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「児童福祉法(昭和22年法律第164号)第45条第1項に基づき厚生労働大臣が定める里親の行う養育に関する最低基準に係る省令案」及び「里親の行う養育に関する最低基準第52条第2号の規定に基づき厚生労働大臣が定める研修に係る告示案」に対して寄せられたご意見について

平成14年8月30日
厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

 「児童福祉法(昭和22年法律第164号)第45条第1項に基づき厚生労働大臣が定める里親の行う養育に関する最低基準に係る省令案」及び「里親の行う養育に関する最低基準第52条第2号の規定に基づき厚生労働大臣が定める研修に係る告示案」について、平成14年5月20日から6月3日まで、厚生労働省のホームページに掲載してご意見を募集したところ、のべ21件のご意見をいただきました。
 お寄せいただいたご意見とそれらに対する当課の考え方について次のとおり取りまとめましたので、ご報告いたします。
 なお、お寄せいただいたご意見につきましては、取りまとめの便宜上、案件ごとに適宜集約させていただいております。
 今回、ご意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。


第1 里親の行う養育に関する最低基準

1 理念・定義について

  [ご意見1]
 「保護者がない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童」の「保護者のない児童」「不適当」という表現は不適切ではないのか。
  [考え方]
 「保護者がない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童」という表現は、児童福祉法上定められているものであり、法律改正の機会に改めて議論したいと考えています。

  [ご意見2]
 「里親の義務」ばかりで、「里親の権利」については規定しないのか。
  [考え方]
 この基準は里親の養育に関する最低基準であり、里親の権利については法律改正の機会に改めて議論したいと考えています。

  [ご意見3]
 「里親は、当該児童の委託機関とともに、最低基準を超えて、常に、その養育の内容を向上させるように努めなければならない。」と規定したらどうか。
  [考え方]
 ご指摘の点は、里親と関係機関との連携を定めた規定により対応できるものと考えています。

  [ご意見4]
 里親と親権者との関係をどう考えているのか。
  [考え方]
 里親と親権者との関係については法律改正の機会に改めて議論したいと考えています。

  [ご意見5]
 「都道府県知事は、効果的な研修、家庭訪問、養育相談等、里親養育を援助する体制の向上に努めなければならない」といった規定を設けるべきではないか。
  [考え方]
ご指摘の里親に対する都道府県知事の援助については、通知に明記することにより対応したいと考えています。

2 総則について

  [ご意見1]
 やむを得ず保護者の家庭から離れて養育される場合、家庭に一番近い環境に委託することを原則とする、としたらどうか。
  [考え方]
ご指摘の点は、里親制度の趣旨に関わることであり、通知等により明確にしていきたいと考えています。

  [ご意見2]
 里親の秘密の保持について規定したらどうか。
  [考え方]
 この件については省令に規定する方向で検討したいと考えています。

  [ご意見3]
 法第45条の最低基準と認定手続の2つの内容が提示されているが、最低基準のみにすべきではないか。
  [考え方]
今回の省令に盛り込むべき内容としては、里親の行う養育に関する最低基準と里親の認定手続とがありますので、最低基準に関する省令と、認定手続に関する省令とに分けて規定する方向で検討しております。

  [ご意見4]
 児童福祉法第45条の記載に沿った基準(児童の身体的、精神的、社会的発達)を設けるべきではないか。
  [考え方]
 児童福祉法第45条の内容に沿った基準を設定し、規定したものと考えています。

  [ご意見5]
 里親に養育責任を課すことはできない。「育成」と「養育」との意味は異なり「養育」にすべきではないか。
  [考え方]
 児童福祉施設最低基準でも「育成」という文言を使用しており、また、里親に義務付けているのは「養育」であって「育成」ではありませんので、原案のとおりとしたいと思います。

  [ご意見6]
 委託された児童を平等に取り扱う原則とあるが、「取り扱う」という表現は適切ではない。
  [考え方]
 「取り扱う」を「養育する」に修正する方向で検討したいと考えています。

