフェロシアン化物の安全性データ、すなわち審議会での審議資料についてもこれまで同様原則公開とします。
 ただし、今回入手した根拠資料のうち、非公表資料については、情報開示につき試験実施者の賛同を求め、可能な限り情報開示できるよう努めて参りたいと考えております。

2. フェロシアン化物添加の塩を使用した食品の国内流通の実態を明らかにすること。

(ご意見に対する考え方)
 フェロシアン化物を添加した塩を使用した食品について、我が国における流通量の具体的数値を把握することは困難ですが、
(1) 我が国では輸入食品が約6割を占める食糧事情において、輸入加工食品のうち、約2割に原材料として塩及びみそが使用されていること、
(2) また、塩自体の輸入量は国内産の半量以下であるが、輸入国をみると中国及びオーストラリアからの輸入塩が輸入総量の約8割を占めており、これらの国では広くフェロシアン化物が使用されている状況にあること、
(3) さらに在京各国大使館(米国、カナダ、欧州委員会、豪州、タイ)から、これら各国ではフェロシアン化物が食塩に広く使用されている現状であるとの説明を受け、今般のフェロシアン化物問題に関し、早急な解決を図るよう申し入れを受けたこと等
を考慮すると、国内においても輸入加工食品又は輸入塩を通じてフェロシアン化物を含有した食品が相当量流通していると予想され、国際的に安全性が認められ、かつ汎用されていながら、我が国の法制上違反となることにより、製品回収等で市場の混乱を招き、国民生活へ多大な影響を及ぼすことが想定されたものです。

3.その他の指定外添加物についても、海外の規制や使用実態、及びこれらを使用した食品の日本での輸入・流通実態等の情報公開を行うこと。

(ご意見に対する考え方)
 今後、収集することとしており、得られた情報については、具体的な検討対象品目の選定過程の中で、海外の規制や使用実態等の情報をできる限り提供するよう努めて参りたいと考えております。

4. 食品添加物の指定は極力抑制すること。情報公開、消費者との対話を進め、指定に当たっては合意形成を図りながら進めていくこと。日本独自の評価基準に基づき、場合によっては国際基準を変更させるなどの対応を図ること。

(ご意見に対する考え方)
 (「食品添加物の指定は極力抑制する」という国会決議については、日本消費者連盟の問6と同様意見につき、省略。)
 情報公開や消費者の意見の反映、また国際基準への日本の主張などについては、今まで以上に積極的に取り組んで参りたいと考えております。

5.食品安全行政の抜本改革を求める。

(ご意見に対する考え方)
1. 厚生労働省としては、BSE問題をはじめ、未指定添加物の問題、さらには、輸入冷凍ほうれんそうの残留農薬問題等を背景として、国民の間で食の安全性に対する不安が高まっていることは極めて残念なことと考えております。
2.食品衛生法の抜本的な見直しについては、
(1)本年4月2日に取りまとめられた「BSE問題に関する調査検討委員会報告」において「食品衛生法、と畜場法、飼料安全法、家畜伝染病予防法その他の食品関連法を抜本的に見直す」べきとされ、
(2)また、本年6月4日には与党「食の安全確保に関するプロジェクトチーム」提言において、「食品衛生法をはじめとする食品の安全性の確保に関する法律を抜本的に改正」すべきとされる等、
様々な御指摘を受けているところであります。
3. これらの内容も十分踏まえ、厚生労働省としても、新たな食の安全をめぐる課題に対応できるよう、食品衛生法の全面改正に向けて検討しているところであり、次期通常国会を目途として食品衛生法の改正法案を提出できるよう、今後、更に検討を進めて参りたいと考えております。


(主婦連合会)

1. フェロシアン化物を指定しなければ市場の混乱を招くことが予想されるとのことだが、その実態を示すこと。

 (日本生活協同組合連合会及び生活協同組合コープながのの問2と同様意見につき、省略)

2. 今回指定する予定の約30品目の食品添加物については、国連の専門家会議が安全性を確認していること及び欧米で使用されていることが選定の基準となっているが、これらについても従来通りの安全性確認を行うこと。

(ご意見に対する考え方)
1. 厚生労働省としては、国際的に安全性が確認され、かつ、汎用されている我が国では指定外の添加物については、現代の食の国際化等を勘案すると、将来的に我が国においても食品添加物としての必要性が高まる可能性が予想されるため、今後積極的に安全性を評価し、指定を検討していく方針を打ち出したところです。
2. ご指摘の「暫定的調査により想定される添加物候補」としてお示しした26品目は、JECFAにおいて安全性で一定の評価を受けており、日本で指定を受けていないもののうち、米国及びEU委員会で使用が認められているもの(1999年9月現在)に該当する品目について、当方が現在把握する範囲でお示しした暫定リストであり、これら品目について、今回即指定を行うものではなく、今後、指定することが必要かどうか検討されるものです。
 今後、これら品目も含め未指定添加物の国際的流通状況、我が国における必要性等を勘案の上で、厚生労働省として指定を検討する必要がある品目について検討していくことになります。
3. なお、新たに食品添加物を指定する場合には、従来より、海外における評価等も参考にしていますが、その評価をそのまま受け入れるのではなく、科学的なデータに基づき、我が国における食文化等も勘案した上で、我が国としての評価を行ってきているところであり、その基本的方針は同様であります。

