厚生労働省老健局計画課
特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準の一部改正について、平成14年6月7日から6月27日まで厚生労働省のホームページを通じて御意見を募集したところ、計3通の御意見をいただきました。
お寄せいただいた御意見とそれらに対する当省の考え方について、以下のとおり御報告いたします。
今回、御意見をお寄せいただきました方々の御協力に、厚く御礼申し上げます。
[御意見1]
○ 全室個室化については異議はないが、ユニットケアについては、もう少し時間をかけてケーススタディの検証をする必要がある。
[当省の考え方]
○ ユニットケアについては既に次のような研究が行われていますし、先駆的に全室個室・ユニットケアに取り組んでいる特別養護老人ホームでも、現に痴呆性高齢者の徘徊が少なくなるなどの効果があがっています。
[御意見2]
○ 霊安室を機能させるのは個室化の考えに反するのではないか。機能訓練室は、共同生活室に統合してよいのではないか。宿直室については、絶対要件とはせず、警備会社への委託など、社会的現状に即するべきではないか。
[当省の考え方]
○ 新型特養においては、静養室、食堂及び面接室を設けなくてよいこととするほか、すべての共同生活室の面積が、それぞれ、3平方メートルに当該共同生活室の属する居室の入所定員を乗じて得た面積以上である場合には独立した機能訓練室を設けなくてよいこととするなど、可能な限り基準緩和を行うことを考えています。
[御意見3]
○ ユニット部分の事業費はホテルコストで対応し、共用部分の事業費を補助対象とすると、共用部分が充実してユニット部分を倹約することになるのではないか。
[当省の考え方]
○ 個室や共同生活室の面積など、全室個室・ユニット型の特別養護老人ホームが構造設備の面で満たすべき内容は、基準で定めることとしています。なお、施設整備費の補助は、施設内の公共スペース部分及び事務室等の管理部分について助成対象としていますが、その補助額は、施設の建築等を行おうとする時における建築費等を基準として定められる入所者1人当たりの建築単価等に基づいて算定されます。
[御意見4]
○ 共同生活室と個室との関係については、規範は住宅をイメージすることであり、居室が共同生活室からどのくらいの位置かではない。事業者にある程度判断させるべきではないか。
[当省の考え方]
○ 基準では最小限の部分のみを定め、事業者の創意工夫が可能となるようにしていますが、共同生活室が居室から離れた場所にあったのでは、一人になれる空間と、他の入所者を交流できる空間を気軽に行き来できなくなってしまうことから、居室は共同生活室に近接して一体的に設けることが必要であると考えています。
[御意見5]
○ 既存の痴呆対応型共同生活介護では日中3:1夜間9:1(夜勤体制の場合)である実態を踏まえ、全室個室・ユニットケアの特別養護老人ホームにおいても、最低でもこれと同程度の配置を運営基準として明記すべきである。
[当省の考え方]
○ 全室個室・ユニット型の特別養護老人ホームにあっては、例えば食事は居室のすぐ近くにある共同生活室でとるなど、従来型の特別養護老人ホームと比べて職員の負担が軽減する要因もあるとの調査研究結果があります。
また、運営基準の人員配置を超える職員体制については、施設の工夫や裁量を重視し、より多くの人員を配置すべきかどうかはそれぞれの施設が介護報酬の範囲内で判断し、対応することが適当と考えています。
[御意見6]
○ 利用者のニーズは暮らし慣れた自宅又は地域社会での生活の延長にあることに留意し、ユニット単位を地域社会に分散するべきである。
[当省の考え方]
○ 介護サービス基盤の整備においては、高齢者が介護を要する状態になってもできる限り住み慣れた地域や家庭で自立した生活が継続できるよう、居宅サービスに重点を置くことが必要であると考えています。その際、自宅での生活を継続することが困難な要介護高齢者等のための多様な受け皿として、介護保険法上の痴呆対応型共同生活介護や特定施設入所者生活介護といった、居所を移して利用する居宅サービスの基盤整備を推進することも重要であると考えています。なお、本年1月にはケアハウスの設置運営要綱を改正し、ユニットの考え方を盛り込んだところです。
[御意見7]
○ O157の感染等に対してハセップの導入等衛生管理が厳しく問われたのに対して、ユニットケアにおいては各ユニット単位での食事補助業務が奨励されるなど、指導状況に矛盾が生じており、このことに対する基準の明記が必要である。
[当省の考え方]
○ 全室個室・ユニット型の特別養護老人ホームにあっては、食事の提供は、入所者の自立の支援に配慮して、可能な限り共同生活室で行うよう努めなければならない旨を運営基準に明記することを考えています。
[御意見8]
○ 特別養護老人ホームの個室化に連動して、ショートステイ利用料にホテルコストを上乗せすることは、年金生活者の生活そのものを圧迫して、介護保険サービスの利用の後退に繋がるので、反対である。
[当省の考え方]
○ 全室個室・ユニットで整備されたショートステイ居室を利用する場合には、4人部屋など従来型の居室に比べて格段に改善された環境の下でケアを受けることができることから、居住費(建築費、光熱水費等)を負担していただくこととしています。この場合、共同生活室に対しては国・都道府県の施設整備費補助を行うという考え方に立っており、その結果、全室個室・ユニット型の特別養護老人ホームに入所した場合よりも居住費の額は低くなります。