  [ご意見7]
 里親の一般要件で「児童の養育についてできる限り研修を受けた者」とあるが「できる限り」は削除すべきではないか。
  [考え方]
 「できる限り」は削除し、さらに、端的に「里親は研修を受け、その資質の向上に努めなければならない」旨の規定を設ける方向で検討しております。

  [ご意見8]
 「記録を」の次に「指定された様式に基づき」を加えたらどうか。
  [考え方]
 記録の様式については、特に指定することは考えておらず、適宜の様式で記録していただくことを考えております。

  [ご意見9]
 健康保持の部分であるが、食生活においても「バランスのとれた食生活の実現に努め」を加えたらどうか。
  [考え方]
 ご指摘の趣旨は最低基準に盛り込む方向で検討しております。

  [ご意見10]
 学校教育法の規定に基づき通学させなければならないとあるが、「就学させる義務を課す」方がいいのではないか。
  [考え方]
 「就学させる」というのは学校教育法上当然の義務ですので、ご指摘の趣旨も踏まえた上、「義務教育のほか必要な教育を受けさせるよう努めなければならない」旨の規定をしたいと考えています。

3 苦情解決について

  [ご意見1]
 子どもの養育に関する里親への苦情であれば、里親は適切に対応するが、保護者への対応は基本的には児童相談所が行うべきではないのか。
  [考え方]
 里親は子どもからの苦情だけに対応し、保護者から苦情の対応は児童相談所が行うというように修正する方向で検討したいと考えています。  また、運営適正化委員会の協力については削除する方向で検討したいと考えています。

4 自立支援計画

  [ご意見1]
 自立支援計画策定に当たり、里親の意見を聴くことを明記する必要があるのではないのか。
  [考え方]
 この件については、すでに原案に盛り込まれています。

  [ご意見2]
 自立支援計画策定に当たり、児童や保護者の意見を聴く必要はないのか。
  [考え方]
 この件については自立支援計画を養育計画と改称した上、その作成に当たっては児童及びその保護者の意見を聞くことを最低基準に盛り込む方向で検討しています。

  [ご意見3]
 自立支援計画の前に「家庭復帰ならびに」を加えるべきでないのか。
  [考え方]
 この件については、養育計画の趣旨である「自立の促進」の中に「家庭復帰」も含まれているものと考えております。

5 連携

  [ご意見1]
 「関係機関との連携」に乳児院などの児童福祉施設を明記すべきではないか。
  [考え方]
 乳児院などの児童福祉施設は「その他の関係機関」に含まれておりますが、通知においてその趣旨を明確にしたいと考えております。

  [ご意見2]
 「里親」は委託されて児童が地域や学校で差別的な取扱いを受けた場合は適切に児童を守らなければならないと規定したらどうか。
  [考え方]
 ご指摘の点は、「里親の行う養育の一般原則」の規定により対応可能であると考えております。

  [ご意見3]
 「児童の最善の利益に反する場合を除き、分離されている児童を定期的に保護者と接触を維持する権利」を里親委託児童にも認めるべきでないのか。
  [考え方]
 この件については通知にて対応する予定です。

6 里親の要件

  [ご意見1]
 「里親は健全な心身を有し、」とあるが、ハンディキャップを持つ人も養育に支障がなければ里親になれるという表現を加えてもらいたい。
  [考え方]
 「里親は健全な心身を有し」という規定は、ハンディキャップを有する方を当然に排除する趣旨ではありません。通知でこの趣旨を明確にしたいと考えております。

  [ご意見2]
 自らの子の養育に関し虐待等の問題がないこととあるが、「自らの子」に限定するのでは十分ではないのではないのか。
  [考え方]
 この件については、「自らの子」に限定しない方向で検討しています。

  [ご意見3]
 一般原則の中に「児童の自立を支援」を含めることは誤りである。短期里親や専門里親が当てはまらない場合がある。
  [考え方]
 いかなる里親でも自立を支援するという観点は含まれていると考えています。

