パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

医療法施行規則の一部改正(医療安全対策関係)に寄せられた意見について

平成14年8月27日
厚生労働省医政局総務課

 医療法施行規則の一部改正(医療安全対策関係)について、平成14年7月30日から平成14年8月19日までにインターネットのホームページ等を通じて御意見を募集したところ、12通の御意見をいただきました。
 お寄せ頂いた御意見とそれらに対する当省の考え方につきまして以下のとおり御報告いたします。とりまとめの都合上、いただいた御意見は適宜集約しています。
 なお、パブリックコメントの対象でない事項に関する御意見も寄せられましたが、パブリックコメントの対象となる事項について考え方を示させて頂いております。

いただいた御意見と当省の考え方

◯ 病院と有床診療所は、同一の規定により安全管理体制の義務づけを行うことは困難ではないか。また、有床診療所については、安全管理体制の義務づけを一律に行う必要はなく、病床利用率や病床設置形態に応じて対応すべきではないか。

〈回答〉
 入院を必要とするような患者への診療行為は複雑であるため、患者を入院させるための施設を有する医療機関に対しては、医療の安全を確保するために一定の安全管理体制を確保することが必要であると考えています。このため、今回の医療法施行規則の一部改正では、このような医療機関である病院及び有床診療所に対して、一定の安全管理体制の整備を義務づけることとしています。

◯ 今回義務づける安全管理体制の整備状況については、外部監査などで十分に監視すべきではないか。

〈回答〉
 今回義務づける安全管理体制の整備については、都道府県等において、必要に応じて立ち入り調査も含め、様々な機会を捉えて確認・指導していくことになります。

◯ 今回義務づける安全管理体制の整備状況を確認する方策として、病院や診療所の開設許可申請の際に審査を行ってはどうか。
〈回答〉
 今回義務づける安全管理体制については、実際の安全管理状況の確認などにより安全管理体制を根づかせていくことが重要であると考えています。そのため、開設許可の申請時ではなく、開設後に、必要に応じて立ち入り調査も含め、様々な機会を捉えて確認・指導していくことになります。

◯ 無床診療所についても、病院と同一の規定により安全管理体制の義務づけを行うべきではないか。

〈回答〉
 入院を必要とするような患者への診療行為は複雑であるため、患者を入院させるための施設を有する医療機関に対しては、医療の安全を確保するために一定の安全管理体制を確保することが必要であると考えています。そのため、今回の医療法施行規則の一部改正は、患者を入院させるための施設を有する医療機関に対して一定の安全管理体制を確保することを目的としており、無床診療所は対象としていません。

○ 厚生労働省は、小規模病院や診療所に向けた指針の標準を示すべきではないか。

〈回答〉
 医療機関では、国民の生命・健康が守られるべきであると考えています。今回、病院及び有床診療所に対して義務づける安全管理体制の整備については、通知においてその詳細を示すこととしており、各医療機関においてはこれを踏まえて安全管理体制の整備を進めていただくこととしています。

◯ 安全管理委員会については、外部委員を入れるべきではないか。

〈回答〉
 安全管理委員会は、各医療機関において、各部門の委員の参加を得て、組織横断的に日常的な安全管理上の問題点等について検討するものであることから、その委員構成については各医療機関が判断すべきであると考えており、外部委員を構成員に含むことを一律に義務づけることは想定していません。

◯ 小規模病院や有床診療所においては、安全管理委員会を複数の医療機関で合同で開催すべきではないか。

〈回答〉
 安全管理委員会は、各医療機関において、各々の医療機関が有するそれぞれの安全管理上の問題点等について検討するものであることから、各機関が独立して開催すべきであると考えています。なお、改善策の共有などを目的に、各医療機関に設置する安全管理委員会とは別に、他の医療機関と研究会等を合同開催することについても地域の医療安全の水準を向上させる有効な方策と考えています。