3. 欧米で使用されている添加物に対する対応が必要というのであれば、欧米で認められておらず、日本で認められ使用されている添加物についても安全性の再確認が必要。

(ご意見に対する考え方)
 ご指摘の点については、毒性・添加物合同部会においても、我が国でのみ独自に使用されている添加物についても、その必要性を再確認し、必要性が認められないものについては、指定あるいは既存添加物から削除すること、一方、必要性が認められ、安全性も問題ないものについては、国際的にも認められるよう我が国として努力して働きかけていくことも今後検討していく必要があるとのご意見が出されており、検討していきたいと考えております。


(社団法人北海道消費者協会)(釧路消費者協会)

1. 本来、食品添加物の指定は、法に定めるとおり、企業からの申請により、国がその安全性を確認のうえ指定するという手続きを経て決定されるべきである。

(ご意見に対する考え方)
 食品衛生法上は厚生労働大臣が自らの意志で食品添加物を指定することを排除するものではありませんが、現在、関係企業等からの要請を前提とした指定という運用を行っているのは、
(1) 食品添加物の指定に当たっては、安全であることは当然のことながら、「我が国の食文化の特性等を踏まえた上で、消費者にとって必要な添加物について認める」こととしていることから、関係企業等がその必要性を立証することが適切であること、
(2) 必要性、安全性、品質等に関する情報を最も多く所有するのは、関係企業等であると思われること
といった理由によるものです。
 しかしながら、厚生労働省としては、国際的に安全性が確認され、かつ、汎用されている我が国では指定外の添加物については、現代の食の国際化等を勘案すると、将来的に我が国においても食品添加物としての必要性が高まる可能性が予想されるため、今後積極的に安全性を評価し、指定を検討していく方針を打ち出したところです。
 いずれにしても、新たに食品添加物を指定する場合には、科学的なデータに基づき、我が国における食文化等も勘案した上で、我が国としての評価を行ってきているところであり、その基本的方針は今後も同様であります。

2. この度の指定の一番の理由に、「輸入食品の指定外添加物使用」の問題が上げられているが、これらは当然、厚生労働省が法に基づき取り締まるべき問題であり、逆に本来業務を怠り、安易な方策を選ぶ行為は、消費者不在の行政と云わざるを得ない。

(ご意見に対する考え方)
 フェロシアン化物の指定に至る経緯については、日本消費者連盟の問1、日本生活協同組合連合会及び生活協同組合コープながのの問2等でご説明したとおりであり、国民生活への影響を最小限にすることを優先した措置であることをご理解願います。

3. 本件に対するパブリックコメントの募集期間は、異例の短さであり、その提出方法も限定されており、消費者の意見を排除するものである。
 また、事前に消費者に対して安全性についての説明がなされていない。

(ご意見に対する考え方)
 今回の措置は、安全性の確保を前提としつつ、一時的にせよ、回収措置などをとることによる国民生活への影響を最小限にすることを優先し、速やかに指定の手続きを進めることが適当と判断したものです。このため、パブリックコメントの募集期間も短くせざるを得なかったことをご理解願います。

 しかしながら、限られたご意見ではありますが、いただいたご意見については薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の場で紹介し、それらご意見を踏まえて、ご議論いただいておりますことを申し添えます。

4. 本件は、平成15年度に設置予定の「食品安全委員会(仮称)」において、総合的に判断すべきである。

(ご意見に対する考え方)
 今回の措置は、安全性の確保を前提としつつ、一時的にせよ、回収措置などをとることによる国民生活への影響を最小限にすることを優先し、速やかに指定の手続きを進めることが適当と判断し、7月18日の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会及び7月26日の同食品衛生分科会において、専門家の立場から安全性等につき御審議いただき、食品添加物として指定して差し支えないとの結論をいただいたものです。


(社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会)

1. どのように安全性を確認したのか、詳細なデータの公開と、国内基準に則った評価を安全性、有用性、表示の観点から構築した上での指定とすること。

(データの公開については、日本生協連組合活動部の問1と同様意見につき、省略)
(国内基準に則った評価については、全国消費者団体連合会、山梨消費者団体連絡協議会及び愛知県消費者団体連絡会の問1と同様意見につき、省略)

