パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

児童福祉法施行令、同施行規則及び認可外保育施設に対する指導監督の指針
に関するご意見等について

平成14年7月29日
厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課

 児童福祉法施行令、同施行規則及び認可外保育施設に対する指導監督の指針については、平成14年3月4日から4月1日まで当省ホームページ等を通じてご意見を募集したところ、のべ29件のご意見をいただきました。ありがとうございました。
 お寄せいただいたご意見とそれらに対する当課の考え方について次のとおりご報告致します。とりまとめの都合上、いただいたご意見は適宜集約させていただいております。
 なお、いただいたご意見等につきましては、平成14年7月30日から8月末日まで厚生労働省行政相談室で閲覧することができます。

(○:ご意見、ご質問 ●:厚生労働省の考え方)

1.認可外保育施設関連

【児童福祉法施行規則(案)】

・届出対象外施設について

○ 届出対象外施設とされるものについて、なぜ対象外とするのか理由を示されたい。
● 今般の児童福祉法の改正で設置届出等を導入した趣旨は、施設の効率的な把握の他、認可外保育施設の情報を利用者に適正に伝え、利用者の適切な施設選択を担保することで、利用者の施設選択を通じた悪質な認可外保育施設の排除を図る点にあることから、利用児童の募集を一般的には行わず、利用者による選択の対象とならない施設等を対象外としているものであり、届出制の対象外施設の種類やその考え方は以下のとおりです。
(1)小規模施設(規則第49条の2第1号)
 地域での預かり合いとの区別や、事業者側の負担等を勘案し、1日に保育する乳幼児数が5人以下の小規模施設については届出制の対象外とした。
 なお、保育する乳幼児数について、5人以下であることが約款その他の書類で明らかになっていない施設は、届出制の対象となる。
(2)事業所内保育施設(規則第49条の2第1号イからハまで)
 一般的に利用者を当該事業所の労働者に限定し広く利用者の募集を行わないことや、設置者である事業者側と利用者である労働者側との間に安定的な関係が想定されることから、届出制の対象外とした。ただし、労働者の乳幼児以外の乳幼児を5人を超えて預かる施設は、届出制の対象である。
(3)事業者が顧客のために設置する施設(規則第49条の2第1号ニ)
 一般に利用者を顧客に限定し広く利用者の募集を行わないことや、保護者が近くにいることが想定されることから、届出制の対象外とした。ただし、顧客の乳幼児以外の乳幼児を5人を越えて預かる施設は、届出制の対象である。
(4)親族間の預かり合い(規則第49条の2第1号ホ)
 一般に利用者の募集を行わないことや、保育する側と保育される側との間に安定的な関係が想定されることから、届出制の対象外とした。
 ただし、親族の乳幼児以外の乳幼児を5人を超えて預かる施設は、届出制の対象である。

(5)臨時に設置される施設(規則第49条の2第2号)
 半年を限度に臨時に設置される施設については、届出制に基づく地域住民に対する情報提供を行った時には既に施設自体が存在しないことが想定されることから、届出制の対象外とした。
(6)幼稚園併設施設(規則第49条の2第3号)
 幼稚園を設置する者が当該幼稚園と併せて設置する施設における活動については、幼稚園における子育て支援活動等と区別がつかないことや、幼稚園所管部局による当該幼稚園を設置する者に対しての指導が行われることから、届出制の対象外とした。
 なお、幼稚園が、幼稚園教育要領に基づき実施する活動は、預かり保育(教育時間の前後に希望する者を対象に行う教育活動)も含め、児童福祉法の対象外である。
○小規模保育施設以外の類型について、都道府県の条例により設置時の届け出を義務付けることはできないのか。地方自治体が地域の実情に応じた主体的な取組を行うためにも、国は全国一律に必要最小限の範囲で届出対象施設を定め、その他については地方自治法を根拠に都道府県等が必要と判断すれば条例で規定を設けることとすべきではないか。
● 修正しました。
 省令案において、小規模保育施設に限って条例による特例の規定を設けたのは、特に地域によって差が大きいと思われる点について特別に定めをおいたものであり、その他の点について地方自治体が条例により特段の定めを置くことを排除する趣旨ではありませんが、この規定があることにより、小規模保育施設以外の類型について、条例による上乗せの規制ができないと解するといった混乱が生じる懸念があることから条例での上乗せの規定を削除しました。
○ 実態として一時的にでも6人以上乳幼児がいることが確認された場合は届出対象施設となるのか。
● 対象となります。約款その他の書類により1日に保育する乳幼児数を5人以下としている場合でも、実際には5人を超えて保育している場合には、届出対象施設です。
○ 幼稚園併設施設の指導については、届出対象外とされているが、どのように把握するのか。
● 幼稚園併設施設については、当該施設を設置する者を把握し得る地方公共団体の幼稚園所管部局が当該幼稚園に対する指導の一環として行うこととしており、文部科学省から地方公共団体の幼稚園所管部局に対しても、その旨別途通知することとされています。