7 認定・登録

  [ご意見1]
 認定の取り消しは公示が必要か。
  [考え方]
 この件については削除する方向で検討したいと考えています。

  [ご意見2]
 登録の有効期間について里親の種類によって違えるのは何故か。
  [考え方]
 専門里親については、継続研修を受けていることが条件であり、研修を受けていない者が登録されているのを防ぐためです。

  [ご意見3]
 登録期間5年を概ね5年としたらどうか。
  [考え方]
 登録期間について基準を定める以上、明確性の観点から、「概ね」という規定をすることは適当ではないと考えております。養育里親も5年であり、短期里親も5年の方向で検討したいと考えています。

  [ご意見4]
 調査項目として同居家族の履歴書は不必要ではないのか。
  [考え方]
 同居家族の履歴書については、昭和62年10月31日児発第901号厚生省児童家庭局長通知により既に求められており、今後も必要であると考えておりますので、原案のとおりとしたいと考えています。

8 児童の委託

  [ご意見1]
 委託する児童は概ね6人とすべきではないか。
  [考え方]
 委託する児童の人数について基準を定める以上、明確性の観点から、「概ね」という規定をすることは適当ではないと考えております。実子を含め、6人以内が適切な人数と考えています。  なお、実子が18歳以上になれば、児童ではなくなるので人数にカウントしません。

  [ご意見2]
 委託に際して、委託児童の心身の健康状態などを養育里親に通知しなければならない、と規定すべきではないか。
  [考え方]
 児童福祉法施行規則第32条により報告されることになっています。通知においてもこの趣旨を明確にしたいと考えております。

  [ご意見3]
 養育里親の「選任」とあるが、この言葉を使用せず、養育里親として登録された者の中から「委託」するといった表記にすべきではないのか。
  [考え方]
 「選任」を「委託」に変更する方向で検討したいと考えています。

  [ご意見4]
 20歳まで措置延長するときは、児童本人からの意見を含むべきではないか。
  [考え方]
 措置延長に当たっては委託児童本人からの意見も勘案する旨の規定を設ける方向で検討しております。

  [ご意見5]
 専門里親への委託2人、2年もケースによっては弾力化が必要であると思うがいかがか。
  [考え方]
 委託児童数は2人までとしますが、委託期間については、ケースにより、措置延長もできる旨の規定になっています。

  [ご意見6]
 保育所の利用は可能であるが、再委託の禁止の事項に触れてしまうのではないか。また、治療のため短期入所なども考えられるので、たらい回しを防ぐためにも再委託の措置が必要ではないか。
  [考え方]
 原案においても再委託の措置についての規定は設けてあります。

  [ご意見7]
 知事による委託解除(措置解除)、委託停止(措置停止)の規定が必要ではないのか。
  [考え方]
 委託解除・停止は、既に児童福祉法に定められております。

  [ご意見8]
 「児童を委託する」の表現は誤りであり、「児童の養育を委託する」とすべきではないのか。
  [考え方]
 児童福祉法第27条第1項第3号で「児童を委託する」と規定されているので、原案のとおりとしたいと思います。

  [ご意見9]
 「自らの子に比して」とあるが、他の里子に比してもならないので、表現に一考を要するのではないか。
  [考え方]
 ご指摘の趣旨を踏まえ、規定ぶりを修正する方向で検討したいと考えています。

9 里親の種類

  [ご意見1]
 障害児里親も規定すべきではないか。
  [考え方]
 現に障害を持つ児童を里親委託している例もあり、障害児を養育する里親を専門里親のような形で制度化することは、今後議論すべき問題と考えています。

  [ご意見2]
 養子縁組里親も規定すべきではないか。
  [考え方]
 当初から養子縁組を希望している里親についても養育里親として対応していくことを考えております。
 なお、養子縁組制度と里親制度との関係については、これまでどおり通知にて対応する予定です。