2. 食品衛生法で使用が認められていない30品目の食品添加物についても、厚生労働省が職権で指定を予定しているとのことだが、外圧のみで判断することのないよう、安易な指定は避けること。「食品添加物の使用は極力制限する」という国会決議に従い、慎重に対応すること。

(30品目の食品添加物については、主婦連合会の問2と同様意見につき、省略。)
(「食品添加物の指定は極力抑制する」という国会決議については、日本消 費者連盟の問6と同様意見につき、省略。)

3. この度の措置について、「国際的な安全性が認められ既に流通していながら、我が国の法制上形式違反となり、製品回収などで市場の混乱を招くことが予想されるため」と説明しているが、違反を放置した責任は極めて重大といわざるを得ず、国民に納得にいく説明を求める。

(ご意見に対する考え方)
 フェロシアン化物が既に輸入加工品に添加され、流通していた可能性があったことについては、ご指摘のとおり、フェロシアン化物に関する違反事例の頻度からみて、厚生労働省として社会的な影響の大きさについて把握する必要があるとは認識していなかったことがこのような事態に至った原因の一端であり、反省すべき点は多いと考えております。
 今後、食品の安全をめぐる諸問題に対応できるよう、食品衛生法の改正も含めて検討して参りたいと考えております。

4. パブリックコメントは、「広く国民等から意見募集」とは名ばかりの短期間であり、消費者が、真剣に当該物質の安全性を論議し、調査し、意見を表明するにはあまりにも短期間である。

 (社団法人北海道消費者協会、釧路消費者協会の問3と同様意見につき、省略。)


(東京都地域消費者団体連絡会)

1. フェロシアン化物を海外の安全性データをもとに特例で認可するとのことだが、食品添加物は、今までどおり審議会の安全性評価を経た上で指定するべき。

(ご意見に対する考え方)
 フェロシアン化物の指定にあたっての取扱いについては、日本消費者連盟の問5でご説明したとおりであり、さらに、今後の添加物の指定にあたっての取扱いについては、全国消費者団体連合会及び山梨消費者団体連合協議会の問1での説明も参考としてください。

2. 安全性評価は海外のデータをもとにしたものではなく、我が国のデータをもとにすべき。

(ご意見に対する考え方)
 食品添加物の指定にあたっては、通常、マウスやラット等の実験動物を用いて安全性試験が実施されており、これらの試験については、適正な条件で行われた試験であれば、どこの国で実施されたものであったとしても、同様の結果が得られるものと考えられます。したがって、海外で実施された科学的評価が可能な実験データや文献等が示されるのであれば、我が国で改めて動物等を用いた安全性試験を実施する必要はないと考えております。

3. 消費者にとって、塩の「固結防止剤」の必要性、有用性を明確にすべき。

 (社団法人日本塩工業会の問3と同様意見につき、省略。)

4. 海外で認可されている添加物で、今回のように特例で認可の方針がとられる可能性のある添加物名を明らかにすること。

(ご意見に対する考え方)
 国際的に安全性が確認され、かつ、汎用されている我が国では指定外の添加物についての今後の取扱いについては、主婦連合会の問2でご説明したとおりです。
 なお、現在のところ、今回のフェロシアン化物と同様、早急な指定を要するような事例は承知しておりません。


(全大阪消費者団体連絡会)

1. フェロシアン化物の問題は、塩の輸入自由化を行った時点から予見できたはずである。こうした事態を予見できなかった厚生労働省の責任の所在を明らかにすること。

 (社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の問3と同様意見につき、省略)

2. 食品衛生法で認められていない食品添加物が使用されている製品・商品が、輸入・販売されていることは違反であり、直ちに停止措置をとること。
3. フェロシアン化物の認可はやめ、現行認可範囲内の代替措置を指導すること。

(ご意見に対する考え方)
 フェロシアン化物の指定に至る経緯については、日本消費者連盟の問1、日本生活協同組合連合会及び生活協同組合コープながのの問2等でご説明したとおりであり、国民生活への影響を最小限にすることを優先した措置であることをご理解願います。

4. 水酸化マグネシウムなど25種類の食品添加物の認可方針を改めること。

(ご意見に対する考え方)
 「暫定的調査により想定される添加物候補」としてお示しした26品目の取扱いついては、主婦連合会の問2でご説明したとおりです。

5. 今後も1972年の国会附帯決議を遵守・尊重し、食品添加物の指定は主体的な判断のもとに、慎重に取り扱うこと。

 (日本消費者連盟の問6と同様意見につき、省略。)


(一般個人等からのコメント)

 国際的に安全性が確認されていたとしても、日本で独自の安全性試験を行うべき。

 (東京都地域消費者団体連絡会の問2と同様意見につき、省略)