[事業所内保育施設について]

○ 従業員の児童の保育をベビーホテルに委託している場合、当該ベビーホテルは届出対象外施設となるのか。
● 事業主が、雇用している従業員の乳幼児(以下「事業所の乳幼児」といいます。)の保育を認可外保育施設と委託契約を締結して行っている場合であって、当該認可外保育施設が事業所の乳幼児のみを保育しているものについては届出対象外ですが、事業所の乳幼児以外の乳幼児を5人を超えて保育している場合は届出対象となります。

[親族間の預かり合い]

○ 施設の設置者が複数いる場合、「設置者の4親等内の親族」の範囲はどう扱うのか。また、法人格を有する場合、この規定は実質的に適用の余地がないのか。
● 設置者が複数いる場合、それぞれの設置者について、4親等内の親族の乳幼児のみを保育している場合は届出の対象外です。また、法人に「親族」は存在しないため、設置者が法人である場合に本規定が適用されることはありません。

・届出事項等について

○ 入所定員の捉え方について示されたい。
● 設置者が同時に受け入れが可能であると考えている人数をいいます。
○ 勤務の実態を把握するため、職員配置数については、前日のみでなく、数日にわたる届出を報告すべきではないか。
● 職員の配置については、届出前日に保育に従事している保育士その他の職員の配置数及び勤務勤務体制のほか、配置数及び勤務体制の予定についても届出事項とし、職員配置の実態を把握することとしています。
○ 報告の期日「知事の定める日」は、県規則で定める必要があるのか。
● 必ずしも都道府県規則で定める必要はなく、通知等により事業者に示すことで足りると考えています。
○ 法59条の2の5の規定による報告により届出事項の変更が確認できた場 合であっても、改めて法59条の2第2項の規定による届出をさせる必要があるか。
● 原則法第59条の2第2項による届出が必要と考えておりますが、変更の届け出をすべき時期と毎年の定期報告の時期が重なった場合等は、都道府県等の判断により、定期報告をもって変更届出書に代わるものとみなして差し支えないと考えています。

【認可外保育施設指導監督の指針(案)】

 第1の1

○ 認可外保育施設を積極的に位置付けるべきではないか。
● 認可保育所による保育サービス提供が基本と考えています。

 第1の2

○ 私立幼稚園が2歳児を対象として保育を行っている場合や「少なくとも1日4時間以上、週5日、年間39週以上」という目安を概ね満たして保育している施設は、児童福祉法上の対象と考えてよいか。
● 児童福祉法上の指導監督の対象となり得ます。
 なお、幼稚園が幼稚園教育要領の範囲を超えて保育を行っている場合については、地方公共団体の幼稚園所管部局において、当該幼稚園に対する指導の一環として指導を行うこととなります。
 第1の3(1)
○ 小規模保育施設について認可外保育施設指導監督基準の一部を適用外とした理由は何か。
● 緊急時において保育者を支援する体制が整備されている場合や定期的な都道府県等の助言指導を受けている場合には、適正な保育が確保されると考えられるため、保育ママなどの少人数の乳幼児を保育する施設については、保育従事者の数及び資格について、認可外保育施設指導監督基準で適用除外できるとしたものです。