  [ご意見3]
 養子縁組後も福祉的援助が得られるよう配慮すべきではないのか。
  [考え方]
 養子縁組後は、一般社会福祉施策の対象となります。

10 養育里親

  [ご意見1]
 公示とはどのようなことを指すのかよくわからない。
  [考え方]
 認定取消しの公示については、削除する方向で検討したいと考えています。

  [ご意見2]
 養育里親の健康診断書を明記すべきではないのか。
  [考え方]
 この件については通知にて対応する予定です。

11 親族里親

  [ご意見1]
 親族里親における親族とはどの範囲をいうのか。
  [考え方]
 ここでいう親族とは3親等以内の親族をいいます。

  [ご意見2]
 親族里親になるには、今まで児童と同居していなくてもいいのか。
  [考え方]
 委託する児童と委託前に同居していなくても認める予定です。

  [ご意見3]
 祖父母が親族里親になる場合、児童の養育の負担がかかりすぎないか。
  [考え方]
 親族里親として児童を養育している方に対しては、関係機関により十分な支援を実施していきたいと考えています。

12 短期里親

  [ご意見1]
 短期里親の登録有効期間2年ではなく養育里親と同じ基準でもいいのでは ないのか。
  [考え方]
 ご指摘を踏まえ、短期里親の場合でも養育里親と同じ登録有効期間5年とする方向で検討しております。

  [ご意見2]
 短期里親の対象はどのような児童を考えているのか。
  [考え方]
 従来の対象児童に加えて、児童福祉施設に入所している児童を週末等に委託するケースを考えていますが、このようなケースについては、通知で明確に規定したいと考えております。

13 専門里親

  [ご意見1]
 児童虐待などの行為により心身に有害な影響を受けた児童であって、「児童福祉法第27条第1項第2号の措置を受けたものを養育する里親」というのは実態にそぐわないのではないのか。
  [考え方]
 「児童福祉法第27条第1項第2号の措置を受けたものを養育する里親」の部分については削除する方向で検討したいと考えています。

  [ご意見2]
 治療は年齢が低い方が有効なので、専門里親はティーンエイジャーではなく、幼児や学童児がいいのではないのか。
  [考え方]
 ご指摘の趣旨はもっともですが、年齢の高い児童についても専門里親が有効に機能することは十分に考えられるので、最低基準上は、対象児童の年齢について制限を設けないこととしたいと考えております。  ただ、ご指摘の点は、通知にて明らかにする予定です。

  [ご意見3]
 「里父母のどちらかが養育に専念できること」という要件を加えたらどうか。
  [考え方]
 専門里親については「養育に専念できること」を要件として規定する方向で検討したいと考えています。

14 レスパイト

  [ご意見1]
 里親が利用できるレスパイトケアを最低基準に入れてほしいのですが。
  [考え方]
 この件については、「再委託の措置」において規定しています。

15 その他

  [ご意見1]
 里子・里親に対する見守り体制を具体的に最低基準に入れてほしいのですが。
  [考え方]
 最低基準上は「関係機関との連携」の規定などにおいて里親に対する支援体制を規定しておりますし、児童福祉法施行規則においても、既に里親の指導等について規定されております。


第2 里親の行う養育に関する最低基準第52条第2号の規定に基づき厚生労働大臣が定める研修

1 優遇措置

  [ご意見1]
 児童福祉施設等での勤務経験者について優遇措置がとられているが、そのような措置をとることは適当でないと思う。
  [考え方]
 養育実習について、現職にある者や離職したばかりの者及び被虐待児をケアした経験のある者については免除しても差し支えないと考えています。

2 養育実習

  [ご意見1]
 養育実習について児童福祉施設等での実習を考えているようであるが、集団養育を前提とする施設で実習を行うことだけでは、里親としての養育実習としては不十分である。
  [考え方]
 被虐待児等の理解やその個別的な対応について学習することが目的であり、施設における養育実習でもこの目的は達成できるものと考えています。
 なお、将来的には専門里親のもとでの実習についても検討課題として考えています。

  [ご意見2]
 里親の養育実習については、施設に負担がかからないのか。
  [考え方]
 実習期間はのべで7日間(宿泊付き1回)であり、日帰りの実習が多くなると思われるので、さほど負担はかからないものと考えています。

以上


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