 フェロシアン化物が添加された塩を用いて製造した加工食品については、フェロシアン化物はキャリーオーバーとなるため、表示の対象とならなくなり、消費者が自らの判断で選択できず、気付かないまま毎日摂取してしまう可能性がある。
 微量だから心配ないという対応は納得できない。微量でも、アレルギを起こす場合もある。

(ご意見に対する考え方)
 食品添加物については、動物実験結果等から、人が一生涯に亘ってその添加物を食べ続けたとしても健康被害が発現しない量(許容一日摂取量:ADI)を評価し、この量を上回ることがないように使用基準が設定されています。フェロシアン化物についても、同様にして、ADIを確認し、我が国の栄養調査から加工食品も含め、塩を通じて摂取する量がADIを超えないように使用基準を設定する方向であり、安全性に問題はないと考えます。また、動物実験では、感作性は認められていません。

 フェロシアン化物の塩への添加方法は滴下若しくはスプレーであり、濃度のバラツキが大きく、安全性が確保できない懸念がある。

(ご意見に対する考え方)
 品質の一定した食品が製造できることを保証することは、食品製造メーカーとして当然のことと考えます。しかしながら、使用基準を定めるので、必要に応じて輸入者等に対する指導、製品検査を実施するなど、ご指摘のような粗悪品が流通することがないよう、適切な対応を図って参りたいと考えております。

 加熱・酸・紫外線(光)など一定の条件下で容易に分解する。従って、食品の加工過程において、有毒のシアンが発生するおそれがある。

(ご意見に対する考え方)
 フェロシアン化物水溶液を、pH3以下の酸性とし60度以上に加熱した場合、あるいは、フェロシアン化物水溶液に紫外線を照射すると、フェロシアン化物が分解し、シアンイオンが生成してくることを推察させる実験データを紹介いただきました。このような条件が通常の食品製造あるいは加工調理過程でどの程度起こりえるのかは不明であり、いずれにしても、今回の食塩の最大添加量は20ppmであり、FDAでの安全性に関する評価資料によれば、シアン化水素を300ppm混和した餌をラットに2年間摂食し続けた試験において、なんら悪影響又は病理的な変化は観察されなかったとあることから、量的にみて問題はないと考えております。
 なお、諸外国においてフェロシアン化物を添加した食塩を用い、食品を加工調理する過程においてご指摘のような問題事例が発生し、人への健康被害が発生しているとは承知しておりません。

 「生あんはシアン化合物の検出されるものであってはならない」となっているにも関わらず、フェロシアン化物を使用した食品中のシアン化物について定められていない。

(ご意見に対する考え方)
 生あんについては、シアン化合物を含有する豆類を原料として製造される可能性があることから、「生あんはシアン化合物の検出されるものであってはならない」との規格が定められたものであります。
 なお、前問でも述べたように、諸外国においてフェロシアン化物を添加した食塩を用い、食品を加工調理する過程においてご指摘のような問題事例が発生し、人への健康被害が発生しているとは承知しておりません。

 加工用に大量に塩を使用する工場等の排水基準について考慮する必要がある。

(ご意見に対する考え方)
 食塩に添加するフェロシアン化物から発生するシアンを懸念してのご指摘かと思われますが、シアンに関しては河川・海域等の公共用水域における定期的なモニタリングによって監視されており、さらに工場などからの排水についても水質汚濁防止法に基づき規制がかけられています。

 シアンガステロに使用される危険性がある。

(ご意見に対する考え方)
 現在、工業用としてフェロシアン化カリウムなどは、顔料の製造、写真用、印刷インキの製造などで使用されているところであります。今後、国内で、フェロシアン化物を食品添加物として製造する添加物製造業者及びこの塩を使用する食品業者に対しては、必要に応じ、管理の徹底を指導したいと考えております。

 中国から輸入した食塩の回収にかかった経費等について、保証措置等を考慮して頂きたい。

(ご意見に対する考え方)
 今回の措置は、安全性の確保を前提としつつ、一時的にせよ、回収措置などをとることによる国民生活への影響を最小限にすることを優先した措置であることをご理解願います。

 パブリックコメントは、新聞等を活用するなど、さらに広く消費者の意見が収集できるよう努めるべき。

(ご意見に対する考え方)
 パブリックコメント手続きの中での公表方法の1つとして、ホームページへの掲載は認められているところですが、さらに他の方法も活用できないか、検討して参りたいと思います。

 ホームページや広報誌等で食品添加物の安全性情報のさらなる公開を望む。出来れば、一般向けと専門家向けに分けて情報発信して欲しい。特に、許可品目が取り消された場合など。

(ご意見に対する考え方)
 リスクコミュニケーションの重要性については、承知しているところであり、今後、より良いリスクコミュニケーションの方法について引続き検討して参りたいと考えております。

 フェロシアン化物を極少量で食塩に使用するなら認可しても良い。今回の迅速な対応を評価する。


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