 第1の4(2)

○ 届出事項について、内容如何によっては不受理処分が予定されているのか。
● 行政手続法の規定により、記入漏れ等の不備が無い限りは受理しなければならなされているところです。
○ 1日に保育する乳幼児数を把握する書類は、「約款、パンフレット等」とあるが、これ以外にはどのような書類で把握すれば良いか。
● 児童募集用のポスター等の対外的に明らかにされている書類等を考えています。
○ 当初は届出対象施設であっても、乳幼児数が5人以下になった場合、どのように都道府県にその旨報告すれば良いか。
● 都道府県に確認書類等を添付し、その旨を申し出ていただくことになります。なお、届出対象外の施設となっても、指導監督の対象であることには変わりはありません。
○ 届出事項となっている「医療機関との提携」について、指導上はどう扱えばよいのか。
● 指導監督基準の「7 健康管理・安全確保」の内容が確保されるためには、医療機関との提携が行われることが望ましいと考えております。

 第1の4(3)

○ 届出事項の虚偽を見抜くには、抜き打ち調査などを行使しなければならないのではないか。
● 問題を有する施設に対しては都道府県の判断により、通告無しの立入調査が適当であると指針で示しています。

 第2の2(1)

○ 届出対象施設以外にも運営状況報告を徴するとあるが可能であるか。
● 児童福祉法第59条第1項により、従来どおり地方公共団体に付与された権限に基づき運営状況報告を徴することが可能です。
○ 届出対象外施設への立入調査は、努力義務ではなく、必ず行うべきではないか。
● 全施設に対し立入調査を行うことが望ましいと考えていますが、施設が多数存在する場合等は、重点的に指導監督を行うこともやむを得ないと考えています。
 ただし、届出対象であるか否かを問わず、問題を有する施設と判断される場合は、年1回の立入調査だけでなく、継続的に特別立入調査を実施すべきであると考えています。
○ 指導監督にあたっては、保育の実施主体である市区町村の責任を明確にすべきではないか。
● 今般の児童福祉法改正により、認可外保育施設の指導監督における市区町村の協力が明記されたところであり、従前にも増して都道府県との連携協力が図られるものと考えています。

 第2の3(2)(1)

○ 「問題を有すると考えられる施設」に「著しく保育士、子どもの出入りが激しい施設」を追加してほしい。
● 単に、保育士や子どもの出入りが激しいことをもって問題を有すると判断するのは困難であると考えますが、立入調査等を通じて保育内容等の実態を把握し、適切な指導監督を行うべきと考えます。
○ 「問題を有すると考えられる施設」に労働基準法に違反しているものを付け加えるとともに、所管労働局への通告を盛り込むべきではないか。
● 他法令について違反を発見した場合には、関係機関にすみやかに通報することが行政官庁の当然の責務であると考えます。

 第3の3(3)(1)

○ 「・・・利用児童に対する福祉の措置等を講ずる必要があること」を明確化するため、「福祉の措置を講じ、その旨を利用者に周知すること」と明記し、「第4 事業停止命令又は施設閉鎖命令」の章にも加えることを求める。
● 福祉の措置等を講ずることとは、その旨を利用者に周知することも含むと考えております。

 第2の3(2)(7)

○ 「施設内での虐待や虚偽報告が疑われる場合等は、利用児童の保護者等から事情を聴取すること。」とされているが、効果的に行う方法を盛り込むべきではないか。
● 利用児童の様子を確認することを盛り込みました。

 第3の3(3)(2)