○ 院内のヒヤリ・ハット報告等は、他の医療機関と共有したり、改善方策について意見交換できるシステムを作るべきではないか。

〈回答〉
 平成13年10月より、国立病院・療養所、特定機能病院等からヒヤリ・ハット事例の収集・分析を通じて、その改善策を検討するとともにこれらの情報を広く共有することを目的として、「医療安全情報ネットワーク整備事業」を開始しています。
 また、改善策に関する意見交換等は、関係団体等における各種研究会等の自主的な取組が行われていると承知しています。

○ 特定機能病院へ義務づける事項は、国立病院等へも同等の措置とすべきではないか。

〈回答〉
 医療法においては、特定機能病院は高度な医療を提供する等の病院と承認されており、そのため、より高度の安全管理体制が必要と考えており、国立病院等はそのような承認を受けていないため、一律に義務づけるのは適当でないと考えています。

○ 医療安全対策についての国の責務を明確にすべき。

〈回答〉
 医療法では、既に第1条の2で医療提供の理念として、国は、国民に対し医療安全の確保を含めて良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならないと定められています。

○ 特定機能病院に専任の医療安全管理者を配置することは困難ではないか。

〈回答〉
 特定機能病院に配置を義務づける医療安全管理者は、医療安全管理委員会の委員長のもとで、院内の安全対策の立案・実施・評価を部門横断的に行い委員会へ報告する等の役割を果たす者です。高度な医療を提供する特定機能病院においては、複雑で高度な安全対策の実施が必要であることから、専任の医療安全管理者の設置を義務づけ、医療安全の確保をしていただくことが重要であると考えています。

○ 専任の医療安全管理者の資格あるいは職種を明らかにすべきではないか。

〈回答〉
 医療安全管理者は、医療に関する資格を有している者で、医療安全管理に関する知識・技能を有していることが必要であると考えており、今後、必要な要件を示していく予定です。

○ 安全管理委員会の機能と、労働安全衛生法上の衛生委員会の機能を併せ持っても差し支えないか。

〈回答〉
 労働安全衛生法上の衛生委員会は、労働者に関する健康障害の防止対策等について調査審議することとされており、患者の安全確保のための対策を検討する安全管理委員会とは趣旨及び機能が異なりますので、それぞれ独立した委員会とすることが必要です。

○ 事故報告について、労働者死傷病報告との情報の共有化を進めるべきではないか。

〈回答〉
 労働者死傷病報告は、労働者が業務上の傷病などにより休業した場合に労働基準監督署長へ報告する制度です。一方、院内における事故等の報告とは、院内における改善のため、医療事故事例等を活用していくものであり、趣旨及び報告内容が異なりますので、共有化は適切でないと考えています。

○ 「医家向け医療用具」の添付文書を医療機関に配布するにあたり、院内の担当窓口を設置すること。

〈回答〉
 医療用具には様々なものがあり、製品の特性、医療機関の状況に応じて使用しています。したがって、その情報については、各々の医療機関において、その使用実態に応じて院内の周知方法を整備すべきものであり、各医療機関でその工夫については判断されるべきことと考えています。

○ 臨床工学技士、診療放射線技師、衛生検査技師等の人数も報告を義務づけること。

〈回答〉
 病院報告において、臨床工学技士、診療放射線技師、衛生検査技師等の従事者数は報告することになっています。

○ 医療機器の納品時に、医療機関の職員に正常な稼働を確認することを義務づけること。

〈回答〉
 医療機器の正常な稼働を納品時に確認することは、法的に義務づけるのではなく医療機関側が自主的に行うべき事項と考えています。

○ 医療機器の保守・管理体制について、整備記録の保管を義務づけること。

〈回答〉
 医療機器の保守・管理は、その医療機器の特性と医療機関における管理体制に応じて各医療機関が判断すべきものであり、各医療機関における方策は一律に義務づけることは適当でないと考えています。

○ 第三者医療機能評価を定期的に受けることを義務づけること。

〈回答〉
 医療機関が第三者機関による医療機能評価を受けることは重要と考えています。厚生労働省の政策目標としても、平成18年度末までに、医療機能評価機構の受審目標を2,000施設としていますが、あくまでも医療機関の自主的な取組として、第三者機関による評価を受けることを推進していきたいと考えています。


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