○ 公表に際しての弁明の機会を付与しないとする場合には第3者的な性格を有する委員会など合議制機関を設けるべきではないか。
● 公表は、相手方が改善勧告に従わず、利用児童等に被害を及ぼす恐れがあるような場合に、住民に対しその情報を提供することによって住民の自己防衛を期待して行われるものとして、今回、法的に認められたものであり、行政手続法上、「不利益処分」や「行政指導に従わない場合の不利益な取扱い」にはあたらず、弁明の機会の付与等は不用とされているところです。

 第5の2

○ 地域住民から認可外保育施設に関する苦情や自治体が把握していない情報提供を求める窓口を設けて周知すること等で、施設の把握ができやすくなるのではないか。
● インターネットへの掲載等により、地域住民に対して認可外保育施設を担当する窓口について周知を図ることにより、地域住民から認可外保育施設に関する情報が得られ、適切に把握できるものと考えています。
○ 利用料を公表項目とするのか。規則との整合性を図られたい。
● 修正しました。

【認可外保育施設指導監督基準(案)】

 3

○ 認可外保育施設に対する防災安全対策については、関係機関と連携して指導を行うべきではないか。
● 都道府県等において、消防部局から防火安全上の助言や保育施設等の存在 場所の提供の情報提供を受けるなどして、連携を図りながら指導監督を行っ ているところです。(「認可外保育施設に対する防火安全の指導について」(平 成13年4月17日消防予第127号消防庁予防課長通知参照))

 5(2)イ

○ 保育従事者の専門性の向上は自主性に依存するのではなく、行政の責任で研修を実施すべきではないか。
● 保育従事者に対する研修は重要であると考えています。このため、国としても、認可外保育施設の保育従事者に対する研修の充実を図っているところです。

 5(3)

○ 事故防止の観点から、利用者が保育の状況を十分把握できるような保育室の構造設備にすべきではないか。
● 構造設備について一律に定めることは困難ですが、児童の保育の様子や施設の状況がわかるように、保護者や利用希望者等が保育室などの見学ができることが必要と考えております。
○ 実際の保育の様子を保護者などに公開すべきではないか。
● 保護者や利用希望者等から児童の様子や施設の状況等を確認したい旨の申し出があった場合には、利用児童の安全確保等に配慮しつつ、保育室などの見学が行えるように適切に対応することを盛り込みました。

 6(2)

○ やむを得ず市販の弁当を利用する場合に、健康状態に応じてどのように配慮できるか。
● 家庭とも連携の上、児童の健康状態や刻み食等の年齢に応じた配慮を行うこととしています。
○ 施設内への情報の掲示や契約時の書面交付については、指導を行う必要はないのか。
● 児童福祉法及び指導監督基準に基づき、指導を行う必要があります。

 9

○ 架空の職員を配置しているケースがあるため、調査の際には、勤務表や給与支払い表などの調査も行うべきではないか。
● 指導監督基準において、保育している者の処遇の状況を明らかにする帳簿等を整備しておく旨規定しているところであり、労働者名簿や賃金台帳等を例示しているところです。

【その他】

 指導監督指針に関するもの以外の主な意見として、次のような意見がありました。

○ 認可外保育施設に対する財政援助等の実施
○ 認可保育所の充実
● 保育サービスについては、その安定的な提供や質の確保の観点から、今後とも最低基準を満たす認可保育所が保育サービス提供の基本であると考えています。
 このため、新エンゼルプランや待機児童ゼロ作戦に基づいて認可保育所による保育サービスの充実に努めるとともに、規制緩和措置などを通じて、質の高い認可外保育施設が認可保育所に転換しやすくなるような条件整備に努めることが適切であると考えています。

2.保育士関連

○ 保育士の資質の向上のために、保育士の研修の確保等を図って頂きたい。
● 今後とも、保育士の資質の向上のために、研修を行っていきたいと考えています。

○ 名義貸し等の制度の悪用がないように十分配慮して頂きたい。
● 国としても、実際に事務を行う都道府県とともに、制度の適切な運用に心がけたいと考えています。


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